JP3975016B2 - 窒化珪素焼結体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば切削工具や、ベアリング及びボール等の耐摩部品など使用される窒化珪素焼結体及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば切削工具や耐摩部品などには、優れた強度を有する窒化珪素を主成分とする窒化珪素焼結体が用いられている。
また、近年では、例えば窒化珪素を切削工具として用いる場合には、耐摩耗性を向上させるために、主成分に添加する焼結助剤(ある種の酸化物)を低減する技術が提案されている(特表平8−503664号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、添加する焼結助剤を極端に低減した場合には、焼結性が必要以上に低下してしまい、かえって、耐摩耗性が低下したり、耐欠損性が低下するという問題があった。
【0004】
本発明は上記の問題点を鑑みて提案されたもので、耐摩耗性等の優れた性質を有する窒化珪素焼結体及びその製造方法を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための請求項1の発明は、β−Si3N4を主体とする焼結体であって、該焼結体中の酸素量が、1.2〜1.5重量%であり、且つ、前記焼結体中の酸素の一部が、 III 属元素のシリケート又はシリコンオキシナイトライドの結晶相として存在し、更に、X線回折による前記β−Si 3 N 4 の最大ピークの高さに対する前記結晶相の最大ピークの比が、0.2以上0.7以下であることを特徴とする窒化珪素焼結体を要旨とする。
【0006】
本発明の窒化珪素焼結体は、多結晶の焼結体であり、焼結体中の酸素量が、1.2〜1.5重量%と適切に設定されているので、後の実験例にて明かな様に、緻密な組織を有し、その硬度が高く、耐摩耗性及び耐欠損性に優れている。
また、窒化珪素中の酸素は、主に粒界相(ガラス質)に含まれており、ガラスはSi3N4に比べて融点が低いので、酸素量が多いと、例えば切削工具の刃先温度上昇により、Si3N4粒子の拘束力が低下し、耐摩耗性が低下する。よって、本発明の程度に酸素量を減らすことは、例えば刃先温度が上昇する切削工具において大きな意味(工具の性能の向上)がある。
【0008】
また、本発明では、ガラス質中に含まれる酸素の一部を結晶化させることにより、耐摩耗性を改善することができる。この理由は、酸素が粒界結晶中に取り込まれることにより、ガラス質粒界相が減少して、硬度が向上し、耐摩耗性が向上するからである。
【0010】
また、本発明では、β−Si3N4と結晶相との割合を、β−Si3N4の最大ピークに対する結晶相の最大ピークの高さの比R(即ちR=0.2以上0.7以下)で示している。なお、β−Si 3 N 4 の最大ピーク(Iβ -Si 3 N 4 、 max )に対する結晶相の最大ピーク(I cr 、 max )の高さの比Rとは、(I cr 、 max /Iβ -Si 3 N 4 、 max )である。
この高さの比Rが0.7以下の場合には、粒界結晶相とガラス質粒界相の量がバランスされ、Si3N4粒子の拘束と結晶相による高硬度化により、後の実験例で示す様に、優れた切削性能を発揮する。
【0011】
請求項2の発明は、主成分が窒化珪素であり且つ理論酸素量が2.0〜2.3重量%となるような配合物に、有機バインダを添加し、加熱して有機バインダを除去した後に(例えば仮焼体の形成)、酸素含有ガスを導入して炭素量が0.1〜0.6重量%になるように設定し(例えば仮焼体の冷却)、その後、これを窒素雰囲気中で1次焼結及び2次焼結の焼結を行って、焼結体中の酸素量を1.2〜1.5重量%とする窒化珪素焼結体の製造方法であって、2次焼結後の1200℃までの冷却速度を、平均20℃/min以下とすることを特徴とする窒化珪素焼結体の製造方法を要旨とする。
【0012】
本発明では、焼結助剤を焼結可能な最低限量添加して、組織を緻密化し、粒界相(ガラス相)と成形体中に残留する炭素を反応させて、粒界相量減少させる。
具体的には、図1に模式的に示す様に、所定量の炭素を含ませた例えば仮焼体を、1次焼結及び2次焼結することにより、その焼結途中にて、炭素と酸素を化合させて二酸化炭素及び一酸化炭素として除去し、緻密な焼結を行うものである。つまり、上述した過程で、緻密化と粒界相の低減とが同時に達成できるので、緻密で耐摩耗性等に優れた窒化珪素焼結体が得られる。
また、本発明では、2次焼結後の1200℃までの冷却速度を、平均20℃/min以下としており、この様に、比較的ゆっくりと冷却することで、結晶化を促進することができる。これにより、結晶体の耐摩耗性が向上する。
【0013】
ここで、前記各量の数値限定の理由を説明する。
▲1▼理論酸素量;2.0〜2.3重量%
この理論酸素量は、焼結助剤量に関したものであり、理論酸素量が2.0重量%を下回ると、緻密化が困難であるからである。また、理論酸素量が2.3重量%を上回ると、粒界相が多すぎ、耐摩耗性が低減するからである。
【0014】
▲2▼炭素量;0.1〜0.6重量%
炭素量が0.1重量%を下回ると、粒界相低減反応が少なく、粒界相量が多く、耐摩耗性が低下するからである。また、炭素量が0.6重量%を上回ると、耐摩耗性が低減するからである。
【0015】
▲3▼酸素量;1.2〜1.5重量%
酸素量が1.2重量%を下回ると、生成する粒界相が少な過ぎ、十分に緻密化できないからである。また、酸素量が1.5重量%を上回ると、耐摩耗性が低減するからである。
【0016】
尚、本発明は、前記請求項1に記載の窒化珪素焼結体の製造方法として好適である。
請求項3の発明は、窒素雰囲気中の焼結を、加圧した状態で行なうことを特徴とする請求項2に記載の窒化珪素焼結体の製造方法を要旨とする。
【0017】
本発明は、窒素雰囲気中の焼結の際の条件を例示したものである。例えば数気圧程度に加圧した状態で、例えば1次焼結を行なう場合には、窒化珪素の分解を抑制できるので、高い温度での焼結が可能になる。しかも、この高い温度での焼結により、後の例えばHIP(熱間静水圧プレス)による2次焼結の際に、ポアを効果的に塞ぐことができる。
【0018】
請求項4の発明は、有機バインダとして、マイクロワックス系有機バインダを用いることを特徴とする請求項2又は3に記載の窒化珪素焼結体の製造方法を要旨とする。
本発明は、有機バインダの種類を例示したものであり、有機バインダとして、マイクロワックス系有機バインダを用いることができる。そして、この有機バインダを用いると、粉末の流動性やプレス体の強度が向上する利点がある。
【0019】
請求項5の発明は、酸素含有ガスの導入を、加熱により有機バインダを除去した後の冷却時に行うことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の窒化珪素焼結体の製造方法を要旨とする。
本発明は、酸素含有ガスの導入のタイミングを例示したものであり、酸素含有ガスを導入を、加熱により有機バインダを除去した後の冷却時に行うと、酸素含有ガスの導入と例えば仮焼後の冷却とを同時に行うことができ、作業工程を簡易化できる。
また、冷却時に酸素含有ガスの導入を行うことにより、仮焼体に効率よく炭素を含ませることができる。更に、導入する酸素含有ガスの状態(例えばその流量)を調節することにより、含ませる炭素量を調節することも容易である。
【0020】
請求項6の発明は、酸素含有ガスとして、大気を用いることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の窒化珪素焼結体の製造方法を要旨とする。
本発明は、酸素含有ガスの種類を例示したものであり、大気を用いることによって、製造工程を簡易化できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の窒化珪素焼結体及びその製造方法の実施の形態の例(実施例)について説明する。
a)まず、本実施例の窒化珪素焼結体の製造方法について説明する。
【0024】
平均粒径1.0μm以下の主成分のα−Si3N4(酸素含有量1.3重量%)と、平均粒径1.0μm以下の焼結助剤のMgO、Al2O3、Yb2O3、Y2O3、Er2O3、CeO2とを、下記表1に示す割合に秤量する。つまり、秤量した配合物中の理論酸素量が2.0〜2.3重量%となるように、材料の割合を設定する。
【0025】
次に、この秤量した材料を、Si3N4製ボール、Si3N4製内壁ポットを用いて、エタノール溶媒にて、96時間混合してスラリーとする。
次に、このスラリーを325メッシュの篩を通し、エタノール溶解したマイクロワックス系の有機バインダを、5.0重量%添加し、スプレードライする。
【0026】
次に、得られた造粒粉末を、ISO規格;SNGN120408形状にプレス成形した後に、加熱装置内に配置して仮焼する。この仮焼は、1気圧に設定された窒素雰囲気中で、600℃で60分加熱して、脱ワックスを行うものである。
更に、この仮焼の冷却時に、脱ワックスを行った成形体中の炭素量が0.1〜0.6重量%となるように、加熱装置内に、下記表1に示す様に、3〜60L/minの空気を導入する。
【0027】
次に、1次焼結を行う。この1次焼結は、3気圧に設定された窒素雰囲気中で、1800〜1900℃で240分加熱して、1次焼結を行うものである。
次に、HIPにより2次焼結を行って、窒化珪素焼結体を完成する。この2次焼結は、1000気圧に設定された窒素雰囲気中で、1600〜1700℃で120分加熱して、2次焼結を行うものである。
【0028】
この2次焼結後に、1200℃までの冷却速度を、平均20℃/min以下(例えば10℃/min)とすることにより、結晶化を促進させる。
そして、上述した1次焼結及び2次焼結により、焼結体中の酸素量を1.2〜1.5重量%とする。
【0029】
尚、原料のα−Si3N4は、この焼結により、β−Si3N4になっていることを、X線回折で確認した。
この様にして得られた本実施例の窒化珪素焼結体は、β−Si3N4を主体とする多結晶焼結体であって、この窒化珪素焼結体中の酸素量が、1.2〜1.5重量%である。また、この焼結体中には、III族酸化物(例えばY2O3)とSiO2,NとからなるIII族酸化物のシリケートやシリコンオキシナイトライドを結晶相に含んでいる。
【0030】
従って、本実施例の窒化珪素焼結体は、後述する様に、緻密な組織を有し、高い硬度、高い破壊靱性、及び高い耐摩耗性等の優れた性質を有するものである。
b)次に、本実施例の窒化珪素焼結体の効果を確認するために行った実験例について説明する。
【0031】
上述した製造方法によって得られた窒化珪素焼結体を、ISO;SNGN120408形状に研磨加工し、試料No.1〜8とした。
また、比較例として、下記表1に示す組成及び条件にて、窒化珪素焼結体を製造し、同様に加工して、試料No.9,10とした。尚、試料No.9,10は、炭素量(残炭素)及び酸素量が、本発明の範囲外である。
【0032】
そして、前記試料No.1〜10に対して、下記▲1▼〜▲5▼の測定や評価を行った。
▲1▼<仮焼後の炭素量(残炭素量)の測定>
仮焼体を、φ1[mm]以下に粉砕し、適量を秤量し、JIS−Z2615に従い、酸素気流中燃焼−赤外線吸収法により定量した。
【0033】
▲2▼<焼結体の酸素量の測定>
焼結体を、φ1[mm]以下に粉砕し、不活性ガス中で、加熱融解し、非分散赤外線吸収法により定量した。
▲3▼<物理特性>
・(有孔度)
試料断面を、鏡面研磨し、金属顕微鏡で観察し、超硬工具協会規格;CIS−006B−1983に従って、有孔度(マイクロポア)分類を行った。
【0034】
・(ビッカース硬度Hv)
圧子押込荷重;30kg、押込時間;15secで、測定を行った。
・(破壊靱性Kc)
JIS R1607に示されるIF法で、測定を行った。
【0035】
▲4▼<切削性能の評価>
下記条件に従って、円筒型鋳鉄被削材の端面を、乾式で連続切削し、20分間加工した後の工具刃先におけるフランク摩耗量VB(図2参照)のうち、その最大摩耗量(VBmax)を測定した。
【0036】
被削材材質;JIS FC200
被削材形状;外径φ240mm×内径φ180mm
切削速度 ;V=300m/min
送り量 ;f=0.34mm/rev
切込み ;d=0.2mm
▲5▼<X線回折によるβ−Si3N4の最大ピークに対する結晶相の最大ピークの高さの比Rの算出>
試料の上面にて、回折角度20゜〜70゜でX線回折を行う。得られたX線チャート上で、β−Si3N4の最大のピーク高さIβ-Si3N4、maxと、β−Si3N4のピーク以外の結晶相(焼結助剤として添加されたIII族酸化物とSiO2,NとからなるIII族酸化物のシリケート及び/又はシリコンオキシナイトライド)の最大ピーク高さ(Icr、max)を測定し、その比R(=Icr、max/Iβ-Si3N4、max)を算出する。
【0037】
具体的には、代表例として、下記の測定を行う。
(1)Y2O3添加の場合
・シリケート
:Y2SiO5(21-1456,21-1458)
:Y4Si3O12(21-1462)
:Y2Si2O7(19-1450,20-1416,21-1457,21-1460,22-1103)など
・シリコンオキシナイトライド
:Y20N4Si12O48(30-1462)
:Y8Si4N4O14(30-1451)など
(2)Yb2O3添加の場合
・シリケート:Yb2Si2O7(25-1345,37-0458-,37-0458,30-1440,
30-1439,30-1438,21-1440)など
(3)CeO2添加の場合
・シリケート:Ce2Si2O7(23-0318)など
(4)Er2O3添加の場合
・シリケート
:Er2Si2O7(25-1416,24-62)
:Er2SiO5(18-493)
・シリコンオキシナイトライド
:Er4Si2N2O7(31-505)
:Er4Si3N4O3(31-506)など
そして、上述した▲1▼〜▲5▼の測定結果を、仮焼の条件(有機バインダを除去するための加熱条件)、仮焼の冷却条件(仮焼体を冷却するために供給する空気流量の条件)、1次焼結の条件(1次焼結の温度条件)及び2次焼結の条件(HIPの際の加熱条件)とともに、下記表2及び下記表3に示した。尚、下記表1でR.Oとは希土類元素酸化物成分を示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
この表1〜表3から明かな様に、本発明の範囲の試料No.1〜8は、主成分の窒化珪素に焼結助剤を添加して理論酸素量が2.0〜2.3重量%の配合物を調製し、その配合物にマイクロワックス系有機バインダを添加して成形品を作成し、その成形品を加熱して有機バインダを除去し(仮焼)、炭素量が0.1〜0.6重量%になるように大気を導入して冷却し、これを窒素雰囲気中で加圧した状態で焼結して(1次焼結)、焼結体中の酸素量を1.2〜1.5重量%とし、その後HIPにより2次焼成して製造したものである。
【0042】
よって、この試料No.1〜8の窒化珪素焼結体は、マイクロポアがA2であり、十分に緻密である。また、その硬度Hvは、1550以上と高く、その破壊靱性Kcは、6.7以上と高い。更に、切削性能に関しても、VBmax摩耗量が0.52mm以下と少なく、十分に耐摩耗性に優れている。また、X線回折のピークの比Rは0.7以下であり、粒界結晶相とガラス質粒界相の量がバランスされ、Si3N4粒子の拘束と結晶相による高硬度化の点で優れている。
【0043】
それに対して、比較例の試料No.9は、空気流量がなく、残炭素量が0.68重量%と多く、よって、窒化珪素焼結体中の酸素量が1.16重量%と少ないので、マイクロポアがA8と緻密性は十分ではない。また、その硬度Hvは、1340と低い。更に、切削時には、欠け(チッピング)が生じ、好ましくない。
【0044】
比較例の試料No.10は、空気流量が100L/minと多く、残炭素量が0.09重量%と少なく、よって、窒化珪素焼結体中の酸素量が1.54重量%と多いので、その硬度Hvは、1430と低い。更に、切削性能に関しては、VBmax摩耗量が0.94mmと多く、耐摩耗性は十分ではない。
【0045】
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で各種の態様で実施できるのは勿論である。
【0046】
【発明の効果】
以上詳述した様に、請求項1の発明では、焼結体中の酸素量が、1.2〜1.5重量%と適切に設定されているので、緻密な組織を有し、その硬度が高く、耐摩耗性及び耐欠損性に優れている。
【0047】
また、本発明では、焼結体中の酸素の一部が、III属元素のシリケート又はシリコンオキシナイトライドの結晶相として存在しているので、耐摩耗性に優れている。
更に、本発明では、X線回折によるβ−Si3N4の最大ピークに対する結晶相の最大ピークの高さの比が、0.2以上0.7以下であるので、一層耐摩耗性に優れている。
【0048】
請求項2の発明では、理論酸素量が2.0〜2.3重量%の配合物に、有機バインダを添加し、加熱して有機バインダを除去した後に、酸素含有ガスを導入して炭素量が0.1〜0.6重量%になるように設定し、その後、これを窒素雰囲気中で1次焼結及び2次焼結の焼結を行って、焼結体中の酸素量を1.2〜1.5重量%とするので、緻密化と粒界相の低減とが同時に達成できる。これにより、緻密で耐摩耗性や耐欠損性等に優れた窒化珪素焼結体が得られる。
また、本発明では、2次焼結後の1200℃までの冷却速度を、平均20℃/min以下としており、この様に、比較的ゆっくりと冷却することで、結晶化を促進することができる。これにより、結晶体の耐摩耗性が向上する。
【0049】
請求項3の発明では、窒素雰囲気中の焼結を、加圧した状態で行なうので、例えば1次焼結を行なう場合には、窒化珪素の分解を抑制でき、そのため、高い温度での焼結が可能になる。しかも、この高い温度での焼結により、後の例えばHIPによる2次焼結の際に、ポアを効果的に塞ぐことができる。
【0050】
請求項4の発明では、有機バインダとして、マイクロワックス系有機バインダを用いることができ、それにより、粉末の流動性やプレス体強度が向上し、プレス成形性が優れるという利点がある。
請求項5の発明では、酸素含有ガスを導入を、加熱により有機バインダを除去した後の冷却時に行うので、酸素含有ガスの導入と例えば仮焼後の冷却とを同時に行うことができ、作業工程を簡易化できる。また、冷却時に酸素含有ガスの導入を行うことにより、仮焼体に効率よく炭素を含ませることができる。更に、導入する酸素含有ガスの状態を調節することにより、含ませる炭素量を調節することも容易である。
【0051】
請求項6の発明では、酸素含有ガスとして、大気を用いることができ、それにより、製造工程を簡易化できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 焼成過程等における組織の変化を示す説明図である。
【図2】 摩耗の状態を示す説明図である。
Claims (6)
- β−Si3N4を主体とする焼結体であって、
該焼結体中の酸素量が、1.2〜1.5重量%であり、
且つ、前記焼結体中の酸素の一部が、III属元素のシリケート又はシリコンオキシナイトライドの結晶相として存在し、
更に、X線回折による前記β−Si3N4の最大ピークの高さに対する前記結晶相の最大ピークの比が、0.2以上0.7以下であることを特徴とする窒化珪素焼結体。 - 主成分が窒化珪素であり且つその理論酸素量が2.0〜2.3重量%となるような配合物に、有機バインダを添加し、加熱して有機バインダを除去した後に、酸素含有ガスを導入して炭素量が0.1〜0.6重量%になるように設定し、その後、これを窒素雰囲気中で1次焼結及び2次焼結の焼結を行って、焼結体中の酸素量を1.2〜1.5重量%とする窒化珪素焼結体の製造方法であって、
前記2次焼結後の1200℃までの冷却速度を、平均20℃/min以下とすることを特徴とする窒化珪素焼結体の製造方法。 - 前記窒素雰囲気中の焼結を、加圧した状態で行なうことを特徴とする請求項2に記載の窒化珪素焼結体の製造方法。
- 前記有機バインダとして、マイクロワックス系有機バインダを用いることを特徴とする前記請求項2又は3に記載の窒化珪素焼結体の製造方法。
- 前記酸素含有ガスの導入を、前記加熱により有機バインダを除去した後の冷却時に行うことを特徴とする前記請求項2〜4のいずれかに記載の窒化珪素焼結体の製造方法。
- 前記酸素含有ガスとして、大気を用いることを特徴とする前記請求項2〜5のいずれかに記載の窒化珪素焼結体の製造方法。
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