JP2006104384A - 高分子フィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 流延製膜方式での耐熱性高分子フィルムの製造方法において、該高分子フィルムのFe、Ni、Crの含有総和量が20ppm以下である耐マイグレーション性に優れた高分子フィルムである。また、その製造方法であって、高分子ドープを塗布するコーティングヘッドが、少なくともその表面のヴィッカース硬度が200以上の素材を用いたコーティングヘッドであることを特徴とする耐熱性高分子フィルムの製造方法である。
【選択図】 なし
Description
エレクトロマイグレーションを防止するためにはこれらの耐熱性フィルム自身の吸湿性を下げると同時にフィルム内のイオン性不純物を低減させることが有効であると考えられている。特に鉄やアルカリ金属類やリンについては、原料段階よりその管理がなされている。
2の方法は、耐食性に優れた貴金属または準貴金属を用いる方法である(特許文献2、3参照)が、高価な上、硬度が非常に小さく使用中の傷つけ等で表面性を良好なレベルに維持していくのが困難であった。
3の方法として、耐食性の優れたフッ素樹脂等を汎用金属材料上にコーティングする(特許文献4参照)方法があるが、フッ素樹脂層の微細な欠陥のために、表面性のレベルが必ずしも満足いくものではない上に、支持体の耐食性を長期に維持するのが困難であった。
また、表面の耐久性、耐腐食性のすぐれた表面に、クロムのスピネル型酸化水和物からなる被膜(以下薄膜クロム層という)と硬膜層とを設けたことを特徴とするロールおよびそれを用いた溶液製膜フィルムの製造方法で、延伸装置内でこのフィルムを走行させた時の装置腐蝕によるコンタミネ−ションとフィルム表面傷を抑制し、平滑な面を有するフィルムを安定して得ることができる、支持体上に流延してフィルムに成形した後、溶媒・各種塩などの除去および延伸する際、該ロールを用いて溶液製膜フィルムを製造する製膜方法が開示されている(特許文献6参照)。
しかしながら、かかる対策が施されているにもかかわらず一般に流通しているポリイミドフィルムの耐マイグレーション性は必ずしも高いものではなく、特に耐マイグレーション性、絶縁信頼性に影響の大なるFe、Ni、Crの含有総和量において、またFeの含有量について抑制されたものはなく、さらなる改善が求められていた。
すなわち本発明は、耐熱性高分子ドープを支持体上に流延・塗布・乾燥する工程を少なくとも有する流延製膜方法により得られる耐熱性高分子フィルムであって、該フィルムのFe、Ni、Crの含有総和量が20ppm以下であることを特徴とする耐熱性高分子フィルムであり、好ましくは、かつフィルムのFeの含有量がフィルムのFe、Ni、Crの含有総和量の1/2以上である。
また耐熱性高分子溶液、ないしは耐熱性高分子の前駆体溶液などの耐熱性高分子ドープを支持体上に流延・塗布・乾燥する工程を経て該高分子フィルムを作製する流延製膜方式での耐熱性高分子フィルムの製造方法であって、耐熱性高分子ドープを塗布するコーティングヘッドが、少なくともその表面のヴィッカース硬度が200以上の素材を用いたコーティングヘッドであることを特徴とするフィルムのFe、Ni、Crの含有総和量が20ppm以下である耐熱性高分子フィルムの製造方法である。また、好ましい態様は耐熱性高分子ドープが、高分子に対して0.3質量%以上の無機粒子を含有する前記の高分子フィルムの製造方法である。
ポリイミドフィルム製造における重合反応は、まず、溶媒中で芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸無水物類とを開環重付加反応に供してポリアミド酸溶液を得て、次いで、このポリアミド酸溶液からグリーンフィルムを成形した後に脱水縮合(イミド化)することによりなされる。
本発明においては、特にこれら芳香族ジアミン類の中でベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類が好適なジアミンであり、この好適ジアミンを使用する際、本発明におけるフィルムのFe、Ni、Crの含有総和量の抑制効果が特定材質の金属を使用することにおいて顕著となる。
本発明で特に好適に用いられるベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類としては、具体的には以下のものが挙げられる。
本発明においては、前記ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミンを70モル%以上使用することが好ましい。
そのようなジアミン類としては、例えば、4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、
本発明においては、全テトラカルボン酸二無水物の30モル%未満であれば下記に例示される非芳香族のテトラカルボン酸二無水物類を一種または二種以上、併用しても構わない。そのようなテトラカルボン酸無水物としては、例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3',4'−テトラカルボン酸二無水物、
重合反応によって得られるポリアミド酸溶液に占めるポリアミド酸の量は、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%であり、前記溶液の粘度はブルックフィールド粘度計による測定(25℃)で、送液の安定性の点から、好ましくは20〜2000Pa・sであり、より好ましくは200〜1000Pa・sである。
本発明におけるポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)は、特に限定するものではないが3.0以上が好ましく、4.0以上がさらに好ましく、なおさらに5.0以上が好ましい。
重合反応により得られるポリアミド酸溶液(高分子ドープ)から、ポリイミドフィルムを形成する方法としては、ポリアミド酸溶液を支持体上に塗布して乾燥するなどによりグリーンフィルムを得て、次いで、グリーンフィルムを熱処理に供することでイミド化反応させる方法が挙げられる。
本発明の高分子フィルムにおけるフィルムのFe、Ni、Crの含有総和量とは、Fe、Ni、および/又はCrの元素の高分子フィルム中の含有総和量の質量分率である。本発明のフィルムのFe、Ni、Crの含有総和量は、20ppm以下である事が必須である。フィルムのFe、Ni、Crの含有総和量は、より好ましくは10ppm以下であり、更に好ましくは5ppm以下である。かかる金属不純物量は金属状態で含まれるもの、金属化合物として含まれるものイオン状態で含まれるものとその他のフィルム中にFe、Ni、Crの元素としてフィルムに含まれる総計である。フィルムのFe、Ni、Crの含有総和量がこの範囲を超える場合には耐マイグレーション性が著しく低下する。下限は特に限定されず理想的にはゼロであることが好ましい。
これらのFe、Ni、Crのフィルム中での含有形態としては、0.1μm以上の粒子としてフィルム中に存在しないことが、より好ましい。
マルテンサイト系ステンレス鋼としてはSUS410、SUS410S、SUS410F2、SUS416、SUS420J1、SUS420J2、SUS420F、SUS420F2、SUS431、SUS440、SUS440Cなどを用いることが出来る。これらの内、特に高度が高いSUS420J1、SUS420J2、SUS440Cを好ましく用いることができる。
これらの他、高力鋼系のNSS431DPI、HT980、HT1770、HT1960等を用いることができる。
硬質メッキとして使用できるのは、ハードクロムメッキ、硬質ニッケルメッキである。硬質メッキの場合にはさらに300℃程度で熱処理することによりさらに高硬度を得ることができる。
重合容器の接液部としては容器内壁、および攪拌羽根、である。輸送配管にはバルブなども含まれる。
オーステナイト系ステンレス鋼としては、SUS301、SUS301L、SUS630、SUS631、SUS302、SUS302B、SUSXM15J1、SUS303、SUS303Se、SUS304、SUS304L、SUS304J1、SUS304J2、SUS305、SUS309S、SUS310S、SUS316、SUS316L、SUS316J1、SUS316J1L、SUS317、SUS317L、SUS321、SUS347等を用いることが出来る。
またフェライト系ステンレス鋼としてはSUS405、SUS406、SUH409、SUH409L、SUS430、SUS430F、SUS430LX、SUS430J1L、SUS434、SUS436L、SUS436J1L、SUS444、SUSXM27、SUS447J1を用いることができる。本発明においては、これらの内、さらに好ましくは耐腐食性の高いSUS301L、SUS304L、SUS316、SUS316L、SUS317、SUS317L、SUS321、SUS347を用いることが出来る。なおさらに好ましくは低炭素のSUS304L、SUS316L、SUS317Lを用いることができる。
マルテンサイト系ステンレス鋼としてはSUS410、SUS410S、SUS410F2、SUS416、SUS420J1、SUS420J2、SUS420F、SUS420F2、SUS431、SUS440、SUS440Cなどを用いることが出来る。これらの内、特に硬度が高いSUS420J1、SUS420J2、SUS440Cを好ましく用いることができる。
また、使用する原料モノマー、溶剤、その他添加物の金属イオン濃度を所定の範囲以下に制御することが重要である。
支持体上で乾燥し、自己支持性となったフィルムは支持体より剥離され、150〜500℃の温度にて最終乾燥、および熱処理によるアミド酸の脱水閉環がなされ、フィルムのFe、Ni、Crの含有総和量が20ppm以下である事を特徴とする高分子フィルムとなる。
本発明の高分子フィルムの厚さは特に限定されないが、電子基板の基材に用いることを考慮すると、通常1〜150μm、好ましくは3〜50μmである。この厚さはポリアミド酸溶液を支持体に塗布する際の塗布量や、ポリアミド酸溶液の濃度によって容易に制御し得る。
滑剤としては、無機や有機の0.03μm〜3μm程度の平均粒子径を有する微粒子が使用でき、具体例として、酸化チタン、アルミナ、シリカ、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、燐酸水素カルシウム、ピロ燐酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、粘土鉱物などが挙げられる。かかる微粒子の添加量はフィルムに対して0.01〜10質量%程度である。本発明においては、特に無機微粒子の添加量が0.3質量%以上、好ましくは0.8質量%以上、なお好ましくは2.5質量%以上である場合に、特に高い効果を得ることが出来る。
本発明の高分子フィルムは、通常は無延伸フィルムであるが、1軸または2軸に延伸しても構わない。ここで、無延伸フィルムとは、テンター延伸、ロール延伸、インフレーション延伸などによってフィルムの面拡張方向に機械的な外力を意図的に加えずに得られるフィルムをいう。
1.ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドンに溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。
フィルムの厚さは、マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン1245D)を用いて測定した。
乾燥後のフィルムを長手方向(MD方向)および幅方向(TD方向)にそれぞれ長さ100mm、幅10mmの短冊状に切り出して試験片とし、引張試験機(島津製作所製、オートグラフ(R)機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmで測定し、引張弾性率、引張強度及び引張破断伸度を求めた。
下記条件で伸縮率を測定し、30〜300℃までを15℃間隔で分割し、各分割範囲の伸縮率/温度の平均値より求めた。
装置名 ; MACサイエンス社製TMA4000S
試料長さ ; 20mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/min
雰囲気 ; アルゴン
試料2gを白金製坩堝に精秤・採取し、電気炉で灰化した後、残さを1.2mol/L塩酸溶液20mlで溶解させたものを測定液とした。測定液中の金属量は、高周波プラズマ発光分析装置(リガク株式会社製、CIROS−120)により求めた。測定した発光線はそれぞれ次のとおりである。
鉄 :259.94nm
クロム :205.552nm
ニッケル:231.604nm
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスターKE−P30(日本触媒株式会社製)を1.22質量部、N−メチル−2−ピロリドン420質量部を、容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである容器に入れホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。予備分散液中の平均粒子径は0.38μm、標準偏差0.032μm、CV値8.4%、であり、球形度0.98であった。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、223質量部の5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾールを入れた。次いで、4000質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を420質量部と217質量部のピロメリット酸二無水物を加えて、25℃にて48時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Aが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は5.0であった。
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後,5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール223質量部、N,N−ジメチルアセトアミド4416質量部を加えて完全に溶解させた後,コロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなるスノーテックスDMAC−ST30(日産化学工業株式会社製)40.5質量部(シリカを8.1質量部含む)、ピロメリット酸二無水物217質量部を加え,25℃の反応温度で40時間攪拌すると,褐色で粘調なポリアミド酸溶液Bが得られた。このもののηsp/Cは4.5であった。
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスターKE−P30(日本触媒株式会社製)を7.6質量部、N−メチル−2−ピロリドン390質量部を容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである容器に入れホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、200質量部のジアミノジフェニルエーテルを入れた。次いで、3800質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を390質量部と217質量部のピロメリット酸二無水物を加えて、25℃にて5時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Cが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は3.7であった。
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスターKE−P30(日本触媒株式会社製)を3.7質量部、N−メチル−2−ピロリドン420質量部を容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである容器に入れホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、108質量部のフェニレンジアミンを入れた。次いで、3600質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を420質量部と292.5質量部のジフェニルテトラカルボン酸二無水物を加えて、25℃にて12時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Dが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は4.5であった。
参考例1〜4で得たポリアミド酸溶液を、それぞれ支持体上に送液するギヤーポンプのギヤがマルテンサイト系ステンレス鋼SUS440Cであるギヤーポンプを使用して送液し、ポリエチレンテレフタレート製フィルムの支持体上に、コーティングヘッドが少なくともその表面のヴィッカース硬度が950の素材である鋼材表面に15μm厚さの硬質クロムメッキを施した材を用いたコーティングヘッドでコーティングし(スキージ/ベルト間のギャップは、150μm)、90℃にて60分間乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムを支持体から剥離して、厚さ21μmのそれぞれのグリーンフィルムを得た。
得られた高分子フィルムの性能などの測定結果を表1に記載する。
参考例1〜4のポリアミド酸溶液を、それぞれ支持体上に送液するギヤーポンプのギヤがオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lであるギヤーポンプを使用して送液し、ポリエチレンテレフタレート製フィルムの支持体上に、コーティングヘッドが少なくともその表面のヴィッカース硬度が170の素材であるSUS304鋼材を用いたコーティングヘッドでコーティングし(スキージ/ベルト間のギャップは、150μm)、90℃にて60分間乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムを支持体から剥離して、厚さ21μmのそれぞれのグリーンフィルムを得た。
得られたこれらのグリーンフィルムを、窒素置換された連続式の熱処理炉に通し、第1段が180℃で3分、昇温速度4℃/秒で昇温して第2段として460℃で5分の条件で2段階の加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、5分間で室温にまで冷却することで、褐色を呈する比較例1〜4のそれぞれのポリイミドフィルム(高分子フィルム)を得た。得られた高分子フィルムの性能などの測定結果を表1に記載する。
各実施例、比較例で得られた高分子フィルムを25cm×25cmの正方形に切り取り、直径24cmの開口部を有するステンレス製の枠に挟んで固定した。次いでフィルム表面のプラズマ処理を行った。プラズマ処理条件はキセノンガス中で、周波数13.56MHz、出力100W、ガス圧0.8Paの条件であり、処理時の温度は25℃、処理時間は5分間であった。次いで、周波数13.56MHz、出力400W、ガス圧0.8Paの条件、モリブデンターゲットを用い、キセノン雰囲気下にてRFスパッタ法により、50Åのモリブデン合金被膜を形成した。次いで、基板の温度を250℃に上げ、100Å/秒の速度で銅を蒸着し、厚さ0.5μmの銅薄膜を形成させた。
得られたそれぞれの金属化フィルムをプラスチック製の枠に固定し直し、硫酸銅めっき浴をもちいて、厚さ12μmの厚付け銅メッキ層を形成し、引き続き300℃で10分間熱処理し目的とする金属化高分子フィルムを得た。
得られたこれらの金属化高分子フィルムを使用し、フォトレジスト(シプレー社製、FR−200)を塗布・乾燥後にガラスフォトマスクで密着露光し、さらに1.2%KOH水溶液にて現像した。次に、HClと過酸化水素を含む塩化第二銅のエッチングラインで、40℃、2kgf/cm2のスプレー圧でエッチングし、後述する耐マイグレーション評価試験に必要な40μmピッチの櫛形電極のテストパターンを形成した。
上記で得られたそれぞれの高分子フィルムからの40μmピッチの櫛形電極に、電圧(DC60V)を印可し、85℃・85%RHの恒温恒湿槽(エタック社製、FX412Pタイプ)の中に入れ電圧負荷状態のまま5分毎に絶縁抵抗値を測定記録し、線間の抵抗値が100Mオーム以下に達する時間を測定しマイグレーション評価とした。
Claims (4)
- 耐熱性高分子ドープを支持体上に流延・塗布・乾燥する工程を少なくとも有する流延製膜方法により得られる耐熱性高分子フィルムであって、該フィルムのFe、Ni、Crの含有総和量が20ppm以下であることを特徴とする耐熱性高分子フィルム。
- フィルムのFe、Ni、Crの含有総和量が20ppm以下であり、かつフィルムのFeの含有量がフィルムのFe、Ni、Crの含有総和量の1/2以上であることを特徴とする請求項1記載の耐熱性高分子フィルム。
- 耐熱性高分子ドープを支持体上に流延・塗布・乾燥する工程を経て耐熱性高分子フィルムを作製する流延製膜方式であって、かつ該高分子フィルムのFe、Ni、Crの含有総和量が20ppm以下であり、かつフィルムのFeの含有量がフィルムのFe、Ni、Crの含有総和量の1/2以上である耐熱性高分子フィルムの製造方法において、高分子ドープを塗布するコーティングヘッドが、少なくともその表面のヴィッカース硬度が200以上の素材を用いたコーティングヘッドであることを特徴とする耐熱性高分子フィルムの製造方法。
- 耐熱性高分子ドープが、高分子に対して0.3質量%以上の無機粒子を含有することを特徴とする請求項3記載の高分子フィルムの製造方法。
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