JP2001302341A - コーディエライト黒色系緻密焼結体及びその製造法 - Google Patents
コーディエライト黒色系緻密焼結体及びその製造法Info
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Abstract
ど、焼結体が白色を呈し、光の反射・散乱が問題にな
る。また、低熱膨張と言えども、一般には、室温付近の
熱膨張係数がゼロではなく、熱変形において十分とは言
えなかった。本発明は、高い純度であっても光の反射・
散乱を低く押さえられ、室温付近の熱膨張係数が−0.
1〜+0.1×10-6/℃のコーディエライトを提供す
ることを目的とする。 【解決手段】コーディエライトを主結晶とし、且つ、少
なくとも1種類以上のコーディエライト以外の結晶を含
有し、且つ、上記コーディエライト以外の結晶の中に黒
色系に発色する顔料が少なくとも1種類以上は含有し、
室温の熱膨張係数が−0.1〜+0.1×10-6/℃
で、且つ、ヤング率を嵩比重で割った値(ヤング率/嵩
比重)が5×107m2/s2以上であることとした。
Description
工あるいは測定を行う機器の部材に適し、また、色感的
にも優れた、コーディエライト黒色系緻密焼結体及びそ
の製造方法に関するものである。
密化、微細化が急速に進み、これを製造する加工機や測
定機にサブミクロンもしくはそれ以下の精度が要求され
るようになっているが、このような加工機や測定機で
は、支持部材の自重などによる変形や僅かな温度変化に
よる熱変形も問題になってきている。また、これらの精
密機器の運動精度を決定する重要要素の1つに案内面が
あるが、このような、超精密や超微細加工精度あるいは
測定精度が要求されるような分野の案内面には、高位置
決め精度の要求に合わせ、能率化のために、機器の高速
化の強い要求もある。また、これらの精密機器の運動精
度を決定する重要要素の1つに位置センサーがあり、超
精密や超微細加工精度あるいは測定精度が要求される分
野のセンシングには、主としてレーザー光が使用され、
上記レーザー光が当たる面にはミラーが設置されるが、
上記ミラーには反射効率が高いことに合わせ、熱変形を
起こさないことの強い要求もある。また逆に、これら光
源を使用する装置には、光の反射・散乱を嫌う箇所もあ
り、特に白色系の材料をこの箇所に使用する場合には反
射防止を施すこともある。
としては、アルミナ、炭化珪素、窒化珪素などが知られ
ており、これらは、従来から、種々の機械部品や構造用
部材などに用いられ、露光装置の支持部材にも用いられ
てきた。また、熱膨張の小さなセラミックスとしては、
コーディエライト、β−スポジュメン、チタン酸アルミ
ニウム、石英ガラスなどが知られおり、これらは、主と
して、耐熱衝撃性が要求される炉材や調理用器材などに
用いられてきた。
ナを始めとする上記の高強度セラミックスは、いずれ
も、熱膨張係数が1×10-6/℃以上であり、近年の超
精密や超微細加工あるいは測定を行う装置では、僅かな
温度変化による熱変形さえも問題になってきた。また、
コーディエライトを始めとする上記の低熱膨張セラミッ
クスは、いずれも、曲げ強度やヤング率などの機械的特
性が劣っていることから、高強度や高剛性を要求される
機械部品や構造用部材には適していなかった。
る上記の低熱膨張素材は、低熱膨張と言えども、一般に
は、室温付近の熱膨張係数がゼロではなく、近年の超精
密や超微細加工あるいは測定を行う装置用途への対応に
は、熱変形において十分とは言えなかった。
の低熱膨張素材は、特に純度を高くするほど、一般に、
焼結体は白色を呈するため、光の反射・散乱が問題にな
る場合もあった。
記課題を解決するためになされた本発明は、コーディエ
ライトを主結晶とし、且つ、少なくとも1種類以上のコ
ーディエライト以外の結晶を含有し、且つ、上記コーデ
ィエライト以外の結晶の中に黒色系に発色する顔料が少
なくとも1種類以上は含有し、室温の熱膨張係数が−
0.1〜+0.1×10-6/℃で、且つ、ヤング率を嵩
比重で割った値(ヤング率/嵩比重)が5×107m2/
s2以上であることを特徴とするコーディエライト黒色
系緻密焼結体であることを特徴とする。
10-6/℃とすることにより、±1℃の温度変化があっ
た場合にも、熱膨張による変位は±0.1ppm以下に
抑えられ、極めて高い加工精度または測定精度が保たれ
るようになる。
107m2/s2以上にすることにより、支持部材の自重
などによる変形も少なく、案内面の高速、高位置決め精
度の要求も良好となる。ここで、ヤング率を嵩比重で割
った値は、例えば、ヤング率が370GPa(=370
×109kg/m・s2)で、嵩比重が3.9(=3.9
×103kg/m3)の場合には、9.5×107m2/s
2と計算される。
高いほど好ましく、支持部材の自重による変形は少なく
なり、また、案内面の位置決め性能は向上しするが、5
×107m2/s2以上であれば、比較的良好な性能が出
せると計算された。ちなみに、ヤング率を嵩比重で割っ
た値を、従来から構造部材に使用されている高純度アル
ミナや、純度約87%のアルミナで見ると、各々、約
9.5×107m2/s2、及び、約7×107m2/s2と
なり、これらと比べると、本特許のコーディエライト緻
密焼結体は劣るが、炭素鋼やステンレス鋼が約2.5×
107m2/s2、また、グラナイトが2×107m2/s2
程度であり、これらと比べると、本発明のコーディエラ
イト緻密焼結体ははるかに優れている。
が吸収され、反射・散乱を抑えることができる。また、
黒色系部材の方が白色系より、色感的に頑強なイメージ
を与えられることから、好まれる場合もある。
し、黒色に近いほど反射率が小さくなり好ましいが、完
全な黒色でなくとも、黒色に近い色調であれば良く、通
常の用途では、L*a*b*表色系のL*(エルスター)が
50以下であれば、反射、散乱は抑えられ、問題のない
ことを確認している。また、色感的には、完全な黒色よ
り、多少暖かみのある、ダークグレー、ダークグリーン
が好まれる場合も多い。
色系に発色する顔料を、成分の中に少なくとも鉄が含ま
れる酸化物とし、上記黒色系に発色する顔料の量を焼結
体の1〜10重量%にすることが重要である。
3に示すように、黒色系に発色する顔料を、成分の中に
少なくとも鉄とクロムとコバルトが含まれる酸化物と
し、上記黒色系に発色する顔料の量を焼結体の1〜10
重量%にすることである。鉄のみでも黒色系になるが、
鉄に加えてクロムとコバルトを加えることにより、より
安定したスピネル結晶が形成され、安定した色調が出せ
る。しかし、鉄とクロムのみで、コバルトを入れない場
合には茶色系になり、色感的に好ましくない。
結体の1重量%未満の場合には、L *(エルスター)が
50以上になり、また、10重量%以上になると、熱膨
張係数が+0.1以上になり、共に好ましくない。な
お、黒色系に発色する顔料の量を多くするほど、L*が
小さくなる(黒に近づく)が、ヤング率を嵩比重で割っ
た値は多少下がってくる。よって、黒色系に発色する顔
料の量の、より好ましい範囲は、焼結体の1.5〜5重
量%である。
結体の相対密度が94%以上であることが、ヤング率を
嵩比重で割った値を5×107m2/s2以上にするため
に重要である。
嵩比重で割った値は大きくなり、焼結体の相対密度が9
4%以上であれば、通常、5×107m2/s2以上にな
る。
温の熱膨張係数が−0.1〜+0.1×10-6/℃で、
且つ、ヤング率を嵩比重で割った値を5×107m2/s
2以上にしたことに加えて、焼結体の相対密度が99.
5%以上であるコーディエライト緻密焼結体が、ミラー
などの用途には特に好ましい。
ことにより、加工後の表面粗さを小さくすることがで
き、表面にアルミニウムや銀などの反射膜をコーティン
グすれば、高い反射率を有する、ミラーに適した材料が
供給できるようになる。また、ヤング率を嵩比重で割っ
た値も大きくなるため、支持部材の自重などによる変形
はさらに少なくなり、案内面の運動をさらに高速化でき
るようになる。
0.1×10-6/℃で、且つ、ヤング率を嵩比重で割っ
た値を5×107m2/s2以上にする方法として、本発
明の請求項7に示すように、焼結体の熱膨張係数が室温
で負の値を持つコーディエライト粉末に、熱膨張係数が
室温で正の値を持つコーディエライト以外の粉末を、少
なくとも1種類以上混合し、且つ、上記コーディエライ
ト以外の粉末のうち、少なくとも1種類以上は黒色系に
発色する顔料の粉末とし、焼結体の熱膨張係数が室温で
−0.1〜+0.1×10-6/℃になるように調節し、
且つ、焼結体の相対密度が94%以上になるよう焼成温
度を調節して焼成する方法が良い。
の相対密度が94%以上の緻密焼結体にすれば、ヤング
率を嵩比重で割った値は、通常、5×107m2/s2以
上にはなるが、室温の熱膨張係数は、通常、−0.1×
10-6/℃以下になる。一方、純度の劣るコーディエラ
イト粉末を用いた場合の焼結体は、ガラス相が多くなっ
たり、例えばスピネルやエンスタタイトなどコーディエ
ライト以外の結晶相が生成し、室温の熱膨張係数が+
0.1×10-6/℃以上になるケースも多く、また、ガ
ラス相の多いものでは、ヤング率を嵩比重で割った値が
5×107m2/s 2以下になるケースも多い。
結体の相対密度が94%以上のコーディエライト焼結体
を、相対密度が99.5%以上になるように、温度、圧
力を調節して熱間等方圧加圧(HIP)することによ
り、ミラー用途には特に好ましいコーディエライト緻密
焼結体が提供できる。
カプセルフリーの熱間等方圧加圧では、相対密度を9
9.5%以上にすることはできなかった。
イト粉末は、焼結体の熱膨張係数が室温で負の値を持つ
ように、純度の高いコーディエライト結晶であることが
重要である。このため、組成は、酸化珪素(SiO2)
50〜53重量%、酸化アルミニウム(Al2O3)33
〜36重量%、酸化マグネシウム(MgO)13〜15
重量%の範囲にする。
末を用いた焼結体は、室温の熱膨張係数が、通常、−
0.1×10-6/℃以下になり、また、同コーディエラ
イト焼結体で、相対密度を94%以上にした場合には、
ヤング率を嵩比重で割った値が、通常、5×107m2/
s2以上の値になる。
0.1×10-6/℃の範囲内に入れ、且つ、ヤング率を
嵩比重で割った値は5×107m2/s2以上を維持させ
るために、室温の熱膨張係数が正で、比較的ヤング率の
高い、コーディエライト以外の粉末を少なくとも1種類
以上含有させる。
粉末の中に、黒色系に発色する顔料を少なくとも1種類
以上は含有させる。ここで、コーディエライト以外に含
有させる結晶としては、上記の黒色系に発色する顔料の
みでも良く、また、黒色系に発色する顔料と、例えば、
ジルコン、ジルコニア、アルミナなどの粉末を組合せて
も良いが、焼結を著しく阻害するものや、焼成中にガラ
ス相を多く形成するものは好ましくない。このうち、コ
ーディエライトと黒色系に発色する顔料以外に加える粉
末としては、特にジルコンが適していた。
分の中に、少なくとも鉄が含まれる酸化物、さらに好ま
しくは、少なくとも鉄とクロムとコバルトが含まれる酸
化物である。黒色系に発色する顔料の量は、コーディエ
ライト以外に含有させる粉末を、上記の黒色系に発色す
る顔料のみにした場合でも、最大で10重量%であり、
また、ジルコンなどの他の粉末と合わせて加える場合に
は、室温の熱膨張係数が−0.1〜+0.1×10-6/
℃に入るよう、黒色系に発色する顔料の量を減らし調節
する。
黒色系に発色する顔料粉末の形態は、例えば、コーディ
エライト粉末との混合時に、酸化鉄と酸化クロムと酸化
コバルトの3種類の粉末を加えても良く、また、あらか
じめ酸化鉄と酸化クロムと酸化コバルトの粉末を混合仮
焼して、鉄・クロム・コバルトのスピネル結晶にした粉
末を加えても良い。
えてクロムとコバルトを加えることにより、より安定し
たスピネル結晶が形成され、安定した色調が出せる。し
かし、成分が鉄とクロムのみで、コバルトを入れない場
合には茶色系になり、色感的に好ましくない。なお、鉄
とクロムとコバルト成分の好ましい比率は、Fe2O3:
Cr2O3:CoOの重量%で、35〜65:10〜5
0:5〜40程度である。上記比率よりコバルトが多い
場合には青色系に、また、少ない場合には茶色系に近づ
き、色感的には好ましくない。
いは、鉄とクロムとコバルト以外に、例えば、ニッケル
やマンガンなどの着色成分を加えても良く、これらも微
量であれば焼結体は黒色系となる。
イト粉末と黒色系顔料などを秤量し、ボールミルやアト
ライタなどで混合・粉砕する。
レス成形、押出し成形、射出成形、鋳込成形などによっ
て所望の形状に成形され、その後、必要に応じて、生加
工や仮焼加工などを経て、焼結体の相対密度が94%以
上になるような適当な温度で焼成する。
いような材料が要求される場合など、必要に応じ、上記
のコーディエライト緻密焼結体を、適当な温度、圧力で
熱間等方圧加圧すれば、焼結体の相対密度が99.5%
以上にすることもできる。
2が51重量%、Al2O3が35重量%、MgOが14
重量%で、ほとんど全てがコーディエライト結晶から成
る粉末に、表1のNo.3〜12ように、Fe2O3、及
び、Fe2O3−Cr2O3−CoO系の顔料粉末を1〜1
3重量%添加した混合粉末を、ボールミルで湿式混合粉
砕した。上記の各スラリーをスプレードライヤーで乾燥
造粒した後、各造粒粉をプレス成形し、焼結体の相対密
度が約98%になる温度まで大気中で焼成した。各焼成
体は、13〜33℃の範囲における室温の熱膨張係数を
レーザー測長式の熱膨張計で、ヤング率を曲げ共振法
で、また、嵩比重をアルキメデス法で、各々測定した。
Cr2O3−CoO系の顔料粉末を1〜10重量%加えた
場合には、焼成体の呈色が黒またはダークグレー、ダー
クグリーンとなり、室温の熱膨張係数を−0.1〜+
0.1×10-6/℃に入れることができた。なお、顔料
の添加率が増えるほど、L*は下げられるが、ヤング率
を嵩比重で割った値は多少下がる傾向があった。
表1のNo.13〜14ように、Fe2O3−Cr2O3−
CoO系の顔料粉末と、さらに加えて、ジルコン粉末添
加した混合粉末を、実施例1と同様な方法で、焼結体を
得た。これも、表2に示すように、焼結体は黒に近い色
を呈した、室温の熱膨張係数がほぼゼロの焼結体を作る
ことができ、また、コーディエライト粉末に顔料のみを
加えた場合と比べて、ヤング率を嵩比重で割った値は高
くすることができた。
体を、1000気圧、1300℃のアルゴン雰囲気中
で、カプセルフリーの熱間等方圧加圧(HIP)を行っ
た場合を示した。HIPにより相対密度99.5%以上
の焼結体が得られ、ヤング率を嵩比重で割った値も大き
くなった。
室温付近の熱膨張係数がゼロに極めて近く、且つ、ヤン
グ率を嵩比重で割った値が比較的大きい、コーディエラ
イト黒色系緻密焼結体が製造できるため、熱変形や自重
変形などがほとんどなく、且つ、光の反射・散乱のほと
んどない、特に、超精密や超微細加工あるいは測定を行
う機器の部材に適した素材が提供できるようになる。
Claims (7)
- 【請求項1】 コーディエライトを主結晶とし、且つ、
少なくとも1種類以上のコーディエライト以外の結晶を
含有し、且つ、上記コーディエライト以外の結晶の中に
黒色系に発色する顔料が少なくとも1種類以上は含有
し、室温の熱膨張係数が−0.1〜+0.1×10-6/
℃で、且つ、ヤング率を嵩比重で割った値(ヤング率/
嵩比重)が5×107m2/s2以上であることを特徴と
するコーディエライト黒色系緻密焼結体。 - 【請求項2】 請求項1記載の黒色系に発色する顔料を
成分の中に少なくとも鉄が含まれる酸化物とし、上記黒
色系に発色する顔料の量を焼結体の1〜10重量%にす
ることを特徴とするコーディエライト黒色系緻密焼結
体。 - 【請求項3】 請求項1記載の黒色系に発色する顔料を
成分の中に少なくとも鉄とクロムとコバルトが含まれる
酸化物とし、上記黒色系に発色する顔料の量を焼結体の
1〜10重量%にすることを特徴とするコーディエライ
ト黒色系緻密焼結体。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のコーデ
ィエライト緻密焼結体において、加えて、焼結体の相対
密度が94%以上であることを特徴とするコーディエラ
イト黒色系緻密焼結体。 - 【請求項5】 請求項1〜3のいずれかに記載のコーデ
ィエライト緻密焼結体において、加えて焼結体の相対密
度が99.5%以上であることを特徴とするコーディエ
ライト黒色系緻密焼結体。 - 【請求項6】 焼結体の熱膨張係数が室温で負の値を持
つコーディエライト粉末に、熱膨張係数が室温で正の値
を持つコーディエライト以外の粉末を、少なくとも1種
類以上混合し、且つ、上記コーディエライト以外の粉末
のうち、少なくとも1種類以上は黒色系に発色する顔料
の粉末とし、焼結体の熱膨張係数が室温で−0.1〜+
0.1×10-6/℃になるように調節し、且つ、焼結体
の相対密度が94%以上になるよう焼成温度を調節して
焼成することを特徴とするコーディエライト黒色系緻密
焼結体の製造方法。 - 【請求項7】 請求項6記載のコーディエライト緻密焼
結体を、焼結体の相対密度が99.5%以上になるよう
に、温度、圧力を調節して熱間等方圧加圧することを特
徴とするコーディエライト緻密焼結体の製造方法。
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