JP2006111534A - クルクミン水溶液の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 クルクミン水溶液の製造方法の提供。
【解決手段】 αCDをクルクミン包接体として用いることでクルクミン水溶液を製造した。さらにβCDまたはγCDを用いることで、苦味を低減したクルクミン水溶液を製造した。
【選択図】 なし

Description

本発明はシクロデキストリンを用いるクルクミン水溶液の製造方法に関する。
ウコンは優れた肝機能改善作用を有する天然植物材料として知られている。ウコンはアジア熱帯原産のショウガ科の多年草で、古くから薬効が知られ、薬用だけでなく、食用、染料、観賞用などに幅広く使用されてきている。ウコンには、黄色の色素成分であるクルクミン、精油成分であるターメロン、シネオール、アルファークルクメン、クルクモール、ウラボノイド、アズレン、カンファーテルペン、ジヒドロターメロン、ジンギベレン等の成分が含まれており、これらに薬効作用があることが知られている。特にクルクミンには抗酸化作用があることが分かっており、近年注目を集めている(例えば、特許文献1参照。)。
クルクミンは難水溶性であるため、その製造は、主にウコンやターメリックを原料とした有機溶媒抽出によって行われている。また、ウコンに超臨界状態の炭酸ガスを接触させることによりクルクミンを抽出する方法が開発されている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、有機溶媒による抽出では、抽出物を得た後、有機溶媒を除去し、精製をする必要がある。また、超臨界状態を用いるには、設備設置のために過大な初期投資が必要であるという問題がある。さらにこれらにより得られるクルクミンは難水溶性であるため、水溶液として用いることが難しく、利用にあたり、その後の処理が容易ではなかった。
実際、ウコン粉末に超臨界状態の炭酸ガスを接触させる方法では、抽出したクルクミンを水とエタノ−ルの混合溶剤に溶解し、これをシクロデキストリン(以下、CDと略す)に吸着包接させて、その後エタノ−ルを除去することで水溶性CD−クルクミン複合体を製造している。しかし、本発明者らが検討したところ、この方法によっては水溶性CD−クルクミン複合体は得られないという矛盾が指摘された。それは、この方法に用いるCDが、αCD、βCD、γCDのいずれかまたは混合物を用いたか特定されていない一方、本発明の検討結果では、クルクミンの可水溶性化に最適なCDは、αCDであり、βCDのクルクミン可水溶性化能力は低く、γCDにはまったく効果がないことを確認したためである。さらに、αCDは3種のCDの中で、エタノールとも相性がよく、一旦、αCDとエタノールを混合すると、αCD−エタノール包接体が形成され、そこからエタノールを除去することは大変困難であり、エバポレーションだけでの完全除去は不可能に近いことも知られているからである。従って、この方法により、水溶性CD−クルクミン複合体を得ることは不可能であり、現時点において易水溶性のクルクミンあるいはクルクミン複合体またはクルクミン水溶液を得る方法は確立されていない。
クルクミンの製造に伴い、ウコン特有の苦み成分をマスキングし、苦味を低減することも望まれる。ウコン特有の苦味はそのまま食用したり、長期的に服用したりすることを妨げるという問題がある。そこで、ウコンを発酵させて苦味を低減する方法や(例えば、特許文献3参照。)ウコンにCD、特にβCDを添加して苦味を少なくした試験結果(例えば、非特許文献1参照。)が示されている。しかし、これらは、ウコンの苦味を低減することを主目的としたものであって、ウコンの中の特定の成分、例えば、クルクミンの製造において、クルクミンの含有割合を低下させないまま、苦味の低減を図る方法は示されていない。
特開2000−228966号公報 特開平6−9479号公報 特開平10−84908号公報 大石 真奈美、藤本 佳則、住吉 秀幸、小川 浩一、シクロデキストリンによる薬用植物の味質改善効果、第21回シクロデキストリンシンポジウム講演要旨集、p.77−78
本発明は、クルクミン水溶液の製造方法の提供を課題とする。さらに、苦味を低減したクルクミン水溶液の製造方法の提供を課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、αCDをクルクミン包接体として用いることでクルクミン水溶液が製造できることを見出した。さらにβCDまたはγCDを苦味成分の包接体として用いることで、苦味成分をマスキングし、苦味を低減したクルクミン原料に、さらにαCDを用いることによって苦味を低減したクルクミン水溶液が製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
クルクミン水溶液の製造にあたり、難水溶性のクルクミンを易水溶性にする必要がある。本発明者らは難水溶性のクルクミンに包接体としてαCDを用いることにより、易水溶性のαCD−クルクミン包接体とすることで、クルクミン水溶液を製造することを可能とした。さらにクルクミンを全く包接しないγCDを用いて、γCDによってウコンの主要な苦味成分として知られるターメロンが包接されることを利用して、クルクミン含量に影響を及ぼすことなく、苦味が低減したクルクミン水溶液を製造することを可能とした。
すなわち、本発明は次のクルクミン水溶液の製造方法である。
(1)クルクミン原料を、水とαシクロデキストリンの存在下で処理して水溶性のクルクミン包接体を形成し、これを採取することを特徴とするクルクミン水溶液の製造方法。
(2)クルクミン原料を、水とβシクロデキストリンまたはγシクロデキストリンの存在下で処理してβシクロデキストリン−苦味成分包接体水溶液またはγシクロデキストリン−苦味成分包接体水溶液を形成し、これを除去し、除去残渣からクルクミンを抽出することを特徴とする苦味が低減されたクルクミン水溶液の製造方法。
(3)クルクミン原料を、水とαシクロデキストリンの存在下で処理してαシクロデキストリン−クルクミン包接体水溶液を形成し、さらにβシクロデキストリンまたはγシクロデキストリンで処理してβシクロデキストリン−苦味成分包接体またはγシクロデキストリン−苦味成分包接体を形成し、苦味成分をマスキングすることを特徴とする苦味が低減されたクルクミン水溶液の製造方法。
(4)クルクミン原料が、ターメリック、ウコン、またはそのエタノール抽出法あるいは二酸化炭素超臨界抽出法によって得られたウコン抽出物である前記(1)〜(3)のいずれかに記載のクルクミン水溶液の製造方法。
(5)クルクミン原料を、水とβシクロデキストリンまたはγシクロデキストリンの存在下で処理してβシクロデキストリン−苦味成分包接体またはγシクロデキストリン−苦味成分包接体を形成し、苦味をマスキングすることを特徴とする苦味を低減する方法。
本発明の製造方法によってクルクミン水溶液を製造することができる。本発明により製造されたクルクミン水溶液および苦味を低減したクルクミン水溶液はそのまま食用に用いたり、長期的に服用したりすることもできる。
本発明の「クルクミン原料」とは、ターメリック、ウコンなどのクルクミンを多く含有する物をいい、クルクミンを含有し、それからクルクミンを得られるものであればいずれの物も用いることができる。クルクミン原料は、粉末、チップ等のクルクミン水溶液の製造に使用できる程度の形状および大きさにして用いることができる。さらに、ウコンからエタノール抽出法や二酸化炭素超臨界抽出法を用いて得たウコン抽出物をクルクミン原料として使用することもできる。高濃度のクルクミンを含む水溶液を得る場合には、ウコン抽出物をクルクミン原料とすることが特に好ましい。さらにクルクミン含有量が60%またはそれ以上のウコン抽出物をクルクミン原料とすることが特に好ましい。
クルクミン原料からクルクミン水溶液を製造するにあたり、水の存在下でαCDによってクルクミン包接体を形成し、易水溶性にすることが好ましい。本発明の「水とαCDの存在下で処理」とは、水とαCDとを同時にクルクミン原料に添加したり、クルクミン原料の水溶液にαCDを添加したりあるいはクルクミン原料にαCDの水溶液を添加することなどをいう。クルクミン原料としてウコンチップを用いた場合、ウコンチップ5gに対してαCDを1〜10g使用することがよく、2g使用することが特に好ましい。ウコン抽出物を用いた場合、ウコン抽出物0.5gに対してαCDを0.5〜10g使用することがよく、さらに2〜5g使用することがよく、4.5g使用することが特に好ましい。
本発明の「採取」とは、前記処理によって得られたαCD−クルクミン包接体の水溶液をろ過などの方法によって得ることをいい、得られた水溶液を乾燥させて、αCD−クルクミン包接体粉末を得ることも含む。
さらに、前または後処理工程として、ウコンなどのクルクミン原料に含まれる苦味成分をβCDまたはγCDを用いることによりマスキングすることで、苦味が低減された高濃度のクルクミン水溶液を製造することもできる。クルクミン原料としてウコンを用いた場合、ウコンの主要な苦味成分であるターメロンはβCDとγCDの双方と包接体を形成できることが知られている。特にクルクミンをまったく包接しないγCDは、クルクミンの含有量には大きな影響を及ぼすことなく、苦味を低減することができるため好ましい。本発明の「水とβCDまたはγCDの存在下で処理」とは、水とβCDまたはγCDとを同時にクルクミン原料に添加したり、クルクミン原料の水溶液にβCDまたはγCDを添加したりあるいはクルクミン原料にβCDまたはγCDの水溶液を添加することなどをいう。
本発明の「マスキング」とは、前記処理によってβCD−苦味成分包接体またはγCD−苦味成分包接体を形成し、苦味を低減することをいう。これらの苦味成分包接体は、水溶液に含まれるため、ろ過などの方法によって不溶性の除去残渣と分けて除去することができる。分離された不溶性の除去残渣にはクルクミンが含まれるため、そのまま苦味成分が除去されたクルクミン原料として、クルクミン水溶液の製造に用いることができる。また、水溶液に含んだままでも苦味成分をマスキングしているため、苦味を低減することができる。
βCDまたはγCDによって包接される成分としては、アズノン、カンファー、ジヒドロターメロン、ジンギベレン、d−a−フェラドレンシネオール、ターメロン等の精油成分が挙げられるが、苦味成分の低減においては、苦味の主成分であるターメロンをマスキングすることが有効である。これらのβCDまたはγCDによって包接される精油成分には、肝臓の解毒機能促進作用、利尿作用、強心作用、抗菌作用、血中コレステロールの抑制作用などがあることから、苦味を低減したクルクミン水溶液の製造に利用する以外に、βCDまたはγCDを用いて様々な作用を有するβCD−精油成分包接体またはγCD−精油成分包接体の製造に利用することもできる。
以下、本発明について実施例、比較例、試験例により具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
クルクミン水溶液の製造
クルクミン原料としてウコンチップを用いた。ウコンチップ5gに、αCDを2g加えた試料7gを蒸留水100mlに添加し、室温で2日間マグネチックスターラーを用いて撹拌し、ウコン抽出液を得た。得られた抽出液を、フィルター(孔径:0.2μm 厚み:13mm; ワットマン社製)にてろ過し、αCD−クルクミン包接体水溶液を得た。得られたαCD−クルクミン包接体水溶液のクルクミン含量をHPLC(島津製作所製)によって測定した。測定したクルクミン含量を表1に示した。
比較例1
クルクミン原料としてウコンチップを用いた。ウコンチップ5gに、βCDまたはγCDを2g加えた試料7gを蒸留水100mlに添加し、室温で2日間マグネチックスターラーを用いて撹拌し、ウコン抽出液を得た。得られた抽出液を、フィルター(孔径:0.2μm 厚み:13mm; ワットマン社製)にてろ過し、βCD包接体水溶液またはγCD包接体水溶液を得た。得られたそれぞれの水溶液のクルクミン含量をHPLC(島津製作所製)によって測定した。測定したクルクミン含量を表1に示した。
クルクミン水溶液の製造
クルクミン原料としてウコンチップを用いた。ウコンチップ5gに、αCDを2g加えた試料7gを蒸留水200mlに添加し、100mlになるまで煮詰め、ウコン抽出液を得た。得られた抽出液を、フィルター(孔径:0.2μm 厚み:13mm; ワットマン社製)にてろ過し、αCD−クルクミン包接体水溶液を得た。得られたαCD−クルクミン包接体水溶液のクルクミン含量をHPLC(島津製作所製)によって測定した。測定したクルクミン含量を表1に示した。
比較例2
クルクミン原料としてウコンチップを用いた。ウコンチップ5gに、βCDまたはγCDを2g加えた試料7gを蒸留水200mlに添加し、100mlになるまで煮詰め、ウコン抽出液を得た。得られた抽出液を、フィルター(孔径:0.2μm 厚み:13mm; ワットマン社製)にてろ過し、βCD包接体水溶液またはγCD包接体水溶液を得た。得られたそれぞれの水溶液のクルクミン含量をHPLC(島津製作所製)によって測定した。測定したクルクミン含量を表1に示した。
Figure 2006111534
結果
実施例1に記載のαCDを添加して水により抽出した製造方法によると、1.503μg/mlのクルクミンを含むαCD−クルクミン包接体水溶液が得られた。また実施例2のように湯から抽出した場合は、0.115μg/mlと少なくはあったがクルクミンを含むαCD−クルクミン包接体水溶液が得られた。一方、βCD、γCDを添加して水または湯により抽出する製造方法では、βCD水溶液またはγCD水溶液にはクルクミンが含まれなかった。これらの結果より、クルクミンを安定に製造するには実施例1に記載のαCDを用い、常温で水により抽出することが最も適した製造方法であることが確認された。
ウコン抽出物を用いたクルクミン水溶液の製造
(1)ウコン抽出物の作成
クルクミン原料として秋ウコン粉末を原料とするエタノール抽出法によるウコン抽出物を用いた。秋ウコン粉末50gに50%エタノール500mlを加え、室温で2日間マグネチックスターラーを用いて緩やかな回転(100〜200rpm)で攪拌し、抽出液を得た。得られた抽出液を50℃で真空乾燥して5gのウコン抽出物を得た。
(2)ウコン抽出物のαCD包接体の作成
乳鉢にαCDを4.5g計り取り、蒸留水5mlを加えて、ペーストになるまで練った後、前記(1)で作成したウコン抽出物を0.5g加えて、更に練った。これらの混合物を50℃で真空乾燥して、4.1gのαCD−ウコン抽出物包接体を得た。
(3)ウコン抽出物におけるクルクミン含有量
得られたαCD−ウコン抽出物包接体1gを蒸留水10mlに加え、24時間、シェイカーで攪拌し、フィルター(孔径:0.2μm 厚み:13mm; ワットマン社製)を用いてろ過しαCD−ウコン抽出物包接体飽和水溶液を得た。得られたαCD−ウコン抽出物包接体飽和水溶液のクルクミン含量をHPLC(島津製作所製)によって測定した。測定したクルクミン含量を表2に示した。
比較例3
前記実施例1(1)の方法にて得たウコン抽出物0.5gを、乳鉢で練ったβCDまたはγCDに加え、更に練った後、これらの混合物を50℃で真空乾燥して、4.2gのβCD−ウコン抽出物包接体または4.0gのγCD−ウコン抽出物包接体を得た。これらのウコン抽出物包接体それぞれ1gを蒸留水10mlに加え、24時間、シェイカーで攪拌し、フィルター(孔径:0.2μm 厚み:13mm; ワットマン社製)を用いてろ過し、βCD−ウコン抽出物包接体飽和水溶液またはγCD−ウコン抽出物包接体飽和水溶液を得られたそれぞれの水溶液のクルクミン含量をHPLC(島津製作所製)によって測定した。測定したクルクミン含量を表2に示した。
Figure 2006111534
結果
αCD−ウコン抽出物包接体飽和水溶液に含まれるクルクミンの含量は34.2μg/mlであり、 βCD−ウコン抽出物包接体飽和水溶液に含まれるクルクミンの含量は5.38μg/mlであり、γCD−ウコン抽出物包接体飽和水溶液に含まれるクルクミンの含量は0.00μg/mlであった。よって、ウコン抽出物を作成した後、αCDで包接することによってウコン抽出物中のクルクミンが可水溶性化され、αCD−クルクミン包接体水溶液が得られることが示された。さらに比較例より、αCDの変わりにβCD−クルクミン包接体水溶液を用いた場合でも、少量ではあるがウコン抽出物中のクルクミンが可水溶性化され、βCD−クルクミン包接体水溶液が得られることが示された。一方でγCDを用いた場合では、クルクミンが全く可水溶性化されないことが確認された。
試験例1
各CDのクルクミン溶解度の測定
クルクミン(純度95%以上)1mgを10mlメスフラスコに量り取り、エタノールで溶解させ、これを原液とした。エタノール濃度が50%になるよう、原液と蒸留水とエタノールを用いて各濃度の標準液を調製した。標準液の濃度および吸光度計(423nm)で測定した吸光度(Abs)を表3に示した。
Figure 2006111534
クルクミン(純度95%以上)1mgを10mlメスフラスコに量り取り、蒸留水10mlで溶解させ、様々な濃度になるように各CDを加え、24時間シェイカーで攪拌した。βCDは溶解度が低いため、αCDまたはγCDと比較して低い濃度で設定した。攪拌後、各溶液を遠心(6000rpm×15min)し、上清をフィルターろ過後、50%エタノール溶液になるよう希釈し、吸光度計(423nm)で吸光度を測定した。各溶液の組成および吸光度により得られた濃度を表4に示し、クルクミンとCDの溶解度を図1に示した。
Figure 2006111534
結果
図1に示されたように2.5%αCDで最もクルクミン濃度が高くなり、そこからはクルクミンの溶解度は減少していた。βCD、γCDではどの濃度段階でもクルクミンの溶解度の改善はみられなかった。従ってクルクミンの可水溶性化にはαCDのみが有効であり、2.5%αCDのときにクルクミンの溶解度は最大の270μg/mlとなることが確認され、βCDまたはγCDはクルクミンは全く可水溶性化できず、可水溶性化には不適であることが示された。
(1)ウコン抽出物における苦味成分のマスキング
秋ウコン粉末50gに50%エタノール500mlを加え、室温で2日間マグネチックスターラーを用いて緩やかな回転(100〜200rpm)で攪拌し、抽出液を得た。得られた抽出液を50℃で真空乾燥して5gのウコン抽出物を得た。得られたウコン抽出物5gに蒸留水500mlを加えてウコン抽出物の懸濁液とした後、懸濁液100mlにαCD、βCDまたはγCDを1g添加し、混合することで、αCD−ウコン抽出物包接体水溶液、βCD−ウコン抽出物包接体水溶液、γCD−ウコン抽出物包接体水溶液を調製した。
(2)苦味の評価
前記(1)で得られた各水溶液と、比較としてCD無添加のウコン抽出物水溶液を用い、4種類の水溶液における苦味の評価を行った。7人のパネラーが4種類の水溶液に苦味の少ない順に順位をつけ、順位和の高さによって苦味の強さを評価した。評価結果を図2に示した。
結果
CD無添加のウコン抽出物水溶液と比較してCDを添加すると苦味が低減することが示された。苦味の低減はβCDまたはγCDを添加した水溶液が顕著であり、ウコン抽出物の苦味の低減にはβCDまたはγCDが効果的であることが確認された。
苦味を低減したクルクミン水溶液の製造
(1)苦味成分のマスキング
クルクミン原料として秋ウコン粉末を原料とするウコン抽出物を用いた。秋ウコンの粉末50gに蒸留水500mLを加え、γCD(ワッカー社製)を5g加えて、室温で2日間マグネチックスターラーを用いて撹拌し、γCD−苦味成分包接体水溶液を得た。得られた前記水溶液を、ろ紙(孔径:6μm; アドバンテック社製)を用いてろ過し、ろ紙上に残った不溶物質とγCD−苦味成分包接体水溶液に分けた。得られたγCD−苦味成分包接体水溶液を廃棄することでγCDに包接されて水溶液に抽出された苦味成分をマスキングした。
(2)ウコン抽出物
前記(1)によって得られた不溶物質より、苦味を低減したクルクミン原料としてウコン抽出物を得た。得られた不溶物質に50%エタノール500mLを加え、室温で2日間マグネチックスターラーを用いて撹拌し、ウコン抽出液を得た。得られたウコン抽出液を50℃で真空乾燥してウコン抽出物の粉末2gを得た。
(3)ウコン抽出物におけるクルクミン含有量
前記(2)で得られたウコン抽出物1gを蒸留水10mlに加え、フィルター(孔径:0.2μm 厚み:13mm; ワットマン社製)ろ過し、ウコン抽出物含有水溶液を得た。得られたウコン抽出物含有水溶液のクルクミン含量をHPLC(島津製作所製)によって測定した。
結果
比較としてγCD抽出前のウコンのクルクミン含量を測定したところ、γCDによって苦味成分を抽出する前と、抽出した後では、クルクミンの含有量が抽出前は、2.6重量%、抽出後は、2.4重量%であって、含有量に大きな低下は見られないことが確認できた。従って、クルクミン含量を保持した状態で、γCDによってウコン特有の苦味が減少、抑制されることが示された。さらに、真空乾燥して得た粉末を水で煎じて飲用したところ、ウコン特有の苦味はなく、飲用しやすい物であった。この苦味を低減したウコン抽出物を実施例1に記載のクルクミン水溶液の製造法に組み合わせることにより、苦味が少ないクルクミン水溶液を極めて簡単に、また効率よく得ることができた。
本発明の製造方法によって得られたクルクミン水溶液は有機溶媒を全く含まないため安全に利用できる。さらに、苦味を低減したクルクミン水溶液はそのまま食用に用いたり、長期的に服用したりすることもできる。
クルクミンとCDの溶解度を示した図である(試験例1)。 苦味の評価結果を示した図である(実施例4)。

Claims (5)

  1. クルクミン原料を、水とαシクロデキストリンの存在下で処理して水溶性のクルクミン包接体を形成し、これを採取することを特徴とするクルクミン水溶液の製造方法。
  2. クルクミン原料を、水とβシクロデキストリンまたはγシクロデキストリンの存在下で処理してβシクロデキストリン−苦味成分包接体水溶液またはγシクロデキストリン−苦味成分包接体水溶液を形成し、これを除去し、除去残渣からクルクミンを抽出することを特徴とする苦味が低減されたクルクミン水溶液の製造方法。
  3. クルクミン原料を、水とαシクロデキストリンの存在下で処理してαシクロデキストリン−クルクミン包接体水溶液を形成し、さらにβシクロデキストリンまたはγシクロデキストリンで処理してβシクロデキストリン−苦味成分包接体またはγシクロデキストリン−苦味成分包接体を形成し、苦味成分をマスキングすることを特徴とする苦味が低減されたクルクミン水溶液の製造方法。
  4. クルクミン原料が、ターメリック、ウコン、またはそのエタノール抽出法あるいは二酸化炭素超臨界抽出法によって得られたウコン抽出物である請求項1〜3のいずれかに記載のクルクミン水溶液の製造方法。
  5. クルクミン原料を、水とβシクロデキストリンまたはγシクロデキストリンの存在下で処理してβシクロデキストリン−苦味成分包接体またはγシクロデキストリン−苦味成分包接体を形成し、苦味をマスキングすることを特徴とする苦味を低減する方法。

















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