JP2006102684A - 基板処理装置および基板処理方法 - Google Patents

基板処理装置および基板処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】吐出口と基板との距離を正確に制御可能であるとともに、ノズルの作製が容易な基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板処理装置1では、処理対象となる基板と垂直な方向における位置である垂直位置を測定するリニアゲージ81,82が、処理対象の基板に処理液を吐出するスリットノズル41の吐出口41cおよび測定部位P,P’の垂直位置を測定し、当該垂直位置の測定結果を利用して、スリットノズル41を基板と垂直な方向へ移動させる昇降機構43,44によるスリットノズル41の昇降制御が行われる。
【選択図】図4

Description

本発明は、基板処理装置および基板処理方法に関する。
従来より、ノズルの先端に設けられた吐出口と基板とを近接させ、吐出口から基板に対して処理液を吐出することにより、処理液を基板に塗布する基板処理装置が用いられている。当該基板処理装置では、吐出口と基板との距離が処理液の塗布状態に影響を与えるため、吐出口と基板との距離を所定の距離に制御する必要がある。このため、吐出口と基板との距離を所定の距離に制御する技術が様々に検討されている。例えば、特許文献1には、吐出口と同一面内に形成された被測定面の位置を測定し、その測定結果を利用して吐出口と基板との距離を所定の距離に制御する技術が開示されている。
特開平9−206652号公報
しかし、特許文献1の技術では、被測定面を吐出口と同じ面に高い寸法精度で形成しなければ、吐出口と基板との距離を所定の距離に制御することはできない。このため、特許文献1の技術では、ノズルの作製に多くの時間および費用を要するという問題がある。なお、被測定面の位置の測定に代えて、吐出口そのものの位置を測定することも考えられるが、この場合、吐出口に付着した処理液に起因する測定誤差が発生し、吐出口と基板との距離を正確に制御できないという問題が発生する。
本発明は、この問題を解決するためになされたもので、吐出口と基板との距離を正確に制御可能であるとともに、ノズルの作製が容易な基板処理装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明によれば、基板処理装置であって、処理対象となる基板と垂直な方向における位置である垂直位置を測定する測定手段と、前記基板に対して処理液を吐出する吐出口を有し、垂直位置を測定するための測定部位が前記吐出口以外に定義されたノズルと、前記ノズルを前記基板と垂直な方向へ移動させる垂直移動手段と、前記垂直移動手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段が、前記吐出口および前記測定部位の垂直位置の測定結果を利用して、前記垂直移動手段を制御する。
請求項2の発明によれば、請求項1に記載の基板処理装置において、前記吐出口の垂直位置が所定の垂直位置であるときの、前記測定部位の垂直位置の測定結果を記憶する記憶手段をさらに備え、前記制御手段が、前記測定部位の垂直位置の測定結果と前記記憶手段に記憶された測定結果とが一致するまで前記ノズルを前記垂直移動手段によって移動させることにより、前記吐出口を所定の垂直位置へ移動させる校正処理を実行する。
請求項3の発明によれば、請求項2に記載の基板処理装置において、前記記憶手段に記憶された測定結果が、前記吐出口の垂直位置の測定結果が所定の測定結果であるときの前記測定部位の垂直位置の測定結果である。
請求項4の発明によれば、請求項2または請求項3に記載の基板処理装置において、前記基板処理装置の動作開始と同期して前記校正処理を実行する。
請求項5の発明によれば、請求項2または請求項3に記載の基板処理装置において、前記基板処理装置における所定枚数の基板の処理または所定時間の経過ごとに前記校正処理が実行される。
請求項6の発明によれば、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の基板処理装置において、前記制御手段が、前記垂直移動手段による前記ノズルの垂直位置の移動量を制御することにより、前記基板と前記吐出口との距離を制御する。
請求項7の発明によれば、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の基板処理装置において、前記基板と平行な方向へ前記ノズルを移動させる水平移動手段をさらに備え、前記水平移動手段が前記ノズルを前記基板と平行な方向へ移動させることにより、前記測定手段の測定対象が前記吐出口と前記測定部位との間で切り替えられる。
請求項8の発明によれば、吐出口を有するノズルから基板に対して処理液を吐出することにより、前記基板を処理する基板処理方法であって、前記基板と垂直な方向における前記吐出口の垂直位置を測定する第1測定工程と、前記吐出口以外に定義された前記ノズルの測定部位の垂直位置を測定する第2測定工程と、前記第1測定工程および前記第2測定工程における測定結果を利用して、前記ノズルを前記基板と垂直な方向へ移動させる垂直移動工程とを備える。
請求項1ないし請求項8の発明によれば、吐出口および測定部位の両方の垂直位置の測定結果を利用するので、吐出口と基板との距離を正確に制御可能であるとともに、吐出口および測定部位の垂直位置が一致するようにノズルを作製する必要がなく、ノズルを容易に作製可能である。
請求項2または請求項3の発明によれば、吐出口を所定の垂直位置へ移動させるときに吐出口の垂直位置を測定する必要がないので、吐出口への処理液の付着があっても吐出口の垂直位置を所定の垂直位置へ正確に合わせることができる。
請求項3の発明によれば、吐出口の垂直位置をいったん正確に測定できれば、それ以後は吐出口の垂直位置を測定する必要がなくなり、吐出口の清掃作業を省略可能になる。
請求項4の発明によれば、基板処理装置の動作開始と同期して校正処理が実行されるので、基板処理装置の動作開始ごとに垂直位置の測定値の精度低下が解消される。
請求項5の発明によれば、基板処理装置における所定枚数の基板の処理または所定時間の経過ごとに校正処理が実行されるので、基板処理装置における所定枚数の基板の処理または所定時間の経過ごとに垂直位置の測定値の精度低下が解消される。
請求項6の発明によれば、ノズルの垂直位置の絶対値を測定するための測定部材を設ける必要がないので、基板処理装置の構成を簡略化可能である。
請求項7の発明によれば、ひとつの測定手段により吐出口および測定部位の垂直位置を測定可能であるので、基板処理装置の構成を簡略化可能である。
<1.基板処理装置の構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る基板処理装置1の概略を示す斜視図である。図2は、本体2と制御部6とを含んで構成される基板処理装置1の本体2を上方から見た平面図である。図3および図4は、それぞれ、本体2の正面図および側面図である。
基板処理装置1は、処理対象となる基板90の表面90sに処理液(薬液)を塗布する処理液塗布装置である。基板処理装置1において、基板90は、例えば、液晶パネル用ガラス基板に代表されるフラットパネルディスプレイ用基板、液晶フィルム用フレキシブル基板、フォトマスク用基板、カラーフィルタ用基板、サーマルヘッド用セラミック基板、半導体ウエハ等であり、処理液は、例えば、フォトレジスト液(以下では、単に「レジスト」とも称する)である。なお、以下では、基板90が、液晶表示装置の液晶パネルを構成する部材である角形の液晶パネル用ガラス基板であり、処理液が、基板90の表面90sに形成された電極層を選択的にエッチングするためのパターンの形成に用いられるレジストであるとして説明を進める。基板処理装置1は、スリットノズル41から基板90に対してレジストを吐出することにより、基板90の表面90sにレジストを塗布するスリットコータとなっている。
<1.1 本体の構成>
図1〜図4に示すように、本体2は、基板90を保持するとともに付属する各機構の基台となるステージ3と、基板90に対してレジストを吐出する架橋構造4とを備える。架橋構造4は、走行機構70,71により、ステージ3上で水平前後方向(X方向)に水平移動可能となっている。
○ステージ;
ステージ3は、直方体形状の一体の石で構成されており、その上面および側面は平坦に加工されている。
ステージ3の上面は、水平面となっており、基板90の保持面30として機能する。保持面30には、多数の真空吸着口が分布して形成される。基板処理装置1では、基板90の処理を行っている間、当該真空吸着口を用いた真空吸着により、基板90が保持エリア91に保持される。
○架橋構造;
ステージ3の左右両端から略水平に掛け渡された架橋構造4は、主に、スリットノズル41を支持するノズル支持部40と、ノズル支持部40の両端をステージ3の上方で支持する昇降機構43,44とから構成される。ノズル支持部40は、昇降機構43,44によって、ステージ3の上方に略水平かつ昇降可能に保持され、その長手方向は基板処理装置1の水平左右方向(Y方向)となっている。ノズル支持部40は、アルミニウムダイキャスト材を骨材として用いることにより、強度を維持しつつ軽量化が図られている。これにより、架橋構造4を移動させるために必要な駆動力を軽減可能となり、駆動力の小さいモータを用いて架橋構造4を移動可能となる。
図3に示すように、ノズル支持部40には、スリットノズル41が取り付けられる。水平左右方向に伸びるスリットノズル41は、図5の側面図にも示すように、吐出部41bを本体部41aから下方すなわち基板90の方向へ突出させた構造を有する。また、吐出部41bの先端の吐出口41cには、レジストを供給する配管やレジスト用ポンプを含む吐出機構(不図示)が接続される。これにより、基板処理装置1では、吐出口41cから基板90に対してレジストを吐出可能となる。スリットノズル41は、十分な剛性を有しており、本体部41aから見た吐出口41cの相対位置がスリットノズル41の変形により変化することはない。
先述したように、昇降機構43,44は、ノズル支持部40の両端をステージ3の上方で昇降可能に支持しており、保持面30または基板90と垂直な鉛直方向(Z方向)へノズル支持部40を昇降させる。ノズル支持部40にはスリットノズル41が取り付けられているので、昇降機構43,44は、スリットノズル41を基板90と垂直な方向へ移動させることにより、吐出部41cと基板90の表面90sとの距離を変化させる手段ともなっている。昇降機構43,44は、スリットノズル41を並進的に昇降させるとともに、スリットノズル41のYZ平面内における姿勢を調整するためにも用いられる。
続いて、昇降機構43,44の詳細について説明するが、昇降機構43,44はほぼ同様の構成を有するため、以下では、昇降機構44について図6および図7を参照しながら説明を行い、昇降機構43についての重複説明は省略する。ここで、図6および図7は、昇降機構44の詳細を示す図であり、図6が昇降機構44を上方から見た平面図に相当し、図7が昇降機構44の正面図に相当する。
図6および図7に示すように、昇降機構44は、ACサーボモータ(以下では、単に「サーボモータ」とも称する)440、ボールネジ441およびロータリーエンコーダ442を備える。昇降機構44は、図示しない結合部材を備えており、サーボモータ440やロータリーエンコーダ442などの各構成は、当該結合部材に取り付けられ、所定の位置に支持される。
ノズル支持部40の昇降駆動力を生成するサーボモータ440は、制御部6から与えられる制御信号に応じて回転軸が回転するモータであり、当該制御信号により回転軸の回転角および回転方向を制御可能となっている。
ボールネジ441は、上方端においてサーボモータ440の回転軸と接続され、中心軸Qを中心として回転可能である。ボールネジ441は、ノズル支持部40の端部の取付孔40hに螺入される。取付孔40hの内面には雌ネジ構造が形成されているので、ボールネジ441は、サーボモータ440から伝達された回転駆動力を受けて回転することにより、ノズル支持部40(スリットノズル41)を鉛直方向に昇降させることができる。
サーボモータ440の上部に設けられたロータリーエンコーダ442は、サーボモータ440の回転軸の軸位置を検出し、軸位置に対応する位置アドレスARを制御部6へ伝達する。なお、昇降機構44によるノズル支持部40の鉛直方向の移動量(昇降距離)は、ボールネジ441の回転角(サーボモータ440の回転角)で決定される。したがって、基板処理装置1では、ロータリーエンコーダ442から伝達された位置アドレスARの変化量とノズル支持部40の鉛直方向の移動量とが1:1に対応しているので、位置アドレスARの変化量を制御することにより、ノズル支持部40の鉛直方向の移動量を制御可能である。
○走行機構;
先述したように、架橋構造4は、基板処理装置1の水平前後方向へ水平移動が可能となっている。以下では、架橋構造4の当該水平移動を実現するための走行機構70,71について説明する。
走行機構70,71は、それぞれ、走行レール72,73と、支持ブロック74,75と、ACリニアサーボモータ(以下では、単に「リニアサーボモータ」とも称する)76,77と、リニアエンコーダ78,79とを備える。これらの構成のうち、走行レール72、支持ブロック74、リニアサーボモータ76およびリニアエンコーダ78は、昇降機構43を水平前後方向へ水平移動させるための走行機構であり、走行レール73、支持ブロック75、リニアモータ77およびリニアエンコーダ79は、昇降機構44を水平前後方向へ水平移動させるための走行機構である。なお、前者と後者とは、ほぼ同様の構成を有するため、以下では、図8および図9も参照しながら前者について説明を行い、後者についての重複説明は省略する。なお、図8は、走行機構70のYZ面内の断面図であり、図9は、走行機構70を側方から見た側面図である。
走行レール72は、保持面30の端部に固設され、その長手方向は、基板処理装置1の水平前後方向となっている。基板処理装置1では、走行レール72と昇降機構43の下端に固設された支持ブロック74とにより、昇降機構43の移動方向を規定する直動案内機構が実現されている。すなわち、基板処理装置1では、支持ブロック74が走行レール72に沿って水平移動することにより、昇降機構43の移動方向が水平前後方向に規定される。
昇降機構43の水平移動の駆動力を生成するリニアモータ76は、制御部6から与えられる制御信号に応答して移動子76bが固定子76aに対して移動するリニアモータであり、当該制御信号により移動量および移動方向を制御可能となっている。ここで、固定子76aがステージ3の側面に固設され昇降機構43の移動方向に沿って伸びているとともに、移動子76bが昇降機構43の下端部に固設されているので、移動子76bが固定子76aに対して移動すれば、昇降機構43は、保持面30上で水平前後方向へ水平移動することになる。
リニアエンコーダ78は、スケール部78aおよび検出子78bを備えており、スケール部78aに対する検出子78bの位置を検出し、検出子78bの位置に対応する位置アドレスALを制御部6へ伝達する。ここで、スケール部78aが固定子76aとともにステージ3に固設され昇降機構43の移動方向に沿って伸びているとともに、検出子78bが昇降機構43の下端部に固設されているので、リニアエンコーダ78から伝達された位置アドレスALは、昇降機構43の水平前後方向における水平位置を特定するための情報ともなる。
以上のように、基板処理装置1では、昇降機構43,44を、それぞれ、走行機構70,71によって水平前後方向へ水平移動可能であるため、スリットノズル40を含む架橋機構4の全体を保持面30または基板90と平行な水平前後方向へ水平移動可能である。さらに、スリットノズル40の水平前後方向における水平位置は、リニアエンコーダ78,79から制御部6へ伝達される位置アドレスALによって特定される。
○リニアゲージ
ステージ3の前面31には、リニアゲージ81,82が固設される。リニアゲージ81,82は、基板90と垂直な鉛直方向における測定対象の垂直位置を測定するための部材となっている。以下では、リニアゲージ81(82)の構成について、図10の拡大図(側面図)を参照しながら説明する。
リニアゲージ81(82)は、鉛直方向に弾性的に上下動可能な測定子811(821)を備える。測定子811(821)は、下方に向かって力を加えられると、反発可能に押し下げられる、すなわち、測定子811(821)は、下方に向かって力を加えられると、前面31に固設された本体部812(822)へ復帰可能に押し込まれる。そして、リニアゲージ81(82)は、測定子811(821)の押し下げ量を検出して、検出結果を制御部6へ出力するように構成されている。したがって、リニアゲージ81(82)の測定子811(821)の先端に測定対象を接触させた状態にしておけば、制御部6において、鉛直方向における当該測定対象の垂直位置を導出可能である。
基板処理装置1においては、(1)力を加えない状態における測定子811(821)の先端813(823)の垂直位置が保持面30より上方となるとともに(図10(a)参照)、(2)測定子811(821)の押し下げ量が検出可能な上限に達したときの先端813(823)の垂直位置が保持面30より下方となるように(図10(b)参照)、リニアゲージ81(82)がステージ3の前面31に取り付けられるので、リニアゲージ81(82)により、保持面30を含む所定の範囲内で測定対象の垂直位置を測定可能である。
また、リニアゲージ81の測定値は、先端813(823)が保持面30にあるときに、「0」となるように校正される、すなわち、リニアゲージの測定値は、保持面30を基準としており、保持面30と測定対象との距離または保持面30を基準とした測定対象の高さともなっている。
<1.2 制御部の構成>
図1に示すように、マイクロコンピュータによって構成された制御部6は、プログラムやデータを記憶する記憶部60と、プログラムに従った処理を行う演算部61とを備える。記憶部60は、例えば、一時的な記憶を行うRAM、読み出し専用のROMおよび磁気ディスク装置等であるが、可搬性の光磁気ディスクやメモリカード等の記憶媒体とその読取装置によって実現されてもよい。
また、制御部6の筐体の前面には、オペレータが基板処理装置1に対して指示を入力するための操作部62と、各種表示を行うための表示部63とが設けられる。操作部62は、例えば、各種スイッチ(キーボードやマウス等を含む)であるが、タッチパネルディスプレイのように、表示部6の機能を兼ね備えたものであってもよい。表示部63は、例えば、液晶ディスプレイや各種ランプによって実現される。
制御部6は、図示しないケーブルやI/Oインターフェースにより、本体2の各構成と接続されており、操作部62から入力された指示や、本体2の各構成から伝達されてきた信号に基づいて、昇降機構43,44等の基板処理装置1の各部の統括制御を行う。
続いて、制御部6の機能的構成を説明する。図11は、スリットノズル41の昇降および水平移動の制御に係る制御部6の機能的構成を示すブロック図である。図11における、リニアゲージ制御部601、走行機構制御部602、昇降機構制御部603、初期校正制御部604、都度校正制御部605および塗布制御部606は、制御部6が、I/Oインターフェース等の各種ハードウエアを利用しつつ、制御プログラムを実行することにより実現する機能を示す機能ブロックである。なお、昇降機構43、走行機構70およびリニアゲージ81が図11には図示されていないが、制御部6は、これらに対しても、昇降機構44、走行機構71およびリニアゲージ82と同様の制御を行っている。
図11において、リニアゲージ制御部601は、リニアゲージ82から伝達される検出結果から、測定対象の垂直位置を導出する。
走行機構制御部602は、リニアエンコーダ79から伝達される位置アドレスALを取得するとともに、リニアサーボモータ77へ制御信号を出力する。さらに、走行機構制御部602は、位置アドレスALを監視しつつリニアサーボモータ77へ制御信号を出力することにより、吐出口41cを任意の水平位置へ移動させる。
昇降機構制御部603は、ロータリーエンコーダ442から伝達される位置アドレスARを取得するとともに、サーボモータ440へ制御信号を出力する。さらに、昇降機構制御部603は、位置アドレスARを監視しつつサーボモータ440へ制御信号を出力することにより、吐出口41cを任意の垂直位置へ移動させる。
初期校正制御部604は、吐出口41cに処理液が付着していない状態で行われる初期校正の統括制御を行う。より具体的には、初期校正制御部604は、吐出口41cの垂直位置が保持面30と一致するときの(垂直位置の測定値が「0」であるときの)、スリットノズル41の本体部41aに定義された測定部位P(図5参照)の垂直位置H0を測定し、初期垂直位置として記憶部60に記憶させる。なお、以下では、吐出口41cの垂直位置が保持面30と一致した状態を実現することを「原点出し」とも称する。
本実施形態では、図3および図5に示すように、本体部41aの平滑な下面であって、リニアゲージ81(82)による測定時に吐出部41bと干渉しない部位が、垂直位置を測定するための測定部位P(P’)として選択される。この測定部位P(P’)の選択は一例であって、スリットノズル41の昇降および水平移動時に吐出口41cとの相対位置が変化せず、リニアゲージ81(82)による測定時に吐出部41bと干渉しない部位であれば、測定部位P(P’)として選択可能である。なお、本実施形態では、吐出口41cおよび測定部位P(P’)の垂直位置が一致するようにスリットノズル41を作製する必要はない。したがって、本実施形態のスリットノズル41は容易に作製可能である。
都度校正制御部605は、基板処理装置1への電源投入時等に都度に行われる都度校正の統括制御を行う。都度校正制御部605は、記憶部60に記憶された初期垂直位置H0を読み出して、測定部位Pの垂直位置の測定結果と、記憶部60に記憶された初期垂直位置H0とが一致するまでスリットノズル41を昇降機構43,44によって移動させることにより、吐出口41cを保持面30と一致する原点まで移動させる。すなわち、都度校正制御部605は、吐出口41cの垂直位置を測定することなく、原点出しを実行している。したがって、都度校正においては、吐出口41cへの処理液の付着があっても、吐出口41cを正確に原点へ移動可能である。さらに、都度校正制御部605は、原点出しが完了した時点における位置アドレスARを昇降機構制御部603を介して取得して、基準位置アドレスAR1として、記憶部60に記憶させる。
塗布制御部606は、基板90の表面90sへのレジスト塗布にあたって、吐出口41cと基板90の表面90sとの距離が適切な距離となるように、昇降機構44を制御する。この制御は、初期校正時および都度校正時における吐出口41cおよび測定部位P(P’)の垂直位置の測定結果を利用して行われる。
<2.オペレータの作業手順>
基板処理装置1におけるオペレータの作業手順について、図12のフローチャートを参照しながら説明する。
最初に、オペレータは、リニアゲージ81,82の校正の要否を判断する(ステップS1)。リニアゲージ81,82の校正が必要である場合、オペレータは、リニアゲージ81,82の校正(ステップS2)を行った後に初期校正の要否の判断(ステップS3)へ移行する。一方、リニアゲージ81,82の校正が不要である場合、オペレータは、リニアゲージ81,82の校正を行わずに、初期校正の要否の判断(ステップS3)へ移行する。
続いて、オペレータは、初期校正の要否を判断する(ステップS3)。初期校正が必要である場合、オペレータは、吐出口41cの清掃を行い(ステップS4)、基板処理装置1に初期校正を実行させた後に(ステップS5)、基板処理装置1を自動運転状態へ移行させる(ステップS6)。一方、初期校正が不要である場合、オペレータは、基板処理装置1を自動運転状態へ移行させる(ステップS6)。
なお、初期校正は、基板処理装置1の初回運転時等において初期垂直位置H0が記憶部60に記憶されていない場合や、スリットノズル41の交換作業後等の記憶部60に記憶されている初期垂直位置H0が適切な値でない場合等に実行する必要がある。また、自動運転状態においては、都度校正のために、吐出口41cの清掃を行う必要はない。
○リニアゲージの校正;
続いて、リニアゲージ81(82)の校正作業について、図13を参照しながら説明する。図13は、校正時のリニアゲージ81(82)の状態を示す拡大図(側面図)である。
リニアゲージ81(82)は、初期校正に先立って、測定子811(821)の先端813(823)が保持面30と同じ垂直位置にあるときに、測定値が「0」(または所定値)となるように校正される。なお、先端813(823)が保持面30と異なる所定の垂直位置にあるときに、測定結果が所定値となるように校正されることも妨げられない。
具体的には、リニアゲージ81(82)の校正にあたって、オペレータが、平坦面PLを有する板状の校正器(校正治具)83を保持面30に載置するとともに、保持面30から上方に突出した測定子811(821)を校正器83を用いて下方に押し下げる。ここで、保持面30と接する面すなわち測定子811を押し下げする面を平坦面PLとしておけば、平坦面PLと保持面30とが密着した状態となったとき、先端813の高さは、保持面30と同じ高さになる。そして、この状態を維持したまま、リニアゲージ81(82)の測定値が「0」となるように調整を行うことにより、リニアゲージ81(82)の校正が完了する。
<3.基板処理装置の動作>
以下では、基板処理装置1の動作について説明するが、説明にあたっては、まず、初期校正および都度校正に係る動作フローを説明し、しかるのちに、自動運転に係る動作フローを説明する。
○初期校正;
初期校正が行われるときの基板処理装置1の動作を、図14および図15を参照しながら説明する。図14は、初期校正の動作フローを示すフローチャートであり、図15は、初期校正が行われているときのリニアゲージ81(82)およびスリットノズル41を側方から見た側面図である。なお、吐出口41cの清掃が初期校正に先立って行われているので(図12参照)、初期校正時には、吐出口41cは、リニアゲージ81,82による正確な測定が可能な状態となっている。
初期校正が開始されると、初期校正制御部604が、走行機構制御部602を介して、吐出口41cがリニアゲージ81(82)の上方となるようにスリットノズル41を水平移動させる、すなわち、吐出口41cの水平位置およびリニアゲージ81(82)の水平位置とを一致させる(図15(a))(ステップS101)。続いて、初期校正制御部604は、吐出口41cの原点出しを行う(ステップS102)。より具体的には、初期校正制御部604は、リニアゲージ制御部601および昇降機構制御部603を介して、吐出口41cの垂直位置を監視しながらスリットノズル41を下降させ(図15(b))、吐出口41cの垂直位置の測定値が「0」になったとき、スリットノズル41cの下降を停止させる(図15(c))。
初期校正制御部604は、さらに、走行機構制御部602を介して、原点出しが完了したスリットノズル41の測定部位P(P’)がリニアゲージ81(82)の上方となるようにスリットノズル41を水平移動させる、すなわち、測定部位P(P’)およびリニアゲージ81(82)の水平位置を一致させる(図15(d))(ステップS103)。このとき、吐出口41cがリニアゲージ81(82)によって傷つけられることを防止するために、水平移動前にスリットノズル41をいったん上方に退避し、水平移動後にスリットノズル41を水平移動前の垂直位置に戻すようにしてもよい。すなわち、ここでの水平移動は、移動前と移動後とで、吐出口41cの垂直位置が変化しないような移動であればよく、途中の移動経路は制限されない。
水平移動完了後、初期校正制御部604は、リニアゲージ制御部601を介して測定部位P(P’)の垂直位置を取得し、初期垂直位置H0として、記憶部60に記憶させる。
なお、過去の初期校正時の初期垂直位置H0が記憶部60に既に記憶されている場合は、新たに得られた初期垂直位置H0により、古い初期垂直位置H0が上書き更新される。これにより、吐出口41cの垂直位置の測定値が「0」であるときの、測定部位P(P’)の垂直位置H0が得られたことになる。
なお、初期校正においては、走行機構70,71がスリットノズル41を水平移動させることにより、リニアゲージ81(82)の測定対象を、吐出部41cと測定部位P(P’)との間で切り替えている。これにより、ひとつのリニアゲージで、吐出部41cおよび測定部位P(P’)の垂直位置を測定を可能となり、基板処理装置1の構成を簡略化可能である。
○都度校正;
以下では、都度校正が行われるときの基板処理装置1の動作について、図16および図17を参照しながら説明する。図16は、都度校正の動作フローを示すフローチャートであり、図17は、都度校正が行われているときのリニアゲージ81(82)およびスリットノズル41を側方から見た側面図である。
都度校正が開始されると、都度校正制御部605が、走行機構制御部602を介して、測定部位P(P’)がリニアゲージ81(82)の上方となるようにスリットノズル41を水平移動させる、すなわち、測定部位P(P’)の水平位置およびリニアゲージ81(82)の水平位置を一致させる(図17(a))(ステップS201)。続いて、都度校正制御部605は、吐出口41cの原点出しを行う(ステップS202)。より具体的には、リニアゲージ制御部601および昇降機構制御部603を介して、測定部位Pの垂直位置を監視しながらスリットノズル41を下降させ(図17(b))、測定部位Pの垂直位置が、記憶部60に記憶されている初期垂直位置H0と一致したとき、スリットノズル41cの下降を停止させる(図17(c))。この原点出しにおいては、初期校正と異なり、吐出口41cの測定は行われていないので、都度校正の原点出しは、吐出口41cに処理液が付着している状態であっても行うことができる。
続いて、都度校正制御部605は、原点出しが完了した時点における位置アドレスARを昇降機構制御部603を介して取得して、基準位置アドレスAR1として、記憶部60に記憶させる(ステップS203)。
○基板処理装置の自動運転;
続いて、自動運転が行われるときの基板処理装置1の動作フローについて、図18のフローチャートを参照しながら説明する。
基板処理装置1が自動運転を開始すると、最初に、都度校正制御部605により、先述した都度校正が実行され、スリットノズル41の原点出しが行われる(ステップS301)。
都度校正完了後、図示しない搬送機構により、処理対象となる基板90が保持面30の保持エリア91に搬入され、保持エリア91に真空吸着される(ステップS302)。
続いて、塗布制御部606による、表面90sへのレジストの塗布処理が行われる(ステップS304)。塗布制御部606は、レジストの塗布にあたって、オペレータ等により制御部6にデータとして入力された基板90の厚みTと、レジスト塗布を適切に行うことができるギャップG(例えば、50μm〜300μmであるが、典型的には、150μm〜200μm)とから、吐出口41cと保持面30との距離T+Gを算出するとともに、基準位置アドレスAR1を記憶部60から読み出し、式1に基づいて、レジスト塗布中に維持すべきロータリーエンコーダ442の位置アドレスAR2を算出する。ここで、定数kは、位置アドレスARの単位変化当たりのスリットノズル41の昇降量であり、あらかじめ実験的または理論的に決定されている。
Figure 2006102684
しかるのちに、塗布制御部606は、走行機構制御部602を介して走行機構70,71を制御することにより、レジスト塗布領域上でスリットノズル41cを水平前後方向に移動させるとともに、算出した位置アドレスAR2を昇降機構制御部603へ与えて、昇降機構制御部603に、位置アドレスAR2が実現されるようにサーボモータ440へ制御信号を出力させる。これにより、吐出口41cと保持面30との距離はT+Gに維持され、吐出口41cと表面90とのギャップは一定に維持される。
レジスト塗布が完了した基板90は、搬送機構によって、次の処理工程へ搬出される(ステップS305)。
続いて、基板処理装置1では、前回の都度校正移行の処理基板数が所定数(例えば、100)に達したかどうかによって分岐処理を行う(ステップS306)。そして、処理基板数が所定数に達している場合は、ステップS1に戻って、再び都度校正を実行する。一方、処理基板数が所定数に達していない場合は、ステップS3に戻って、新たな基板の処理を開始する。
このような動作により、基板処理装置では、所定数の基板の処理を行うごとに、都度校正が実行される。
なお、ステップS306において、前回の都度校正移行後の処理基板数ではなく、前回の都度校正からの経過時間が所定時間に達したかどうかにより分岐処理を行い、所定時間に達している場合はステップS301へ戻り、所定時間に達していない場合はステップS302に戻るようにしてもよい。これにより、所定数の基板の処理を行うごとに、または、所定時間の経過ごとに、吐出口41の垂直位置の制御の精度低下が解消される。これにより、吐出口41cと表面90sとの距離を正確に維持可能となる。
上述したように、塗布制御部606が制御の基礎とする基準位置アドレスAR1は、初期校正時の吐出口41cおよび測定部位P(P’)の垂直位置の測定値と、都度校正時の測定部位P(P’)の垂直位置の測定値とを利用して決定されているので、塗布制御部606および昇降機構制御部603は、結局、これらの測定値を利用して、昇降機構43,44を制御していることになる。すなわち、基板処理装置1では、初期校正時の吐出口41cおよび測定部位P(P’)の垂直位置の測定値と、都度校正時の測定部位P(P’)の垂直位置の測定値とを利用して原点出しを行い、原点からの垂直位置の変化量を位置アドレスARの変化量によって制御することにより、吐出口41cと表面90sとの距離を制御している。このような移動量すなわち相対値による制御を行うことにより、スリットノズル41の垂直位置の絶対値を測定するための測定部材を設ける必要がないので、基板処理装置1の構成を簡略化可能である。
また、本実施の形態では、初期校正時に吐出口41cの垂直位置を一度だけ正確に測定することができれば、以後は、吐出口41cと表面90との距離を正確に制御可能となるとともに、吐出口41cの垂直位置を正確に測定する必要がなくなり、吐出口41cの清掃作業を省略可能になる。これにより、基板処理装置1の自動運転を行うことが容易になる。
<変形例>
上述の実施の形態では、基板90が固定されており、スリットノズル41が基板90と垂直な方向へ移動する例を示したが、スリットノズル41が固定されており、基板90が移動するようにしてもよい。基板90に対するスリットノズル41の移動は相対的なものであってもよい。
本発明の実施の形態に係る基板処理装置1の概略を示す斜視図である。 基板処理装置1の本体2を上方から見た平面図である。 基板処理装置1の本体2の正面図である。 基板処理装置1の本体2の側面図である。 スリットノズル41の側面図である。 昇降機構44を上方から見た平面図である。 昇降機構44の正面図である。 走行機構70のYZ面内の断面図である。 走行機構70を側方から見た側面図である。 リニアゲージ81(82)の構成を示す側面図である。 スリットノズル41の昇降および水平移動の制御に係る制御部6の機能的構成を示すブロック図である。 基板処理装置1におけるオペレータの作業手順を示す図である。 校正時のリニアゲージ81(82)の状態を示す側面図である。 初期校正の動作フローを示すフローチャートである。 初期校正を実行しているときの、リニアゲージおよびスリットノズルを側方から見た側面図である。 都度校正の動作フローを示すフローチャートである。 都度校正を実行しているときの、リニアゲージおよびスリットノズルを側方から見た側面図である。 自動運転の動作フローを示すフローチャートである。
符号の説明
1 基板処理装置
2 本体
3 ステージ
4 架橋構造
6 制御部
41 スリットノズル
41c 吐出口
43,44 昇降機構
70,71 走行機構
76,77 リニアサーボモータ
78,79 リニアエンコーダ
81,82 リニアゲージ
90 基板
P,P’ 測定部位
440 サーボモータ
442 ロータリーエンコーダ

Claims (8)

  1. 基板処理装置であって、
    処理対象となる基板と垂直な方向における位置である垂直位置を測定する測定手段と、
    前記基板に対して処理液を吐出する吐出口を有し、垂直位置を測定するための測定部位が前記吐出口以外に定義されたノズルと、
    前記ノズルを前記基板と垂直な方向へ移動させる垂直移動手段と、
    前記垂直移動手段を制御する制御手段と、
    を備え、
    前記制御手段が、前記吐出口および前記測定部位の垂直位置の測定結果を利用して、前記垂直移動手段を制御することを特徴とする基板処理装置。
  2. 請求項1に記載の基板処理装置において、
    前記吐出口の垂直位置が所定の垂直位置であるときの、前記測定部位の垂直位置の測定結果を記憶する記憶手段をさらに備え、
    前記制御手段が、前記測定部位の垂直位置の測定結果と前記記憶手段に記憶された測定結果とが一致するまで前記ノズルを前記垂直移動手段によって移動させることにより、前記吐出口を所定の垂直位置へ移動させる校正処理を実行することを特徴とする基板処理装置。
  3. 請求項2に記載の基板処理装置において、
    前記記憶手段に記憶された測定結果が、前記吐出口の垂直位置の測定結果が所定の測定結果であるときの前記測定部位の垂直位置の測定結果であることを特徴とする基板処理装置。
  4. 請求項2または請求項3に記載の基板処理装置において、
    前記基板処理装置の動作開始と同期して前記校正処理を実行することを特徴とする基板処理装置。
  5. 請求項2または請求項3に記載の基板処理装置において、
    前記基板処理装置における所定枚数の基板の処理または所定時間の経過ごとに前記校正処理が実行されることを特徴とする基板処理装置。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の基板処理装置において、
    前記制御手段が、前記垂直移動手段による前記ノズルの垂直位置の移動量を制御することにより、前記基板と前記吐出口との距離を制御することを特徴とする基板処理装置。
  7. 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の基板処理装置において、
    前記基板と平行な方向へ前記ノズルを移動させる水平移動手段をさらに備え、
    前記水平移動手段が前記ノズルを前記基板と平行な方向へ移動させることにより、前記測定手段の測定対象が前記吐出口と前記測定部位との間で切り替えられることを特徴とする基板処理装置。
  8. 吐出口を有するノズルから基板に対して処理液を吐出することにより、前記基板を処理する基板処理方法であって、
    前記基板と垂直な方向における前記吐出口の垂直位置を測定する第1測定工程と、
    前記吐出口以外に定義された前記ノズルの測定部位の垂直位置を測定する第2測定工程と、
    前記第1測定工程および前記第2測定工程における測定結果を利用して、前記ノズルを前記基板と垂直な方向へ移動させる垂直移動工程と、
    を備えることを特徴とする基板処理方法。
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