JP2004177781A - 楕円偏光板および画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】偏光板および位相差板が粘着層を介して積層している楕円偏光板であって、1層の高分子配向フィルムからなる広帯域λ/4板であり、前記粘着層は、透明無着色粒子を分散含有しており、ヘイズが20〜88%である光透過性の散乱粘着層(a)を有することを特徴とする楕円偏光板。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、楕円偏光板に関する。また本発明は当該楕円偏光板を用いた液晶表示装置、有機EL表示装置、PDP等の画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
反射半透過型液晶表示装置等には、広帯域の波長領域を有する入射光(可視光領域)に対してλ/4板やλ/2板として機能する広帯域位相差板が好適に利用されるている。かかる広帯域位相差板としては、複数の光学異方性を有するポリマーフィルムを光軸を交差させて積層してなる積層フィルムが提案されている。これら積層フィルムでは2層または複数枚の延伸フィルムの光軸を交差させて広帯域化を実現している。
【0003】
これに対し、フィルムを積層することなく、1層で可視光領域の広帯域の波長領域を補償する薄型の位相差板が考案されている(たとえば、特許文献1、特許文献2参照)。しかしながら、1層で形成された広帯域位相差板は、積層フィルムからなる広帯域位相差板に比べると広帯域性能に劣る。そのため、1層で形成された広帯域位相差板を、偏光板と組み合わせた楕円偏光板として、例えば、反射半透過型ディスプレイに用いた場合には、斜めから見たときの表示が十分でなく、着色化が生じたり、コントラストが低下する等の視認性に問題があった。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−48919号公報
【0005】
【特許文献2】
特開2001−249222号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、視認性等の光学特性に優れる楕円偏光板を提供することを目的とする。さらには本発明は、前記楕円偏光板を用いた画像表示装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す楕円偏光板により前記目的を達成できることを見出し本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、偏光板および位相差板が粘着層を介して積層している楕円偏光板であって、
前記位相差板は、R(450)<R(550)<R(650)<R(750)、(ただし、R(450)、R(550)、R(650)、R(750)はそれぞれ波長450nm、550nm、650nm、750nmにおける位相差板の面内位相差である。)を満足する1層の高分子配向フィルムからなる広帯域λ/4板であり、
前記粘着層は、透明無着色粒子を分散含有しており、ヘイズが20〜88%である光透過性の散乱粘着層(a)を有することを特徴とする楕円偏光板、に関する。
【0009】
上記本発明の楕円偏光板では、偏光板と、上記各波長において上記関係を満足する1層の高分子配向フィルムからなる広帯域λ/4板とを組み合わせた楕円偏光板の接着に散乱粘着層(a)が用いられている。散乱粘着層(a)は、光散乱性を示す光透過性のものとすることを目的に透明無着色粒子を分散含有させたものである。上記へイズの散乱層を用いることにより、視認側の偏光板1枚を介し良好に偏光制御でき、正面や斜視での着色を抑制しつつ、表示のにじみ抑制による解像度や白さ、コントラスト等の視認特性に優れる画像表示装置を得ることができる。特に、本発明では位相差板として広い波長域にわたり1/4波長の位相差を示すものを用いており、正面や斜視での視認特性や視角特性がより優れて、視角変化による表示白さに優れる高コントラストの白黒表示や色純度に優れるカラー表示を達成することができる。
【0010】
このように散乱粘着層(a)は、明るさや見やすさ等の視認性等の光学特性を向上させる。特に偏光状態の解消や後方散乱や散乱光の着色化による視認性の低下を生じにくく、可視光の広い波長領域での色味再現性に優れ、液晶表示装置等の画像表示装置の形成などに好適である。また散乱粘着層(a)は、光散乱層を兼ねることで、液晶表示装置等の画像表示装置において別個の光散乱板を配置する必要を回避でき、部材の省略による軽量化や薄型化を達成することも可能である。
【0011】
前記散乱粘着層(a)のヘイズは、20〜88%に制御されている。散乱粘着層(a)のへイズが20%未満では、正面や斜めから見たときのコントラストの向上が見られない。かかる観点から散乱粘着層(a)のヘイズは、25%以上、さらには30%以上であるのが好適である。一方、88%を超えると画像表示ににじみが生じて解像度に乏しくなり、透過光と反射光に対する一層の偏光板を介したクロスニコル関係の制御が困難となる。かかる観点から散乱粘着層(a)のヘイズは、75%以下、さらには70%以下であるのが好適である。
【0012】
なお、前記各粘着層の各へイズ(%)は、{散乱光線/(散乱光線+平行光線)}×100により求められる。詳しくはヘイズの測定はJIS K7105の「プラスチックの光学的特性試験方法」に準じ、積分球式光線透過率測定装置により測定した。評価装置としては、村上色彩(株)製のヘイズメーター(商品名「HM−150」)を用いた。
【0013】
前記楕円偏光板において、粘着層は、光透過性の散乱粘着層(a)と透明無着色粒子を分散含有していない光透過性の透明粘着層(b)とを有する散乱重畳型粘着層とすることができる。透明粘着層(b)は、接着力の維持を目的に当該粒子を含有しないものとしたものである。透明粘着層(b)を設けることにより、信頼性に優れる接着処理をすることができる。透明粘着層(b)は、通常の光透過性の良好な粘着層であり、ヘイズが3%以下、さらには1%以下のものが用いられる。
【0014】
前記楕円偏光板において、高分子配向フィルムは、材料として、フルオレン骨格を有するポリカーボネートを含有することが好ましい。
【0015】
前記楕円偏光板において、高分子配向フィルムは、材料として、ビスフェノール骨格を有するポリカーボネートを含有するが好ましい。
【0016】
前記楕円偏光板において、散乱粘着層(a)に含有されている透明無着色粒子の屈折率をn1、粘着層の屈折率をn2としたとき、式:0.8<(n1/n2)<1.2を満足することが好ましい。前記透明無着色粒子の屈折率は、後方散乱をより抑制して透過方向に良好な拡散性をもたせる点から、前記関係を満足することが好ましい。(n1/n2)は、0.9以上であるのがより好ましく、1.1以下であるのがより好ましい。なお、n1=1.4〜1.5、n2=1.4〜1.6の範囲であるのが好適である。屈折率は、アッベ屈折計((株) アタゴ製のアッベ屈折計2−T)により測定した。
【0017】
前記楕円偏光板において、散乱粘着層(a)に含有されている透明無着色粒子の平均粒子径が0.1〜10μmであることが好ましい。後方散乱をより抑制して透過方向に良好な拡散性をもたせる点から、透明無着色粒子の平均粒子径は0.1〜10μmが好ましく、1〜5μmがより好ましい。
【0018】
前記楕円偏光板において、散乱粘着層(a)がアクリル系粘着剤により形成されていることが好ましい。
【0019】
前記楕円偏光板は、偏光板の外表面に反射防止層、防眩処理層およびハードコート層のいずれか少なくとも1層を有するものであることが好ましい。
【0020】
また本発明は、前記楕円偏光板が積層されていることを特徴とする画像表示装置、に関する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の楕円偏光板を図面を参照しながら説明する。図1乃至図4に示しているように、本発明の楕円偏光板は、偏光板(1)および位相差板(2)が粘着層を介して積層している。位相差板(2)は1層の高分子配向フィルムからなる広帯域λ/4板である。前記粘着層は、ヘイズが20〜88%である光透過性の散乱粘着層(a)を有する。
【0022】
また粘着層は、散乱粘着層(a)と透明粘着層(b2)の重畳形態とすることができる。粘着層の重畳形態は、散乱粘着層(a)と透明粘着層(b2)をそれぞれ1層または2層以上有していれば、これらの配置は特に制限されず、適宜な重畳形態とすることができる。粘着層が重畳形態の場合、散乱粘着層(a)は、液晶に近い方が好ましく、図2に示すように、位相差板(2)側から、散乱粘着層(a)、透明粘着層(b)の順に積層されている場合が好ましい。また、信頼性よく接着処理する点よりは、図3に示すように、散乱粘着層(a)の表裏面に透明粘着層(b)を配置した重畳形態とするのが好ましい。
【0023】
偏光板(1)は、偏光子を有する。偏光子は、特に制限されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、たとえば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等があげられる。これらのなかでもポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適である。これら偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に、5〜80μm程度である。
【0024】
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、たとえば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸してもよし、また延伸してからヨウ素で染色してもよい。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
【0025】
前記偏光子は、通常、片側または両側に透明保護フィルムが設けられる。透明保護フィルムは透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるものが好ましい。透明保護フィルムはポリマーによる塗布層として、またはフィルムのラミネート層等として設ることができる。透明保護フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムがあげられる。またポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ないしノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体等のオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムもあげられる。さらにイミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマーや前記ポリマーのブレンド物等の透明ポリマーからなるフィルムなどもあげられる。特に光学的に複屈折の少ないものが好適に用いられる。偏光板の保護フィルムの観点よりは、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、アクリル系ポリマー、シクロオレフィン系樹脂、ノルボルネン構造を有するポリオレフィンなどが好適である。
【0026】
また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルム、たとえば、(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物があげられる。具体例としてはイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムがあげられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを用いることができる。
【0027】
偏光特性や耐久性などの点より、特に好ましく用いることができる保護フィルムは、表面をアルカリなどでケン化処理したトリアセチルセルロースフィルムである。保護フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄層性などの点より10〜500μm程度である。特に20〜300μmが好ましく、30〜200μmがより好ましい。
【0028】
また、透明保護フィルムは、できるだけ色付きがないことが好ましい。したがって、Rth=[(nx+ny)/2−nz]・d(ただし、nx、nyはフィルム平面内の主屈折率、nzはフィルム厚方向の屈折率、dはフィルム厚みである)で表されるフィルム厚み方向の位相差値が−90nm〜+75nmである保護フィルムが好ましく用いられる。かかる厚み方向の位相差値(Rth)が−90nm〜+75nmのものを使用することにより、保護フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)をほぼ解消することができる。厚み方向位相差値(Rth)は、さらに好ましくは−80nm〜+60nm、特に−70nm〜+45nmが好ましい。
【0029】
前記透明保護フィルムは、表裏で同じポリマー材料からなる透明保護フィルムを用いてもよく、異なるポリマー材料等からなる透明保護フィルムを用いてもよい。
【0030】
その他、図4に示すように偏光板(1)の外表面には反射防止層、防眩処理層およびハードコート層等の機能層(3)を形成することができる。また機能層(3)は、スティッキング防止を目的とした処理を施したものであってもよい。
【0031】
ハードコート処理は偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、例えばアクリル系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を透明保護フィルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。反射防止処理は偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、従来に準じた反射防止膜などの形成により達成することができる。反射防止処理は偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、フッ素系ポリマー、多層金属蒸着膜、光干渉性の膜などの従来に準じた反射防止膜などの形成により達成することができる。またスティッキング防止処理は隣接層との密着防止を目的に施される。
【0032】
防眩処理は偏光板の表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止等を目的に施されるものであり、例えばサンドブラスト方式やエンボス加工方式による粗面化方式や透明微粒子の配合方式などの適宜な方式にて透明保護フィルムの表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。前記表面微細凹凸構造の形成に含有させる微粒子としては、例えば平均粒径が0.5〜50μmのシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等からなる導電性のこともある無機系微粒子、架橋又は未架橋のポリマー等からなる有機系微粒子などの透明微粒子が用いられる。表面微細凹凸構造を形成する場合、微粒子の使用量は、表面微細凹凸構造を形成する透明樹脂100重量部に対して一般的に2〜50重量部程度であり、5〜25重量部が好ましい。防眩層は偏光板透過光を拡散して視角などを拡大するための拡散層(視角拡大機能など)を兼ねるものであってもよい。
【0033】
なお、前記反射防止層、防眩層、ハードコート層、スティッキング防止層等の機能層は、透明保護フィルムそのものに設けることができるほか、別途光学層として透明保護層とは別体のものとして設けることもできる。
【0034】
位相差板(2)としては、一層で可視光領域の広い波長の入射光に対して、λ/4板として機能する広帯域位相差板が用いられる。位相差板(2)は、R(450)<R(550)<R(650)<R(750)、を満足するものである。位相差板は、好ましくは、0.6<{R(450)/R(550)}<0.95、1.0<{R(650)/R(550)}<1.3、を満足するものである。なお、前記R(450)、R(550)、R(650)、R(750)はそれぞれ波長450nm、550nm、650nm、750nmにおける位相差板の面内位相差である。面内位相差は、面内屈折率が最大となる方向をX軸、X軸に垂直な方向をY軸とし、それぞれの軸方向の屈折率をnx、ny、フィルムの厚さd(nm)とした場合に、面内位相差:R=(nx−ny)×dにより求められる。これら屈折率はアッベ屈折計((株) アタゴ製のアッベ屈折計2−T)により測定した。
【0035】
前記1層の高分子配向フィルムからなる広帯域λ/4板は、位相差が短波長ほど小さく、可視光波長域において波長に依存しないλ/4板を得ることができる。かかる広帯域λ/4板としては、たとえば、前記特許文献1、特許文献2に記載のものを用いることができる。
【0036】
高分子配向フィルムを構成する高分子材料は特に限定されず、耐熱性に優れ、光学性能が良好で、溶液製膜ができる材料、例えばポリアリレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリエーテル、ポリスルフィン系共重合体、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなどの熱可塑性ポリマーが好適である。前記熱可塑性ポリマーを用いた場合には、正の屈折率異方性を有する高分子と負の屈折率異方性を有する高分子とからなるブレンド高分子、正の屈折率異方性を有する高分子のモノマー単位と負の屈折率異方性を有する高分子のモノマー単位とからなる共重合体がより好適である。これらは2種類以上組合せてもよく、また1種類以上のブレンド高分子と1種類以上の共重合体とを組合せて用いてもよい。本発明に用いられる高分子配向フィルムは、ブレンド高分子からなるものでも共重合体からなるものでもよい。
【0037】
ブレンド高分子であれば、光学的に透明である必要があることから相溶ブレンドまたは、各々の高分子の屈折率が略等しいことが好ましい。ブレンド高分子の具体的な組み合わせとしては、例えば負の光学異方性を有する高分子としてポリ(メチルメタクリレート)と、正の光学異方性を有する高分子としてポリ(ビニリデンフロライド)、ポリ(エチレンオキサイド)及びポリ(ビニリデンフロライド−コ−トリフルオロエチレン)からなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマーとの組み合わせ、正の光学異方性を有する高分子としてポリ(フェニレンオキサイド)と、負の光学異方性を有する高分子としてポリスチレン、ポリ(スチレン−コ−ラウロイルマレイミド)、ポリ(スチレン−コ−シクロヘキシルマレイミド)及びポリ(スチレン−コ−フェニルマレイミド)からなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマーとの組み合わせ、負の光学異方性を有するポリ(スチレン−コ−マレイン酸無水物)と正の光学異方性を有するポリカーボネートとの組み合わせ、正の光学異方性を有するポリ(アクリロニトリル−コ−ブタジエン)と負の光学異方性を有するポリ(アクリロニトリル−コ−スチレン)との組み合わせ、正の光学異方性を有するポリカーボネートと負の光学異方性を有するポリカーボネートとの組み合わせを好適に挙げることができるが、これらに限定されるものではない。特に透明性の観点から、ポリスチレンと、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキサイド)等のポリ(フェニレンオキサイド)とを組み合わたブレンドポリマー、正の光学異方性を有するポリカーボネートと負の光学異方性を有するポリカーボネートとを組み合わせたブレンド体が好ましい。前者の場合、該ポリスチレンの比率が全体の67重量%以上75重量%以下を占めることが好ましい。後者の場合、正の光学異方性を有するビスフェノールAをジオール成分とするポリカーボネートと、ビスフェノールフルオレンをジオール成分とする、フルオレン骨格を主として有するポリカーボネートとを配合してなるものが好ましい。該ビスフェノールフルオレン成分のブレンド体全体における含有率は、30〜90モル%が好適である。
【0038】
また、共重合体としては例えばポリ(ブタジエン−コ−ポリスチレン)、ポリ(エチレン−コ−ポリスチレン)、ポリ(アクリロニトリル−コ−ブタジエン)、ポリ(アクリロニトリル−コ−ブタジエン−コ−スチレン)、ポリカーボネート共重合体、ポリエステル共重合体、ポリエステルカーボネート共重合体、ポリアリレート共重合体等を用いることが出来る。特に、フルオレン骨格を有するセグメントは負の光学異方性となり得るため、フルオレン骨格を有するポリカーボネート共重合体、ポリエステル共重合体、ポリエステルカーボネート共重合体、ポリアリレート共重合体等はより好ましく用いられる。
【0039】
上記高分子材料は、2種類以上の共重合体のブレンド体でもよく、1種以上の共重合体と上記ブレンド体または他のポリマーとからなるブレンド体であってもよく、2種類以上のブレンド体または共重合体または他のポリマーのブレンド体でもよい。これらの場合、該ビスフェノールフルオレン成分の全体における含有率は、30〜90モル%とすることが好適である。
【0040】
ビスフェノール類とホスゲンあるいは炭酸ジフェニルなどの炭酸エステル形成性化合物と反応させて製造されるポリカーボネート共重合体は透明性、耐熱性、生産性に優れており特に好ましく用いることが出来る。ポリカーボネート共重合体としては、フルオレン骨格を有する構造を含む共重合体であることが好ましい。フルオレン骨格を有する成分、繰返し単位全体の1〜99モル%含まれていることが好ましい。また、前記高分子材料には、ビスフェノール骨格を有するポリカーボネートが好ましく用いられる。前記高分子材料には、フルオレン骨格を有するポリカーボネートとビスフェノール骨格を有するポリカーボネートを同時に含むことができる。
【0041】
前記高分子材料には、さらに、フェニルサリチル酸、2−ヒドロキシベンゾフェノン、トリフェニルフォスフェート等の紫外線吸収剤や、色味を変えるためのブルーイング剤、酸化防止剤等を添加してもよい。
【0042】
広帯域位相差板は上記ポリカーボネートなどの未延伸フィルムを延伸等を行い高分子鎖を配向させた高分子配向フィルムからなるものである。かかるフィルムの製造方法としては、公知の溶融押し出し法、溶液キャスト法等が用いられるが、膜厚むら、外観等の観点から溶液キャスト法がより好ましく用いられる。溶液キャスト法における溶剤としては、メチレンクロライド、ジオキソラン等が好適が用いられる。また、延伸方法も公知の延伸方法を使用し得るが、好ましくは縦一軸延伸である。フィルム中には延伸性を向上させる目的で、公知の可塑剤であるジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート等のフタル酸エステル、トリブチルフォスフェート等のりん酸エステル、脂肪族二塩基エステル、グリセリン誘導体、グリコール誘導体等が含有してもよい。
【0043】
また、上記可塑剤や液晶等の添加剤は、広帯域位相差板の位相差波長分散を変化させ得るが、添加量は、ポリマー固形分対比10重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましい。特に添加剤として液晶は位相差波長分散を大きく変え得る。液晶としては、例えば、デイスコチック液晶、ネマチック液晶、コレステリック液晶、スメクチック液晶、重合性液晶、ライオトロピック液晶等を挙げることができる。
【0044】
広帯域位相差板の膜厚は特に制限されないが、1〜400μm程度であることが好ましい。
【0045】
散乱粘着層(a)を形成する粘着剤は特に制限されないが、例えばアクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。粘着層を形成する粘着性物質は、光透過性に優れるものが好ましく、耐候性等も加味した場合、特にアクリル系粘着剤が好ましく用いうる。
【0046】
アクリル系粘着剤のベースポリマーとなるアクリル系ポリマーは、アルキル(メタ)アクリレートのモノマーユニットを主骨格とする。アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基の平均炭素数は1〜12程度のものが好ましく、アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート等を例示でき、これらは単独または組合せて使用できる。
【0047】
前記アクリル系ポリマーには、官能基を有するモノマーを共重合するのが好ましい。官能基を有するモノマーとしては、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基等を含有するモノマーがあげられる。カルボキシル基を有するモノマーとしてはアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等があげられる。水酸基を有するモノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等、エポキシ基を含有するモノマーとしては、グリシジル(メタ)アクリレート等があげられる。また前記アクリル系ポリマーには、N元素を有するモノマーユニット等を導入することができる。N元素含有モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アセトニトリル、ビニルピロリドン、N−シクロヘキシルマレイミド、イタコンイミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等があげられる。その他、アクリル系ポリマーには、粘着剤の性能を損なわない範囲で、さらには酢酸ビニル、スチレン等を用いることもできる。これらモノマーは1種または2種以上を組み合わせることができる。アクリル系ポリマー中の前記共重合モノマーのモノマーユニットの割合は、特に制限されないが、アルキル(メタ)アクリレート100重量部に対して、共重合モノマーを、10重量部以下であり0.1〜10重量部程度部とするのが好ましい。
【0048】
また、アクリル系粘着剤には架橋剤を含有することができる。架橋剤としては化合物としては、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、イミン系架橋剤、メラミン系架橋剤、多官能性金属キレート等があげられる。アクリル系ポリマーに対する架橋剤の配合割合は特に制限されないが、通常、アクリル系ポリマー(固形分)100重量部に対して、架橋剤 (固形分)10重量部以下程度が好ましく、さらには0.1〜10重量部程度が好ましい。なお、粘着剤には、酸化防止剤などの各種添加剤を含有していてもよい。
【0049】
散乱粘着層(a)は、透明無着色粒子を分散含有させて、前記のへイズ条件(20〜88%)を満足するように制御する。ヘイズの制御は、透明無着色粒子の粒子径、屈折率、含有量を適宜に調整して行う。散乱粘着層(a)に分散含有させる前記透明無着色粒子としては、無色透明性の適宜なものを用いうる。たとえば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化カルシウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等の導電性のこともある無機系粒子、さらにはポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリウレア等の架橋又は未架橋の各種ポリマー等からなる有機系粒子などがあげられる。透明無着色粒子の使用量は、通常、粘着剤(固形分)100重量部に対して、0.1〜15重量部、さらには0.2〜8重量部とするのが好適である。透明無着色粒子の平均粒子径は、前述の通り、0.1〜10μmであることが好ましい。また透明無着色粒子の屈折率をn1、粘着層の屈折率をn2としたとき、式:0.8<(n1/n2)<1.2を満足することが好ましい。
【0050】
散乱粘着層(a)の形成は、例えば粘着性物質と透明無着色粒子を含有する混合物をカレンダーロール法等による圧延方式、ドクターブレード法、グラビアロールコータ法等による塗工方式などの適宜な方式で、偏光板(1)または位相差板(2)に付設する方式、または別途支持基材にセパレータを用いてそのセパレータ上に前記に準じて散乱粘着層(a)を形成して、それを偏光板(1)または位相差板(2)に移着する方式などの適宜な方式で行うことができる。
【0051】
一方、透明粘着層(b)は透明無着色粒子を配合しない点を除いて上記した散乱粘着層(a)と同様の粘着剤を用いることができる。当該粘着剤としては、アクリル系粘粘着剤が好ましい。散乱粘着層(a)と透明粘着層(b)の重畳層の場合には、重ね塗り方式やセパレータ上に形成したものの積層方式などの適宜な方式で行うことができる。
【0052】
散乱粘着層(a)の厚みは特に制限されないが、5〜50μm程度、さらには10〜30μmとするのが好ましい。なお、前記粘着層が散乱粘着層(a)と透明粘着層(b2)との重畳型粘着層の場合には、薄型化などの点よりは、その総厚が10〜50μmであることが好ましい。
【0053】
また、位相差板(2)の前記偏光板(1)とは反対側には、さらに液晶セル等に接着するための粘着層を設けることができる。かかる粘着層には、前記例示の散乱粘着層(a)及び/または透明粘着層(b)を設けることができる。かかる粘着層も前記同様にアクリル系粘着剤が好ましい。かかる粘着層の厚さは特に制限されないが、通常、5〜50μm程度であるのが好ましい。なお、前記粘着層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止等を目的にセパレータが仮着されてカバーすることができる。これにより、通例の取扱状態で粘着層に接触することを防止できる。セパレータとしては、上記厚さ条件を除き、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いうる。
【0054】
本発明の楕円偏光板は、画像表示装置において好適に用いられる。たとえば、反射半透過型の液晶表示装置などの各種装置の形成に好ましく用いうる。反射半透過型液晶表示装置等は携帯型情報通信機器、パーソナルコンピュータとして好適に利用される。反射型半透過型液晶表示装置を形成する場合、本発明による楕円偏光板は、液晶セルの視認側に配置される。なお、装置等の形成に際しては、本発明による散乱重畳型粘着層以外の散乱層ないし拡散層を配置することもできる。
【0055】
図5は、図4に示す本発明の楕円偏光板を、反射半透過型液晶表示装置において、液晶セル10の視認側に配置したものである。図5では、上側(視認側)の液晶セル基板11に楕円偏光板が透明粘着層(b)を介して接着している。液晶セル10内には、液晶14が封入されている。上側の液晶セル基板11には透明電極12が設けられており、下側の液晶セル基板11には電極を兼ねる反射層13が設けられている。下側の液晶セル基板11の下部には、反射半透過型液晶表示装置に用いられる、偏光板、各種光学フィルム、バックライトシステムを有する。
【0056】
上記図5の反射半透過型液晶表示装置は、液晶セルの一例を示したものであり、本発明の楕円偏光板はその他各種の液晶表示装置に適用できる。また液晶セルの裏側には反射型偏光板を設けて、反射型液晶表示装置とすることができる。
【0057】
反射型偏光板は、偏光板に反射層を設けたもので、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置などを形成するためのものであり、バックライト等の光源の内蔵を省略できて液晶表示装置の薄型化を図りやすいなどの利点を有する。反射型偏光板の形成は、必要に応じ、前記透明保護フィルム等を介して偏光板の片面に金属等からなる反射層を付設する方式などの適宜な方式にて行うことができる。
【0058】
反射型偏光板の具体例としては、必要に応じマット処理した透明保護フィルムの片面に、アルミニウム等の反射性金属からなる箔や蒸着膜を付設して反射層を形成したものなどがあげられる。
【0059】
反射板は前記偏光板の透明保護フィルムに直接付与する方式に代えて、その透明フィルムに準じた適宜なフィルムに反射層を設けてなる反射シートなどとして用いることもできる。なお反射層は、通常、金属からなるので、その反射面が透明保護フィルムや偏光板等で被覆された状態の使用形態が、酸化による反射率の低下防止、ひいては初期反射率の長期持続の点や、保護層の別途付設の回避の点などより好ましい。
【0060】
なお、半透過型偏光板は、上記において反射層で光を反射し、かつ透過するハーフミラー等の半透過型の反射層とすることにより得ることができる。半透過型偏光板は、通常液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置などを比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射させて画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵光源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置などを形成できる。すなわち、半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節約でき、比較的暗い雰囲気下においても内蔵光源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置などの形成に有用である。
【0061】
また、偏光板と輝度向上フィルムを貼り合わせた偏光板は、通常液晶セルの裏側サイドに設けられて使用される。輝度向上フィルムは、液晶表示装置などのバックライトや裏側からの反射などにより自然光が入射すると所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すもので、輝度向上フィルムを偏光板と積層した偏光板は、バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得ると共に、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射される。この輝度向上フィルム面で反射した光を更にその後ろ側に設けられた反射層等を介し反転させて輝度向上フィルムに再入射させ、その一部又は全部を所定偏光状態の光として透過させて輝度向上フィルムを透過する光の増量を図ると共に、偏光子に吸収させにくい偏光を供給して液晶表示画像表示等に利用しうる光量の増大を図ることにより輝度を向上させうるものである。すなわち、輝度向上フィルムを使用せずに、バックライトなどで液晶セルの裏側から偏光子を通して光を入射した場合には、偏光子の偏光軸に一致していない偏光方向を有する光は、ほとんど偏光子に吸収されてしまい、偏光子を透過してこない。すなわち、用いた偏光子の特性によっても異なるが、およそ50%の光が偏光子に吸収されてしまい、その分、液晶画像表示等に利用しうる光量が減少し、画像が暗くなる。輝度向上フィルムは、偏光子に吸収されるような偏光方向を有する光を偏光子に入射させずに輝度向上フィルムで一旦反射させ、更にその後ろ側に設けられた反射層等を介して反転させて輝度向上フィルムに再入射させることを繰り返し、この両者間で反射、反転している光の偏光方向が偏光子を通過し得るような偏光方向になった偏光のみを、輝度向上フィルムは透過させて偏光子に供給するので、バックライトなどの光を効率的に液晶表示装置の画像の表示に使用でき、画面を明るくすることができる。
【0062】
輝度向上フィルムと上記反射層等の間に拡散板を設けることもできる。輝度向上フィルムによって反射した偏光状態の光は上記反射層等に向かうが、設置された拡散板は通過する光を均一に拡散すると同時に偏光状態を解消し、非偏光状態となる。すなわち、拡散板は偏光を元の自然光状態にもどす。この非偏光状態、すなわち自然光状態の光が反射層等に向かい、反射層等を介して反射し、再び拡散板を通過して輝度向上フィルムに再入射することを繰り返す。このように輝度向上フィルムと上記反射層等の間に、偏光を元の自然光状態にもどす拡散板を設けることにより表示画面の明るさを維持しつつ、同時に表示画面の明るさのむらを少なくし、均一で明るい画面を提供することができる。かかる拡散板を設けることにより、初回の入射光は反射の繰り返し回数が程よく増加し、拡散板の拡散機能と相俟って均一の明るい表示画面を提供することができたものと考えられる。
【0063】
前記の輝度向上フィルムとしては、例えば誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体の如き、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すもの、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したものの如き、左回り又は右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものなどの適宜なものを用いうる。
【0064】
従って、前記した所定偏光軸の直線偏光を透過させるタイプの輝度向上フィルムでは、その透過光をそのまま偏光板に偏光軸を揃えて入射させることにより、偏光板による吸収ロスを抑制しつつ効率よく透過させることができる。一方、コレステリック液晶層の如く円偏光を投下するタイプの輝度向上フィルムでは、そのまま偏光子に入射させることもできるが、吸収ロスを抑制する点よりその円偏光を位相差板を介し直線偏光化して偏光板に入射させることが好ましい。なお、その位相差板として1/4波長板を用いることにより、円偏光を直線偏光に変換することができる。
【0065】
可視光域等の広い波長範囲で1/4波長板として機能する位相差板は、例えば波長550nmの淡色光に対して1/4波長板として機能する位相差層と他の位相差特性を示す位相差層、例えば1/2波長板として機能する位相差層とを重畳する方式などにより得ることができる。従って、偏光板と輝度向上フィルムの間に配置する位相差板は、1層又は2層以上の位相差層からなるものであってよい。
【0066】
なお、コレステリック液晶層についても、反射波長が相違するものの組み合わせにして2層又は3層以上重畳した配置構造とすることにより、可視光領域等の広い波長範囲で円偏光を反射するものを得ることができ、それに基づいて広い波長範囲の透過円偏光を得ることができる。
【0067】
また、偏光板は、上記の偏光分離型偏光板の如く、偏光板と2層又は3層以上の光学層とを積層したものからなっていてもよい。従って、上記の反射型偏光板や半透過型偏光板と位相差板を組み合わせた反射型楕円偏光板や半透過型楕円偏光板などであってもよい。
【0068】
液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと光学素子、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成される。本発明の楕円偏光板を用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いうる。
【0069】
液晶セルの裏側には、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明の楕円偏光板は液晶セルの片側又は両側に設置することができる。両側に光学素子を設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
【0070】
次いで有機エレクトロルミネセンス装置(有機EL表示装置)について説明する。一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入層、発光層、および電子注入層の積層体等、種々の組み合わせをもった構成が知られている。
【0071】
有機EL表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物資を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
【0072】
有機EL表示装置においては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
【0073】
このような構成の有機EL表示装置において、有機発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える。
【0074】
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス発光体を含む有機EL表示装置において、透明電極の表面側に偏光板を設けるとともに、これら透明電極と偏光板との間に位相差板を設けることができる。
【0075】
位相差板および偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差板を1 /4 波長板で構成し、かつ偏光板と位相差板との偏光方向のなす角をπ/4 に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
【0076】
すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は位相差板により一般に楕円偏光となるが、とくに位相差板が1 /4 波長板でしかも偏光板と位相差板との偏光方向のなす角がπ/4 のときには円偏光となる。
【0077】
この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、位相差板に再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
【0078】
【実施例】
以下に本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
【0079】
広帯域位相差板として、帝人(株)製のWRF(正面位相差138nm,550nmにおける位相差)を用いた。これは、R(450)<R(550)<R(650)<R(750)を満足するものであった。各波長における位相差は、順に、120nm、138nm、145nm、150nmであった。
【0080】
実施例1
広帯域位相差板(帝人(株)製,WRF:正面位相差138nm)の片面に、折率1.48のアクリル系粘着剤100重量部(固形分)に、屈折率1.43、平均粒子径4μmの透明無着色粒子を5重量部混合した組成物により、厚さ25μmの散乱粘着層を形成した。散乱粘着層のヘイズは40%であった。なお、散乱粘着層のヘイズは、村上色彩(株)製のヘイズメーター(商品名「HM−150」)により測定した。
【0081】
前記広帯域位相差板と反射防止層付きの防眩偏光板(日東電工(株)製,NPF−SEG1425DUHCARS)を、前記散乱粘着層を介して圧着積層して楕円偏光板を得た。なお、偏光板の吸収軸と広帯域位相差板(延伸フィルム)の光軸(延伸軸)の交差角は、45度とした。
【0082】
実施例2
実施例1において、透明無着色粒子の使用量を9重量部としたこと以外は実施例1と同様にして散乱粘着層を形成した。散乱粘着層のヘイズは60%であった。以降は実施例1に準じて楕円偏光板を得た。
【0083】
実施例3
実施例1において、反射防止層とは反対面に透明粘着層(25μm)が予め形成された防眩偏光板(日東電工(株)製,NPF−SEG1425DUHCARS)を用いたこと以外は実施例1と同様にして楕円偏光板を得た。
【0084】
比較例1
実施例1において、透明無着色粒子の使用量を2重量部としたこと以外は実施例1と同様にして散乱粘着層を形成した。散乱粘着層のヘイズは18%であった。以降は実施例1に準じて楕円偏光板を得た。
【0085】
比較例2
実施例1において、透明無着色粒子の使用量を28重量部としたこと、散乱粘着層の厚さを30μmとしたこと以外は実施例1と同様にして散乱粘着層を形成した。散乱粘着層のヘイズは90%であった。以降は実施例1に準じて楕円偏光板を得た。
【0086】
実施例および比較例で得られた楕円偏光板について以下の評価を行った。結果を表1に示す。
【0087】
(偏光制御性:広帯域性)
楕円偏光板を鏡面反射板の上に置き、その反射板を介した透過反射光の正面での反射色を目視観察して、偏光子・検光子兼用の偏光の制御性を調べ、次の基準で評価した。
A:反射色が黒い場合。
B:反射色が青い場合。
C:反射色が明るくて青い場合。
【0088】
(視認(視角)特性)
楕円偏光板において偏光板を除去した構造のものを鏡面反射板の上に置き、その反射板を介した透過反射光の正面と斜め45度での反射色を目視観察し、次の基準で評価した。
A:正面、斜視共に明るい場合。
B:正面は明るいが斜視の明るさが不足する場合。
C:正面、斜視共に明るさが不足する場合。
【0089】
(解像性)
楕円偏光板において偏光板を除去した構造のものを文字を印刷した鏡面反射板の上に置き、その反射板を介した透過反射光の正面と斜め45度での反射色による文字を目視観察し、次の基準で評価した。
A:正面、斜視共に文字ににじみがなく、良好に判読できる場合。
B:正面は文字ににじみがないが斜視は文字のにじみで判読不良の場合。
C:正面、斜視共に文字のにじみで判読不良の場合。
【0090】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の楕円偏光板の断面図の一例である。
【図2】本発明の楕円偏光板の断面図の一例である。
【図3】本発明の楕円偏光板の断面図の一例である。
【図4】本発明の楕円偏光板の断面図の一例である。
【図5】図4の楕円偏光板を適用した反射型液晶表示装置の断面図の一例である。
【符号の説明】
1:偏光板
2:位相差板
a:散乱粘着層
b:透明粘着層
3:機能層
10:液晶セル
11:液晶セル基板
12:透明電極
13:電極を兼ねる反射層
14:液晶
Claims (9)
- 偏光板および位相差板が粘着層を介して積層している楕円偏光板であって、
前記位相差板は、R(450)<R(550)<R(650)<R(750)、(ただし、R(450)、R(550)、R(650)、R(750)はそれぞれ波長450nm、550nm、650nm、750nmにおける位相差板の面内位相差である。)を満足する1層の高分子配向フィルムからなる広帯域λ/4板であり、
前記粘着層は、透明無着色粒子を分散含有しており、ヘイズが20〜88%である光透過性の散乱粘着層(a)を有することを特徴とする楕円偏光板。 - 粘着層が、光透過性の散乱粘着層(a)と透明無着色粒子を分散含有していない光透過性の透明粘着層(b)とを有する散乱重畳型粘着層であることを特徴とする請求項1記載の楕円偏光板。
- 高分子配向フィルムの材料が、フルオレン骨格を有するポリカーボネートを含有することを特徴とする請求項1または2記載の楕円偏光板。
- 高分子配向フィルムの材料が、ビスフェノール骨格を有するポリカーボネートを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の楕円偏光板。
- 散乱粘着層(a)に含有されている透明無着色粒子の屈折率をn1、粘着層の屈折率をn2としたとき、式:0.8<(n1/n2)<1.2を満足することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の楕円偏光板。
- 散乱粘着層(a)に含有されている透明無着色粒子の平均粒子径が0.1〜10μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の楕円偏光板。
- 散乱粘着層(a)がアクリル系粘着剤により形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の楕円偏光板。
- 偏光板が、外表面に反射防止層、防眩処理層およびハードコート層のいずれか少なくとも1層を有するものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の楕円偏光板。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の楕円偏光板が積層されていることを特徴とする画像表示装置。
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