JP2016024870A - 電線 - Google Patents

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浩 山川
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Abstract

【課題】 高密度ポリエチレンが本来有している優れた電気特性を保持したままで、発泡セルの均一性が高く、発泡成形体の表面平滑性に優れ、高発泡倍率の絶縁層を形成可能な電気絶縁性樹脂組成物及び、該組成物で被覆された電線を提供することを目的とする。【解決手段】 導体と、この導体の外周に発泡絶縁層を備えている電線であって、該発泡絶縁層が高密度ポリエチレン100重量部に対して、ビニリデン基量(Vd)が1.2個/104C以上2.1個/104C以下であり、メルトフローレート(MFR)(測定条件:190℃、2.16kg荷重)が0.1g/10分以上6.0g/10分以下である高圧法低密度ポリエチレンを5〜70重量部含む電気絶縁性樹脂組成物からなる発泡体である電線。【選択図】 なし

Description

本発明は、特定の電気絶縁性樹脂組成物を用いて被覆された電線に関するものである。
近年、通信速度や通信容量の増大に伴い、従来より高い周波数帯の利用が進むにつれ、通信ケーブル、或いは電力伝送ケーブル等においては、電力、及び電気信号の減衰、或いは漏洩を出来るだけ抑制して伝送ロスを低減させることが、以前にも増して重要になっている。伝送ロスの低減には電線、或いはケーブルの導体を被覆する絶縁層の誘電損失、インピーダンス、或いは静電容量等を下げることが重要となる。
これらケーブルの基本構成単位である1本の導体は、半導電層、絶縁層、半導電層、及びシース層により被覆される多層構造を持つ。該絶縁層には、誘電率の低い高密度ポリエチレンが適すが、高密度ポリエチレンは結晶化度が高く、僅かな温度変化により溶融粘度が大きく変化するため、発泡成形加工における加工温度範囲が極めて狭い。また、高密度ポリエチレンは溶融張力が小さいため、発泡時には気泡の急激な膨張に対抗する張力がないため気泡を保持できず破泡に至る。その結果、発泡倍率が低下し、気泡も独立気泡ではなく、連続気泡の比率が高くなり、良好な性状の発泡絶縁層が得られなかった。したがって、高密度ポリエチレンを用いて発泡倍率が高く、独立気泡を有する発泡絶縁層を得るためには、該高密度ポリエチレンの溶融張力を高めることが必要であった。
高密度ポリエチレンの溶融張力を高める方法として、(1)高溶融張力のポリエチレンを添加する方法(例えば、特許文献1、2、3参照)、(2)ポリエチレンを架橋して溶融張力を高める方法(例えば、特許文献4、5参照)、或いは(3)長鎖分岐を有する特定のポリエチレンを利用する方法(例えば、特許文献6)等が提案されている。
上記特許文献1〜3に開示されている方法において、誘電損失が小さく、信号の減衰が小さい高密度ポリエチレンに、溶融張力(MS)が大きく、発泡が容易な高圧法低密度ポリエチレンを添加して発泡させた絶縁層を用いる場合、発泡倍率を高めるためには高溶融張力のポリエチレンを大量に添加する必要がある。この場合、高密度ポリエチレンが有する優れた電気特性も損なわれてしまう上、コスト上昇も免れなかった。また、上記特許文献4、及び、特許文献5に開示されている技術では、均一な架橋反応を行うための特殊操作が必要でありコスト面で問題があり、ゲルの発生により発泡成形体の外観不良、及び機械特性の低下が起こりやすいという問題もあった。更に、高溶融張力のポリエチレンと高密度ポリエチレンのブレンドでは、溶融粘度の差が大きく、双方を均一に溶融混合することが極めて難しかった。一方、特許文献6に開示されている特殊なポリエチレンを利用する場合、コスト上昇の問題があった。
インピーダンスや静電容量を低下させて信号の減衰量を低減させるためには、絶縁体層の発泡度を上げることが有効であるが、発泡度が60%以上となると、押出直後に高発泡層内で発生するガスが導体心線と高発泡層との間に空隙(鬆)を生じ、導体と外層の密着性を弱める、電圧定在波比(VSWR)が大きく高周波ケーブルに要求される性能を満足せず、該ケーブルの機械的強度、耐熱性、耐摩耗性も低下するという多くの問題があった。
上記背景により、特殊な架橋操作を必要とせず、低コストで、電気特性、及び機械特性に優れ、かつ高発泡可能な発泡絶縁層用材料が強く望まれていた。
特開平10−7726号公報 特開平2−132109号公報 特開平7−134359号公報 特開2003−327757号公報 特許第2823897号公報 特許第4810815号公報
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、伝送ロスの小さい電気絶縁性樹脂組成物で被覆された電線に関する。高発泡倍率で発泡セルの均一性、及び発泡成形体の表面平滑性、及び電気絶縁性に優れた発泡絶縁層を形成可能な電気絶縁性樹脂組成物で被覆された電線を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、押出溶融加工時に押出機内部で溶融張力が増大する新しいタイプの高圧法低密度ポリエチレンを高密度ポリエチレンに添加すれば、高発泡倍率で、発泡セルの均一性、及び発泡外観にも優れた発泡体が得られること、該高圧法低密度ポリエチレンは押出機内部で徐々に溶融張力、及び溶融粘度が増大していくため、高溶融張力のポリエチレンを直接ブレンドする手法に比べ、遥かに高密度ポリエチレンと均一にブレンドされること、該高圧法低密度ポリエチレンを押出加工した後は、従来の未架橋低密度ポリエチレンでは達成出来ないレベルの高い溶融張力を示し、この特長は高密度ポリエチレンをブレンドした組成物においても保持されること、従来と同等の発泡倍率を得るために必要な高圧法低密度ポリエチレンの添加量を減量可能なことを見出し本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、導体と、この導体の外周に発泡絶縁層を備えている電線であって、該発泡絶縁層が高密度ポリエチレン100重量部に対して、ビニリデン基量(Vd)が1.2個/10C以上2.1個/10C以下であり、メルトフローレート(MFR)(測定条件:190℃、2.16kg荷重)が0.1g/10分以上6.0g/10分以下である高圧法低密度ポリエチレンを5〜70重量部含む電気絶縁性樹脂組成物からなる発泡体であることを特徴とする電線、さらに該高圧法低密度ポリエチレンの溶融張力(測定条件:温度190℃、引取速度0.5m/分)が50mN以上200mN以下であることを特徴とする電線、並びに導体と絶縁層の間に半導電層1、絶縁層の外周に半導電層2、この半導電層2の外周に外部遮蔽層を備えている電線であって、半導体層が高密度ポリエチレン100重量部に対して、ビニリデン基量(Vd)が1.2個/10C以上2.1個/10C以下であり、メルトフローレート(MFR)(測定条件:190℃、2.16kg荷重)が0.1g/10分以上6.0g/10分以下である高圧法低密度ポリエチレンを5〜70重量部含む電気絶縁性樹脂組成物に導電性付与剤を添加した組成物であることを特徴とする電線に関するものである。
本願発明の電線に用いる導体に何らの制限はなく、銅線、銀線、金線等を用いることが出来るが、安価な銅線を用いるのが好ましい。
本発明の電線は、導体の外周に絶縁層を備えている。絶縁層は高密度ポリエチレン100重量部に対して、ビニリデン基量(Vd)が1.2個/10C以上2.1個/10C以下であり、メルトフローレート(MFR)(測定条件:190℃、2.16kg荷重)が0.1g/10分以上6.0g/10分以下である高圧法低密度ポリエチレンを5〜70重量部含む電気絶縁性樹脂組成物からなる。
本発明の電気絶縁性樹脂組成物に用いる高密度ポリエチレンは特に制限されず、高密度ポリエチレンとしては、チーグラー系触媒、或いはメタロセン系触媒などの重合触媒を用いて、気相重合法、溶液重合法、スラリー重合法、高圧イオン重合法等のプロセスにより製造されたものを用いることが出来る。
本発明で用いる高密度ポリエチレン(HDPE)の密度は940〜970kg/mであることが好ましく、更に好ましくは940〜960kg/mであり、最も好ましくは940〜950kg/mである。密度がこの範囲であれば、得られた発泡体の2次成形性が優れているため好ましい。
本発明で用いる高密度ポリエチレンのMFRは1〜50g/10分であることが好ましく、更に好ましくは1〜40g/10分、最も好ましくは1〜30g/10分である。MFRがこの範囲に有れば、本発明の組成物を発泡成形する際、発泡倍率が高くなるため好ましい。
本発明で用いる高圧法低密度ポリエチレンのVdは1.2個/10C以上2.1個/10C以下であり、好ましくは1.2個/10C以上1.8個/10C以下、更に好ましくは1.2個/10C以上1.6 個/10C以下である。1.2個/10C未満では溶融粘度が低いため所望の発泡倍率とならず、また、2.1個/10Cを超えると逆に高粘度となって発泡倍率が低くなる、或いは発泡しないという問題があるので好ましくない。
本発明で用いる高圧法低密度ポリエチレンのMFRは0.1g/10分以上6.0g/10分以下であり、好ましくは0.5g/10分以上5.0g/10分以下、更に好ましくは1.0g/10分以上5.0g/以下である。0.1g/10分未満では発泡倍率が低下し、また、6.0g/10分を超えると発泡時に破泡しやすいため好ましくない。
本発明で用いる高圧法低密度ポリエチレンの溶融張力(測定条件:温度190℃、引取速度0.5m/分)は50mN以上200mN以下が好ましく、好ましくは60mN以上180mN以下、更に好ましくは70mN以上160mNである。溶融張力がこの範囲内にあると発泡倍率、発泡セルの均一性、及び発泡体の表面性状が優れているため好ましい。
本発明で用いる高弾性低密度ポリエチレンの分子量分布は特に制限されないが、押出加工性の観点から、分散度Mw/Mnが7以上12以下が好ましく、更に好ましくは8以上11以下である。分散度がこの範囲にあれば、押出成形性、及び高発泡倍率かつ発泡体の性状が優れているため好ましい。
本発明で用いる高圧法低密度ポリエチレンの製造はラジカル重合開始剤の存在下で、溶媒の存在下あるいは不存在下において、必要に応じて主に分子量調節を目的に連鎖移動剤を添加して、高圧圧縮機を備えた連続式のベッセル型、或いはチューブラー型高圧法ポリエチレン製造装置により製造できるが、反応器内部の温度分布を制御し易いベッセル型重合装置が好適に用いられる。本発明の低密度ポリエチレンは反応器内の平均反応温度を出来る限り高温にしてビニリデン基量を高め、同時に、MFRを可能な限り低下させるため、高分子量成分を生成する低温領域を同一反応器内に設けて、反応器内部に温度勾配を生じさせた上で、所望のビニリデン基量とMFRとなるように、反応圧力、及び反応器内部に供給するエチレンの温度を最適化することで容易、かつ効率的に製造することが出来る。
重合圧力としては100MPa以上400MPa以下、好ましくは150MPa以上190MPa以下が用いられる。この圧力の範囲内であれば、ビニリデン基量が高く、かつMFRが低い低密度ポリエチレンを得ることが出来るため好ましい。
反応温度としては100℃以上330℃以下、好ましくは200℃以上280℃以下が用いられる。反応器内部の最高温度と最低温度の差は10℃以上200℃以下、好ましくは13℃以上100℃以下の条件が用いられる。反応器の温度が100℃以上であり、かつ反応器上部と下部の温度差が上記の範囲内であれば、ビニリデン基量が高く、かつMFRが低い低密度ポリエチレンを得ることが出来るため好ましい。
反応器に供給するエチレンの供給量と温度は、反応圧力、反応温度に依存し、所望のビニリデン基量とMFRとするため、適宜変更され、エチレン供給量は生産速度に応じても適宜変更し得る。エチレン供給量としては10kg/h以上30kg/h以下が用いられ、エチレンの温度は10℃以上100℃以下が用いられる。エチレン供給量が10kg/h以上であり、エチレン温度が10℃以上であれば、低密度ポリエチレンが経済性に優れた生産速度で製造出来るため好ましい。
ラジカル重合開始剤としては例えば酸素、過酸化水素、ジエチルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシピバレート等を用いることが出来るが、反応温度に応じて最適な分解温度の開始剤を選定出来る。本発明で用いる開始剤の量は、開始剤の種類、反応器内部の温度、高圧反応器へ導入するエチレン流量、及びエチレンの温度に合わせ適宜調整されるため、厳密に特定の範囲に限定し得るものではないが、一般的には1〜25kg/hである。
連鎖移動剤は主に分子量の増大を抑える目的で使用でき、また二重結合量を増加させる目的でも使用できる。連鎖移動剤の例としてはエタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン等のオレフィン化合物、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等のアルデヒド化合物、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。
本発明で用いる高圧法低密度ポリエチレンは、従来の高圧法低密度ポリエチレンに比べ、溶融押出によりペレット化する際の溶融粘度、及び溶融張力の変化が大きいため、ペレットを製造する際には造粒可能な温度範囲内で出来る限り低温で行い、造粒機の温度としては120以上200℃以下が用いられ、好ましくは120℃以上180℃以下、更に好ましくは120℃以上150℃である。造粒時の温度が200℃を超えると造粒工程において溶融張力、及び溶融粘度の増大が顕著となり、得られたペレットを用いて押出ラミネート加工等を行う際、押出機のトルクが上昇するため好ましくない。造粒時の温度が120℃以下では造粒に用いる押出機のトルクが高く、生産性が低いため好ましくない。また、造粒速度は用いる造粒機の能力に依存して適宜、変更し得る。
本発明で用いる高圧法低密度ポリエチレンの造粒方法に特に制限はなく、一般的に用いられている公知の方法を用いることができる。造粒方法の例としてストランドカット、アンダーウォーターカット等が例示される。本発明で用いる造粒機の押出機内のスクリューは溶融樹脂に強いせん断力がかからず、樹脂がせん断発熱しにくいニーディングゾーンの無いシングルフライト型スクリューを備えた一軸押出機を用いるのが好ましい。
本発明の電気絶縁性樹脂組成物を構成する高密度ポリエチレンと高圧法低密度ポリエチレンからなる組成物は、高密度ポリエチレン100重量部に対して、高圧法低密度ポリエチレン5〜70重量部であり、好ましくは7〜50重量部、更に好ましくは10〜25重量部である。該高圧法低密度ポリエチレンが5重量部未満の場合、発泡時の破泡が顕著で発泡倍率が低く、発泡セルの均一性も低下するため好ましくない。一方、70重量部を超えると発泡倍率が上がらないため好ましくない。
本発明の電気絶縁性樹脂組成物を構成する高密度ポリエチレンと高圧法低密度ポリエチレンを配合する際には、押出混練、ロール混練など公知の方法を利用出来る。
また、本願発明は、導体と絶縁層の間に半導体層1、絶縁層の外周に半導体層2、この半導体層2の外周に外部遮蔽層を備えている電線であって、半導体層が高密度ポリエチレン100重量部に対して、ビニリデン基量(Vd)が1.2個/10C以上2.1個/10C以下であり、メルトフローレート(MFR)(測定条件:190℃、2.16kg荷重)が0.1g/10分以上6.0g/10分以下である高圧法低密度ポリエチレンを5〜70重量部含む電気絶縁性樹脂組成物に導電性付与剤を添加した組成物であることを特徴とする電線に係るものである。
本発明において、半導電層および絶縁層は、同時にまたは逐次被覆してもよい。半導電層は絶縁層の帯電を防止する目的で、導体と絶縁層の間、及び、絶縁層と外部遮蔽層の間に被覆され、この半導電層を施した電線、或いはケーブルは優れた耐電圧性を有している。本発明の電線の半導電層は、電気絶縁性樹脂組成物に導電性付与剤を添加して半導電樹脂組成物を用いる。導電性付与剤としては、例えば、安価なカーボンが例示される。該電気絶縁層は、電気絶縁性樹脂組成物に化学発泡剤またはガス発泡剤を添加し、発泡させ、上記半道電層の外層に公知の方法を用いて押出被覆したものである。
また、外部遮蔽層は、非発泡の絶縁層であり、該遮蔽層に用いる樹脂は、絶縁性が高い限り何ら制限されず、本発明の発泡絶縁層と同様に高密度ポリエチレンと高圧法低密度ポリエチレンをブレンドした組成物等が好適に用いられ、線状低密度ポリエチレン等のエチレン−α−オレフィン共重合体、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂と高圧法低密度ポリエチレンからなる組成物等を用いることも出来る。
電線またはケーブルの導体上を被覆する方法は、通常の押出被覆法を採用できる。この押出被覆は、導体直上、あるいは半導電層、遮蔽層等を介するなど適宜に実施できる。電線、及びケーブルは、十分に加熱混練された発泡性樹脂組成物を押出機に入れた後、不活性ガスを注入して140〜230℃の温度範囲で発泡させることにより製造される。電線被覆に用いることが出来る押出機としてはL型押出機または単軸押出機が例示される。L型押出機は、スクリュー長とスクリュー径の比L/D=25〜35、φ=50〜80mmの押出機をL字型に結合したガス発泡用の専用押出機である。該L型押出機は、東芝機械(株)や(株)プラ技研が市販している。一方、単軸押出機は、化学発泡法において使用されている単軸スクリューを用いたL/D=30〜35の押出機であり、このような押出機を用いてもL字型押出機に匹敵する高品質の高発泡体を製造出来る。
押出加工時の樹脂温度は電気絶縁性樹脂組成物の融点Tmに対し、Tm±20℃以内が好ましく、より好ましくはTm±10℃以内である。加工温度がこの範囲であれば、良好な電気特性、及び表面性状を有する発泡絶縁層が得られるため好ましい。ここで、ポリエチレン系樹脂組成物の融点は、JIS K7121(1987)に基づいて熱流束DSC曲線により一定の熱処理を行なった試験片から求められるピークの頂点温度とする。
本発明で用いるガス発泡剤としては、メチレンクロライド、トリクロロフルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、クロロジフルオロメタン、クロロトリフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、1,1−ジフルオロエタン、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン、1,2−ジクロロテトラフルオロエタンまたはクロロペンタフルオロエタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ペンテン、ヘキサン、ヘキセン、ヘプテン、オクタン、等の炭化水素、或いはハロゲン化炭化水素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン、炭酸ガス、窒素等の不活性ガスが例示されるが、窒素や炭酸ガス、好ましくは、窒素がコスト的に有利であるため望ましい。これらの不活性ガスは、通常単独で使用するが、必要に応じて2種以上を用いてもよい。不活性ガスの使用量は、発泡樹脂組成物100重量部に対して、0.01〜10.0重量部が好ましい。0.01重量部未満であると、70〜85%の高発泡体が得られず、一方、10重量部を越えると、過発泡が起こり、同軸ケーブルの品質が悪くなるため望ましくない。
また、本発明では均一かつ微細なセル構造を形成させるために発泡核剤を利用することが出来る。発泡核剤としては、ナイロン粉末やテフロン(登録商標)粉末、アゾジカルボンアミドおよびタルク、窒化ホウ素、シリカなどが例示される。発泡核剤の配合量は、ポリエチレン系樹脂100重量部に対して、0.02〜3.0重量部、好ましくは0.1〜1.5重量部が好ましい。0.02重量部未満であると、均一で微細なセル構造が形成されず、同軸ケーブルの特性が悪くなり、一方、3.0重量部を越えると、均一でかつ微細なセル構造を形成させる効果が見られなくなることに加え、電気特性を悪化させるため望ましくない。
本発明では必要に応じて発泡助剤を使用できる。発泡助剤としては例えば、サリチル酸、ステアリン酸、フタル酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、エチレングリコール、グリセリン、エタノールアミン、尿素、尿素誘導体、メラミン、二塩基性亜リン酸鉛、三塩基性硫酸鉛、酸化亜鉛等が例示される。発泡助剤はV型ブレンダー、リボンミキサー、ヘンシェルミキサー、或いはタンブラー等を用いてブレンド出来る。
本発明の電気絶縁性樹脂組成物には、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、防曇剤、抗ブロッキング剤、スリップ剤、滑剤、核剤、顔料、タッキファイヤー、カーボンブラック、タルク、ガラス粉、ガラス繊維等の無機充填剤または補強剤、有機充填剤または補強剤、難燃剤、中性子遮蔽剤等の公知の添加剤を配合することができる。また、他の熱可塑性樹脂と混合して用いることもできる。これらの例として、粘着付与樹脂、ワックス、HDPE、L−LDPE、LDPE、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリスチレン、これらの無水マレイン酸グラフト物等を例示することができる。
本発明によれば、発泡セルの均一性が高く、発泡成形体の表面平滑性に優れ、高発泡倍率の絶縁層を形成可能な電気絶縁性樹脂組成物及び、該組成物で被覆された電線を得ることができる。
以下に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により制限されるものではない。
以下に、実施例および比較例で用いた測定方法を示す。
(1)ビニリデン基量
樹脂を窒素下、150℃、2分間プレスを行って厚み200μmのフィルムを作製し、パーキンエルマー社製Spectrum One赤外分光光度計を用い、ビニリデン基の特性吸収ピーク888cm−1を用いて定量分析し、炭素原子10000個当たりのビニリデン基の個数(個/10C)を求めた。
(2)密度
JIS K6922−1(1997年)に準拠して測定した。
(3)溶融張力(MS)
設定温度23℃の恒温室内で、バレル直径9.55mmの毛管粘度計(東洋精機製作所、製品名:キャピログラフ)を用いて、長さ8mm、直径2.095φ、流入角90℃のフラットダイを使用し、温度190℃で、樹脂を18g充填し、ピストン降下速度10mm/分、引取速度0.5mで引取った際に必要な張力を溶融張力とした。
(4)メルトフローレート(MFR)
JIS K6922−1に準拠して測定した。
(5)ケーブルの成形
一段目(65mmφ)、二段目(90mmφ)の二段押出機を有する装置を使用し、発泡絶縁層を有する波付内部導体として、外径17.3mmφ(13/8インチサイズ)の波付銅管外周に外径が44.5mmとなる発泡絶縁層を形成した。発泡絶縁層の上に外径が46.5mmとなる外部導体、さらにその上に1.75mm厚みのポリエチレンシースを被覆して発泡絶縁同軸ケーブルを得た。
(6)電圧反射係数(ρ)の測定
電圧反射係数の測定は、アジレスト社製のスカラネットワークアナライザ8757Dを用いて行った。特性インピーダンスZ、及び負荷したインピーダンスZを用いて、
ρ=(Z−Z)/(Z+Z
により求めた。
(7)発泡度
成形したケーブルの発泡絶縁層から所定の大きさのサンプルを切り出し、その体積と重量を則てして発泡後の比重dを求めた。また、発泡前の比重dは、電気絶縁性樹脂組成物を熱100mm×100mm×厚み1mmのサイズにプレス成型したシートから微小なサンプルを切り取り、密度勾配管を用いて求めた。発泡度は
発泡度(%)=(d−d)/d×100
により求めた。
合成例1
ベッセル型反応器に往復型高圧圧縮機で圧縮したエチレン21.1kg/hを温度45℃で圧入し、重合開始剤としてt−ブチルパーオキサイド7.1g/hを添加し、圧力180MPa、反応器上部の温度257℃、反応器下部の温度276℃で連続的に重合し、密度919kg/m、ビニリデン基量1.2個/10C、メルトフローレート(MFR)1.7g/10分、溶融張力(MS)149mNの高圧法低密度ポリエチレンC1を得た。
合成例2
ベッセル型反応器に往復型高圧圧縮機で圧縮したエチレン20.5kg/hを温度42℃で圧入し、重合開始剤としてt−ブチルパーオキサイド11.5g/hを添加し、圧力180MPa、反応器上部の温度257℃、反応器下部の温度276℃で連続的に重合し、密度919kg/m、ビニリデン基量1.3個/10C、MFR2.0g/10分、MS136mNの高圧法低密度ポリエチレンC2を得た。
合成例3
ベッセル型反応器に往復型高圧圧縮機で圧縮したエチレン22.5kg/hを温度40℃で圧入し、重合開始剤としてt−ブチルパーオキサイド12.9g/hを添加し、圧力180MPa、反応器上部の温度257℃、反応器下部の温度277℃で連続的に重合し、密度919kg/m、ビニリデン基量1.4個/10C、MFR2.2g/10分、MS131mNの低密度ポリエチレンC3を得た
合成例4
ベッセル型反応器に往復型高圧圧縮機で圧縮したエチレン21.8kg/hを温度33℃で圧入し、重合開始剤としてt−ブチルパーオキサイド13.5g/hを添加し、圧力188MPa、反応器上部の温度256℃、反応器下部の温度277℃で連続的に重合し、密度918kg/m、ビニリデン基量1.4個/10C、MFR2.5g/10分、MS122mNの低密度ポリエチレンC4を得た。
合成例5
ベッセル型反応器に往復型高圧圧縮機で圧縮したエチレン22.8kg/hを温度35℃で圧入し、重合開始剤としてt−ブチルパーオキサイド13.8g/hを添加し、圧力180MPa、反応器上部の温度257℃、反応器下部の温度277℃で連続的に重合して密度918kg/m、ビニリデン基量1.5個/10C、MFR2.8g/10分、MS113mNの低密度ポリエチレンC5を得た。
合成例6
ベッセル型反応器に往復型高圧圧縮機で圧縮したエチレン21.4kg/hを温度33℃で圧入し、重合開始剤としてt−ブチルパーオキサイド13.2g/hを添加し、圧力180MPa、反応器上部の温度257℃、反応器下部の温度277℃で連続的に重合して密度918kg/m、ビニリデン基量1.6個/10C、MFR3.2g/10分、MS105mNの低密度ポリエチレンC6を得た。
実施例1
高密度ポリエチレン(東ソー(株)製 ニポロンハード4000、密度965kg/m、MFR:5g/10分)100重量部に対して、合成例1で得られた高圧法低密度ポリエチレンC1を10重量部を添加し、ドライブレンドにより電気絶縁性樹脂組成物を得た。得られた電気絶縁性樹脂組成物100重量部にフタル酸ヒドラジドからなる発泡核剤0.1重量部を添加して、発泡剤としてアルゴンガスを用いて、導体の外周に発泡絶縁層を被覆形成した高周波同軸ケーブルを作製した。得られた同軸ケーブルの発泡絶縁層の発泡度68%、気泡径114μmで表面平滑性も高く、インピーダンス、静電容量、及び電圧反射係数は良好であった。
実施例2
高密度ポリエチレンとして東ソー(株)製 ニポロンハード4010(密度964kg/m、MFR:5.5g/10分)を用い、その添加量を10重量部とした以外は実施例1と同様の手法で高周波ケーブルを作成した。得られた同軸ケーブルの発泡絶縁層の発泡度73%、気泡径122μmで表面平滑性も高く、インピーダンス、静電容量、及び電圧反射係数は良好であった。
実施例3〜6
高密度ポリエチレンとして東ソー(株)製 ニポロンハード2500(密度961kg/m、MFR:8g/10分)、及び、ニポロンハード2000(密度960kg/m、MFR:15g/10分)を用いて、こられ高密度ポリエチレンの添加量を10重量部、及び12重量部とした以外は実施例1と同様の手法で高周波ケーブルを作成した。得られた同軸ケーブルの発泡絶縁層の評価気化を表1に示す。発泡性状、電気特性(インピーダンス、静電容量、及び電圧反射係数)は何れも良好であった。
比較例1
合成例1で得られた高圧法低密度ポリエチレンC1の添加量を2重量部とした以外は、実施例1と同様の手法で高周波ケーブルを作成した。得られた同軸ケーブルの発泡絶縁層は発泡しなかった。
比較例2
合成例1で得られた高圧法低密度ポリエチレンC1の添加量を400重量部とした以外は、実施例1と同様の手法で高周波ケーブルを作成した。得られた同軸ケーブルの発泡絶縁層の発泡度は10%と小さく、電気特性も実用レベルには無かった。
比較例3〜5
実施例1〜3で用いた低密度ポリエチレンC1〜C3のかわりに、東ソー(株)製 ペトロセン203(密度918kg/m、MFR8g/10分)、ペトロセン213(密度918kg/m、MFR8g/10分)、及び、ペトロセン360(密度919kg/m、MFR1.9g/10分)を用い、その添加量をそれぞれ9.9、11.1、及び12.4重量部とした以外は実施例1〜3と同様の手法で高周波ケーブルを作成した。得られた同軸ケーブルの発泡絶縁層は発泡しなかった。
比較例6
低密度ポリエチレンの添加量を100重量部とした以外は、比較例4と同様の手法で高周波ケーブルを作成した。得られた同軸ケーブルの発泡絶縁層の発泡度35%と小さく、気泡径200μmで表面平滑性は実施例1〜6に比べ悪く、インピーダンス、静電容量、及び電圧反射係数は実用レベルには無かった。
Figure 2016024870
Figure 2016024870

Claims (3)

  1. 導体と、この導体の外周に発泡絶縁層を備えている電線であって、該発泡絶縁層が高密度ポリエチレン100重量部に対して、ビニリデン基量(Vd)が1.2個/10C以上2.1個/10C以下であり、メルトフローレート(MFR)(測定条件:190℃、2.16kg荷重)が0.1g/10分以上6.0g/10分以下である高圧法低密度ポリエチレンを5〜70重量部含む電気絶縁性樹脂組成物からなる発泡体であることを特徴とする電線。
  2. 高圧法低密度ポリエチレンの溶融張力(測定条件:温度190℃、引取速度0.5m/分)が50mN以上200mN以下であることを特徴とする請求項1に記載の電線。
  3. 導体と発泡絶縁層の間に半導体層1、発泡絶縁層の外周に半導電層2、この半導電層2の外周に外部遮蔽層を備えている電線であって、半導電層が高密度ポリエチレン100重量部に対して、ビニリデン基量(Vd)が1.2個/10C以上2.1個/10C以下であり、メルトフローレート(MFR)(測定条件:190℃、2.16kg荷重)が0.1g/10分以上6.0g/10分以下である高圧法低密度ポリエチレンを5〜70重量部含む電気絶縁性樹脂組成物に導電性付与剤を添加した組成物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電線。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110473651A (zh) * 2018-05-09 2019-11-19 江苏宝安电缆有限公司 一种同轴低噪音电缆

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