JP2006109535A - Dc−dcコンバータの制御回路、およびその制御方法 - Google Patents

Dc−dcコンバータの制御回路、およびその制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 同期整流方式のDC−DCコンバータで、電力供給停止時、迅速な出力電圧の低下を低消費電力で実現可能なDC−DCコンバータの制御回路、およびその制御方法を提供すること。
【解決手段】 電力供給停止信号STPがローレベルの間は、制御部40は比較器COMP2およびフリップフロップ回路FFの出力信号に応じてNMOSトランジスタFET2を制御する。一方、電力供給停止信号STPがハイレベルの間は、制御部40は逆流検知信号BUDおよびフリップフロップ回路FFの出力信号をマスクして、比較器COMP3の検出信号DETに応じてNMOSトランジスタFET2を制御する。チョークコイル電流が逆流することで、出力電圧VOUTが、基準電圧E2に対応した出力基準電圧OE2まで低下すると、NMOSトランジスタFET2は非導通状態とされ、電力は入力端子(VI)に回生される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、DC−DCコンバータの制御に関するものであり、特に、同期整流方式のDC−DCコンバータにおいて、動作の停止や設定出力電圧の変更に伴う、出力電圧の制御に関するものである。
携帯型電子機器は、電池等のバッテリーを電源として使用されるが、機器稼動に伴う電力消費にしたがい時間と共にバッテリー電力は放電され、バッテリーの出力電圧は低下していく。こうしたバッテリー電圧の経時変化に対して機器電源の電圧値を一定に維持するため、DC−DCコンバータにより供給電源の定電圧化が図られている。
電子機器によっては、各々電圧値の異なる複数の電圧源が使用される場合があり、それぞれの電圧源に対して個別にDC−DCコンバータが備えられることがある。この場合、電子機器の起動・停止に伴い、各電圧源の起動・停止のシーケンスを考慮して適格な順序で立上げ・立下げを行うことが重要である。起動・停止のシーケンスの順序が適格でないと、電子機器を構成している半導体装置において、PN接合部に順バイアスが印加された状態が維持され不要電流が流れ続ける、いわゆるラッチアップ現象を招来してしまうおそれがあるからである。ラッチアップ現象が発生すると、電流制限がされない場合には、半導体装置等が焼損してしまうことも考えられる。
これらの不都合を回避するためには、DC−DCコンバータの停止時に、負荷の軽重に関わらず、出力コンデンサ等の負荷側の容量に蓄積されている電力を効率的に引き抜き、出力電圧を速やかに低下させることが必要である。出力電圧を速やかに低下させることにより、停止時に電圧源が残存して不足の動作が行われてしまうことを防止できると共に、電圧源に残存電圧がない状態で起動動作を行うことができ、電圧源の起動シーケンスを適格に行うことができるからである。
停止時、出力コンデンサ等の負荷側の容量に蓄積されている電力を効率的に引き抜き、出力電圧を速やかに低下させる方策として、ブリーダ抵抗等の容量放電径路を備えることも考えられるが、この径路により常時、電力が消費されてしまい好ましくない。そこで、例えば、特許文献1に開示されているような必要に応じて容量放電径路を形成する技術が提案されている。
図6に示す同期整流方式のDC−DCコンバータでは、動作状態において、メイントランジスタTr121の導通によりチョークコイルL121に蓄積されたエネルギーは、メイントランジスタTr121の非導通期間に、同期整流用トランジスタTr122の導通により出力側VOに放出される。同期整流用トランジスタTr122の導通制御は、同期整流制御回路250により行われる。
停止時、オン信号ONはローレベルとなる。このとき、DSCHG信号がハイレベルであれば、アンド回路AND102もハイレベルを出力するため、同期整流制御回路250に関わらず、オア回路OR101は常にハイレベルを出力する。ドライブ回路260を介して同期整流用トランジスタTr122は常に導通状態とされる。オン信号ONのローレベルによりメイントランジスタTr121は非導通となると同時に、同期整流用トランジスタTr122の導通によって出力側VOをグランド電位に短絡することで、負荷側の容量を強制的に放電する。
尚、その他の関連技術として特許文献2が開示されている。
特開平9−154275号公報 特開2004−56992号公報
上記背景技術に示したDC−DCコンバータでは、停止時に負荷側の容量を強制的に放電する際、同期整流用トランジスタTr122の導通によりチョークコイルL121の一端を接地電位に接続する。チョークコイルL121の他端は出力側VOに接続されており、この時点では出力電圧が残存していると考えられる。特に、軽負荷状態にある場合には動作状態においてレギュレートされていた所定の出力電圧に近い電圧値が残存していることとなり、出力キャパシタC121等を含む負荷側の容量は出力電圧に応じたエネルギーが蓄積された状態にある。同期整流用トランジスタTr122の導通により、放電電流は(チョークコイルの端子間電圧)/(チョークコイルのインダクタンス)に応じた傾きで増加し、電流増加に応じて、出力コンデンサに蓄積されていたエネルギーが順次、チョークコイルL121に移動することとなる。
特許文献1では、出力キャパシタC121等に蓄積されていたエネルギーが、放電電流の増加に伴い、接地電位を経て消費されると共に、チョークコイルL121に蓄積されていくが、最終的には、チョークコイルL121に蓄積されたエネルギーも放電電流として流れて消費されることとなる。出力側VOに残存しているエネルギーが、DC−DCコンバータの停止に伴い消費されてしまう。電力を無駄に消費してしまい問題である。
また、チョークコイルL121への蓄積されるエネルギーの総量は、そのインダクタンス値に応じて限界がある。停止時に同期整流用トランジスタTr122を導通し続けることにより、チョークコイルL121への蓄積エネルギーは増加の一途をたどるが、許容蓄積エネルギーを越えて同期整流用トランジスタTr122の導通状態が継続されてしまうと、チョークコイルL121が磁気飽和してしまうおそれがある。磁気飽和に伴って流れる過大電流が、同期整流用トランジスタTr122やその他の構成部品を損傷させてしまうおそれがあり、またチョークコイルL121自体の特性劣化を招来するおそれもあり、問題である。
更に、電子機器によっては負荷の状況に応じて電源電圧値を変化させたい場合がある。軽負荷状態においてより低い電圧値に変化させる場合、DC−DCコンバータから供給される出力電圧を速やかに低下させることが望まれる。この場合にも、出力コンデンサ等に蓄積されている過剰エネルギーを速やかに引き抜く必要があるが、特許文献1の方法をもってしては、引き抜き後の出力電圧のレギュレートを行うことが困難であり問題である。
本発明は前記背景技術の課題の少なくとも1つを解消するためになされたものであり、同期整流方式のDC−DCコンバータにおいて、電力供給停止時、負荷の軽重に関わらず、負荷側の容量成分に蓄積されているエネルギーを入力側に回生しながら出力電圧を速やかに低下させることにより、迅速な出力電圧の低下を低消費電力で実現可能なDC−DCコンバータの制御回路、およびその制御方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、第1の発明に係るDC−DCコンバータ制御回路は、誘導素子に電力を蓄積する際に導通する第1スイッチング素子と、誘導素子に蓄積された電力の負荷への放出期間に応じて、スイッチング制御されて導通する第2スイッチング素子とを制御するDC−DCコンバータ制御回路であって、電力の負荷への放出と逆方向の電流を検知して逆流検知信号を出力する逆流検知部と、逆流検知信号に応じて第2スイッチング素子を非導通状態とする回路であって、負荷に印加される負荷印加電圧の低下を指示する所定信号に応じて逆流検知信号を無視し、負荷印加電圧に応じて第2スイッチング素子を非導通状態とする制御部と、を備えることを特徴とする。
また、第1の発明に係るDC−DCコンバータの制御方法は、誘導素子に電力を蓄積する際に導通する第1電流径路と、誘導素子に蓄積された電力の負荷への放出期間に応じて導通する第2電流径路とを制御するDC−DCコンバータの制御方法であって、電力の負荷への放出と逆方向の電流を検知して逆流検知信号を出力し、逆流検知信号に応じて第2スイッチング素子を非導通状態とし、負荷に印加される負荷印加電圧の低下を指示する所定信号に応じて逆流検知信号を無視して、負荷印加電圧に応じて第2スイッチング素子を非導通状態にすることを特徴とする。
第1の発明に係るDC−DCコンバータ制御回路または制御方法では、誘導素子に蓄積された電力の負荷への放出期間に応じて、第2スイッチング素子または第2電流径路がスイッチング制御されて導通することにより、誘導素子の端子間電圧が反転して時間に対して負の傾きで電流が流れる、いわゆる同期整流動作が行われる。逆流検知部は、電力の負荷への放出と逆方向に流れる電流を検知する。制御部は、通常のレギュレート動作時においては、逆流検知信号に応じて第2スイッチング素子を非導通状態とする回路である。そして制御部は、負荷に印加される負荷印加電圧を低下させる所定信号に応じて逆流検知信号を無視し、負荷印加電圧に応じて第2スイッチング素子を非導通状態とする。
これにより、誘導素子の蓄積電力を放出するにあたっては、第2スイッチング素子または第2電流径路を導通して、誘導素子の端子間電圧を、電力蓄積時とは逆転させる。この時点で誘導素子に流れている電流に応じて電力が蓄積されている。この電流をピーク電流として、負荷に向かって流れる電流の時間傾きが時間と共に減少することに応じて電力の放出が行われ、電流の電流値がゼロになる時点で電力の放出が完了するところ、その後も第2スイッチング素子または第2電流径路の導通が維持される。このため、第1電流の電流方向が反転して負荷から誘導素子に向かって電流が流れ始める。
従来のDC−DCコンバータ制御回路では、逆流検知部により電力の負荷への放出と逆方向の電流を検知して逆流検知信号を出力することに応じて、第2スイッチング素子が非導通状態とされる。しかし本発明に係るDC−DCコンバータ制御回路の制御部では、負荷に印加される負荷印加電圧の低下を指示する所定信号に応じて逆流検知信号を無視するため、負荷から誘導素子への電流の逆流が開始されても第2スイッチング素子は非導通とされず、電流の逆流が許可される。これに応じて誘導素子には、負荷側の電力が移動して蓄積されることとなる。負荷での消費電力が少ない状態において負荷側に放出される電力が過剰である場合に、誘導素子の電力放出期間を越えて第2スイッチング素子または第2電流径路の導通状態を維持してやれば、過剰電力を誘導素子に戻すことができる。
さらに負荷に印加される負荷印加電圧に応じて、第2スイッチング素子または第2電流径路が非導通とされると、誘導素子に戻された電力が入力側に回生されることにより、過剰電力を入力側に戻すことができる。これにより、負荷側に蓄積されてしまう過剰電力を回生することができ、無駄な電力の消費が避けられるため、DC−DCコンバータの電力変換効率の向上を図ることができる。これは、誘導素子から入力側に向かって整流機能を有する素子を備えてやれば行うことができる。第1スイッチング素子または第1電流径路としてMOSトランジスタを使用する場合においては、MOSトランジスタのボディダイオードを利用すれば回生を行うことができる。
またこれにより、負荷側にブリーダ抵抗等の擬似負荷を備える必要はないため、ブリーダ抵抗等に伴う追加の電力消費は伴わず、加えて誘導素子に戻された過剰電力を入力側に回生できることとも相俟って、電力変換効率の改善を図ることができる。
本発明によれば、同期整流方式のDC−DCコンバータにおいて、電力供給動作の停止時に、負荷の軽重に関わらず、負荷側の容量成分に蓄積されているエネルギーを入力側に回生しながら出力電圧を速やかに低下させることにより、迅速な出力電圧の低下を低消費電力で実現可能なDC−DCコンバータの制御回路、およびその制御方法を提供することが可能となる。
以下、本発明のDC−DCコンバータの制御回路、およびその制御方法について具体化した実施形態を図1乃至図5に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明の第1実施形態を図1および図2を用いて説明する。図1は、第1実施形態に係る同期整流型のスイッチング方式の電流制御型DC−DCコンバータ1の回路図である。DC−DCコンバータ1の電力供給動作の停止時に、同期整流スイッチ回路であるNMOSトランジスタFET2をオンオフ制御する手段を設けて、該NMOSトランジスタFET2を介して負荷側容量に蓄えられた電力をチョークコイルL1に逆流させることで入力側に回生させるようにして、DC−DCコンバータ1の出力電圧VOUTを急速に低下させることを特徴とする構成である。
入力電圧VINが入力される入力端子(VI)は、NMOSトランジスタFET1のドレイン端子に接続されている。NMOSトランジスタFET1のソース端子は、チョークコイルL1の一端子、およびNMOSトランジスタFET2のドレイン端子に接続されている。NMOSトランジスタFET2のソース端子は接地電位に接続されている。NMOSトランジスタFET1、FET2のゲート端子は、後述する制御回路11の出力端子(DH)、(DL)に各々接続されている。NMOSトランジスタFET1は、スイッチング用のメイン・トランジスタであり、制御部40によりオン/オフの制御が行われる。NMOSトランジスタFET2は、メイン・トランジスタであるNMOSトランジスタFET1がオフである期間にオン状態とされ、チョークコイルL1に蓄えられたエネルギーを放出するための同期整流用スイッチである。
また、ダイオード素子D1が、アノード端子を接地電位に、カソード端子をチョークコイルL1の一端子に接続されて備えられている。ダイオード素子D1は、チョークコイルL1に蓄えられたエネルギーを放出するためのフライ・ホィール・ダイオードである。後述するスイッチング動作により整流作用を有するNMOSトランジスタFET2を補助する目的で備えられている。電圧を変換するためのチョークコイルL1の他端子は、センス抵抗Rsを介して出力端子(VO)に接続されており、入力電圧VINが降圧されて出力電圧VOUTとして出力される。センス抵抗RsはチョークコイルL1に流れる電流を検出するための電流センス抵抗である。出力端子(VO)と接地電位との間には、出力キャパシタC1が接続される。出力キャパシタC1では、チョークコイルL1を介して供給される電力が蓄積され、出力の平滑化が行われる。
ここで、NMOSトランジスタFET1、FET2のソース端子には、NMOSトランジスタFET1、FET2のバックゲート端子が接続されていることが一般的である。バックゲート端子とは、MOSトランジスタ内部構造におけるウェル部であり、NMOSトランジスタにおいてはP型導電層である。したがって、NMOSトランジスタFET1、FET2においては、ソース端子からバックゲート端子を経てドレイン端子に向かい、PN接合構造が形成されていることが一般的である。いわゆるボディダイオード構造である。ボディダイオードにより通常の電流方向とは逆方向に整流作用を有する。
制御回路11は、NMOSトランジスタFET1、FET2を交互に導通制御することにより、入力端子(VI)から入力される入力電圧VINを降圧して出力端子(VO)に電力供給を行う際、出力電圧VOUTを所定電圧値に維持する制御を行う。制御回路11は、入力端子(VI)が電源端子(VCC)に接続されており、入力電圧VINが電源電圧として給電される。図1では、フリップフロップ回路FF、発振器OSC1、比較器COMP1等を用いてスイッチング動作を行う、電流モード制御によりレギュレート動作が行われる回路構成について例示している。
センス抵抗Rsの両端子が接続される端子(CS)および端子(FB)は、増幅器AMP1の非反転入力端子および反転入力端子に接続され、センス抵抗Rsの端子間電圧が増幅される。出力端子(VO)に接続されている端子(FB)は、更に抵抗素子R2を介して接地電位に接続されている抵抗素子R1の一端子である接続点N3に接続されている。抵抗素子R1、抵抗素子R2は、出力電圧VOUTを分圧するための電圧分割抵抗であり、出力電圧VOUTが規格値のときの分割結果が基準電圧E1と同じになるように設定されている。誤差増幅器ERA1は一つの非反転入力と二つの反転入力を持つ電圧増幅器である。誤差増幅器ERA1の非反転入力には、接続点N3が接続される。誤差増幅器ERA1の二つの反転入力の一方には基準電圧E1が接続され、他方の反転入力には端子(SS)とスイッチ回路SWが接続される。誤差増幅器ERA1は、二つの反転入力のうち、低い方の電圧と非反転入力の電圧の差を増幅する動作を行う。
キャパシタC2の一端は接地電位に接続され、他方は端子(SS)に接続される。キャパシタC2は、ソフトスタート用のキャパシタである。端子(SS)は誤差増幅器ERA1の反転入力端子およびスイッチ回路SWに接続される。スイッチ回路SWは、定電流回路ISまたは接地電位の一方を選択可能に構成され、定電流回路ISが選択されることによりキャパシタC2は充電され、接地電位が選択されることによりキャパシタC2は放電される。DC−DCコンバータ1が停止しているとき、端子(SS)は接地電位に接続され、キャパシタC2の電荷は放電されてその電位が0Vに設定される。端子(SS)が定電流回路ISに接続されると、キャパシタC2が充電され、一定の時間でキャパシタC2の電位が上昇する。
比較器COMP3の反転入力端子には基準電圧E2が印加される。また非反転入力端子には接続点N3が接続される。比較器COMP3の出力端子は、論理積ゲート回路AND2の入力端子に接続される。
増幅器AMP1の出力端子、および誤差増幅器ERA1の出力端子は、比較器COMP1の非反転入力端子、および反転入力端子に接続されており、比較器COMP1の出力端子は、フリップフロップ回路FFのリセット端子(R)に接続されている。フリップフロップ回路FFのセット端子(S)は、所定周期で発振する発振器OSC1によりトリガされる。フリップフロップ回路FFの出力端子(Q)が制御回路11の出力端子(DH)に接続される。またフリップフロップ回路FFの反転出力端子(Q_)は、論理積ゲート回路AND1に接続される。
比較器COMP2の反転入力端子は、端子(X)を介してチョークコイルL1の一端子に接続され、非反転入力端子は、接地電位に接続される。比較器COMP2の出力端子は、論理積ゲート回路AND1の入力端子に接続される。比較器COMP2からは、コイル電流IL1の反転状態を検出して、逆流検知信号BUDが出力される。
電力供給停止信号STPが、論理積ゲート回路AND1およびAND2に入力される。電力供給停止信号STPは、DC−DCコンバータ1が電力供給動作停止中はハイレベルであり、電力供給動作起動中或いは動作中であるときはローレベルである信号である。比較器COMP3の出力端子が、論理積ゲート回路AND2の入力端子に接続される。論理和ゲート回路OR1の入力端子には、論理積ゲート回路AND1および論理積ゲート回路AND2の出力端子がそれぞれ接続される。論理和ゲート回路OR1の出力端子は、出力端子(DL)に接続される。なお、誤差増幅器ERA1、基準電圧E1、キャパシタC2、スイッチ回路SW、定電流回路IS、比較器COMP3、基準電圧E2によって、DC−DCコンバータ1の出力電圧を監視する監視部が構成される。また比較器COMP3と基準電圧E2とによって、出力電圧VOUTが、後述する出力基準電圧OE2以下であることを検出する検出部が構成される。また比較器COMP2によって逆流検知部が構成される。
DC−DCコンバータ1の電源供給先である負荷が、スタンバイ状態や停止状態等とされ極端な軽負荷状態である場合に、DC−DCコンバータ1の電力供給を停止させる時の回路動作を図2により説明する。
DC−DCコンバータ1の電源供給動作が時間T10において停止されると、フリップフロップ回路FFの出力が停止され、レギュレート動作が停止される。そして出力端子(Q)の出力レベルはローレベルとされ、電力供給停止信号STPはローレベルからハイレベルへ切替えられる。このとき負荷側の動作も停止状態のため、コイル電流IL1は0(A)とされる。また出力電圧VOUTは出力電圧設定値V1(V)、駆動信号VDH、VDLは共に不定状態であるとする。制御部40の論理積ゲート回路AND1回路には、ハイレベルの電力供給停止信号STPがローレベルに反転された上で入力され、論理積ゲート回路AND1回路の出力信号はローレベルに確定される。すると比較器COMP2から出力される逆流検知信号BUD、およびフリップフロップ回路FFの反転出力端子(Q_)の出力信号は、論理積ゲート回路AND1でマスクされる。よって比較器COMP2およびフリップフロップ回路FFにより、NMOSトランジスタFET2が制御されることが禁止される。
一方、論理積ゲート回路AND2には、ハイレベルの電力供給停止信号STPが入力される。すると論理積ゲート回路AND2回路では、比較器COMP3の出力信号をそのまま通過させて論理和ゲート回路OR1に出力する動作が行われるため、比較器COMP3から出力される検出信号DETにより、NMOSトランジスタFET2が制御される。
すなわち電力供給停止信号STPがローレベルの間は、制御部40は比較器COMP2およびフリップフロップ回路FFの出力信号に応じてNMOSトランジスタFET2を制御する。一方、電力供給停止信号STPがハイレベルの間は、制御部40は逆流検知信号BUDおよびフリップフロップ回路FFの出力信号をマスクして、比較器COMP3の検出信号DETに応じてNMOSトランジスタFET2を制御する。
比較器COMP3は、接続点N3における出力電圧VOUTの分圧値DVOを基準電圧E2と比較し、分圧値DVOが基準電圧E2よりも高いときはハイレベルの信号を出力し、低いときはローレベルの信号を出力する。そして出力電圧VOUTが出力基準電圧OE2であるときの分割結果が、基準電圧E2と同じになるように設定されている。時間T10においては、負荷側の容量に電力が十分に蓄積されており、分圧値DVOは基準電圧E2よりも高くなるため、比較器COMP3から出力される検出信号DETはハイレベル信号とされる。ハイレベルの検出信号DETは、制御部40の論理積ゲート回路AND2に入力され、NMOSトランジスタFET2は導通状態とされる。
NMOSトランジスタFET2が導通状態とされると、接地電位からNMOSトランジスタFET2を介して、チョークコイルL1に電流経路が形成される。チョークコイルL1の入力端子(VI)側の電圧が略接地電位に等しくなるところ、出力端子(VO)側の端子には出力電圧VOUTが印加されているので、コイル電流IL1が出力端子(VO)側からチョークコイルL1に向かう方向に流れる(図1、矢印Y3)。これにより、軽負荷状態において負荷が要求する電力以上に供給され、過剰電力として出力キャパシタC1に蓄積された電力は、少なくともその一部がチョークコイルL1に戻される。このときの傾きは、インダクタンス素子の物理特性により、チョークコイルL1のインダクタンスをLとすると、di/dt=−VOUT/Lとなる(図2中、期間PT3)。
チョークコイル電流が逆流することで、出力電圧VOUTが、基準電圧E2に対応した出力基準電圧OE2まで低下すると(時間T11)、比較器COMP3から出力される検出信号DETはハイレベルからローレベルへ遷移する(矢印A10)。よって端子(DL)から出力される駆動信号VDLはローレベルとされ(矢印A11)、同期整流回路であるNMOSトランジスタFET2は非導通状態とされる。
NMOSトランジスタFET2を非導通状態とさせると、チョークコイルL1に流れる電流は流れ続けようとする。このときチョークコイルL1は、期間PT3において出力端子(VO)側から戻されて蓄積されたエネルギーを期間PT4において放出する。これにより、期間PT4において、チョークコイルL1に蓄積されている電力は、NMOSトランジスタFET1のボディダイオードを介して入力端子(VI)に回生される(図1、矢印Y4)。そして時間T12においてコイル電流IL1、出力電圧VOUTは共にゼロとなり、回生動作が終了する。
ここで、期間PT3、PT4における、NMOSトランジスタFET2のスイッチング制御は、NMOSトランジスタFET1のボディダイオードと相俟って、出力端子(VO)から入力端子(VI)に電力供給する昇圧型DC−DCコンバータを構成している。従って、入力側に回生されるエネルギは、チョークコイルL1に蓄えられたエネルギに出力キャパシタC1のエネルギを加えたエネルギが入力側に回生されることになる。
ここで、負荷側の電力を全て回生すると共に、共振の発生を防止するため、回生動作の完了時点である時間T12において、ちょうど出力電圧VOUTおよびコイル電流IL1が0になるように、基準電圧E2を設定することが望ましい。そして回生動作の完了時点で出力電圧VOUTおよびコイル電流IL1を0にするには、出力キャパシタC1に蓄えられている電力の半分がチョークコイルL1に蓄積されたタイミングで、NMOSトランジスタFET2を非導通状態に遷移させて回生動作に移行するように、基準電圧E2を設定すればよい。
基準電圧E2の設定値の算出方法を説明する。DC−DCコンバータ1の出力電圧の設定値が出力電圧設定値V1、負荷側の電容量をCとすれば、電源供給停止時において出力側容量に蓄えられている全エネルギ量PWCは以下の式で与えられる。
PWC=(1/2)×C×V1・・・(1)
そして全エネルギ量PWCの半分がチョークコイルL1へ蓄積されるときにおける出力電圧VOUTを求めると、以下の式が成り立つ。
(1/2)×C×VOUT=(1/2)×(1/2)×C×V1・・・(2)
(2)式を整理すると、(3)式が得られる。
VOUT=(1/√2)×V1・・・(3)
よって出力基準電圧OE2の値が、出力電圧設定値V1の(1/√2)倍になるように、基準電圧E2を設定すればよいことが分かる。
以上詳細に説明したとおり、第1実施形態に係る制御回路11によれば、レギュレート動作の停止と共に、負荷側容量に蓄えられた電力をチョークコイルL1に逆流させることで、入力側に電力を回生させながら、DC−DCコンバータ1の負荷側に蓄積されてしまう過剰電力を急速に低減することができる。また誘導素子に戻された電力は、NMOSトランジスタFET2が非導通とされた後に入力側に回生してやれば、過剰電力を入力側に戻すことができるため、DC−DCコンバータの電力変換効率の向上を図ることができる。
また負荷側にブリーダ抵抗等の擬似負荷を備える必要はないため、ブリーダ抵抗等に伴う追加の電力消費は伴わず、加えて誘導素子に戻された過剰電力を入力側に回生できることとも相俟って、電力変換効率の改善を図ることができる。そして出力キャパシタC1に蓄えられている電力の半分がチョークコイルL1に蓄積されたタイミングで、NMOSトランジスタFET2を非導通状態に遷移させ、回生動作に移行することにより、負荷側の電力を全て回生すると共に、DC−DCコンバータ1での共振の発生防止等を図ることができる。
本発明の第2実施形態を図3を用いて説明する。第1実施形態は電流制御型DC−DCコンバータの実施例であるが、第2実施形態は電圧制御型DC−DCコンバータに係る実施例である。
図3は、第2実施形態に係る同期整流型のスイッチング方式の電圧制御型DC−DCコンバータ1aの回路図である。図3の制御回路11aは、図1の制御回路11におけるフリップフロップ回路FF、発振器OSC1に代えて、PWM比較器16、三角波発振器OSC2を備える。また、図1の制御回路11における増幅器AMP1および比較器COMP1は、図3の制御回路11aでは備えられていない。PWM比較器16は、1つの反転入力と1つの非反転入力を持つ電圧比較器で、非反転入力と反転入力とを比較し、非反転入力の電圧が反転入力の電圧よりも高いときにパルスを出力する電圧パルス幅変換器である。PWM比較器16の反転入力には三角波発振器OSC2の出力が入力され、非反転入力には誤差増幅器ERA1の出力が入力される。また図1のDC−DCコンバータ1に比して、図3のDC−DCコンバータ1aでは、センス抵抗Rsおよび端子(CS)は備えられていない。なお、誤差増幅器ERA1、基準電圧E1、キャパシタC2、スイッチ回路SW、定電流回路ISによって、DC−DCコンバータ1aの出力電圧を監視する監視部が構成される。なお、その他の回路構成については、第1実施形態に係るDC−DCコンバータ1(図1)と同様であるため、ここでは説明を省略する。
DC−DCコンバータ1aの電源供給先がスタンバイ状態や停止状態等とされ、極端な軽負荷状態である場合に、DC−DCコンバータ1aの電源供給動作を停止させる時の回路動作を、図3により説明する。DC−DCコンバータ1aの電源供給動作が停止動作に入ると、電力供給停止信号STPはローレベルからハイレベルへ遷移される。制御回路11aの論理積ゲート回路AND1には、ハイレベルの電力供給停止信号STPがローレベルに反転された上で入力されるため、PWM比較器16の反転出力は論理積ゲート回路AND1でマスクされる。よって、PWM比較器16によりNMOSトランジスタFET2が制御されることが防止される。一方、論理積ゲート回路AND2には、ハイレベルの電力供給停止信号STPが入力されるため、論理積ゲート回路AND2回路は、比較器COMP3から出力される検出信号DETをそのまま通過させる。よって検出信号DETにより、NMOSトランジスタFET2が制御される。すなわち電力供給停止信号STPがハイレベル時には、制御部40は、比較器COMP3から出力される検出信号DETに応じてNMOSトランジスタFET2を制御する。
またDC−DCコンバータ1aの電源供給動作が停止され、PWM比較器16の出力が停止されると、出力端子(Q)の出力レベルはローレベルに固定され、NMOSトランジスタFET1が非導通状態とされると共に、電力供給停止信号STPは、ローレベルからハイレベルへ切替えられる。
以後、第1実施形態に係るDC−DCコンバータ1と同様の動作が行われる。詳細な動作はここでは説明を省略する。よって負荷側容量に蓄えられた電力をチョークコイルL1に逆流させることで、入力側に回生させるようにしながら、DC−DCコンバータ1aの出力電圧VOUTを急速に低下させることが可能となる。
以上詳細に説明したとおり、第2実施形態に係る制御回路11aによれば、電圧制御型DC−DCコンバータ1aにおいても、レギュレート動作の停止と共に、負荷側容量に蓄えられた電力をチョークコイルL1に逆流させることで、入力側に電力を回生させながら、DC−DCコンバータ1aの負荷側に蓄積されてしまう過剰電力を急速に低減することができる。また誘導素子に戻された電力を入力側に回生することができるため、DC−DCコンバータ1aの電力変換効率の向上を図ることができる。
本発明の第3実施形態を図4を用いて説明する。第3実施形態に係るDC−DCコンバータ1b(図4)の制御回路11bは、DC−DCコンバータ1bの出力電圧を制御する誤差増幅器ERA1の参照電圧を時間に応じて低下させる手段と共に、DC−DCコンバータ1bの電源供給停止後においても、固定周波数でスイッチング動作を強制的に継続させる手段を備える制御回路である。そしてDC−DCコンバータ1bの電源供給停止後において、NMOSトランジスタFET2を使用してDC−DCコンバータの出力電圧を昇圧して入力側に戻しながら、出力電圧VOUTを決められた時間で徐々に低下させることが可能な制御回路である。
図4の制御回路11bは、図1の制御回路11におけるスイッチ回路SWおよび制御部40に代えて、スイッチ回路SW2、抵抗素子R3および制御部40bを備える。制御部40bは論理和ゲート回路OR2および論理積ゲート回路AND3を備える。論理和ゲート回路OR2には、比較器COMP2から出力される逆流検知信号BUDおよび電力供給停止信号STPが入力される。論理積ゲート回路AND3には、論理和ゲート回路OR2の出力端子およびフリップフロップ回路FFの反転出力端子(Q_)が接続される。論理積ゲート回路AND3の出力端子は、出力端子(DL)に接続される。スイッチ回路SW2には電力供給停止信号STPが入力され、また接地電位との間に抵抗素子R3が備えられる。なおキャパシタC2、スイッチ回路SW2、抵抗素子R3によって参照電圧部が構成される。またスイッチ回路SW2、抵抗素子R3によって、電荷放電経路を形成する放電部が構成される。なお、誤差増幅器ERA1、基準電圧E1、キャパシタC2、スイッチ回路SW2、定電流回路IS、抵抗素子R3によって、DC−DCコンバータ1bの出力電圧を監視する監視部が構成される。その他の構成は第1実施形態に係る制御回路11と同様であるため、ここでは説明を省略する。
DC−DCコンバータ1bが起動中或いは動作中は、ローレベルの電力供給停止信号STPが論理和ゲート回路OR2に入力される。よって論理和ゲート回路OR2は、比較器COMP2から出力される逆流検知信号BUDをそのまま通過させて論理積ゲート回路AND3に出力する動作が行われる。その結果、第1実施形態に係るDC−DCコンバータ1と同様の動作をする。
一方、DC−DCコンバータ1bが電源供給を停止する時の動作について説明する。DC−DCコンバータ1bが停止動作に入ると、電力供給停止信号STPはローレベルからハイレベルへ切替えられる。論理和ゲート回路OR2には、ハイレベルの電力供給停止信号STPが入力されるため、論理和ゲート回路OR2の出力信号はハイレベルに確定される。よって比較器COMP2から出力される、チョークコイルL1への電流の逆流防止制御の逆流検知信号BUDは、論理和ゲート回路OR2でマスクされるため、NMOSトランジスタFET2は、常にフリップフロップ回路FFの反転出力により制御される。また電力供給停止信号STPがハイレベルへ遷移した後においても、レギュレート動作が継続されるため、フリップフロップ回路FFは一定の周波数で出力端子(Q)、反転出力端子(Q_)の出力を継続する。よってNMOSトランジスタFET1、NMOSトランジスタFET2は一定の周波数でオン/オフ制御される。
スイッチ回路SW2は、電力供給停止信号STPのハイレベルへの遷移に応じて、端子(SS)を抵抗素子R3に接続する。よってキャパシタC2の電荷は抵抗素子R3によって放電され、端子(SS)の電圧が徐々に低下する。誤差増幅器ERA1の参照電圧である端子(SS)の電圧が徐々に低下することに応じて、DC−DCコンバータ1bは出力電圧VOUTを低下させようとする。しかし、電力供給停止信号STPのハイレベルへの遷移後、端子(SS)の電圧が低下する初期段階においては、出力キャパシタC1により出力電圧が維持され続けるので、フリップフロップ回路FFは、発振器OSC1によるセット動作の後、短時間で比較器COMP1によりリセット動作が行われる。よってNMOSトランジスタFET2のオンデューティが大きくなる結果、コイル電流IL1はNMOSトランジスタFET2を介してチョークコイルL1に逆流を始める。
次周期において、フリップフロップ回路FFのセット端子(S)が発振器OSC1によりトリガされることで、NMOSトランジスタFET2は非導通状態とされる。NMOSトランジスタFET2が非導通状態とされると、チョークコイルL1に流れる電流は流れ続けようとしてチョークコイルL1は蓄積されたエネルギを放出し終わるまで、NMOSトランジスタFET1のボディ・ダイオードを介して入力VIに回生される。
この回生作用によって、DC−DCコンバータの出力電圧は端子(SS)の電圧で決まる電圧を出力するように制御されて徐々に低下して行く。よって電力供給停止信号STPがハイレベルへ遷移した後の出力電圧VOUTの傾きは、端子(SS)に接続されるキャパシタの放電時定数で決まり、DC−DCコンバータの負荷に依存せずに制御することができる。以後同様の動作が所定周波数で繰り返されることで、所定時間経過後において、キャパシタC2の電圧VST、出力電圧VOUTは共に最終的に0(V)とされる。
このときNMOSトランジスタFET2は、フリップフロップ回路FFの出力に応じて所定周期で非導通とされるため、負荷側からチョークコイルL1に移動する電力量は制限される。よって、負荷側から一時に過度な電力がチョークコイルL1に戻されることを防止しながら、所定周期ごとに回生動作を行うことで、電力を除々に入力側に戻すことができる。これにより、負荷側が軽負荷・無負荷状態である場合に、一時に電力が戻ることはなく、所定時間で出力電圧を徐々に低下させることが可能となる。そしてDC−DCコンバータ1bの電力供給停止時における出力電圧VOUTの低下傾きは、DC−DCコンバータ1bの負荷に依存せず、端子(SS)に接続されるキャパシタC2の放電時定数で決めることができる。
以上詳細に説明したとおり、第3実施形態に係る制御回路11bによれば、NMOSトランジスタFET2を使用してDC−DCコンバータ1bの出力電圧を昇圧して入力側に回生しながら、出力電圧VOUTを決められた時間で徐々に低下させることが可能となる。これにより、チョークコイルL1に蓄積されるエネルギーの総量の限界を超えるような電力を回生させる場合においても、電力の回生が徐々に行われるため、チョークコイルL1の磁気飽和に伴って流れる過大電流がNMOSトランジスタFET2やその他の構成部品を損傷させることを防止でき、またチョークコイルL1自体の特性劣化を防止することができる。
本発明の第4実施形態を図5を用いて説明する。図5に示すDC−DCコンバータ1cの制御回路11cは、DC−DCコンバータ1cの負荷に依存せずに予め設定された時間で、出力電圧VOUTの出力電圧設定値V1をより低い出力電圧設定値V2に変更することが可能な回路である。すなわち第3実施形態と同様にして、基準電圧E1をE3に徐々に低下させる事で、出力電圧設定値V1を除々に出力電圧設定値V2にすることができる制御回路である。
図5の制御回路11cは、図4の制御回路11bにおける基準電圧E1に代えて、参照電圧変更部42を備える。参照電圧変更部42は、スイッチ回路SW3、抵抗素子R0、コンデンサC0、基準電圧E1およびE3を備える。誤差増幅器ERA1の反転入力端子は、コンデンサC0を介して接地電位に接続されると共に、抵抗素子R0を介してスイッチ回路SW3に接続される。コンデンサC0および抵抗素子R0によって、基準電圧をE1からE3に切り換えた時の電圧変化の時定数を決める積分回路が構成される。スイッチ回路SW3および論理和ゲート回路OR2には、変更信号CHGが入力される。なお、誤差増幅器ERA1、参照電圧変更部42、キャパシタC2、スイッチ回路SW、定電流回路IS、抵抗素子R3によって、DC−DCコンバータ1cの出力電圧VOUTを監視する監視部が構成される。その他の構成は第1実施形態に係るDC−DCコンバータ1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
DC−DCコンバータ1cの動作を説明する。DC−DCコンバータ1cの動作中あるいは停止動作時の動作は、第3実施形態に係るDC−DCコンバータ1bと同様であるため、ここでは説明を省略する。DC−DCコンバータが出力電圧設定値の変更動作に入り、出力電圧設定値がV1からV2に変更される時の動作を説明する。変更動作の開始に応じて、変更信号CHGがハイレベルとされる。スイッチ回路SW3では、ハイレベルの変更信号CHGが入力されることに応じて、誤差増幅器ERA1の基準電圧をE1からE3に切り換える動作が行われる。
また論理和ゲート回路OR2には、ハイレベルの変更信号CHGが入力されるため、論理和ゲート回路OR2の出力信号はハイレベルに確定される。よって比較器COMP2の逆流検知信号BUDは論理和ゲート回路OR2でマスクされ、NMOSトランジスタFET2は、常にフリップフロップ回路FFの反転出力によって制御される。すなわち制御部40cは、変更信号CHGがローレベルの間は比較器COMP2の逆流検知信号BUDおよびフリップフロップ回路FFの反転出力に応じてNMOSトランジスタFET2を制御する。一方、制御部40cは変更信号CHGがハイレベルの間は逆流検知信号BUDをマスクして、フリップフロップ回路FFの反転出力に応じてNMOSトランジスタFET2を制御する。
また変更信号CHGによる参照電圧変更報知後においても、制御回路11cはレギュレート動作を継続し、フリップフロップ回路FFは一定の周波数で出力端子(Q)、反転出力端子(Q_)の出力を継続する。よってNMOSトランジスタFET1、NMOSトランジスタFET2は一定の周波数でオン/オフ制御される。
抵抗素子R0とコンデンサC0は、基準電圧をE1からE3に切り換えた時の電圧変化の時定数を決める積分回路を構成する。よってスイッチ回路SW3により誤差増幅器ERA1の基準電圧が基準電圧E3へ切り換えられると、誤差増幅器ERA1の基準電圧が徐々にE1からE3に変化する。誤差増幅器の基準電圧が徐々に下がると、DC−DCコンバータは出力電圧値を下げようとするが、DC−DCコンバータ1cが無負荷の時は、出力キャパシタC1により出力電圧設定値V1が維持され続けるので、NMOSトランジスタFET2のオンデューティが大きくなる。その結果、コイル電流IL1はNMOSトランジスタFET2を介してチョークコイルL1に逆流を始めることで、第3実施形態と同様にして電力の回生動作が行われる。
そしてDC−DCコンバータの出力電圧VOUTは、抵抗素子R0とコンデンサC0とにより定められる時定数の時間で、出力電圧設定値V1からV2へ急速に変更される。出力電圧の変更動作が完了すると変更信号CHGはローレベルにされ、DC−DCコンバータ1cは通常の動作モードに戻り、出力電圧設定値V2を出力するようにレギュレート動作を行う。
以上詳細に説明したとおり、第4実施形態に係る制御回路11cによれば、NMOSトランジスタFET2を使用してDC−DCコンバータ1bの出力電圧を昇圧して入力側に回生しながら、出力電圧VOUTの値を決められた時間で変更することが可能となる。そしてDC−DCコンバータ1cの出力電圧変更時の出力電圧VOUTの傾きは、DC−DCコンバータ1bの負荷に依存せず、誤差増幅器ERA1に接続される積分回路の時定数で決めることができる。これにより、出力電圧の変更時に、チョークコイルL1に蓄積されるエネルギーの総量の限界を超えるような電力を回生させる場合においても、電力の回生が徐々に行われるため、チョークコイルL1の磁気飽和に伴って流れる過大電流がNMOSトランジスタFET2やその他の構成部品を損傷させることを防止でき、またチョークコイルL1自体の特性劣化を防止することができる。
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは言うまでもない。第1実施形態の比較器COMP3において、出力電圧を監視して基準電圧E2と比較するとしたがこの形態に限られず、電流を監視する形態としてもよい。例えば増幅器AMP1の出力が反転入力端子に接続され、基準電圧E2が非反転入力端子に接続され、出力が論理積ゲート回路AND2に入力されるような比較器を備える形態としてもよいことはいうまでもない。
また本実施形態における制御部40、40b、40cでは、逆流検知部である比較器COMP2からNMOSトランジスタFET2への逆流検知信号BUDの信号伝達を停止する方法として、逆流検知信号BUDをマスクする方法が用いられているが、この形態に限られない。例えば、マスクする方法に代えて、比較器COMP2の動作を停止して逆流検知信号BUDをローレベルに固定する方法等を用いても良いことはいうまでもない。
なお、NMOSトランジスタFET1は第1スイッチング素子の一例、NMOSトランジスタFET2は第2スイッチング素子の一例、チョークコイルL1は誘導素子の一例、 基準電圧E1は第1基準電圧設定部の一例、基準電圧E3は第2基準電圧設定部の一例、スイッチ回路SW2は第1スイッチ回路の一例、スイッチ回路SW3は第2スイッチ回路の一例、出力基準電圧OE2は基準負荷印加電圧の一例、出力電圧VOUTは負荷印加電圧の一例である。
ここで、本発明の技術思想により、背景技術における課題を解決するための手段を以下に列記する。
(付記1)誘導素子に電力を蓄積する際に導通する第1スイッチング素子と、誘導素子に蓄積された電力の負荷への放出期間に応じて、スイッチング制御されて導通する第2スイッチング素子とを制御するDC−DCコンバータ制御回路であって、
前記電力の負荷への放出と逆方向の電流を検知して逆流検知信号を出力する逆流検知部と、
前記逆流検知信号に応じて前記第2スイッチング素子を非導通状態とする回路であって、前記負荷に印加される負荷印加電圧の低下を指示する所定信号に応じて前記逆流検知信号を無視し、前記負荷印加電圧に応じて前記第2スイッチング素子を非導通状態とする制御部と、
を備えることを特徴とするDC−DCコンバータ制御回路。
(付記2)前記所定信号は電力供給停止信号であり、
前記負荷印加電圧が基準負荷印加電圧以下であることを検出する検出部を備え、
前記制御部は、前記電力供給停止信号に応じて前記第2スイッチング素子を導通状態とし、前記検出部の検出信号に応じて前記第2スイッチング素子を非導通状態とすることを特徴とする付記1に記載のDC−DCコンバータ制御回路。
(付記3)前記電力供給停止信号に応じてレギュレート動作を停止することを特徴とする付記2に記載のDC−DCコンバータ制御回路。
(付記4)前記制御部は、前記電力供給停止信号に応じて前記逆流検知信号をマスクすることを特徴とする付記2に記載のDC−DCコンバータ制御回路。
(付記5)前記基準負荷印加電圧は、負荷側に蓄積された電力の略半分が前記誘導素子に移動するときの出力電圧であることを特徴とする付記2に記載のDC−DCコンバータの制御回路。
(付記6)前記基準負荷印加電圧は、定常状態における前記負荷印加電圧の(1/√2)倍の電圧値であることを特徴とする付記2に記載のDC−DCコンバータの制御回路。
(付記7)前記所定信号は電力供給停止信号であり、
該電力供給停止信号に応じて電圧が時間と共に低下する参照電圧部と、
該参照電圧部の電圧を基準電圧とする誤差増幅器と
を備えることを特徴とする付記1に記載のDC−DCコンバータ制御回路。
(付記8)前記参照電圧部は、
キャパシタと、
前記電力供給停止信号に応じて電荷放電経路を形成する放電部とを備えることを特徴とする付記7に記載のDC−DCコンバータ制御回路。
(付記9)前記キャパシタは、ソフトスタート用のキャパシタであることを特徴とする付記8に記載のDC−DCコンバータの制御回路。
(付記10)前記所定信号は変更信号であり、
該変更信号に応じて電圧が変更される参照電圧変更部と、
該参照電圧変更部の電圧を基準電圧とする誤差増幅器と
を備えることを特徴とする付記1に記載のDC−DCコンバータ制御回路。
(付記11)前記制御部は、前記変更信号に応じて前記逆流検知信号をマスクすることを特徴とする付記10に記載のDC−DCコンバータ制御回路。
(付記12)前記参照電圧変更部は、
積分回路と、
該積分回路を介して前記誤差増幅器に接続される第1基準電圧設定部と、
該積分回路を介して前記誤差増幅器に接続される第2基準電圧設定部とを備え、
前記変更信号に応じて前記第1基準電圧設定部または第2基準電圧設定部が選択されることを特徴とする付記10に記載のDC−DCコンバータ制御回路。
(付記13)誘導素子に電力を蓄積する際に導通する第1電流径路と、誘導素子に蓄積された電力の負荷への放出期間に応じて導通する第2電流径路とを制御するDC−DCコンバータの制御方法であって、
前記電力の負荷への放出と逆方向の電流を検知して逆流検知信号を出力し、
前記逆流検知信号に応じて前記第2スイッチング素子を非導通状態とし、
前記負荷に印加される負荷印加電圧の低下を指示する所定信号に応じて前記逆流検知信号を無視して、前記負荷印加電圧に応じて前記第2スイッチング素子を非導通状態にすることを特徴とするDC−DCコンバータ制御方法。
(付記14)前記所定信号は電力供給停止信号であり、
該電力供給停止信号に応じて前記第2スイッチング素子を導通状態とし、
前記負荷印加電圧が基準負荷印加電圧以下であることを検出することに応じて前記第2スイッチング素子を非導通状態とすることを特徴とする付記13に記載のDC−DCコンバータ制御方法。
(付記15)前記所定信号は電力供給停止信号であり、
該電力供給停止信号に応じて誤差増幅器の基準電圧が時間と共に低下することを特徴とする付記13に記載のDC−DCコンバータ制御方法。
(付記16)前記所定信号は変更信号であり、
該変更信号に応じて誤差増幅器の基準電圧が変更されることを特徴とする付記13に記載のDC−DCコンバータ制御方法。
第1実施形態に係る電流制御型DC−DCコンバータ1の回路図である。 DC−DCコンバータ1の電力供給を停止させる時のタイミング図である。 第2実施形態に係る電圧制御型DC−DCコンバータ1aの回路図である。 第3実施形態に係る電流制御型DC−DCコンバータ1bの回路図である。 第4実施形態に係る電流制御型DC−DCコンバータ1cの回路図である。 従来の同期整流方式のDC−DCコンバータの回路図である。
符号の説明
1、1a、1b、1c DC−DCコンバータ
11、11a、11b、11c 制御回路
16 PWM比較器
40、40b、40c 制御部
42 参照電圧変更部
C1 出力キャパシタ
COMP1乃至COMP3 比較器
FET1、FET2 NMOSトランジスタ
FF フリップフロップ回路
L1 チョークコイル
STP 電力供給停止信号
BUD 逆流検知信号
CHG 変更信号
DET 検出信号

Claims (10)

  1. 誘導素子に電力を蓄積する際に導通する第1スイッチング素子と、誘導素子に蓄積された電力の負荷への放出期間に応じて、スイッチング制御されて導通する第2スイッチング素子とを制御するDC−DCコンバータ制御回路であって、
    前記電力の負荷への放出と逆方向の電流を検知して逆流検知信号を出力する逆流検知部と、
    前記逆流検知信号に応じて前記第2スイッチング素子を非導通状態とする回路であって、前記負荷に印加される負荷印加電圧の低下を指示する所定信号に応じて前記逆流検知信号を無視し、前記負荷印加電圧に応じて前記第2スイッチング素子を非導通状態とする制御部と、
    を備えることを特徴とするDC−DCコンバータ制御回路。
  2. 前記所定信号は電力供給停止信号であり、
    前記負荷印加電圧が基準負荷印加電圧以下であることを検出する検出部を備え、
    前記制御部は、前記電力供給停止信号に応じて前記第2スイッチング素子を導通状態とし、前記検出部の検出信号に応じて前記第2スイッチング素子を非導通状態とすることを特徴とする請求項1に記載のDC−DCコンバータ制御回路。
  3. 前記電力供給停止信号に応じてレギュレート動作を停止することを特徴とする請求項2に記載のDC−DCコンバータ制御回路。
  4. 前記制御部は、前記電力供給停止信号に応じて前記逆流検知信号をマスクすることを特徴とする請求項2に記載のDC−DCコンバータ制御回路。
  5. 前記基準負荷印加電圧は、負荷側に蓄積された電力の略半分が前記誘導素子に移動するときの出力電圧であることを特徴とする請求項2に記載のDC−DCコンバータの制御回路。
  6. 前記基準負荷印加電圧は、定常状態における前記負荷印加電圧の(1/√2)倍の電圧値であることを特徴とする請求項2に記載のDC−DCコンバータの制御回路。
  7. 前記所定信号は電力供給停止信号であり、
    該電力供給停止信号に応じて電圧が時間と共に低下する参照電圧部と、
    該参照電圧部の電圧を基準電圧とする誤差増幅器と
    を備えることを特徴とする請求項1に記載のDC−DCコンバータ制御回路。
  8. 前記参照電圧部は、
    キャパシタと、
    前記電力供給停止信号に応じて電荷放電経路を形成する放電部とを備えることを特徴とする請求項7に記載のDC−DCコンバータ制御回路。
  9. 前記所定信号は変更信号であり、
    該変更信号に応じて電圧が変更される参照電圧変更部と、
    該参照電圧変更部の電圧を基準電圧とする誤差増幅器と
    を備えることを特徴とする請求項1に記載のDC−DCコンバータ制御回路。
  10. 誘導素子に電力を蓄積する際に導通する第1電流径路と、誘導素子に蓄積された電力の負荷への放出期間に応じて導通する第2電流径路とを制御するDC−DCコンバータの制御方法であって、
    前記電力の負荷への放出と逆方向の電流を検知して逆流検知信号を出力し、
    前記逆流検知信号に応じて前記第2スイッチング素子を非導通状態とし、
    前記負荷に印加される負荷印加電圧の低下を指示する所定信号に応じて前記逆流検知信号を無視して、前記負荷印加電圧に応じて前記第2スイッチング素子を非導通状態にすることを特徴とするDC−DCコンバータ制御方法。
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