JP2005032281A - 光ディスク原盤の製造方法と光ディスク原盤とスタンパの製造方法とスタンパ及び光ディスク - Google Patents
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Abstract
【課題】信号特性に優れた高密度な記録を行うことができる光ディスクを低価格で作製する。
【解決手段】ガラス基板11上に露光により反応しない水溶性樹脂を塗布して下層12を形成する。下層12の表面にフォトレジスト層14を形成し、フォトレジスト層14にレーザービームを集光して露光してスパイラル状の潜像17を形成する。潜像17を形成したフォトレジスト層14を現像して純水洗浄し、スパイラル状の溝パタン18を形成する。溝パタン18を有するフォトレジスト層14をマスクとして酸素雰囲気中で紫外線照射処理を行った後、純水で洗浄し下層12をエッチングして、フォトレジスト層14を露光する露光ビームスポット径以下の微細溝で断面形状が矩形のスパイラル状の溝パタン19を下層12に形成うぃ、より高精度な微細溝を光ディスク原盤22に形成する。
【選択図】 図2
【解決手段】ガラス基板11上に露光により反応しない水溶性樹脂を塗布して下層12を形成する。下層12の表面にフォトレジスト層14を形成し、フォトレジスト層14にレーザービームを集光して露光してスパイラル状の潜像17を形成する。潜像17を形成したフォトレジスト層14を現像して純水洗浄し、スパイラル状の溝パタン18を形成する。溝パタン18を有するフォトレジスト層14をマスクとして酸素雰囲気中で紫外線照射処理を行った後、純水で洗浄し下層12をエッチングして、フォトレジスト層14を露光する露光ビームスポット径以下の微細溝で断面形状が矩形のスパイラル状の溝パタン19を下層12に形成うぃ、より高精度な微細溝を光ディスク原盤22に形成する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光ディスク原盤の製造方法と光ディスク原盤とスタンパの製造方法とスタンパ及び光ディスク、特に高額な設備を使用せずに、信号特性に優れた高密度記録光ディスクの作製に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平10−241213号公報
【特許文献2】特開平11−350181号公報
【特許文献3】特開平11−353718号公報
【特許文献4】特開2001−14742号公報
【特許文献5】特開平11−296918号公報
光ディスク用原盤にはスパイラル状又は同心円上にトラッキング用の案内溝やアドレス・データを表す凹凸のピットがあらかじめ形成されている。このような案内溝やピットのパタンは、原盤となるガラス基板状にフォトレジスト層を形成し、原盤露光装置の対物レンズで形成すべきパタンに応じて強度変調された光ビームを収束してフォトレジスト層を露光し、その後、現像することによって、得られる。
【0003】
一般に、フォトレジストは露光による光架橋反応と熱架橋反応により潜像が形成されるため、パタン開口部の溝幅はビームスポット径よりも1割〜2割程度、広くなる。また、集光ビームの光強度分布がガウス分布であるため、フォトレジストに形成されたパタンの溝は台形形状になる。この台形パタンの溝は、トラックピッチが狭くなると、開口部が隣接トラック間で干渉しあい、溝と溝の間の平坦部分であるランドの高さが減少し、溝の深さをフォトレジストの膜厚で制御できなくなるという問題点がある。また、ランドが平坦でないスタンパから作製された光ディスクは、隣接トラックからのクロストーク信号が増加し、特にジッタ特性が低下して記録特性が低下する問題がある。このため、トラックピッチが狭い大容量の光ディスク用スタンパでは、フォトレジストに形成するパタンの溝幅が狭く、溝断面が矩形である必要がある。フォトレジストに形成する溝を狭くするには、露光ビームの波長を短く、対物レンズの開口数を大きくすればよいが、例えば露光ビームの波長が紫外線領域になると、露光光学系に用いるレンズが石英等の高価なものとなる。また、開口数が大きくなると、露光時の焦点深度が小さくなるため、溝形状の変動が懸念される。そこで、フォトレジスト層をマスク層として下層のエッチングを行い、その後フォトレジスト層を除去することによって、短波長や高開口数にしないで高密度パターニングを得る方法が特許文献1〜特許文献5等に開示されている。
【0004】
特許文献1に示された光ディスク原盤の製造方法は、石英ガラスの原盤上にフォトレジストでパターニングを行い、これをリアクティブイオンエッチングでガラスのエッチングを行い溝を形成し、その後、濃硫酸と過酸化水素水の混合液で残留レジストを剥離除去している。
【0005】
特許文献2に示された光ディスク原盤の製造方法は、ガラス原盤の表面に有機薄膜を形成し、有機薄膜の上にフォトレジスト層を設け、フォトレジスト層を露光して形成したレジストパタンをマスクとして有機薄膜を、ハロゲン化ガスと酸素の混合雰囲気で行われるプラズマを用いたドライエッチングでエッチングして有機薄膜に溝を形成し、残留レジストを除去している。
【0006】
また、特許文献3に示された光ディスク原盤の製造方法は、シリコン基板上にフォトレジストでパターニングを行い、レジストパタンをマスクにしてシリコン基板をリアクティブイオンエッチングや誘導結合プラズマエッチングによる異方性エッチングしてシリコン基板に溝を形成し、フォトレジストを除去した後、HFで洗浄している。
【0007】
特許文献4に示された光ディスク原盤の製造方法は、石英ガラス基板にフォトレジストでパターニングを行い、レジストパタンをマスクとして石英ガラス基板を反応性ガスによるドライエッチングを行い、石英ガラスにピットや溝を形成している。
【0008】
特許文献5に示された光ディスク原盤の製造方法は、ガラス原盤に、形成される溝の深さと等しい水溶性樹脂層を形成し、水溶性樹脂層の表面にフォトレジスト層を形成し、フォトレジスト層を露光してレジストパタンを形成し、形成したレジストパタンをマスクとして水溶性樹脂をエッチングして、水溶性樹脂に微細な溝パタンを形成し、フォトレジスト層を除去している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1〜特許文献4に示された光ディスク原盤の製造方法は、いずれも微細な溝パタンを形成するエッチングにはドライプロセスを用いているため、真空や高電圧関連の設備に莫大な投資が必要になる。また、エッチングには反応性ガスが用いられるが、これらの反応性ガスは毒性や爆発性を有するため、その管理にも細心の注意を払う必要があり、作製した光ディスク原盤や光ディクスのコストアップの要因になってしまう。
【0010】
特許文献5に示された光ディスク原盤の製造方法は、光ディスク原盤を作製するとき高額な設備は必要ないが、より高精度な微細溝を形成することが要望されている。
【0011】
この発明は、このようなことを考慮して、信号特性に優れた高密度な記録を行うことができる光ディスクを低価格で作製することができる光ディスク原盤の製造方法と光ディスク原盤と光ディスク用スタンパの製造方法と光ディスク用スタンパ及び作製された光ディスクを提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明の光ディスク原盤の製造方法は、基板上に露光により反応しない水溶性樹脂を塗布して下層を形成し、形成した下層を加熱乾燥し、乾燥した下層の表面にフォトレジスト層を形成し、形成したフォトレジスト層を加熱乾燥し、該フォトレジスト層にレーザービームを集光して露光してスパイラル状の潜像を形成し、潜像を形成したフォトレジスト層を現像して純水洗浄し、スパイラル状の溝パタンを形成し、溝パタンを有するフォトレジスト層をマスクとして酸素雰囲気中で紫外線照射処理を行った後、純水で洗浄し下層をエッチングして、フォトレジスト層を露光する露光ビームスポット径以下の微細溝で断面形状が矩形のスパイラル状の溝パタンを下層に形成し、フォトレジスト層を剥離した後、スパイラル状の溝パタンを有する下層の表面に導電性皮膜を形成することを特徴とする。
【0013】
前記フォトレジスト層をマスクとして酸素雰囲気中で紫外線照射処理を行うときの雰囲気は、室温以上でフォトレジスト層を形成するフォトレジストの架橋硬化温度以下とし、フォトレジスト層が架橋硬化することを防ぐ。
【0014】
また、フォトレジスト層をマスクとして酸素雰囲気中で紫外線照射処理した後、できるだけ早く純水洗浄処理を行い、紫外線照射処理により切断した水溶性樹脂の結合鎖が再結合することを防ぐ。
【0015】
また、潜像を形成したフォトレジスト層を現像して純水洗浄し、スパイラル状の溝パタンを下層に形成した後、乾燥雰囲気中で乾燥して下層に含む水分を除去してから紫外線照射処理を行ったり、純水で洗浄して下層をエッチングした後、乾燥雰囲気中で乾燥して下層に含む水分を除去してからフォトレジスト層を剥離する。
【0016】
この発明の光ディスク原盤は、前記光ディスク原盤の製造方法により製造したことを特徴とする。
【0017】
この発明のスタンパの製造方法は、前記光ディスク原盤の導電性皮膜を陰極としてニッケル電鋳して光ディスク原盤の溝パタンを転写したニッケル板を形成し、形成したニッケル板を光ディスク原盤から剥離し、剥離したニッケル板を洗浄して付着物を除去し、洗浄したニッケル板を加工することを特徴とする。
【0018】
また、剥離したニッケル板を洗浄する前に、光ディスク原盤の溝パタンを転写した面を、酸素雰囲気中で紫外線照射処理し、紫外線照射処理後できるだけ早く純水洗浄処理を行い、紫外線照射処理により切断した水溶性樹脂の結合鎖が再結合することを防いで洗浄効果を高める。
【0019】
この発明のスタンパは、前記スタンパの製造方法により製造したことを特徴とする。
【0020】
この発明の光ディスクは、前記スタンパを使用して成形した光ディスク基板を有することを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明の光ディスクの構成を示す断面図である。図に示すように、光ディスク1は、案内溝であるグルーブ2と凸部であるランド3が設けられ基板4のグルーブ2とランド3が設けられた面に第1の誘電体層5と記録層6と第2の誘電体層7と反射層8及び保護層9が積層されている。基板4は、例えばポリカーボネートやポリメチルメタクリレート等の透明樹脂で形成され、グルーブ2からランド3にほぼ垂直に立ち上がり、案内溝がほぼ矩形形状に形成されている。第1の誘電体層5と第2の誘電体層7は例えばSiO2やZnSの混合物が主に用いられている。記録層6はSbやTe,In,Ag,Geなどの合金が用いられ、これらの合金がアモルファス状態と結晶状態で光学定数が異なり、レーザ光を照射したときの反射率が異なることを利用して情報を読み取る。反射層8はAgやAu,Alなどの金属単体または合金で形成されている。
【0022】
この光ディスク1は、基板4側からレーザ光を照射して、グルーブ2とランド3に記録マークを記録したり、反射光を利用して記録した情報を読み取る。このようにグルーブ2とランド3に記録マークを記録するときに、基板4のグルーブ2からランド3にほぼ垂直に立ち上がっているから、案内溝を高密度に形成してもランド3を平坦に形成することができ、ランド3とグルーブ2の両方に記録する方式を用いても、隣接して記録された記録マークが互いに影響を与えることを防いでクロストークを大幅に低減することができ、記録容量の大きい光ディスク1を安定して作製することができる。
【0023】
この光ディスク1の基板4を成形するスタンパを作製する光ディスク原盤の製造方法を図2の工程図を参照して説明する。
【0024】
まず、表面が精密に研磨されたガラス基板11を洗浄して表面に付着したゴミ等を除去する。このガラス基板11に水溶性樹脂を塗布して、図2(a)に示すように下層12を形成するが、ガラス基板11に水溶性樹脂を塗布する前に、ガラス基板11を紫外線オゾン処理装置でUV/O3処理を2分間してガラス基板11の表面を親水化すると共に、表面の有機物を除去して表面に酸化皮膜を形成する。その後、高圧純水シャワーや超音波を印加した純水シャワーによって、ガラス板表面に浮いた不純物を完全に洗浄除去したあと、高速回転振り切り及びN2ブローによって乾燥させる。この処理を行うことによりガラス基板11に対する水溶性樹脂の塗れ性が向上し、水溶性樹脂の膜厚を均一化できると共に、水溶性樹脂とガラス基板11板の密着性を強めることができる。ここで、水に対する濡れ性すなわち親水性が向上できる方法であれば、オゾン処理以外の方法でも代用が可能である。例えば、イソプロピルアルコールなどの溶剤でガラス基板11の表面を洗浄して有機物を除去した後、純水により十分に洗浄しておけば、ガラス基板11の表面を親水性に置換することができる。しかし、有機物の除去性に優れている点や、薬品を使わない等、環境への影響やコスト及び作業性を考慮すると、UV/O3処理が最も優れた方式である。ここでガラス基板11の厚さは、あまり薄いと、後工程のニッケル電鋳時に内部応力によってガラス基板11が反ってしまうし、厚すぎると重くなって作業性に支障をきたすので、1mm〜10mmの間が望ましい。
【0025】
ガラス基板11の表面を処理した後、ガラス基板11の表面に感光性を有さない水溶性樹脂をスピンコートし、加熱乾燥して冷却することによって下層12を形成する。この加熱処理により水溶性樹脂の耐水性が高めることができる。この形成する下層12の膜厚は、スタンパ表面に形成する溝パタンの深さと同じになるように水溶性樹脂を塗布する。この水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコールやメチルセルロースあるいはポリビニルピロリドンのいずれかを用いる。例えばポリビニルアルコール(以下、PVAという)を塗布後、160℃から240℃の範囲内で30分程度の加熱乾燥を行う。このPVAはフォトレジストなどに比べて泡立ちやすく、一旦気泡が混入すると消えにくい。そのためガラス基板11を回転させながらPVAを塗布すると気泡を巻き込み、それがそのまま欠陥として残るおそれがある。そこで、ガラス基板11にPVAを塗布するとき、図3のに示すように、ガラス基板11を回転させないで水平に保った状態で、ガラス基板11の中央11aの直上にPVA供給部13を配置し、ガラス基板11の中央11aにPVAを滴下して自然に中心から周辺へ広がらせ、ある程度広がった時点でガラス基板11を回転して、PVAを振り切って均一に拡散させで、均一な厚さの水溶性樹脂膜からなる下層12を形成する。
【0026】
ガラス基板11に下層12を形成した後、図2(b)に示すように、下層12の表面にフォトレジストをスピンコートし、加熱乾燥した後、冷却してフォトレジスト層14を形成する。このフォトレジスト材料としては、例えば東京応化製のポジ型i線系フォトレジストといった高解像度タイプを使用し、膜厚が100nm〜200nmの範囲になるように調整する。このフォトレジストを塗布した後、温度90℃〜110℃の範囲で約30分加熱して室温まで冷却する。このフォトレジストを塗布したとき、下層12をPVAなどの水溶性樹脂で形成しているから、フォトレジストと混合することを防ぐことができる。
【0027】
この下層12とフォトレジスト層14を積層したガラス基板11を、原盤露光機のターンテーブルに載置し、ターンテーブルの回転数を、線速度が一定、例えば約7m/sになるように制御しながら、図2(c)に示すように、波長400〜420nmのレーザビーム15を対物レンズ16で集光してフォトレジスト層14をスパイラル状に露光してスパイラル状の潜像17を形成する。この潜像17を形成した後、スピナーにより低速回転しながら現像液で現像し、純水で洗浄して高速回転で振切り乾燥させる。この現像処理によりフォトレジスト層14に形成された潜像17が除去され、図2(d)に示すように、フォトレジスト層14に溝パタン18が形成される。このフォトレジスト層14に形成された溝パタン18の底幅Wbotは、フォトレジスト層14を露光するレーザビーム15の露光光量を調整することにより制御することができる。
【0028】
フォトレジスト層14に溝パタン18を形成した後、溝パタン18を有するガラス基板11をドライエアや乾燥した不活性ガス雰囲気中で1時間程度放置して水分を完全に除去する。これはフォトレジスト層14に形成した潜像17を現像して除去してから洗浄した純水の水分を下層12が含んで膨潤したままの状態で次の処理を行うと、微細な溝パタン18の形状が悪化してしまうため、それを防止するため、下層12に含んだ水分を完全に除去する。
【0029】
その後、図2(e)溝パタン18を有するガラス基板11を、紫外線オゾン処理装置で8分〜10分程度UV/O3処理して、オゾンと紫外線の作用により、溝パタン18の底の部分で露出している水溶性樹脂からなる下層11の重合結合鎖を切断して耐水性を失わせる。このUV/O3処理時のガラス基板11の温度は高いほど活性が上がって効率が良くなるが、フォトレジストの架橋硬化温度以上になると、後の工程で架橋硬化したフォトレジストが完全に除去できずに残渣として残ってしまう。フォトレジストとして例えばポジ型i線系フォトレジストを使用した場合、架橋硬化温度は約120℃以上であるから、UV/O3処理処理温度は、室温(20℃〜30℃)以上〜120℃未満の範囲内で行うことが望ましい。また、UV/O3処理をするとき、紫外線を照射する照射ランプを中心としてガラス基板11を回転させながら揺動させることにより、溝パタン18を有する面をむら無く均一にUV/O3処理することができる。
【0030】
このUV/O3処理が終了したら時間を置かずに直ちに純水による流水洗浄を行い、図2(f)に示すように、下層12の露出部分をエッチングして除去し、下層12に、断面がほぼ矩形形状の溝パタン19を形成する。すなわちUV/O3処理した後、時間が経過すると、UV/O3処理により切断した重合結合鎖が再び結合してエッチング効率が極端に低下するから、これを防止するためである。したがってUV/O3処理から純水流水洗浄までの間隔はできるだけ短時間、多くとも5分以内とする。また、純水流水洗浄して下層12の水溶性樹脂をエッチングするとき、水溶性樹脂は純水の温度が高いほど溶解速度は速く、純水の温度が低くなるほど溶解速度は遅くなり、この特性を利用することによりエッチング速度を制御することができる。この下層12のエッチングの速度が速いと、下層12のサイドエッチングで下層12がガラス基板11から剥離する問題が生じる。そこで下層11をエッチングするとき、純水の温度を15℃〜25℃の室温の範囲で一定に保ち、下層12のエッチング速度を適正に制御して、溝形状の変化率が小さい溝パタン19を形成する。
【0031】
下層12を純水でエッチングして溝パタン19を形成した後、溝パタン19を有するガラス基板11をドライエアや乾燥した不活性ガス雰囲気中で1時間程度放置して水分を完全に除去する。これは下層12をエッチングした純水の水分を下層12が含んで膨潤したままの状態でフォトレジスト層14を除去すると、図4の断面図に示すように、微細な溝パタン19のランド部分の中央部や肩部が盛り上がって溝パタン19の形状が悪化してしまうため、それを防止するため、下層12に含んだ水分を完全に除去する。
【0032】
溝パタン19を有する下層12の水分を完全に除去した後、溝パタン19を有する下層12とフォトレジスト層14を積層したガラス基板11全体を、上フォトレジスト層14を溶解可能な有機溶媒で満たされた槽に入れ、図2(g)に示すようにフォトレジスト層14を除去する。このフォトレジスト層14の除去に使用する有機溶液に求められる性質は、フォトレジスト層14を除去することが可能であり、かつ下層12の形状に影響を与えないことが必要であり、有機溶剤としては、例えば乳酸エチルやN−メチル−2−ピロリドンを用いる。このような有機溶剤を使用してフォトレジスト層14を除去することにより下層12の溝パタン19や突起部20の形状を変形することなしにフォトレジスト層14を除去することができる。また、これらの有機溶剤は有害性が低く、環境に対する影響を極力小さくすることができる。
【0033】
その後、図2(h)に示すように、溝パタン19と突起部20を有する面に導電性皮膜21を形成してスタンパを作製するための光ディスク原盤22を完成する。この導電性皮膜21の材質はスタンパを作製する材質と同じ材質であるニッケルを使用することが望ましい。また、ニッケル皮膜の形成方法は、Ar等の不活性ガスによるニッケルスパッタやニッケル蒸着などを利用する。無電解ニッケルめっきによる被膜形成は、前処理に水溶液を使用するため望ましくない。
【0034】
このように、ガラス基板11とフォトレジスト層14の間に水溶性樹脂の下層12を設け、フォトレジスト層14に形成された溝パタン18をマスク層として利用して下層12をエッチングするから、フォトレジスト層14に形成された溝パタン18の底幅が下層12の溝幅となり、フォトレジスト層14に形成された溝断面よりも細い溝、すなわち露光ビームスポット径以下の微細溝を下層12に形成することができるとともに断面形状が矩形の溝パタン19を下層12に形成することができる。さらに、フォトレジスト層14に溝パタン18の潜像17を形成するとき、露光用光源として波長400nm近傍のKrガスレーザを用いることが可能なので、光学系も高価な紫外域用ではなく通常の可視領域のものを使用でき、設備費を低減して光ディスク原盤22を低コストで作製することができる。また、下層12のエッチング工程やフォトレジスト除去工程において有害性の高い薬品類を使用する必要がないため、環境への負荷を極力低くすることができる。
【0035】
前記説明では光ディスク原盤22を作製するときガラス基板11を使用した場合について説明したが、ガラス基板11の代わりに金属やシリコンウエハ等を研磨したものを使用しても良い。
【0036】
次に、光ディスク原盤22を使用してスタンパを作製する製造方法を図5の工程図を参照して説明する。
【0037】
表面にニッケル導電性皮膜21を形成した光ディスク原盤22のニッケル導電性皮膜21を電極としてニッケル電鋳処理を施し、ニッケルを積層させ、図5(a)に示すように、溝パタン19と突起部20を転写したニッケル板23を形成する。このニッケル板23を形成するとき、光ディスク原盤22を処理槽に入れて、3分〜5分間、0.2A/dm2未満の弱電流密度で通電することにより、ニッケル導電性皮膜21がニッケル電鋳液によってエッチングされず、かつニッケル導電性皮膜21をニッケル電鋳液に馴染ませて濡れ性を向上させ、めっき析出が円滑かつ均一に始まり、ピット発生や電鋳時剥離を防ぐことができる。弱電流の通電終了後に通電電流値を所定の値まで上昇させて一定に保ち、所定の電鋳膜厚例えば300μm程度になるまで通電を続け、ニッケル板23を形成する。
【0038】
ニッケル電鋳によりガラス基板11にニッケル板23を形成した後、図5(b)に示すように、ガラス基板11からニッケル板23を剥離し、ニッケル板23に残留している下層12を純水によって洗浄して除去する。この下層12を除去するとき、水洗しただけでは残渣を完全に取り去ることができないため、図5(c)に示すように、ニッケル板23の溝パタン19と突起部20を転写した面に紫外線オゾン処理を20分程度施す。この処理により下層12を形成する水溶性樹脂の分子の結合を切って分解遊離する。この紫外線オゾン処理が終了したら、時間を置かずに例えば5分以内に90℃以上の加熱純水による流水洗浄を2分〜3分程度行い、下層12の残渣を溶解洗浄する。ここで洗浄時の純水が、90℃未満の温水の場合は、下層12を形成したPVA等の水溶性樹脂が糊状になってニッケル板23に強固に付着して取れなくなってしまう。また、最初から常温(15℃〜25℃)の純水では、付着した残渣を完全に洗い流すまでにかなりの時間例えば10分以上かかってしまう。これに対して90℃以上の水温の純水を使用すると、短時間でニッケル板23に付着している下層12の残渣を完全に溶解して洗い流すことができる。
【0039】
ニッケル板23を90℃以上の水温の純水で洗浄後、速やかに常温純水の流水に切り替えてニッケル板23を洗浄する。この洗浄するとき、高温の純水で洗浄した下層12の残渣を除去した状態で、そのまま振り切り乾燥すると、ニッケル板23が急速に乾燥して乾き染みができるてしまうため、これを防ぐために、高温の純水で洗浄した下層12の残渣を除去した直後でニッケル板23の表面が乾燥しないごく短時間例えば10秒以内に常温純水の流水による洗浄に切り換える。この洗浄が終了した後、ニッケル板23の情報パタン面側にプラスチックコートで保護膜を形成し、反対側の裏面を研磨する。このニッケルいた23の裏面の研磨はガラス基板11からニッケル板23を剥離する前に行っても良い。この場合は保護膜を作成する必要がなくなる。この後、ニッケル板23の内外径を所望の寸法に加工して、図5(d)に示すように、スパイラル状の突起パタン24を有するスタンパ25を完成する。
【0040】
このスタンパ25を使用して光ディスク1の基板4を成形するときは、図6の断面図に示すように、成形金型30の固定金型31と可動金型32との接合部に形成されるキャビティ33内にスタンパ25を固定し、キャビティ33内にノズル34から溶融樹脂を射出充填し、固定金型31と可動金型32との間で圧縮して成形する。その後、固定金型31と可動金型32を分離して冷却固化して成形品を取り出すことにより、基板4を作製することができる。この基板4に第1の誘電体層5と記録層6と第2の誘電体層7と反射層8及び保護層9が積層することにより光ディスク1を作製する。
【0041】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように、基板上に露光により反応しない水溶性樹脂を塗布して下層を形成し、形成した下層を加熱乾燥し、乾燥した下層の表面にフォトレジスト層を形成し、形成したフォトレジスト層を加熱乾燥し、フォトレジスト層にレーザービームを集光して露光してスパイラル状の潜像を形成し、潜像を形成したフォトレジスト層を現像して純水洗浄し、スパイラル状の溝パタンを形成し、溝パタンを有するフォトレジスト層をマスクとして酸素雰囲気中で紫外線照射処理を行った後、純水で洗浄し下層をエッチングすることにより、フォトレジスト層を露光する露光ビームスポット径以下の微細溝で断面形状が矩形のスパイラル状の溝パタンを下層に形成することができ、より高精度な微細溝を光ディスク原盤に形成することができる。
【0042】
また、フォトレジスト層をマスクとして酸素雰囲気中で紫外線照射処理を行うときの雰囲気を、室温以上でフォトレジスト層を形成するフォトレジストの架橋硬化温度以下とし、フォトレジスト層が架橋硬化することを防ぐことにより、下層を高精度にエッチングすることができる。
【0043】
また、フォトレジスト層をマスクとして酸素雰囲気中で紫外線照射処理した後、できるだけ早く純水洗浄処理を行い、紫外線照射処理により切断した水溶性樹脂の結合鎖が再結合することを防ぐことにより、下層を効率よくエッチングすることができる。
【0044】
また、潜像を形成したフォトレジスト層を現像して純水洗浄し、スパイラル状の溝パタンを下層に形成した後、乾燥雰囲気中で乾燥して下層に含む水分を除去してから紫外線照射処理を行ったり、純水で洗浄して下層をエッチングした後、乾燥雰囲気中で乾燥して下層に含む水分を除去してからフォトレジスト層を剥離することにより、下層に形成された溝パタンの形状が崩れることを防ぎ、高精度で安定した溝パタンを形成することができる。
【0045】
また、前記光ディスク原盤の導電性皮膜を陰極としてニッケル電鋳して光ディスク原盤の溝パタンを転写したニッケル板を形成し、形成したニッケル板を光ディスク原盤から剥離し、剥離したニッケル板を洗浄して付着物を除去し、洗浄したニッケル板を加工することにより、安定した形状の溝パタンを有するスタンパを形成することができる。
【0046】
さらに、剥離したニッケル板を洗浄する前に、光ディスク原盤の溝パタンを転写した面を、酸素雰囲気中で紫外線照射処理し、紫外線照射処理後できるだけ早く純水洗浄処理を行うことにより、紫外線照射処理により切断した水溶性樹脂の結合鎖が再結合することを防いでより洗浄効果を高めることができる。
【0047】
この発明の光ディスクは、前記スタンパを使用して成形した光ディスク基板を有し、ランドとグルーブに安定した記録マークを記録できるとともに、クロストークを大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の光ディスクの構成を示す断面図である。
【図2】光ディスク原盤の製造方法を示す工程図である。
【図3】ガラス基板に水溶性樹脂を塗布する状態を示す模式図である。
【図4】下層に形成した溝パタンの変形状態を示す模式図である。
【図5】スタンパの製造方法を示す工程図である。
【図6】光ディスの基板を成形する成形金型を示す断面図である。
【符号の説明】
1;光ディスク、2;グルーブ、3;ランド、4;基板、
5;第1の誘電体層、6;記録層、7;第2の誘電体層、8;反射層、
9;保護層、11;ガラス基板、12;下層、14;フォトレジスト層、
15;レーザビーム、16;対物レンズ、17;潜像、18;溝パタン、
19;溝パタン、20;突起部、21;導電性皮膜、
22;光ディスク原盤、23;ニッケル板、24;突起パタン、
25;スタンパ。
【発明の属する技術分野】
この発明は、光ディスク原盤の製造方法と光ディスク原盤とスタンパの製造方法とスタンパ及び光ディスク、特に高額な設備を使用せずに、信号特性に優れた高密度記録光ディスクの作製に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平10−241213号公報
【特許文献2】特開平11−350181号公報
【特許文献3】特開平11−353718号公報
【特許文献4】特開2001−14742号公報
【特許文献5】特開平11−296918号公報
光ディスク用原盤にはスパイラル状又は同心円上にトラッキング用の案内溝やアドレス・データを表す凹凸のピットがあらかじめ形成されている。このような案内溝やピットのパタンは、原盤となるガラス基板状にフォトレジスト層を形成し、原盤露光装置の対物レンズで形成すべきパタンに応じて強度変調された光ビームを収束してフォトレジスト層を露光し、その後、現像することによって、得られる。
【0003】
一般に、フォトレジストは露光による光架橋反応と熱架橋反応により潜像が形成されるため、パタン開口部の溝幅はビームスポット径よりも1割〜2割程度、広くなる。また、集光ビームの光強度分布がガウス分布であるため、フォトレジストに形成されたパタンの溝は台形形状になる。この台形パタンの溝は、トラックピッチが狭くなると、開口部が隣接トラック間で干渉しあい、溝と溝の間の平坦部分であるランドの高さが減少し、溝の深さをフォトレジストの膜厚で制御できなくなるという問題点がある。また、ランドが平坦でないスタンパから作製された光ディスクは、隣接トラックからのクロストーク信号が増加し、特にジッタ特性が低下して記録特性が低下する問題がある。このため、トラックピッチが狭い大容量の光ディスク用スタンパでは、フォトレジストに形成するパタンの溝幅が狭く、溝断面が矩形である必要がある。フォトレジストに形成する溝を狭くするには、露光ビームの波長を短く、対物レンズの開口数を大きくすればよいが、例えば露光ビームの波長が紫外線領域になると、露光光学系に用いるレンズが石英等の高価なものとなる。また、開口数が大きくなると、露光時の焦点深度が小さくなるため、溝形状の変動が懸念される。そこで、フォトレジスト層をマスク層として下層のエッチングを行い、その後フォトレジスト層を除去することによって、短波長や高開口数にしないで高密度パターニングを得る方法が特許文献1〜特許文献5等に開示されている。
【0004】
特許文献1に示された光ディスク原盤の製造方法は、石英ガラスの原盤上にフォトレジストでパターニングを行い、これをリアクティブイオンエッチングでガラスのエッチングを行い溝を形成し、その後、濃硫酸と過酸化水素水の混合液で残留レジストを剥離除去している。
【0005】
特許文献2に示された光ディスク原盤の製造方法は、ガラス原盤の表面に有機薄膜を形成し、有機薄膜の上にフォトレジスト層を設け、フォトレジスト層を露光して形成したレジストパタンをマスクとして有機薄膜を、ハロゲン化ガスと酸素の混合雰囲気で行われるプラズマを用いたドライエッチングでエッチングして有機薄膜に溝を形成し、残留レジストを除去している。
【0006】
また、特許文献3に示された光ディスク原盤の製造方法は、シリコン基板上にフォトレジストでパターニングを行い、レジストパタンをマスクにしてシリコン基板をリアクティブイオンエッチングや誘導結合プラズマエッチングによる異方性エッチングしてシリコン基板に溝を形成し、フォトレジストを除去した後、HFで洗浄している。
【0007】
特許文献4に示された光ディスク原盤の製造方法は、石英ガラス基板にフォトレジストでパターニングを行い、レジストパタンをマスクとして石英ガラス基板を反応性ガスによるドライエッチングを行い、石英ガラスにピットや溝を形成している。
【0008】
特許文献5に示された光ディスク原盤の製造方法は、ガラス原盤に、形成される溝の深さと等しい水溶性樹脂層を形成し、水溶性樹脂層の表面にフォトレジスト層を形成し、フォトレジスト層を露光してレジストパタンを形成し、形成したレジストパタンをマスクとして水溶性樹脂をエッチングして、水溶性樹脂に微細な溝パタンを形成し、フォトレジスト層を除去している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1〜特許文献4に示された光ディスク原盤の製造方法は、いずれも微細な溝パタンを形成するエッチングにはドライプロセスを用いているため、真空や高電圧関連の設備に莫大な投資が必要になる。また、エッチングには反応性ガスが用いられるが、これらの反応性ガスは毒性や爆発性を有するため、その管理にも細心の注意を払う必要があり、作製した光ディスク原盤や光ディクスのコストアップの要因になってしまう。
【0010】
特許文献5に示された光ディスク原盤の製造方法は、光ディスク原盤を作製するとき高額な設備は必要ないが、より高精度な微細溝を形成することが要望されている。
【0011】
この発明は、このようなことを考慮して、信号特性に優れた高密度な記録を行うことができる光ディスクを低価格で作製することができる光ディスク原盤の製造方法と光ディスク原盤と光ディスク用スタンパの製造方法と光ディスク用スタンパ及び作製された光ディスクを提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明の光ディスク原盤の製造方法は、基板上に露光により反応しない水溶性樹脂を塗布して下層を形成し、形成した下層を加熱乾燥し、乾燥した下層の表面にフォトレジスト層を形成し、形成したフォトレジスト層を加熱乾燥し、該フォトレジスト層にレーザービームを集光して露光してスパイラル状の潜像を形成し、潜像を形成したフォトレジスト層を現像して純水洗浄し、スパイラル状の溝パタンを形成し、溝パタンを有するフォトレジスト層をマスクとして酸素雰囲気中で紫外線照射処理を行った後、純水で洗浄し下層をエッチングして、フォトレジスト層を露光する露光ビームスポット径以下の微細溝で断面形状が矩形のスパイラル状の溝パタンを下層に形成し、フォトレジスト層を剥離した後、スパイラル状の溝パタンを有する下層の表面に導電性皮膜を形成することを特徴とする。
【0013】
前記フォトレジスト層をマスクとして酸素雰囲気中で紫外線照射処理を行うときの雰囲気は、室温以上でフォトレジスト層を形成するフォトレジストの架橋硬化温度以下とし、フォトレジスト層が架橋硬化することを防ぐ。
【0014】
また、フォトレジスト層をマスクとして酸素雰囲気中で紫外線照射処理した後、できるだけ早く純水洗浄処理を行い、紫外線照射処理により切断した水溶性樹脂の結合鎖が再結合することを防ぐ。
【0015】
また、潜像を形成したフォトレジスト層を現像して純水洗浄し、スパイラル状の溝パタンを下層に形成した後、乾燥雰囲気中で乾燥して下層に含む水分を除去してから紫外線照射処理を行ったり、純水で洗浄して下層をエッチングした後、乾燥雰囲気中で乾燥して下層に含む水分を除去してからフォトレジスト層を剥離する。
【0016】
この発明の光ディスク原盤は、前記光ディスク原盤の製造方法により製造したことを特徴とする。
【0017】
この発明のスタンパの製造方法は、前記光ディスク原盤の導電性皮膜を陰極としてニッケル電鋳して光ディスク原盤の溝パタンを転写したニッケル板を形成し、形成したニッケル板を光ディスク原盤から剥離し、剥離したニッケル板を洗浄して付着物を除去し、洗浄したニッケル板を加工することを特徴とする。
【0018】
また、剥離したニッケル板を洗浄する前に、光ディスク原盤の溝パタンを転写した面を、酸素雰囲気中で紫外線照射処理し、紫外線照射処理後できるだけ早く純水洗浄処理を行い、紫外線照射処理により切断した水溶性樹脂の結合鎖が再結合することを防いで洗浄効果を高める。
【0019】
この発明のスタンパは、前記スタンパの製造方法により製造したことを特徴とする。
【0020】
この発明の光ディスクは、前記スタンパを使用して成形した光ディスク基板を有することを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明の光ディスクの構成を示す断面図である。図に示すように、光ディスク1は、案内溝であるグルーブ2と凸部であるランド3が設けられ基板4のグルーブ2とランド3が設けられた面に第1の誘電体層5と記録層6と第2の誘電体層7と反射層8及び保護層9が積層されている。基板4は、例えばポリカーボネートやポリメチルメタクリレート等の透明樹脂で形成され、グルーブ2からランド3にほぼ垂直に立ち上がり、案内溝がほぼ矩形形状に形成されている。第1の誘電体層5と第2の誘電体層7は例えばSiO2やZnSの混合物が主に用いられている。記録層6はSbやTe,In,Ag,Geなどの合金が用いられ、これらの合金がアモルファス状態と結晶状態で光学定数が異なり、レーザ光を照射したときの反射率が異なることを利用して情報を読み取る。反射層8はAgやAu,Alなどの金属単体または合金で形成されている。
【0022】
この光ディスク1は、基板4側からレーザ光を照射して、グルーブ2とランド3に記録マークを記録したり、反射光を利用して記録した情報を読み取る。このようにグルーブ2とランド3に記録マークを記録するときに、基板4のグルーブ2からランド3にほぼ垂直に立ち上がっているから、案内溝を高密度に形成してもランド3を平坦に形成することができ、ランド3とグルーブ2の両方に記録する方式を用いても、隣接して記録された記録マークが互いに影響を与えることを防いでクロストークを大幅に低減することができ、記録容量の大きい光ディスク1を安定して作製することができる。
【0023】
この光ディスク1の基板4を成形するスタンパを作製する光ディスク原盤の製造方法を図2の工程図を参照して説明する。
【0024】
まず、表面が精密に研磨されたガラス基板11を洗浄して表面に付着したゴミ等を除去する。このガラス基板11に水溶性樹脂を塗布して、図2(a)に示すように下層12を形成するが、ガラス基板11に水溶性樹脂を塗布する前に、ガラス基板11を紫外線オゾン処理装置でUV/O3処理を2分間してガラス基板11の表面を親水化すると共に、表面の有機物を除去して表面に酸化皮膜を形成する。その後、高圧純水シャワーや超音波を印加した純水シャワーによって、ガラス板表面に浮いた不純物を完全に洗浄除去したあと、高速回転振り切り及びN2ブローによって乾燥させる。この処理を行うことによりガラス基板11に対する水溶性樹脂の塗れ性が向上し、水溶性樹脂の膜厚を均一化できると共に、水溶性樹脂とガラス基板11板の密着性を強めることができる。ここで、水に対する濡れ性すなわち親水性が向上できる方法であれば、オゾン処理以外の方法でも代用が可能である。例えば、イソプロピルアルコールなどの溶剤でガラス基板11の表面を洗浄して有機物を除去した後、純水により十分に洗浄しておけば、ガラス基板11の表面を親水性に置換することができる。しかし、有機物の除去性に優れている点や、薬品を使わない等、環境への影響やコスト及び作業性を考慮すると、UV/O3処理が最も優れた方式である。ここでガラス基板11の厚さは、あまり薄いと、後工程のニッケル電鋳時に内部応力によってガラス基板11が反ってしまうし、厚すぎると重くなって作業性に支障をきたすので、1mm〜10mmの間が望ましい。
【0025】
ガラス基板11の表面を処理した後、ガラス基板11の表面に感光性を有さない水溶性樹脂をスピンコートし、加熱乾燥して冷却することによって下層12を形成する。この加熱処理により水溶性樹脂の耐水性が高めることができる。この形成する下層12の膜厚は、スタンパ表面に形成する溝パタンの深さと同じになるように水溶性樹脂を塗布する。この水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコールやメチルセルロースあるいはポリビニルピロリドンのいずれかを用いる。例えばポリビニルアルコール(以下、PVAという)を塗布後、160℃から240℃の範囲内で30分程度の加熱乾燥を行う。このPVAはフォトレジストなどに比べて泡立ちやすく、一旦気泡が混入すると消えにくい。そのためガラス基板11を回転させながらPVAを塗布すると気泡を巻き込み、それがそのまま欠陥として残るおそれがある。そこで、ガラス基板11にPVAを塗布するとき、図3のに示すように、ガラス基板11を回転させないで水平に保った状態で、ガラス基板11の中央11aの直上にPVA供給部13を配置し、ガラス基板11の中央11aにPVAを滴下して自然に中心から周辺へ広がらせ、ある程度広がった時点でガラス基板11を回転して、PVAを振り切って均一に拡散させで、均一な厚さの水溶性樹脂膜からなる下層12を形成する。
【0026】
ガラス基板11に下層12を形成した後、図2(b)に示すように、下層12の表面にフォトレジストをスピンコートし、加熱乾燥した後、冷却してフォトレジスト層14を形成する。このフォトレジスト材料としては、例えば東京応化製のポジ型i線系フォトレジストといった高解像度タイプを使用し、膜厚が100nm〜200nmの範囲になるように調整する。このフォトレジストを塗布した後、温度90℃〜110℃の範囲で約30分加熱して室温まで冷却する。このフォトレジストを塗布したとき、下層12をPVAなどの水溶性樹脂で形成しているから、フォトレジストと混合することを防ぐことができる。
【0027】
この下層12とフォトレジスト層14を積層したガラス基板11を、原盤露光機のターンテーブルに載置し、ターンテーブルの回転数を、線速度が一定、例えば約7m/sになるように制御しながら、図2(c)に示すように、波長400〜420nmのレーザビーム15を対物レンズ16で集光してフォトレジスト層14をスパイラル状に露光してスパイラル状の潜像17を形成する。この潜像17を形成した後、スピナーにより低速回転しながら現像液で現像し、純水で洗浄して高速回転で振切り乾燥させる。この現像処理によりフォトレジスト層14に形成された潜像17が除去され、図2(d)に示すように、フォトレジスト層14に溝パタン18が形成される。このフォトレジスト層14に形成された溝パタン18の底幅Wbotは、フォトレジスト層14を露光するレーザビーム15の露光光量を調整することにより制御することができる。
【0028】
フォトレジスト層14に溝パタン18を形成した後、溝パタン18を有するガラス基板11をドライエアや乾燥した不活性ガス雰囲気中で1時間程度放置して水分を完全に除去する。これはフォトレジスト層14に形成した潜像17を現像して除去してから洗浄した純水の水分を下層12が含んで膨潤したままの状態で次の処理を行うと、微細な溝パタン18の形状が悪化してしまうため、それを防止するため、下層12に含んだ水分を完全に除去する。
【0029】
その後、図2(e)溝パタン18を有するガラス基板11を、紫外線オゾン処理装置で8分〜10分程度UV/O3処理して、オゾンと紫外線の作用により、溝パタン18の底の部分で露出している水溶性樹脂からなる下層11の重合結合鎖を切断して耐水性を失わせる。このUV/O3処理時のガラス基板11の温度は高いほど活性が上がって効率が良くなるが、フォトレジストの架橋硬化温度以上になると、後の工程で架橋硬化したフォトレジストが完全に除去できずに残渣として残ってしまう。フォトレジストとして例えばポジ型i線系フォトレジストを使用した場合、架橋硬化温度は約120℃以上であるから、UV/O3処理処理温度は、室温(20℃〜30℃)以上〜120℃未満の範囲内で行うことが望ましい。また、UV/O3処理をするとき、紫外線を照射する照射ランプを中心としてガラス基板11を回転させながら揺動させることにより、溝パタン18を有する面をむら無く均一にUV/O3処理することができる。
【0030】
このUV/O3処理が終了したら時間を置かずに直ちに純水による流水洗浄を行い、図2(f)に示すように、下層12の露出部分をエッチングして除去し、下層12に、断面がほぼ矩形形状の溝パタン19を形成する。すなわちUV/O3処理した後、時間が経過すると、UV/O3処理により切断した重合結合鎖が再び結合してエッチング効率が極端に低下するから、これを防止するためである。したがってUV/O3処理から純水流水洗浄までの間隔はできるだけ短時間、多くとも5分以内とする。また、純水流水洗浄して下層12の水溶性樹脂をエッチングするとき、水溶性樹脂は純水の温度が高いほど溶解速度は速く、純水の温度が低くなるほど溶解速度は遅くなり、この特性を利用することによりエッチング速度を制御することができる。この下層12のエッチングの速度が速いと、下層12のサイドエッチングで下層12がガラス基板11から剥離する問題が生じる。そこで下層11をエッチングするとき、純水の温度を15℃〜25℃の室温の範囲で一定に保ち、下層12のエッチング速度を適正に制御して、溝形状の変化率が小さい溝パタン19を形成する。
【0031】
下層12を純水でエッチングして溝パタン19を形成した後、溝パタン19を有するガラス基板11をドライエアや乾燥した不活性ガス雰囲気中で1時間程度放置して水分を完全に除去する。これは下層12をエッチングした純水の水分を下層12が含んで膨潤したままの状態でフォトレジスト層14を除去すると、図4の断面図に示すように、微細な溝パタン19のランド部分の中央部や肩部が盛り上がって溝パタン19の形状が悪化してしまうため、それを防止するため、下層12に含んだ水分を完全に除去する。
【0032】
溝パタン19を有する下層12の水分を完全に除去した後、溝パタン19を有する下層12とフォトレジスト層14を積層したガラス基板11全体を、上フォトレジスト層14を溶解可能な有機溶媒で満たされた槽に入れ、図2(g)に示すようにフォトレジスト層14を除去する。このフォトレジスト層14の除去に使用する有機溶液に求められる性質は、フォトレジスト層14を除去することが可能であり、かつ下層12の形状に影響を与えないことが必要であり、有機溶剤としては、例えば乳酸エチルやN−メチル−2−ピロリドンを用いる。このような有機溶剤を使用してフォトレジスト層14を除去することにより下層12の溝パタン19や突起部20の形状を変形することなしにフォトレジスト層14を除去することができる。また、これらの有機溶剤は有害性が低く、環境に対する影響を極力小さくすることができる。
【0033】
その後、図2(h)に示すように、溝パタン19と突起部20を有する面に導電性皮膜21を形成してスタンパを作製するための光ディスク原盤22を完成する。この導電性皮膜21の材質はスタンパを作製する材質と同じ材質であるニッケルを使用することが望ましい。また、ニッケル皮膜の形成方法は、Ar等の不活性ガスによるニッケルスパッタやニッケル蒸着などを利用する。無電解ニッケルめっきによる被膜形成は、前処理に水溶液を使用するため望ましくない。
【0034】
このように、ガラス基板11とフォトレジスト層14の間に水溶性樹脂の下層12を設け、フォトレジスト層14に形成された溝パタン18をマスク層として利用して下層12をエッチングするから、フォトレジスト層14に形成された溝パタン18の底幅が下層12の溝幅となり、フォトレジスト層14に形成された溝断面よりも細い溝、すなわち露光ビームスポット径以下の微細溝を下層12に形成することができるとともに断面形状が矩形の溝パタン19を下層12に形成することができる。さらに、フォトレジスト層14に溝パタン18の潜像17を形成するとき、露光用光源として波長400nm近傍のKrガスレーザを用いることが可能なので、光学系も高価な紫外域用ではなく通常の可視領域のものを使用でき、設備費を低減して光ディスク原盤22を低コストで作製することができる。また、下層12のエッチング工程やフォトレジスト除去工程において有害性の高い薬品類を使用する必要がないため、環境への負荷を極力低くすることができる。
【0035】
前記説明では光ディスク原盤22を作製するときガラス基板11を使用した場合について説明したが、ガラス基板11の代わりに金属やシリコンウエハ等を研磨したものを使用しても良い。
【0036】
次に、光ディスク原盤22を使用してスタンパを作製する製造方法を図5の工程図を参照して説明する。
【0037】
表面にニッケル導電性皮膜21を形成した光ディスク原盤22のニッケル導電性皮膜21を電極としてニッケル電鋳処理を施し、ニッケルを積層させ、図5(a)に示すように、溝パタン19と突起部20を転写したニッケル板23を形成する。このニッケル板23を形成するとき、光ディスク原盤22を処理槽に入れて、3分〜5分間、0.2A/dm2未満の弱電流密度で通電することにより、ニッケル導電性皮膜21がニッケル電鋳液によってエッチングされず、かつニッケル導電性皮膜21をニッケル電鋳液に馴染ませて濡れ性を向上させ、めっき析出が円滑かつ均一に始まり、ピット発生や電鋳時剥離を防ぐことができる。弱電流の通電終了後に通電電流値を所定の値まで上昇させて一定に保ち、所定の電鋳膜厚例えば300μm程度になるまで通電を続け、ニッケル板23を形成する。
【0038】
ニッケル電鋳によりガラス基板11にニッケル板23を形成した後、図5(b)に示すように、ガラス基板11からニッケル板23を剥離し、ニッケル板23に残留している下層12を純水によって洗浄して除去する。この下層12を除去するとき、水洗しただけでは残渣を完全に取り去ることができないため、図5(c)に示すように、ニッケル板23の溝パタン19と突起部20を転写した面に紫外線オゾン処理を20分程度施す。この処理により下層12を形成する水溶性樹脂の分子の結合を切って分解遊離する。この紫外線オゾン処理が終了したら、時間を置かずに例えば5分以内に90℃以上の加熱純水による流水洗浄を2分〜3分程度行い、下層12の残渣を溶解洗浄する。ここで洗浄時の純水が、90℃未満の温水の場合は、下層12を形成したPVA等の水溶性樹脂が糊状になってニッケル板23に強固に付着して取れなくなってしまう。また、最初から常温(15℃〜25℃)の純水では、付着した残渣を完全に洗い流すまでにかなりの時間例えば10分以上かかってしまう。これに対して90℃以上の水温の純水を使用すると、短時間でニッケル板23に付着している下層12の残渣を完全に溶解して洗い流すことができる。
【0039】
ニッケル板23を90℃以上の水温の純水で洗浄後、速やかに常温純水の流水に切り替えてニッケル板23を洗浄する。この洗浄するとき、高温の純水で洗浄した下層12の残渣を除去した状態で、そのまま振り切り乾燥すると、ニッケル板23が急速に乾燥して乾き染みができるてしまうため、これを防ぐために、高温の純水で洗浄した下層12の残渣を除去した直後でニッケル板23の表面が乾燥しないごく短時間例えば10秒以内に常温純水の流水による洗浄に切り換える。この洗浄が終了した後、ニッケル板23の情報パタン面側にプラスチックコートで保護膜を形成し、反対側の裏面を研磨する。このニッケルいた23の裏面の研磨はガラス基板11からニッケル板23を剥離する前に行っても良い。この場合は保護膜を作成する必要がなくなる。この後、ニッケル板23の内外径を所望の寸法に加工して、図5(d)に示すように、スパイラル状の突起パタン24を有するスタンパ25を完成する。
【0040】
このスタンパ25を使用して光ディスク1の基板4を成形するときは、図6の断面図に示すように、成形金型30の固定金型31と可動金型32との接合部に形成されるキャビティ33内にスタンパ25を固定し、キャビティ33内にノズル34から溶融樹脂を射出充填し、固定金型31と可動金型32との間で圧縮して成形する。その後、固定金型31と可動金型32を分離して冷却固化して成形品を取り出すことにより、基板4を作製することができる。この基板4に第1の誘電体層5と記録層6と第2の誘電体層7と反射層8及び保護層9が積層することにより光ディスク1を作製する。
【0041】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように、基板上に露光により反応しない水溶性樹脂を塗布して下層を形成し、形成した下層を加熱乾燥し、乾燥した下層の表面にフォトレジスト層を形成し、形成したフォトレジスト層を加熱乾燥し、フォトレジスト層にレーザービームを集光して露光してスパイラル状の潜像を形成し、潜像を形成したフォトレジスト層を現像して純水洗浄し、スパイラル状の溝パタンを形成し、溝パタンを有するフォトレジスト層をマスクとして酸素雰囲気中で紫外線照射処理を行った後、純水で洗浄し下層をエッチングすることにより、フォトレジスト層を露光する露光ビームスポット径以下の微細溝で断面形状が矩形のスパイラル状の溝パタンを下層に形成することができ、より高精度な微細溝を光ディスク原盤に形成することができる。
【0042】
また、フォトレジスト層をマスクとして酸素雰囲気中で紫外線照射処理を行うときの雰囲気を、室温以上でフォトレジスト層を形成するフォトレジストの架橋硬化温度以下とし、フォトレジスト層が架橋硬化することを防ぐことにより、下層を高精度にエッチングすることができる。
【0043】
また、フォトレジスト層をマスクとして酸素雰囲気中で紫外線照射処理した後、できるだけ早く純水洗浄処理を行い、紫外線照射処理により切断した水溶性樹脂の結合鎖が再結合することを防ぐことにより、下層を効率よくエッチングすることができる。
【0044】
また、潜像を形成したフォトレジスト層を現像して純水洗浄し、スパイラル状の溝パタンを下層に形成した後、乾燥雰囲気中で乾燥して下層に含む水分を除去してから紫外線照射処理を行ったり、純水で洗浄して下層をエッチングした後、乾燥雰囲気中で乾燥して下層に含む水分を除去してからフォトレジスト層を剥離することにより、下層に形成された溝パタンの形状が崩れることを防ぎ、高精度で安定した溝パタンを形成することができる。
【0045】
また、前記光ディスク原盤の導電性皮膜を陰極としてニッケル電鋳して光ディスク原盤の溝パタンを転写したニッケル板を形成し、形成したニッケル板を光ディスク原盤から剥離し、剥離したニッケル板を洗浄して付着物を除去し、洗浄したニッケル板を加工することにより、安定した形状の溝パタンを有するスタンパを形成することができる。
【0046】
さらに、剥離したニッケル板を洗浄する前に、光ディスク原盤の溝パタンを転写した面を、酸素雰囲気中で紫外線照射処理し、紫外線照射処理後できるだけ早く純水洗浄処理を行うことにより、紫外線照射処理により切断した水溶性樹脂の結合鎖が再結合することを防いでより洗浄効果を高めることができる。
【0047】
この発明の光ディスクは、前記スタンパを使用して成形した光ディスク基板を有し、ランドとグルーブに安定した記録マークを記録できるとともに、クロストークを大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の光ディスクの構成を示す断面図である。
【図2】光ディスク原盤の製造方法を示す工程図である。
【図3】ガラス基板に水溶性樹脂を塗布する状態を示す模式図である。
【図4】下層に形成した溝パタンの変形状態を示す模式図である。
【図5】スタンパの製造方法を示す工程図である。
【図6】光ディスの基板を成形する成形金型を示す断面図である。
【符号の説明】
1;光ディスク、2;グルーブ、3;ランド、4;基板、
5;第1の誘電体層、6;記録層、7;第2の誘電体層、8;反射層、
9;保護層、11;ガラス基板、12;下層、14;フォトレジスト層、
15;レーザビーム、16;対物レンズ、17;潜像、18;溝パタン、
19;溝パタン、20;突起部、21;導電性皮膜、
22;光ディスク原盤、23;ニッケル板、24;突起パタン、
25;スタンパ。
Claims (10)
- 基板上に露光により反応しない水溶性樹脂を塗布して下層を形成し、形成した下層を加熱乾燥し、乾燥した下層の表面にフォトレジスト層を形成し、形成したフォトレジスト層を加熱乾燥し、該フォトレジスト層にレーザービームを集光して露光してスパイラル状の潜像を形成し、潜像を形成したフォトレジスト層を現像して純水洗浄し、スパイラル状の溝パタンを形成し、溝パタンを有するフォトレジスト層をマスクとして酸素雰囲気中で紫外線照射処理を行った後、純水で洗浄し下層をエッチングしてスパイラル状の溝パタンを形成し、フォトレジスト層を剥離した後、スパイラル状の溝パタンを有する下層の表面に導電性皮膜を形成することを特徴とする光ディスク原盤の製造方法。
- 前記フォトレジスト層をマスクとして酸素雰囲気中で紫外線照射処理を行うときの雰囲気は、室温以上でフォトレジスト層を形成するフォトレジストの架橋硬化温度以下である請求項1記載の光ディスク原盤の製造方法。
- 前記フォトレジスト層をマスクとして酸素雰囲気中で紫外線照射処理した後、できるだけ早く純水洗浄処理を行う請求項2記載の光ディスク原盤の製造方法。
- 前記潜像を形成したフォトレジスト層を現像して純水洗浄し、スパイラル状の溝パタンを形成した後、乾燥雰囲気中で乾燥してから紫外線照射処理を行う請求項1乃至3のいずれかに記載の光ディスク原盤の製造方法。
- 前記純水で洗浄して下層をエッチングした後、乾燥雰囲気中で乾燥してからフォトレジスト層を剥離する請求項1乃至4のいずれかに記載の光ディスク原盤の製造方法。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の光ディスク原盤の製造方法により製造したことを特徴とする光ディスク原盤。
- 請求項6に記載の光ディスク原盤の導電性皮膜を陰極としてニッケル電鋳して光ディスク原盤の溝パタンを転写したニッケル板を形成し、形成したニッケル板を光ディスク原盤から剥離し、剥離したニッケル板を洗浄して付着物を除去し、洗浄したニッケル板を加工することを特徴とするスタンパの製造方法。
- 前記剥離したニッケル板を洗浄する前に、光ディスク原盤の溝パタンを転写した面を、酸素雰囲気中で紫外線照射処理し、紫外線照射処理後できるだけ早く純水洗浄処理を行う請求項7記載のスタンパの製造方法。
- 請求項7又は8に記載のスタンパの製造方法により製造したことを特徴とするスタンパ。
- 請求項9記載のスタンパを使用して成形した光ディスク基板を有することを特徴とする光ディスク。
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- 2003-07-07 JP JP2003192515A patent/JP2005032281A/ja active Pending
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