JP2006123532A - 多層パイプ - Google Patents

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Abstract

【課題】 ガスバリア性、耐延伸変形性、熱収縮追随性、成形加工性に優れた多層パイプを提供すること。
【解決手段】 下記(1)式で示される側鎖に1,2−グリコール結合を有する構造単位を含有するエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)の層を少なくとも1層含んでなる。
【化1】
Figure 2006123532

(ここで、Xは結合鎖であってエーテル結合を除く任意の結合鎖で、R1〜R4はそれぞれ独立して任意の置換基であり、nは0または1を表す。)

Description

本発明は、多層パイプに関し、更に詳しくは、ガスバリア性、耐延伸変形性、熱収縮追随性、成形加工性に優れた多層パイプに関する。
従来より、温水循環法によるセントラルヒーティング、特にフロアヒーティング設備に用いられる温水パイプとしては、鉄製や銅製などのパイプが多用されていた。しかし最近は、価格面、施工面などのメリットから、金属製パイプに代えてポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の樹脂製のパイプが使用されるようになってきた。
ところが、かかる樹脂製のパイプの場合は、かかる樹脂に充分な酸素バリア性がないため、パイプ内の温水に酸素が多量に侵入して、熱交換器やポンプ等の金属製の部品を腐蝕させる恐れがある。
そこで、かかる酸素の侵入を防止するために、ガスバリア性に優れたエチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、EVOHと略記する)を用いた多層パイプが提案されてきた。
しかし、EVOHはポリエチレンやポリブテンのようなポリオレフィン系樹脂に比べて非常に剛直な樹脂であるため、以下のような問題が発生することがあった。
(1)多層パイプを設置する際に、拡張治具を用いてパイプの内径を広げて、パイプ同士やポンプなどに接続する作業を低温下や乾燥雰囲気下で行った場合に、内径を広げる際にEVOH層にクラックを生じて、ガスバリア性が低下することがある。(耐延伸変形性の不足)。
(2)多層パイプには、温水が流れる場合とそうでない場合とで温度変化が生じるのであるが、その温度変化によるポリオレフィン系樹脂の収縮(寸法変化)にEVOHが追従できず、長期間の使用中にEVOH層にクラックが発生し、酸素バリア性が低下することがある。特に多層パイプの極度に曲がった部位において、クラックが発生しやすくなる(熱収縮追随性の不足)。
また、(3)EVOHは他の汎用樹脂と比較して熱的安定性が不足するためか、特に最外層で使用し、トラブル等によって一時的に加工を中断した場合、再度、加工を始める際にスジや異物が発生し、良品となるまでに時間がかかり、多くのロスを出す場合があった。
かかる解決策として、EVOHとエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体からなる樹脂組成物層/接着剤層/ポリブテン又は架橋ポリオレフィン層の層構成よりなる多層パイプ(例えば、特許文献1参照。)や、EVOH、ポリアミド樹脂、オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体又はその金属塩および特定の溶解性パラメーターを有する熱可塑性樹脂からなる樹脂組成物層を有する多層パイプ(例えば、特許文献2。)が提案されており、本出願人も、EVOH、特定の引張破壊伸びを示す熱可塑性樹脂、フェノール系化合物、リン系化合物又はアミン系化合物からなる樹脂組成物層を含む多層パイプ(例えば、特許文献3。)や特定の融点を有するポリアミドとアミド基含有酸化防止剤を含有したEVOHからなる樹脂組成物を含む多層パイプ(例えば、特許文献4。)を提案した。
特開平10−230555号公報 特開2000−249263号公報 特開平11−12398号公報 特開2003−97772号公報
しかしながら、特許文献1及び2に開示の技術では、耐延伸変形性については不充分であり、またパイプの成形性についても改善の余地があることが分かり、さらに特許文献3の開示技術でも、熱収縮追随性については改善効果が大きいものの、耐延伸変形性については改善の余地があることがわかった。また、特許文献4の開示技術においては、熱収縮追随性に関して大きな改善効果が見られているが、目視では確認できないような微小クラックでかつ、バリア性能に影響するクラックに関しては考慮されていないことが判明した。また、成形加工性に関してもロングラン加工を行った際の目やにの発生状況を評価しているのみで、加工を一時的に中断した後の、再立ち上げ時のスジや異物の発生に関しては何の評価もされていないことが判明した。
そこで、本発明者らは、上記の問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、下記の構造単位(1)を含有するEVOHを少なくとも1層含む多層パイプが、ガスバリア性、耐延伸変形性、熱収縮追随性、成形加工性に優れることを見出して本発明を完成するに至った。
Figure 2006123532
(ここで、Xは結合鎖であってエーテル結合を除く任意の結合鎖で、R1〜R4はそれぞれ独立して任意の置換基であり、nは0または1を表す。)
本発明においては、上記の構造単位(1)を0.1〜30モル%含有すること、さらに酸化防止剤を含有し、その含有量が0.01〜3重量%であること、さらに、酸化防止剤がアミド基含有酸化防止剤であること、ホウ素化合物をホウ素換算で0.001〜1重量部含有すること等が好ましい実施態様である。
本発明の多層パイプは、側鎖に1,2−グリコール結合を有する構造単位を含有するEVOHの層を少なくとも1層含んでおり、ガスバリア性、耐延伸変形性、熱収縮追随性、成形加工性に優れ、冷水、温水又は熱水の供給・循環・排出用、燃料輸送用、インク輸送用、溶剤輸送用等各種の液体や気体用のパイプとして有用で、広範囲の用途に使用することが可能であり、特にフロアヒーティングやセントラルヒーティングなどにおける温水や熱水の循環用パイプ用途に用いることが好ましい。
以下に、本発明を詳細に述べる。
本発明で用いられるEVOH(A)は、上記の構造単位(1)、すなわち側鎖に1,2−グリコール結合を有する構造単位を含有するもので、上記の構造単位(1)において、その分子鎖と1,2−グリコール結合構造とを結合する結合鎖(X)に関しては、エーテル結合を除くいずれの結合鎖を適用することも可能で、その結合鎖としては特に限定されないが、アルキレン、アルケニレン、アルキニレンの他、フェニレン、ナフチレン等の炭化水素(これらの炭化水素はフッ素、塩素、臭素等のハロゲン等で置換されていても良い)の他、−CO−、−COCO−、−CO(CH2mCO−、−CO(C64)CO−、−S−、−CS−、−SO−、−SO2−、−NR−、−CONR−、−NRCO−、−CSNR−、−NRCS−、−NRNR−、−HPO4−、−Si(OR)2−、−OSi(OR)2−、−OSi(OR)2O−、−Ti(OR)2−、−OTi(OR)2−、−OTi(OR)2O−、−Al(OR)−、−OAl(OR)−、−OAl(OR)O−、等があげられるが(Rは各々独立して任意の置換基であり、水素原子、アルキル基が好ましく、またmは自然数である)、エーテル結合は溶融成形時に分解し、熱溶融安定性が低下する点で好ましくない。その中でも熱溶融安定性の点では結合種としてはアルキレンが好ましく、さらには炭素数が5以下のアルキレンが好ましい。また、ガスバリア性能が良好となる点で、炭素数はより少ないものが好ましく、n=0である1,2−グリコール結合構造が直接、分子鎖に結合している構造が最も好ましい。また、R1〜R4に関しては任意の置換基であり、とくに限定されないが水素原子、アルキル基がモノマーの入手が容易である点で好ましく、さらには水素原子がガスバリア性が良好である点で好ましい。
本発明に使用されるEVOH(A)の製造方法については特に限定されないが、最も好ましい構造である主鎖に直接1,2−グリコール結合構造を結合した構造単位を例とすると、3,4−ジオール−1−ブテン、ビニルエステル系モノマーおよびエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法、3,4−ジアシロキシ−1−ブテン、ビニルエステル系モノマーおよびエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法、3−アシロキシ−4−オール−1−ブテン、ビニルエステル系モノマーおよびエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法、4−アシロキシ−3−オール−1−ブテン、ビニルエステル系モノマーおよびエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法、3,4−ジアシロキシ−2−メチル−1−ブテン、ビニルエステル系モノマーおよびエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法、2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン、ビニルエステル系モノマーおよびエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法、およびビニルエチレンカーボネート、ビニルエステル系モノマーおよびエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化、脱炭酸する方法があげられる。また、結合鎖(X)としてアルキレンを有するものとしては4,5−ジオール−1−ペンテンや4,5−ジアシロキシ−1−ペンテン、4,5−ジオール−3−メチル−1−ペンテン、4,5−ジオール−3−メチル−1−ペンテン、5,6−ジオール−1−ヘキセン、5,6−ジアシロキシ−1−ヘキセン等とビニルエステル系モノマーおよびエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法があげられるが、3,4−ジアシロキシ−1−ブテン、ビニルエステル系モノマーおよびエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法が共重合反応性に優れる点で好ましく、さらには3,4−ジアシロキシ−1−ブテンとして、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを用いることが好ましい。また、これらのモノマーの混合物を用いてもよい。また、少量の不純物として3,4−ジアセトキシ−1−ブタンや1,4−ジアセトキシ−1−ブテン、1,4−ジアセトキシ−1−ブタン等を含んでいても良い。また、かかる共重合方法について以下に説明するが、これに限定されるものではない。
なお、かかる3,4−ジオール−1−ブテンとは、下記(2)式、3,4−ジアシロキシ−1−ブテンとは、下記(3)式、3−アシロキシ−4−オール−1−ブテンは下記(4)式、4−アシロキシ−3−オール−1−ブテンは下記(5)式で示されるものである。
Figure 2006123532
Figure 2006123532
(ここで、Rはアルキル基であり、好ましくはメチル基である。)
Figure 2006123532
(ここで、Rはアルキル基であり、好ましくはメチル基である。)
Figure 2006123532
(ここで、Rはアルキル基であり、好ましくはメチル基である。)
なお、上記の(2)式で示される化合物は、イーストマンケミカル社から、上記(3)式で示される化合物はイーストマンケミカル社やアクロス社の製品を市場から入手することができる。
また、ビニルエステル系モノマーとしては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられるが、経済的にみて中でも酢酸ビニルが好ましく用いられる。
3,4−ジアシロキシ−1−ブテン等と、ビニルエステル系モノマー及びエチレンを共重合するに当たっては、特に制限はなく、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、分散重合、またはエマルジョン重合等の公知の方法を採用することができるが、通常は溶液重合が行われる。
共重合時のモノマー成分の仕込み方法としては特に制限されず、一括仕込み、分割仕込み、連続仕込み等任意の方法が採用される。
また、共重合体中にエチレンを導入する方法としては通常のエチレン加圧重合を行えばよく、その導入量はエチレンの圧力によって制御することが可能であり、目的とするエチレン含有量により一概にはいえないが、通常は25〜80kg/cm2の範囲から選択される。
かかる共重合で用いられる溶媒としては、通常、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコールやアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等が挙げられ、工業的には、メタノールが好適に使用される。
溶媒の使用量は、目的とする共重合体の重合度に合わせて、溶媒の連鎖移動定数を考慮して適宜選択すればよく、例えば、溶媒がメタノールの時は、S(溶媒)/M(モノマー)=0.01〜10(重量比)、好ましくは0.05〜7(重量比)程度の範囲から選択される。
共重合に当たっては重合触媒が用いられ、かかる重合触媒としては、例えばアゾビスイソブチロニトリル、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリル等の公知のラジカル重合触媒やt−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、α,α’ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3,−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート等のパーオキシエステル類、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−iso−プロピルパーオキシジカーボネート]、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、ジイソブチリルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類などの低温活性ラジカル重合触媒等が挙げられ、重合触媒の使用量は、触媒の種類により異なり一概には決められないが、重合速度に応じて任意に選択される。例えば、アゾビスイソブチロニトリルや過酸化アセチルを用いる場合、ビニルエステル系モノマーに対して10〜2000ppmが好ましく、特には50〜1000ppmが好ましい。
また、共重合反応の反応温度は、使用する溶媒や圧力により40℃〜沸点程度の範囲から選択することが好ましい。
本発明では、上記触媒とともにヒドロキシラクトン系化合物またはヒドロキシカルボン酸を共存させることも好ましく、該ヒドロキシラクトン系化合物としては、分子内にラクトン環と水酸基を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、L−アスコルビン酸、エリソルビン酸、グルコノデルタラクトン等を挙げることができ、好適にはL−アスコルビン酸、エリソルビン酸が用いられ、また、ヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸等を挙げることができ、好適にはクエン酸が用いられる。
かかるヒドロキシラクトン系化合物またはヒドロキシカルボン酸の使用量は、回分式及び連続式いずれの場合でも、酢酸ビニル100重量部に対して0.0001〜0.1重量部(さらには0.0005〜0.05重量部、特には0.001〜0.03重量部)が好ましく、かかる使用量が0.0001重量部未満では共存の効果が十分に得られないことがあり、逆に0.1重量部を越えると酢酸ビニルの重合を阻害する結果となって好ましくない。かかる化合物を重合系に仕込むにあたっては、特に限定はされないが、通常は低級脂肪族アルコールや酢酸ビニルを含む脂肪族エステルや水等の溶媒又はこれらの混合溶媒で希釈されて重合反応系に仕込まれる。
なお、3,4−ジアシロキシ−1−ブテン等の共重合割合は特に限定されないが、前述の構造単位(1)の導入量に合わせて共重合割合を決定すればよい。
また、本発明では、上記の共重合時に本発明の効果を阻害しない範囲で共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合していてもよく、かかる単量体としては、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいは炭素数1〜18のモノまたはジアルキルエステル類、アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のアクリルアミド類、メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のメタクリルアミド類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類、アクリルニトリル、メタクリルニトリル等のシアン化ビニル類、炭素数1〜18のアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテル等のビニルエーテル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル類、ビニルシラン類、酢酸アリル、塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコール、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、グリセリンモノアリルエーテル、エチレンカーボネート等が挙げられる。
さらに、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、2−アクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−メタクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、メタアリルトリメチルアンモニウムクロライド、3−ブテントリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ジエチルジアリルアンモニウムクロライド等のカチオン基含有単量体、アセトアセチル基含有単量体等も挙げられる。
さらにビニルシラン系化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルイソブチルジメトキシシラン、ビニルエチルジメトキシシラン、ビニルメトキシジブトキシシラン、ビニルジメトキシブトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメトキシジヘキシロキシシラン、ビニルジメトキシヘキシロキシシラン、ビニルトリヘキシロキシシラン、ビニルメトキシジオクチロキシシラン、ビニルジメトキシオクチロキシシラン、ビニルトリオクチロキシシラン、ビニルメトキシジラウリロキシシラン、ビニルジメトキシラウリロキシシラン、ビニルメトキシジオレイロキシシラン、ビニルジメトキシオレイロキシシラン等を挙げることができる。
得られた共重合体は、次いでケン化されるのであるが、かかるケン化にあたっては、上記で得られた共重合体をアルコール又は含水アルコールに溶解された状態で、アルカリ触媒又は酸触媒を用いて行われる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、tert−ブタノール等が挙げられるが、メタノールが特に好ましく用いられる。アルコール中の共重合体の濃度は系の粘度により適宜選択されるが、通常は10〜60重量%の範囲から選ばれる。ケン化に使用される触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート、リチウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触媒、硫酸、塩酸、硝酸、メタスルフォン酸、ゼオライト、カチオン交換樹脂等の酸触媒が挙げられる。
かかるケン化触媒の使用量については、ケン化方法、目標とするケン化度等により適宜選択されるが、アルカリ触媒を使用する場合は通常、ビニルエステル系モノマー及び3,4−ジアシロキシ−1−ブテン等の合計量に対して0.001〜0.1当量、好ましくは0.005〜0.05当量が適当である。
また、ケン化時の圧力は目的とするエチレン含有量により一概に言えないが、2〜7kg/cm2の範囲から選択され、このときの温度は80〜150℃、好ましくは100〜130℃から選択される。
かくして、本発明に使用される側鎖に1,2−グリコール結合を有する構造単位を含有するEVOH(A)が得られるのであるが、本発明においては、得られたEVOHのエチレン含有量やケン化度は、特に限定されないが、エチレン含有量が10〜60モル%(さらには20〜50モル%、特には25〜48モル%)、ケン化度が90モル%以上(さらには95モル%以上、特には99モル%以上)のものが好適に用いられ、該エチレン含有量が10モル%未満では耐延伸変形性や耐クラック性が低下する傾向にあり、逆に60モル%を越えるとパイプのガスバリア性が低下する傾向にあり、さらにケン化度が90モル%未満でもガスバリア性が低下する傾向にあり好ましくない。
さらに、得られたEVOH(A)中に導入される1,2−グリコール結合を有する構造単位量としては特に制限はされないが、0.1〜30モル%(さらには0.5〜20モル%、特には1〜15モル%)が好ましく、かかる導入量が0.1モル%未満では本発明の効果が十分に発現されず、逆に30モル%を越えるとガスバリア性が低下する傾向にあり好ましくない。また、1,2−グリコール結合を有する構造単位の導入量を調整するにあたっては、1,2−グリコール結合を有する構造単位の導入量の異なる少なくとも2種のEVOHをブレンドして調整することも可能でり、また、そのうちの少なくとも1種が1,2−グリコール結合を有する構造単位を有していなくても構わない。
このようにして1,2−グリコール結合量が調整されたEVOHに関しては、1,2−グリコール結合量は重量平均で算出しても差し支えなく、またそのエチレン含有量についても重量平均で算出させても差し支えないが、正確には後述する1H−NMRの測定結果より、エチレン含有量、1,2−グリコール結合量を算出することができる。
また、本発明で使用されるEVOH(A)は、構造単位(1)を含有するEVOHとこれと異なる他のEVOHのブレンド物であることもガスバリア性を良好とする点で好ましく、かかる他のEVOHとしては、構造単位が異なるもの、エチレン含有量が異なるもの、ケン化度が異なるもの、分子量が異なるものなどを挙げることができる。
構造単位(1)を有するEVOHと構造単位が異なるEVOHとしては、例えばエチレン構造単位とビニルアルコール構造単位のみからなるEVOHや、EVOHの側鎖に2−ヒドロキシエトキシ基などの官能基を有する変性EVOHを挙げることができる。
また、エチレン含有量が異なるものを用いる場合、その構造単位は同じであっても異なっていても良いが、そのエチレン含有量差は1モル%以上(さらには2モル%以上、特には2〜20モル%)であることが好ましい。かかるエチレン含有量差が大きすぎると透明性が不良となる場合があり、好ましくない。
また、異なる2種以上のEVOH(ブレンド物)の製造方法は特に限定されず、例えばケン化前のEVAの各ペーストを混合後ケン化する方法、ケン化後の各EVOHのアルコールまたは水とアルコールの混合溶媒に溶解させた溶液を混合する方法、各EVOHをペレット状、または粉体で混合した後、溶融混練する方法などが挙げられる。
かかる方法で得られた構造単位(1)を有するEVOH(A)はそのままで用いることもできるが、さらに、本発明の目的を阻害しない範囲において、酢酸、リン酸等の酸類やそのアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属等の金属塩、あるいはホウ素化合物としてホウ酸またはその金属塩を含有させることがEVOHの熱安定性を向上させる点で好ましい。
酢酸の含有量としてはEVOH100重量部に対して0.001〜1重量部(さらには0.005〜0.2重量部、特には0.010〜0.1重量部)とすることが好ましく、かかる含有量が0.001重量部未満ではその含有効果が十分に得られないことがあり、逆に1重量部を越えるとパイプのガスバリア性が低下したり、成形時の安定性が低下する傾向にあり好ましくない。
ホウ酸金属塩としてはホウ酸カルシウム、ホウ酸コバルト、ホウ酸亜鉛(四ホウ酸亜鉛,メタホウ酸亜鉛等)、ホウ酸アルミニウム・カリウム、ホウ酸アンモニウム(メタホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、八ホウ酸アンモニウム等)、ホウ酸カドミウム(オルトホウ酸カドミウム、四ホウ酸カドミウム等)、ホウ酸カリウム(メタホウ酸カリウム、四ホウ酸カリウム、五ホウ酸カリウム、六ホウ酸カリウム、八ホウ酸カリウム等)、ホウ酸銀(メタホウ酸銀、四ホウ酸銀等)、ホウ酸銅(ホウ酸第2銅、メタホウ酸銅、四ホウ酸銅等)、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等)、ホウ酸鉛(メタホウ酸鉛、六ホウ酸鉛等)、ホウ酸ニッケル(オルトホウ酸ニッケル、二ホウ酸ニッケル、四ホウ酸ニッケル、八ホウ酸ニッケル等)、ホウ酸バリウム(オルトホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウム、二ホウ酸バリウム、四ホウ酸バリウム等)、ホウ酸ビスマス、ホウ酸マグネシウム(オルトホウ酸マグネシウム、二ホウ酸マグネシウム、メタホウ酸マグネシウム、四ホウ酸三マグネシウム、四ホウ酸五マグネシウム等)、ホウ酸マンガン(ホウ酸第1マンガン、メタホウ酸マンガン、四ホウ酸マンガン等)、ホウ酸リチウム(メタホウ酸リチウム、四ホウ酸リチウム、五ホウ酸リチウム等)などの他、ホウ砂、カーナイト、インヨーアイト、コトウ石、スイアン石、ザイベリ石等のホウ酸塩鉱物などが挙げられ、好適にはホウ砂、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等)があげられる。またホウ素化合物の含有量としては、EVOH100重量部に対してホウ素換算で0.001〜1重量部(さらには0.002〜0.2重量部、特には0.005〜0.1重量部)とすることが好ましく、かかる含有量が0.001重量部未満ではその含有効果が十分に得られないことがあり、逆に1重量部を越えると得られるパイプ中のEVOH層の厚みが安定しない傾向にあり好ましくない。
また、かかる金属塩としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等の、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリル酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸等の有機酸や、硫酸、亜硫酸、炭酸、リン酸等の無機酸の金属塩が挙げられ、好適には酢酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩である。また、該金属塩の含有量としては、EVOH100重量部に対して金属換算で0.0005〜0.1重量部(さらには0.001〜0.05重量部、特には0.002〜0.03重量部)とすることが好ましく、かかる含有量が0.0005重量部未満ではその含有効果が十分に得られないことがあり、逆に0.1重量部を越えると得られるパイプのEVOH含有層の機械的強度が低下したり、バリア性が低下する傾向にあり好ましくない。尚、EVOHに2種以上のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の塩を含有させる場合は、その総計が上記の含有量の範囲にあることが好ましい。
EVOHに酸類やその金属塩を含有する方法については、特に限定されず、ア)含水率20〜80重量%のEVOHの多孔性析出物を、酸類やその金属塩の水溶液と接触させて、酸類やその金属塩を含有させてから乾燥する方法、イ)EVOHの均一溶液(水/アルコール溶液等)に酸類やその金属塩を含有させた後、凝固液中にストランド状に押し出し、次いで得られたストランドを切断してペレットとして、さらに乾燥処理をする方法、ウ)EVOHと酸類やその金属塩を一括して混合してから押出機等で溶融混練する方法、エ)EVOHの製造時において、ケン化工程で使用したアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)を酢酸等の酸類で中和して、残存する酢酸等の酸類や副生成する酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等のアルカリ金属塩の量を水洗処理により調整したりする方法等を挙げることができる。本発明の効果をより顕著に得るためには、酸類やその金属塩の分散性に優れるア)、イ)またはエ)の方法が好ましい。
上記ア)、イ)またはエ)の方法で得られたEVOH(A)は、塩類や金属塩が添加された後、乾燥が行われる。
かかる乾燥方法としては、種々の乾燥方法を採用することが可能である。例えば、実質的にペレット状のEVOHが、機械的にもしくは熱風により撹拌分散されながら行われる流動乾燥や、実質的にペレット状のEVOHが、撹拌、分散などの動的な作用を与えられずに行われる静置乾燥が挙げられ、流動乾燥を行うための乾燥器としては、円筒・溝型撹拌乾燥器、円管乾燥器、回転乾燥器、流動層乾燥器、振動流動層乾燥器、円錐回転型乾燥器等が挙げられ、また、静置乾燥を行うための乾燥器として、材料静置型としては回分式箱型乾燥器が、材料移送型としてはバンド乾燥器、トンネル乾燥器、竪型乾燥器等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。流動乾燥と静置乾燥を組み合わせて行うことも可能である。
該乾燥処理時に用いられる加熱ガスとしては空気または不活性ガス(窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等)が用いられ、該加熱ガスの温度としては、40〜150℃が、生産性とEVOHの熱劣化防止の点で好ましい。該乾燥処理の時間としては、EVOHの含水量やその処理量にもよるが、通常は15分〜72時間程度が、生産性とEVOHの熱劣化防止の点で好ましい。
上記の条件でEVOHが乾燥処理されるのであるが、該乾燥処理後のEVOH(A)の含水率は0.001〜5重量%(さらには0.01〜2重量%、特には0.1〜1重量部)になるようにするのが好ましく、該含水率が0.001重量%未満では、ロングラン成形性が低下する傾向にあり、逆に5重量%を越えると、押出成形時時に発泡が発生する虞があり好ましくない。
かくして目的とするEVOH(A)が得られるわけであるが、かかるEVOH(A)には、本発明の目的を阻害しない範囲において、多少のモノマー残査(3,4−ジオール−1−ブテン、3,4−ジアシロキシ−1−ブテン、3−アシロキシ−4−オール−1−ブテン、4−アシロキシ−3−オール−1−ブテン、4,5−ジオール−1−ペンテン、4,5−ジアシロキシ−1−ペンテン、4,5−ジオール−3−メチル−1−ペンテン、4,5−ジオール−3−メチル−1−ペンテン、5,6−ジオール−1−ヘキセン、5,6−ジアシロキシ−1−ヘキセン、4,5−ジアシロキシ−2−メチル−1−ブテン等)やモノマーのケン化物(3,4−ジオール−1−ブテン、4,5−ジオール−1−ペンテン、4,5−ジオール−3−メチル−1−ペンテン、4,5−ジオール−3−メチル−1−ペンテン、5,6−ジオール−1−ヘキセン等)を含んでいてもよい。
かくして得られたEVOH組成物(A)のメルトフローレート(MFR)(210℃、荷重2160g)は、0.5〜100g/10分(さらには1〜50g/10分、特には3〜35g/10分)が好ましく、該メルトフローレートが該範囲よりも小さい場合には、成形時に押出機内が高トルク状態となって押出加工が困難となることがあり、また該範囲よりも大きい場合には、得られる多層パイプのEVOH層の厚み精度が低下することがあり好ましくない。
また、本発明で使用されるEVOH(A)およびその組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲において、飽和脂肪族アミド(例えばステアリン酸アミド等)、不飽和脂肪酸アミド(例えばオレイン酸アミド等)、ビス脂肪酸アミド(例えばエチレンビスステアリン酸アミド等)、脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等)、低分子量ポリオレフィン(例えば分子量500〜10,000程度の低分子量ポリエチレン、又は低分子量ポリプロピレン等)などの滑剤、無機塩(例えばハイドロタルサイト等)、可塑剤(例えばエチレングリコール、グリセリン、ヘキサンジオール等の脂肪族多価アルコールなど)、酸素吸収剤(例えば無機系酸素吸収剤として、還元鉄粉類、さらにこれに吸水性物質や電解質等を加えたもの、アルミニウム粉、亜硫酸カリウム、光触媒酸化チタン等が、有機化合物系酸素吸収剤として、アスコルビン酸、さらにその脂肪酸エステルや金属塩等、ハイドロキノン、没食子酸、水酸基含有フェノールアルデヒド樹脂等の多価フェノール類、ビス−サリチルアルデヒド−イミンコバルト、テトラエチレンペンタミンコバルト、コバルト−シッフ塩基錯体、ポルフィリン類、大環状ポリアミン錯体、ポリエチレンイミン−コバルト錯体等の含窒素化合物と遷移金属との配位結合体、テルペン化合物、アミノ酸類とヒドロキシル基含有還元性物質の反応物、トリフェニルメチル化合物等が、高分子系酸素吸収剤として、窒素含有樹脂と遷移金属との配位結合体(例:MXDナイロンとコバルトの組合せ)、三級水素含有樹脂と遷移金属とのブレンド物(例:ポリプロピレンとコバルトの組合せ)、炭素−炭素不飽和結合含有樹脂と遷移金属とのブレンド物(例:ポリブタジエンとコバルトの組合せ)、光酸化崩壊性樹脂(例:ポリケトン)、アントラキノン重合体(例:ポリビニルアントラキノン)等や、さらにこれらの配合物に光開始剤(ベンゾフェノン等)や消臭剤(活性炭等)を添加したものなど)、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗菌剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、充填材(例えば無機フィラー等)、他樹脂(例えばポリオレフィン、ポリアミド等)等を配合しても良い。
また、本発明に使用されるEVOH(A)には酸化防止剤を含有していることが、長期間にわたる高温下での使用したときの機械的強度の保持性能や、耐延伸変形性が向上する点で好ましく、さらには、酸化防止剤がアミド基を含有してなるものであることが本発明の効果が顕著に現れる点で好ましい。その作用機構は定かではないが、EVOH(A)の2級水酸基および1級水酸基と酸化防止剤のアミド基の相互作用により相乗効果が発現し、耐クラック性、耐延伸変形性、熱収縮追随性等が向上するものと推定される。
かかる酸化防止剤としては、アミド基を含有してなるものであれば特に限定されず、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系酸化防止剤、ベンゾフェノン系酸化防止剤などが挙げられ、耐熱老化性の効果に特に優れる点でヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましく、具体的には、N,N’−テトラメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルエチルアミド)、N,N’−テトラメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル−n−プロピルアミド)、N,N’−テトラメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル−n−ブチルアミド)、N,N’−テトラメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルイソブチルアミド)、N,N’−テトラメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル−n−ヘプチルアミド)、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルエチルアミド)、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル−n−プロピルアミド)、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル−n−ブチルアミド)、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルイソブチルアミド)、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル−n−ヘプチルアミド)、N,N’−オクタメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルエチルアミド)、N,N’−オクタメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル−n−プロピルアミド)、N,N’−オクタメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル−n−ブチルアミド)、N,N’−オクタメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルイソブチルアミド)、N,N’−オクタメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル−n−ヘプチルアミド)、N,N’−デカメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルエチルアミド)、N,N’−デカメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル−n−プロピルアミド)、N,N’−デカメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル−n−ブチルアミド)、N,N’−デカメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルイソブチルアミド)、N,N’−デカメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル−n−ヘプチルアミド)などが挙げられる。
本発明において酸化防止剤(B)としては、構造、組成、分子量などの異なる酸化防止剤(B)を併せて2種類以上用いることもできる。また、該酸化防止剤(B)の性状としては、粉末状、顆粒状、液体状、ペースト状、エマルジョン状等任意の形態のものが使用可能である。
上記の 酸化防止剤は、EVOH(A)の合計量100重量部に対して0.01〜3重量部(さらには0.05〜2重量部、特に0.1〜1重量部)になるように含有させることが好ましく、かかる重量が0.01重量部よりも小さいときは、成形加工性が不充分となることがあり、逆に3重量部より大きいときは、得られる多層パイプの外観性や熱収縮追随性が低下することがあり好ましくない。
なお、酸化防止剤として、構造、組成、分子量などの異なる酸化防止剤(B)を併せて2種類以上用いる場合は、その総重量が上記の範囲にあればよい。
上記のEVOH(A)に酸化防止剤を添加する方法に関しては特に限定されないが、EVOH(A)の溶液に粉体もしくは顆粒状の酸化防止剤を混合する方法、EVOH(A)の製造ライン中のEVOH(A)のペーストに酸化防止剤を添加する方法、溶融状態の(A)に酸化防止剤を添加、溶融混練りする方法があげられるが、添加方法が簡便であることから溶融混練りする方法が好ましい。下に溶融混練方法について述べるが、これに限定されるものではない。
上記2成分を一括して溶融混練する方法としては、例えば、ニーダールーダー、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサー、プラストミルなどの公知の混練装置を使用して行うことができるが、通常は単軸又は二軸の押出機を用いることが工業上好ましく、また、必要に応じて、ベント吸引装置、ギヤポンプ装置、スクリーン装置等を設けることも好ましい。特に、水分や副生成物(熱分解低分子量物等)を除去するために、押出機に1個以上のベント孔を設けて減圧下に吸引したり、押出機中への酸素の混入を防ぐために、ホッパー内に窒素等の不活性ガスを連続的に供給したりすることにより、熱着色や熱劣化が軽減された品質の優れた樹脂組成物を得ることができる。
また、押出機にEVOH(A)及び酸化防止剤を供給するにあたっては特に限定されず、1)固体状のEVOH(A)と酸化防止剤を一括して混合して溶融混練する方法、2)溶融状態のEVOH(A)に酸化防止剤を投入して溶融混練する方法を挙げることができるが、装置の簡便さ、ブレンド物のコスト面等で1)の方法が実用的である。
本発明の多層パイプは、上述のEVOH(A)あるいはその樹脂組成物層(以下、EVOH層と称することがある)を少なくとも1層含んでなるものであり、該層以外に設けられる層に使用される樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、共重合ポリアミド、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、芳香族および脂肪族ポリケトン、脂肪族ポリアルコール等が挙げられ、好適にはポリオレフィン系樹脂が用いられる。かかるポリオレフィン系樹脂としては、具体的に直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマー、エチレン−プロピレン(ブロックおよびランダム)共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテン等のオレフィンの単独又は共重合体、或いはこれらのオレフィンの単独又は共重合体を不飽和カルボン酸又はそのエステルでグラフト変性したものやアルコキシシリル基を有するもの(水架橋性ポリオレフィン)、及びこれらのブレンド物や架橋物などの広義のポリオレフィン系樹脂を挙げることができ、なかでも、架橋ポリエチレン、ポリブテン、ポリプロピレンが、得られる多層パイプの機械的特性、耐低温クラック性、熱収縮追随性、耐熱老化性等に優れる点で好ましい。
かかる架橋ポリエチレンの架橋方法としては、水架橋法、放射線架橋法、過酸化物架橋法が代表的なものとして挙げられる。
水架橋法とは、加水分解により縮合反応を起こすアルコキシシリル基を有するポリエチレンを用いて製造した(多層)パイプのポリエチレン側を、水、熱水、水蒸気等で処理することにより架橋させるものである。その製造方法としては、予め架橋させたポリエチレンのパイプを作ってからEVOH(A)あるいはその樹脂組成物を積層したり、架橋前のポリエチレンを用いた多層パイプを作ってからポリエチレン層を架橋させたりすることができる。
放射線架橋法とは、電子線、γ線、β線、X線等の電離性放射線を、(多層)パイプのポリエチレン面に照射することにより架橋させるものである。その製造方法としては、予め架橋させたポリエチレンのパイプを作ってからEVOH(A)あるいはその樹脂組成物を積層したり、架橋前のポリエチレンを用いた多層パイプを作ってからポリエチレン層を架橋させたりすることができる。
過酸化物架橋法とは、押出機中で過酸化物とポリエチレンを反応させることにより架橋させるものであり、使用される過酸化物としては、ケトンパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、アルキルパーエステル等が挙げられる。その製造方法としては、予め架橋させたポリエチレンのパイプを作ってからEVOH(A)あるいはその樹脂組成物を積層したり、共押出法により架橋ポリエチレンとEVOH(A)あるいはその樹脂組成物を同時に積層したりすることができる。
本発明の多層パイプの各樹脂層の積層方法については限定されず、例えば各樹脂あるいは樹脂組成物を共押出する方法、予めEVOH層の単層パイプを作製しておき、これに他の樹脂を溶融押出コーティングする方法、予めEVOH層以外に用いられる樹脂の単層(又は多層)パイプを作製しておき、これにEVOH(A)あるいはその樹脂組成物を溶融押出コーティングする方法、予めEVOH層の単層パイプを作製しておき、これに他の樹脂からなる成形物を有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物、ポリウレタン化合物等の公知の接着剤を用いてドライラミネートする方法、予めEVOH層以外に用いられる樹脂の単層(又は多層)パイプを作製しておき、これにEVOH(A)あるいはその樹脂組成物からなる成形物を有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物、ポリウレタン化合物等の公知の接着剤を用いてドライラミネートする方法等が挙げられる。溶融成形時の成形温度は、150〜300℃の範囲から選ぶことが多い。
多層パイプの層構成は、EVOH層をa(a1、a2、・・・)、他の熱可塑性樹脂層をb(b1、b2、・・・)とするとき、a/bの二層構造のみならず、b/a/b、a/b/a、a1/a2/b、a/b1/b2、b2/b1/a/b1/b2、b2/b1/a/b1/a/b1/b2等任意の組み合わせが可能であり、さらには、少なくともEVOH(A)あるいはその樹脂組成物と他の熱可塑性樹脂の混合物からなるリグラインド層をRとするとき、b/R/a、b/R/a/b、b/R/a/R/b、b/a/R/a/b、b/R/a/R/a/R/b等とすることも可能である。
尚、上記の層構成において、それぞれの層間には、必要に応じて接着性樹脂層を設けることができ、かかる接着性樹脂としては、種々のものを使用することができ、外観性や耐層間剥離性、耐低温クラック性、熱収縮追随性、耐熱老化性等に優れた多層パイプが得られる点で好ましく、多層パイプの成形方法や用途によって異なり一概に言えないが、不飽和カルボン酸またはその無水物をオレフィン系重合体(上述のオレフィンの単独又は共重合体)に付加反応やグラフト反応等により化学的に結合させて得られたカルボキシル基を含有する変性オレフィン系重合体を挙げることができ、不飽和カルボン酸又はその無水物としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられ、中でも、無水マレイン酸が好適に用いられ、具体的には、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−プロピレン(ブロック又はランダム)共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−エチルアクリレート共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−酢酸ビニル共重合体等から選ばれた1種または2種以上の混合物が好適なものとして挙げられる。
このときの、かかる変性樹脂に含有される不飽和カルボン酸又はその無水物の量は、0.001〜3重量%が好ましく、さらに好ましくは0.01〜1重量%、特に好ましくは0.03〜0.5重量%である。該変性物中の変性量が少ないと、接着性が不充分となることがあり、逆に多いと架橋反応を起こし、成形性が悪くなることがあり好ましくない。またこれらの接着性樹脂には、EVOH(A)あるいはその樹脂組成物や他のEVOH、ポリイソブチレン、エチレン−プロピレンゴム等のゴム・エラストマー成分、さらには他の熱可塑性樹脂等をブレンドすることも可能である。特に、接着性樹脂の母体のポリオレフィン系樹脂と異なるポリオレフィン系樹脂をブレンドすることにより、接着性が向上することがあり有用である。
本発明の多層パイプの最も好適な層構成としては、[内側]ポリオレフィン系樹脂層/接着性樹脂層/EVOH層[外側]および[内側]ポリオレフィン系樹脂層/接着性樹脂層/EVOH層/接着性樹脂層/ポリオレフィン系樹脂層[外側]が挙げられる。
[内側]ポリオレフィン系樹脂層/接着性樹脂層/EVOH層[外側]の層構成からなる多層パイプは、共押出法または押出コーティング法(予め成形したポリオレフィン系樹脂からなるパイプ上に接着性樹脂およびEVOH(A)あるいはその樹脂組成物を共押出コーティング又は順次押出コーティングする)により生産上好適に製造することができる。
[内側]ポリオレフィン系樹脂層/接着性樹脂層/EVOH層/接着性樹脂層/ポリオレフィン系樹脂層[外側]の層構成からなる多層パイプは、一般的に共押出法により生産上好適に製造することができる。
多層パイプの各層の厚みは、層構成、用途、要求される物性などにより一概に言えないが、通常は、a層は20〜1000μm(さらには50〜500μm)、b層は100〜10000μm(さらには200〜5000μm)、接着性樹脂層は10〜1000μm(さらには30〜300μm)程度の範囲から選択される。
a層が20μm未満では得られる多層パイプのガスバリア性が低下し、またその厚み制御が不安定となり、逆に1000μmを越えると得られる多層パイプの耐低温クラック性が劣り、かつ経済的でなく好ましくなく、またb層が100μm未満では得られる多層パイプの剛性が不足し、逆に10000μmを越えると得られる多層パイプの柔軟性が低下するとともに、重量が必要以上に大きくなり、かつ経済的でなく好ましくなく、接着性樹脂層が10μm未満では得られる多層パイプの層間接着性が不足し、またその厚み制御が不安定となり、逆に1000μmを越えると重量が必要以上に大きくなり、かつ経済的でなく好ましくない。
また、本発明の多層パイプの各層には、成形加工性や諸物性の向上のために、前述の各種添加剤や改質剤、充填材、他樹脂等を本発明の効果を阻害しない範囲で添加することもできる。
かくして得られた本発明の多層パイプは、ガスバリア性、耐低温クラック性、熱収縮追随性、耐熱老化性、ロングラン成形性に優れ、冷水、温水又は熱水の供給・循環・排出用、燃料輸送用、インク輸送用、溶剤輸送用等各種の液体や気体用のパイプとして有用で、広範囲の用途に使用することが可能であり、特にフロアヒーティングやセントラルヒーティングなどにおける温水や熱水の循環用パイプ用途に用いることが好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
尚、実施例中「部」、「%」とあるのは、特に断わりのない限り、重量基準を意味する。
EVOH(A)中のホウ酸含有量の測定については、EVOH(A)および樹脂組成物をアルカリ溶融してICP発光分光分析法によりホウ素を定量することにより行った。
重合例1
下記の方法によりEVOH(A1)組成物を得た。
冷却コイルを持つ1m3の重合缶に酢酸ビニルを500kg、メタノール100kg、アセチルパーオキシド500ppm(対酢酸ビニル)、クエン酸20ppm、および3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを14kgを仕込み、系を窒素ガスで一旦置換した後、次いでエチレンで置換して、エチレン圧が35kg/cm2となるまで圧入して、攪拌した後、67℃まで昇温して、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを15g/分で全量4.5kgを添加しながら重合し、重合率が50%になるまで6時間重合した。その後、重合反応を停止してエチレン含有量29モル%のエチレン-酢酸ビニル共重合体を得た。
該エチレン−酢酸ビニル共重合体のメタノール溶液を棚段塔(ケン化塔)の塔上部より10kg/時の速度で供給し、同時に該共重合体中の残存酢酸基に対して、0.012当量の水酸化ナトリウムを含むメタノール溶液を塔上部より供給した。一方、塔下部から15kg/時でメタノールを供給した。塔内温度は100〜110℃、塔圧は3kg/cm2Gであった。仕込み開始後30分から、1,2−グリコール結合を有する構造単位を有するEVOHのメタノール溶液(EVOH30%、メタノール70%)が取出された。かかるEVOHの酢酸ビニル成分のケン化度は99.5モル%であった。
次いで、得られた該EVOHのメタノール溶液をメタノール/水溶液調整塔の塔上部から10kg/時で供給し、120℃のメタノール蒸気を4kg/時、水蒸気を2.5kg/時の速度で塔下部から仕込み、塔頂部よりメタノールを8kg/時で留出させると同時に、ケン化で用いた水酸化ナトリウム量に対して6当量の酢酸メチルを塔内温95〜110℃の塔中部から仕込んで塔底部からEVOHの水/アルコール溶液(樹脂濃度35%)を得た。
得られたEVOHの水/アルコール溶液を、孔径4mmのノズルより、メタノール5%、水95%よりなる5℃に維持された凝固液槽にストランド状に押し出して、凝固終了後、ストランド状物をカッターで切断し、直径3.8mm、長さ4mmの含水率45%のEVOHの多孔性ペレットを得た。
該多孔性ペレット100部に対して水100部で洗浄した後、0.032%のホウ酸及び0.007%のリン酸二水素カルシウムを含有する混合液中に投入し、30℃で5時間撹拌した。さらにかかる多孔性ペレットを回分式通気箱型乾燥器にて、温度70℃、水分含有率0.6%の窒素ガスを通過させて12時間乾燥を行って、含水率を30%とした後に、回分式塔型流動層乾燥器を用いて、温度120℃、水分含有率0.5%の窒素ガスで12時間乾燥を行って目的とするEVOH(A1)組成物のペレットを得た。かかるペレットは、EVOH100重量部に対して、ホウ酸およびリン酸二水素カルシウムをそれぞれ0.015重量部(ホウ素換算)および0.005重量部(リン酸根換算)含有していた。また、このEVOH組成物(A1)のMFRは4.0g/10min(210℃ 2160g)であった。
また、1,2−グリコール結合の導入量は、ケン化前のエチレン−酢酸ビニル共重合体を1H−NMR(内部標準物質:テトラメチルシラン、溶媒:d6−DMSO)で測定して算出したところ、2.5モル%であった。なお、NMR測定には日本ブルカー社製「AVANCE DPX400」を用いた。
Figure 2006123532
1H−NMR](図1参照)
1.0〜1.8ppm:メチレンプロトン(図1の積分値a)
1.87〜2.06ppm:メチルプロトン
3.95〜4.3ppm:構造(I)のメチレン側のプロトン+未反応の3,4−ジア セトキシ−1−ブテンのプロトン(図1の積分値b)
4.6〜5.1ppm:メチンプロトン+構造(I)のメチン側のプロトン(図1の積 分値c)
5.2〜5.9ppm:未反応の3,4−ジアセトキシ−1−ブテンのプロトン(図1 の積分値d)
[算出法]
5.2〜5.9ppmに4つのプロトンが存在するため、1つのプロトンの積分値はd/4、積分値bはジオールとモノマーのプロトンが含まれた積分値であるため、ジオールの1つのプロトンの積分値(A)は、A=(b−d/2)/2、積分値cは酢酸ビニル側とジオール側のプロトンが含まれた積分値であるため、酢酸ビニルの1つプロトンの積分値(B)は、B=1−(b−d/2)/2、積分値aはエチレンとメチレンが含まれた積分値であるため、エチレンの1つのプロトンの積分値(C)は、C=(a−2×A−2×B)/4=(a−2)/4と計算し、構造単位(1)の導入量は、100×{A/(A+B+C)} =100×(2×b−d)/(a+2)より算出した。
また、ケン化後のEVOHに関しても同様に1H−NMR測定を行った結果を図2に示す。1.87〜2.06ppmのメチルプロトンに相当するピークが大幅に減少していることから、共重合された3,4−ジアセトキシ−1−ブテンもケン化され、1,2−グリコール構造となっていることは明らかである。
重合例2
下記の方法によりEVOH(A2)組成物を得た。 重合例1において、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの替わりに3,4−ジアセトキシ−1−ブテンと3−アセトキシ−4−オール−1−ブテンと1,4−ジアセトキシ−1−ブテンの70:20:10の混合物を用いた以外は同様に行い、エチレン含有量が29モル%で側鎖に1,2−グリコール結合を有する構造単位の導入量が2.0モル%のEVOH(A2)組成物を得た。このEVOH共重合体のMFRは3.7g/10分で、ホウ酸含0.015重量部(ホウ素換算)リン酸二水素カルシウム0.005重量部(リン酸根換算)含有のEVOH組成物であった。
実施例1
上記の重合例1で得られたEVOH(A1)組成物および酸化防止剤[N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルエチルアミド)、チバスペシャルティケミカルズ社製『イルガノックス1098』]を重量比100:0.45となるように二軸押出機のホッパーに供給し、230℃にて溶融混練し、ペレット化を行い、目的とするEVOH組成物を得た。
上記で得られた樹脂組成物をフィードブロック3種3層の多層ダイスを備えた多層パイプ押出成形装置に供給して、(内側)水架橋性ポリエチレン(三菱化学社製『リンクロンHF835N』)層/接着性樹脂(三井化学社製『アドマーNF468E』)層/樹脂組成物層(外側)の層構成(厚み1750/100/150μm)の多層パイプ(外径22mm、内径18mm)を得た。次に、得られた多層パイプの内側に熱水(温度95℃、圧力12kg/cm2)を12時間循環させて内層の架橋ポリエチレン層を水架橋させて本発明の多層パイプを得た。
得られた多層パイプのガスバリア性、熱収縮追随性、耐熱老化性、加工性能を下記の如く評価した。
(ガスバリア性)
得られた多層パイプ(長さ5m)の一端をアルミニウム板と混合型エポキシ系接着剤で密栓し、もう一端を酸素透過量測定装置(MOCON社製『OXTRAN10/50』)に接続して、温度40℃、外側湿度50%RH、内側湿度100%RHの条件下で酸素透過度を測定した。
(耐延伸変形性)
得られた多層パイプを40℃の真空乾燥機内で2日間放置して、EVOH層を乾燥させ、パイプの両端部3cmを、20℃の温度下で拡張治具にて内径が30mmになるまで拡張させた後、ガスバリア性の評価法と同様に酸素透過度の測定を行った。
(熱収縮追随性)
得られた多層パイプを長さ500mmに切断し、L字型に曲げられるように固定ジグの付いた恒温槽中に多層パイプをL字状に設置し、温度を5℃〜95℃の間で、16サイクル/日で繰り返し変化させ、クラックが折り曲げ部に完全に発生するまでのサイクル数を測定して、下記の基準により評価した。
○・・・>5000サイクル
△・・・2000〜5000サイクル
×・・・<2000サイクル
(成形加工性)
上記の多層パイプの成形を連続して12時間行ったのち、全ての押出機の吐出停止させ、そのまま1時間放置した。その間押出機、ダイスの温度はそのまま維持した。1時間後再スタートさせてからの異物、スジ等が消え製品取りが可能となるまでの時間を測定した。
実施例2
実施例1において、EVOH(A1)組成物の代わりにEVOH(A2)組成物を用いた以外は同様に行ってEVOH組成物を作製し、さらにそれを用いたパイプを作製し、同様に評価を行った。
実施例3
実施例1において、酸化防止剤としてヒンダードフェノール系酸化防止剤ペンタエリスリチル-テトラキス(3−(3,5−ジーt―ブチルー4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、チバスペシャルティケミカルズ社製『イルガノックス1010』を用いた以外は同様に行ってEVOH組成物を作製し、さらにそれを用いたパイプを作製し、同様に評価を行った。
実施例4
実施例1において、酸化防止剤を添加せずにEVOH(A1)組成物を用いてパイプを作製し、同様に評価を行った。
比較例1
実施例1において、EVOH(A1)組成物の代わりに側鎖に1,2−グライコールを有する構造単位(1)を含有しないエチレンコンテント29モル%、ケン化度99.8モル%、MFR=4.0のEVOH(A3)を使用した以外は同様にEVOH組成物を作製し、さらにそれを用いたパイプを作製し、同様に評価した。
比較例2
実施例1において、EVOH(A1)組成物の代わりにEVOH(A3)とエムスジャパン社製『グリロンCF6S』(ナイロン6/12の共重合体)の重量比90/10の溶融混合物を用いてEVOH組成物を作製し、さらにそれを用いたパイプを作製し、同様に評価を行った。
実施例及び比較例の評価結果を表1に示す。
[表1]
Figure 2006123532
*:単位:cc/day・air
重合例1で得られたEVOHのケン化前の1H−NMRチャートである。 重合例1で得られたEVOHの1H−NMRチャートである。

Claims (18)

  1. 下記の構造単位(1)を含有するエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)の層を少なくとも1層有することを特徴とする多層パイプ。
    Figure 2006123532
    (ここで、Xは結合鎖であってエーテル結合を除く任意の結合鎖で、R1〜R4はそれぞれ独立して任意の置換基であり、nは0または1を表す。)
  2. 構造単位(1)のR1〜R4がそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基、炭素数3〜8の環状炭化水素基又は芳香族炭化水素基のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の多層パイプ。
  3. 構造単位(1)のR1〜R4がいずれも水素原子であることを特徴とする請求項1または2記載の多層パイプ。
  4. 構造単位(1)のXが炭素数6以下のアルキレンであることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の多層パイプ。
  5. 構造単位(1)のnが0であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の多層パイプ。
  6. エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)のエチレン含有量が10〜60モル%であることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の多層パイプ。
  7. 構造単位(1)が共重合によりエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)の分子鎖中に導入されたものであることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の多層パイプ。
  8. エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)の分子鎖中に構造単位(1)を0.1〜30モル%含有することを特徴とする請求項7記載の多層パイプ。
  9. エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)が3,4−ジアシロキシ−1−ブテン、ビニルエステル系モノマーおよびエチレンの共重合体をケン化して得られたものであることを特徴とする請求項1〜8いずれか記載の多層パイプ。
  10. エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)が3,4−ジアセトキシ−1−ブテン、ビニルエステル系モノマーおよびエチレンの共重合体をケン化して得られたものであることを特徴とする請求項1〜9いずれか記載の多層パイプ。
  11. エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)がホウ素化合物をエチレン−ビニルアルコール共重合体100重量部に対してホウ素換算で0.001〜1重量部含有していることを特徴とする請求項1〜10いずれか記載の多層パイプ。
  12. エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)が酸化防止剤を含有していることを特徴とする請求項1〜11いずれか記載の多層パイプ。
  13. 酸化防止剤の含有量がエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)100重量部に対して0.01〜3重量部であることを特徴とする請求項12記載の多層パイプ。
  14. 酸化防止剤(B)がアミド基含有酸化防止剤であることを特徴とする請求項12または13記載の多層パイプ。
  15. [内側]ポリオレフィン系樹脂層/接着性樹脂層/エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)含有層[外側]の層構成を有することを特徴とする請求項1〜14いずれか記載の多層パイプ。
  16. [内側]ポリオレフィン系樹脂層/接着性樹脂層/エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)含有層/接着性樹脂層/ポリオレフィン系樹脂層[外側]の層構成を有することを特徴とする請求項1〜14いずれか記載の多層パイプ。
  17. ポリオレフィン系樹脂が架橋ポリエチレン、ポリブテン、ポリプロピレンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項15または16記載の多層パイプ。
  18. 温水循環用パイプに用いられることを特徴とする請求項1〜17いずれか記載の多層パイプ。

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