JP2006103402A - 乗員腰部拘束装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡素な構造で、サブマリン現象の発生防止による乗員の拘束性能向上と車両用シートへの乗員の乗り心地性能向上とを両立させる。
【解決手段】シートクッションフレーム38の一対のサイドフレーム40の前端部40Aにはシートパン42が架設されている。シートパン42の中央部には後方下側へ傾斜した傾斜面48Bが形成されており、更にシートパン42のサイド部50とバックル装置34とはワイヤ54によって相互に連結されている。また、サイドフレーム40の中間部40Cは高さが徐変され、上端部に傾斜面状の摺動案内面52が形成されている。従って、車両急減速時にラップ側のウエビング24Aに所定値以上の張力が作用すると、当該ウエビング24Aによって乗員腰上部がウエビング方向に拘束され、かつワイヤ54を介してシートパン42が車両後方上側へスライドし傾斜面48Bによって乗員腰下部が前方下側から後方上側へ向けて拘束される。
【選択図】 図1
【解決手段】シートクッションフレーム38の一対のサイドフレーム40の前端部40Aにはシートパン42が架設されている。シートパン42の中央部には後方下側へ傾斜した傾斜面48Bが形成されており、更にシートパン42のサイド部50とバックル装置34とはワイヤ54によって相互に連結されている。また、サイドフレーム40の中間部40Cは高さが徐変され、上端部に傾斜面状の摺動案内面52が形成されている。従って、車両急減速時にラップ側のウエビング24Aに所定値以上の張力が作用すると、当該ウエビング24Aによって乗員腰上部がウエビング方向に拘束され、かつワイヤ54を介してシートパン42が車両後方上側へスライドし傾斜面48Bによって乗員腰下部が前方下側から後方上側へ向けて拘束される。
【選択図】 図1
Description
本発明は、車両急減速時に乗員腰部を車両用シートに拘束する乗員腰部拘束装置に関する。
シートベルト装置によって拘束された乗員が、車両急減速時に車両用シートのシートクッションに潜り込むような姿勢となる所謂サブマリン現象が生じることがある。かかるサブマリン現象の発生を未然に防止するための技術は従来から種々提案されている(下記特許文献1〜3等参照)
例えば、下記特許文献1に開示された技術では、車体フロアに筐体を設置し、この筐体内にクランク機構により所定ストローク昇降可能な可動プレートを配設して、車両急減速時にウエビングに作用する張力を利用して、可動プレートを所定ストローク上昇させるようになっている。
例えば、下記特許文献1に開示された技術では、車体フロアに筐体を設置し、この筐体内にクランク機構により所定ストローク昇降可能な可動プレートを配設して、車両急減速時にウエビングに作用する張力を利用して、可動プレートを所定ストローク上昇させるようになっている。
上記構成によれば、車両急減速時にはクランク機構によって可動プレートが上昇し、これによりサブマリン現象の発生が阻止される。一方、通常時には可動プレートは下降した位置に保持されるため、乗員の車両用シートへの乗り心地性能も確保される。
特開平11−5478号公報
実開平4−13423号公報
特開2002−283901号公報
しかしながら、上記先行技術による場合、クランク機構によって可動プレートを昇降させる構成であるため、構造が複雑になるという問題がある。また、車両急減速時に乗員を簡易な構成でより効果的に拘束することにより、乗員に対する拘束性能の更なる向上が望まれているところでもある。
本発明は上記事実を考慮し、簡素な構造で、サブマリン現象の発生防止による乗員の拘束性能向上と車両用シートへの乗員の乗り心地性能向上とを両立させることができる乗員腰部拘束装置を得ることが目的である。
請求項1記載の本発明に係る乗員腰部拘束装置は、車両急減速時に乗員腰部を車両用シートに拘束する乗員腰部拘束装置であって、後方下側へ傾斜した傾斜面を含んで構成されており、乗員腰上部を拘束するためのラップ側のウエビングに所定値以上の張力が作用することにより、前記傾斜面を乗員腰下部非拘束位置から乗員腰下部を前方下側から後方上側へ向けて拘束する乗員腰下部拘束位置へ変位させる乗員腰部拘束手段を備えている、ことを特徴としている。
請求項2記載の本発明に係る乗員腰部拘束装置は、車両急減速時に乗員腰部を車両用シートに拘束する乗員腰部拘束装置であって、シートクッションに設けられると共に車両前後方向に沿ってスライド可能とされ、後部側に後方下側へ傾斜した傾斜面が形成されたシートパンと、乗員腰上部を拘束するラップ側のウエビングとシートパンとを連結し、ラップ側のウエビングに作用する張力が所定値未満の場合にはシートパンを乗員腰下部非拘束位置に保持し、ラップ側のウエビングに所定値以上の張力が作用することにより乗員腰下部を前方下側から後方上側へ向けて拘束する乗員腰下部拘束位置までシートパンをスライドさせるシートパンスライド手段と、を有することを特徴としている。
請求項3記載の本発明に係る乗員腰部拘束装置は、請求項2記載の発明において、シートクッションフレームの両サイドに車両前後方向に沿って略平行に一対のサイドフレームが配置されると共に、当該一対のサイドフレームに前記シートパンがスライド可能に架設されている、ことを特徴としている。
請求項4記載の本発明に係る乗員腰部拘束装置は、請求項2又は請求項3記載の発明において、前記サイドフレームにおけるシートパンの摺動面は、前端側から後端側へ向かうにつれてフレーム高が高くなるように傾斜されている、ことを特徴としている。
請求項5記載の本発明に係る乗員腰部拘束装置は、請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の発明において、前記ラップ側のウエビングの端末部は、バックル装置を介して前記シートパンに連結されている、ことを特徴としている。
請求項6記載の本発明に係る乗員腰部拘束装置は、請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の発明において、前記シートパンの傾斜面には、乗員大腿部と干渉しない範囲で車両上方側へ向けて突出する凸状部が設けられている、ことを特徴としている。
請求項1記載の本発明によれば、通常の車両走行時には、ラップ側のウエビングによって乗員腰上部が拘束される。またこのときには、ラップ側のウエビングに所定値以上の張力が作用することはないので、乗員腰部拘束手段によって、後方下側へ向けて傾斜した傾斜面は乗員腰下部非拘束位置に保持される。
この状態から車両急減速時になると、乗員は車両前方側へ慣性移動しようとする。このため、ラップ側のウエビングに比較的大きな張力が作用する。かかる張力が所定値以上になると、乗員腰部拘束手段によって、後方下側へ傾斜した傾斜面が、乗員腰下部非拘束位置から乗員腰下部拘束位置へ変位される。これにより、乗員腰上部はラップ側のウエビングによって拘束され、乗員腰下部は乗員腰部拘束手段の傾斜面によって前方下側から後方上側へ向けて拘束される。従って、乗員腰部に対する拘束力が上下でバランス良く得られ、乗員腰部が側面視で回転するのを防止することができる。その結果、車両急減速時に乗員腰部が車両用シートのシートクッションに潜り込むサブマリン現象を抑止することができる。
また、上記の如く、通常の車両走行時には乗員腰部拘束手段が備える傾斜面は乗員腰下部非拘束位置に保持されるため、通常の車両走行時の車両用シートへの乗員の乗り心地性能が損なわれることもない。
さらに、本発明に係る乗員腰部拘束装置の乗員腰部拘束手段は、ラップ側のウエビングに所定値以上の張力が作用することにより、後方下側へ傾斜した傾斜面を乗員腰下部非拘束位置から乗員腰下部拘束位置へ変位させて乗員腰下部を前方下側から後方上側へ向けて拘束することができればよいので、構造的には簡素な構造にすることが可能である。
請求項2記載の本発明によれば、通常の車両走行時には、ラップ側のウエビングによって乗員腰上部が拘束される。またこのときには、ラップ側のウエビングに作用する張力は所定値未満であるため、シートパンスライド手段によって、シートクッションに配設されたシートパンは乗員腰下部非拘束位置に保持される。
この状態から車両急減速時になると、乗員は車両前方側へ慣性移動しようとする。このため、ラップ側のウエビングに比較的大きな張力が作用する。ラップ側のウエビングとシートパンとは連結されているため、ラップ側のウエビングに作用する張力が所定値以上になると、シートパンスライド手段によってシートパンがラップ側のウエビングとの連結方向へスライドされ、シートパンの後部側に形成された後方下側へ傾斜した傾斜面が、乗員腰下部非拘束位置から乗員腰下部拘束位置へ変位される。これにより、乗員腰上部はラップ側のウエビングによって拘束され、乗員腰下部は乗員腰部拘束手段が備える後方下側へ傾斜した傾斜面によって前方下側から後方上側へ向けて拘束される。従って、乗員腰部に対する拘束力が上下でバランス良く得られ、乗員腰部が側面視で回転するのを防止することができる。その結果、車両急減速時に乗員腰部が車両用シートのシートクッションに潜り込むサブマリン現象を抑止することができる。
また、上記の如く、通常の車両走行時にはシートパンはシートパンスライド手段によって乗員腰下部非拘束位置に保持されるため、通常の車両走行時の車両用シートへの乗員の乗り心地性能が損なわれることもない。
さらに、本発明に係る乗員腰部拘束装置は、シートパンスライド手段は、ラップ側のウエビングとシートパンとを連結し、ラップ側のウエビングに所定値以上の張力が作用することにより、シートパン(の傾斜面)を乗員腰下部非拘束位置から乗員腰下部拘束位置へ変位させて乗員腰下部を前方下側から後方上側へ向けて拘束することができればよいので、構造的には簡素な構造にすることが可能である。
請求項3記載の本発明によれば、シートクッションフレームの両サイドに車両前後方向に沿って略平行に一対のサイドフレームが配置されており、当該一対のサイドフレームにシートパンがスライド可能に架設されているため、特別な専用部品を追加することなく、車両急減速時にシートパンを安定した姿勢で車両後方側へスライドさせることができる。
請求項4記載の本発明によれば、サイドフレームにおけるシートパンの摺動面は前端側から後端側へ向かうにつれてフレーム高が高くなるように傾斜されているため、シートパンがサイドフレームに沿って車両後方側へ摺動していくと、シートパンの傾斜面は自動的に前方下側から後方上側へ向けて(即ち、乗員腰下部へ向けて)スライドされる。従って、設計段階で決定したシートパンの最適な移動軌跡を簡単な構成で(即ち、サイドフレームの高さを変えていくことで)具現化することができる。
請求項5記載の本発明によれば、ラップ側のウエビングの端末部をバックル装置を介してシートパンに連結したので、簡単な構成でラップ側のウエビングに作用する張力をシートパンに伝達することができる。従って、ラップ側のウエビングに発生した張力に対する応答性が早くなる。
請求項6記載の本発明によれば、シートパンの傾斜面に、乗員大腿部と干渉しない範囲で車両上方側へ向けて突出する凸状部を設けたので、シートパンが乗員腰下部拘束位置に変位した際により効果的に乗員腰下部を後方上側へ拘束することができる。
以上説明したように、請求項1記載の本発明に係る乗員腰部拘束装置は、後方下側へ傾斜した傾斜面を含んで構成されており、乗員腰上部を拘束するためのラップ側のウエビングに所定値以上の張力が作用することにより、当該傾斜面を乗員腰下部非拘束位置から乗員腰下部を前方下側から拘束する乗員腰下部拘束位置へ変位させる乗員腰部拘束手段を備えているので、簡素な構造で、サブマリン現象の発生防止による乗員の拘束性能向上と車両用シートへの乗員の乗り心地性能向上とを両立させることができるという優れた効果を有する。
請求項2記載の本発明に係る乗員腰部拘束装置は、シートクッションに設けられると共に車両前後方向に沿ってスライド可能とされ、後部側に後方下側へ傾斜した傾斜面が形成されたシートパンと、乗員腰上部を拘束するラップ側のウエビングとシートパンとを連結し、ラップ側のウエビングに作用する張力が所定値未満の場合にはシートパンを乗員腰下部非拘束位置に保持し、ラップ側のウエビングに所定値以上の張力が作用することにより乗員腰下部を前方下側から後方上側へ向けて拘束する乗員腰下部拘束位置までシートパンをスライドさせるシートパンスライド手段と、を有するので、簡素な構造で、サブマリン現象の発生防止による乗員の拘束性能向上と車両用シートへの乗員の乗り心地性能向上とを両立させることができるという優れた効果を有する。
請求項3記載の本発明に係る乗員腰部拘束装置は、請求項2記載の発明において、シートクッションフレームの両サイドに車両前後方向に沿って略平行に一対のサイドフレームを配置すると共に、当該一対のサイドフレームにシートパンをスライド可能に架設したので、特別な専用部品を追加することなく、車両急減速時にシートパンを安定した姿勢で車両後方側へスライドさせることができ、その結果、最小限のコストで信頼性の高い乗員腰部拘束性能が得られるという優れた効果を有する。
請求項4記載の本発明に係る乗員腰部拘束装置は、請求項2又は請求項3記載の発明において、サイドフレームにおけるシートパンの摺動面は、前端側から後端側へ向かうにつれてフレーム高が高くなるように傾斜されているため、設計段階で決定したシートパンの最適な移動軌跡を簡単な構成で(即ち、サイドフレームの高さを変えていくことで)具現化することができ、その結果、複雑な構成でシートパンの最適な移動軌跡を具現化する場合に比し、信頼性を向上させることができるという優れた効果を有する。
請求項5記載の本発明に係る乗員腰部拘束装置は、請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の発明において、ラップ側のウエビングの端末部をバックル装置を介してシートパンに連結したので、ラップ側のウエビングに発生した張力に対する応答性を早くすることができ、その結果、車両急減速時に迅速に乗員腰下部を拘束することができるという優れた効果を有する。
請求項6記載の本発明に係る乗員腰部拘束装置は、請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の発明において、シートパンの傾斜面に、乗員大腿部と干渉しない範囲で車両上方側へ向けて突出する凸状部を設けたので、シートパンが乗員腰下部拘束位置に変位した際により効果的に乗員腰下部を後方上側へ拘束することができ、その結果、最小限のコストで効果的に乗員腰下部に対する拘束性能を向上させることができるという優れた効果を有する。
〔第1実施形態〕
以下、図1〜図5を用いて、本発明に係る乗員腰部拘束装置の第1実施形態について説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印INは車両幅方向内側を示している。
以下、図1〜図5を用いて、本発明に係る乗員腰部拘束装置の第1実施形態について説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印INは車両幅方向内側を示している。
図5には、フロントシート10に着座した乗員の三点式シートベルト装置12の装着状態が側面視で描かれている。この図に示されるように、車両用シートとしてのフロントシート10は、乗員が着座するシートクッション14と、シートクッション14の後端部に傾倒可能に設けられ乗員の背もたれとなるシートバック16と、シートバック16の上端部に高さ調節可能に設けられ乗員の頭部を支持するヘッドレスト18とによって構成されている。車体フロア20の所定位置には左右一対のシートトラック(シートスライドレール)22が配設されており、かかるシートトラック22に後述するシートクッションフレーム38がスライド可能に支持されている。
また、フロントシート10には、乗員保護装置として位置付けられる三点式のシートベルト装置12が配設されている。シートベルト装置12は、乗員拘束用のウエビング24を備えている。ウエビング24の一端部はセンタピラー26の下端部付近に配設されたウエビング巻取装置28のスプールに係止されており、又ウエビング24の他端部は車体フロア20に固定された図示しないアンカプレートに係止されている。さらに、ウエビング24の中間部はセンタピラー26の上部に設けられたショルダアンカ(スリップジョイント)30に挿通自在に支持されている。また、ウエビング24の中間部(ショルダアンカ30とアンカプレートの間)には、高強度部材であるタングプレート32が挿通されている。タングプレート32はシートクッション14の側方に立設状態で配置されたバックル装置34に係合及び離脱可能とされており、タングプレート32をバックル装置34に係合させることにより、乗員は、アンカプレートからタングプレート32までの部分をラップ側のウエビング24Aとし、タングプレート32からショルダアンカ30までの部分をショルダ側のウエビング24Bとする三点式のシートベルト装置12の装着状態となることができる。
ここで、図1及び図2には、上述したフロントシート10に装備された本実施形態の要部に係る乗員腰部拘束装置36の概略構成図が斜視図と一部破断した側面図とで示されている。なお、図1及び図2では、前述したウエビング24の内、ラップ側のウエビング24Aのみを図示しており、ショルダ側のウエビング24Bの図示は省略している。
これらの図に示されるように、シートクッション14内には、その骨格部材として機能するシートクッションフレーム38が配設されている。シートクッションフレーム38は、各々車両前後方向を長手方向として配置された左右一対のサイドフレーム40を備えている。サイドフレーム40の前端部40A間には、車両前方側から見て略コ字状に形成されたシートパン42が掛け渡されている。また、サイドフレーム40の後端部同士は、ロッド44で連結されている。さらに、サイドフレーム40の後端上部には同軸上の軸支孔46が形成されており、これらの軸支孔46を支点としてシートバック16がリクライニングされるようになっている。
上記シートパン42は、中央部に配置されたパン本体48と、このパン本体48の両サイドに一体に形成された左右一対のサイド部50とによって構成されている。パン本体48は、前部を構成する水平部48Aと、この水平部48Aの後端縁から車両後方下側へ向けて所定の傾斜角度で傾斜された傾斜面48Bとによって構成されている。また、一対のサイド部50は各々縦断面形状が下面側が開放された略コ字状に形成されており、左右のサイドフレーム40に上方側から被嵌されることにより、シートパン42がシートクッションフレーム38の前端部間に架設されている。
一方、上記サイドフレーム40は、シートパン42のサイド部50が被嵌される前端部40Aについては均一な高さに設定されているが、前端部40Aと後端部40Bとの間の部分を構成する中間部40Cについては前端側から後端側へ向かうにつれてフレーム高が徐々に高くなるように傾斜されている。すなわち、サイドフレーム40の中間部40Cの上端面がシートパン42の摺動案内面52を構成している。
また、シートパン42において車室内側に位置するサイド部50の側面には、ワイヤ54の一端部がピン56で係止されている。ワイヤ54の他端部は前述したバックル装置34の下端部に係止されている。これにより、シートパン42とバックル装置34とがワイヤ54を介して相互に連結されている。さらに、サイドフレーム40の中間部40Cの後端部付近にはラップウエビングアンカ58が配設されており、当該ラップウエビングアンカ58にワイヤ54の中間部が後方下側から巻き付けられている。
なお、上記構成の内、シートパン42とバックル装置34とを連結しているワイヤ54(連結部材)及びシートクッションフレーム38のサイドフレーム40の摺動案内面52が、本発明における「シートパンスライド手段」に相当する。また、傾斜面48Bが形成されたシートパン42とシートパンスライド手段とを包含したものが、本発明における「乗員腰部拘束手段」に相当する。
(本実施形態の作用・効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
図1及び図2に示されるように、通常の車両走行時には、ラップ側のウエビング24Aによって乗員腰上部60Aが拘束される。またこのときには、ラップ側のウエビング24Aに作用する張力は所定値未満であるため、シートクッション14に配設されたシートパン42はサイドフレーム40の前端部40Aに架設された状態で保持される。なお、図1及び図2に示されたシートパン42の位置が「乗員腰下部非拘束位置」である。また、図2及び後述する図4では、骨盤で乗員腰部60を表現している。
この状態から車両急減速時になると、図3及び図4に示されるように、乗員は車両前方側(図4の矢印A方向側)へ慣性移動しようとする。このため、ラップ側のウエビング24Aに比較的大きな張力が作用する。ラップ側のウエビング24Aとシートパン42とはタングプレート32、バックル装置34、及びワイヤ54を介して相互に連結されているため、ラップ側のウエビング24Aに作用する張力が所定値以上になると、ワイヤ54によってシートパン42が車両後方側(図4の矢印B方向側)へ引き込まれる。このため、シートパン42はサイドフレーム40の摺動案内面52上を車両後方側(図4の矢印C方向側)へ摺動(スライド)し、これに伴ってシートパン42のパン本体48の後部側に形成された傾斜面48Bが、乗員腰下部非拘束位置から乗員腰下部60Bを後方下側から後方上側へ拘束する「乗員腰下部拘束位置」へ変位される。これにより、乗員腰上部60Aはラップ側のウエビング24Aによって拘束され、乗員腰下部60Bはシートパン42の後方下側へ傾斜した傾斜面48Bによって前方下側から後方上側へ向けて拘束される。従って、乗員腰部60に対する拘束力Fが上下でバランス良く得られ(乗員腰上部60Aにあってはラップ側のウエビング24Aの装着方向の拘束力F1が発生し、乗員腰下部60Bにあってはシートパン42の傾斜面48Bのスライド方向の拘束力F2が発生し、乗員腰部60が側面視でシートクッション14への潜り込み方向(図4の矢印M方向)へ回転するのを防止することができる。その結果、車両急減速時に乗員腰部60がフロントシート10のシートクッション14に潜り込むサブマリン現象を抑止することができる。
なお、乗員のウエビング非装着時には本実施形態に係る乗員腰部拘束装置36が作動することはないので、無拘束乗員の腰部の挙動を変えることはない。
また、上記の如く、通常の車両走行時にはシートパン42にワイヤ54による牽引力は作用せず、乗員腰下部非拘束位置に保持されるため、通常の車両走行時のフロントシート10への乗員の乗り心地性能が損なわれることもない。
さらに、本実施形態に係る乗員腰部拘束装置36では、シートパンスライド手段としては、ラップ側のウエビング24Aとシートパン42とを連結し、ラップ側のウエビング24Aに所定値以上の張力が作用することにより、シートパン42を乗員腰下部非拘束位置から乗員腰下部拘束位置へ変位させて乗員腰下部60Bを前方下側から後方上側へ向けて拘束することができればよいので、構造的には簡素な構造にすることが可能である。特にモータやインフレータ等の駆動手段を用いていないので、シンプルな構造で低コストで製造することができる。
以上を総括すると、本実施形態に係る乗員腰部拘束装置36によれば、簡素な構造で、サブマリン現象の発生防止による乗員の拘束性能向上とフロントシート10への乗員の乗り心地性能向上とを両立させることができる。
また、本実施形態に係る乗員腰部拘束装置36では、シートクッションフレーム38の両サイドに車両前後方向に沿って略平行に配置された左右一対のサイドフレーム40にシートパン42がスライド可能に架設されているため、特別な専用部品を追加することなく、車両急減速時にシートパン42を安定した姿勢で車両後方側へスライドさせることができる。その結果、本実施形態によれば、最小限のコストで信頼性の高い乗員腰部拘束性能が得られる。
さらに、本実施形態に係る乗員腰部拘束装置36では、サイドフレーム40におけるシートパン42の摺動案内面52は前端側から後端側へ向かうにつれてフレーム高が高くなるように傾斜されているため、シートパン42がサイドフレーム40に沿って車両後方側へ摺動していくと、シートパン42の傾斜面は自動的に車両前方下側から車両後方上側へ向けて(即ち、乗員腰下部60Bへ向けて)スライドされる。従って、設計段階で決定したシートパン42の最適な移動軌跡を簡単な構成で(即ち、サイドフレーム40の高さを変えていくことで)具現化することができる。その結果、本実施形態によれば、複雑な構成でシートパン42の最適な移動軌跡を具現化する場合に比し、信頼性を向上させることができる(構造がシンプルな方が作動が安定する意である)。
また、本実施形態に係る乗員腰部拘束装置36では、ラップ側のウエビング24Aの端末部(タングプレート32に係止された部分)をバックル装置34及びワイヤ54を介してシートパン42に連結したので、簡単な構成でラップ側のウエビング24Aに作用する張力をシートパン42に伝達することができる。従って、ラップ側のウエビング24Aに発生した張力に対する応答性が早くなる。その結果、本実施形態によれば、車両急減速時に迅速に乗員腰下部60Bを拘束することができる。
〔第2実施形態〕
以下、図6及び図7を用いて、本発明に係る乗員腰部拘束装置の第2実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
以下、図6及び図7を用いて、本発明に係る乗員腰部拘束装置の第2実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
図6には、本実施形態に係る乗員腰部拘束装置の要部構造が側面視で示されている。また、図7には、当該乗員腰部拘束装置が正面視で示されている。
これらの図に示されるように、この実施形態では、シートパン42の傾斜面48Bの幅方向中央部(即ち、乗員大腿部70と干渉しない範囲)に、車両上方側へ向けて所定高さ突出する凸状部としての拘束こぶ72をシートパン42とは別体で設けた点に特徴がある。
この拘束こぶ72は、正面視において乗員大腿部70とのラップを避け、かつ乗員腰部60の全体に拘束こぶ72が延在するように配置されている。なお、拘束こぶ72の突出高さは、乗員の乗り心地性能を悪化させない程度に設定される。
上記構成によれば、前述した第1実施形態で説明した効果が得られる他に、シートパン42の傾斜面48Bに、乗員大腿部70と干渉しない範囲で車両上方側へ向けて突出する拘束こぶ72を設けたので、シートパン42が乗員腰下部拘束位置に変位した際により効果的に(即ち、より迅速でかつより高い拘束力で)乗員腰下部60Bを車両後方上側へ拘束することができる。その結果、本実施形態によれば、最小限のコストで効果的に乗員腰下部60Bに対する拘束性能を向上させることができる。
〔本実施形態の補足説明〕
なお、上述した各実施形態では、フロントシート10に対して本発明を適用したが、これに限らず、3列シートのセカンドシート等の車両用シートに対しても本発明は適用可能である。
なお、上述した各実施形態では、フロントシート10に対して本発明を適用したが、これに限らず、3列シートのセカンドシート等の車両用シートに対しても本発明は適用可能である。
また、上述した各実施形態では、シートパン42のパン本体48に傾斜面48Bを設けたが、これに限らず、車両前後方向にスライド可能な専用の部材に傾斜面を設け、当該専用部材をシートクッションフレーム38のサイドフレーム40に沿ってスライドさせる構成を採ってもよい。
さらに、上述した各実施形態では、シートクッションフレーム38のサイドフレーム40の上端面に後方上側へ傾斜する摺動案内面52を形成したが、これに限らず、前記専用部材をスライド可能に支持するレール状の部材等を車両用シートのシートクッション下方に設ける等の構成を採ってもよい。
また、上述した各実施形態ではバックル装置34とシートパン42とをワイヤ54で直接連結したが、これに限らず、ケーブルやベルトとプーリやローラ、スプロケット等とを適宜組み合わせた構成によって両者を連結する構成を採ってもよい。
さらに、上述した第2実施形態では、拘束こぶ72をシートパン42と別体で構成したが、これに限らず、シートパン42を鋼板で製作する場合にはプレス成形時に拘束こぶ72に相当する凸状部を一体に形成してもよいし、或いは、シートパンをアルミニウム合金等を使った鋳造により製作する場合には鋳造時に凸状部がフロアパンに一体成形されるように構成してもよい。
10 フロントシート(車両用シート)
14 シートクッション
24 ウエビング
24A ラップ側のウエビング
34 バックル装置
36 乗員腰部拘束装置
38 シートクッションフレーム
40 サイドフレーム
42 シートパン(乗員腰部拘束手段)
48A 傾斜面
52 摺動案内面(シートパンスライド手段、乗員腰部拘束手段)
54 ワイヤ(シートパンスライド手段、乗員腰部拘束手段)
60 乗員腰部
60A 乗員腰上部
60B 乗員腰下部
72 拘束こぶ(凸状部)
14 シートクッション
24 ウエビング
24A ラップ側のウエビング
34 バックル装置
36 乗員腰部拘束装置
38 シートクッションフレーム
40 サイドフレーム
42 シートパン(乗員腰部拘束手段)
48A 傾斜面
52 摺動案内面(シートパンスライド手段、乗員腰部拘束手段)
54 ワイヤ(シートパンスライド手段、乗員腰部拘束手段)
60 乗員腰部
60A 乗員腰上部
60B 乗員腰下部
72 拘束こぶ(凸状部)
Claims (6)
- 車両急減速時に乗員腰部を車両用シートに拘束する乗員腰部拘束装置であって、
後方下側へ傾斜した傾斜面を含んで構成されており、乗員腰上部を拘束するためのラップ側のウエビングに所定値以上の張力が作用することにより、前記傾斜面を乗員腰下部非拘束位置から乗員腰下部を前方下側から後方上側へ向けて拘束する乗員腰下部拘束位置へ変位させる乗員腰部拘束手段を備えている、
ことを特徴とする乗員腰部拘束装置。 - 車両急減速時に乗員腰部を車両用シートに拘束する乗員腰部拘束装置であって、
シートクッションに設けられると共に車両前後方向に沿ってスライド可能とされ、後部側に後方下側へ傾斜した傾斜面が形成されたシートパンと、
乗員腰上部を拘束するラップ側のウエビングとシートパンとを連結し、ラップ側のウエビングに作用する張力が所定値未満の場合にはシートパンを乗員腰下部非拘束位置に保持し、ラップ側のウエビングに所定値以上の張力が作用することにより乗員腰下部を前方下側から後方上側へ向けて拘束する乗員腰下部拘束位置までシートパンをスライドさせるシートパンスライド手段と、
を有することを特徴とする乗員腰部拘束装置。 - シートクッションフレームの両サイドに車両前後方向に沿って略平行に一対のサイドフレームが配置されると共に、当該一対のサイドフレームに前記シートパンがスライド可能に架設されている、
ことを特徴とする請求項2記載の乗員腰部拘束装置。 - 前記サイドフレームにおけるシートパンの摺動面は、前端側から後端側へ向かうにつれてフレーム高が高くなるように傾斜されている、
ことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の乗員腰部拘束装置。 - 前記ラップ側のウエビングの端末部は、バックル装置を介して前記シートパンに連結されている、
ことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の乗員腰部拘束装置。 - 前記シートパンの傾斜面には、乗員大腿部と干渉しない範囲で車両上方側へ向けて突出する凸状部が設けられている、
ことを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の乗員腰部拘束装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004289794A JP2006103402A (ja) | 2004-10-01 | 2004-10-01 | 乗員腰部拘束装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004289794A JP2006103402A (ja) | 2004-10-01 | 2004-10-01 | 乗員腰部拘束装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006103402A true JP2006103402A (ja) | 2006-04-20 |
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ID=36373606
Family Applications (1)
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JP2004289794A Pending JP2006103402A (ja) | 2004-10-01 | 2004-10-01 | 乗員腰部拘束装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006103402A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007105683A1 (ja) | 2006-03-14 | 2007-09-20 | Canon Kabushiki Kaisha | 色分解方法および画像処理装置 |
JP2008062877A (ja) * | 2006-09-11 | 2008-03-21 | Toyota Auto Body Co Ltd | 車両用シート |
JP2010260537A (ja) * | 2009-05-09 | 2010-11-18 | Dr Ing Hcf Porsche Ag | 車両シート用のシートフレーム |
JP2019177779A (ja) * | 2018-03-30 | 2019-10-17 | 株式会社Subaru | 乗員保護装置 |
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-
2004
- 2004-10-01 JP JP2004289794A patent/JP2006103402A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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