JP4186695B2 - 高周波同軸ケーブル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂組成物及びそれを用いた高周波同軸ケーブルに係り、特に、移動体通信施設やマイクロ波通信施設で用いられる高周波同軸ケーブルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話に必要な移動体通信施設やテレビ局のマイクロ波通信施設などで用いられる高周波同軸ケーブルは、導体の外周に発泡樹脂で構成される発泡絶縁層を有している。近年、高周波同軸ケーブルにおいては、通信速度と容量アップを目的として、使用周波数を高くする傾向にある。これに伴い、(信号の)減衰量の小さいケーブルが要求されるようになっている。
【0003】
同軸ケーブルの減衰量は、ケーブル導体径に起因する導体損失と、絶縁体材料に起因する誘電体損失との和で表される。ここで、導体損失はケーブル形状によって決定されるものであり、調整の余地が少ない(又は殆どない)。そのため、同軸ケーブルの減衰量を小さくするには、誘電体損失を小さくする必要がある。誘電体損失は以下に示す数1で表される。
【0004】
【数1】
【0005】
ケーブルの伝送損失規格値は、使用周波数が高くなったことにより、数年前までのものと比較して20%以上小さくなっている。そのため、当初は、発泡絶縁層の発泡度を高くし、数1においてεで表される誘電率を小さくすることで、規格値を満足させていた。ところで、内部導体の外周に発泡度の高い発泡絶縁層を設けると、内部導体と発泡絶縁層との接着性が低くなるという問題がある。具体的には、誘電率を小さくするために発泡絶縁層の発泡度を高くする場合、発泡度が60%を超えると外側に膨れようとする力が発生し、また、内部導体と発泡絶縁層との間に発泡剤であるガスの侵入によって隙間が生じることにより、接着力が低下してしまう。
【0006】
これを解決するには、導体の予熱温度を高くして隙間の発生を抑えることが有効であるが、気泡が巨大化して電圧定在波比(VSWR)が大きくなってしまい、高周波同軸ケーブルとして好ましくない。そこで、従来、導体と発泡絶縁層との間に接着中間層を設け、接着力の低下を防いでいる。接着中間層に求められる特性は、内部導体の銅と発泡絶縁層の構成樹脂との接着力が大きいことであり、従来、アイオノマー樹脂や、エチレン酢酸ビニル共重合体が使用されてきた。
【0007】
ところで、アイオノマー樹脂や、エチレン酢酸ビニル共重合体は接着性は高いものの、分子構造中に極性基を有していることから、tanδが大きくなってしまう。最近の高周波同軸ケーブルでは、誘電率を低減させることよりも、tanδを小さくすることの方が重要になってきている。そこで、メタロセン触媒によって合成したtanδの小さいポリエチレンを接着中間層(充実層)に用いた高周波同軸ケーブルが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−283444号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ポリエチレンは金属との接着力が弱く、また、メタロセン触媒により合成したポリエチレンは分子量分布が非常に狭いことから、押出し成形した際に外観荒れが生じやすい。特に、0.2mm以下の薄肉被覆とした場合には、外観荒れが著しく、その結果、発泡絶縁層の被覆時にダイス内で詰まりやすくなってしまい、長尺押出性が悪いという問題があった。
【0010】
以上の事情を考慮して創案された本発明の一の目的は、tanδが小さく、かつ、接着力が十分に高い樹脂組成物を提供することにある。
【0011】
また、本発明の他の目的は、減衰量及びVSWRが共に小さな高周波同軸ケーブルを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく本発明に係る高周波同軸ケーブルは、導体の外周に、密度が0.925〜0.930g/cm 3 の低密度ポリエチレンと、該低密度ポリエチレンよりも密度が低く、かつ、無水マレイン酸を0.5〜5%の割合でグラフト共重合させた密度が0.920g/cm 3 以下の超低密度ポリエチレンとを混合してなる樹脂組成物で構成される接着中間層を設け、その接着中間層の外周に発泡樹脂で構成される発泡絶縁層を設けたものである。
【0013】
超低密度ポリエチレンに、無水マレイン酸を0.5〜5%の割合でグラフト共重合させることが好ましい。また、密度が0.920g/cm3以下の超低密度ポリエチレン5〜50重量部に対し、密度が0.925〜0.930g/cm3の低密度ポリエチレンを95〜50重量部の割合で配合することが好ましい。
【0014】
以上の構成によれば、ポリエチレンが主成分でありながら、tanδが小さく、かつ、接着力が十分に高い樹脂組成物を得ることができる。
【0016】
以上の構成によれば、内部導体と発泡絶縁層との間に設けた接着中間層により、十分な接着力を確保することができ、かつ、減衰量及びVSWRが共に小さな高周波同軸ケーブルを得ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適一実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0018】
本発明の好適な一実施形態に係る樹脂組成物は、低密度ポリエチレンと、その低密度ポリエチレンよりも密度が低く、かつ、無水マレイン酸を所定割合でグラフト共重合させた超低密度ポリエチレンとを混合(ドライブレンド)してなるものである。
【0019】
より具体的には、密度が0.920g/cm3以下、好ましくは0.915g/cm3以下で、無水マレイン酸が0.5〜5%、好ましくは1〜3%、特に好ましくは2%程度の割合でグラフト共重合された超低密度ポリエチレン5〜50重量部に対し、密度が0.925〜0.930g/cm3で、融点が110〜115℃の低密度ポリエチレンを95〜50重量部配合したものである。
【0020】
ここで、無水マレイン酸をグラフト共重合させた超低密度ポリエチレンの密度を0.920g/cm3以下とするのは、密度がこの値を超えると、樹脂組成物の硬度が硬くなってしまい、接着力が不十分となるためである。
【0021】
無水マレイン酸をグラフト共重合させる割合を0.5〜5%としたのは、0.5%未満だと、無水マレイン酸をグラフト共重合させることによる効果が殆ど得られず、また、5%を超えると、tanδが高くなるためである。
【0022】
樹脂組成物のtanδは、密度を高くすることで小さくすることができる。低密度ポリエチレンの密度を0.925〜0.930g/cm3としたのは、密度が0.925g/cm3未満だと、樹脂組成物のtanδを小さくする度合いが不十分となってしまう。一方、密度が0.930g/cm3を超えると、樹脂組成物の融点が高くなってしまい、接着性が悪くなってしまう。
【0023】
低密度ポリエチレンの配合量を50〜95重量部としたのは、配合量が50重量部未満だと樹脂組成物のtanδを小さくする度合いが不十分となってしまう。一方、配合量が95重量部を超えると、十分な接着力を確保することができず、VSWRが不安定となってしまう。
【0024】
発泡剤として用いるガスとしては、樹脂の発泡に慣用的に用いているものであれば全て適用可能であり、例えば、規制対象外のフロンガス、窒素ガス、アルゴンガス、炭酸ガス、又はこれら不活性ガスの混合ガスなどが挙げられる。
【0025】
次に、本発明の好適な一実施形態に係る高周波同軸ケーブルを、添付図面に基づいて説明する。
【0026】
図1に示すように、本実施の形態に係る高周波同軸ケーブル10は、内部導体11の外周に、前実施の形態に係る樹脂組成物で構成される接着中間層12を設け、その接着中間層12の外周に、発泡絶縁層13を設けたものである。発泡絶縁層13の周りには、ケーブル10を曲げやすくするための波付け金属管(外部導体)14が適宜設けられる。また、外部導体14の周りには、ケーブル10の保護及び水の浸入防止を目的として、ポリエチレン組成物で構成されるシース15が適宜設けられる。ここで、内部導体11の外周に、接着中間層12及び発泡絶縁層13を押出し被覆してなるものを発泡コアと称する。
【0027】
内部導体11及び外部導体14としては、導電性が良好な金属パイプ、例えば銅パイプが使用される。外部導体14は、ケーブルの屈曲性及び可撓性を良好とするために薄肉に形成され、例えば肉厚は0.2〜1mmとされる。
【0028】
また、接着中間層12は、例えば0.05〜0.2mmの厚さで押出し被覆され、発泡絶縁層13は、例えば2.5〜20mmの厚さで押出し被覆される。発泡絶縁層13は、密度が0.940〜0.965g/cm3の高密度ポリエチレン、密度が0.925〜0.930g/cm3の低密度ポリエチレン、及び若干量の発泡核剤を混合してなる組成物を70%以上の発泡度で発泡させたコンパウンドで構成され、例えば2.5〜20mmの厚さで押出し被覆される。
【0029】
ケーブル10のサイズは、発泡コアの外径に応じて、直径が5、8、10、17、20、29、39mmの7種類がある。ここで、ケーブル10のサイズが10mm以上の場合、ケーブル10の屈曲性及び可撓性を良好とするために、図1に示した波付け金属管(コルゲート管)14が用いられる。波付け金属管14としては、図1に示したコルゲート状のアニュラータイプ、長尺コイル状のスパイラルタイプの2種類がある。ケーブル10のサイズが10mm未満の場合、発泡コアの外周に波付け金属管14を設けなくてもよい。
【0030】
次に、本実施の形態に係る高周波同軸ケーブルの製造方法を、添付図面に基づいて説明する。
【0031】
図2に示すように、ケーブル製造装置20は、主に、内部導体11(図1参照)を送出する送出ドラム21と、送出された内部導体11の外周に、順次、接着中間層12(図1参照)、発泡絶縁層13(図1参照)を被覆する押出機25,27と、内部導体11の外周に層12,13を設けてなる発泡コア31の巻き取りを行う巻取ドラム33とで構成される。
【0032】
送出ドラム21から送出された内部導体11は、予熱槽23において予熱された後、押出機25に導入される。押出機25において、内部導体11の外周に、前述した本発明の好適な一実施形態に係る樹脂組成物24の層、つまり接着中間層12が被覆形成され、線材26が得られる。
【0033】
次に、この線材26は、押出機27に導入される。押出機27において、接着中間層12の外周に、発泡絶縁層13が被覆形成され、発泡コア31が得られる。押出機27は、第1押出部27a、第2押出部27b、及び押出ヘッド部27cで構成される。発泡絶縁層13を構成するコンパウンドは、第1押出部27aにおいて、溶融樹脂(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、及び発泡核剤の混合組成物)と、ガス注入装置29から注入、供給される発泡剤(例えば、炭酸ガスなど)30とをよく混練した後、第2押出部27bにおいて発泡度の調整により溶融樹脂(コンパウンド)の粘度を調整する。この溶融樹脂を押出ヘッド部27cにおいて接着中間層12の外周に押出し被覆し、発泡絶縁層13を形成する。
【0034】
次に、発泡コア31を冷却水槽32内に導入して冷却を行い、巻取ドラム33に巻き取る。
【0035】
その後、巻取ドラム33に巻き取られた発泡コア31を送出し、その外周に、順次、外部導体14(図1参照)、シース15(図1参照)を設けることで、図1に示した本実施の形態に係る高周波同軸ケーブル10が得られる。
【0036】
図2の変形例を図3に示す。
【0037】
図2に示した装置20においては、押出機25で接着中間層12を押出し被覆した後、押出機27で発泡絶縁層13の押出し被覆を行っていた。これに対して、図3に示すケーブル製造装置40のように、押出ヘッド部27cにおいて、内部導体11の外周に、接着中間層12と発泡絶縁層13とを同時に押出し被覆するようにしてもよい。
【0038】
次に、前実施の形態に係る樹脂組成物及び本実施の形態に係る高周波同軸ケーブルの作用を説明する。
【0039】
本発明者らは、鋭意研究した結果、接着性が良好である超低密度ポリエチレンに、無水マレイン酸を所定割合でグラフト共重合させることで、tanδの上昇を抑制することができるということを見出した。無水マレイン酸のグラフト共重合により、この超低密度ポリエチレンの融点を約90℃と低くすることができる。これによって、低温での接着、つまり押出被覆が可能となり、押出被覆コストの低減を図ることができる。ところが、この超低密度ポリエチレンを、高周波同軸ケーブルの接着中間層の構成樹脂として単独使用すると、密度が小さすぎることからtanδが大きくなってしまい、ケーブル減衰量の悪化を招いてしまう。
【0040】
そこで、前実施の形態に係る樹脂組成物においては、無水マレイン酸をグラフト共重合させた超低密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンのそれぞれの密度及び混合割合を調整することで、超低密度ポリエチレンの良好な接着性は保持したまま、樹脂組成物の減衰量から計算した2GHzのtanδを所定値(例えば、約40×10-6〜50×10-6)よりも小さく調整している。その結果、この樹脂組成物を接着中間層12の構成材として用いることで、本実施の形態に係る高周波同軸ケーブル10の減衰量を小さくすることができる。
【0041】
また、前実施の形態に係る樹脂組成物によれば、超低密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンのそれぞれの密度及び混合割合を調整することによって、樹脂組成物の融点を所定値(例えば、約90〜100℃)よりも小さく調整している。よって、予熱槽23において内部導体11の予熱温度をあまり高くする必要がない。その結果、発泡絶縁層13の押出し被覆時に、発泡コンパウンド内の気泡が巨大化するおそれがなくなり、本実施の形態に係る高周波同軸ケーブル10の電圧定在波比(VSWR)が大きくなるおそれもなくなる。
【0042】
また、前実施の形態に係る樹脂組成物は、金属(内部導体11)との接着性が良好であり、また、分子量分布が広いことから、接着中間層12の押出し被覆時に外観荒れが生じるおそれはない。特に、0.2mm以下の層厚で接着中間層12を押出し被覆した際にも、外観荒れは生じない(又は殆ど生じない)ことから、発泡絶縁層13の押出し被覆時にダイス内で詰まりが生じることはなく、長尺押出性は良好である。よって、本実施の形態に係る高周波同軸ケーブル10は、長手方向における性能が安定(均一)となる。
【0043】
以上、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、他にも種々のものが想定されることは言うまでもない。
【0044】
【実施例】
次に、本発明について、実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0045】
(実施例1)
外径φ9.1mmの銅パイプの外周に、試料Aの無水マレイン酸をグラフト共重合させた超低密度ポリエチレン5重量部に対し、試料bの低密度ポリエチレンを95重量部配合した樹脂組成物の接着中間層を押出し被覆する。ここで、試料Aは、密度:0.890g/cm3、MFR:1.9g/10分のアドテックスER301F-1(登録商標;JPO製)であり、試料bは、密度:0.928g/cm3、MFR:0.5g/10分のB028(宇部製)である。
【0046】
次に、接着中間層の外周に、密度が0.965g/cm3の高密度ポリエチレン、密度が0.928g/cm3の低密度ポリエチレン、及び若干量の発泡核剤を混合してなる組成物を80%の発泡度で発泡させたコンパウンドで構成される発泡絶縁層を押出し被覆し、発泡コアを作製する。
【0047】
次に、発泡コアの外周に、アニュラータイプの波付け金属管(外部導体)を設け、外径がφ20mmの高周波同軸ケーブルを作製した。
【0048】
(実施例2)
外径φ9.1mmの銅パイプの外周に、試料Bの無水マレイン酸をグラフト共重合させた超低密度ポリエチレン5重量部に対し、試料bの低密度ポリエチレンを95重量部配合した樹脂組成物の接着中間層を押出し被覆する以外は、実施例1と同様にして高周波同軸ケーブルを作製した。ここで、試料Bは、密度:0.893g/cm3、MFR:3.0g/10分のアドマーXE070(登録商標;三井化学製)である。
【0049】
(実施例3)
外径φ9.1mmの銅パイプの外周に、試料Cの無水マレイン酸をグラフト共重合させた超低密度ポリエチレン5重量部に対し、試料bの低密度ポリエチレンを95重量部配合した樹脂組成物の接着中間層を押出し被覆する以外は、実施例1と同様にして高周波同軸ケーブルを作製した。ここで、試料Cは、密度:0.896g/cm3、MFR:7.0g/10分のアドマーQE060(登録商標;三井化学製)である。
【0050】
(実施例4)
外径φ9.1mmの銅パイプの外周に、試料Dの無水マレイン酸をグラフト共重合させた超低密度ポリエチレン50重量部に対し、試料bの低密度ポリエチレンを50重量部配合した樹脂組成物の接着中間層を押出し被覆する以外は、実施例1と同様にして高周波同軸ケーブルを作製した。ここで、試料Dは、密度:0.912g/cm3、MFR:1.2g/10分のアドマーLB548(登録商標;三井化学製)である。
【0051】
(実施例5)
外径φ9.1mmの銅パイプの外周に、試料Bの無水マレイン酸をグラフト共重合させた超低密度ポリエチレン5重量部に対し、試料aの低密度ポリエチレンを95重量部配合した樹脂組成物の接着中間層を押出し被覆する以外は、実施例1と同様にして高周波同軸ケーブルを作製した。ここで、試料aは、密度:0.930g/cm3、MFR:2.1g/10分の3021F(三井・住友化学製)である。
【0052】
(実施例6)
外径φ9.1mmの銅パイプの外周に、試料Bの無水マレイン酸をグラフト共重合させた超低密度ポリエチレン5重量部に対し、試料cの低密度ポリエチレンを95重量部配合した樹脂組成物の接着中間層を押出し被覆する以外は、実施例1と同様にして高周波同軸ケーブルを作製した。ここで、試料cは、密度:0.925g/cm3、MFR:3.3g/10分のJK530N(JPO製)である。
【0053】
(実施例7)
外径φ9.1mmの銅パイプの外周に、試料Bの無水マレイン酸をグラフト共重合させた超低密度ポリエチレン50重量部に対し、試料bの低密度ポリエチレンを50重量部配合した樹脂組成物の接着中間層を押出し被覆する以外は、実施例1と同様にして高周波同軸ケーブルを作製した。
【0054】
(比較例1)
外径φ9.1mmの銅パイプの外周に、試料Eの無水マレイン酸をグラフト共重合させたエチレンビニル共重合体(以下、EVAと表す)5重量部に対し、試料bの低密度ポリエチレンを95重量部配合した樹脂組成物の接着中間層を押出し被覆する以外は、実施例1と同様にして高周波同軸ケーブルを作製した。ここで、試料Eは、密度:0.950g/cm3、MFR:9.0g/10分のアドマーVE300(登録商標;三井化学製)である。
【0055】
(比較例2)
外径φ9.1mmの銅パイプの外周に、試料Fの無水マレイン酸をグラフト共重合させた高密度ポリエチレン50重量部に対し、試料bの低密度ポリエチレンを50重量部配合した樹脂組成物の接着中間層を押出し被覆する以外は、実施例1と同様にして高周波同軸ケーブルを作製した。ここで、試料Fは、密度:0.940g/cm3、MFR:1.7g/10分のアドテックス(登録商標;JPO製)である。
【0056】
(比較例3)
外径φ9.1mmの銅パイプの外周に、試料bの低密度ポリエチレン100重量部からなる樹脂組成物の接着中間層を押出し被覆する以外は、実施例1と同様にして高周波同軸ケーブルを作製した。
【0057】
実施例1〜7及び比較例1〜3の高周波同軸ケーブルの接着中間層の諸元、各特性(減衰量、VSWR、導体引抜力、接着力)の評価結果を表1に示す。
【0058】
ここで、樹脂組成物を構成する各樹脂のMRF(メルトフローレート)は、JIS K7210に準拠し、190℃、21.8Nの荷重で測定した値である。
【0059】
各ケーブルの減衰量及びVSWRの測定は、アジレント社製スカラネットワークアナライザ8757Dを用いて行った。減衰量は、直径20mmのアニュラータイプケーブルの2.2GHzにおける減衰量によって評価を行い、6.5dB/100m以下を合格とした。VSWRは、1.10以下を合格とした。
【0060】
接着力の優劣は、内部導体の引抜き力によって評価を行った。内部導体の引抜き力の測定は、図4に示す測定装置を用いて行う。具体的には、長さ30cmの発泡コア41における接着中間層43及び発泡絶縁層44を引抜き治具45で把持した後、内部導体42を矢印Xの方向に引張り、内部導体42の引抜き力を測定する。引抜き力が1.0MPa以上を合格とした。
【0061】
【表1】
【0062】
表1に示すように、実施例1〜3の各高周波同軸ケーブルは、超低密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとの重量比は5:95に固定したまま、超低密度ポリエチレンの密度(g/cm3)を0.890、0.893、0.896としたものである。また、実施例4,7の各高周波同軸ケーブルは、超低密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとの重量比は50:50に固定したまま、超低密度ポリエチレンの密度(g/cm3)を0.896、0.893としたものである。さらに、実施例5,6の各高周波同軸ケーブルは、超低密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとの重量比は5:95に固定したまま、低密度ポリエチレンの密度(g/cm3)を0.930(上限値)、0.925(下限値)としたものである。
【0063】
実施例1〜7の各ケーブルは、減衰量はいずれも6.5dB/100m以下であり、合格であった。また、いずれもVSWRが1.10以下であり、合格であった。また、いずれも導体引抜力が1.0MPa以上であり、合格であった。
【0064】
これに対して、比較例1の高周波同軸ケーブルは、樹脂組成物の構成材として、超低密度ポリエチレンの代わりに、従来からあるEVAを用いている。このEVAは、分子構造中に極性基を有しているため、tanδが大きくなってしまう。その結果、減衰量が6.9dB/100mと大きくなり、不合格であった。
【0065】
また、比較例2の高周波同軸ケーブルは、樹脂組成物の構成材として、超低密度ポリエチレンの代わりに、高密度ポリエチレンを用いている。このため、樹脂組成物の硬度が硬くなってしまい、接着力が不十分となってしまう。その結果、導体引抜力が0.5MPaと小さくなり、接着力が不合格であった。
【0066】
また、比較例3の高周波同軸ケーブルは、樹脂組成物中に超低密度ポリエチレンを含んでおらず、配合比(重量比)が範囲外であるため、ケーブルを作製することができなかった。
【0067】
以上より、実施例1〜7の樹脂組成物を用いて、内部導体の外周に接着中間層を形成することで、十分な接着力を確保することができることがわかる。また、この樹脂組成物を接着中間層として用いて高周波同軸ケーブルを作製することで、減衰量が6.5dB/100m以下と小さく、かつ、VSWRも1.10以下と小さな高周波同軸ケーブルを得ることができる。
【0068】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、減衰量及びVSWRが共に小さな高周波同軸ケーブルを得ることができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な一実施形態に係る高周波同軸ケーブルの平面図である。
【図2】図1の高周波同軸ケーブルの製造装置の概略図である。
【図3】図2の変形例である。
【図4】内部導体の引抜き力を測定する測定装置の概略図である。
【符号の説明】
10 高周波同軸ケーブル
11 内部導体(導体)
12 接着中間層
13 発泡絶縁層
Claims (2)
- 導体の外周に、密度が0.925〜0.930g/cm 3 の低密度ポリエチレンと、該低密度ポリエチレンよりも密度が低く、かつ、無水マレイン酸を0.5〜5%の割合でグラフト共重合させた密度が0.920g/cm 3 以下の超低密度ポリエチレンとを混合してなる樹脂組成物で構成される接着中間層を設け、その接着中間層の外周に発泡樹脂で構成される発泡絶縁層を設けたことを特徴とする高周波同軸ケーブル。
- 前記樹脂組成物が、密度が0.920g/cm3以下の上記超低密度ポリエチレン5〜50重量部に対し、密度が0.925〜0.930g/cm3の上記低密度ポリエチレンを95〜50重量部の割合で配合してなることを特徴とする請求項1記載の高周波同軸ケーブル。
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