JP2006095438A - ガスハイドレートスラリーの流動層反応塔 - Google Patents

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Abstract

【課題】 水和脱水におけるガスハイドレート濃度の制御とを実現する。
【解決手段】 円筒状の縦型容器と、縦型容器のガスハイドレートが導入される位置と底部との間に設けられた多孔板31と、縦型容器の上部に連通された吸込口を有し、縦型容器の上部の原料ガスを吸引し冷却して縦型容器の底部に循環させる循環ガスブロワー32と、多孔板31の上方のガスハイドレートを排出する排出機38と、排出機38の負荷量を検出し、検出された負荷量を設定範囲に収めるように、循環ガスブロワー32により循環される循環ガス量と、循環ガスの温度と、排出機の排出量の少なくとも1つを制御することにより、流動層反応を促進させる制御、または流動層反応の滞留時間を制御し、ガスハイドレートの濃度を所望値にすることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、物理脱水されたガスハイドレートに付着した水と原料ガスとを反応させて高ハイドレート化を行う流動層反応塔に関する。
ガスハイドレートは、水分子の作る籠の中にガスを取り込んだ構造の固形の水和物であり、約−20数℃の大気圧下で比較的安定することから、液化天然ガス(LNG)に代わる天然ガスの輸送および貯蔵の手段として利用する研究が進められている。
一般に、ガスハイドレートは、例えば、天然ガス、メタンガス、炭酸ガスなどの原料ガスと水とを低温高圧の容器内で反応させて生成される。このように生成されるガスハイドレートは多量の未反応水を含むことから、水を分離して製品ガスハイドレートを精製する必要がある。
容器内で生成されたガスハイドレートから水を分離する方法として、特許文献1に記載された方法によれば、生成器からガスハイドレートと水をスラリーで抜き出し、まず、メッシュ加工された内筒を有する2重構造のスクリュープレス型脱水装置に導いて物理的に脱水する。その後、2軸スクリュー型脱水装置にてガスハイドレートの付着水と原料ガスと反応させる水和反応により脱水して、付着水の少ない製品、すなわちガスハイドレート濃度の高い製品を得るようにしている。
特開2003−64385号公報(第1図、第2−4頁参照)
しかし、特許文献1では、2軸スクリュー型脱水装置においてガスハイドレート濃度を制御する具体的な方法について記載されていない。
本発明は、水和脱水におけるガスハイドレート濃度の制御を実現することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の流動層反応塔は、縦型容器と、縦型容器のガスハイドレートが導入される位置と底部との間に設けられた分散装置と、縦型容器の上部に連通された吸込口を有し、縦型容器の上部の原料ガスを吸引し冷却して縦型容器の下部に循環させる循環ガスブロワーと、分散装置の上方のガスハイドレートを排出する排出機と、排出機の負荷量を検出し、検出された負荷量を設定範囲に収めるように、循環ガスブロワーにより循環される循環ガス量と、循環ガスの温度と、排出機の排出量の少なくとも1つを制御する制御手段と備えてなることを特徴とする。
すなわち、流動層反応塔は、物理脱水を行う脱水装置から排出されるガスハイドレートを原料ガスにより流動化させて流動層を形成し、ガスハイドレートの付着水を流動層反応により原料ガスと反応させて、ガスハイドレートの濃度を製品に要求される濃度レベルに高める。この流動層反応塔から排出されるガスハイドレート濃度は、図2に示すように排出機の負荷量に相関する。すなわち、水和脱水後の比較的水分が少ない粉粒状のガスハイドレーにおいては、付着水が少なくなると、つまりガスハイドレート濃度が高くなると流動性が向上し、排出機の負荷が小さくなる。そこで、排出機の負荷量、例えばトルクまたは排出機の駆動モータの電流を検出し、それらの値が設定範囲に収まるように、循環ガス量と、循環ガスの温度と、排出機の排出量の少なくとも1つを制御する。つまり、流動層反応を促進させる制御および流動層反応の滞留時間を制御することにより、製品ガスハイドレートの濃度を所望値にすることができる。
この場合において、循環ガスの温度、つまり塔内温度を下げすぎると、ガスハイドレートの粒径が小さくなり、さらに低下させるとガスハイドレートの付着水がハイドレート化せずに氷になる傾向にある。また、ガス循環量を変化させると塔内の流動層の状態が変化することになる。そこで、通常は、排出機の排出量により制御を行い、必要に応じて循環ガス量と循環ガス温度を制御するようにすることができる。
本発明によれば、好適な脱水装置とガスハイドレート濃度の制御とを実現することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1に、本発明の流動層反応塔を適用したハイドレート製造プラントの全体構成図を示す。本実施形態は、天然ガスのハイドレート(以下、NGHと略す。)を製造するプラントを示しているが、本発明は天然ガスに限らず、他の原料ガスのハイドレート製造に適用できる。
図1に示すように、本実施形態のハイドレート製造プラントは、NGHスラリーを生成する生成器1と、生成器1で生成されたNGHスラリーから水分を分離して濃度の高いNGHを生成する脱水塔2と、脱水塔2で脱水されたNGHの付着水と天然ガスとを反応させてNGHの濃度を製品レベルに高める流動層反応塔3と、製品NGHを貯留するホッパ4を備えて構成されている。これらの生成器1、脱水塔2、流動層反応塔3およびホッパ4は、いずれも所定の高圧(例えば、3〜10MPa)に保持されている。
生成器1は、円筒状の容器で形成され、図示していない供給装置から、高圧の原料ガス(天然ガス)と高圧の水が一定量供給され、生成器1内に導入された天然ガスと水は低温(例えば、1〜5℃)の条件下で反応してNGHが生成される。生成器1には、水を攪拌する攪拌機11と、天然ガスを抜き出す循環ガスブロワー12が設けられている。循環ガスブロワー12の吐出口は、流量計を備えた流量制御弁14を介して容器内底部に配置したノズル13に接続されている。また、NGHの生成は発熱を伴うことから、容器底部に循環スラリーポンプ15を連結してNGHを含むNGHスラリーを抜き出し、スラリーの密度計19、スラリー流量計を備えた流量制御弁17、冷却器16、および温度計18を介して容器上部に戻すように構成し、温度計18の検出値に応じて冷却器16の冷媒量を制御して生成器1内の温度を設定温度に保持するようにしている。さらに、NGHスラリー中のNGHの濃度によっては、流動性が低下して移送が困難になったり、後流側の脱水工程で不具合が生じたりすることから、密度計19の検出密度が設定範囲(例えば、20重量%程度)に収まるように、循環ガス量、循環スラリーの温度、循環スラリー量の少なくとも1つを制御して、NGHスラリーのNGH濃度を所望値に精度よく、かつ安定に連続して制御している。このようにして生成器1で生成されたNGHスラリーは、生成器1の底部からスラリー移送ポンプ20によって連続的に抜き出され、脱水塔2の底部に供給される。
脱水塔2は、円筒状の縦型容器により形成され、塔の途中に水抜き部21が設けられている。水抜き部21に対応する塔内壁は、例えば金網や多孔板等により形成された多孔壁22とされ、脱水塔2内の水が多孔壁22を通って水抜き部21に分離される。水抜き部21の水は、流量制御弁23を介して脱水循環ポンプ24により抜き出され生成器1に戻されるようになっている。脱水塔2内の頂部の近傍には、塔内に位置する部位のケーシング(例えば、下面)に開口を有するスクリューコンベア26が挿入して設けられている。これにより、脱水塔2に導入されるNGHスラリー中の水分は水抜き部21にて分離除去され、脱水されたNGH濃度の高いNGHスラリーとなって塔頂部に達し排出される。
塔頂部に達する過程におけるNGH濃度は、細密充填された粉粒状のNGHの空隙部に水が充満している状態から、粉粒状のNGHの表面に水が付着した状態まで変化する。このNGH濃度が低すぎると、すなわちNGHの付着水が多すぎると、次工程の流動層反応塔3におけるNGHの流動性が低下し、NGH付着水と原料ガスの反応が悪くなる。
そこで、脱水塔2ではNGHの濃度(NGH/(NGH+付着水))を、例えば、45〜70重量%、好ましくは50±5重量%に制御するようにしている。NGH濃度の制御は、水位計25によって水抜き部21における水位を設定水位に保持するように、抜き出し水量を流量制御弁23で制御することにより行っている。つまり、塔内においてNGH相互間の空隙に保持される水の保持力と水の重力とが均衡する位置は、水抜き部21の水位から一定の高さ位置になることから、その均衡位置28を、水抜き部21の水位を基準として適宜調整することにより、スクリューコンベア26によって搬出されるNGHの濃度が所望値になるように制御している。
流動層反応塔3は、円筒状の縦型容器を備え、縦型容器のガスハイドレートが導入される位置と底部との間に分散装置である多孔板31が設けられている。縦型容器は、上部に吸込口を有してなり、この吸込口に循環ブロワー32の吸込口が連通されている。循環ブロワー32の吐出口は、縦型容器の底部、例えば容器の下部側面または容器の底部に連結されている。縦型容器内の多孔板31の上方位置にはNGHの排出機38が設けられ、脱水されたNGHをホッパ4へ搬出するようになっている。排出機38には、負荷量を検出する負荷検出器39が設けられている。そして、負荷検出器39が検出した負荷量を設定範囲に収めるように、循環ガスブロワー32により循環される循環ガス量と、循環ガスの温度と、排出機38の排出量の少なくとも1つが制御されるようになっている。
排出機38によって搬出されたNGHはホッパ4に一旦貯留される。ホッパ4に貯留された粉粒状のNGHは、仕切弁41を介して適宜切り出され、製品NGHとして、あるいはNGHペレット等に移送して加工されるようになっている。なお、ホッパ4内は高圧(例えば、3〜10Mpa)であることから、図示していないが、通常は、仕切弁41の下流側に脱圧装置が設けられる。
次に、本実施形態の特徴部である流動層反応塔3について詳細に説明する。流動層反応塔3の上部の吸込口は、サイクロン34を介して循環ガスブロワー32の吸引口に連通されている。また、サイクロン34から循環ガスブロワー32の吸入口に至る管路には、冷却器35と温度計36が設けられている。流動層反応塔3内には温度計40が設けられている。温度計36および温度計40の検出温度に基づき、流動層反応塔3の温度を設定温度に保持するように冷却器35の冷媒の流量が制御されるようになっている。循環ガスブロワー32の吐出口は、流量制御弁33を介して底部と多孔板31との間に連結されている。排出機38は、例えばスクリューコンベアで構成され、スクリューコンベアの一端は流動層反応塔3内の多孔板31の上方に配置され、塔内に位置する部位のケーシング(例えば、上面)に開口を設けた構成とする。このスクリューコンベアはモータ37により駆動される。モータ37には、負荷検出器39として出力軸のトルクを検出するトルク検出器が設けられている。このトルク検出器により検出されたスクリューコンベアのトルクを設定範囲に収めるように、流量制御弁33を制御して循環ガス量と、スクリューコンベア38の搬出量と、冷却器35の冷媒の流量の少なくとも1つが制御するようになっている。
このように構成されることから、本実施形態によれば、流動層反応搭3に投入されて形成されるNGH層に多孔板31を介して天然ガスが噴出されると、多孔板31の上部にNGHの流動層が形成される。この流動層においてNGHの付着水と天然ガスとが反応してNGHが生成され、NGH濃度が例えば90重量%以上に高められる。また、流動層反応塔におけるNGH濃度とスクリューコンベアの負荷(トルク)とは、図2に示すような相関があることから、NGH濃度を制御するために、トルク検出器により検出された検出値が所望の範囲になるように、循環ガス量と、スクリューコンベアの搬出量と、冷却器35の冷媒の流量の少なくとも1つを制御する。なお、流動層反応塔から排出されるNGHは、NGH濃度が例えば90重量%と比較的水が少ない状態であるから、水が増えるにつれて、つまりNGH濃度が低くなるにつれて排出機の負荷が上がる傾向になっている。これにより、流動層反応を促進させる制御または流動層反応の滞留時間が制御され、製品ガスハイドレートの濃度を所望値に制御でき、最終的に高品質の製品NGHを安定して連続的に製造することができる。
ところで、NGH濃度を制御する際、循環ガスの温度を下げすぎると塔内の温度が下がりすぎて粒径の小さいガスハイドレートが生成される場合がある。一方、ガス循環量を変化させると塔内の流動層の状態が不安定になる場合がある。そこで、NGH濃度を制御するにあたり、まず、排出機38の排出量で制御を行い、必要に応じて循環ガス量と循環ガス温度を制御するようにすることが好ましい。
また、本実施形態では、排出機38としてスクリューコンベアを挙げたが、これに限らず、流動層に用いる公知の排出機構を適用することができる。なお、本実施形態では、スクリューコンベアのトルクに基づいて制御するものを挙げたが、スクリューコンベアの負荷としては、これに代えてモータ37の電流値に基づいて制御することもできる。
このように本実施形態によれば、水和脱水の際のNGH濃度を調整することができるから、最終的に高品質の製品NGHを安定して連続的に製造できる。
なお、上記の実施形態では、縦型容器が円筒状に形成された例について説明したが、これに限らず、縦型容器は矩形などの任意の形状にすることができる。また、分散装置として多孔板31を用いたが、これに代えて散気管などを用いることができる。
本発明の一実施形態のガスハイドレートスラリーの流動層反応塔を適用した一実施形態のハイドレート製造プラントの全体構成図である。 流動層反応塔におけるスクリューコンベアの回転トルクとNGH濃度の関係を示すグラフである。
符号の説明
1 生成器
2 脱水塔
3 流動層反応塔
4 ホッパ
31 多孔板
33 流量制御弁
34 サイクロン
35 冷却器
37 モータ
38 排出機(スクリューコンベア)
39 負荷検出器

Claims (1)

  1. 縦型容器と、該縦型容器の前記ガスハイドレートが導入される位置と底部との間に設けられた分散装置と、前記縦型容器の上部に連通された吸込口を有し、前記縦型容器の上部の原料ガスを吸引し冷却して前記縦型容器の下部に循環させる循環ガスブロワーと、前記分散装置の上方のガスハイドレートを排出する排出機と、該排出機の負荷量を検出し、検出された負荷量を設定範囲に収めるように、前記循環ガスブロワーにより循環される循環ガス量と、循環ガスの温度と、前記排出機の排出量の少なくとも1つを制御する制御手段と備えてなることを特徴とする流動層反応塔。
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