JP2006100160A - 高周波同軸ケーブルおよびその製造方法 - Google Patents

高周波同軸ケーブルおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 減衰量が小さく、かつ、電圧定在波比も小さい高周波同軸ケーブルおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】 下記(a)〜(d)の要件を満たすポリエチレン系樹脂100重量部に対し、発泡核剤を0.02〜3.0重量部の割合で含有する組成物から得られる発泡絶縁層を導体の外周に被覆形成する。(a)密度が890kg/m以上980kg/m以下、(b)炭素数6以上の長鎖分岐数が1,000個の炭素原子当たり0.01個以上3個以下、(c)下記式(1)と(2)を共に満たし、MS190>22×MFR−0.88(1)、MS160>110−110×log(MFR)(2)(d)示差走査型熱量計による昇温測定において得られる吸熱曲線のピークが一つである
【選択図】なし

Description

本発明は、高周波同軸ケーブルおよびその製造方法に係り、特に、移動体通信施設やマイクロ波通信施設で用いる高周波同軸ケーブルおよびその製造方法に関するものである。
移動体通信施設やマイクロ波通信施設で用いる高周波同軸ケーブルとしては、導体の外周に発泡絶縁層を被覆形成したものが用いられている。従来、発泡絶縁層の構成樹脂としては、溶融張力(MS)が大きく、発泡させ易い分岐状低密度ポリエチレン(以下、LDPEと示す)をベース材料に、誘電正接(tanδ)が小さく、減衰量の小さい高密度ポリエチレン(以下、HDPEと示す)を少量混合したものが用いられてきた。
近年、通信速度の向上および容量の向上を目的として、高周波同軸ケーブルの使用周波数がますます高くなる傾向にある。このような状況のもと、さらに減衰量の小さい高周波同軸ケーブルが求められている。ところが、LDPEを多く含むポリエチレンで構成された従来の発泡絶縁層では、減衰量のさらなる低減を図ることは困難である。このため、高密度ポリエチレンで発泡絶縁層を構成する必要がある。
しかしながら、通常の高密度ポリエチレンで発泡絶縁層を構成した場合、溶融張力、伸長粘度が不足しているため、発泡成形工程において気泡壁の破れが生じ、発泡絶縁層の内部に巣(巨大な空隙)が発生してしまうという問題があった。この巣が発生すると、電圧定在波比(Voltage Standing WaveRatio;以下、VSWRと示す)が大きくなってしまうため、高周波同軸ケーブルとして要求される性能を十分に満足できなくなるという問題があった。高密度ポリエチレンは比較的結晶化度が高く、僅かな温度変化により溶融粘弾性が大きく変化するため、発泡成形のための加工適正温度範囲が極めて狭いという課題を有している。また、結晶融点以上での溶融張力が極めて低く、発泡した際の気泡が保持できず、破泡し易く、そのため、独立気泡を有する良好な発泡絶縁層を得ることは困難であった。したがって、高密度ポリエチレンを用い、独立気泡を有する発泡絶縁層を得るには、このような高密度ポリエチレンの溶融張力を高めることが必要であった。
例えば、高密度ポリエチレンの溶融張力を高める方法としては、(1)溶融張力の高い高分子量のポリエチレンを混合する方法(例えば、特許文献1参照)、(2)クロム系触媒によって製造される溶融張力の高いポリエチレンを混合する方法(例えば、特許文献2参照)、(3)高圧ラジカル重合法により製造される低密度ポリエチレンを混合する方法(例えば、特許文献3参照)、(4)ポリエチレンに架橋剤や過酸化物添加して改質することにより溶融張力を高める方法(例えば、特許文献4参照)、(5)ポリエチレンを不飽和カルボン酸などで変成する方法(例えば、特許文献5参照)等が提案されている。
特開平10−7726号公報 特開平2−132109号公報 特開平7−134359号公報 特開2003−327757号公報 特開平11−246713号公報
しかしながら、上記特許文献1〜3に提案されている方法において、溶融張力を発泡成形に必要なレベルまで高めるためには、ブレンドする樹脂を大量に使用することが必要であり、このことがコストアップにつながるばかりでなく、発泡成形体を構成する密度の高い直鎖状のポリエチレンの均一性が不足するために、該ポリエチレンが本来有しているtanδが小さいという特徴を損なうものとなる。また、上記特許文献4に提案されている方法においては、架橋剤や過酸化物により副反応として起こる架橋反応を制御することが困難であり、ゲルの発生により発泡成形体の外観不良や機械特性に悪影響が生じる上、分解生成物のためにtanδが大きくなるという問題がある。さらに、上記特許文献5に提案されている方法においては、密度の高い直鎖状のポリエチレンの化学的安定性が損なわれ、しかもスチレン系のグラフト体とすることによりtanδが大きくなる。
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものであり、減衰量が小さく、かつ、電圧定在波比も小さい高周波同軸ケーブルおよびその製造方法を提供するものであり、密度の高い直鎖状のポリエチレンが本来有している優れた特性を保持したままで、発泡状態が良好(不均一セルや粗大セルが少なく、均一なセルが多い)であり、かつ発泡成形体の厚みむらがなく、表面特性に優れると共に、発泡倍率も高いエチレン系共重合体からなる発泡絶縁層を有する高周波同軸ケーブルを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の性状を有するポリエチレン系樹脂を使用することによって、発泡状態が良好で、かつ発泡成形体の厚みむらがなく、表面特性に優れる発泡絶縁層が被覆形成できることにより、高周波同軸ケーブルを製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、下記(a)〜(d)の要件を満たすポリエチレン系樹脂を押出発泡成形して得られる発泡絶縁層を有する高周波同軸ケーブルに関する。
(a)密度が890kg/m以上980kg/m以下、
(b)炭素数6以上の長鎖分岐数が1,000個の炭素原子当たり0.01個以上3個以下、
(c)190℃で測定した溶融張力(MS190)(mN)と2.16kg荷重のMFR(g/10分、190℃)が、下記式(1)
MS190>22×MFR−0.88 (1)
を満たすと共に、160℃で測定した溶融張力(MS160)(mN)と2.16kg荷重のMFR(g/10分、190℃)が、下記式(2)を満たし、
MS160>110−110×log(MFR) (2)
(d)示差走査型熱量計による昇温測定において得られる吸熱曲線のピークが一つである
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の発泡絶縁層が被覆形成された高周波同軸ケーブルを構成するポリエチレン系樹脂の密度は、JIS K6922−1(1998)に準拠して密度勾配管法で測定した値として、890kg/m以上980kg/m以下である。密度が890kg/m未満の場合、得られる同軸ケーブルの耐熱性が不足し、使用中に容易に熱変形し易くなるという問題が発生する。また、密度が980kg/mを超えると発泡絶縁層の衝撃強度が低下する。
本発明に用いられるポリエチレン系樹脂の直鎖状ポリエチレン換算の重量平均分子量(M)は、10,000以上1,000,000以下であり、好ましくは20,000以上700,000以下であり、さらに好ましくは25,000以上300,000以下である。Mが10,000未満である場合は、得られた発泡絶縁層の衝撃強度が低下し、ケーブルの曲げ加工時に亀裂が発生する恐れがある。また、1,000,000以上では押出発泡成形時の流動性が不足し、均一な発泡体が得られない恐れがある。
本発明に用いられるポリエチレン系樹脂の190℃、2.16kg荷重におけるMFRは、0.1〜50g/10分、好ましくは1〜10g/10分、さらに好ましくは2〜5g/10分である。0.1g/10分未満または50g/10分を超えると発泡成形を行うことが著しく困難になるため、発泡絶縁層が得られない恐れがある。
本発明に用いられるポリエチレン系樹脂の長鎖分岐数は、1,000個の炭素原子当たり0.01個以上3個以下である。0.01個未満では気泡を保持することができず、良好な発泡絶縁層が得られない恐れがある。また、3個を超えると発泡絶縁層の力学的性質が劣る恐れがある。なお、長鎖分岐数とは13C−NMR測定で検出されるヘキシル基以上(炭素数6以上)の分岐の数である。
本発明の同軸ケーブルの発泡絶縁層に用いられるポリエチレン系樹脂の190℃で測定した溶融張力MS190(mN)と2.16kg荷重のMFR(g/10分、190℃)は、下記式(1)
MS190>22×MFR−0.88 (1)
で示される関係にあり、好ましくは下記式(1)’
MS190>30×MFR−0.88 (1)’
で示される関係にあり、さらに好ましくは下記式(1)”
MS190>5+30×MFR−0.88 (1)”
で示される関係にある。(1)式を満たさない場合、気泡の保持力が乏しく、良好な発泡絶縁層が得られない恐れがある。
また、本発明の同軸ケーブルの発泡絶縁層に用いられるポリエチレン系樹脂の160℃で測定した溶融張力MS160(mN)と2.16kg荷重のMFR(g/10分、190℃)は、下記式(2)
MS160>110−110×log(MFR) (2)
で示される関係にあり、好ましくは下記式(2)’
MS160>130−110×log(MFR) (2)’
で示される関係にあり、さらに好ましくは下記式(2)”
MS160>150−110×log(MFR) (2)”
で示される関係にある。(2)式を満たさない場合、気泡の保持力が劣り、高発泡倍率、均一気泡を有する発泡絶縁層が得られない恐れがある。
本発明の同軸ケーブルの発泡絶縁層に用いられるポリエチレン系樹脂は、示差走査型熱量計(DSC)による昇温測定において得られる吸熱曲線のピークが一つであることを特徴とし、これによって得られる発泡絶縁層は弾性率の温度依存性が小さく、かつ耐熱性に優れる。吸熱曲線は、アルミニウム製のパンに5〜10mgのサンプルを挿填し、DSCにて昇温することによって得られる。なお、昇温測定は、予め230℃で3分間放置した後、10℃/分で−10℃まで降温し、その後、10℃/分の昇温速度で150℃まで昇温することにより行われる。
本発明の同軸ケーブルの発泡絶縁層に用いられるポリエチレン系樹脂は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)/固有粘度計によって評価した収縮因子(g’値)が0.1以上0.9未満、さらには0.1以上0.7以下であることが好ましく、これによってポリエチレン系樹脂を発泡成形する際の気泡の破壊が抑制されるため、得られる発泡絶縁層の発泡倍率が高くなり、気泡の均一性も向上する。本発明における収縮因子(g’値)とは、長鎖分岐の程度を表すパラメータであり、重量平均分子量(M)の3倍の絶対分子量における本ポリエチレン系樹脂の固有粘度と、分岐が全くない高密度ポリエチレン(HDPE)の同じ分子量における固有粘度との比である。また、このg’値とGPC/光散乱計によって評価した収縮因子(g値)との間には、好ましくは式(3)、さらに好ましくは式(3)’で示される関係があり、これによって発泡体の均一性が向上する。なお、g値はMの3倍の絶対分子量における本ポリエチレン系樹脂の慣性半径の二乗平均と、分岐が全くないHDPEの同じ分子量における慣性半径の二乗平均との比である。
0.2<log(g’)/log(g)<1.3 (3)
0.5<log(g’)/log(g)<1.0 (3)’
さらに、Mの3倍の絶対分子量におけるg値(g3M)とMの1倍の絶対分子量におけるg値(g)の間には、式(4)、好ましくは式(4)’、さらに好ましくは式(4)”で示される関係があることが、発泡体の均一性向上、発泡倍率の向上のために望ましい。
0<g3M/g≦1 (4)
0<g3M/g≦0.9 (4)’
0<g3M/g≦0.8 (4)”
本発明の発泡絶縁層を構成するポリエチレン系樹脂は、エチレンを重合することによって得られる末端にビニル基を有するエチレン重合体、またはエチレンと炭素数3以上のオレフィンを共重合することによって得られる末端にビニル基を有するエチレン共重合体であり、
(e)Mが2,000以上であり、
(f)M/Mが2以上5以下である
マクロモノマーの存在下に、エチレンおよび任意に炭素数3以上のオレフィンを重合することによって得られたものであることが望ましい。マクロモノマーとは、末端にビニル基を有するオレフィン重合体であり、好ましくはエチレンを重合することによって得られる末端にビニル基を有するエチレン重合体、またはエチレンと炭素数3以上のオレフィンを共重合することによって得られる末端にビニル基を有するエチレン共重合体であり、さらに好ましくは任意に用いられる炭素数3以上のオレフィンに由来する分岐以外の分岐のうち、長鎖分岐(すなわち、13C−NMR測定で検出されるヘキシル基以上の分岐)が、主鎖メチレン炭素1,000個当たり0.01個未満である、末端にビニル基を有する直鎖状エチレン重合体または直鎖状エチレン共重合体である。
炭素数3以上のオレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテンもしくはビニルシクロアルカン等のα−オレフィン、ノルボルネンもしくはノルボルナジエン等の環状オレフィン、ブタジエンもしくは1,4−ヘキサジエン等のジエンまたはスチレンを例示することができる。また、これらのオレフィンを2種類以上混合して用いることもできる。
マクロモノマーとして末端にビニル基を有するエチレン重合体または末端にビニル基を有するエチレン共重合体を用いる場合、その直鎖状ポリエチレン換算の数平均分子量(M)は、2,000以上であり、好ましくは5,000以上であり、さらに好ましくは10,000以上である。直鎖状ポリエチレン換算の重量平均分子量(M)は、4,000以上であり、好ましくは10,000以上であり、さらに好ましくは15,000より大きい。また、重量平均分子量(M)とMの比(M/M)は、2以上5以下であり、好ましくは2以上4以下であり、さらに好ましくは2以上3.5以下である。下記一般式(5)
Z=[X/(X+Y)]×2 (5)
(ここで、Xはマクロモノマーの主鎖メチレン炭素1,000個当たりのビニル末端数であり、Yはマクロモノマーの主鎖メチレン炭素1,000個当たりの飽和末端数である。)
で表されるビニル末端数と飽和末端数の比(Z)は0.25以上1以下であり、好ましくは0.50以上1以下である。XおよびYは、H−NMR、13C−NMRまたはFT−IR等で求められる。例えば、13C−NMRにおいて、ビニル末端は114ppm、139ppm、飽和末端は32.3ppm、22.9ppm、14.1ppmのピークにより、その存在および量が確認できる。
本発明におけるマクロモノマーの製造方法に関して特に限定はないが、マクロモノマーとして末端にビニル基を有するエチレン重合体または末端にビニル基を有するエチレン共重合体を製造する場合は、例えば周期表第3族、第4族、第5族および第6族から選ばれる遷移金属を含有するメタロセン化合物を主成分として含む触媒を用いてエチレンを重合する方法を用いることができる。助触媒としては、有機アルミニウム化合物、プロトン酸塩、ルイス酸塩、金属塩、ルイス酸および粘土鉱物等が挙げられる。
本発明に用いられるポリエチレン系樹脂は、例えば周期表第3族、第4族、第5族および第6族から選ばれる遷移金属を含有するメタロセン化合物を主成分として含む触媒を用いて、マクロモノマーの存在下に、エチレンおよび任意に炭素数3以上のオレフィンを重合することによって得られる。また、マクロモノマーの製造と同様に、助触媒を用いることができる。重合温度は、−70〜300℃、好ましくは0〜250℃、さらに好ましくは20〜150℃の範囲である。エチレン分圧は、0.001〜300MPa、好ましくは0.005〜50MPa、さらに好ましくは0.01〜10MPaの範囲である。また、重合系内に分子量調節剤として水素を存在させてもよい。
本発明において、マクロモノマーの存在下に、エチレンと炭素数3以上のオレフィンを重合する場合、エチレン/炭素数3以上のオレフィン(モル比)は、1〜200、好ましくは3〜100、さらに好ましくは5〜50の供給割合を用いることができる。
本発明の発泡絶縁層を構成するポリエチレン系樹脂は、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、防曇剤、抗ブロッキング剤、スリップ剤、滑剤、核剤、顔料、タッキファイヤー、カーボンブラック、タルク、ガラス粉、ガラス繊維等の無機充填剤または補強剤、有機充填剤または補強剤、難燃剤、中性子遮蔽剤等の公知の添加剤を配合することができる。また、他の熱可塑性樹脂と混合して用いることもできる。これらの例として、粘着付与樹脂、ワックス、HDPE、L−LDPE、LDPE、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリスチレン、これらの無水マレイン酸グラフト物等を例示することができる。
本発明に係る高周波同軸ケーブルは、導体の外周に発泡絶縁層を被覆形成してなる高周波同軸ケーブルであり、上述のポリエチレン系樹脂100重量部に対して、発泡核剤を0.02〜3.0重量部の割合で混合し、その組成物からなる発泡絶縁層を導体の外周に被覆形成したものである。上記ポリエチレン系樹脂と発泡核剤との混合により、減衰量が小さく、かつ、電圧定在波比も小さい高周波同軸ケーブルとなる。
発泡核剤としては、ナイロン粉末やテフロン(登録商標)粉末、アゾジカルボンアミドおよびタルク、窒化ホウ素、シリカなどが使用できる。この核形成剤は、不活性ガスの気泡を小さくし、ひいては均一でかつ微細なセル構造を形成させる効果がある。核形成剤の配合量は、ポリエチレン系樹脂100重量部に対して、0.02〜3.0重量部、好ましくは0.1〜1.5重量部である。0.02重量部未満であると、均一で微細なセル構造が形成されず、同軸ケーブルの特性が悪くなり、一方、3.0重量部を越えると、均一でかつ微細なセル構造を形成させる効果が見られなくなることに加え、電気特性を悪化させるため望ましくない。
同軸ケーブルは、十分に加熱混練された発泡性樹脂組成物を押出機に入れた後、不活性ガスを注入して140〜230℃の温度範囲で発泡させることにより製造される。その際、押出機としては、L型押出機または単軸押出機が使用される。L型押出機とは、スクリュー長とスクリュー径の比L/D=25〜35、φ=50〜80mmの押出機をL字型に結合したものであって、ガス発泡法においては従来から使用されているガス発泡用専用押出機である。このようなL型押出機は、東芝機械(株)や(株)プラ技研などで市販されている。一方、単軸押出機とは、従来、化学発泡法において使用されていた単軸スクリューを用いるL/D=30〜35の押出機であって、この単軸押出機を用いてもL字型押出機を使用した場合に匹敵する高品質の高発泡体を製造することが可能である。また、発泡剤として使用する不活性ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン、炭酸ガスおよび窒素から選択されるものが使用される。その中でも、窒素や炭酸ガス、好ましくは、窒素がコスト的に有利であるため望ましい。これらの不活性ガスは、通常単独で使用するが、所望により2種以上を用いてもよい。不活性ガスの使用量は、発泡樹脂組成物100重量部に対して、0.01〜10.0重量部である。0.01重量部未満であると、70〜85%の高発泡体が得られず、一方、10重量部を越えると、過発泡が起こり、同軸ケーブルの品質が悪くなるため望ましくない。
次に、本発明の実施の形態に係る高周波同軸ケーブルの作用を説明する。
高周波同軸ケーブルの発泡絶縁層の構成樹脂であるポリエチレン系樹脂は、周波帯域において、tanδと密度とが密接に関係しており、不純物の含有量が同じであれば、密度が高い程tanδが小さくなる(三菱電線工業時報、第100号、79〜83ページ)。このため、高周波同軸ケーブルの発泡絶縁層を構成するポリエチレン系樹脂としては、高密度のHDPEが好ましい。しかし、HDPEは分岐が小さいため、発泡し易さの尺度となる溶融張力が小さく、押出機を用いて発泡させると、巣が発生し易くなってしまう。溶融張力とは、樹脂が溶融している時の強度であり、この値が大きい程、発泡絶縁層の被覆形成時に巣が発生し難くなる。ここで言う”巣”とは中心部で気泡の合体が生じて、巨大な空洞となったものを言う。
本発明の実施の形態の高周波同軸ケーブルにおいては、その発泡絶縁層を構成するポリエチレン系樹脂の密度が890kg/m以上980kg/m以下で、高い溶融張力を有するポリエチレン系樹脂と発泡核剤との組成物を使用することで、高周波同軸ケーブルとして良好な特性が得られる。このため、ケーブルを用いて2GHz帯の周波数の制御信号で送受信を行っても伝送損失は少なく、移動体通信やマイクロ波通信において、通信速度の向上および容量の向上を図ることができる。
また、発泡絶縁層を構成するポリエチレン系樹脂は、従来の高密度ポリエチレンとは異なる性質を有することから、伸張粘度は大きく、ケーブルの発泡絶縁層に巣が発生することはない。その結果、ケーブルの電圧定在波比(VSWR)は小さくなり、高周波同軸ケーブルとして要求される性能を十分に満足できる。
本発明によれば、減衰量が小さく、かつ、電圧定在波比も小さい高周波同軸ケーブルが得られる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
変性ヘクトライトの調製、マクロモノマー製造用触媒の調製、マクロモノマーの製造、ポリエチレンの製造および溶媒精製は、全て不活性ガス雰囲気下で行った。変性ヘクトライトの調製、マクロモノマー製造用触媒の調製、マクロモノマーの製造、ポリエチレンの製造に用いた溶媒等は、全て予め公知の方法で精製、乾燥、脱酸素を行ったものを用いた。ジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(1−インデニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドは公知の方法により合成、同定したものを用いた。トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714M)、メチルアルモキサンのトルエン溶液(商品名:PMAO;Al:2.4mol/L)およびトリイソブチルアルミニウムのトルエン溶液(0.848M)は東ソー・ファインケム(株)製を用いた。
さらに、実施例および比較例におけるポリエチレン系樹脂の諸物性は、以下に示す方法により測定した。
〜分子量および分子量分布〜
重量平均分子量(M)および数平均分子量(M)は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって測定した。GPC装置としては東ソー(株)製 HLC−8121GPC/HTを用い、カラムとしては東ソー(株)製 TSKgel GMHhr−H(20)HTを用い、カラム温度を140℃に設定し、溶離液として1,2,4−トリクロロベンゼンを用いて測定した。測定試料は1.0mg/mLの濃度で調製し、0.3mL注入して測定した。分子量の検量線は、分子量既知のポリスチレン試料を用いて校正されている。なお、MおよびMは直鎖状ポリエチレン換算の値として求めた。
〜収縮因子(g’値)〜
収縮因子(g’値)は、GPCによって分別したポリエチレン系樹脂の[η]を測定する手法で求めたMの3倍の絶対分子量における[η]を、分岐が全くないHDPEの同一分子量における[η]で除した値である。GPC装置としては東ソー(株)製 HLC−8121GPC/HTを用い、カラムとしては東ソー(株)製 TSKgel GMHhr−H(20)HTを用い、カラム温度を145℃に設定し、溶離液として1,2,4−トリクロロベンゼンを用いて測定した。測定試料は2.0mg/mLの濃度で調製し、0.3mL注入して測定した。粘度計は、Viscotek社製 キャピラリー差圧粘度計210R+を用いた。
〜収縮因子(g値)〜
収縮因子(g値)は、GPCによって分別したポリエチレン系樹脂を、光散乱によって慣性半径を測定する手法で求めた。本発明に用いるポリエチレン系樹脂のMの3倍の絶対分子量における慣性半径の二乗平均を、分岐が全くないHDPEの同一分子量における慣性半径の二乗平均で除した値である。光散乱検出器としては、Wyatt Technology社製 多角度光散乱検出器DAWV EOSを用い、690nmの波長で、29.5°、33.3°、39.0°、44.8°、50.7°、57.5°、64.4°、72.3°、81.1°、90.0°、98.9°、107.7°、116.6°、125.4°、133.2°、140.0°、145.8°の検出角度で測定した。
〜Z値〜
ビニル末端、飽和末端などのマクロモノマーの末端構造は、日本電子(株)製 JNM−ECA400型核磁気共鳴装置を用いて、13C−NMRによって測定した。溶媒はテトラクロロエタン−dである。ビニル末端数は、主鎖メチレン炭素(化学シフト:30ppm)1,000個当たりの個数として114ppm、139ppmのピークの平均値から求めた。また、飽和末端数は、同様に32.3ppm、22.9ppm、14.1ppmのピークの平均値から求めた。このビニル末端数(X)と飽和末端数(Y)から、Z=[X/(X+Y)]×2を求めた。
〜密度〜
密度は、JIS K6922−1(1998)に準拠して密度勾配管法で測定した。
〜MFR〜
MFRは、JIS K6922−1(1998)に準拠して190℃、2.16kg荷重で測定した。ただし、ポリプロピレン系樹脂に関しては、230℃、2.16kg荷重で測定を実施した。
〜長鎖分岐数〜
ポリエチレン系樹脂の長鎖分岐数は、日本電子(株)製 JNM−GSX270型核磁気共鳴装置を用いて、13C−NMRによって測定した。
〜溶融張力(MS)〜
溶融張力(MS)の測定に用いたポリエチレンは、予め耐熱安定剤としてイルガノックス1010TM(チバスペシャリティケミカルズ社製)1,500ppm、イルガフォス168TM(チバスペシャリティケミカルズ社製)1,500ppmを添加したものを、インターナルミキサー(東洋精機製作所製、商品名:ラボプラストミル)を用いて、窒素気流下、190℃、回転数30rpmで3分間混練した。溶融張力(MS)は、バレル直径9.55mmの毛管粘度計(東洋精機製作所、商品名:キャピログラフ)に、長さ(L)が8mm,直径(D)が2.095mm、流入角が90°のダイを装着し測定した。MSは、温度を160℃または190℃に設定し、ピストン降下速度を10mm/分、延伸比を47に設定し、引き取りに必要な荷重(mN)をMSとした。
〜吸熱ピークの数〜
DSC(パーキンエルマー社製、商品名:DSC−7)を用いて測定を行なった。5〜10mgのサンプルをアルミニウムパンに挿填し、DSCに設置した後、80℃/分の昇温速度で230℃まで昇温し、230℃で3分間放置する。その後、10℃/分の降温速度で−10℃まで冷却し、再度10℃/分の昇温速度で−10℃から150℃まで昇温するの手順で昇温/降温操作を行い、2回目の昇温時に観測される吸熱曲線のピーク数を評価した。
〜同軸ケーブルの成形〜
一段目(65mmφ)、二段目(90mmφ)の二段押出機を有する装置を使用し、発泡絶縁層を有する波付内部導体として、外径17.3mmφ(13/8インチサイズ)の波付銅管外周に外径が44.5mmとなる発泡絶縁層を形成した。発泡絶縁層の上に外径が46.5mmとなる外部導体、さらにその上に1.75mm厚みのポリエチレンシースを被覆して発泡絶縁同軸ケーブルを得た。
〜2GHz減衰量および電圧定在波比(VSWR)の測定〜
各高周波同軸ケーブルの2GHz減衰量および電圧定在波比(VSWR)の測定は、アジレスト社製のスカラネットワークアナライザ8757Dを用いて行った。2GHz減衰量は6.5dB/100m未満を合格、電圧定在波比(VSWR)は1.1以下を合格とした。
実施例1
[変性ヘクトライトの調製]
水60mLにエタノール60mLと37%濃塩酸2.0mLを加えた後、得られた溶液にN,N−ジメチルオクタデシルアミン 6.55g(0.022mol)を添加し、60℃に加熱することによって、N,N−ジメチルオクタデシルアミン塩酸塩溶液を調製した。この溶液にヘクトライト20gを加えた。この懸濁液を60℃で3時間撹拌し、上澄液を除去した後、60℃の水1Lで洗浄した。その後、60℃、10−3torrで24時間乾燥し、ジェットミルで粉砕することによって、平均粒径5.2μmの変性ヘクトライトを得た。元素分析の結果、変性ヘクトライト1g当たりのイオン量は0.85mmolであった。
[マクロモノマー製造用触媒の調製]
上記変性ヘクトライト8.0gをヘキサン29mLに懸濁させ、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714M)46mLを添加し、室温で1時間攪拌することにより、変性ヘクトライトとトリイソブチルアルミニウムの接触生成物を得た。一方、ジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド14mg(40μmol)をトルエンに溶解させたものを添加し、室温で一晩攪拌することにより、触媒スラリー(100g/L)を得た。
[マクロモノマーの製造]
10Lオートクレーブに、ヘキサン6,000mLとトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714mol/L)12mLを導入し、オートクレーブの内温を85℃に昇温した。このオートクレーブに、上記マクロモノマー製造用触媒スラリー3mLを添加し、エチレンを分圧が1.2MPaになるまで導入して重合を開始した。重合中、分圧が1.2MPaに保たれるようにエチレンを連続的に導入した。また、重合温度を85℃に制御した。重合開始53分後に、内温を50℃まで降温してオートクレーブの内圧を0.1MPaまで脱圧した後、オートクレーブに窒素を0.6MPaになるまで導入して脱圧した。この操作を5回繰り返した。このオートクレーブから抜き出したマクロモノマーのMは10,950、M/Mは2.61であり、13C−NMRによりマクロモノマーの末端構造を解析したところ、ビニル末端数と飽和末端数の比(Z)はZ=0.57であった。また、13C−NMRにおいてメチル分岐が1,000炭素原子当たり0.52個、エチル分岐が1,000炭素原子当たり1.22個検出された。さらに、13C−NMRにおいて長鎖分岐は検出されなかった。
[ポリエチレンの製造]
上記で製造したマクロモノマーが含まれる10Lオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714mol/L)12mLとジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド 7μmolを導入し、オートクレーブの内温を60℃に昇温した。エチレン/水素混合ガス(水素28,500ppm)を分圧が0.2MPaになるまで導入して重合を開始した。重合中、分圧が0.3MPaに保たれるようにエチレン/水素混合ガスを連続的に導入した。また、重合温度を90℃に制御した。重合開始173分後に、オートクレーブの内圧を脱圧した後、内容物を吸引ろ過した。乾燥後、865gのポリマーが得られた。得られたポリエチレンのMFRは4.3g/10分、密度は960kg/m、Mは9.6×10、M/Mは6.6、長鎖分岐数は0.03個/1,000炭素、示差走査型熱量計による昇温測定において得られる吸熱曲線のピークは一つであった。その他の物性を表1〜3に示す。
得られたポリエチレン100重量部にフタル酸ヒドラジドからなる発泡核剤0.1重量部を添加して、発泡剤としてアルゴンガスを用いて、導体の外周に発泡絶縁層を被覆形成した高周波同軸ケーブルを作製した。得られた同軸ケーブルは、2GHz減衰量および電圧定在波比(VSWR)のいずれについても合格基準を満足しており、また、各ケーブルの発泡絶縁層に巣の発生はなかった。
実施例2
[マクロモノマー製造用触媒の調製]
実施例1で得られた変性ヘクトライト8.0gをヘキサン29mLに懸濁させ、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714M)46mLを添加し、室温で1時間攪拌することにより、変性ヘクトライトとトリイソブチルアルミニウムの接触生成物を得た。一方、ジフェニルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド18.9mg(40μmol)をトルエンに溶解させたものを添加し、室温で一晩攪拌することによって、触媒スラリー(100g/L)を得た。
[マクロモノマーの製造]
10Lオートクレーブに、ヘキサン6,000mLとトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714mol/L)5.0mLを導入し、オートクレーブの内温を85℃に昇温した。このオートクレーブに、上記マクロモノマー製造用触媒スラリー0.88mLを添加し、エチレンを分圧が1.2MPaになるまで導入して重合を開始した。重合中、分圧が1.2MPaに保たれるようにエチレンを連続的に導入した。また、重合温度を85℃に制御した。重合開始90分後に、内温を50℃まで降温してオートクレーブの内圧を0.1MPaまで脱圧した後、オートクレーブに窒素を0.6MPaになるまで導入して脱圧した。この操作を5回繰り返した。このオートクレーブから抜き出したマクロモノマーのMは14,400、M/Mは3.02であり、13C−NMRによりマクロモノマーの末端構造を解析したところ、ビニル末端数と飽和末端数の比(Z)はZ=0.65であった。また、13C−NMRにおいてメチル分岐が1,000炭素原子当たり0.41個、エチル分岐が1,000炭素原子当たり0.96個検出された。さらに、13C−NMRにおいて長鎖分岐は検出されなかった。
[ポリエチレンの製造]
上記で製造したマクロモノマーが含まれる10Lオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714mol/L)1.4mLとジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド 7μmolを導入し、オートクレーブの内温を90℃に昇温した。エチレン/水素混合ガス(水素3,600ppm)を分圧が0.3MPaになるまで導入して重合を開始した。重合中、分圧が0.3MPaに保たれるようにエチレン/水素混合ガスを連続的に導入した。また、重合温度を90℃に制御した。重合開始194分後に、オートクレーブの内圧を脱圧した後、内容物を吸引ろ過した。乾燥後、870gのポリマーが得られた。得られたポリエチレンのMFRは6.1g/10分、密度は958kg/m、Mは9.7×10、M/Mは7.2、長鎖分岐数は0.03個/1,000炭素、示差走査型熱量計による昇温測定において得られる吸熱曲線のピークは一つであった。その他の物性を表1〜3に示す。
得られたポリエチレンを用いて実施例1と同じ方法で、得られたポリエチレン100重量部にフタル酸ヒドラジドからなる発泡核剤0.1重量部を添加して、発泡剤としてアルゴンガスを用いて、導体の外周に発泡絶縁層を被覆形成した高周波同軸ケーブルを作製した。得られた同軸ケーブルは、2GHz減衰量および電圧定在波比(VSWR)のいずれについても合格基準を満足しており、また、各ケーブルの発泡絶縁層に巣の発生はなかった。
実施例3
[マクロモノマーの製造]
10Lオートクレーブに、ヘキサン6,000mLとトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714mol/L)5mLを導入し、オートクレーブの内温を90℃に昇温した。このオートクレーブに、実施例1で得られたマクロモノマー製造用触媒スラリー25mLを添加し、エチレンを分圧が1.2MPaになるまで導入して重合を開始した。重合中、分圧が1.2MPaに保たれるようにエチレンを連続的に導入した。また、重合温度を90℃に制御した。重合開始16分後に、内温を50℃まで降温してオートクレーブの内圧を0.1MPaまで脱圧した後、オートクレーブに窒素を0.6MPaになるまで導入して脱圧した。この操作を5回繰り返した。このオートクレーブから抜き出したマクロモノマーのMは9,600、M/Mは2.30であり、13C−NMRによりマクロモノマーの末端構造を解析したところ、ビニル末端数と飽和末端数の比(Z)はZ=0.57であった。また、13C−NMRにおいてメチル分岐が1,000炭素原子当たり0.52個、エチル分岐が1,000炭素原子当たり1.22個検出された。さらに、13C−NMRにおいて長鎖分岐は検出されなかった。
[ポリエチレンの製造]
上記で製造したマクロモノマーが含まれる10Lオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714mol/L)5mLとジフェニルメチレン(1−インデニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド 7μmolを導入し、オートクレーブの内温を90℃に昇温した。エチレンを分圧が0.1MPaになるまで導入して重合を開始した。重合中、分圧が0.1MPaに保たれるようにエチレンを連続的に導入した。また、重合温度を90℃に制御した。重合開始180分後に、オートクレーブの内圧を脱圧した後、内容物を吸引ろ過した。乾燥後、665gのポリマーが得られた。得られたポリエチレンのMFRは8.0g/10分、密度は972kg/m、Mは8.6×10、M/Mは6.4、長鎖分岐数は0.03個/1,000炭素、示差走査型熱量計による昇温測定において得られる吸熱曲線のピークは一つであった。その他の物性を表1〜3に示す。
得られたポリエチレンを用いて実施例1と同じ方法で、得られたポリエチレン100重量部にフタル酸ヒドラジドからなる発泡核剤0.1重量部を添加して、発泡剤としてアルゴンガスを用いて、導体の外周に発泡絶縁層を被覆形成した高周波同軸ケーブルを作製した。得られた同軸ケーブルは、2GHz減衰量および電圧定在波比(VSWR)のいずれについても合格基準を満足しており、また、各ケーブルの発泡絶縁層に巣の発生はなかった。
比較例1
示差走査型熱量計による昇温測定において得られる吸熱曲線のピークが一つである市販の高密度ポリエチレン(ニポロンハード#4000、東ソー(株)製、MFR=5.0g/10分、密度965kg/m)を用い、実施例1と同様の方法で同軸ケーブルを成形した。用いた高密度ポリエチレンは伸張粘度が小さく、ケーブルの発泡絶縁層には巣が生じていた。よって、電圧定在波比(VSWR)は不合格であった。また、2GHz減衰量も大きく、不合格であった。
比較例2
市販の高密度ポリエチレン(ニポロンハード#2500、東ソー(株)製、MFR=8.0g/10分、密度961kg/m)50重量%と低密度ポリエチレン(ペトロセン203、東ソー(株)製、MFR=8.0g/10分、密度919kg/m)50重量%を混合し、実施例1と同様の方法で同軸ケーブルを成形した。用いた高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンの混合物は、示差走査型熱量計による昇温測定において得られる吸熱曲線のピークが二つであることに加え、伸張粘度が小さく、ケーブルの発泡絶縁層には巣が生じていた。よって、電圧定在波比(VSWR)は不合格であった。また、2GHz減衰量も大きく、不合格であった。
比較例3
示差走査型熱量計による昇温測定において得られる吸熱曲線のピークが一つである市販の低密度ポリエチレン(ペトロセン205、東ソー(株)製、MFR=3.0g/10分、密度919kg/m)を用いて、実施例1と同様の方法で同軸ケーブルを成形した。用いた低密度ポリエチレンは伸張粘度が大きく、ケーブルの発泡絶縁層には巣はないが、2GHz減衰量が大きく、不合格であった。
比較例4
示差走査型熱量計による昇温測定において得られる吸熱曲線のピークが一つである市販のメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(アフィニティPT1650、ダウケミカル社製、MFR=3.5g/10分、密度905kg/m)を用いて、実施例1と同様の方法で同軸ケーブルを成形した。用いた低密度ポリエチレンは伸張粘度が大きく、ケーブルの発泡絶縁層には巣はないが、2GHz減衰量が大きく、不合格であった。
Figure 2006100160
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Claims (5)

  1. 導体の外周に発泡絶縁層を被覆形成してなる高周波同軸ケーブルにおいて、発泡絶縁層に使用される樹脂が、下記(a)〜(d)の要件を満たすポリエチレン系樹脂100重量部に対し、発泡核剤を0.02〜3.0重量部の割合で含有する組成物であり、その組成物から得られる発泡絶縁層を導体の外周に被覆形成したことを特徴とする高周波同軸ケーブル。
    (a)密度が890kg/m以上980kg/m以下、
    (b)炭素数6以上の長鎖分岐数が1,000個の炭素原子当たり0.01個以上3個以下、
    (c)190℃で測定した溶融張力(MS190)(mN)と2.16kg荷重のMFR(g/10分、190℃)が、下記式(1)
    MS190>22×MFR−0.88 (1)
    を満たすと共に、160℃で測定した溶融張力(MS160)(mN)と2.16kg荷重のMFR(g/10分、190℃)が、下記式(2)を満たし、
    MS160>110−110×log(MFR) (2)
    (d)示差走査型熱量計による昇温測定において得られる吸熱曲線のピークが一つである
  2. エチレンを重合することによって得られる末端にビニル基を有するエチレン重合体、またはエチレンと炭素数3以上のオレフィンを共重合することによって得られる末端にビニル基を有するエチレン共重合体であり、
    (e)Mが2,000以上であり、
    (f)M/Mが2以上5以下である
    マクロモノマーの存在下に、エチレンおよび任意に炭素数3以上のオレフィンを重合することにより得られるポリエチレン系樹脂を用いることを特徴とする請求項1に記載の高周波同軸ケーブル。
  3. (a)’密度が940kg/m以上980kg/m以下
    であるポリエチレン系樹脂を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の高周波同軸ケーブル。
  4. (g)190℃、2.16kg荷重でのMFRが0.1〜50g/10分
    であるポリエチレン系樹脂を用いることを特徴とする請求項1〜3に記載の高周波同軸ケーブル。
  5. 請求項1に記載のポリエチレン系樹脂100重量部に対し、発泡核剤を0.02〜3.0重量部の割合で混合した組成物のメルトフローレートを0.1g/10分以上10g/10分未満に調整し、その組成物に発泡ガスを注入して発泡させると共に、その発泡体を導体の外周に押出被覆して発泡絶縁層を被覆形成することを特徴とする高周波同軸ケーブルの製造方法。
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