JP2003203396A5 - - Google Patents

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【発明の名称】タンパーとその製造方法及び光ディスク並びにブランクス
【特許請求の範囲】
【請求項1】基盤上に架橋性物質の層を形成し、前記架橋性物質の層に第1の架橋反応を施した後、前記架橋性物質の層の上にフォトレジストの層を形成し、その後、前記フォトレジストの層に記録すべき信号によって変調されたレーザビームの露光および現像を行った後、前記架橋性物質および前記フォトレジストの各層に更に第2の架橋反応を施して、前記架橋性物質の層と前記フォトレジストの層とを架橋結合させたことを特徴とするスタンパーの製造方法。
【請求項2】架橋性物質の層の上にフォトレジストの層が形成された基盤を回転させ、記録すべき信号によって変調されたレーザビームを所望のスポットに絞って前記フォトレジストの層を露光し、このフォトレジストの層に螺旋状に潜像を記録し、その後、前記フォトレジストの層にベーキング処理をしてから前記フォトレジストの層を現像し、前記露光部以外を除去して前記フォトレジストの層に突起を形成することを特徴とするスタンパーの製造方法。
【請求項3】フォトレジストはネガ型レジストであることを特徴とする請求項1または2に記載のスタンパーの製造方法。
【請求項4】基盤の材質がニッケルであることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載のスタンパーの製造方法。
【請求項5】架橋性物質の層と接触する面の基盤の表面に1nm以上10nm以下の凹凸処理を施したことを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載のスタンパーの製造方法。
【請求項6】基盤上に架橋性物質の層を有し、前記架橋性物質の層はその表面が不完全な架橋状態の層であって、更に前記架橋性物質の層の上にフォトレジストの層が設けられていることを特徴とするブランクス。
【請求項7】フォトレジストがネガ型レジストであることを特徴とする請求項6に記載のブランクス。
【請求項8】基盤の材質はニッケルであることを特徴とする請求項6または7に記載のブランクス。
【請求項9】架橋性物質の層と接触する面の基盤の表面に1nm以上10nm以下の凹凸処理を施したことを特徴とする請求項6〜8の何れか一項に記載のブランクス。
【請求項10】基盤上に架橋性物質の層が形成され、前記架橋性物質の層に第1の架
橋反応を施すことで前記架橋性物質の層の表面を不完全な架橋状態にした後、前記不完全な架橋状態の架橋性物質の層の上にフォトレジストの層が設けられ、前記フォトレジストの層に記録すべき信号によって変調されたレーザビームの露光および現像を行うことで前記フォトレジストの層に突起を形成し、その後、前記架橋性物質の層と前記フォトレジストの層に、更に第2の架橋反応が施され、前記架橋性物質の層と前記フォトレジストの層が完全に架橋結合されたことを特徴とするスタンパー。
【請求項11】記録すべき信号によって変調されたレーザビームを所望のスポットに絞ってフォトレジストの層を露光し、このフォトレジストの層に螺施状に潜像を記録し、その後、前記フォトレジストの層にベーキング処理をしてから前記フォトレジストの層を現像して前記露光部以外を除去すること、前記フォトレジストの層に突起を形成したことを特徴とする請求項10に記載のスタンパー。
【請求項12】第2の架橋反応架橋性物質の層フォトレジストの層をプラズマに曝す反応であって、前記架橋性物質の層突起が形成された前記フォトレジストとの間に相互の架橋反応が施され、前記架橋性物質の層と前記フォトレジストの層の各々に架橋反応を促進させたことを特徴とする請求項10または11に記載のスタンパー。
【請求項13】第2の架橋反応は架橋性物質の層突起が形成されたフォトレジストの層に紫外線照射とベーキング処理を施し、前記紫外線照射と前記ベーキング処理により、前記架橋性物質の層突起が形成された前記フォトレジストの層との間に相互の架橋反応が施され、前記架橋性物質の層と前記フォトレジストの層の各々に架橋反応を促進させたことを特徴とする請求項10または11に記載のスタンパー。
【請求項14】請求項10〜13の何れか一項に記載のスタンパーにより製造されたことを特徴とする光ディスク。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスクと、光ディスクを成形する時に用いられるスタンパーとその製造方法及び光ディスク並びにブランクスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、光ディスクを製作するためのスタンパーはマスタリングといわれる工程で製作されていた。この工法は一般にフォトリソグラフィーといわれる技術を用い、ガラス盤上に信号に対応したフォトレジストの凹凸のパターンを形成することから始まる。ガラス盤上のポジ型フォトレジスト層に、記録すべき信号に対応して強度変調されたレーザビームを螺旋状に露光し、現像することによって、レジストの窪み(ピット)をトラック状に形成するのである。その後、表面に導電性膜を形成し、その上に電鋳によりニッケルの厚膜を形成する。その厚膜はおよそ0.3mmほどであり、それを元のガラス盤から剥がしてスタンパーにするのである。このニッケル盤にはフォトレジストのピットが転写された突起(バンプ)が螺旋状に形成されている。これを射出成形することにより情報を含んだピット列を有する光ディスクが出来るのである。
【0003】
このスタンパーを作る工程は10以上の工程を含み、製作のための多くの時間とコストがかかる。また工程が多いために塵埃や人為的ミスなどによる欠陥も多く、歩留まりを低下させていた。
【0004】
近年、このような多くの工程を要せず、より少ない工程でスタンパーを作る試みがなされている。特許公報第2765421号には基板の上に架橋性無機物または架橋性有機物層を設け、記録信号で強度変調されたレーザビームを照射し、現像することにより基板上に信号パターンに対応した突起部を設け、さらに加熱により突起部を強固なものにした後、その基板を直接スタンパーとする工法が示されている。図5に従って従来例を説明する。図5(A)にはニッケル基板1と架橋性無機物または架橋性有機物層が2で示されてい
る。図5(B)は信号変調されたレーザビーム3が記録レンズ4で絞られて架橋性物質2を露光するところを示す。図5(C)にはレーザ露光の潜像としての露光部が局所的に加熱されて架橋し、5のマークを形成しているところを示す。これを現像すると未露光部は溶解し、露光部のみ6として残る。これら架橋性物質2はいわゆるネガ型レジストの作用をする。図5(D)はその状態の基板を表している。これを300℃の高温でハードベーキング処理をすると6のマーク部は架橋が促進され強固になる。このように作られた基板をそのままスタンパーにするのである。その為このスタンパーはダイレクトスタンパーと称されている。
【0005】
また、特開平7−326077号公報には基板上にフォトレジスト(架橋性物質)の突起を形成し、高温加熱により架橋を促進した後、直接それをダイレクトスタンパーとして用いる方法が示されている。この特許が特許公報第2765421号の方法と異なるのは、フォトレジストを選択的に露光し酸を発生させる。その後全体を加熱することにより酸が触媒となり露光部のみに架橋を起こさせる。次に全体を露光すると、前回未露光であったところに酸が生成され、かつそこは架橋されていないので現像液で溶解され、最初に露光されたところが突起として残るのである。
【0006】
【特許文献1】
特許公報第2765421号
【特許文献2】
特開平7−326077号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のダイレクトスタンパーは何れもニッケル基板の上に有機または無機のフォトレジスト(架橋性物質)の突起を直接形成したものである。このため、高温ベークによりフォトレジストの硬度は硬くなっているが、本来フォトレジストと金属との接着力は強くない。またDVDの場合、フォトレジストの突起の幅は0.3μm、長さは最短のもので0.4μmと接着面積は非常に小さい。
【0008】
このダイレクトスタンパーは成形機の金型に取り付けられ、鏡面金型とキャビティを形成する。その中に高温の樹脂が高圧で注入される。その時、高圧の樹脂はフォトレジスト突起を引き剥がす作用を起こす。
【0009】
また、一般に金型の温度は100℃前後に設定されているが、注入される樹脂は約300℃以上の高温である。樹脂の射出によってダイレクトスタンパー表面温度は上昇し、成形ディスク(光ディスク)の取り出しによって元の温度に戻るという熱膨張と収縮が繰り返される。ニッケルのような金属とフォトレジストの熱膨張係数には大きな違いがあり、その熱膨張の違いによる応力が繰り返しフォトレジスト突起に作用し、ついには基板から剥離させる。
【0010】
従来のダイレクトスタンパーでDVD(光ディスク)などのディスクを成形すると約5000〜10000ショット位の成形でフォトレジスト突起の欠落によるDVDの再生信号エラーが許容限界値に達する。DVDでは、欠陥によるエラーはPIエラーと呼ばれ、エラー訂正前において8ECCブロックの中で280以下と決められている。そのため、従来のダイレクトスタンパーを用いたDVD(光ディスク)などのディスクの成形では、約5000〜10000ショット以上の成形をすることが出来なかった。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の第1のスタンパーの製造方法は、基盤上に架橋性物質の層を形成し、前記架橋性物質の層に第1の架橋反応を施した後、前記架橋性物質
の上にフォトレジストの層を形成し、その後、前記フォトレジストの層に記録すべき信号によって変調されたレーザビームの露光および現像を行った後、前記架橋性物質および前記フォトレジストの各層に更に第2の架橋反応を施して、前記架橋性物質の層と前記フォトレジストの層とを架橋結合させたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の第2のスタンパーの製造方法は、架橋性物質の層の上にフォトレジストの層が形成された基盤を回転させ、記録すべき信号によって変調されたレーザビームを所望のスポットに絞って前記フォトレジストの層を露光し、このフォトレジストの層に螺旋状に潜像を記録し、その後、前記フォトレジストの層にベーキング処理をしてから前記フォトレジストの層を現像し、前記露光部以外を除去して前記フォトレジストの層に突起を形成することを特徴とする。
【0013】
また、上記本発明の第1及び第2のスタンパーの製造方法において、フォトレジストはネガ型レジストであると好適である。
【0014】
また、基盤の材質がニッケルであると好適である。
【0015】
更に、架橋性物質と接触する面の基盤の表面に1nm以上10nm以下の凹凸処理を施すと好適である。
【0016】
次に、本発明のブランクスは、基盤上に架橋性物質の層を有し、前記架橋性物質の層はその表面が不完全な架橋状態の層であって、更に前記架橋性物質の層の上にフォトレジストの層が設けられていることに特徴がある。
【0017】
また、フォトレジストがネガ型レジストであると好適である。
【0018】
また、基盤の材質がニッケルであると好適である。
【0019】
また、架橋性物質と接触する面の基盤の表面に1nm以上10nm以下の凹凸処理を施すと好適である。
【0020】
次に、本発明のスタンパーは、基盤上に架橋性物質の層が形成され、前記架橋性物質の層に第1の架橋反応を施すことで前記架橋性物質の層の表面を不完全な架橋状態にした後、前記不完全な架橋状態の架橋性物質の層の上にフォトレジストの層が設けられ、前記フォトレジストの層に記録すべき信号によって変調されたレーザビームの露光および現像を行うことで前記フォトレジストの層に突起を形成し、その後、前記架橋性物質の層と前記フォトレジストの層に、更に第2の架橋反応が施され、前記架橋性物質の層と前記フォトレジストの層が完全に架橋結合されたことを特徴とする。
【0021】
このとき、記録すべき信号によって変調されたレーザビームを所望のスポットに絞ってフォトレジストの層を露光し、このフォトレジストの層に螺施状に潜像を記録し、その後、前記フォトレジストの層にベーキング処理をしてから前記フォトレジストの層を現像して前記露光部以外を除去すること、前記フォトレジストの層に突起を形成されると好適である。
【0022】
また、第2の架橋反応架橋性物質の層フォトレジストの層をプラズマに曝す反応であって、前記架橋性物質の層突起が形成された前記フォトレジストとの間に相互の架橋反応が施され、前記架橋性物質の層と前記フォトレジストの層の各々に架橋反応を促進すると好適である。
【0023】
更に、第2の架橋反応は架橋性物質の層突起が形成されたフォトレジストの層に紫外線照射とベーキング処理を施し、前記紫外線照射と前記ベーキング処理により、前記架橋性物質の層突起が形成された前記フォトレジストの層との間に相互の架橋反応が施され、前記架橋性物質の層と前記フォトレジストの層の各々に架橋反応を促進させると好適である。
【0024】
最後に、本発明の光ディスクは、前述した何れかにのスタンパーにより製造されたことを特徴とする。
【0025】
これにより、突起状のフォトレジストと架橋性物質の結束を強固にする事が出来る。そのため、突起状のフォトレジストをもつダイレクトスタンパーを用いたDVD(光ディスク)などの光ディスクの成形において、ダイレクトスタンパーの突起状のフォトレジストの欠落による、DVDの再生信号エラーを、10000ショット以上のDVDの成形であっても、防止することが可能になる。
【0026】
【発明の実施の形態】
図1〜図4に本発明の実施の形態を示す。
【0027】
(実施の形態1)
図1に本発明のダイレクトスタンパーの製造方法の一実施例を示す。
【0028】
図1(A)はニッケルなどの基盤11の表面前面に架橋性物質12をスピンコート法により塗布した後の状態を示す図である。架橋性物質12としては、例えば、有機ポリマーやシリコン酸化物の無機の材料などである。本実施例では架橋性物質12を有機ポリマーとした。また、本実施例では基盤11はニッケルとしたが、他にニッケル合金、シリコン、アルミ、銅などの金属の他に、ガラス、セラミックなどでもよい。
【0029】
最初に、架橋性物質12を架橋する。そして、架橋性物質12が化学増幅型レジストのような場合は、図1(B)に示すベーキング処理を、架橋性物質12を塗布後に架橋性物質12の溶剤を蒸発させる目的のプリベークとして、80℃から90℃の比較的低温で行う。引き続き、図1(C)に示すように、基盤11全体に紫外線を照射し、図1(D)に示すベーキング処理を経て架橋性物質12のポリマー鎖を架橋させる。本件で言う紫外線は、遠赤外線を含んだものである。紫外線には低圧水銀ランプの波長254nmのものを使用した。紫外線の波長は使用する架橋性物質によって最適なものを選ぶ必要がある。フェノール系の樹脂の場合は、300nm前後の波長の紫外線が架橋に有効である。図1(D)は露光後のベーキングでいわゆるポストエクスポージャーベークと呼ばれるものである。この時、露光で発生した酸が触媒となって架橋性物質12に第1の架橋反応が起こる。
【0030】
また、架橋性物質12の材料によっては、熱により架橋するものもある。この場合は、図1(C)の紫外線を照射工程と、図1(D)ポストエクスポージャーベーク工程を省き、図1(B)のベーキング処理のみで、架橋性物質12の第1の架橋反応を起こす。
【0031】
何れの場合もこの段階の架橋性物質12の第1の架橋反応は完全に架橋するのではなく、半架橋の状態にする。その程度は、次の図1(E)の工程において、フォトレジスト13を架橋性物質12の上に同じくスピンコート法で塗布するが、そのフォトレジスト13の溶剤に架橋性物質12が実質的に溶けない程度にする。具体的な判定方法は、架橋性物質をフォトレジストの溶剤に1分間浸し、引き上げてから膜厚を測定する。溶剤に浸ける前後の膜厚から膜減りを求める。その値が5nm以下である程度の架橋状態にする。つまり、架橋性物質12がフォトレジスト13の溶剤に実質的に侵されない程度に架橋する。
一般に有機ポリマーは数パーセント架橋が進行すると溶剤に溶けなくなる。
【0032】
図1(E)は架橋性物質12上にフォトレジスト13が形成された状態を示している。このフォトレジスト13はネガ型レジストを用いる。ただし、フォトレジスト13をポジ型レジストとした場合でも、いわゆるイメージリバーサル法として知られる方法にて結果としてネガ型として用いてもよい。いずれのフォトレジスト13であっても、架橋性物質12は数パーセント架橋された状態であるため、フォトレジスト13の溶剤によって侵されることがない。本実施例で使用したネガ型レジストはノボラック型のフェノール樹脂をベースとしたものである。
【0033】
次に、図1(F)のように記録すべき信号で変調されたレーザビーム14をフォトレジスト層13に露光する。ここで使われる装置はレーザビームレコーダと呼ばれ、図では記録すべき信号で変調された後のレーザビーム14とそのレーザビーム14を0.3ミクロンほどの微細なスポットに絞る記録レンズ15、およびブランクス(11,12,13より構成)を回転軸16の周りに回転させる回転駆動部材17のみ示している。記録レンズ15は回転する前記ブランクスの半径方向に沿って移動するので、フォトレジスト13の層には螺旋状に潜像が記録される。
【0034】
図1(G)は露光後のベーキング処理を示す図である。露光によってフォトレジスト13の露光部に発生した酸が触媒となり、このベーキング処理でフォトレジスト13の露光部に架橋反応が起こる。このような反応が起こるのは、一般に化学増幅型レジストと呼ばれる種類のレジストである。本実施例のレジストは化学増幅型レジストであったが、それ以外のフォトレジストでは、露光後のベーキングは必ずしも必要ではない。
【0035】
図1(H)はその後の現像処理で、フォトレジスト13の架橋された部位以外が溶けて流された状態を示す図である。本実施例ではアルカリ現像液をかけて現像処理を行った。その結果として、フォトレジストの露光部が突起18として残る。この状態では、フォトレジストの突起18と架橋性物質層12とはまだ強固に結合されていない。
【0036】
図1(I)は架橋性物質12の層と突起18のフォトレジストの架橋を更に促進する工程である。前述したように、図1(H)の工程では、架橋性物質12の層の架橋反応は完全には終了していない。また、記録レーザで露光されたフォトレジストの突起18の架橋も一部しか進行していない。図1(I)の工程で、両者の架橋を第2の架橋反応として、さらに進行させることにより、フォトレジストの突起18のポリマーと架橋性物質12のポリマーとの間で相互の架橋が起こり両者の結合を強める。また、架橋性物質12自体とフォトレジストの突起18自体の架橋により強固になり、成形時の熱と応力に耐える強度を与える。
【0037】
この架橋反応促進(第2の架橋反応)の具体的方法の一つは、現像後の基盤全体をプラズマ中に曝す方法である。この方法でのプラズマとしては、フッ素ガスによるプラズマを用い、現像後の基盤全体をプラズマに曝すと効果が高かった。このプラズマ中に架橋性物質(フォトレジスト)を曝すと、プラズマ中のイオンやラジカルによりフォトレジストの突起も削られ形状が変わるので、プラズマ暴露時間は数秒程度にしている。このように数秒間プラズマ処理された架橋性物質とフォトレジストの突起は内部まで硬くなっており、酸素アッシング後に比べ、フッ素ガスによるプラズマ処理後では、架橋性物質の硬度レートを比較すると、180倍近く硬くなった。レジスト突起18は第2の架橋によって少しシュリンクする。しかし、耐熱温度が上昇し、250〜300℃に加熱しても突起18の形状に変化はなかった。
【0038】
図1(J)は第2の架橋後、フォトレジストの突起18と架橋性物質12の層が、架橋
結合により一体化された構造物19になっている事を示す図である。この一体化された構造物19を表面に形成した基盤11を、成形機の金型に合うように内外径を加工し、必要に応じ裏面を削ればダイレクトスタンパーが完成する。なお、これらの加工は架橋性物質を基盤に塗布する前、つまり、図1(A)の前から行ってもよい。
【0039】
ここで、ダイレクトスタンパーとその表面に注入して来る溶融樹脂の界面の温度をTとすると、Tは次式の数1で求められる。
【0040】
【数1】
Figure 2003203396
【0041】
(但し、ρは比重、Cは比熱、kは熱伝導率を示し、それぞれpは溶融樹脂、mはダイレクトスタンパーを表す。また、Tpoは溶融樹脂の温度、Tmoはダイレクトスタンパーの初期温度である。)
成形条件によっても異なるが、従来のニッケルダイレクトスタンパーを用いた場合のDVD−ROMディスクの一例では、スタンパーが取り付けられる成形機の金型の温度は100℃で、溶融樹脂の温度は360℃に設定されている。溶融樹脂がスタンパー表面に接触した時の溶融樹脂の界面の温度Tは、ニッケルの熱伝導率が樹脂に比べ遥かに大きいため、ほとんどスタンパーの初期温度を維持し、110℃以下になる。そのため、溶融樹脂はスタンパー表面に接触した瞬間から冷却固化し始める。
【0042】
本実施例のように、有機ポリマーからなる架橋性物質とフォトレジストがニッケルのダイレクトスタンパーの表面を形成しているものでは、溶融樹脂の界面の温度は上記の場合より上昇する。架橋性物質及びフォトレジストとダイレクトスタンパー表面の材料の比重、比熱および熱伝導率に差がない場合、上記の温度設定では溶融樹脂の界面の温度Tは約230℃になる。本実施例では、架橋性物質の下にヒートシンクとしてのニッケルがあるので、温度は230℃以下に下がると思われる。しかし、いずれにしても、本実施例でのダイレクトスタンパーは、前述したように、第2の架橋性物質の突起部は架橋により耐熱温度が250℃以上になっているので成形時の熱で劣化することがない。
【0043】
(実施の形態2)
実施の形態2は、図1(I)に示す、架橋性物質12の層とフォトレジストの突起18の架橋を更に促進する方法(第2の架橋反応)の部分以外は、実施の形態1と同様である。この方法は、図1(H)に示す現像後の架橋性物質12とフォトレジストの突起18に、紫外線照射と、ベーキング処理を施すことにより、架橋性物質12とフォトレジストの突起18に第2の架橋反応を促進する。本件で言う紫外線は遠赤外線を含んだものである。
【0044】
ここでフォトレジストが、化学増幅型レジストの場合は、紫外線照射後にベーキングすることにより第2の架橋反応が促進される。
【0045】
また、フォトレジストが、化学増幅型以外のノボラック系樹脂の場合は、ベーキングによりレジスト中の水分を無くした状態で遠紫外線を照射すると第2の架橋反応が効果的に進行する。
【0046】
本発明の実施の形態2では、フォトレジストに化学増幅型を用い、現像後の基盤に波長が254nmの遠紫外線を照射し、その後、150〜250℃の間で10〜20分の間ベーキング処理を行なった。
【0047】
この場合も実施の形態1と同様に、架橋性物質とフォトレジストの突起部の相互の架橋及び夫々の架橋が進行し、基盤全体の耐熱温度は250℃以上であった。この場合もレジスト突起18は第2の架橋で少しシュリンクする。しかし、更に250〜300℃の高温に曝しても更なる形状変化は確認されなかった。
【0048】
(実施の形態3)
実施の形態3は、架橋性物質にフォトレジストと同じ物質を用いる以外は、実施の形態1と同様である。架橋性物質にフォトレジストと同じ材料を用いると、両者間の架橋がより起こりやすくなり、両者間の接着強度がさらに増加する。また、熱膨張係数も同じであるので、成形時に熱変化を繰り返し受けても境界面でせん断歪が発生せず、熱変化による耐性がより強くなる。本実施例では、どちらもノボラック型のフェノール樹脂をベースにしたポリマーを用いた。
【0049】
(実施の形態4)
実施の形態4は、架橋性物質に光反射防止膜機能をもつ材料を用いる以外は、実施の形態1と同様である。図2は架橋性物質に光反射防止膜機能をもつ材料を用いた時の露光の状態を説明する概念図である。
【0050】
図2において、基盤11とフォトレジスト13の間の架橋性物質21は反射防止の機能を有する膜である。基盤1は、ニッケルなどの高反射率の材料であるので、実施の形態1におけるレーザ記録の際、反射光は定在波を生じる。レーザ波長をλ、架橋性物質21およびフォトレジスト13の屈折率と膜厚をそれぞれnc,dcおよびnr,drとし、その関係を数2の式で示す。
【0051】
【数2】
Figure 2003203396
【0052】
この数2の式が成り立つの時、レーザの定在波の節がフォトレジスト13の中に存在することになる。その場合、現像後のフォトレジスト13の突起の形状は節の影響を受けていびつな形状になる。
【0053】
この様な場合、架橋性物質21に光反射防止膜の特性を持つものを用いれば、露光時の、基盤11表面で反射するレーザの強い反射光を減じるので、フォトレジスト膜中に定在波の発生を無くすことができ、突起の歪みを無くすことができる。従って、現像後に顕在化するフォトレジスト突起の形状が定在波の節に影響されず、レーザのガウシャン型プロフィールとレジスト感度によって決まる形状を持ち、良質な突起形状を形成することができる。ここでは架橋性物質として有機ポリマー系の光反射防止膜を用いた。
【0054】
(実施の形態5)
実施の形態5は、架橋性物質と接触する基盤表面が凹凸形状である以外は、実施の形態1と同様である。図3は基盤表面が凹凸形状であるスタンパーの断面を示す概念図である。図3において基盤31の表面は微細な凹凸を有している。そのため架橋性物質層12と基盤31の接触面積が増え、両者の接着強度を増すことができる。従って、成形時の熱サイクルに対して基盤31と架橋性物質12の熱膨張係数の違いによって生じるせん断歪みに耐えることができる。
【0055】
基盤31の表面に微細な凹凸を与える方法としては、基盤31を不活性ガスのプラズマ
中に曝し、不活性ガスのイオン照射により微細な凹凸を与える方法や、或いは化学処理により基盤31の表面に微細な凹凸を形成する方法などがある。凹凸の大きさの一例としては0.1以上10nm以下である。
【0056】
(実施の形態6)
図4は上記の工法で作られたダイレクトスタンパーからディスクを作る工程を模式的に示す図である。図4(A)はディスクの樹脂注入を示す図である。図4(A)において、ダイレクトスタンパー41は、上記実施例の工法で作られた、図1(J)、または図3に示すダイレクトスタンパーである。スタンパー41は成形機の固定金型42に取付けられている。43は移動金型で樹脂44が型の中に注入されてから金型42の方に加圧される。
【0057】
図4(B)はダイレクトスタンパーからディスクの剥離工程を示す図である。図4(B)において、ディスクの加圧成形後、移動金型43が開き、ダイレクトスタンパー41の突起46がピット(窪み)47として転写されてディスク状に成形されたレプリカディスク45がダイレクトスタンパー41から剥離される。
【0058】
図4(C)は完成したレプリカディスクの断面を示す模式図である。図4(C)において、詳細は省くがレプリカディスク45に記録膜またはアルミなどの反射膜48がスパッタリング法で付けられる。
【0059】
CDディスクはレプリカディスクの厚みが1.2mmで、上記反射膜に保護膜をつけて完成する。DVDディスクのレプリカディスクは厚みが0.6mmで、反射膜48が付けられたレプリカディスクに信号の記録されていないダミーディスク49が接着層50を介して貼り合されて完成する。このタイプのディスクは、DVD5と呼ばれる。DVDディスクはこの他にダミーディスクではなく両面に信号が記録されたものや、2層ディスクの信号を片面から読み出すタイプのディスクもある。
【0060】
上記のようなディスクの成形工程では、高温の樹脂44が型内に注入されてスタンパー41の温度が上昇し、圧縮成形後、レプリカディスク45がスタンパーから剥離された後、スタンパー41の表面温度は室温の雰囲気に曝される。
【0061】
図5で示した従来のスタンパーは、この温度サイクルによって、金属の基盤と架橋性物質であるフォトレジストの突起の膨張収縮差によってせん断応力が境界部に作用し、遂にはフォトレジスト突起の欠落を起こしていた。このフォトレジスト突起の欠落は約5000〜10000ショットの成形回数を超えると顕著になり、PIエラーは規格の280以上になっていた。
【0062】
本実施例のダイレクトスタンパーでは、フォトレジストの突起が直接基盤に固定されているのではなく、基盤に設けられた架橋性物質の上に一体に近い構造で固定されている。すなわち、架橋性物質層はアンカーコートの役割を演じる。そのため、成形時の突起の欠落が大幅に減少し、実験では10万ショット以上の成形においてもフォトレジスト突起の欠陥は発見されず、PIエラーの増加も確認されなかった。また、架橋性物質層の剥離もなかった。DVDの信号再生特性で最も重要な項目は、ジッターであるが、本発明によるダイレクトスタンパーによるDVDディスクのジッターは規格の8%以下に対して、6%台前半を達成した。また、その値は10万ショット前後でも不変であった。従来のダイレクトスタンパーでは1万枚が限度なため、1枚のスタンパーで多くのディスクを成形できなかったが、本発明のダイレクトスタンパーでは、10万枚以上のディスクを一度に生産することが可能であり、品質が一定で、ディスク1枚当たりの製造コストを低く抑えられる。
【0063】
【発明の効果】
本発明によるスタンパーは、ディスクの信号を表すフォトレジストの層に形成された突起が、架橋性物質の層の上に形成され、互いに架橋しあって結合しているので、成形時の熱サイクルや応力に対して剥がれにくい。また、架橋性物質の層が有機系ポリマーの場合、フォトレジストの熱膨張係数と非常に近い値であり、成形時の熱サイクルによる膨張、収縮によって生じるせん断歪が小さい。従って、成形時にフォトレジストの層に形成された突起が剥がれにくい。
【0064】
従って、本発明によるスタンパーは、従来の基盤に直接レジスト突起を形成するスタンパーに比べ、ディスク成形のショット数が大幅に向上する。これにより同一スタンパーで10万枚以上の成形が可能であり、品質、性能が一定のディスクを安価に生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1〜3のダイレクトスタンパーの製造方法を示す図
【図2】本発明の実施の形態4の光反射防止膜機能有する架橋性物質の露光の状態を示す図
【図3】本発明の実施の形態5の基盤表面が凹凸形状であるスタンパーの断面を示す概念図
【図4】本発明の実施の形態6のダイレクトスタンパーからディスクを作る工程の模式図
【図5】従来のダイレクトスタンパーの製造方法を示す図
【符号の説明】
11 基盤
12 架橋性物質
13 第2の架橋物質であるフォトレジスト
14 レーザビーム
18 突起(突起状の第2の架橋物質)
21 光反射防止の機能を有する架橋性物質
31 表面に凹凸を有する基盤
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