JP2006114144A - 光ディスクの成型方法および光ディスク用原盤 - Google Patents

光ディスクの成型方法および光ディスク用原盤 Download PDF

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Abstract

【課題】成型機自体に改造を加えることなしに、成型タクトタイム短縮化を実現する。
【解決手段】原盤12はグルーブまたはバンプを含む表面に架橋樹脂層からなる断熱層11を有し、かつ原盤12を保持する金型の温度を75℃以下として、キャビティ内に溶融樹脂を射出成型することで、高精度な光ディスクの射出成型が低温で、かつ短時間で可能になる。これにより、どのようなフォーマットにも適用が可能であり、光ディスクの製造技術において設備投資を伴わずに増産が可能となることから、今後の光ディスクの増産と低コスト化に大きく貢献できる。
【選択図】図2

Description

本発明は、ピットやグルーブが形成される光ディスク基板の射出成型方法およびその成型に用いる光ディスク用原盤に関するものである。
光ディスクは再生専用型、追記型、書き換え型があり、大容量、リムーバブルを特徴として近年のパーソナルコンピュータの普及に伴い、音楽、画像にとどまらず広く情報の媒体として活用されている。特に使用時の利便性に加えて射出成形により大量に生産できることから低価格での情報提供が可能であり、今後更に生産量が増加する見通しである。
光ディスクの生産は射出成型機によるプラスチックディスク基板の生産量で決定されるため、ディスクの生産量を増強するためには、成型機の新たな投入を行う必要がある。しかし、新たな成型機の導入には装置の購入費用や建屋の増築などの設備投資が必要であり、このことがメーカにとってのディスク増産の障害となっている。この対策としてディスクの成型タクトタイムを短縮する取り組みが各メーカで行われている。成型タクトタイムはディスク1枚を成型するのに必要な時間であり、成型工程における生産能力は単純に成型タクトタイムに反比例する。たとえば成型タクトタイムが5秒であったものを、2.5秒に短縮できれば、新たな成型装置の導入を行わずに、生産性を2倍に高めることができる。しかし、通常のスタンパを使用した場合、成型タクトタイムの短縮化は容易ではない。
このことを成型装置とそのプロセスから説明する。成型装置には大きく金型が水平方向に可動する横型のものと、垂直方法に可動する縦型のものがある。縦型成型機は小型化が可能であり、設置場所もとらないことから、近年次第にその台数が増える傾向にある。図1に、光ディスクの生産に一般的に使用されている成型機の例を示す。成型機は対向する2つの金型で形成されるキャビティ内に溶融樹脂を高速で射出し、加圧、冷却によりディスク基板を作成するものである。キャビティを構成する2つの金型、固定側ミラー6及び可動側ミラー7はそれぞれ固定側プレート1と可動側プレート2に設置され、光ディスク基盤にピットまたはグルーブを形成させるためのスタンパ3は固定側ミラー6の表面に内周リング4,外周リング5により保持されている。また可動側プレート2の中心部にはスプルー部8が設けられ、ここからキャビティ内に溶融樹脂が導入される。固定側ミラー6、可動側ミラー7とも温度調整用の水流部9,10が設けられ、一定温度に設定できるようになっている。
成型装置内での1枚のディスクを作成する詳細なプロセスについて説明する。まず、所定の温度に調整された溶融樹脂をスプルー部の上流側に配置される射出ノズルからスプルー部を通してキャビティ内に射出する。その後可動部の金型はキャビティ内の樹脂に圧力を掛ける方向に加圧され、これによりスタンパ表面の凹凸をディスク基板にグルーブまたはピットとして転写する。更に、この加圧を一定時間保持した後、冷却工程において基板を冷却し、最後に金型をあけて成型されたディスクを取り出し、ディスク基板が作成される。
このようなディスク基板作成の一連の工程で成型のタクトタイムを短縮するためには、「加圧し転写を促進する工程」及び「加圧後のディスク基板を冷却する工程」にかかる時間を共に短縮する必要がある。短時間で転写するためには圧力を上げればよいが、圧力を上げることにより、成型基板に応力が残留し、成型後の応力緩和によりディスクが経時的に変形するという問題がある。また冷却時間を短縮するためには、金型温度を低くすれば良いが、金型温度を低くすると溶融樹脂がキャビティ内に射出され、スタンパ表面に到達した瞬間に流動性が低下し、スタンパのグルーブ又はバンプをディスクに転写させる機能(転写性)が低下する。この結果、得られたディスクはその信号特性、特にジッターが悪化し、品質が大きく低下するという問題がある。
成型タクトタイムを短縮するためには、スタンパからディスクへの短時間での転写が可能であり、且つ金型温度を下げた場合においても、その転写性を維持できることが必要である。このような高速転写と金型温度の低温化成型については、従来から成型装置に改良を行うことにより実施されてきた。たとえば特許文献1ではスタンパを受容する支持体とスタンパの間に均一密度の断熱板を含むことにより転写性を向上させる技術が開示されている。
この方法は300℃以上の溶融した樹脂を金型内に射出し、樹脂を冷却固化して取り出す一連の成型工程において、冷却する金属プレートとスタンパの間に断熱材を挿入し、スタンパの表面温度を高温に保つことにより転写性が向上するとしている。しかしこの方法は成型装置の改良を伴うものであり、全ての成型機に即座に対応できるものではない。
また、特許文献2では基盤上に有機架橋性の層を形成し、その上にネガ型のレジストを付与し、レーザービームによりレジストを選択的に露光、さらに現像して露光部を有機架橋性の層上に残留させて、この凹凸を形成させた基盤を直接スタンパとする技術が開示されている。この技術により得られるスタンパは本発明と同様に表面が断熱性の樹脂層で覆われた構成を持つが、成型工程での歩留まりや作成されたディスクの品質確保の観点からの、射出成型に適用する際の成型条件やバンプの形状については何ら記載されていない。
特開2002−331551号公報 特開2003−257089号公報
以上のように従来は成型タクトタイムの短縮化のために、成型機に改良を加えたり、成型条件の変更など、成型装置側での対策はさまざまに考えられてきたが、いずれの方法においても全ての成型装置に即座に対応できるものではなく、更に成型装置とスタンパとのマッチングに影響され易いため、成型条件が複雑化し、一定の成型条件で安定的に生産できないという問題があった。また、新たなスタンパ作製プロセスとして表面が架橋樹脂で覆われたスタンパを作製する技術は開発されていたものの、成型時の離型性やディスクの品質を考慮した成型条件の検討は行われてこなかった。
本発明は、以上のような問題を解決するためになされたもので、どのような成型機にも対応できる成型タクトタイム短縮化のためのスタンパとその成型方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の光ディスクの成型方法は、グルーブまたはバンプを含むスタンパ(原盤)の表面が断熱性を有する架橋性樹脂により形成され、そのスタンパを用いた射出成型において、その金型の温度を75℃以下とするものである。
また、本願発明の光ディスク用原盤は、原盤のグルーブまたはバンプを含む表面に、架橋樹脂層からなる断熱層を設ける。
以上のように、本発明の光ディスクの成型方法および光ディスク用原盤によれば、スタンパ表面に断熱層を付与することにより、通常の成型装置を用い、且つスタンパを保持する金型の温度を75℃以下とすることにより、容易に成型タクトタイムの短縮化が可能となる。本技術はどのようなフォーマットにも適用が可能であり、光ディスクの製造技術において設備投資を伴わずに増産が可能となることから、今後の光ディスクの増産と低コスト化に大きく貢献するものである。
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
本発明によれば、成型タクトタイム短縮化のために用いるスタンパ(原盤)は、ディスクとして転写すべきグルーブやバンプが形成された表面が、図2に示すように断熱性を有する材質で形成されている必要がある。断熱性材質としてはベースとなる材質よりも熱伝導率が低いものであればその効果はより高くなり、たとえば耐熱性の架橋性樹脂により形成されたものが好ましい。この場合、図2(A)に示すようにスタンパ(原盤)のベース材料により形成されたグルーブまたはバンプ12の表面に断熱層11が配置される構成、あるいは図2(b)に示すように鏡面を有する基板14に架橋樹脂からなるグルーブまたはバンプ13が形成され、かつグルーブ、またはバンプ以外の領域も架橋樹脂15で覆われている構成が有効である。これらは共に表面にベースとなる材料が露出しておらず、成型における断熱効果を発揮することができる。
断熱層の厚みとしては、図2(a)に示す構成では5nm以上で、製造するの光ディスクのトラックピッチの10分の1以下が好ましく、さらに好ましくは5nm以上、トラックピッチの20分の1以下である。5nmより薄い場合は断熱効果が低下し、成型時の転写性が確保できなくなる。またトラックピッチの10分の1より厚い場合は、その厚みにより、ベース材料により形成されたグルーブまたはバンプの形状と断熱層が付与された後のグルーブまたはバンプの形状とが大きく異なってくるため使用できない。一方図2(b)の構成では、断熱層の厚みとしては、グルーブまたはバンプ以外の領域が5nm以上100nm以下であることが好ましい。より好ましくは5nm以上50nm以下であり、更に好ましくは5nm以上30nm以下である。100nmよりも厚くする場合でも断熱効果は確保できるものの、それ以上厚くすることによる断熱効果向上の効果はない。5nmより薄いと図2(a)に示す構成と同様に、断熱効果が低下するため使用できない。
さらに図2(b)の構成では、規格化された異なる長さのバンプが混在するCDやDVD−ROMなどの場合図3に示すように、フォーマットに基づき作成されたスタンパのトラック方向の長さL1が最短のバンプ16についてその高さHsが、バンプ16のトラック方向の長さL1の2倍以上の長さL2をもつバンプ17の高さHLの80%以上95%以下の間であることが好ましい。ネガレジストを用い樹脂を架橋させてバンプを形成させる方法では、ポジ型レジストによる凹凸を、Niの電気メッキにより写し取る通常のスタンパとは異なり、バンプの傾斜角度がなだらかとなる傾向がある。このため、バンプとバンプのスペース部の長さは通常のスタンパに比べ短くなり、射出成型時のディスクがスタンパから剥離される場合の離型性が低下する。この問題はトラック方向に長さが最短(L1長さ)バンプについて、その高さHsを最短バンプの2倍以上の長さ(L2長さ)を持つバンフ高さHLの80%以上から95%以下の間とすることで解決できる。
本来バンプの間に存在するスペース部の長さを確保するためには、全てのバンプ長さを短縮すればよいが、この場合バンプ高さも低下し、ディスクでの良好な信号特性が得られなくなる。これはネガレジストを用いて作製したバンプの傾斜角度がなだらかとなるためである。しかし、最短のバンプについては、ある程度バンプを小さく作製しても信号特性に影響がないことが判り、このことから射出成型時の離型性とディスクでの信号特性を両立させる条件として、最短バンプについてその高さを最短バンプの2倍以上の長さを持つバンフ高さの80%以上、95%以下とすることが有効であることを見出した。この方法はスタンパのトラック方向に最短であるバンプの長さが1000nm以下で有効性が発揮され、特にその長さが500nm以下の場合より有効である。
例えばDVD−ROMのように映像や音声が記録されているROM型のディスクにおいて最短バンプは3Tバンプであり、バンプ長さは概ね400nmである。DVD−ROMにおいてディスクの再生信号は11Tと12Tを除く3Tから14Tまでの規格化された長さをもつ信号から構成されている。このなかで最短である3T信号の発生頻度はそれ以外の長さの信号に比べ格段に多く、この3T信号がディスク信号品質の決定要因となっている。よって、スタンパ表面に形成されるバンプにおいても、その個数としては3Tバンプが最も多く、このバンプの形状により射出成型における離型性が大きく影響される。
最短バンプの高さが、その2倍の長さのバンプの80%より小さい場合、ディスクにおける信号特性が悪化し、95%より大きい場合は、射出成型における離型性が悪化する。ディスクにおける信号特性と離型性を両立させる更に好ましい範囲は85%以上93%以下である。
以上のような表面が断熱層で覆われたスタンパを用いた場合、射出成型におけるスタンパを保持する金型の温度は75℃以下とする必要がある。図4にはDVD−ROMの生産において、ディスクの成型タクトタイムを3.5秒とした時のスタンパを保持する金型の温度とスタンパ歩留まりの関係を示す。この図では金型温度を変えて、それぞれの温度でスタンパを複数枚成型工程に投入し、離型不良がなく、良好に成型できたスタンパの割合を「スタンパ歩留まり」として、縦軸にとっている。金型温度を75℃より高くすると、スタンパによっては、離型不良によるディスクのクラウド欠陥が発生し、使用できなくなるが、75℃以下ではほぼ全数、良好に成型できることが判る。
図5には同じくDVD−ROMの生産において、ディスクの成型タクトタイムを3.5秒とした時のスタンパを保持する金型の温度とディスクジッターの関係を示す。ディスクジッターは信号特性を表す指標の一つで、小さいほど良好であり、DVD−ROMにおける規格は8%以下である。ジッターの測定はクラウドが発生したスタンパも含め、複数枚のスタンパで作製したディスクの平均値である。この図から表面が断熱作用をもつ架橋樹脂層で覆われたスタンパを用いた場合、金型温度が55℃から75℃までは良好なジッターが得られることが判る。金型温度が75℃を超えた場合、離型不良が発生し易いことから、これによりディスクピットが変形してジッターが悪化していると考えられる。さらにグラフには示されていないが、75℃以上では成型ディスクに反りが発生し易くなることが判っており、この反りがディスク面のラジアルチルトを増加させて、信号特性を悪化させている一因である。図4、図5から表面が断熱作用をもつ架橋樹脂層で覆われたスタンパを用いた場合は、スタンパを保持する金型温度を75℃以下とすることが良好な成型状態、及び得られるディスクの性能を確保する上で有効であることが判る。
ちなみに、Niから成る通常のスタンパを用いて、成型タクトタイム4秒から5秒で成型される際の最適金型温度は90℃から110℃であり、本発明により見出された条件とは大きく異なっている。また、通常のNiスタンパを用いた場合4秒以下のタクトタイムでは、金型温度が70℃以下で転写不良によりディスクの信号特性が悪化し始め、60℃以下では加えて転写不良によると思われるクラウド欠陥が顕著に発生し、良好な成型ができなくなる。
以上説明したように、表面に断熱層を付与したスタンパを用いた場合、通常のNiスタンパを用いた場合と同一の成型条件を用いても成型は可能であるが、金型温度を従来に比べて大幅に低温化することにより、成型工程が安定化し、且つ良好な性能のディスクが生産できる。またこの金型の低温化により、成型のタクトタイムの短縮化もきわめて容易に実施できる。本発明の断熱層を有するスタンパと、金型の低温化による成型タクトタイムの短縮化手法は、今までにない新たなプロセスである。スタンパ表面に付与した断熱層により、成型装置キャビティ内に射出された樹脂はスタンパに接触した直後に急冷されることなく、流動性を保つことができ、この結果金型の温度が低い場合でも転写性が低下せず、良好なディスクが得られると考えられる。
(実施の形態1)
図6は本発明実施の形態を示す図であり、まず工程(a)から工程(c)までのバンプを形成するまでのプロセスを説明する。鏡面を有するNi基板19の表面に樹脂架橋層20を形成し、レジストを付与するコーティング工程(a)において、さらにその層上にスピンコート法により、所定の厚みのネガレジスト21を付与した。この時、架橋樹脂層は,ネガレジストの溶媒で溶解しないように事前に、ある程度架橋を進行させている。使用するネガレジストとしてはベース樹脂と架橋剤及び光酸発生剤から構成される化学増幅型レジストであり、露光部で発生した酸によりベース樹脂と架橋剤との間で反応を起こさせるタイプのものが好ましい。このタイプのレジストでは、ベース樹脂としてはノボラック樹脂、ポリビニルフェノールなどのアルカリ可溶性を、架橋剤にはメラミン系化合物の他に、ベンジル系化合物などが用いられる。このレジストは露光とその後の加熱により、架橋反応が3次元的に進行し、非常に高い耐熱性を持つ架橋樹脂を形成するため、成型時の高温にも耐えるものとなる。コーティング後は85℃で10分間のベーキングを行って、膜中の溶媒成分を除去した。
ネガレジストが付与されたサンプルは次の露光工程(b)で、通常のスタンパ作成工程と同様にレーザービームレコーダ(以下LBRと称する)により、露光を行った。LBRは波長351nmのレーザーを光源とする露光ビーム23を対物レンズ22で集光し、その集光スポットによりレジストを選択的に露光し、露光部24を作成する。この時の露光ビームはDVD−ROMのフォーマットに基づいた記録信号をAO変調器により強度変調したものを用い、露光条件はスタンパで最短である3Tバンプの高さが、その2倍の6T以上の長さをもつバンプの高さの93%となるように設定した。
LBRによる露光後、レジストの露光部を架橋させる目的で110℃で2分間のベーキングを行い、次の現像工程(c)に投入した。現像により未露光部は現像液に溶解して除去され、露光部24がバンプ25として基板に残留し、且つ基盤表面は架橋樹脂層で覆われたものが得られた。現像液は、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドを主成分とする有機アルカリ現像液を用いたが、この他にアルカリ金属の水酸化を主成分とする無機アルカリ現像液を用いることも有効である。最終工程としてUV照射と加熱により、バンプおよびバンプ以外の領域の架橋樹脂の架橋度をさらに向上させ、内外周部を規定のサイズに打ち抜いてスタンパとした。スタンパにおいて最短バンプである3Tバンプの高さは125nm、6T以上のバンプでは138nmであり、3Tバンプの高さは6T以上のバンプの92.6%であった。またバンプ以外の領域を覆う架橋樹脂層の厚みは15nmであった。
以上の工程で作成したスタンパを射出成型工程に投入した。成型工程では樹脂としてポリカーボネートを用い、成型のタクトタイムを3.5秒、スタンパを保持する金型の温度を70℃として、ディスク基板の作成を行った。なお、その他の成型条件についてはNiの電解メッキにより作成された通常のDVDスタンパでの最適条件を用いた。この結果、成型において、ディスク基板に離型不良による欠陥の発生もなく、さらに得られたディスク基板には、反り及び、その後のディスク形態での経時的な変形もない等、良好なディスクが得られた。なお得られたディスクの電気信号特性を測定したところジッターは7.0%と良好な値を示した。
(実施の形態2)
スタンパの作成方法は実施の形態1と同様の工程により作成したが、ネガレジストをコーティングする前の架橋樹脂層の厚みを厚くし、またLBRにおける露光条件を変更してスタンパで最短である3Tバンプの高さが、その2倍の6T以上の長さのバンプの高さの85%となるように設定した。最終的に得られたスタンパは、最短バンプである3Tバンプの高さは115nm、6T以上のバンプでは135nmであり、3Tバンプの高さは6T以上のバンプ高さの85%であり、バンプ以外の領域を覆う架橋樹脂層の厚みは20nmであった。成型工程では樹脂としてポリカーボネートを用い、成型のタクトタイムを3.0秒、スタンパを保持する金型の温度は60℃として、ディスク基板の作成を行った。なお、その他の成型条件についてはNiの電解メッキにより作成された通常のDVDスタンパでの最適条件を用いて行った。この結果、成型において、ディスク基板に離型不良による欠陥の発生もなく、さらに得られたディスク基板には反り及び、その後のディスク形態での経時的な変形もない等、良好なディスク基板が得られた。なお得られたディスクの電気信号特性を測定したところジッターは6.7%と良好な値を示した。
<比較例1>
Niの電解メッキにより作成された通常のDVDスタンパを用い、成型工程では樹脂としてポリカーボネートを用い、成型のタクトタクトを3.5秒、スタンパを保持する金型の温度は70℃とし、他の条件は既に得られている最適条件を用いてディスク基板の作成を行った。この結果、成型において、ディスク基板に離型不良による欠陥の発生及び、ディスク基板の反り、ディスク形態での経時的な変形はなく、良好であったが、ディスクジッターの平均値は8.3%であり、規格である8%以下を満足することができなかった。これは転写不良によりピットが正常に形成されなかったためであり、特に内周部に比べ外周部でのジッターの悪化が顕著であった。
<比較例2>
実施の形態1で得られたスタンパを用い、実施の形態1とは異なる成型条件により成型を行った。成型工程では樹脂としてポリカーボネートを用い、成型のタクトタクトを3.5秒、スタンパを保持する金型の温度は80℃とし、他の条件は既に得られている最適条件を用いてディスク基板の作成を行った。この結果、成型において、ディスク基板に離型不良によるクラウド欠陥が多発し、ディスクの成型工程での歩留まりが低下した。また得られたディスク基板にはやや反りがあり、更にディスク形態で経時的な変形が発生した。ディスクジッターの平均値は7.7%であり、規格である8%満足したものの、規格からのマージンは小さく、あまり良好ではなかった。
以上の結果をまとめたものを表1に示す。この表からピットを含む表面が架橋樹脂層からなる断熱層で覆われたスタンパを成型工程に用いた場合、4秒以下のタクトタイムで成型する場合には、スタンパを保持する金型の温度を75℃以下とすることにより、成型時の離型不良による欠陥の発生を大きく抑制することができ、その形状や信号特性において品質の優れたディスクを作成できることが判る。
本発明の光ディスクの成型方法および光ディスク用原盤は、グルーブまたはバンプを含む原盤の表面に断熱層を配置する事で、高精度な光ディスクの射出成型が低温で、かつ短時間で可能になる。本発明の成型方法および原盤は、光ディスクの射出成型に限定される物ではなく、導光板等の成型後の表面に微細な凹凸が必要とされる物の用途にも適用できる。
光ディスク用射出成型機を説明する図 本発明の実施形態を説明する図 本発明のバンプの特徴を説明する図 成型装置における金型温度とスタンパ歩留まり関係を説明する図 成型装置における金型温度とディスクジッターの関係を説明する図 本発明の実施形態を説明する図
符号の説明
11 断熱層
12 グルーブやバンプが形成されたスタンパ
13 グルーブまたはバンプ
14 基板
15 架橋樹脂

Claims (5)

  1. 対向して配置した金型の少なくとも一方の金型に光ディスクのフォーマットに応じたグルーブまたはバンプを形成した原盤を配置し、前記対向して配置した金型により構成したキャビティ内に溶融樹脂を成型することで光ディスクを成型する光ディスクの成型方法において、
    前記原盤は前記グルーブまたはバンプを含む表面が架橋樹脂層により形成され、かつ前記原盤を保持する金型の温度を75℃以下として、成型することを特徴とする光ディスクの成型方法。
  2. 光ディスクのフォーマットに応じたグルーブまたはバンプを形成した原盤において、
    前記原盤のベースとなる材質から形成されたグルーブまたはバンプを含む表面に、架橋樹脂層からなる断熱層を設けた事を特徴とする光ディスク用原盤
  3. 前記断熱層は前記光ディスクのトラックピッチの10分の1以下の厚みである事を特徴とする請求項2に記載の光ディスク用原盤
  4. 前記グルーブまたはバンプが架橋性樹脂により形成され、かつ前記グルーブまたはバンプ以外の領域が、厚さ5nm以上の厚みを有する架橋性樹脂からなる断熱層で覆われていることを特徴とする請求項2に記載の光ディスク用原盤。
  5. 前記フォーマットに基づき作成されたトラックの方向に最短のバンプにおける高さが、前記最短のバンプのトラック方向の長さより2倍以上のトラック方向の長さをもつバンプの高さの80%以上95%以下の高さであることを特徴とする請求項2あるいは3に記載の光ディスク用原盤。
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