JP2022150745A - 車両用シート - Google Patents
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Abstract
【課題】乗り心地を阻害することなく衝突時に乗員の姿勢を適切に制御する車両用シートを提供する。【解決手段】車両の衝突を検出する衝突検出部を有する車両に設置される車両用シート100を、弾性を有する材料によって形成され乗員Pの腰部が載せられるシートクッション110と、衝突の検出に応じて、シートクッションにおける腰部の下部の領域を下方から押し上げる腰部押上機構とを備え、腰部押上機構は、シートクッションの下部において下方に向けて突出するとともに下部が上部に対して窄まった形状を有する突出部111と、可撓性を有する材料により形成され衝突の発生前においては突出部の周囲を迂回するよう弛んだ状態で配置されるウェビング130と、衝突の検出に応じてウェビングに張力を発生させる張力発生部230とを有する構成とする。【選択図】図1
Description
本発明は、自動車等の車両に設けられ乗員が着座する車両用シートに関する。
車両用シートに関する従来技術として、例えば特許文献1には、座面部を有するシートクッションの中央部に、揺動可能なボードを配置し、シートクッション上昇手段によりボードを前端部が上昇する方向へ回動させ、車両急減速時の乗員の車両前方への移動を阻止することが記載されている。
特許文献2には、乗員の前方移動を規制するため、シートクッションの下部のフロアにエアバッグモジュールを設けるとともに、エアバッグモジュールの上部に後端のヒンジを中心に前開き自在な板材を設け、衝突時にエアバッグにより板材を一定の前開き傾斜状態とすることが記載されている。
特許文献3には、シートクッションの前部内に配置されたフロントクロスメンバよりも後方に配置され、フロントクロスメンバに上下揺動可能に支持された拘束部材を設け、車両衝突時の乗員の慣性力によって拘束部材とリアクロスメンバとを連結するウェビングが押し下げられることに応じて拘束部材を上方に揺動起立させることが記載されている。
特許文献2には、乗員の前方移動を規制するため、シートクッションの下部のフロアにエアバッグモジュールを設けるとともに、エアバッグモジュールの上部に後端のヒンジを中心に前開き自在な板材を設け、衝突時にエアバッグにより板材を一定の前開き傾斜状態とすることが記載されている。
特許文献3には、シートクッションの前部内に配置されたフロントクロスメンバよりも後方に配置され、フロントクロスメンバに上下揺動可能に支持された拘束部材を設け、車両衝突時の乗員の慣性力によって拘束部材とリアクロスメンバとを連結するウェビングが押し下げられることに応じて拘束部材を上方に揺動起立させることが記載されている。
車両の前面衝突時に、後席乗員は、前席乗員とは異なった挙動を示す場合がある。
具体的には、前席のシートポジションやシートバックの角度によって後席乗員の膝と前席シートバックとの間隔が変化し、衝突時における後席乗員の下半身の拘束のされ方も変化する。そのため、後席乗員の腰部にかかるシートベルト(ラップベルト)のかかり位置も変化する可能性があり、ラップベルトを支点とした所望の上半身挙動とならない可能性がある。
特に、衝突時に後席乗員の腰部(骨盤部分)がシートクッションを押し込みながら下降すると、ラップベルトが骨盤から外れて腹部に食い込み、腹部への圧迫が増大する要因にもなり得る。
具体的には、前席のシートポジションやシートバックの角度によって後席乗員の膝と前席シートバックとの間隔が変化し、衝突時における後席乗員の下半身の拘束のされ方も変化する。そのため、後席乗員の腰部にかかるシートベルト(ラップベルト)のかかり位置も変化する可能性があり、ラップベルトを支点とした所望の上半身挙動とならない可能性がある。
特に、衝突時に後席乗員の腰部(骨盤部分)がシートクッションを押し込みながら下降すると、ラップベルトが骨盤から外れて腹部に食い込み、腹部への圧迫が増大する要因にもなり得る。
これに対し、衝突時に乗員の腰部を、何らかのデバイスにより下方から押し上げて骨盤の沈み込みを防止すれば、ラップベルトの腹部側への上昇を防止して上半身の挙動を安定させるとともに、腹部への圧迫も防止することができる。
しかし、上述した従来技術のようにして乗員を押し上げる構成とした場合、シートクッションの内部に各種の硬質部材が配置されることにより、乗員に異物感、不快感を与えて通常使用時における車両の快適性が損なわれてしまう。
上述した問題に鑑み、本発明の課題は、乗り心地を阻害することなく衝突時に乗員の姿勢を適切に制御する車両用シートを提供することである。
しかし、上述した従来技術のようにして乗員を押し上げる構成とした場合、シートクッションの内部に各種の硬質部材が配置されることにより、乗員に異物感、不快感を与えて通常使用時における車両の快適性が損なわれてしまう。
上述した問題に鑑み、本発明の課題は、乗り心地を阻害することなく衝突時に乗員の姿勢を適切に制御する車両用シートを提供することである。
上述した課題を解決するため、本発明の車両用シートは、車両の衝突を検出する衝突検出部を有する車両に設置される車両用シートにおいて、弾性を有する材料によって形成され乗員の腰部が載せられるシートクッションと、前記衝突の検出に応じて、前記シートクッションにおける前記腰部の下部の領域を下方から押し上げる腰部押上機構とを備え、前記腰部押上機構は、前記シートクッションの下部において下方に向けて突出するとともに下部が上部に対して窄まった形状を有する突出部と、可撓性を有する材料により形成され前記衝突の発生前においては前記突出部の周囲を迂回するよう弛んだ状態で配置されるウェビングと、前記衝突の検出に応じて前記ウェビングに張力を発生させる張力発生部とを有することを特徴とする。
これによれば、衝突時にウェビングが張力発生部に牽引されてストレートな状態に近づき、突出部の表面を滑りながら突出部をすくい上げ、上方へ押し上げることにより、乗員の腰部を下方から押し上げて乗員の姿勢を安定させ、ラップベルトが乗員の骨盤部分から外れて腹部側に上昇することを防止できる。
また、ウェビングは可撓性を有する比較的軟質な部材として構成することが可能であり、車両の通常使用時に乗員に異物感を与えることを防止して、乗り心地を改善することができる。
さらに、ベルト側での対策によりラップベルトの上昇抑制を図る場合に対して、ラップベルトの上昇防止効果を高めて安定した乗員拘束を図ることができ、また、乗員に体格差がある場合であっても良好な効果を得ることができる。
これによれば、衝突時にウェビングが張力発生部に牽引されてストレートな状態に近づき、突出部の表面を滑りながら突出部をすくい上げ、上方へ押し上げることにより、乗員の腰部を下方から押し上げて乗員の姿勢を安定させ、ラップベルトが乗員の骨盤部分から外れて腹部側に上昇することを防止できる。
また、ウェビングは可撓性を有する比較的軟質な部材として構成することが可能であり、車両の通常使用時に乗員に異物感を与えることを防止して、乗り心地を改善することができる。
さらに、ベルト側での対策によりラップベルトの上昇抑制を図る場合に対して、ラップベルトの上昇防止効果を高めて安定した乗員拘束を図ることができ、また、乗員に体格差がある場合であっても良好な効果を得ることができる。
本発明において、前記突出部は、前記シートクッションの下側に配置される車体構造部材に形成された凹部に少なくとも一部が挿入され、前記ウェビングは、前記突出部の表面と前記凹部の内面との間に配置される構成とすることができる。
これによれば、衝突前におけるウェビングを、突出部の周囲を迂回した状態で形状保持することが可能となり、上述した効果をより確実に得ることができる。
これによれば、衝突前におけるウェビングを、突出部の周囲を迂回した状態で形状保持することが可能となり、上述した効果をより確実に得ることができる。
本発明において、前記突出部は、前記シートクッションと一体に予め成型される構成とすることができる。
また、本発明において、前記突出部は、前記乗員の重量により前記シートクッションが弾性変形することにより形成される構成とすることができる。
これらの各発明によれば、部品点数の増加を抑制した簡素な構成により上述した効果を適切に得ることができる。
また、突出部がシートクッションと一体に弾性を有する材料により形成されることにより、乗員に異物感を与えることを防止できる。
また、本発明において、前記突出部は、前記乗員の重量により前記シートクッションが弾性変形することにより形成される構成とすることができる。
これらの各発明によれば、部品点数の増加を抑制した簡素な構成により上述した効果を適切に得ることができる。
また、突出部がシートクッションと一体に弾性を有する材料により形成されることにより、乗員に異物感を与えることを防止できる。
本発明において、前記張力発生部は、前記衝突の検出に応じて乗員が着装するシートベルトを巻き上げるシートベルトプリテンショナと連動して前記ウェビングを巻き上げる構成とすることができる。
これによれば、張力発生部に専用のアクチュエータを独立して設けたり、専用の制御装置等を設ける必要がなく、装置構成を簡素化することができる。
これによれば、張力発生部に専用のアクチュエータを独立して設けたり、専用の制御装置等を設ける必要がなく、装置構成を簡素化することができる。
以上説明したように、本発明によれば、乗り心地を阻害することなく衝突時に乗員の姿勢を適切に制御する車両用シートを提供することができる。
<第1実施形態>
以下、本発明を適用した車両用シートの第1実施形態について説明する。
第1実施形態の車両用シートは、例えば乗用車等の自動車において、後席(2列目シート)として設けられるいわゆるベンチシート状のものである。
以下、本発明を適用した車両用シートの第1実施形態について説明する。
第1実施形態の車両用シートは、例えば乗用車等の自動車において、後席(2列目シート)として設けられるいわゆるベンチシート状のものである。
図1は、第1実施形態の車両用シートの模式的分解斜視図である。
シート100は、シートクッション110、シートバック120(図1では図示しない。図6を参照。)等を有して構成されている。
シートクッション110は、乗員の腰部(骨盤部分)、及び、大腿部が載置される座面部分を有する。
シートクッション110の全体的な概形は、車両前後方向及び車幅方向に延在するパネル状に形成されている。
シートクッション110は、例えばウレタンフォームなどの弾性を有する多孔質材料によって形成されている。
シートクッション110には、形状保持のため部分的に金属等からなる芯材が配置されるとともに、織物、編物等の布地や、皮革などの表皮が被せられている。
シート100は、シートクッション110、シートバック120(図1では図示しない。図6を参照。)等を有して構成されている。
シートクッション110は、乗員の腰部(骨盤部分)、及び、大腿部が載置される座面部分を有する。
シートクッション110の全体的な概形は、車両前後方向及び車幅方向に延在するパネル状に形成されている。
シートクッション110は、例えばウレタンフォームなどの弾性を有する多孔質材料によって形成されている。
シートクッション110には、形状保持のため部分的に金属等からなる芯材が配置されるとともに、織物、編物等の布地や、皮革などの表皮が被せられている。
シートクッション110には、突出部111が形成されている。
突出部111は、シートクッション110の下面から下方へ突出した突起として形成されている。
突出部111は、例えば上方から見た平面形が円形に形成され、かつ表面が球面状の凸曲面であるドーム状に形成されている。
突出部111は、このような構成により、下部が上部に対して窄まった(縮径された)形状を有する。
突出部111は、乗員が着座した際に、骨盤を含む腰部、臀部が載置される領域の直下に形成されている。
図1に示すように、第1実施形態においては、突出部111は、車幅方向に離間して例えば2箇所に配置されている。
突出部111は、シートクッション110の下面から下方へ突出した突起として形成されている。
突出部111は、例えば上方から見た平面形が円形に形成され、かつ表面が球面状の凸曲面であるドーム状に形成されている。
突出部111は、このような構成により、下部が上部に対して窄まった(縮径された)形状を有する。
突出部111は、乗員が着座した際に、骨盤を含む腰部、臀部が載置される領域の直下に形成されている。
図1に示すように、第1実施形態においては、突出部111は、車幅方向に離間して例えば2箇所に配置されている。
シートバック120は、シートクッション110の後端部付近から上方へ突出した部分であって、主に乗員の背部を保持する部分である。
シートバック120は、シートクッション110と同様に弾性を有する多孔質材料によって形成され、表皮が被せられている。
シートバック120は、シートクッション110と同様に弾性を有する多孔質材料によって形成され、表皮が被せられている。
シートクッション110は、車両の車室床面部を構成する車体構造部材であるフロアパネル10に形成された段部11の上面部に載置される。
段部11は、フロアパネル10の後部に設けられ、フロアパネル10から上方へ段状に張り出した部分であって、例えば鋼板をプレス成型することにより、フロアパネル10の他部と一体に形成されている。
段部11の上面部には、凹部12が形成されている。
凹部12は、段部11の上面部を下方にカップ状に凹ませて形成され、上方から見た平面形は、例えば突出部111の中心軸と同心の円形に形成されている。
凹部12には、シートクッション110の突出部111が挿入される。
凹部12は、突出部111の配置に対応して、車幅方向に離間して例えば2箇所に設けられている。
凹部12の側面部は、上部に対して下部が窄まった(縮径された)テーパ状(円錐台の側面状)に形成されている。
凹部12の底面部は、水平面にほぼ沿って配置された平坦な面部である。
車両の通常使用時(非衝突時)においては、突出部111の下端部は、乗員の重量によるシートクッション110の弾性変形により、凹部12の底面部と当接する場合がある。
段部11は、フロアパネル10の後部に設けられ、フロアパネル10から上方へ段状に張り出した部分であって、例えば鋼板をプレス成型することにより、フロアパネル10の他部と一体に形成されている。
段部11の上面部には、凹部12が形成されている。
凹部12は、段部11の上面部を下方にカップ状に凹ませて形成され、上方から見た平面形は、例えば突出部111の中心軸と同心の円形に形成されている。
凹部12には、シートクッション110の突出部111が挿入される。
凹部12は、突出部111の配置に対応して、車幅方向に離間して例えば2箇所に設けられている。
凹部12の側面部は、上部に対して下部が窄まった(縮径された)テーパ状(円錐台の側面状)に形成されている。
凹部12の底面部は、水平面にほぼ沿って配置された平坦な面部である。
車両の通常使用時(非衝突時)においては、突出部111の下端部は、乗員の重量によるシートクッション110の弾性変形により、凹部12の底面部と当接する場合がある。
凹部12の側面部(内周面部)と、突出部111の外表面との間には、車両の前面衝突時に、乗員の腰部(骨盤部分)を上昇させて乗員の姿勢を安定させるため、以下説明するウェビング130が設けられている。
ウェビング130は、フロアパネル10の段部11とシートクッション110との間で、車両前後方向に伸びて配置されている。
ウェビング130の中間部の一部は、凹部12の内部に収容されている。
ウェビング130は、凹部12一か所あたり例えば一対(2本)が配置されている。
ウェビング130の前部131は、凹部12の前方側において、段部11の前端部に固定されている。
ウェビング130の後部132は、車両の前面衝突時にウェビング130を巻き上げて張力を与える図示しないボビンに巻き掛けられている。
後部132の車幅方向の間隔は、衝突前におけるウェビング130の中間部の間隔に対して狭く設定されている。
ウェビング130は、フロアパネル10の段部11とシートクッション110との間で、車両前後方向に伸びて配置されている。
ウェビング130の中間部の一部は、凹部12の内部に収容されている。
ウェビング130は、凹部12一か所あたり例えば一対(2本)が配置されている。
ウェビング130の前部131は、凹部12の前方側において、段部11の前端部に固定されている。
ウェビング130の後部132は、車両の前面衝突時にウェビング130を巻き上げて張力を与える図示しないボビンに巻き掛けられている。
後部132の車幅方向の間隔は、衝突前におけるウェビング130の中間部の間隔に対して狭く設定されている。
図2は、第1実施形態の車両用シートを有する車両におけるシステム構成を模式的に示すブロック図である。
車両は、エアバッグ制御ユニット200、衝突センサ210、エアバッグインフレータ220、シートベルトプリテンショナ230等を有する。
車両は、エアバッグ制御ユニット200、衝突センサ210、エアバッグインフレータ220、シートベルトプリテンショナ230等を有する。
エアバッグ制御ユニット200は、車両の衝突時に基布パネルで構成された袋体であるエアバッグを展開膨張させて乗員を拘束するエアバッグ装置を統括的に制御するものである。
エアバッグ制御ユニット200は、例えば、CPU等の情報処理部、RAMやROMなどの記憶部、入出力インターフェイス、及び、これらを接続するバス等を有するマイクロコンピュータとして構成されている。
エアバッグ制御ユニット200は、例えば、CPU等の情報処理部、RAMやROMなどの記憶部、入出力インターフェイス、及び、これらを接続するバス等を有するマイクロコンピュータとして構成されている。
衝突センサ210は、車体の各部に設けられた加速度センサを有し、自車両と他車両などの物体との衝突に起因する著大な加速度(衝撃)を検出する衝突検出部である。
エアバッグインフレータ220は、例えば化薬式のガス発生装置を有し、衝突前には折り畳まれた状態で内装部材に収容されている図示しないエアバッグに展開用ガスを吹き込み、展開、膨張させるものである。
シートベルトプリテンショナ230は、例えば化薬式のアクチュエータにより駆動されるボビン231(後述する図3参照)を有し、車両の衝突時にシートベルトB(図6参照)を巻き上げて張力を与えるものである。
エアバッグインフレータ220は、例えば化薬式のガス発生装置を有し、衝突前には折り畳まれた状態で内装部材に収容されている図示しないエアバッグに展開用ガスを吹き込み、展開、膨張させるものである。
シートベルトプリテンショナ230は、例えば化薬式のアクチュエータにより駆動されるボビン231(後述する図3参照)を有し、車両の衝突時にシートベルトB(図6参照)を巻き上げて張力を与えるものである。
エアバッグ制御ユニット200は、衝突センサ210の出力に基づいて、衝突の発生及び形態(前面衝突、側面衝突、後面衝突など)を判別するとともに、エアバッグの展開要否、及び、シートベルトプリテンショナ230の作動要否を判断する。
エアバッグ制御ユニット200は、エアバッグの展開が必要と判断した場合には、当該エアバッグのエアバッグインフレータ220に作動指示を出力し、シートベルトプリテンショナ230の作動が必要と判断した場合には、シートベルトプリテンショナ230に作動指示を出力する。
エアバッグ制御ユニット200は、エアバッグの展開が必要と判断した場合には、当該エアバッグのエアバッグインフレータ220に作動指示を出力し、シートベルトプリテンショナ230の作動が必要と判断した場合には、シートベルトプリテンショナ230に作動指示を出力する。
図3は、第1実施形態の車両用シートに設けられるシートベルトプリテンショナのボビン部の構造を模式的に示す斜視図である。
上述したウェビング130の後部132が巻き掛けられたボビン232は、例えばシートベルトプリテンショナ230がシートベルトBを巻き上げるボビン231を回転軸方向に延長するよう同軸に取り付けられ、シートベルトプリテンショナ230によるシートベルトBの牽引と連動してウェビング130を牽引するよう構成されている。
シートベルトプリテンショナ230の作動時には、ボビン231,232は、一体的に図3に矢印で図示するよう反時計回り方向に回動し、シートベルトB、及び、ウェビング130をそれぞれ巻き上げ、牽引する。
シートベルトプリテンショナ230は、本発明の張力発生部として機能する。
エアバッグ制御ユニット200及びシートベルトプリテンショナ230は、上述したシートクッション110の突出部111、ウェビング130と協働して、衝突の検出に応じてシートクッション110における乗員の腰部の下部の領域を下方から押圧する腰部押上機構として機能する。
上述したウェビング130の後部132が巻き掛けられたボビン232は、例えばシートベルトプリテンショナ230がシートベルトBを巻き上げるボビン231を回転軸方向に延長するよう同軸に取り付けられ、シートベルトプリテンショナ230によるシートベルトBの牽引と連動してウェビング130を牽引するよう構成されている。
シートベルトプリテンショナ230の作動時には、ボビン231,232は、一体的に図3に矢印で図示するよう反時計回り方向に回動し、シートベルトB、及び、ウェビング130をそれぞれ巻き上げ、牽引する。
シートベルトプリテンショナ230は、本発明の張力発生部として機能する。
エアバッグ制御ユニット200及びシートベルトプリテンショナ230は、上述したシートクッション110の突出部111、ウェビング130と協働して、衝突の検出に応じてシートクッション110における乗員の腰部の下部の領域を下方から押圧する腰部押上機構として機能する。
以下、上述した腰部押上機構の動作について説明する。
図4は、第1実施形態の車両用シートにおける突出部周辺を示す図であって、衝突前の状態を示す図である。
図4(a)は、車幅方向及び鉛直方向に沿った平面で突出部111の中心を切って見た断面を示し、図4(b)は図4(a)のb-b部断面を示している。なお、図4(b)においては、突出部111は図示を省略している。(図5において同じ)
衝突前の状態においては、ウェビング130の中間部は、凹部12の内周面に沿って、突出部111を迂回するよう、弧状に湾曲し、弛んだ状態で配置されている。
一対のウェビング130は、突出部111を車幅方向に挟んだ両側に配置されている。
図4は、第1実施形態の車両用シートにおける突出部周辺を示す図であって、衝突前の状態を示す図である。
図4(a)は、車幅方向及び鉛直方向に沿った平面で突出部111の中心を切って見た断面を示し、図4(b)は図4(a)のb-b部断面を示している。なお、図4(b)においては、突出部111は図示を省略している。(図5において同じ)
衝突前の状態においては、ウェビング130の中間部は、凹部12の内周面に沿って、突出部111を迂回するよう、弧状に湾曲し、弛んだ状態で配置されている。
一対のウェビング130は、突出部111を車幅方向に挟んだ両側に配置されている。
図5は、第1実施形態の車両用シートにおける突出部周辺を示す図であって、衝突後の状態を示す図である。
衝突後には、ウェビング130は、シートベルトプリテンショナ230によって牽引され、張力を付与され、上述した弛みが取れてストレートな状態に近づく。
このとき、ウェビング130は、突出部111を車幅方向に挟んで締め上げつつ、突出部111の表面に沿って滑りながら、突出部111の基部側(上部側)から突端部側(下部側)へ移動し、突出部111はウェビング130の張力によってすくい上げられ、上方へ押し上げられる。
これにより、乗員の腰部が押し上げられ、乗員の姿勢は骨盤が上昇する方向に変位する。
衝突後には、ウェビング130は、シートベルトプリテンショナ230によって牽引され、張力を付与され、上述した弛みが取れてストレートな状態に近づく。
このとき、ウェビング130は、突出部111を車幅方向に挟んで締め上げつつ、突出部111の表面に沿って滑りながら、突出部111の基部側(上部側)から突端部側(下部側)へ移動し、突出部111はウェビング130の張力によってすくい上げられ、上方へ押し上げられる。
これにより、乗員の腰部が押し上げられ、乗員の姿勢は骨盤が上昇する方向に変位する。
以下、第1実施形態の効果を、以下説明する本発明の比較例と対比して説明する。
比較例において、第1実施形態と共通する箇所には同じ符号を付して説明を省略する。
比較例の車両用シートは、第1実施形態における腰部押上機構を持たないものである。
図6は、第1実施形態及び本発明の比較例の車両用シートにおける前面衝突時の乗員の挙動の一例を模式的に示す図である。
図6(a)は比較例を示し、図6(b)は第1実施形態を示している。
比較例において、第1実施形態と共通する箇所には同じ符号を付して説明を省略する。
比較例の車両用シートは、第1実施形態における腰部押上機構を持たないものである。
図6は、第1実施形態及び本発明の比較例の車両用シートにおける前面衝突時の乗員の挙動の一例を模式的に示す図である。
図6(a)は比較例を示し、図6(b)は第1実施形態を示している。
図6に示すように、シートベルトBは、ショルダベルト部Bs、ラップベルト部Blを有する。
ショルダベルト部Bsは、主に乗員Pの状態を拘束する部分であって、乗員Pの胸部前面に沿って斜行して配置されている。
ラップベルト部Blは、主に乗員Pの腰部を拘束する部分であって、通常の状態においては、乗員Pの骨盤前方において車幅方向にわたして配置されている。
ショルダベルト部Bsは、主に乗員Pの状態を拘束する部分であって、乗員Pの胸部前面に沿って斜行して配置されている。
ラップベルト部Blは、主に乗員Pの腰部を拘束する部分であって、通常の状態においては、乗員Pの骨盤前方において車幅方向にわたして配置されている。
一般に、後席用のシートは、前席用のシートに対してシートクッションの上下方向の剛性が低い場合が多く、乗員Pの腰部の沈み込みが大きくなる傾向を有する。
図6(a)に示す比較例においては、衝突により発生した著大な車体減速度により乗員Pが車体やシート100に対して前進する際に、腰部がシートクッション110に沈み込み、骨盤の位置が低くなってしまう。
これにより、ラップベルト部Blが乗員Pの腰部に対して相対的に上昇し、ラップベルト部Blが腹部に掛かり圧迫する状態となる場合がある。
図6(a)に示す比較例においては、衝突により発生した著大な車体減速度により乗員Pが車体やシート100に対して前進する際に、腰部がシートクッション110に沈み込み、骨盤の位置が低くなってしまう。
これにより、ラップベルト部Blが乗員Pの腰部に対して相対的に上昇し、ラップベルト部Blが腹部に掛かり圧迫する状態となる場合がある。
これに対し、図6(b)に示す第1実施形態においては、衝突時に腰部押上機構がシートクッション110における腰部が載置される領域を下方から押圧することにより、乗員Pの腰部、骨盤が上方へ押し上げられ、比較例のようなシートクッション110への沈み込みが防止される。
これにより、乗員Pの姿勢変化が抑制され、ラップベルト部Blが骨盤前部から外れることを防止し、乗員Pの腹部圧迫を防止することができる。
これにより、乗員Pの姿勢変化が抑制され、ラップベルト部Blが骨盤前部から外れることを防止し、乗員Pの腹部圧迫を防止することができる。
以上説明したように、第1実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)衝突時にウェビング130がシートベルトプリテンショナ230に牽引されてストレートな状態に近づき、突出部111の表面を滑りながら突出部111をすくい上げ、上方へ押し上げることにより、乗員Pの骨盤部分を下方から押し上げて乗員Pの姿勢を安定させ、ラップベルト部Blが乗員Pの骨盤部分から外れて腹部側に上昇することを防止できる。これにより、乗員Pの腹部が圧迫されることを防止できる。
また、ウェビング130は可撓性を有する比較的軟質な部材として構成することが可能であり、車両の通常使用時に乗員に異物感を与えることを防止して、乗り心地を改善することができる。
(2)突出部111は、少なくとも一部がシートクッション110の下側に配置されるフロアパネル10の段部11に形成された凹部12に挿入され、ウェビング130は、突出部111の表面と凹部12の内面との間に配置される構成とすることにより、衝突前におけるウェビング130を、突出部111の周囲を迂回した状態で形状保持することが可能となり、上述した効果をより確実に得ることができる。
(3)突出部111がシートクッション110と一体に予め成型されていることにより、部品点数の増加を抑制した簡素な構成により上述した効果を適切に得ることができる。
また、突出部111がシートクッション110と一体に弾性を有する材料により形成されることにより、乗員に異物感を与えることを防止できる。
(4)シートベルトプリテンショナ230と連動するボビンでウェビング130を巻き上げることにより、専用のアクチュエータを独立して設けたり、専用の制御装置等を設ける必要がなく、装置構成を簡素化することができる。
(1)衝突時にウェビング130がシートベルトプリテンショナ230に牽引されてストレートな状態に近づき、突出部111の表面を滑りながら突出部111をすくい上げ、上方へ押し上げることにより、乗員Pの骨盤部分を下方から押し上げて乗員Pの姿勢を安定させ、ラップベルト部Blが乗員Pの骨盤部分から外れて腹部側に上昇することを防止できる。これにより、乗員Pの腹部が圧迫されることを防止できる。
また、ウェビング130は可撓性を有する比較的軟質な部材として構成することが可能であり、車両の通常使用時に乗員に異物感を与えることを防止して、乗り心地を改善することができる。
(2)突出部111は、少なくとも一部がシートクッション110の下側に配置されるフロアパネル10の段部11に形成された凹部12に挿入され、ウェビング130は、突出部111の表面と凹部12の内面との間に配置される構成とすることにより、衝突前におけるウェビング130を、突出部111の周囲を迂回した状態で形状保持することが可能となり、上述した効果をより確実に得ることができる。
(3)突出部111がシートクッション110と一体に予め成型されていることにより、部品点数の増加を抑制した簡素な構成により上述した効果を適切に得ることができる。
また、突出部111がシートクッション110と一体に弾性を有する材料により形成されることにより、乗員に異物感を与えることを防止できる。
(4)シートベルトプリテンショナ230と連動するボビンでウェビング130を巻き上げることにより、専用のアクチュエータを独立して設けたり、専用の制御装置等を設ける必要がなく、装置構成を簡素化することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明を適用した車両用シートの第2実施形態について説明する。
第2実施形態において、上述した第1実施形態と共通する箇所には同じ符号を付して説明を省略し、主に相違点について説明する。
図7は、第2実施形態の車両用シートにおける突出部周辺を示す図であって、衝突前の状態を示す図(第1実施形態の図4(a)に相当する箇所の図)である。
第2実施形態においては、第1実施形態のように突出部111をシートクッション110の一部に予め成型することに代えて、シートクッション110の下面部は例えば平坦に成型されている。
シートクッション110に乗員が着座したときの、荷重Wによるシートクッション110の弾性変形(変形後の外形を破線により図示する)により、シートクッション110の下部がフロアパネル10の凹部12内に張り出すことによって、第1実施形態の突出部111と同様の機能を有する突出部111aが形成される。
以上説明した第2実施形態においても、上述した第1実施形態の効果と同様の効果を得ることができる。
次に、本発明を適用した車両用シートの第2実施形態について説明する。
第2実施形態において、上述した第1実施形態と共通する箇所には同じ符号を付して説明を省略し、主に相違点について説明する。
図7は、第2実施形態の車両用シートにおける突出部周辺を示す図であって、衝突前の状態を示す図(第1実施形態の図4(a)に相当する箇所の図)である。
第2実施形態においては、第1実施形態のように突出部111をシートクッション110の一部に予め成型することに代えて、シートクッション110の下面部は例えば平坦に成型されている。
シートクッション110に乗員が着座したときの、荷重Wによるシートクッション110の弾性変形(変形後の外形を破線により図示する)により、シートクッション110の下部がフロアパネル10の凹部12内に張り出すことによって、第1実施形態の突出部111と同様の機能を有する突出部111aが形成される。
以上説明した第2実施形態においても、上述した第1実施形態の効果と同様の効果を得ることができる。
(変形例)
本発明は、以上説明した各実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)車両用シート及び車両の構成は、上述した実施形態に限定されず、適宜変更することが可能である。
例えば、車両用シートを構成する各部材の形状、構造、材質、製法、配置、数量などは適宜変更することが可能である。
(2)各実施形態の車両用シートは、例えば乗用車の2列目シートであったが、本発明は、1列目や3列目以降のシートにも適用することができる。また、車両は乗用車に限らず、他種の車両であってもよい。
(3)各実施形態では、ウェビングをシートベルトプリテンショナに追加して設けられ、シートベルトプリテンショナと連動するボビンにより牽引しているが、これに限らず、シートベルト装置とは独立したアクチュエータによってウェビングに張力を付与してもよい。
(4)各実施形態では、突出部の形状は、例えば球面状の凸曲面を有するドーム状であったが、突出部の形状はこれに限らず適宜変更することができる。
例えば、突出部を下方が窄まった円錐状や円錐台状としてもよい。
(5)各実施形態では、ウェビングは突出部を車幅方向に挟んで配置される構成としているが、これに限らず、例えば前後方向に挟む配置や、他の方向に挟む配置であってもよい。
本発明は、以上説明した各実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)車両用シート及び車両の構成は、上述した実施形態に限定されず、適宜変更することが可能である。
例えば、車両用シートを構成する各部材の形状、構造、材質、製法、配置、数量などは適宜変更することが可能である。
(2)各実施形態の車両用シートは、例えば乗用車の2列目シートであったが、本発明は、1列目や3列目以降のシートにも適用することができる。また、車両は乗用車に限らず、他種の車両であってもよい。
(3)各実施形態では、ウェビングをシートベルトプリテンショナに追加して設けられ、シートベルトプリテンショナと連動するボビンにより牽引しているが、これに限らず、シートベルト装置とは独立したアクチュエータによってウェビングに張力を付与してもよい。
(4)各実施形態では、突出部の形状は、例えば球面状の凸曲面を有するドーム状であったが、突出部の形状はこれに限らず適宜変更することができる。
例えば、突出部を下方が窄まった円錐状や円錐台状としてもよい。
(5)各実施形態では、ウェビングは突出部を車幅方向に挟んで配置される構成としているが、これに限らず、例えば前後方向に挟む配置や、他の方向に挟む配置であってもよい。
10 フロアパネル 11 段部
12 凹部 100 シート
110 シートクッション 111,111a 突出部
120 シートバック 130 ウェビング
131 前部 132 後部
200 エアバッグ制御ユニット 210 衝突センサ
220 エアバッグインフレータ 230 シートベルトプリテンショナ
231,232 ボビン
B シートベルト
Bs ショルダベルト部 Bl ラップベルト部
W 荷重
12 凹部 100 シート
110 シートクッション 111,111a 突出部
120 シートバック 130 ウェビング
131 前部 132 後部
200 エアバッグ制御ユニット 210 衝突センサ
220 エアバッグインフレータ 230 シートベルトプリテンショナ
231,232 ボビン
B シートベルト
Bs ショルダベルト部 Bl ラップベルト部
W 荷重
Claims (5)
- 車両の衝突を検出する衝突検出部を有する車両に設置される車両用シートにおいて、
弾性を有する材料によって形成され乗員の腰部が載せられるシートクッションと、
前記衝突の検出に応じて、前記シートクッションにおける前記腰部の下部の領域を下方から押し上げる腰部押上機構とを備え、
前記腰部押上機構は、
前記シートクッションの下部において下方に向けて突出するとともに下部が上部に対して窄まった形状を有する突出部と、
可撓性を有する材料により形成され前記衝突の発生前においては前記突出部の周囲を迂回するよう弛んだ状態で配置されるウェビングと、
前記衝突の検出に応じて前記ウェビングに張力を発生させる張力発生部と
を有すること
を特徴とする車両用シート。 - 前記突出部は、前記シートクッションの下側に配置される車体構造部材に形成された凹部に少なくとも一部が挿入され、
前記ウェビングは、前記突出部の表面と前記凹部の内面との間に配置されること
を特徴とする請求項1に記載の車両用シート。 - 前記突出部は、前記シートクッションと一体に予め成型されること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用シート。 - 前記突出部は、前記乗員の重量により前記シートクッションが弾性変形することにより形成されること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用シート。 - 前記張力発生部は、前記衝突の検出に応じて乗員が着装するシートベルトを巻き上げるシートベルトプリテンショナと連動して前記ウェビングを巻き上げること
を特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の車両用シート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021053482A JP2022150745A (ja) | 2021-03-26 | 2021-03-26 | 車両用シート |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021053482A JP2022150745A (ja) | 2021-03-26 | 2021-03-26 | 車両用シート |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2022150745A true JP2022150745A (ja) | 2022-10-07 |
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ID=83464533
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021053482A Pending JP2022150745A (ja) | 2021-03-26 | 2021-03-26 | 車両用シート |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2022150745A (ja) |
-
2021
- 2021-03-26 JP JP2021053482A patent/JP2022150745A/ja active Pending
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RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
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