JP2006327147A - プラスチックレンズの成形方法およびプラスチックレンズ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
レンズ成形用金型20のキャビティに溶融した合成樹脂材料を充填し、前記合成樹脂材料を冷却硬化することによってレンズ形状を有する一次成形物10を射出成形する工程と、上型及び下型を備えるプレス成形型30に前記一次成形物10をセットし、一次成形物のレンズ面11に下型のレンズ転写面32Aを転写する工程とによって、高精度な転写性のレンズ面1を有するプラスチックレンズ3を成形する。
【選択図】 図2
Description
これらのプラスチックレンズは、CD,DVD等を記録・再生するための光学系(対物レンズ)としては十分な性能を有しているが、より記録密度を上げるために、さらなる光の絞り込みを行い、小さなビームスポットを実現することは困難であった。NAは、焦点距離一定の時の開口瞳の大きさを示す値であり、NAが大きいほどレーザ光が絞れ、高密度記録が可能となることが知られている。このことから、最近では、短い波長の青紫色レーザ光(ブルーレーザ)を用い、高開口数のレンズを用いて光学記録媒体の情報を記録・再生する次世代の光ディスク装置が知られてきた。この次世代の光ディスク装置には、NA0.8以上のプラスチックレンズが要求される。
また、曲面形状の曲率半径が小さい(表面の曲率が大きい)プラスチックレンズではレンズ面の厚みが大きくなるが、当該レンズ面の周囲に形成されるフランジの厚みを小さくし、レンズ全体の厚みを小さくしようとすると、レンズ面の転写性が低下していた。これはフランジに樹脂を注入するゲートを設けているため、フランジの厚みを小さくすると、樹脂が注入される入口が制限され、レンズに向かって流れる樹脂の流れが悪くなることが原因だと考えられている。
また、射出成形したプラスチックレンズでは冷却硬化時に収縮によってレンズ形状が変化することが知られているが、このレンズ形状の変化に対応すべく型補正を行う場合、最初に成形したレンズ形状を基に型補正をしているため、最初に成形したレンズのレンズ面において高精度な転写性が得られないと補正が不正確なものとなり、高精度な光学特性を得ることができなかった。
つまり射出成形した一次成形物をプレス成形し、高精度のレンズ転写面を前記一次成形物に転写して、曲面形状の曲率半径が小さく(表面の曲率が大きい)、きついカーブの曲面のレンズ面を形成するため、高精度な光学特性のプラスチックレンズを得ることができる。
これによって、法線と光軸とがなす角度が70度以上のレンズ面を備えるプラスチックレンズを容易に取得することができる。同様にして、レンズ径がφ4mm以下のプラスチックレンズであって、かつレンズの厚み(T)とフランジの厚み(t)との関係が、T/t≧6であるプラスチックレンズを容易に取得することができる。
この発明のプラスチックレンズの成形方法によれば、まず図1に示すように、射出成形によってレンズ形状を有する一次成形物を成形し、その後図2に示すように、プレス成形によって前記一次成形物のレンズ面に高精度のレンズ転写面を転写し、プラスチックレンズを成形する。
図1及び図2に示す実施例は、法線と光軸とがなす角度が60度のレンズ面を備えるプラスチックレンズを成形するものである。
この実施例では、屈折率が1.5程度のポリオレフィン系合成樹脂材料(例えば、日本ゼオン(株)製のZEONEX(登録商標))を使用し、レンズ形状の一次成形物10を射出成形した。
このとき、一次成形物10のレンズ面11は、法線と光軸とがなす角度が60度より小さくてよい(図1(b)を参照)。つまり一次成形物10では、所望とするプラスチックレンズよりも、レンズ面(光学機能面)となる凸部の曲面形状の曲率半径が大きく(表面の曲率が小さく)、ゆるいカーブの曲面となる。
またこの実施例では、一次成形物10を加熱プレスするとき、レンズの余肉部分が逃げ込むための凹部13をフランジ12に形成してある。
図2(a)に示す実施例では、高精度のレンズ転写面32Aを備える下型32を備えるプレス成形型30を使用し、一次成形物10を上型31及び下型32で挟み込んで加熱プレスすることによって、一次成形物のレンズ面11に前記下型のレンズ転写面32Aを転写する。
下型のレンズ転写面32Aは表面精度が高く、さらにプレス成形後のレンズ面形状が所望とする角度(この実施例では法線と光軸とのなす角度が60度)となるようにカーブの曲面が設計されている。
なお本実施例の場合は、一次成形物10のレンズ面11の曲率半径より下型のレンズ転写面32Aの曲率半径の方が小さいため、一次成形物10を下型上に載置した際にエア溜まりができてしまい、転写性を下げるおそれがあるため、加熱プレス時に真空成形した。真空成形することによってエア溜まりを発生させることなく、下型のレンズ転写面32Aの転写性を向上させることができる。
本実施例においては、一次成形物10のレンズ面11の曲率半径より下型のレンズ転写面32Aの曲率半径の方を小さくしたが、射出成形後のプレス成形において最終的なレンズ面形状が精度良く転写されればよいので、一次成形物10のレンズ面11が必ずしも精度良く成形される必要はなく、一次成形物10のレンズ面11の曲率半径より下型のレンズ転写面32Aの曲率半径の方が大きい関係であっても問題ない。その場合は、上述したようなエア溜まりの問題がないため、真空成形ではなく通常の成形で対応することができる。
開口数(NA)が0.8以上好ましくは0.85以上のプラスチックレンズを取得するには、屈折率が1.5〜1.65の材質の樹脂の場合、法線と光軸とがなす角度が60度以上、好ましくは70度以上のレンズ面1を形成することが好ましい。
屈折率の高い特殊な樹脂材料を用いれば、法線と光軸とがなす角度は必ずしも60度以上でなくても対応できるが、現状、光学材料として使用される樹脂材料としては、屈折率が1.5〜1.65の範囲のものが一般的であり、この一般的な樹脂材料を使用して開口数(NA)が0.8以上好ましくは0.85以上のプラスチックレンズを実現しようとすると、法線と光軸とのなす角度を60度以上、好ましくは70度以上のレンズ面1を形成することが好ましい。
上述したように、この発明によれば、射出成形したレンズ形状の一次成形物10のレンズ面11に高精度のレンズ転写面32Aを転写することによって、レンズ面の曲面形状の曲率半径が小さい(表面の曲率が大きい)プラスチックレンズを成形する。
これによって、図3(a)に示すように、法線と光軸とがなす角度が70度であり、レンズ面1がきついカーブの曲面であるプラスチックレンズであっても、高精度の転写性を有し、透過波面に悪影響を及ぼすことなく高精度の光学特性をもつ。つまり開口数(NA)が0.8以上好ましくは0.85以上のプラスチックレンズを容易に取得することができる。
曲面形状の曲率半径が小さい(表面の曲率が大きい)プラスチックレンズでは、レンズ面の厚みが大きくなってしまうため、レンズ全体の厚みを薄くするためにフランジの厚みを小さくすることが望まれる。しかしながらフランジの厚みを小さくしようとすると、射出成形のみによって成形したプラスチックレンズ(従来技術)では、レンズ面の周囲に形成されるフランジ2の厚みを小さくするほど、レンズ面の転写性が低下し、光学特性に悪影響を及ぼしていた。これは図1(a)に示す射出成形用金型のように、フランジ部分に樹脂を注入するゲートを設けているため、フランジの厚みを小さくすると、樹脂が注入される入口が制限され、レンズに向かって流れる樹脂の流れが悪くなることが原因だと考えられる。
つまり従来技術ではフランジの厚みが大きく、レンズレンズの厚み(T)とフランジの厚み(t)との関係が、T/t=5程度のプラスチックレンズには対応することができるが、その値が大きくなるほど(フランジの厚みが小さいほど)、レンズ面の転写性が低下していた。
つまり開口数(NA)が0.8以上好ましくは0.85以上の小型プラスチックレンズ(レンズ径がφ4mm以下)において、レンズレンズの厚み(T)とフランジの厚み(t)との関係が、T/t≧6であるフランジの厚みがより小さいレンズを取得することができる(レンズ全体の厚みをより小さく設計することができる)。
この実施例では、開口数(NA)が0.8以上好ましくは0.85以上の小型プラスチックレンズ(レンズ径がφ4mm以下)において、フランジの厚み(t)を0.2mm以下としても、レンズ面の転写性を低下させることなく、プラスチックレンズを取得することができた。
2 フランジ
3 プラスチックレンズ
10 一次成形物
11 レンズ面
12 フランジ
13 凹部
20 射出成形用金型
21 キャビティ
22 ゲート
30 プレス成形型
31 上型
32 下型
32A レンズ転写面
Claims (6)
- レンズ成形用金型(20)のキャビティに溶融した合成樹脂材料を充填し、前記合成樹脂材料を冷却硬化することによってレンズ形状を有する一次成形物(10)を射出成形する工程と、
上型及び下型を備えるプレス成形型(30)に前記一次成形物(10)をセットし、一次成形物のレンズ面(11)に下型のレンズ転写面(32A)を転写する工程とによって、
高精度な転写性のレンズ面(1)を有するプラスチックレンズ(3)を成形することを特徴とするプラスチックレンズの成形方法。 - 高精度のレンズ転写面(32A)を転写することによって、法線と光軸とがなす角度が60度以上のレンズ面(1)を形成したことを特徴とする請求項1に記載のプラスチックレンズの成形方法。
- 法線と光軸とがなす角度が70度以上のレンズ面(1)を形成したことを特徴とする請求項2に記載のプラスチックレンズの成形方法。
- 法線と光軸とがなす角度が70度以上のレンズ面(1)を備えることを特徴とするプラスチックレンズ。
- レンズ径がφ4mm以下のプラスチックレンズであって、レンズの厚み(T)とフランジの厚み(t)との関係が、T/t≧6であることを特徴とするプラスチックレンズ。
- 開口数が0.8以上であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のプラスチックレンズ。
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JP2005157428A JP2006327147A (ja) | 2005-05-30 | 2005-05-30 | プラスチックレンズの成形方法およびプラスチックレンズ |
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