JP2003109441A - 発泡絶縁同軸ケーブル - Google Patents

発泡絶縁同軸ケーブル

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JP2003109441A
JP2003109441A JP2001302119A JP2001302119A JP2003109441A JP 2003109441 A JP2003109441 A JP 2003109441A JP 2001302119 A JP2001302119 A JP 2001302119A JP 2001302119 A JP2001302119 A JP 2001302119A JP 2003109441 A JP2003109441 A JP 2003109441A
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polyethylene
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insulating layer
inner conductor
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Nobuhiro Umeo
信博 梅尾
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Mitsubishi Cable Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、内部導体が波付銅管または波付アル
ミ管である大径サイズの同軸ケーブルの電気絶縁層とし
て使用しても、溝部に連続発泡を発生させないで、VS
WR特性、発泡度、減衰特性が良好である発泡絶縁同軸
ケーブルを提供することを課題とした。 【解決手段】波付内部導体の外周に、成核剤および物理
発泡剤を用い発泡成形されたポリエチレン系発泡絶縁層
が被覆され、前記ポリエチレン系発泡絶縁層の外周に外
部導体、シース層が順じ被覆されてなる発泡絶縁同軸ケ
ーブルであって、前記ポリエチレン系発泡絶縁層のベー
ス樹脂の密度が930〜960kg/mでかつ剪断粘
度が1100Pa・s以上(温度:150℃、剪断速
度:121.6s−1)であることを特徴とする発泡絶
縁同軸ケーブルで解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、発泡絶縁同軸ケーブル
に関し、詳しくは内部導体として波付内部導体(波付金
属管)を使用した発泡絶縁同軸ケーブルに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、移動体通信用アンテナ給電線の製
造に使用される発泡用組成物としては、ポリエチレンや
ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂と成核剤として
の4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラシド
(OBSH)やアゾジカルボンアミド(ADCA)など
の所謂化学発泡剤とからなるものが、また発泡体として
は上記の発泡用組成物を各種の不活性ガスや炭酸ガスな
どを発泡剤として用いて発泡させたものがそれぞれ知ら
れている。またさらに高電気特性を有する発泡体を得る
ために、成核剤としてフッ素樹脂粉末や窒化ホウ素粉末
を用いることも知られている。
【0003】ところが最近、移動体通信用アンテナ給電
線の小サイズ化や使用周波数帯域の高周波化により、従
来の上記発泡体の電気絶縁層を有する同軸ケーブルで
は、その電気特性が未だ不十分なために同軸ケーブルの
減衰特性が要求規格を満たさない問題がある。
【0004】発泡体の電気特性を改善する従来の手法
は、主として成核剤や発泡剤に目が向けられていたが、
本発明者は被発泡体たるポリエチレンに着目して誠意検
討し、小径サイズ(7/8インチサイズ)の同軸ケーブ
ルは高周波数帯域において優れた減衰特性を示すことを
開示している(例えば特開2001−31792号公
報)。
【0005】近年ではケーブルの大径化にともない内部
導体も大径化する必要がでてきたので、耐座屈性、ケー
ブル曲げ特性が良好な波付内部導体を使用している。し
かし、小径サイズの同軸ケーブルに使用されている特開
2001−31792号公報にある発泡用組成物を9/
8インチサイズ、13/8インチサイズのような7/8
インチサイズより大径サイズの波付内部導体を有する発
泡絶縁同軸ケーブルに適用した場合、波付内部導体の溝
部に連続気泡が発生し易く、VSWR(Voltage
Standing Wave Ratio(電圧定在
波比))特性が要求規格を満足させる製造条件が、極端
に狭いという問題が発生した。発明者はこの連続発泡の
現象を以下のように考えている。一般的に高密度ポリエ
チレンの方が低密度ポリエチレンよりも誘電特性に優れ
るが、高密度ポリエチレン単独では、成形加工性が低い
ため、成形加工が可能となるまで低密度ポリエチレンを
含有させる必要がある。優れた誘電特性を有してる高密
度ポリエチレンは溶解時の剪断粘度が低いものが多く、
混合ポリエチレン(高密度ポリエチレンと低密度ポリエ
チレンとの混合物)としての剪断粘度も低くなり内部導
体の溝部の樹脂圧低下によって、樹脂に溶解していた発
泡剤が敏感に反応し発泡し始め、その他の部位に比べ冷
却されるまでの発泡セルの成長期間が長いために起こる
のではないかと考えている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、波付内部導
体の発泡絶縁同軸ケーブルであって、波付内部導体の溝
部に連続発泡を発生させないで、VSWR特性、発泡
度、減衰特性が良好である発泡絶縁同軸ケーブルを提供
することを課題とした。
【0007】
【課題を解決させるための手段】上記した課題は、 (1)波付内部導体の外周に、成核剤および物理発泡剤
を用い発泡成形されたポリエチレン系発泡絶縁層が被覆
され、前記ポリエチレン系発泡絶縁層の外周に外部導
体、シース層が順じ被覆されてなる発泡絶縁同軸ケーブ
ルであって、前記ポリエチレン系発泡絶縁層のベース樹
脂の密度が930〜960kg/mでかつ剪断粘度が
1100Pa・s以上(温度:150℃、剪断速度:1
21.6s −1)であることを特徴とする発泡絶縁同軸
ケーブル。 (2)上記ポリエチレン系発泡絶縁層のベース樹脂が低
密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレンからなる混
合ポリエチレンであること特徴とする(1)記載の発泡
絶縁同軸ケーブル。 (3)上記高密度ポリエチレンのMFRが3.5以上で
あることを特徴とする(1)または(2)記載の発泡絶
縁同軸ケーブル。 (4)上記成核剤がフッ素粉末または窒化ホウ素である
ことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の発
泡絶縁同軸ケーブル。 (5)前記波付内部導体の外周と前記ポリエチレン系発
泡絶縁層の内周との間に内スキン層として充実ポリエチ
レンが被覆されていることを特徴とする請求項1〜請求
項4のいずれかに記載の発泡絶縁同軸ケーブル。 (6)上記波付内部導体の最大外径が30mm以上であ
ることを特徴とす(1)〜(5)のいずれかに記載の発
泡絶縁同軸ケーブルで解決される。
【0008】
【作用】本発明は、ポリエチレン系発泡絶縁層にベース
樹脂として低密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレ
ンからなる混合ポリエチレンを使用し、該混合ポリエチ
レンの密度が930〜960kg/mでかつ剪断粘度
が1100Pa・s以上であるベース樹脂を用いること
で、樹脂圧降下に対し反応しない、つまり波付銅管の溝
部に連続気泡が発生しなくなるので、VSWR特性、発
泡度、減衰特性が良好となる。さらに波付外部導体とポ
リエチレン系発泡絶縁層との間に内スキン層を設けるこ
とで発泡絶縁材料に溶解している発泡剤が波付内部導体
界面から逃げることを抑制するので、波付内部導体近傍
に発生しやすい連続気泡を抑制でき、VSWR特性を向
上させる。
【0009】
【発明の実施形態】前記波付内部導体は、発泡絶縁同軸
ケーブルの内部導体として使用されるものであり、導電
性のある平滑なアルミニウム管、平滑な銅管等を波付き
加工したものを用いれば良い。波付き加工することによ
って、波付け加工をしない平滑管に比べて、耐座屈性の
ある曲げ特性の良好なケーブルの大径化が可能となる。
波付の形状は、略サインカーブ(y=B・sinx)
を示すものや、前記略サインカーブより、滑らかでない
凸凹した形状がある。また波付のピッチの形態は、リン
グ状(図1(a))のようにピッチ1個が独立している
ものや、らせん状(図1(b))のように連続している
ものがある。中でもリング状の方がらせん状に比べ、雨
水等が浸入しても、ケーブル全体に垂れたりしないでピ
ッチ1個、1個に留まりやすいので、リング状が好まし
い。 前記波付内部導体の最大外径(図1のAの距離)
は特に規定する必要はないが、ケーブルの大径化と耐座
屈性および曲げ特性の向上が必要となる30mm以上の
サイズの内部導体に使用すれば良い。
【0010】ポリエチレン系発泡絶縁層は、ベース樹脂
として低密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレンか
らなる混合ポリエチレンであり、該混合ポリエチレンの
特性としては、密度が930〜960kg/mで剪断
粘度(JIS K 7199、剪断速度:121.6s
−1、温度:150℃)が1100Pa・s以上が好ま
しい。密度が930kg/mより小さいと減衰特性が
低下する傾向にあり、960kg/mより大きいと押
出成形性が低下する傾向にある。剪断粘度が1100P
a・sより小さいと波付金属管(波付銅管、波付アルミ
管)を内部導体に用いた場合、溝部(凹部)に連続気泡
が発生し、VSWR特性が低下する傾向にある。
【0011】前記低密度ポリエチレンとしては、密度が
910〜930kg/mのものが用いられる。密度9
10kg/m未満の低密度ポリエチレンを使用した場
合には、発泡体のセルが不均一になる傾向があり、一
方、930kg/mより大きいものを使用した場合に
は、高発泡度を有する発泡体が得られない傾向にある。
また、前記低密度ポリエチレンのSR比(スェーリング
比)やMFRの各範囲に関して、SR比は通常20〜8
0程度、好ましくは40〜60程度であり、MFRは通
常0.1〜10程度、好ましくは1〜7程度、特に5未
満であるものが適当である。
【0012】かかる低密度ポリエチレンは、例えば、酸
素や有機過酸化物を重合開始剤とする通常の高圧法によ
り製造される低密度ポリエチレン類、遷移金属触媒とα
−オレフィンのコモノマーを添加する高圧法により製造
される直鎖状低密度ポリエチレン類、溶液重合法、スラ
リー重合法、あるいは気相重合法(以上、いずれもフィ
リップス触媒使用)など、あるいはスタンダード触媒を
用いる溶液重合法などの中圧法により製造される低密度
ポリエチレン類や直鎖状低密度ポリエチレン類、溶液重
合法、スラリー重合法、あるいは気相重合法(以上、い
ずれもチーグラー触媒使用)などの低圧法により製造さ
れる低密度ポリエチレン類や直鎖状低密度ポリエチレン
類などの内から選択入手することができる。
【0013】混合ポリエチレンのもう一方の成分の高密
度ポリエチレンとしては、密度が940〜970kg/
ものが用いられる。SR比は、一緒に用いられる低
密度ポリエチレンのそれより小さく且つMFRが該低密
度ポリエチレンのそれより大きいものを用いることが好
ましい。なお密度940kg/m未満の高密度ポリエ
チレンを使用した場合には、ケーブル化したときの減衰
量が大きくなる傾向があり、一方、970kg/m
り大きいものを使用した場合には、高発泡度を有する発
泡体が得られない傾向がある。また一緒に使用する低密
度ポリエチレンのSR比と同じかまたはそれより大きい
高密度ポリエチレンを使用した場合には、発泡体のセル
が破泡して連続気泡になる問題があり、さらに一緒に使
用する低密度ポリエチレンのMFRと同じかまたはそれ
より小さい高密度ポリエチレンを使用した場合には、ケ
ーブル化したときの減衰量が大きくなる問題がある。し
かして高密度ポリエチレンとしては、密度が940〜9
70kg/mであり、SR比が一緒に使用する低密度
ポリエチレンのそれより20〜50程度小さい、特に3
0〜40程度小さいものが好ましい。また高密度ポリエ
チレンのMFRは、一緒に使用する低密度ポリエチレン
のそれより5〜9程度大きい、特に6〜7程度大きいも
のが好ましい。
【0014】かかる高密度ポリエチレンは、溶液重合
法、スラリー重合法、あるいは気相重合法(以上、いず
れもフィリップス触媒使用)など、あるいはスタンダー
ド触媒を用いる溶液重合法などの中圧法により製造され
る高密度ポリエチレン類、溶液重合法、スラリー重合
法、あるいは気相重合法(以上、いずれもチーグラー触
媒使用)などの低圧法により製造される高密度ポリエチ
レン類などの内から選択入手することができる。
【0015】本発明で用いられる混合ポリエチレン中に
おける低密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンとの組
成比については、両者の合計量中での高密度ポリエチレ
ンの量は50重量%以上、好ましくは60重量%以上、
より好ましくは70重量%以上である。ポリエチレン混
合物中での残部は低密度ポリエチレンであって、両者の
合計量中での低密度ポリエチレンの量は5重量%以上、
好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%
以上である。ポリエチレン混合物中における高密度ポリ
エチレンの量が50重量%未満であればケーブル化した
ときの減衰量が大きくなる傾向がある。
【0016】ベース樹脂には、上記混合ポリエチレン以
外に、例えばポリプロピレン、エチレン−プロピレン共
重合体などの他の低極性ポリマーを含んでいてもよい
が、前記ベース樹脂におけるポリエチレン混合物の量
は、80重量%以上、好ましくは90重量%以上であ
る。
【0017】本発明のポリエチレン系発泡絶縁層に使わ
れる材料のベース樹脂には、さらに必要に応じてその他
の配合剤、例えば酸化防止剤、銅害防止剤、着色剤ある
いはその他の添加剤が配合されていてもよい。なお上記
したその他の配合剤は、概して発泡体の電気特性を劣化
せしめることが多いので、その添加量は、それらの合計
量にしてベース樹脂100重量部あたり0.05〜2.
0重量部程度、好ましくは0.1〜1.0重量部程度で
ある。
【0018】本発明において、低密度ポリエチレン、高
密度ポリエチレンの密度、SR比、MFR、およびベー
スポリマーの剪断粘度はそれぞれつぎに示す方法により
測定することができる。 〔密度〕:JIS K 7112に規定する方法により
20℃における値を測定する。 〔MFR〕:JIS K 7210に規定するメルトイ
ンデクサーを用い、且つそこに規定する方法により温度
190℃、荷重2.16kgの条件にて測定する。 〔SR比〕:上記の条件にてMFRを測定する際、押出
されたストランドの外径Sとメルトインデクサーのオリ
フィスの内径Rとから下式にてSR比(%)を算出す
る。 SR比(%)=〔(S−R)/R〕×100 〔剪断粘度〕:JIS K 7199に規定する方法に
より東洋精機社製のキャピログラフ1Bを用い、温度1
50℃における剪断速度121.6秒−1下での値を測
定する。
【0019】ベース樹脂を発泡させる成核剤としては、
フッ素樹脂粉末および、または窒化ホウ素粉末が用いら
れる。その際のフッ素樹脂としては、含フッ素モノマー
の単独重合体や共重合体など種々の重合体であって粉末
となり得るものであればよい。就中、誘電率(20℃、
60Hz)が2.5以下の低極性のものが好ましい。フ
ッ素樹脂の例を挙げると、ポリテトラフルオロエチレン
(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ
アルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン
−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テト
ラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合
体(FEP)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重
合体、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)、ポリ
クロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロト
リフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)
などであり、就中、PTFE、PFA、およびETFE
が好ましく、特にPTFEが好ましい。
【0020】成核剤の粒径や使用量は、いずれもポリエ
チレンの発泡の場合に通常採用される程度でよく、平均
粒径は0.05〜50μm程度であり、使用量はベース
ポリマー100重量部あたり0.01〜5重量部程度で
ある。なお、発泡セルの微細性や均一性を一層高めるた
めに、フッ素樹脂粉末の場合は平均粒径にして0.2〜
10μm程度、特に0.2〜5μm程度のもの、窒化ホ
ウ素粉末の場合は平均粒径にして0.2〜30μm程
度、特に0.2〜10μm程度のものが好ましい。
【0021】粉末の平均粒径は、つぎの方法により測定
することができる。 〔粉末の平均粒径〕:測定対象とする粉末を水あるいは
エタノールなどの有機液体に投入し、35〜40kHz
程度の超音波を付与した状態にて約2分間分散処理して
得た分散液を用い、且つその場合の粒状物の量は該分散
液のレーザ透過率(入射光量に対する出力光量の比)が
70〜95%となる量とし、ついで該分散液に就いて、
マイクロトラック粒度分析計にかけてレーザー光の散乱
により個々の粒状物の粒径(D1 、D2 、D3 ・・)、
および各粒径毎の存在個数(N1 、N2 、N3 ・・・)
を計測する(個々の粒状物の粒径(D)は、マイクロト
ラック粒度分析計によれば種々の形状の粒状物毎に球相
当径が自動的に測定される。)。しかして平均粒径(μ
m)は、視野内に存在する個々の粒子の個数(N)と各
粒径(D)とから下式(1)にて算出される。 平均粒径(μm)=(ΣND/ΣN)1/3 (1)
【0022】本発明のポリエチレン系発泡絶縁層に使わ
れる材料は、前記したベース樹脂、成核剤、および必要
に応じて用いられるその他の配合剤、例えば酸化防止
剤、銅害防止剤、着色剤あるいはその他の添加剤などを
互いに所定の比率となるように別々に計量して混合し、
ついでバンバリーミキサー、熱ロールなどの通常の混練
機にて混練する。その際、低密度ポリエチレンや高密度
ポリエチレンなどのポリマー成分は、予め混練機にて混
練してそれらが均一に混合したポリエチレン混合物とし
て用い、それに成核剤やその他の配合剤を混合混練して
もよい。
【0023】本発明のポリエチレン系発泡絶縁層は、上
記したベース樹脂、成核剤、および必要に応じて用いら
れるその他の配合剤、例えば酸化防止剤、銅害防止剤、
着色剤あるいはその他の添加剤などを互いに所定の比率
となるように別々に計量して混合し、ついでバンバリー
ミキサー、熱ロールなどの通常の混練機にて混練したも
のを通常の方法にしたがって物理発泡剤の存在下に押出
機内の高圧力下から該高圧力よりも低圧力の雰囲気中に
押出すことにより製造することができる。物理発泡剤と
しては、不活性ガス、例えば、ジクロロジフルオロメタ
ン、ジクロロモノフルオロメタン、モノクロロジフルオ
ロメタン、トリクロロモノフルオロメタン、モノクロロ
ペンタフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタン
などのハロゲン化炭化水素類、窒素、炭酸ガス、ヘリウ
ム、アルゴンなどが用いられる。これらの発泡剤中、H
CFC22、HCFC123、HCFC124、HCF
C142bの如き水素原子含有のクロロフルオロカーボ
ン、塩素原子を有しないフルオロカーボン、窒素、炭酸
ガス、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス、就中アル
ゴンは、均一、微細、高発泡度の発泡体を与える点から
特に好ましい。しかもこれらはオゾン層に対して非破壊
性なので環境保護上も好ましい。
【0024】物理発泡剤の使用量は特に限定されない
が、通常、発泡用組成物100重量部あたり0.05〜
1重量部程度、特に0.05〜0.5重量部程度であ
る。物理発泡剤は、予め被発泡有機高分子と混合してお
いてもよく、あるいは押出機のバレルに設けた物理発泡
剤供給口から押出機内に供給してもよい。物理発泡剤と
して不活性ガスを用いて発泡させてなる高発泡度のも
の、例えば70%以上、特に75%以上の発泡度を有す
るものが好ましい。前記発泡度は、いま被発泡体たる発
泡用組成物の発泡前の比重をS、その発泡体の比重を
とすれば、下式(2)により算出される。比重S
や比重Sは、JIS K 7112に規定する水中置
換法(A法)により測定することができる。 発泡度(%)=(S−S)×100/S (2)
【0025】また、波付内部導体の外周に発泡絶縁層を
被覆する前に、波付内部導体の外周に内スキン層として
充実ポリエチレンを被覆した後にポリエチレン系発泡絶
縁層を被覆することで、さらにVSWR特性が向上する
ので好ましい。ここで充実ポリエチレンとは、発泡させ
ていないポリエチレンのことを指しており、中でも減衰
量向上の点から、低密度ポリエチレンが好ましいが、さ
らにその中でも直鎖状低密度ポリエチレンが良い。 直
鎖状低密度ポリエチレンは、チグラー系触媒、クロム系
触媒等の各種触媒を使って、公知の溶液重合法、スラリ
ー重合法、あるいは気相重合法などにより製造されるエ
チレンとαオレフィンとの共重合体である。前記低密度
ポリエチレンまたは、直鎖状低密度ポリエチレンは、ペ
レット状(造粒されたもの、平均粒径2.0mm〜7.
0mm)にする前の酸化防止剤等が含まれないグラニュ
ー状(気相重合法で製造された、造粒前の平均粒径が
0.02mm〜2.0mmの多孔質の粉体状)のものを
使用すれば良い。また、スキン層の厚さは0.3mm〜
1.5mmが好ましく、0.3mmより薄いとVSWR
特性が向上に寄与せず、1.5mmより厚いと減衰量特
性が低下する傾向にある。被覆方法は従来の押出成形、
射出成形等公知の被覆方法を適用すれば良い。
【0026】外部導体としては、公知である導電性を有
する金属材料を用いれば良く、例えばアルミニウム、銅
等が挙げられ、形状は波付加工されたもの、平滑なもの
等が挙げられ、波付外部導体の場合、前記した波付内部
導体と同じ形状のものが使用することができる。発泡絶
縁層の外周に前記外部導体を被覆させる手段としては、
平滑管の場合、アルミニウム帯または銅帯を縦沿え巻す
る方法等にて発泡絶縁層の外周に被覆する工程や、アル
ミニウム荒引線をコンクラッド機に投入して、発泡絶縁
層の外周に被覆させる工程があり、波付き加工は、前記
工程後、公知である偏心回転ダイス加工による方法が挙
げられる。
【0027】外部導体の外周に被覆するシース層は、公
知である電線に使用されているものを使用すれば良く、
例えば、ポリエチレンや塩化ビニル等が挙げられる。外
部導体の外周に被覆する方法は、公知の押出機を用いて
外部導体の外周へ押出成形すれば良い。また、外部導体
の外周にシース層を被覆する前に、外部導体の外周にス
キン層(外スキン層)を被覆させた後にシース層を被覆
させても良い。外スキン層を設けることで内スキン層と
同じ効果を得ることができ、さらに外観が向上する。外
スキン層の材料および被覆方法は、内スキン層と同じ材
料、同じ方法で0.3mm〜1.5mm厚さに被覆すれ
ば良い。
【0028】図2は、本発明の発泡絶縁同軸ケーブルの
製造装置例の説明図であって、1は波付内部導体供給
部、2は内部導体予備加熱器、3は物理発泡剤を充填し
たボンベ、31は後記する第一押出機4のバレルに設置
された物理発泡剤注入ノズル、32は減圧弁、4は第一
押出機、41は第一押出機4のホッパー、42は第一押
出機4の吐出口、5は第二押出機、51は第二押出機5
の吐出口、6は第二押出機5のクロスヘッド、7は冷却
装置である。第一押出機4は、その吐出口42を介して
第二押出機5とT字型に接続されている。
【0029】ポリエチレン系発泡絶縁層となる材料(ベ
ース樹脂、成核剤、および必要に応じて用いられるその
他の配合剤、例えば酸化防止剤、銅害防止剤、着色剤あ
るいはその他の添加剤)をバンバリーミキサーにて混練
し、ついでペレタイザーにて細断して約2mm角のペレ
ット状(粒状)にしたものを第一押出機4のホッパー4
1に投入し、第一押出機4内で溶融される。物理発泡剤
は、ボンベ3から減圧弁32、物理発泡剤注入ノズル3
1を経由して第一押出機4内に圧入され、上記溶融物と
混合される。その後、第一押出機4内で混合された物理
発泡剤と発泡用組成物との混合物は、吐出口42を経由
して第二押出機5に移送される。移送された混合物は、
第二押出機5内で一層充分に混合され、吐出口51を経
由してクロスヘッド6に移送される。
【0030】第一押出機4と第二押出機5の各バレル内
の最適設定温度は、発泡用組成物の組成や物理発泡剤の
種類により多少異なるが、一般的には第二押出機5のバ
レル内温度は第一押出機4のそれよりも低温度でかつ使
用するポリエチレン混合物の溶融点より少し高温度にな
るように調節することが好ましい。例えば、使用するポ
リエチレン混合物の溶融点が132℃である場合、第一
押出機4のバレル内温度および圧力は180〜210℃
程度、50〜150気圧程度に調整し、第二押出機5の
バレル内温度および圧力は130〜140℃程度、50
〜150気圧程度である。なおポリエチレン混合物の溶
融点については、示差走査熱量測定法にて昇温速度10
℃/分、重量10mgの条件で測定したときの吸熱ピー
クトップを溶融点とする。
【0031】波付内部導体供給部1から連続的に供給さ
れた波付内部導体8(内スキン層が被覆されていない波
付内部導体:8a、内スキン層が被覆されている波付内
部導体:8b)は、予備加熱器2、クロスヘッド6、お
よび冷却装置7を順次通過して走行する。一方、第二押
出機5内の混合物は、吐出口51を経由してクロスヘッ
ド6に移送されて連続走行する波付内部導体8上に供給
され、クロスヘッド6の吐出口に設置されたダイス(図
示せず)を通過して大気中に押出されて発泡し、波付内
部導体8の外周に発泡絶縁層を形成する。該発泡絶縁層
は、冷却装置7を通過する間に冷却され、かくして発泡
絶縁同軸ケーブルコア9が製造され、巻取装置10に巻
き取られる。その後、かくして製造された発泡絶縁同軸
ケーブルコア9の外周に外部導体およびシースを被覆し
て発泡絶縁同軸ケーブルが製造される。製造された発泡
絶縁同軸ケーブルの縦断面を図3(内スキン層なし)、
図4(内スキン層あり)に示す。また、場合によって
は、シースを被覆する前に外スキン層を被覆し、次いで
シース層を被覆させた発泡絶縁同軸ケーブルが製造され
る。
【0032】
【実施例】以下、実施例を示して本発明をより具体的に
説明すると共に、比較例をも示して本発明の顕著な効果
を明らかにする。
【0033】表1に示す組成を有する混合物をバンバリ
ーミキサーにて160℃にて混練し、ついでペレタイザ
ーにて細断して約2mm角のペレットを呈する実施例1
〜5(内スキン層なし)と実施例6〜9(内スキン層あ
り)、比較例1〜6のを得た。
【0034】
【表1】
【0035】引続いて表1記載の材料を用い、且つ65
mmφ−90mmφの二段型押出機を有する図2に示す
ような製造装置を使用して、各材料の発泡体にて形成さ
れた発泡絶縁層を有する波付内部導体の外径が異なる2
種類とそれら波付内部導体に0.5mm厚の直鎖状低密
度ポリエチレン(気相重合法で製造されたグラニュー状
(平均粒径0.5mm)のものを使用)からなる内スキン
層を設けた発泡絶縁同軸ケーブルを製造した。 波付内部導体として、外径17.3mmφ(13/8
インチサイズ)の波付銅管外周に外径が44.5mmと
なる発泡絶縁層を形成した。なおその際、アルゴンガス
の供給量を徐々に増大させて発泡絶縁層の発泡度が最大
となるようにした。発泡絶縁層の上に外径が46.5m
mとなる外部導体、さらにその上に1.75mm厚のポ
リエチレンシースを被覆して発泡絶縁同軸ケーブルを得
た。 波付内部導体として、外径13.9mmφ(9/8イ
ンチサイズ)の波付銅管外周に外径が34.3mmとな
る発泡絶縁層を形成した。なおその際、アルゴンガスの
供給量を徐々に増大させて発泡絶縁層の発泡度が最大と
なるようにした。発泡絶縁層の外周に外径が36.3m
mとなる外部導体、さらにその外周に1.85mm厚の
ポリエチレンシースを被覆して発泡絶縁同軸ケーブルを
得た。 波付内部導体として、外径17.3mmφ(13/8
インチサイズ)の波付銅管外周に0.5mm厚の内スキ
ン層(グラニュー状の平均粒径0.5mmの直鎖状低密
度ポリエチレン)を被覆し、引続き外径が44.5mm
となる発泡絶縁層を形成した。なおその際、アルゴンガ
スの供給量を徐々に増大させて発泡絶縁層の発泡度が最
大となるようにした。発泡絶縁層の外周に外径が46.
5mmとなる外部導体、さらにその外周に1.75mm
厚のポリエチレンシースを被覆して発泡絶縁同軸ケーブ
ルを得た。 波付内部導体として、外径13.9mmφ(9/8イ
ンチサイズ)の波付銅管外周に0.5mm厚の内スキン
層(グラニュー状の平均粒径0.5mmの直鎖状低密度
ポリエチレン)を被覆し、引続き外径が34.3mmと
なる発泡絶縁層を形成した。なおその際、アルゴンガス
の供給量を徐々に増大させて発泡絶縁層の発泡度が最大
となるようにした。発泡絶縁層の外周に外径が36.3
mmとなる外部導体、さらにその外周に1.85mm厚
のポリエチレンシースを被覆して発泡絶縁同軸ケーブル
を得た。
【0036】得られた各発泡絶縁同軸ケーブルの発泡絶
縁層の発泡度、VSWR特性、ケーブルの減衰量、から
判定した合否判定結果を表2に示す。なお発泡度は70
%以上ものを○とし、70%より小さいと×とした。V
SWR特性は1.12〜1.15を○、1.12より小
さいと◎とし、1.15より大きいと×とした。発泡絶
縁同軸ケーブルの発泡度は、発泡前の比重をS、発泡
後の比重をSとして、以下の式(3)により算出し
た。比重Sや比重Sは、JIS K 7112に規
定する水中置換法(A法)により測定した。 発泡度(%)=(S−S)×100/S (3) 発泡絶縁同軸ケーブルのVSWR特性は、電圧定在波の
振幅の最大値Vmax、最小値Vminを測定し、以下
の式(4)で算出した。 VSWR=Vmax/Vmin (4) 発泡絶縁同軸ケーブルの減衰量は、ウィルトロン(WI
LTRON)54111Aを使用して測定し、13/8
インチサイズでは2GHzでの減衰量が41dB/km
未満であるものを○とし、41dB/km以上であるも
のを×とした。9/8インチサイズでは2GHzでの減
衰量が50dB/km未満であるものを○とし、50d
B/km以上であるものを×とした。
【0037】
【表2】
【0038】
【発明の効果】本発明による発泡絶縁同軸ケーブルにお
いては、波付銅管、波付アルミ管等を内部導体として用
いた場合も、連続気泡を発生を抑制することなくポリエ
チレン系発泡絶縁層を波付内部導体の外周に被覆させる
ことができるので、優れたVSWR特性、発泡度、減衰
特性が安定な発泡絶縁同軸ケーブルを提供することがで
きた。波付内部導体を使用できるので耐屈曲性のある発
泡絶縁同軸ケーブルを提供でき、単純に低密度ポリエチ
レンの含有率を増やしたときのように、ケーブル減衰量
が上昇することなく、優れたVSWR特性を実現でき
る。さらに、内スキン層を波付内部導体の外周に被覆す
ることで、後に被覆されるポリエチレン系発泡絶縁層に
連続気泡の発生をさらに抑制し、より優れたVSWR特
性を有する発泡絶縁同軸ケーブルを提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】波付金属管の縦断面の形状を示す図である。
【図2】発泡絶縁同軸ケーブルの製造装置例の説明図で
ある。
【図3】発泡絶縁同軸ケーブルの縦断面を示す図である
(内スキン層なし)。
【図4】発泡絶縁同軸ケーブルの縦断面を示す図である
(内スキン層あり)。
【符号の説明】
1 波付内部導体供給部 2 導体予備加熱器 3 物理発泡剤を充填したボンベ 31 物理発泡剤注入ノズル 32 減圧弁 4 第一押出機 41 第一押出機のホッパー 42 第一押出機の吐出口 5 第二押出機 51 第二押出機の吐出口 6 第二押出機のクロスヘッド 7 冷却装置 8 波付内部導体 8a 内スキン層が被覆されていない波付内部導体 8b 内スキン層が被覆された波付内部導体 9 発泡絶縁同軸ケーブルコア 10 巻取装置 11 発泡絶縁層 12 外部導体 13 シース層 14 発泡絶縁同軸ケーブル 15 内スキン層 A 波付内部導体の最大外径
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 27:12)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】波付内部導体の外周に、成核剤および物理
    発泡剤を用い発泡成形されたポリエチレン系発泡絶縁層
    が被覆され、前記ポリエチレン系発泡絶縁層の外周に外
    部導体、シース層が順じ被覆されてなる発泡絶縁同軸ケ
    ーブルであって、前記ポリエチレン系発泡絶縁層のベー
    ス樹脂の密度が930〜960kg/mでかつ剪断粘
    度が1100Pa・s以上(温度:150℃、剪断速
    度:121.6s−1)であることを特徴とする発泡絶
    縁同軸ケーブル。
  2. 【請求項2】前記ポリエチレン系発泡絶縁層のベース樹
    脂が低密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレンから
    なる混合ポリエチレンであること特徴とする請求項1記
    載の発泡絶縁同軸ケーブル。
  3. 【請求項3】前記高密度ポリエチレンのMFRが3.5
    以上であることを特徴とする請求項1または請求項2記
    載の発泡絶縁同軸ケーブル。
  4. 【請求項4】前記成核剤がフッ素粉末または窒化ホウ素
    であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか
    に記載の発泡絶縁同軸ケーブル。
  5. 【請求項5】前記波付内部導体の外周と前記ポリエチレ
    ン系発泡絶縁層の内周との間に内スキン層として充実ポ
    リエチレンが被覆されていることを特徴とする請求項1
    〜請求項4のいずれかに記載の発泡絶縁同軸ケーブル。
  6. 【請求項6】上記波付内部導体の最大外径が30mm以
    上であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれ
    かに記載の発泡絶縁同軸ケーブル。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006100160A (ja) * 2004-09-30 2006-04-13 Tosoh Corp 高周波同軸ケーブルおよびその製造方法
JP2012104371A (ja) * 2010-11-10 2012-05-31 Hitachi Cable Ltd 発泡絶縁電線及びその製造方法
JP2012104333A (ja) * 2010-11-09 2012-05-31 Hitachi Cable Ltd 発泡ケーブル及びその製造方法
JP2019511608A (ja) * 2016-03-28 2019-04-25 ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー 核形成剤としてフッ素樹脂/窒化ホウ素混合物を使用してポリオレフィン組成物を発泡させるためのプロセス
CN113166498A (zh) * 2018-12-21 2021-07-23 北欧化工股份公司 使用惰性成核的聚合物组合物的改善的发泡行为

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