JP2006088651A - フィルム積層物の製造方法、及びそれに用いる製造装置 - Google Patents

フィルム積層物の製造方法、及びそれに用いる製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 フィルムと他のフィルムとの貼り合わせの際に、接着液が貼り合わせ面から漏出するのを固化させることなく防止することが可能なフィルム積層物の製造方法、それに用いる製造装置、該製造方法により得られるフィルム積層物、該フィルム積層物を備えた光学フィルム及び画像表示装置を提供する。
【解決手段】 フィルム1の少なくとも一方の面に他のフィルム2が設けられたフィルム積層物の製造方法であって、前記フィルム1の少なくとも一方の面に他のフィルム2を配し、前記フィルム1と他のフィルム2との貼り合わせ部分に接着液を供給し、かつ、フィルム1の少なくとも一方の端に向かって流れようとする接着液に抗する液体を、フィルム1の少なくとも一方の端から供給しながら、前記フィルム1と他のフィルム2とを圧着により貼り合わせることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、フィルムの少なくとも一方の面に他のフィルムが接着液を介して設けられたフィルム積層物の製造方法、それに用いる製造装置、該製造方法により得られるフィルム積層物、該製造方法により得られる偏光板、該偏光板を備えた光学フィルム及び画像表示装置に関する。
従来、接着剤や粘着剤といった接着液を介したフィルムの貼り合わせ方法には、一般に、フィルムに接着液を塗布した後に貼り合わせる方法や、一対のフィルム間に接着液を供給し、一対のロール間等の圧着手段を通すことにより貼り合わせる方法がある(例えば、特許文献1参照)。この様な貼り合わせの際に粘度の低い接着液を用いる場合、フィルム端部からの接着液の溢れや流出、接着液の裏回りによるフィルム及び装置の汚染が問題となっていた。
これに対し、前記特許文献1では、偏光子と保護フィルムとの間に供給した接着剤液の供給量が過剰になり過ぎた場合に、ロール圧力にて余分な接着剤液が保護フィルムの左右両側から流出してロールや保護フィルムを汚染することが指摘されている。この為、下記特許文献1では、保護フィルムの幅方向の少なくとも一端部から幅方向中央部に向けて空気を吹き付けることで保護フィルムの幅方向端部に空気の堰を形成し、該堰により接着剤液を幅方向中央部に寄せる方法が開示されている。
しかし前記方法に於いては、空気の吹き付けにより、特に端部の接着剤液が乾燥・固化するので、偏光子と保護フィルムとを十分に接着固定することができないことに加え、ムラになりやすいという問題点がある。
また、空気の堰により幅方向中央部に寄せられた余分な接着剤液を、保護フィルム端部に設けた吸引ノズルにて吸引除去する方法も開示されている。この吸引ノズル内部には給水ノズルが設けられており、給水ノズルから供給する水にて接着剤液の固化により吸引口が閉鎖されないようにしている。
しかし、給水ノズルが吸引ノズル内に設けてあるため、その構造が複雑であり、給水ノズルの掃除や手入れをする際には、吸引ノズル内に掃除具を入れるか、または給水ノズルを吸引ノズルの外に引き出す必要がある。この為、作業が煩雑となる。
また、吸引ノズル内に給水ノズルを設けたことにより、吸引ノズル内の吸引スペースを縮小し吸引力が低下するという問題もある。さらに、給水ノズルから出る水が吸引ノズル内部に吸引する接着剤液を阻害してスムーズな吸引ができないという問題もある。
尚、前記のように、端部から空気を吹き付ける際に生じる問題は、偏光子の両面に保護フィルムを貼り合わせる前記特許文献1の方法に限らず、従来方法により片面ずつ貼り合わせる場合にも生じるものである。
特開平11−179871号公報
本発明は前記問題点に鑑みなされたものであり、フィルムの貼り合わせの際、例えば偏光子と保護フィルムとの貼り合わせの際に、接着液が貼り合わせ面から漏出するのを固化させることなく防止することが可能なフィルム積層物の製造方法を提供することを目的とする。また、掃除や手入れが容易で、接着液が貼り合わせ面から漏出するのを固化させることなく防止することが可能なフィルム積層物の製造装置を提供することを目的とする。さらに、前記製造方法により得られるフィルム積層物、端部まで利用可能な偏光板、それを備えた光学フィルム及び画像表示装置を提供することを目的とする。
本願発明者等は、前記従来の問題点を解決すべく、フィルム積層物の製造方法、それに用いる製造装置、該製造方法により得られるフィルム積層物、該製造方法により得られる偏光板、それを備えた光学フィルム及び画像表示装置について鋭意検討した。その結果、下記の構成とすることにより前記課題を解決できることを見出して本発明を完成させるに至った。
即ち、前記の課題を解決する為に、本発明に係るフィルム積層物の製造方法は、フィルムの少なくとも一方の面に他のフィルムが設けられたフィルム積層物の製造方法であって、前記フィルムの少なくとも一方の面に他のフィルムを配し、前記フィルムと他のフィルムとの貼り合わせ部分に接着液を供給し、かつ、フィルムの少なくとも一方の端に向かって流れようとする接着液に抗する液体を、フィルムの少なくとも一方の端から供給しながら、前記フィルムと他のフィルムとを圧着により貼り合わせることを特徴とする。
前記方法であると、フィルムの少なくとも一方の端に向かって流出しようとする接着液に対して、これに抗する流動の液体を供給するので、フィルムの端から接着液が漏出するのを防止することができる。その結果、例えばフィルムと他のフィルムとの貼り合わせに用いるロール等の貼り合わせ手段や、他のフィルム等が接着液により汚染されるのを防止できる。また、接着液の漏出は液体により防止されるので、空気が吹き付けられたときのように接着液が乾燥し固化することもない。これにより、フィルムと他のフィルムとが確実に接着固定されたフィルム積層物を製造することができる。
前記フィルムと他のフィルムとを貼り合わせる前に、フィルムの少なくとも一方の端に向けて流出しようとする接着液、または前記液体により希釈された接着液を吸引除去することが好ましい。
前記方法によれば、貼り合わせに供しない余分な接着液を吸引除去するので、フィルムと他のフィルムとの貼り合わせに最適な量の接着液で両者を貼り合わせることができる。その結果、面内で均一なフィルム積層物を製造することが可能になる。また、接着液の吸引除去は液体で希釈しつつ行ってもよく、この場合は接着液が固化することがない。この為、吸引除去が容易となる。
前記他のフィルムとして、前記フィルムよりも幅が大きく、幅方向に余長部を有するものを使用する場合に、前記液体の供給を余長部の形成範囲内で行うことが好ましい。
前記方法であると、液体の供給を余長部の範囲内で行うことで、フィルムと他のフィルムとの貼り合わせに供する接着液が液体によって希釈されるのを防止する。
前記他のフィルムとして、前記フィルムよりも幅が大きく、幅方向に余長部を有するものを使用する場合に、前記接着液または前記液体により希釈された接着液の吸引除去を余長部の形成範囲内で行うことが好ましい。
前記方法であると、貼り合わせに供しない余分な接着液を液体で希釈しつつ余長部の形成範囲内で吸引除去するので、フィルムの端部に於いても他のフィルムと確実に接着固定させることができる。
前記液体として、前記接着液を溶解させるものを使用することが好ましい。
接着液の漏出を防止する液体が接着液を溶解させるものであると、貼り合わせに供しない接着液は液体により希釈される。その結果、余分な接着液の除去の際に該接着液が固化するのを抑制し、除去を容易にすることができる。
前記フィルムとして偏光子を使用し、かつ、前記他のフィルムとして保護フィルムを使用することが好ましい。
これにより、接着性にムラが無く、面内均一な偏光板を製造することができる。
また、前記の課題を解決する為に、本発明に係るフィルム積層物の製造装置は、フィルムの少なくとも一方の面に他のフィルムが設けられたフィルム積層物の製造に用いるフィルム積層物の製造装置であって、前記フィルムと、該フィルムの少なくとも一方の面に配された他のフィルムとの貼り合わせ部分に、接着液を供給する接着液供給手段と、前記フィルムの中央部から少なくとも一方の端に向けて流出しようとする接着液に抗する液体を、フィルムの少なくとも一方の端から供給する液体供給手段と、前記フィルムと他のフィルムとを圧着により貼り合わせる貼り合わせ手段とを有することを特徴とする。
前記構成であると、他のフィルムの少なくとも一方の端に向かって流出しようとする接着液に対して、これに抗する液体を供給する液体供給手段を有するので、他のフィルムの端から接着液が漏出するのを防止することができる。その結果、例えば貼り合わせ手段として用いられるフィルムと他のフィルムとの貼り合わせに用いるロールや、他のフィルム等が接着液により汚染されるのを低減できる。また、接着液の漏出は液体により防止されるので、空気が吹き付けられたときのように接着液が乾燥し固化することもなく、その結果、波打ちのないフィルム積層物を製造することが可能になる。
前記フィルムの少なくとも一方の端に向けて流出しようとする接着液、または前記液体により希釈された接着液を吸引除去する吸引手段を有することが好ましい。
前記構成によれば、貼り合わせに供しない余分な接着液を液体で希釈しつつ吸引除去するので、吸引手段が接着液の固化により使用できなくなるのを防止する。その上、前記のように、吸引手段に於いて吸引する部分の周辺や内部に接着液を希釈する為の給水ノズル等を設けることも不要となるため、吸引力の向上と効率的な吸引除去が図れる。また、吸引手段は液体供給手段と独立した構成であるので複雑な構造を必要とせず、掃除や手入れ等の作業性に優れる。
前記他のフィルムとして、前記フィルムよりも幅が大きく、幅方向に余長部を有するものを使用する場合に、前記液体供給手段の送り出し部が余長部の形成範囲内に位置していることが好ましい。
前記構成であると、液体供給手段の送り出し部を余長部の範囲内に位置するように設けることで、フィルムと他のフィルムとの貼り合わせに供する接着液が液体によって希釈されるのを防止する。
前記他のフィルムとして、前記フィルムよりも幅が大きく、幅方向に余長部を有するものを使用する場合に、前記吸引手段の吸引部が余長部の形成範囲内に位置していることが好ましい。
前記構成であると、吸引手段の吸引部も余長部の形成範囲内に位置するように設けるので、余分な接着液を液体で希釈しつつ除去し、その結果フィルムの端部に於いても他のフィルムと確実に接着固定させることができる。
前記吸引部に於ける開口部分は所定の方向に偏平しており、該開口部分の偏平方向とフィルムの幅方向とが略平行となる様に吸引部が設けられていることが好ましい。
前記構成であると、吸引部をフィルムと他のフィルムとの貼り合わせ部分に接近させることができ、接着液及び液体を効率良く吸引することができる。
前記フィルムとして偏光子を使用し、かつ、前記他のフィルムとして保護フィルムを使用することが好ましい。
前記構成により、フィルム積層物として、接着性にムラが無く面内均一な偏光板の製造を可能にする製造装置を提供することができる。
また、前記の課題を解決する為に、本発明に係るフィルム積層物は、フィルムの少なくとも一方の面に他のフィルムが設けられたフィルム積層物であって、前記フィルムの少なくとも一方の面に他のフィルムを配し、前記フィルムと他のフィルムとの貼り合わせ部分に接着液を供給し、かつ、他のフィルムの少なくとも一方の端に向かって流れようとする接着液に抗する液体を、他のフィルムの少なくとも一方の端から供給しながら、前記フィルムと他のフィルムとを圧着により貼り合わせて得られたものであることを特徴とする。
前記構成のフィルム積層物は、他のフィルムの少なくとも一方の端に向かって流出しようとする接着液に対して、これに抗する流動の液体を供給し、他のフィルムの端から接着液が漏出するのを防止して得られたものである。即ち、前記構成であると、他のフィルム等が接着液により汚染されることなく得られたフィルム積層物である。また、接着液の漏出を空気ではなく液体により防止しているので、フィルムと他のフィルムの貼り合わせには乾燥し固化された接着液によりなされた部分もない。よって、前記構成のフィルム積層物は、接着性にムラが無く、面内均一で波打ちも無い。
また、前記の課題を解決する為に、本発明に係る偏光板は、偏光子の少なくとも一方の面に保護フィルムが設けられた偏光板であって、前記偏光子の少なくとも一方の面に保護フィルムを配し、前記偏光子と保護フィルムとの貼り合わせ部分に接着液を供給し、かつ、保護フィルムの少なくとも一方の端に向かって流れようとする接着液に抗する液体を、保護フィルムの少なくとも一方の端から供給しながら、前記偏光子と保護フィルムとを押圧により貼り合わせて得られたものであることを特徴とする。
前記構成の偏光板は、保護フィルムの少なくとも一方の端に向かって流出しようとする接着液に対して、これに抗する流動の液体を供給し、保護フィルムの端から接着液が漏出するのを防止して得られたものである。即ち、前記構成であると、保護フィルム等が接着液により汚染されることなく得られた偏光板である。また、接着液の漏出を空気ではなく液体により防止しているので、偏光子と保護フィルムの貼り合わせには乾燥し固化された接着液によりなされた部分もない。よって、前記構成の偏光板は、接着性にムラが無く、面内均一で波打ちも無い。
また、前記の課題を解決する為に、本発明に係る光学フィルムは、前記に記載の偏光板が、少なくとも1枚積層されていることを特徴とする。
また、前記の課題を解決する為に、本発明に係る画像表示装置は、前記に記載の偏光板、又は前記に記載の光学フィルムが設けられていることを特徴とする。
本発明は、前記に説明した手段により、以下に述べるような効果を奏する。
即ち、本発明に係るフィルム積層物の製造方法によれば、漏出しようとする接着液を液体により防止するので、接着液が乾燥固化することがない。その結果、接着性にムラのない面内均一なフィルム積層物を製造することが可能になる。
また、本発明に係るフィルム積層物の製造装置によれば、接着液の漏出を液体により防止するので、例えばフィルムと他のフィルムとの貼り合わせに用いるロールや、他のフィルム等が接着液により汚染されることがない。また吸引手段は、貼り合わせに供しない余分な接着液を液体で希釈しつつ吸引除去できるので、吸引手段が接着液の固化により使用できなくなるのを防止することが可能になる。さらに吸引手段は、液体供給手段と独立した構成とするので、複雑な構造を必要とせず、掃除や手入れ等の作業性に優れる。その上、吸引手段に於いて、その吸引する部分の周辺や内部に接着液を希釈する為の給水ノズル等を設ける必要がないので、吸引力の向上と効率的な吸引除去が図れる。
また、本発明に係るフィルム積層物によれば、接着液の漏出を液体により防止しつつ、フィルムの端部に於いても適切な量の接着液が供給される様にして他のフィルムと貼り合わされたものであるので、接着性にムラが無く、面内均一で波打ちも無い。
また、本発明に係る偏光板によれば、接着液の漏出を液体により防止しつつ、偏光子の端部に於いても適切な量の接着液が供給される様にして保護フィルムと貼り合わされたものであるので、接着性にムラが無く、面内均一で波打ちも無い。
また、本発明に係る光学フィルムによれば、面内均一で波打ちの無い偏光板を備えているので、光学特性に優れたものを提供することができる。
また、本発明に係る画像表示装置によれば、面内均一で波打ちが無く光学特性に優れた偏光板、または光学特性に優れた光学フィルムを備えているので、表示特性に優れたものを提供することができる。
本発明の実施の一形態について、図1〜図5を参照しながら以下に説明する。但し、説明に不要な部分は省略し、また説明を容易にする為に拡大または縮小等して図示した部分がある。
先ず、本発明に係るフィルム積層物の製造方法について、偏光板を例にして以下に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る偏光板の製造方法を説明する為の斜視図である。図2は、前記偏光板の製造方法を説明する為の側面図である。図3は、図2の要部を拡大した拡大図である。図4は、前記偏光板の製造装置に係る吸引ノズルに於いて吸引口の開口部分の形状を示す模式図である。図5は、本実施の形態に係る偏光板を概略的に示す断面模式図である。
図1及び図2に示すように、先ず、偏光子(フィルム)1の両側に保護フィルム(他のフィルム)2をそれぞれ配し、偏光子1を保護フィルム2で挟み込んだ状態にする。その状態で保護フィルム2と共に偏光子1を、同図に於ける上方から下方に向けて垂直方向に搬送する。但し、本発明に於いては、必ずしも偏光子1及び保護フィルム2が垂直方向に搬送される場合に限定されるものではなく、水平方向に搬送される場合にも適用可能であり、適宜必要に応じて変更できる。
前記保護フィルム2は、幅方向に余長部9を有し、偏光子1よりも幅の大きい構成である。但し、本発明はこれに限定されるものではなく、偏光子1と同一サイズの保護フィルムを用いてもよい。尚、偏光子1及び保護フィルム2についての詳細は後述する。
偏光子1と保護フィルム2との貼り合わせ部分には、接着剤液供給ノズル(接着剤液供給手段)11により接着液3が供給される。接着剤液供給ノズル11は、偏光子1の両面側にそれぞれ配置されている。接着液3の供給方法としては、特に限定されるものではなく、例えば滴下法等が採用できる。接着液3の供給位置は、特に限定されるものではなく、適宜必要に応じて決定すればよい。例えば、貼り合わせ部分の近傍であって、幅方向に於ける中央付近から接着液3を滴下してもよい。また、保護フィルム2上の貼り合わせ部分から所定の距離だけ離隔した位置に接着液3を滴下させ、接着液3を貼り合わせ部分に流し込む様にしてもよい。但し、この場合、保護フィルム2は、水平方向よりも上方に所定の角度で傾斜している必要がある。さらに、滴下位置は複数箇所にしてもよい。
貼り合わせ部分に供給された接着液3は、偏光子1(または保護フィルム2)の幅方向の全面にわたって液溜り12を形成する。この液溜り12を通過した偏光子1及び保護フィルム2に接着液3を均等に塗布することができる。
接着液3の供給量、及び供給速度等は、使用する接着液3の種類や粘度等に応じて適宜最適値に設定される。
接着液3を構成する接着剤は、特に限定されるものではなく、従来公知の種々のものを採用することができる。例えば、ポリビニルアルコール系接着剤、ポリウレタン系接着剤、イソシアネート系接着剤や、前記ポリビニルアルコール系接着剤とホウ酸、ホウ砂、グルタルアルデヒド、メラミン及びシュウ酸等の水溶性架橋剤からなる接着剤が挙げられる。特に、偏光子1との接着性が最も良好な点を考慮すると、ポリビニルアルコールを用いるのが好ましい。ここで、ポリビニルアルコールの平均重合度は1000〜5000であることが好ましく、1500〜4000であることがより好ましい。また、ケン化度は90〜100モル%であることが好ましい。接着液3を構成する溶媒としては、一般に水等が例示できる。また、必要に応じて他の添加剤や酸等の触媒を配合しても良い。
また、前記接着液3の構成材料としては粘着剤を使用しても良い。粘着剤としては特に限定されるものではなく、従来公知の種々のものを採用することができる。
また、前記接着液の粘度は1〜1000mPa・sの範囲が好ましく、より好ましくは1〜100mPa・sの範囲である。前記範囲内であると、保護フィルム2の端部に流出し易く、本発明の効果が得られやすいという利点がある。
ここで、保護フィルム2の両端側に向かって流れようとする接着液3に対し、保護フィルム2の両端側から幅方向の中央部分に向かうように液体6を供給する。液体6の供給は、供給ノズル(液体供給手段)5を用いて行う。供給ノズル5は、保護フィルム2の左右にそれぞれ配置されている。これは、偏光子1及び保護フィルム2は水平方向に平行となる様に配置されており、貼り合わせ部分もほぼ水平となっていることから、余分な接着液3が左右それぞれの方向に流動することによる。但し、偏光子1及び保護フィルム2が一方の側に傾斜して配置されている場合や、一対のロール4(後述する)が傾斜して配置されている場合には、それに応じて貼り合わせ部分も傾斜しているので、接着液3は一方の側に流動する。よって、その様な場合には供給ノズルを接着液3の下流側にのみ配置すれば足りる。液体6の供給により、保護フィルム2の両端側に向かって流れようとする余分な接着液3は、余長部9の範囲内で堰き止められ、接着液3の漏出が防止される。
液体6の吐出量、吐出圧は、接着液3の流動を押し止めることが可能な範囲内に留める必要がある。必要以上に液体6の吐出量が多いと、接着液3が希釈され接着性の低下を招来するからである。また、液体6の吐出方向としては、幅方向に於ける中央部分に向かう方向に限定されず、接着液3の流出を押し止めることが可能な範囲内で種々の変更が可能である。
ここで、供給ノズル5は、その供給口7が保護フィルム2の左右両側端より幅方向内側、即ち余長部9の形成領域内に位置するように設けられている。これにより、液体6が保護フィルム2の左右両側から漏出するのを防止する。また、貼り合わせ部分に液体6が供給されるのを防止し、貼り合わせ部分に於ける接着液3が希釈されるのを防ぐ。その結果、偏光子1の両端部に於いても十分な量の接着液3が供給されることを可能にし、偏光子1の端部に於いても保護フィルム2が確実に接着固定されることを可能にする。
前記液体6としては、前記接着剤を溶解するものであれば特に限定されるものでない。具体的には、例えばメタノール、エタノール、プロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類等の有機溶媒や水が例示できる。
また、本実施の形態に係る製造装置に於いては、図3に示すように、偏光子1と保護フィルム2との貼り合わせに寄与しない余分な接着液3を吸引除去する為の吸引ノズル(吸引手段)8が設けられている。これにより、貼り合わせに最適な量の接着剤液をムラなく、偏光子1の左右両端に到る全面に供給することができ、その結果、面内に於ける接着性にムラが無く面内均一な偏光板が得られる。尚、吸引ノズル8は、より詳細には余分な接着液3そのものを吸引するのではなく、液体6により希釈された状態にある接着液3を吸引する。接着液3そのものを吸引すると、円滑な吸引が阻害される上に、接着液3がやがて固化し吸引口10を塞ぐことになるからである。
ここで、吸引ノズル8は、その吸引口10が余長部9の範囲内に位置するように設けられている。接着液3が液体6により希釈された状態で吸引を行う為である。また、吸引口10が偏光子1の端部の内側に設けられていると、端部では接着液3が液体6により希釈されるため、少なくとも端部では保護フィルム2との接着が不十分となるからである。尚、吸引ノズル8は供給ノズル5とは別個に配置しているので、その構造を簡素化できる。よって、掃除や手入れが容易となる。
前記吸引口10の開口部分の形状は、所定の方向に偏平となっているのが好ましい。開口部分のその様な形状としては、例えば図4(a)〜4(j)に示すように、楕円形、半円形、長方形、角部をR形状の面取り加工した長方形、偏平状のひし形、偏平状の雲形等の様々な形状が例示できる。また、開口部分の偏平方向は幅方向と略平行となるように吸引口10を配置するのが好ましい。これにより、吸引口10を偏光子1と保護フィルム2の貼り合わせ部分に接近させることができ、余分な接着剤液13及び液体6を効率的に吸引除去することができる。
次に、偏光子1及び保護フィルム2は、重ね合わされた状態で連続的に一対のロール(貼り合わせ手段)4間に案内される。さらに、ロール4間を通過した偏光子1及び保護フィルム2が、ロール圧力により確実に接着固定される。ここで、ロール4としては、特に限定されるものではなく、従来公知の種々のものを採用することができる。しかしながら、製造する偏光板の外観を良好なものにするためには、面精度の高いロールが好ましい。また、ロール4の材質としては、特に限定されるものではなく、例えば金属またはゴム等が例示できる。尚、貼り合わせ手段としては、ロール4の他に平面状の圧着手段を用いてもよい。
前記の方法により得られた本実施の形態に係る偏光板(フィルム積層物)21は、図5に示すように、偏光子1の両面に保護フィルム2がそれぞれ積層された構成である。また、両端部は保護フィルム2同士が余長部9で接着された構造を有する。
偏光子1は、親水性高分子に膨潤、染色、延伸、架橋等の処理を適宜行って製造される。親水性高分子としては、染色工程におけるヨウ素または二色性染料の配向性の良さからポリビニルアルコールを用いるのが一般的であるが、本発明に於いては特に限定されるものではない。具体的には、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、ポリエチレンテレフタレート系フィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体系フィルム、これらの部分ケン化フィルム、セルロース系フィルム等の高分子フィルムにポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理等ポリエチレン系配向フィルム等が例示できる。
前記親水性高分子を延伸する場合は、総延伸倍率を3倍から7倍の範囲に設定するのが好ましく、4倍から6倍の範囲に設定するのがより好ましい。総延伸倍率が3倍未満の場合は高偏光度の偏光板を得ることが困難であり、7倍を超える場合はフィルムが破断し易くなる傾向があるからである。ここで親水性高分子は、膨潤、染色、延伸、架橋等の全ての工程で総延伸倍率を3倍から7倍の範囲まで徐々に延伸しても良く、いずれか一つの工程でのみ延伸しても良く、同一工程で複数回延伸しても良い。
また、偏光子1の厚さは特に制限されない。しかし、5〜80μm程度が一般的である。
前記保護フィルム2を形成する材料としては、透明性、機械的強度、熱安定性、等方性などに優れるポリマーフィルムが好ましく用いられる。具体的には、例えばポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリエーテルサルフォン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、ポリイミド系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマー、またはポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー等が挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または前記ポリマーのブレンド物等も挙げられる。その他アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系若しくはシリコーン系等の熱硬化型または紫外線硬化型の樹脂等が挙げられる。
また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルム、例えば、(A)側鎖に置換及び/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換及び/非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物があげられる。具体例としてはイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムがあげられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを用いることができる。これらのフィルムは位相差が小さく、光弾性係数が小さいため偏光板の歪みによるムラなどの不具合を解消することができ、また透湿度が小さいため、加湿耐久性に優れる。
保護フィルム2としては、位相差が可及的に小さいものほど良い。また、かかる観点と偏光特性及び耐久性等とを考慮すると、セルロース系ポリマーを使用するのが好ましい。さらに、セルロース系ポリマーのうちトリアセチルセルロースが好適である。また、微粒子の含有によりその表面が微細凹凸構造に形成されている保護フィルム2を使用してもよい。
また、保護フィルム2の厚さは100μm以下であることが好ましく、60μm以下であることがより好ましい。例えば、薄型偏光板の場合、厚さ40μm程度のトリアセチルセルロース(TAC)を用いることができる。この場合、通常の偏光板(厚さ80μmのTAC)よりも本発明によるカールを抑制する効果が高いことがわかっている。総厚み(偏光板の厚さ)が薄く腰がない分、偏光板の水分変動によるカールへの影響をより受けやすいと考えられるからである。保護フィルム2の透湿度は、400〜1000g/m4hの範囲内のものを使用するのが好ましい。透湿度が前記範囲外であっても、比較的透湿度の高い保護フィルムを有する偏光板を用いたときに本発明のカールを抑制する効果が高い。透湿度は、JIS Z0208の透湿度試験 (カップ法)に準じて、40℃、90%の相対湿度差で、面積1mの試料を24時間に通過する水蒸気のg数である。
また、偏光子1の両面に設ける各保護フィルム2は、各々同じポリマー材料からなるものを形成してもよく、異なるポリマー材料等からなるものを用いてもよい。
また、保護フィルム2を偏光子1の一方の面にのみ貼り合わせ、他方の面に貼り合わせ無い場合には、該他方の面に、ハードコート層を形成する工程や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施してもよい。
ハードコート処理は偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものである。例えば、アクリル系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を保護フィルム2の表面に付加する方式などにて形成することができる。また、反射防止処理は偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、従来に準じた反射防止膜などの形成により達成することができる。また、スティッキング防止処理は隣接層との密着防止を目的に施される。
また、アンチグレア処理は偏光板の表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止等を目的に施されるものである。例えば、サンドブラスト方式やエンボス加工方式による粗面化方式や透明微粒子の配合方式などの適宜な方式にて保護フィルム2の表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。前記表面微細凹凸構造の形成に含有させる微粒子としては、例えば平均粒径が0.5〜20μmのシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等からなる導電性のこともある無機系微粒子、架橋または未架橋のポリマー等からなる有機系微粒子などの透明微粒子が用いられる。表面微細凹凸構造を形成する場合、微粒子の使用量は、表面微細凹凸構造を形成する透明樹脂100重量部に対して一般的に2〜70重量部程度であり、5〜50重量部が好ましい。アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角などを拡大するための拡散層(視角拡大機能等)を兼ねるものであってもよい。
なお、前記反射防止層、スティッキング防止層、ハードコート層、拡散層やアンチグレア層等は、保護フィルム2そのものに設けることができるほか、別途光学機能層として保護フィルム2とは別体のものとして設けることもできる。
本実施の形態に係る偏光板21は、用途等に応じて光学機能層を積層した光学フィルム(図示しない)として用いることもできる。
前記光学機能層については特に限定はない。例えば、偏光板21に粘着剤層を介して光学機能層を接着して用いる場合には、位相差フィルム(1/2または1/4波長フィルム等を含む)等が例示できる。これらのフィルムは、必要に応じて1層または2層以上を用いることができる。例えば、本発明の偏光板21に位相差フィルムを積層して、楕円偏光板または円偏光板としても使用できる。
また、光学機能層として視野角拡大フィルムを用いる場合には、例えば偏光子1に粘着剤層を介して積層することにより、広視野角の偏光板が得られる。
反射型偏光板は、偏光板21に反射層を設けたものであり、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示する反射型液晶表示装置に適用される。反射型偏光板の形成は、複屈折層が積層されている側と反対側の保護フィルム2に金属等からなる反射層を付設する等の適宜な方式にて行うことができる。例えば、必要に応じマット処理した保護フィルム等の片面に、アルミニウム等の反射性金属からなる箔や蒸着膜を付設したものが挙げられる。また、前記保護フィルム2の微粒子含有による表面微細凹凸構造の上に蒸着方式やメッキ方式などの適宜な方式で金属反射層を付設したもの等が挙げられる。前記した微細凹凸構造の反射層は、入射光を乱反射により拡散させて映り込みや乱反射を防止し、明暗のムラを抑制しうる利点などを有する。また、微粒子含有の保護フィルム2は、入射光及びその反射光がそれを透過する際に拡散されて明暗ムラをより抑制しうる利点なども有している。保護フィルム2の表面微細凹凸構造を反映させた微細凹凸構造の反射層の形成は、例えば真空蒸着方式、イオンプレーティング方式、スパッタリング方式等の蒸着方式やメッキ方式などの適宜な方式で金属を保護フィルム2の表面に直接付設する方法等により行うことができる。
また、反射型偏光板は、前記の偏光板21の保護フィルム2に直接形成する態様に替えて、その保護フィルム2に準じた適宜なフィルムに反射層を設けてなる反射シートなどとして用いることもできる。尚、反射層は、通常、金属からなるので、その反射面が保護フィルム2や偏光板等で被覆された状態の使用形態が、酸化による反射率の低下を防止する。さらに、初期反射率を長期にわたって持続させ、反射層に対し保護フィルム2を別途積層することも回避できる。
半透過型偏光板は、上記において反射層で光を反射し、かつ透過するハーフミラー等の半透過型の反射層とすることにより得ることができる。半透過型偏光板は、通常液晶セルの裏面側に設けられる。かかる半透過型偏光板を備えた半透過型液晶表示装置を明るい環境下で使用する場合には、視認側(表示面側)から入射する外光を表示光として利用し、暗い環境下で使用する場合にはバックライト等からの光を表示光として使用する。よって、消費電力の低減が図れる。
偏光板21に、さらに位相差フィルムが積層されてなる楕円偏光板または円偏光板について説明する。偏光板21に位相差フィルムを積層する方法としては、偏光板21に粘着剤層を介して積層するか、保護フィルム2を剥離した面に新たな接着層を形成して積層するか、保護フィルム2を剥離せず、接着層を設けてまたは設けることなく密着して積層する方法等が適宜用いられる。直線偏光を楕円偏光または円偏光に変えたり、楕円偏光または円偏光を直線偏光に変えたり、あるいは直線偏光の偏光方向を変える場合に、位相差フィルムなどが用いられる。特に、直線偏光を円偏光に変えたり、円偏光を直線偏光に変えたりする位相差フィルムとしては、いわゆる1/4波長フィルム(λ/4板とも言う)が用いられる。1/2波長フィルム(λ/2板とも言う)は、通常、直線偏光の偏光方向を変える場合に用いられる。
楕円偏光板は、例えばSTN(Super Twisted Nematic)モードの液晶表示装置の液晶層の複屈折により生じた着色(青または黄)を補償(防止)して、前記着色のない白黒表示する場合などに有効に用いられる。さらに、三次元の屈折率を制御したものは、液晶表示装置の画面を斜め方向から見た際に生じる着色も補償(防止)することができるので好ましい。円偏光板は、例えば画像がカラー表示になる反射型液晶表示装置の画像の色調を整える場合などに有効に用いられ、また、反射防止の機能も有する。上記した位相差フィルムの具体例としては、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレンやその他のポリオレフィン、ポリアリレート、ポリアミドの如き適宜なポリマーからなるフィルムを延伸処理してなる複屈折性フィルムや液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。位相差フィルムは、例えば各種波長フィルムや液晶層の複屈折による着色や視角等の補償を目的としたものなどの使用目的に応じた適宜な位相差を有するものであってよく、2種以上の位相差フィルムを積層して位相差等の光学特性を制御したものなどであってもよい。
また上記の楕円偏光板や反射型楕円偏光板は、偏光板21または反射型偏光板と位相差フィルムを適宜な組合せで積層したものである。かかる楕円偏光板等は、(反射型)偏光板と位相差フィルムの組合せとなるようにそれらを液晶表示装置の製造過程で順次別個に積層することによっても形成しうるが、前記の如く予め楕円偏光板等の光学フィルムとしたものは、品質の安定性や積層作業性等に優れて液晶表示装置などの製造効率を向上させうる利点がある。
偏光板21と輝度向上フィルムを貼り合わせた偏光板は、通常液晶セルの裏面側に設けられて使用される。輝度向上フィルムは、液晶表示装置などのバックライトや裏側からの反射などにより自然光が入射すると所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すものである。輝度向上フィルムを偏光板21に積層した偏光板は、バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得ると共に、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射させる。さらに、この輝度向上フィルム面で反射した光をさらにその後ろ側に設けられた反射層等を介し反転させて輝度向上フィルムに再入射させ、その一部または全部を所定偏光状態の光として透過させて輝度向上フィルムを透過する光の増量を図ると共に、偏光子1に吸収させにくい偏光を供給して液晶画像表示等に利用しうる光量の増大を図ることにより輝度を向上させうるものである。例えば、輝度向上フィルムを使用せずに、バックライトなどで液晶セルの裏側から偏光子1を通して光を入射した場合には、偏光子1の偏光軸に一致していない偏光方向を有する光は、ほとんど偏光子1に吸収されてしまい、偏光子1を透過しない。具体的には、用いた偏光子1の特性にも依存するが、およそ50%の光が偏光子1に吸収されてしまい、その分、液晶画像表示等に利用しうる光量が減少し、画像が暗くなる。輝度向上フィルムは、偏光子1に吸収されるような偏光方向を有する光を偏光子1に入射させずに輝度向上フィルムで一旦反射させ、さらにその後ろ側に設けられた反射層等を介して反転させて輝度向上フィルムに再入射させることを繰り返し、この両者間で反射、反転している光の偏光方向が偏光子1を通過し得るような偏光方向になった偏光のみを、輝度向上フィルムは透過させて偏光子1に供給する。これにより、バックライトなどの光を効率的に液晶表示装置の画像表示に使用でき、表示画面を明るくすることができる。
輝度向上フィルムと上記反射層等の間には、拡散板を設けることもできる。輝度向上フィルムによって反射した偏光状態の光は上記反射層等に進行するが、設置された拡散板は通過する光を均一に拡散すると同時に偏光状態を解消し、非偏光状態となる。すなわち、拡散板は偏光を元の自然光状態にもどす。この非偏光状態、すなわち自然光状態の光が反射層等に向かい、反射層等を介して反射し、再び拡散板を通過して輝度向上フィルムに再入射することを繰り返す。このように輝度向上フィルムと上記反射層等の間に、偏光を元の自然光状態にもどす拡散板を設けることにより表示画面の明るさを維持しつつ、同時に表示画面の表示ムラを低減し、均一で明るい画面を提供することができる。かかる拡散板を設けることにより、初回の入射光は反射の繰り返し回数が程よく増加し、拡散板の拡散機能と相俟って均一で明るい表示画面が可能になる。
前記の輝度向上フィルムとしては、例えば誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体の様に、所定偏光軸の直線偏光は透過し他の光は反射する特性を示すもの、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したものの様に、左回りまたは右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものなどの適宜なものを用いうる。
従って、前記した所定偏光軸の直線偏光を透過させるタイプの輝度向上フィルムは、その透過光をそのまま偏光板21に偏光軸を揃えて入射させることにより、偏光板21による吸収ロスを抑制しつつ効率よく透過させることができる。一方、コレステリック液晶層の様に円偏光を透過するタイプの輝度向上フィルムでは、そのまま偏光子1に入射させることもできる。さらに、吸収ロスを抑制したい場合には、その円偏光を位相差板を介し直線偏光化し、偏光板21に入射させることが好ましい。なお、その位相差板として1/4波長板を用いることにより、円偏光を直線偏光に変換することができる。
可視光領域等の広い波長範囲で1/4波長フィルムとして機能する位相差フィルムは、例えば波長550nmの淡色光に対して1/4波長フィルムとして機能する位相差層と他の位相差特性を示す位相差層、例えば1/2波長フィルムとして機能する位相差層とを重畳する方式などにより得られる。
なお、コレステリック液晶層についても、反射波長が相違するものの組み合わせにして2層または3層以上重畳した配置構造とすることにより、可視光領域等の広い波長範囲で円偏光を反射するものを得ることができる。その結果、広い波長範囲の透過円偏光が得られる。
また、偏光板21は前記の偏光分離型偏光板の如く、偏光板21と2層または3層以上の光学機能層とを積層したものからなっていてもよい。従って、前記の反射型偏光板や半透過型偏光板と位相差フィルムを組み合わせた反射型楕円偏光板や半透過型楕円偏光板などであってもよい。
本発明に係る偏光板21及びそれを備えた光学フィルムは、液晶表示装置やエレクトロルミネセンス(EL)表示装置等の各種画像表示装置に適用できる。
例えば、透過型の液晶表示装置に適用する場合には、該液晶表示装置は一対の透過型偏光板(または光学フィルム)の間に液晶セルを設けて構成される。透過型偏光板と液晶セルとは、従来公知の粘着剤等により接着される。表示面側のフロント偏光板と液晶セルの裏面側のリア偏光板とは、同種のものでも、異種のものでも良い。尚、液晶表示装置の作製に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層または2層以上配置することができる。
液晶表示装置の表示モードとしては、TN(Twisted Nematic)モード、STNモード、VA(Vertical Aligned)モード、またはOCB(Optically self-Compensated Birefringence)モード等に適用可能である。
また、本発明の偏光板21または光学フィルムは、有機EL表示装置にも適用することができる。一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機EL発光体)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入層、発光層、および電子注入層の積層体等、種々の組み合わせを有する構成が知られている。
有機EL表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物質を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
有機EL表示装置においては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明性を有していれば足りる。通常は、酸化インジウムスズ(ITO)等により形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
このような構成の有機EL表示装置において、有機発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える。
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス発光体を含む有機EL表示装置において、透明電極の表面側に偏光板21を設けるとともに、これら透明電極と偏光板21との間に位相差フィルムを設けることができる。
位相差フィルムおよび偏光板21は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差フィルムを1 /4波長フィルムで構成し、かつ偏光板21と位相差フィルムとの偏光方向のなす角をπ/4に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、偏光板21により直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は位相差フィルムにより一般に楕円偏光となる。とくに、位相差フィルムが1/4波長フィルムでしかも偏光板21と位相差フィルムとの偏光方向のなす角がπ/4のときには円偏光となる。
この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、位相差フィルムに再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板21の偏光方向と直交しているので、偏光板21を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
(その他の事項)
以上の説明に於いては、本発明の最も好適な実施態様について説明した。しかし、本発明は当該実施態様に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一の範囲で種々の変更が可能である。
即ち、本実施の形態においては、図1から図3に示す様に、供給ノズル5及び吸引ノズル8左右それぞれ1本ずつ配置した態様について説明した。しかし本発明においては、供給ノズル5及び吸引ノズル8の本数はこれに限定されない。例えば、保護フィルム2の左右両側に2本或いはそれ以上の複数本ずつ配しても良い。
本発明の実施の一形態に係る偏光板の製造方法を説明する為の斜視図である。 前記偏光板の製造方法を説明する為の側面図である。 前記図2の要部を拡大した拡大図である。 前記偏光板の製造装置に係る吸引ノズルに於いて吸引口の開口部分の形状を示す模式図である。 本発明の実施の一形態に係る偏光板を概略的に示す断面模式図である。
符号の説明
1 偏光子(フィルム)
2 保護フィルム(他のフィルム)
3 接着剤液(接着液)
4 ロール(貼り合わせ手段)
5 供給ノズル(液体供給手段)
6 液体
7 供給口
8 吸引ノズル(吸引手段)
9 余長部
10 吸引口
11 接着剤液供給ノズル(接着剤液供給手段)
13 接着剤液(接着液)
21 偏光板(フィルム積層物)
22 保護フィルム(他のフィルム)

Claims (16)

  1. フィルムの少なくとも一方の面に他のフィルムが設けられたフィルム積層物の製造方法であって、
    前記フィルムの少なくとも一方の面に他のフィルムを配し、
    前記フィルムと他のフィルムとの貼り合わせ部分に接着液を供給し、かつ、フィルムの少なくとも一方の端に向かって流れようとする接着液に抗する液体を、フィルムの少なくとも一方の端から供給しながら、
    前記フィルムと他のフィルムとを圧着により貼り合わせることを特徴とするフィルム積層物の製造方法。
  2. 前記フィルムと他のフィルムとを貼り合わせる前に、フィルムの少なくとも一方の端に向けて流出しようとする接着液、または前記液体により希釈された接着液を吸引除去することを特徴とする請求項1に記載のフィルム積層物の製造方法。
  3. 前記他のフィルムとして、前記フィルムよりも幅が大きく、幅方向に余長部を有するものを使用する場合に、
    前記液体の供給を余長部の形成範囲内で行うことを特徴とする請求項1または2に記載のフィルム積層物の製造方法。
  4. 前記他のフィルムとして、前記フィルムよりも幅が大きく、幅方向に余長部を有するものを使用する場合に、
    前記接着液または前記液体により希釈された接着液の吸引除去を余長部の形成範囲内で行うことを特徴とする請求項2に記載のフィルム積層物の製造方法。
  5. 前記液体として、前記接着液を溶解させるものを使用することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のフィルム積層物の製造方法。
  6. 前記フィルムとして偏光子を使用し、かつ、前記他のフィルムとして保護フィルムを使用することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のフィルム積層物の製造方法。
  7. フィルムの少なくとも一方の面に他のフィルムが設けられたフィルム積層物の製造に用いるフィルム積層物の製造装置であって、
    前記フィルムと、該フィルムの少なくとも一方の面に配された他のフィルムとの貼り合わせ部分に、接着液を供給する接着液供給手段と、
    前記フィルムの中央部から少なくとも一方の端に向けて流出しようとする接着液に抗する液体を、フィルムの少なくとも一方の端から供給する液体供給手段と、
    前記フィルムと他のフィルムとを圧着により貼り合わせる貼り合わせ手段とを有することを特徴とするフィルム積層物の製造装置。
  8. 前記フィルムの少なくとも一方の端に向けて流出しようとする接着液、または前記液体により希釈された接着液を吸引除去する吸引手段を有することを特徴とする請求項7に記載のフィルム積層物の製造装置。
  9. 前記他のフィルムとして、前記フィルムよりも幅が大きく、幅方向に余長部を有するものを使用する場合に、
    前記液体供給手段の送り出し部が余長部の形成範囲内に位置していることを特徴とする請求項7または8に記載のフィルム積層物の製造装置。
  10. 前記他のフィルムとして、前記フィルムよりも幅が大きく、幅方向に余長部を有するものを使用する場合に、
    前記吸引手段の吸引部が余長部の形成範囲内に位置していることを特徴とする請求項8に記載のフィルム積層物の製造装置。
  11. 前記吸引部に於ける開口部分は所定の方向に偏平しており、該開口部分の偏平方向とフィルムの幅方向とが略平行となる様に吸引部が設けられていることを特徴とする請求項10に記載のフィルム積層物の製造装置。
  12. 前記フィルムとして偏光子を使用し、かつ、前記他のフィルムとして保護フィルムを使用することを特徴とする請求項7〜11の何れか1項に記載のフィルム積層物の製造装置。
  13. フィルムの少なくとも一方の面に他のフィルムが設けられたフィルム積層物であって、
    前記フィルムの少なくとも一方の面に他のフィルムを配し、前記フィルムと他のフィルムとの貼り合わせ部分に接着液を供給し、かつ、他のフィルムの少なくとも一方の端に向かって流れようとする接着液に抗する液体を、他のフィルムの少なくとも一方の端から供給しながら、前記フィルムと他のフィルムとを圧着により貼り合わせて得られたものであることを特徴とするフィルム積層物。
  14. 偏光子の少なくとも一方の面に保護フィルムが設けられた偏光板であって、
    前記偏光子の少なくとも一方の面に保護フィルムを配し、前記偏光子と保護フィルムとの貼り合わせ部分に接着液を供給し、かつ、保護フィルムの少なくとも一方の端に向かって流れようとする接着液に抗する液体を、保護フィルムの少なくとも一方の端から供給しながら、前記偏光子と保護フィルムとを押圧により貼り合わせて得られたものであることを特徴とする偏光板。
  15. 請求項14に記載の偏光板が、少なくとも1枚積層されていることを特徴とする光学フィルム。
  16. 請求項14に記載の偏光板、又は請求項15に記載の光学フィルムが設けられていることを特徴とする画像表示装置。
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