JP2017021323A - 偏光板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】側端部にナーリング部を有する保護フィルムを用いた偏光板の製造方法であって、接着剤のはみ出しを防ぎ、偏光板や製造装置が汚染されることを抑制する製造方法を提供する。【解決手段】偏光フィルムと、前記偏光フィルムより広幅で側端部にナーリング部を有する保護フィルムとを接着剤を介在させつつ重ねて1対の貼合ロール間に通すことにより押圧して積層フィルムを得る貼合工程と、前記積層フィルムを用いて前記偏光板を得る偏光板作製工程と、を含み、前記積層フィルムにおいて、その幅方向に関し、前記接着剤で構成される接着剤層は、その側端面が前記保護フィルムの前記ナーリング部よりも実質的に内側に位置している、偏光板の製造方法。【選択図】図4

Description

本発明は、偏光フィルムの少なくとも一方の面に保護フィルムが貼合された偏光板の製造方法に関する。
偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させたものとして広く用いられており、ヨウ素を二色性色素とするヨウ素系偏光フィルムや、二色性直接染料を二色性色素とする染料系偏光フィルムなどが知られている。これらの偏光フィルムは、通常、その片面または両面に接着剤を介してトリアセチルセルロースフィルムなどの保護フィルムを貼合して、偏光板とされる。
偏光フィルムの片面または両面に保護フィルムを積層する方法として、フィルムに接着剤を塗布し、または一対のフィルム間に接着剤を供給し、一対のロール間などの押圧手段を通すことにより貼り合わせる方法がある(例えば、特開2006−88651号公報(特許文献1)、特開平11−10797号公報(特許文献2))。
なお、保護フィルムが積層された偏光フィルムは、その後巻き取られた状態で流通されたり、または一旦巻き取られた後に後工程に巻き出されて加工されたりする。積層フィルムの巻き取りの際には、積層フィルム間に空気層が存在し難いため、高い密着性を発現して、巻出しの際に、フィルム表面に傷がついたり剥がれが生じたりすることがある。かかる問題を防止するために、保護フィルムの側端部にナーリング加工と呼ばれる、微小な凹凸型付けによる厚み出し加工を施すことが知られている(例えば、特開2007−91784号公報(特許文献3))。ナーリング加工は、フィルムの巻取りによる巻きズレや巻き緩みなどの抑制にも有効である。
特開2006−88651号公報 特開平11−10797号公報 特開2007−91784号公報
しかしながら、側端部にナーリング加工が施された部分(以下、「ナーリング部」ともいう)を有する保護フィルムを用いると、フィルムの巻取りによる巻きズレや巻き緩みなどを抑制することができ、また巻き出しの際にフィルム表面に生じる傷や剥がれを防止することができるものの、保護フィルムと偏光フィルムの貼り合わせ時や貼り合わせ後の搬送時に接着剤が側端面からはみ出して、はみ出した接着剤によって積層フィルムや製造装置が汚染されるという不具合が生じることがあった。
特許文献1,2には、接着剤のはみ出しを抑制する方法が記載されているものの、側端部にナーリング部を有するフィルムを用いた貼合の際に生じる上記問題を解決するものではなかった。
本発明は、側端部にナーリング部を有する保護フィルムを用いた偏光板の製造方法であって、接着剤のはみ出しを防ぎ、偏光板や製造装置が汚染されることを抑制する製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下に示す偏光板の製造方法を提供する。
〔1〕 偏光フィルムと、前記偏光フィルムの少なくとも一方の面に貼合された保護フィルムと、を含む偏光板の製造方法であって、
偏光フィルムと、前記偏光フィルムより広幅で側端部にナーリング部を有する保護フィルムとを接着剤を介在させつつ重ねて1対の貼合ロール間に通すことにより押圧して積層フィルムを得る貼合工程と、
前記積層フィルムを用いて前記偏光板を得る偏光板作製工程と、
を含み、
前記積層フィルムにおいて、その幅方向に関し、前記接着剤で構成される接着剤層は、その側端面が前記保護フィルムの前記ナーリング部よりも実質的に内側に位置している、偏光板の製造方法。
〔2〕 前記積層フィルムにおいて、その幅方向に関し、前記保護フィルムの前記ナーリング部は前記偏光フィルムの側端面よりも外側に位置し、前記接着剤で構成される接着剤層は、その側端面が前記偏光フィルムの側端面と同じ位置または前記偏光フィルムの側端面よりも外側に位置している、〔1〕に記載の偏光板の製造方法。
〔3〕 前記貼合工程において、前記偏光フィルムの両面に前記ナーリング部を有する保護フィルムが重ねられる、〔1〕または〔2〕に記載の偏光板の製造方法。
〔4〕 前記貼合工程において、前記偏光フィルムの一方の面に前記ナーリング部を有する保護フィルムが重ねられ、他方の面にナーリング部を有しない保護フィルムが重ねられる、〔1〕または〔2〕に記載の偏光板の製造方法。
本発明によると、ナーリング部を有する保護フィルムを用いて偏光板を製造する際に、製造途中での接着剤のはみ出しを防止することができるので、はみ出した接着剤により偏光板や製造装置が汚染されるのを防ぐことができる。
片面保護フィルム付偏光板の層構成を示す概略断面図である。 両面保護フィルム付偏光板の層構成を示す概略断面図である。 貼合工程に用いる製造装置の一例を模式的に示す側面図である。 積層フィルムの側端部を示す概略断面図である。 ナーリング加工の例を模式的に示す保護フィルムの側端部の断面図である。 ナーリング加工の例を模式的に示す保護フィルムの側端部の上面図である。 ナーリング加工の例を模式的に示す保護フィルムの側端部の上面図である。 ナーリング加工の例を模式的に示す保護フィルムの側端部の上面図である。 ナーリング加工の例を模式的に示す保護フィルムの側端部の上面図である。 ナーリング加工の例を模式的に示す保護フィルムの側端部の上面図である。 図6に示す形態のナーリング部の最小単位の一例を模式的に示す図である。 図8に示す形態のナーリング部の最小単位の一例を模式的に示す図である。 積層フィルムの側端部の一例を示す概略断面図である。 積層フィルムの側端部の一例を示す概略断面図である。 積層フィルムの側端部の一例を示す概略断面図である。
[偏光板]
本発明は、偏光フィルムの少なくとも一方の面に保護フィルムが貼合された偏光板の製造方法に関する。図1は、本発明に係る偏光板の層構成の一例を示す概略断面図である。図1に示される偏光板1のように本発明に係る偏光板は、偏光フィルム5と、その一方の面上に積層される第1保護フィルム7とを備える片面保護フィルム付偏光板であることができる。第1保護フィルム7は、第1接着剤層6を介して偏光フィルム5上に積層することができる。
また本発明に係る偏光板は、偏光フィルム5の他方の面に保護フィルムをさらに貼合したものであってもよく、具体的には、図2に示される偏光板2のように、偏光フィルム5と、その一方の面上に積層される第1保護フィルム7と、他方の面上に積層される第2保護フィルム9とを備える両面保護フィルム付偏光板であることもできる。第2保護フィルム9は、第2接着剤層8を介して偏光フィルム5上に積層することができる。
本発明に係る偏光板は、液晶表示装置のような画像表示装置に組み込まれるとき、液晶セルのような画像表示素子の視認(前面)側に配置される偏光板であってもよいし、画像表示素子の背面側(例えば液晶表示装置のバックライト側)に配置される偏光板であってもよい。
[偏光板の製造方法]
以下、図3を参照しながら、実施の形態を示して本発明に係る両面保護フィルム付偏光板の製造方法について詳細に説明する。本実施形態に係る両面保護フィルム付偏光板の製造方法は、次の工程:
(1)偏光フィルムの両面に、偏光フィルムより広幅で側端部にナーリング部を有する保護フィルムを接着剤を介在させつつ重ねて1対の貼合ロール間に通すことにより押圧して積層フィルムを得る貼合工程と、
(2)上記(1)で得られた積層フィルムを用いて偏光板を得る偏光板作製工程と、を含む。
<貼合工程>
図3を参照して貼合工程を説明する。図3は、貼合工程に用いる製造装置の一例を模式的に示す側面図である。本発明に係る偏光板は、図3に示されるように、長尺のフィルムを連続的に巻き出して搬送しながら各工程における処理を施すことにより、長尺品として連続的に製造することができる。ただし本発明の製造方法は、このような長尺のフィルムを用いた連続生産に限定されるものではなく、枚葉フィルムを用いた方法であってもよい。
本工程ではまず、長尺の偏光フィルム5のロール(巻回品)、長尺の第1保護フィルム7のロール及び長尺の第2保護フィルム9のロールを用意し、これらを図示しない巻き出し装置を用いて連続的に巻き出しながらフィルム搬送を行う。長尺の第1保護フィルム7のロール及び長尺の第2保護フィルム9のロールは、予め後述のナーリング加工が施された保護フィルムが巻き取られて形成されたものである。各フィルムは、それらの長手方向が搬送方向となるように搬送される。フィルムの搬送経路には適宜、走行するフィルムを支持するガイドロール60が設けられる。図3における矢印は、フィルムの搬送方向又は各種ロールの回転方向を示す。通常、偏光フィルム5の搬送方向(フィルム長手方向)と第1保護フィルム7の搬送方向(フィルム長手方向)と第2保護フィルム9の搬送方向(フィルム長手方向)とは平行である。
本工程では、偏光フィルム5の一方の面に接着剤55で構成される第1接着剤層6(図3において図示せず)を介して第1保護フィルム7を長手方向(搬送方向)が平行となるように重ねるとともに、偏光フィルム5の他方の面に接着剤50で構成される第2接着剤層8を介して第2保護フィルム9を長手方向(搬送方向)が平行となるように重ねて1対の貼合ロール40,40間に通すことにより押圧して積層フィルム20を得る。
この際、貼合ロール40,40間に通す手前で、注入装置70,71を用いて、偏光フィルム5と第1保護フィルム7との間に接着剤55を注入するとともに、偏光フィルム5と第2保護フィルム9との間に接着剤50を注入することにより、これらのフィルム間に接着剤55からなる層(第1接着剤層6)及び接着剤50からなる層(第2接着剤層8)をそれぞれ介在させることができる。
なお、接着剤55からなる層(第1接着剤層6)及び接着剤50からなる層(第2接着剤層8)を介在させるための装置は、図3に示されるような注入装置70,71に限定されるものではなく、例えば接着剤55,50の粘度等に応じて、ドクターブレード法、ワイヤーバーコート法、ダイコート法、カンマコーター法、グラビアコート法、ディップコート法、流延法のような塗工方式を適宜選択し、接着剤55,50を介して重ね合わされる少なくとも一方のフィルムの貼合面に塗工するようにしてもよい。
図4は、貼合ロール40,40間を通して押圧して得られた積層フィルム20の側端部の一例を示す概略断面図である。積層フィルム20の製造に用いられる第1保護フィルム7及び第2保護フィルム9は、偏光フィルム5より広幅で両側端部(図4においては一方の側端部のみ示す)にナーリング部7a,9a(ナーリング部7a,9aをナーリング部Aとしても示す)を有する。図4においては、ナーリング部分7a,9aの境界を点線で示す。積層フィルム20において、第1保護フィルム7及び第2保護フィルム9のナーリング部7a,9aは偏光フィルム5の側端面5aよりも外側に位置している。第1接着剤層6は、その側端面6aが偏光フィルム5の側端面5aと同じ位置または偏光フィルム5の側端面5aよりも外側に位置し、かつ第1保護フィルム7のナーリング部7aよりも実質的に内側に位置している。同じく第2接着剤層8は、その側端面8aが偏光フィルム5の端面5aと同じ位置または偏光フィルム5の端面5aよりも外側に位置し、かつ第2保護フィルム9のナーリング部9aよりも実質的に内側に位置している。
ナーリング部を備える保護フィルムにおいては、ナーリング部に接着剤が溜まりやすい傾向がある。ナーリング部に溜まった接着剤は、押圧時や搬送時に積層フィルムの端面からはみ出しやすい。積層フィルムの端面から接着剤がはみ出すと、はみ出した接着剤によって積層フィルムや、搬送ロール等の製造装置が汚染されることになる。本実施形態では、積層フィルム20において、図4に示すように、第1接着剤層6の側端面6aが第1保護フィルム7のナーリング部7aよりも実質的に内側に位置し、第2接着剤層8の側端面8aが第2保護フィルム9のナーリング部9aよりも内側に位置していることにより、貼合ロール40,40の通過時や、その後積層フィルム20を搬送する際に、接着剤が積層フィルム20の端面からはみ出すことを防止することができる。
なお、第1接着剤層6の側端面6aが第1保護フィルム7のナーリング部7aよりも実質的に内側に位置し、第2接着剤層8の側端面8aが第2保護フィルム9のナーリング部9aよりも実質的に内側に位置しているとは、積層フィルム製造時のフィルムの蛇行やシワ及び接着剤供給量の変動等の振れによって、積層フィルムの一部において、第1接着剤層6の側端面6aが第1保護フィルム7のナーリング部7aよりも内側に位置しない場合や、第2接着剤層8の側端面8aが第2保護フィルム9のナーリング部9aよりも内側に位置しない場合を含む。換言すれば、連続的にまたは断続的に第1接着剤層6の側端面6aが第1保護フィルム7のナーリング部7aよりも内側に位置せず、第2接着剤層8の側端面8aが第2保護フィルム9のナーリング部9aよりも内側に位置しない場合以外の全ての場合を含む。
なお、第1接着剤層6の側端面6aが第1保護フィルム7のナーリング部7aよりも実質的に内側に位置し、同じく第2接着剤層8の側端面8aが第2保護フィルム9のナーリング部9aよりも実質的に内側に位置していることにより、積層フィルム20を搬送する際の積層フィルム20の端面からの接着剤のはみ出しを抑制することができる。したがって、偏光フィルム5の側端面5aは、図4に示すような第1保護フィルム7及び第2保護フィルム9のナーリング部7a,9aよりも内側に位置している態様に限定されることなく、外側に位置していてもよい。ただし、後述するように偏光フィルム5は一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させたものであることが一般的であり、このような偏光フィルム5は裂けやすい性質を有している。よって、偏光フィルム5の側端面5aが第1保護フィルム7及び第2保護フィルム9のナーリング部7a,9aよりも外側に位置している場合には、偏光フィルム5の側端部の一部が第1保護フィルム7及び第2保護フィルム9に接着されていない領域を有することとなり、搬送する際に偏光フィルム5が裂けて工程内異物となる虞がある。よって、図4に示すように、第1保護フィルム7及び第2保護フィルム9は偏光フィルム5より広幅のものを用いることが好ましい。第1保護フィルム7及び第2保護フィルム9のナーリング部7a,9aが偏光フィルム5の側端面5aよりも外側に位置し、第1接着剤層6及び第2接着剤層8の側端面6a,8aが偏光フィルム5の端面5aと同じ位置または偏光フィルム5の端面5aよりも外側に位置するように積層フィルム20を製造することで、偏光フィルム5が第1保護フィルム7及び第2保護フィルム9によって保護されることとなり、搬送する際に偏光フィルム5が裂けることを防止することが出来る。
広幅の程度は限定されないが、例えば偏光フィルム5の幅の1.03〜1.1倍の幅を有する保護フィルムを用いることができる。貼合工程においては、偏光フィルム5、第1保護フィルム7及び第2保護フィルム9の幅方向の中心位置が略一致するように貼合することが好ましい。
積層フィルム20において、第1接着剤層6及び第2接着剤層8の幅方向の位置関係を図4に示すように調整する方法としては、接着剤55,50の供給量を調整する方法、供給した接着剤55,50を積層フィルム20の端部から吸引手段を用いて吸引することにより調整する方法、これらの方法を組み合わせる方法などが挙げられる。吸引手段を設ける位置は限定されないが、例えば貼合ロール40,40を通過する位置で接着剤が吸引されるように設けることができる。
偏光フィルム5に第1保護フィルム7及び第2保護フィルム9を貼合するにあたり、偏光フィルム5の貼合面、及び第1保護フィルム7又は第2保護フィルム9の貼合面の少なくとも一方の貼合面に、接着性を向上させるために、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理のような易接着処理を行うことができる。これらの中では、プラズマ処理、コロナ処理又はケン化処理を行うことが好ましい。例えば環状ポリオレフィン系樹脂からなる第1保護フィルム7及び第2保護フィルム9を用いる場合には、第1保護フィルム7及び第2保護フィルム9の貼合面にプラズマ処理やコロナ処理を施すことができる。また、セルロースエステル系樹脂からなる第1保護フィルム7及び第2保護フィルム9を用いる場合には、第1保護フィルム7及び第2保護フィルム9の貼合面にケン化処理を施すことができる。ケン化処理としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのようなアルカリ水溶液に浸漬する方法が挙げられる。
(偏光フィルム)
偏光フィルム5は、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させたものであることができる。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体が例示される。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類等が挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、80.0〜100.0モル%の範囲であることができるが、好ましくは90.0〜100.0モル%の範囲であり、より好ましくは94.0〜100.0モル%の範囲である。ケン化度が80.0モル%未満であると、得られる片面保護偏光板の耐水性及び耐湿熱性が低下する。
ケン化度とは、ポリビニルアルコール系樹脂の原料であるポリ酢酸ビニル系樹脂に含まれる酢酸基(アセトキシ基:−OCOCH3)がケン化工程により水酸基に変化した割合をユニット比(モル%)で表したものであり、下記式:
ケン化度(モル%)=100×(水酸基の数)/(水酸基の数+酢酸基の数)
で定義される。ケン化度は、JIS K 6726(1994)に準拠して求めることができる。ケン化度が高いほど、水酸基の割合が高いことを示しており、従って結晶化を阻害する酢酸基の割合が低いことを示している。
ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、好ましくは100〜10000であり、より好ましくは1500〜8000であり、さらに好ましくは2000〜5000である。ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度もJIS K 6726(1994)に準拠して求めることができる。平均重合度が100未満では好ましい偏光性能を得ることが困難であり、10000超では溶媒への溶解性が悪化し、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの形成が困難になってしまう。
偏光フィルム5に含有(吸着配向)される二色性色素は、ヨウ素又は二色性有機染料であることができる。二色性有機染料の具体例は、レッドBR、レッドLR、レッドR、ピンクLB、ルビンBL、ボルドーGS、スカイブルーLG、レモンイエロー、ブルーBR、ブルー2R、ネイビーRY、グリーンLG、バイオレットLB、バイオレットB、ブラックH、ブラックB、ブラックGSP、イエロー3G、イエローR、オレンジLR、オレンジ3R、スカーレットGL、スカーレットKGL、コンゴーレッド、ブリリアントバイオレットBK、スプラブルーG、スプラブルーGL、スプラオレンジGL、ダイレクトスカイブルー、ダイレクトファーストオレンジS、ファーストブラックを含む。二色性色素は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
偏光フィルム5は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程;ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色することにより、二色性色素を吸着させる工程;二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程;及び、ホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程、を経て製造することができる。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、上述したポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものである。製膜方法は、特に限定されるものではなく、溶融押出法、溶剤キャスト法のような公知の方法を採用することができる。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの厚みは、例えば10〜150μm程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸は、二色性色素の染色前、染色と同時、又は染色の後に行うことができる。一軸延伸を染色の後で行う場合、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前又はホウ酸処理中に行ってもよい。また、これらの複数の段階で一軸延伸を行ってもよい。
一軸延伸にあたっては、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、一軸延伸は、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、溶剤を用い、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は通常、3〜8倍程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色する方法としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素が含有された水溶液(染色溶液)に浸漬する方法が採用される。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理の前に水への浸漬処理(膨潤処理)を施しておくことが好ましい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は、通常、ヨウ素及びヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この染色水溶液におけるヨウ素の含有量は通常、水100重量部あたり0.003〜1重量部程度である。また、ヨウ化カリウムの含有量は通常、水100重量部あたり0.1〜20重量部程度である。染色水溶液の温度は通常、20〜40℃程度である。また、染色水溶液への浸漬時間(染色時間)は通常、20〜600秒程度である。
一方、二色性色素として二色性有機染料を用いる場合は、通常、水溶性の二色性有機染料を含む染色水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。染色水溶液における二色性有機染料の含有量は通常、水100重量部あたり1×10-4〜10重量部程度であり、1×10-3〜1重量部程度が好ましい。この染色水溶液は、硫酸ナトリウム等の無機塩を染色助剤として含有していてもよい。染色水溶液の温度は通常、20〜80℃程度である。また、染色水溶液への浸漬時間(染色時間)は通常、20〜600秒程度である。
二色性色素による染色後のホウ酸処理は、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸含有水溶液に浸漬することにより行うことができる。
ホウ酸含有水溶液におけるホウ酸の量は通常、水100重量部あたり、2〜15重量部程度であり、5〜12重量部が好ましい。二色性色素としてヨウ素を用いる場合には、このホウ酸含有水溶液はヨウ化カリウムを含有することが好ましい。ホウ酸含有水溶液におけるヨウ化カリウムの量は通常、水100重量部あたり、0.1〜20重量部程度であり、5〜15重量部程度が好ましい。ホウ酸含有水溶液への浸漬時間は通常、10〜600秒程度であり、60〜420秒程度が好ましく、90〜300秒程度がより好ましい。ホウ酸含有水溶液の温度は通常、50℃以上であり、50〜85℃が好ましく、60〜80℃がより好ましい。
ホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムは通常、水洗処理される。水洗処理は、例えば、ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬することにより行うことができる。水洗処理における水の温度は通常、1〜40℃程度である。また、浸漬時間は通常、1〜120秒程度である。
水洗後は乾燥処理が施されて、偏光フィルム5が得られる。乾燥処理は、熱風を吹き付ける方法、熱ロールに接触させる方法、IRヒーターで加熱する方法など、種々の方法があるが、いずれも好適に用いることができる。熱ロールに接触させて乾燥させる方法は、乾燥効率が向上するため乾燥時間を短縮化することができ、またフィルムの幅方向の収縮を抑制して広幅化が可能である等の点で好適である。なお、乾燥工程における乾燥温度とは、熱風を吹き付ける方法やIRヒーターなどのように乾燥炉を設ける乾燥設備の場合には乾燥炉内の雰囲気温度を意味し、熱ロールのような接触型の乾燥設備の場合には、熱ロールの表面温度を意味する。
乾燥処理の温度は通常、30〜100℃程度であり、50〜80℃が好ましい。乾燥処理の時間は通常、60〜600秒程度であり、120〜600秒が好ましい。偏光フィルム5の厚みは通常、2〜40μm程度である。
乾燥処理によって、偏光フィルム5の水分率は実用程度にまで低減される。その水分率は通常5〜45重量%となるように調整され、より好ましくは7〜40重量%に調整される。5重量%より低い場合、偏光フィルム5の可撓性が失われ、偏光フィルム5がその乾燥後に損傷したり、破断したりする場合がある、45重量%より高い場合、保護フィルムとの密着性が十分に発現し難くなり、外観の不良やフィルムがライン中で破断して工程を汚染するといった問題が発生し易くなる。
(第1保護フィルム)
本実施形態の貼合工程で用いられる第1保護フィルム7として、両側端部にナーリング加工が施されたナーリング部を有する保護フィルムを用いる。ナーリング加工とは、微小な凹凸を付与する加工のことをいう。
図5(A)〜(C)は、ナーリング加工の例を模式的に示す保護フィルムの側端部の断面図である。図5(A)は、片面(図では上面)に凸部を設け、反対側の面(図では下面)には該凸部に対応する位置に凹部を設けた例であり、図5(B)は、片面(図では上面)に凸部及び凹部を設け、反対側の面(図では下面)は平滑面とした例であり、図5(C)は、両面に凸部及び凹部を設けた例である。
本発明においてナーリング部とは、保護フィルムの側端部において両面のいずれかの面で凸部又は凹部の形成が開始される幅方向の位置の内、一番内側の位置から側端までをナーリング部という。本発明において、第1保護フィルム7に施されているナーリング加工は、図5(A)〜(C)のいずれの形態であってもよくまたこれらの形態に限定されないが、図5(B)に示すように片面が平滑面である場合は、平滑面でない方の面が、貼合工程において偏光フィルム5側に位置するように用いられるものとする。本発明は、ナーリング部における凸部又は凹部が接着剤にもたらす作用によって引き起こされる不都合を解決するために特に効果的であるからである。
ナーリング部の幅は、具体的には、片側端部あたり30mm以下とすることができ、さらに20mm以下、なおさらに15mm以下とすることができる。また、片側端部あたり通常1mm以上であり、好ましくは2mm以上、さらに好ましくは5mm以上である。各側端部の幅は、フィルム全体の幅の0.5〜5%の範囲であることが好ましく、1〜2%の範囲内であることがより好ましい。0.5%未満であると、ナーリング部の幅が狭すぎるために、ナーリング効果が低減する場合がある。また、5%を超えると、光学特性を発揮させる有効部分が狭くなり、製造コストが上昇する場合がある。第1保護フィルム7の全幅は、通常300〜2500mm程度であり、より典型的には500〜2000mm程度である。
ナーリング加工により設ける凸部や凹部の形状として、図5(A)〜(C)の各例では台形を示したが、この台形は、円錐台形であってもよいし、角柱台形であってもよい。また、台形以外の形状としては、例えば、円柱や角柱、円錐や角錐などが挙げられ、不定形であってもよい。2種以上の形状を混在させることも可能である。
ナーリング高さは、好ましくは1〜20μm、より好ましくは2〜10μm、さらに好ましくは3〜6μmである。ここで、ナーリング高さとは、ナーリング部の厚みから、ナーリング加工が施されていない部分の厚みを差し引いた値であり、図5(A)〜(C)の各例では、ナーリング部の厚みt’から、ナーリング加工が施されていない部分の厚みtを差し引いた「t’−t」の値である。ナーリング部の厚みt’とナーリング加工が施されていない部分の厚みtは、例えば、(株)ニコン製のデジタルマイクロメーター「MH−15M」のような膜厚計を用いて測定することができる。ナーリング高さがあまり小さいと、フィルムの巻き取り外観不良を十分に抑制できず、あまり大きいと、ナーリング加工時や加工後にフィルムが破断し易くなる。なお、ナーリング加工が施されていない部分が厚み較差を有する場合は、その平均厚みを用いてナーリング高さを算出すればよいが、その際、ナーリング高さが該較差を上回るようにするのがよい。
また、ナーリング加工が施されていない部分の厚み、すなわち第1保護フィルム7の厚みは、偏光板の薄膜化の観点から薄いことが好ましいが、薄すぎると強度が低下して加工性に劣る。5〜90μm以下であることが好ましく、より好ましくは5〜60μm、さらに好ましくは5〜50μmである。
また、ナーリング加工により設ける凸部や凹部は、連続的であっても、非連続的であってもよい。凸部や凹部が連続的であるとは、凸部や凹部が長手方向、幅方向、斜め方向等の所定の方向に延在するように設けられていることを意味する。一方、凸部や凹部が非連続的であるとは、凸部や凹部の最小単位が、長手方向、幅方向、斜め方向等の所定の方向に、互いに接点を持たずに独立して繰り返し配列されていることを意味する。非連続的な形態において、最小単位の上面形状は限定されることはなく、線状、円形状、多角形状等が例示される。これらの最小単位は、周縁部のみが凸状または凹状に形成されていても、全体が凸状または凹状に形成されていてもよい。図6〜図10に非連続である形態を例示する。
図6はナーリング部Aに形成される最小単位101が直線状である例を、図7はナーリング部Aに形成される最小単位102が半円曲線状である例を、図8はナーリング部Aに形成される最小単位103が三角形状である例を、図9はナーリング部Aに形成される最小単位104が四角形状である例を、図10はナーリング部Aに形成される最小単位105が円形状である例を、模式的に示す保護フィルムの側端部の上面図である。ナーリング部Aにおいて、最小単位は、図6〜図10に示すように同じ形状の最小単位が配列されていてもよいし、異なる形状の最小単位が配列されていてもよい。
個々の最小単位をナーリング部A内に配置する際の最小単位の配向(向き)は特に制限されないが、例えば図7に示されるように、ある任意の対称線に関して非対称な形状を、上記対称線がフィルム幅方向と平行又は略平行になるような配向(向き)で配置すれば、最小単位を目印として第1保護フィルム7の前後の向きを判別することが容易となる。また図8に示されるように、最小単位を、上記対称線がフィルム長手方向と平行又は略平行になるような配向(向き)で配置すれば、最小単位を目印として熱可塑性樹脂フィルム3の左右の向きを判別することが容易となる。第1保護フィルム7の片面にのみ最小単位を付与すれば、当該フィルムの裏表の判別が容易となる。第1保護フィルム7の一方の側端部に設けられる最小単位によるパターンと、他方の側端部に設けられる最小単位によるパターンとを異ならせることもできる。
最小単位の最長部の長さは特に限定されないが、例えば、0.2〜10mmである。また、ナーリング部Aにおける最小単位の数密度は特に限定されないが、1000個/cm以下であることが好ましく、200個/cm以下であることがより好ましい。1000個/cmを超えると、ナーリング部Aでの破断が発生しやすくなる場合がある。
第1保護フィルム7は、典型的には、樹脂組成物を成形して、一旦、ナーリング加工が施されていないフィルムを製膜し、次いでこのフィルムにナーリング加工を施すことにより製造することができる。ここで、上記樹脂組成物の成形方法としては、例えば、溶融流延法、溶融押出法、カレンダー法などが挙げられるが、中でも、表面平滑性の高いフィルムの製膜が容易であることから、上記樹脂組成物をフィルム状に溶融押出し、該フィルム状物を一対の鏡面ロールに挟み込んで成形する方法が好ましく用いられる。また、ナーリング加工は、得られたフィルムの少なくとも側端部を、所定の表面形状を有する一対のロール、具体的には、ロール表面のフィルム側端部が接触する位置に、該フィルム側端部に設けるべき凸部や凹部の逆形状に相当する凹部や凸部を有する一対のロールで挟み込むことにより、好適に行うことができる。その際、ロールやフィルムは必要により加熱してもよいが、いわゆる冷間機械法により加熱せずに行うのが、簡便で有利である。また、ロール表面の凹部の深さや凸部の高さは、フィルムの弾性による型戻りを考慮して、フィルムに設けるべき凸部の高さや凹部の深さより大きくしておくのがよい。
また、第1保護フィルム7は、樹脂組成物を成形してフィルムを製膜する際に、製膜と同時にナーリング加工を施すことによっても製造することができる。ここで、上記樹脂組成物の成形方法としては、上記樹脂組成物をフィルム状に溶融押出し、該フィルム状物を一対のロールに挟み込んで成形する方法が好ましく用いられ、その際、ロール表面に所定の表面形状、具体的には、ロール表面のフィルム側端部が接触する位置に、該フィルム側端部に設ける凸部や凹部の逆形状に相当する凹部や凸部を設けておくことにより、製膜と同時にナーリング加工を行うことができる。また、第1保護フィルム7の厚みは、製膜速度やロール間隙などにより調節することができる。
ナーリング加工は、上記方法に限定されることはなく、レーザー加工により行うこともできる。レーザー加工による場合は、レーザー光を照射した部分が凹状になり、レーザー光を照射した部分の周縁が盛り上がり凸状となる。凹状部分と凸状部分との組み合わせが一つの最小単位を構成する。図11は、図6に示す形態のナーリング部をレーザー加工により形成した場合の最小単位の一例を、図12は、図8に示す形態のナーリング部をレーザー加工により形成した場合の最小単位の一例を示す。図11(A)に示す最小単位101aは、図11(B)に示す矢印106に沿ってレーザー光を照射することにより形成することができ、この場合、レーザー光の照射部分は凹状となり、その周縁は凸状101bとなる。図12(A)に示す最小単位103aは、図12(B)に示す矢印106に沿ってレーザー光を照射することにより形成することができ、この場合、レーザー光の照射部分は凹状となり、その周縁は凸状103bとなる。
最小単位における凹状部分の幅及び凸状部分の高さは、レーザー光の出力及び集光径の調整によって制御できる。レーザー光照射部において、溶融による貫通穴が形成されてもよいが、フィルム強度を考慮すると、貫通しない程度の出力でレーザー光を照射することが好ましい。
レーザー光としては、例えば、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、XeClエキシマレーザー、YAGレーザー;YLF、YVO等の固体レーザー;Ti:Sレーザー;半導体レーザー;ファイバーレーザー;炭酸ガスレーザー等を用いることができる。
レーザー光の集光径は、凹部の幅に応じて適宜設定され得る。したがって、集光径を調節することにより、凹部の幅の制御が可能になる。集光径は、50〜500μmであることが好ましく、200〜300μmであることがより好ましい。集光径が50μm未満であると、凹部のピッチ間隔が大きくなり過ぎて、ナーリング効果が低減する場合がある。また、集光径が500μmを超えると、ナーリング部での破断が発生し易くなる場合がある。
第1保護フィルム7は、熱可塑性樹脂、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂等)、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂等)のようなポリオレフィン系樹脂;セルローストリアセテート、セルロースジアセテートのようなセルロースエステル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリメタクリル酸メチル系樹脂のような(メタ)アクリル系樹脂;又はこれらの混合物、共重合物等からなる透明樹脂フィルムであることができる。
鎖状ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂のような鎖状オレフィンの単独重合体の他、2種以上の鎖状オレフィンからなる共重合体を挙げることができる。より具体的な例は、ポリプロピレン系樹脂(プロピレンの単独重合体であるポリプロピレン樹脂や、プロピレンを主体とする共重合体)、ポリエチレン系樹脂(エチレンの単独重合体であるポリエチレン樹脂や、エチレンを主体とする共重合体)を含む。
環状ポリオレフィン系樹脂は、環状オレフィンを重合単位として重合される樹脂の総称であり、例えば、特開平1−240517号公報、特開平3−14882号公報、特開平3−122137号公報等に記載されている樹脂が挙げられる。環状ポリオレフィン系樹脂の具体例を挙げれば、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレンのような鎖状オレフィンとの共重合体(代表的にはランダム共重合体)、及びこれらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト重合体、並びにそれらの水素化物等である。中でも、環状オレフィンとしてノルボルネンや多環ノルボルネン系モノマー等のノルボルネン系モノマーを用いたノルボルネン系樹脂が好ましく用いられる。
セルロースエステル系樹脂は、セルロースと脂肪酸とのエステルである。セルロースエステル系樹脂の具体例は、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリプロピオネート、セルロースジプロピオネートを含む。また、これらの共重合物や、水酸基の一部が他の置換基で修飾されたものを用いることもできる。これらの中でも、セルローストリアセテート(トリアセチルセルロース:TAC)が特に好ましい。
ポリエステル系樹脂は、エステル結合を有する樹脂であり、多価カルボン酸又はその誘導体と多価アルコールとの重縮合体からなるものが一般的である。多価カルボン酸又はその誘導体としては2価のジカルボン酸又はその誘導体を用いることができ、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ジメチルテレフタレート、ナフタレンジカルボン酸ジメチル等が挙げられる。多価アルコールとしては2価のジオールを用いることができ、例えばエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。好適なポリエステル系樹脂の例は、ポリエチレンテレフタレートを含む。
ポリカーボネート系樹脂は、カルボナート基を介してモノマー単位が結合された重合体からなるエンジニアリングプラスチックであり、高い耐衝撃性、耐熱性、難燃性、透明性を有する樹脂である。ポリカーボネート系樹脂は、光弾性係数を下げるためにポリマー骨格を修飾したような変性ポリカーボネートと呼ばれる樹脂や、波長依存性を改良した共重合ポリカーボネート等であってもよい。
(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を主な構成モノマーとする樹脂である。(メタ)アクリル系樹脂の具体例は、例えば、ポリメタクリル酸メチルのようなポリ(メタ)アクリル酸エステル;メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体;メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体;メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体;(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂等);メタクリル酸メチルと脂環族炭化水素基を有する化合物との共重合体(例えば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体等)を含む。好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸メチルのようなポリ(メタ)アクリル酸C1-6アルキルエステルを主成分とする重合体が用いられ、より好ましくは、メタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%)とするメタクリル酸メチル系樹脂が用いられる。
第1保護フィルム7は、位相差フィルム、輝度向上フィルムのような光学機能を併せ持つ保護フィルムであることもできる。例えば、上記材料からなる透明樹脂フィルムを延伸(一軸延伸又は二軸延伸等)したり、該フィルム上に液晶層等を形成したりすることにより、任意の位相差値が付与された位相差フィルムとすることができる。
第1保護フィルム7を視認側に配置して用いる場合は、第1保護フィルム7の偏光フィルム5とは反対側の表面には、ハードコート層、防眩層、反射防止層、帯電防止層、防汚層のような表面処理層(コーティング層)を形成することもできる。第1保護フィルム7の表面に表面処理層を形成する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
(第2保護フィルム)
第2保護フィルム9の材質や構成については、第1保護フィルム7について記述した内容が引用される。第1保護フィルム7と第2保護フィルム9とは、同種のフィルムであってもよいし、異種のフィルムであってもよい。また、上記形態においては第1保護フィルム7及び第2保護フィルム9として、ともにナーリング部を有する保護フィルムを用いた場合について示したが、一方のみがナーリング部を有する保護フィルムを用いた形態であってもよい。
(接着剤)
接着剤55,50としては、水系接着剤、活性エネルギー線硬化性接着剤を挙げることができる。通常、水系接着剤を用いた場合の方が活性エネルギー線硬化性接着剤を用いた場合よりも貼合工程に用いる接着剤の量が多くなり、接着剤のはみ出しの問題が生じやすく、したがって接着剤のはみ出しを抑制することができるとの本発明の効果は水系接着剤を用いた場合により顕著である。水系接着剤は、接着剤成分を水に溶解したもの又は水に分散させたものである。好ましく用いられる水系接着剤は、例えば、主成分としてポリビニルアルコール系樹脂又はウレタン樹脂を用いた接着剤組成物である。水系接着剤から形成される第1接着剤層6又は第2接着剤層8が形成される場合、その厚みは通常、1μm以下である。
接着剤の主成分としてポリビニルアルコール系樹脂を用いる場合、当該ポリビニルアルコール系樹脂は、部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコールのほか、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、メチロール基変性ポリビニルアルコール、アミノ基変性ポリビニルアルコールのような変性されたポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。ポリビニルアルコール系樹脂は、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルをケン化処理して得られるビニルアルコールホモポリマーのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体をケン化処理して得られるポリビニルアルコール系共重合体であってもよい。
ポリビニルアルコール系樹脂を接着剤成分とする水系接着剤は通常、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液である。接着剤中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、水100重量部に対して、通常1〜10重量部、好ましくは1〜5重量部である。
ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤には、接着性を向上させるために、多価アルデヒド、メラミン系化合物、ジルコニア化合物、亜鉛化合物、グリオキザール、グリオキザール誘導体、水溶性エポキシ樹脂のような硬化性成分や架橋剤を添加することが好ましい。水溶性エポキシ樹脂としては、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアルキレンポリアミンと、アジピン酸等のジカルボン酸との反応で得られるポリアミドアミンに、エピクロロヒドリンを反応させて得られるポリアミドポリアミンエポキシ樹脂を好適に用いることができる。かかるポリアミドポリアミンエポキシ樹脂の市販品としては、「スミレーズレジン650」(田岡化学工業(株)製)、「スミレーズレジン675」(田岡化学工業(株)製)、「WS−525」(日本PMC(株)製)等が挙げられる。これら硬化性成分や架橋剤の添加量(硬化性成分及び架橋剤として共に添加する場合にはその合計量)は、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、通常1〜100重量部、好ましくは1〜50重量部である。上記硬化性成分や架橋剤の添加量がポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して1重量部未満である場合には、接着性向上の効果が小さくなる傾向にあり、また、上記硬化性成分や架橋剤の添加量がポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して100重量部を超える場合には、接着剤層が脆くなる傾向にある。
また、接着剤の主成分としてウレタン樹脂を用いる場合、適当な接着剤組成物の例として、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とグリシジルオキシ基を有する化合物との混合物を挙げることができる。ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とは、ポリエステル骨格を有するウレタン樹脂であって、その中に少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。かかるアイオノマー型ウレタン樹脂は、乳化剤を使用せずに直接、水中で乳化してエマルジョンとなるため、水系の接着剤として好適である。
水系接着剤を用いた場合は積層フィルムを形成した後に、通常水系接着剤を乾燥させる工程を設ける。乾燥方法としては、特に制限されず、熱風乾燥機や赤外線ヒーター等を用いることができる。
乾燥温度は、好ましくは30〜95℃である。30℃未満であると、接着剤を十分に乾燥できない場合がある。また乾燥温度が95℃を超えると、熱によって偏光フィルム5の偏光性能が劣化するおそれがある。乾燥時間は10〜1000秒程度とすることができ、生産性の観点からは、好ましくは60〜750秒、より好ましくは150〜600秒である。
活性エネルギー線硬化性接着剤は、紫外線、可視光、電子線、X線のような活性エネルギー線の照射によって硬化し得る接着剤である。活性エネルギー線硬化性接着剤としては、カチオン重合によって硬化するエポキシ系化合物を硬化性成分とする活性エネルギー線硬化性接着剤をより好ましく用いることができ、さらに好ましくはかかるエポキシ系化合物を硬化性成分とする紫外線硬化性接着剤である。ここでいうエポキシ系化合物とは、分子内に平均1個以上、好ましくは2個以上のエポキシ基を有する化合物を意味する。エポキシ系化合物は、1種のみを単独で使用してもよいし、あるいは2種以上を併用してもよい。
好適に使用できるエポキシ系化合物の例は、芳香族ポリオールの芳香環に水素化反応を行って得られる脂環式ポリオールに、エピクロロヒドリンを反応させることにより得られる水素化エポキシ系化合物(脂環式環を有するポリオールのグリシジルエーテル);脂肪族多価アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテルのような脂肪族エポキシ系化合物;脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に1個以上有するエポキシ系化合物である脂環式エポキシ系化合物を含む。
活性エネルギー線硬化性接着剤は、硬化性成分としてラジカル重合性である(メタ)アクリル系化合物をさらに含有することもできる。(メタ)アクリル系化合物としては、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートモノマー;官能基含有化合物を2種以上反応させて得られ、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートオリゴマー等の(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物を挙げることができる。
活性エネルギー線硬化性接着剤は、カチオン重合によって硬化するエポキシ系化合物を硬化性成分として含む場合、光カチオン重合開始剤を含有することが好ましい。光カチオン重合開始剤としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩;芳香族ヨードニウム塩や芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩;鉄−アレン錯体等を挙げることができる。また、活性エネルギー線硬化性接着剤が(メタ)アクリル系化合物のようなラジカル重合性硬化性成分を含有する場合は、光ラジカル重合開始剤を含有することが好ましい。光ラジカル重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系開始剤、ベンゾフェノン系開始剤、ベンゾインエーテル系開始剤、チオキサントン系開始剤、キサントン、フルオレノン、カンファーキノン、ベンズアルデヒド、アントラキノン等を挙げることができる。
活性エネルギー線硬化性接着剤を用いる場合には、積層フィルムを形成した後にこれよりなる接着剤層を硬化させる硬化工程を実施する。当該接着剤層の硬化は、活性エネルギー線を照射することにより行うことができる。活性エネルギー線は、好ましくは紫外線である。
活性エネルギー線の光源は特に限定されないが、波長400nm以下に発光分布を有する活性エネルギー線が好ましく、具体的には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等が好ましく用いられる。
活性エネルギー線硬化性接着剤からなる接着剤層への活性エネルギー線照射強度は、接着剤の組成によって適宜決定されるが、重合開始剤の活性化に有効な波長領域の照射強度が0.1〜6000mW/cm2となるように設定されることが好ましい。照射強度が0.1mW/cm2以上である場合、反応時間が長くなりすぎず、6000mW/cm2以下である場合、光源から輻射される熱及び接着剤の硬化時の発熱による接着剤層の黄変や偏光フィルム5の劣化を生じるおそれが少ない。
活性エネルギー線の照射時間についても、接着剤の組成によって適宜決定されるが、上記照射強度と照射時間との積として表される積算光量が10〜10000mJ/cm2となるように設定されることが好ましい。積算光量が10mJ/cm2以上である場合、重合開始剤由来の活性種を十分量発生させて硬化反応をより確実に進行させることができ、10000mJ/cm2以下である場合、照射時間が長くなりすぎず、良好な生産性を維持できる。
<偏光板作製工程>
上記のようにして得られた積層フィルム20を用いて偏光板を作製する(偏光板作製工程)。積層フィルム20をそのまま偏光板として用いてもよいし、積層フィルム20に対して以下に示す処理を施して偏光板を作製してもよい。
(養生工程)
上記貼合工程の後、室温以上の温度で少なくとも半日、通常は数日間以上の養生を施して十分な接着強度を得てもよい(養生工程)。かかる養生工程は、典型的には、ロール状に巻き取られた状態で行われる。好ましい養生温度は、30〜50℃の範囲であり、さらに好ましくは35〜45℃である。養生温度が50℃を超えると、ロール巻き状態において、いわゆる「巻き締まり」が起こりやすくなる。なお、養生時の湿度は、特に限定されないが、相対湿度が0〜70%RH程度の範囲となるように選択されることが好ましい。養生時間は、通常1〜10日程度、好ましくは2〜7日程度である。積層フィルム20は、ロール状に巻き取られると、第1保護フィルム7と第2保護フィルム9とが接することになるが、それぞれが両側端部にナーリング部を有するので、巻き出しの際に生じやすい表面が剥がれる等の欠陥を抑制することができる。
(切除工程)
上記貼合工程の後、第1保護フィルム7及び第2保護フィルム9のナーリング部を含む両側端部を切除する切除工程を行ってもよい。このとき、第1保護フィルム7、第1接着剤層6、偏光フィルム5、第2接着剤層8、第2保護フィルム9の側端面が揃うように切除することが好ましい。
切除方法は特に限定されるものではないが、たとえば、一般にスリッターと呼ばれている方法などを好適に用いることができる。スリッターの例としては、たとえばレザー刃と呼ばれる剃刀刃を用いる方法が挙げられる。同じレザー刃を用いた方法でも、特にバックアップガイドを設けずに空中でスリットする中空切りや、バックアップガイドとして、溝を切ったロールに刃を入れ込んでスリットの蛇行を安定させる溝ロール法などがある。その他にも、シヤー刃と呼ばれる円形の刃を2枚用いて、フィルムの搬送にあわせて回転させながら上刃で下刃に接圧をかけてスリットする方法や、シヤー刃やスコアー刃と呼ばれる刃を焼き入れロール等に押し付けてスリットする方法、さらに、シヤー刃を2枚組み合わせてハサミのようにカットしながらスリットする方法などを用いることができる。中でも、フィルムのスリット位置を簡単に変更でき、かつ、走行が安定しやすい方法である「レザー刃を用いた溝ロール法」などが好適に用いられる。
(粘着剤層形成工程)
上記貼合工程の後、積層フィルム20の第1保護フィルム7又は第2保護フィルム9の外面に粘着剤層を積層する粘着剤層形成工程を行って粘着剤層付偏光板とすることもできる。かかる粘着剤層を用いて偏光板を液晶セルに貼合することができる。
粘着剤層に用いられる粘着剤としては、従来公知の適宜の粘着剤を用いることができ、例えばアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ポリエーテル系粘着剤、フッ素系粘着剤、ゴム系粘着剤などが挙げられる。中でも、透明性、粘着力、信頼性、リワーク性などの観点から、アクリル系粘着剤が好ましく用いられる。粘着剤層は、粘着剤を、例えば有機溶剤溶液の形態で用い、それを第1保護フィルム7又は第2保護フィルム9上にダイコーターやグラビアコーター等によって塗工し、乾燥させる方法によって設けることができる他、離型処理が施されたプラスチックフィルム(セパレートフィルムと呼ばれる。)上に形成されたシート状粘着剤を第1保護フィルム7又は第2保護フィルム9上に転写する方法によっても設けることができる。いずれの方法をとっても、粘着剤層の表面にセパレートフィルムが貼着されていることが好ましい。粘着剤層の厚みは、例えば2〜40μmであることができる。
[他の実施形態]
上記においては、偏光板として第1保護フィルム7及び第2保護フィルム9ともに両側端部にナーリング部を有するものを用いた形態について説明したが、どちらか一方のみがナーリング部を有する形態であってもよい。また、上記においては、両面保護フィルム付偏光板の製造方法についてのみ説明したが、片面保護フィルム付偏光板についても、第2接着剤層及び第2保護フィルムを有しない点以外は、両面保護フィルム付偏光板について記述した内容が引用される。片面保護フィルム付偏光板の場合、積層フィルムを得る際に、第2保護フィルムに代えて接着剤を介さずに剥離フィルムを積層することにより、偏光フィルム5が破損したり表面に傷が入ったりするのを防ぐことができる。剥離フィルムは貼合工程の後、所望のタイミングで剥離可能である。
また、図4では、偏光フィルム5の側端面に接着剤層が設けられてない一例を示したが、接着剤層の側端面が保護フィルムのナーリング部より実質的に内側に位置している関係を満たす限り、接着剤層は偏光フィルム5の側端面に至るものであってもよい。図13は、その一例を示す概略断面図である。図13に示す例においては、第1保護フィルム7と偏光フィルム5との間に介在される接着剤層6と、第2保護フィルム9と偏光フィルム5との間に介在される接着剤層6とが、偏光フィルム5の側端面5aに至り、これらは連続している。接着剤層6の側端面6aは、第1保護フィルム7のナーリング部7a及び第2保護フィルム9のナーリング部9aより内側に位置している。接着剤層6について、図13に示す位置関係以外は、図4に示される第1接着剤層6について記述した内容が引用される。
また、本発明で用いられる偏光フィルムは、例えば以下の方法によって製造された偏光フィルムを用いることができる。
i)ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを原反フィルムとして用いて、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程;ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色することにより二色性色素を吸着させる工程;二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理(架橋処理)する工程;及び、ホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を含む方法によって製造された偏光フィルム。
ii)特開2000−338329号公報や特開2012−159778号公報に記載の方法が、すなわち、基材フィルムの表面にポリビニルアルコール系樹脂を含有する溶液を塗布して樹脂層を設けた後、基材フィルムと樹脂層からなる積層フィルムを延伸し、次いで染色処理、架橋処理等を施して、樹脂層から偏光子層(偏光フィルム)を形成して得られる偏光性積層フィルムを構成する偏光フィルム。
なお、上記(ii)の方法による場合、基材フィルムと偏光フィルムからなる偏光性積層フィルムは、例えば、偏光フィルム面に保護フィルムを貼合して積層フィルムを得た後、基材フィルムを剥離除去し、さらに基材フィルムの剥離によって露出した偏光子フィルム面にもう一方の保護フィルムを貼合することにより偏光板とすることができる。
図14は、上記(ii)の方法における、偏光性積層フィルムと保護フィルムとが貼合されてなる積層フィルム21の側端部の一例を示す概略断面図である。図14に示すように、積層フィルム21は、基材フィルム10及び偏光フィルム5からなる偏光性積層フィルム51と、偏光性積層フィルム51の偏光フィルム5の面に接着剤層6を介して貼合された保護フィルム7とからなる。積層フィルム21における、偏光フィルム5と、接着剤層6と、保護フィルム7の位置関係は、図4に示した形態における、偏光フィルム5と、第1接着剤層6と、第1保護フィルム7の位置関係と同様である。また、接着剤層6及び保護フィルム7については、位置関係以外についても、図4に示される第1接着剤層6及び第1保護フィルム7について記述した内容が引用される。偏光性積層フィルム31において、基材フィルム10と偏光フィルム5の幅の関係は限定されることはなく、基材フィルム10の幅が、偏光フィルム5の幅と比較して、図14に示すように広幅であっても、狭幅であっても、同一幅であってもよい。
図14では、積層フィルム21において、偏光フィルム5の側端面に接着剤層が設けられてない一例を示したが、図15に示すように、接着剤層6は偏光フィルム5の側端面に至るものであってもよい。
(剥離フィルム)
剥離フィルムは、ハンドリング性、透明性、廉価性等に鑑み、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂のような鎖状ポリオレフィン系樹脂;セルローストリアセテート、セルロースジアセテートのようなセルロースエステル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂;ポリメタクリル酸メチル系樹脂のような(メタ)アクリル系樹脂又はこれらの混合物、共重合物等からなる透明樹脂フィルムであることができる。これらの1種又は2種以上を単層又は多層状に成形したフィルムを剥離フィルムとして用いることもできる。中でも、ポリエチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、セルローストリアセテート、ポリメタクリル酸メチル系樹脂からなるフィルムを好適に用いることができる。
剥離フィルムの厚みは、例えば5〜100μm程度であり、好ましくは10〜80μm程度である。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
<実施例1>
(A)偏光フィルムの作製
平均重合度約2400、ケン化度99.9モル%以上で厚み30μmのポリビニルアルコールフィルムを、乾式で約4倍に一軸延伸し、さらに緊張状態を保ったまま、40℃の純水に1分間浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.1/5/100の水溶液に28℃で60秒間浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が10.5/7.5/100の水溶液に68℃で300秒間浸漬した。引き続き、5℃の純水で5秒間洗浄した後、70℃で180秒間乾燥して、一軸延伸されたポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向された偏光フィルムを得た。偏光フィルムは、厚み11μm、幅128cmであった。
(B)水系接着剤の調製
ポリビニルアルコール粉末〔日本合成化学工業(株)製の商品名「ゴーセファイマー」、平均重合度1100〕を95℃の熱水に溶解し、濃度3重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られた水溶液に架橋剤〔日本合成化学工業(株)製のグリオキシル酸ナトリウム〕をポリビニルアルコール粉末2重量部に対して1重量部の割合で混合して、水系接着剤とした。
(C)第1保護フィルム及び第2保護フィルムの準備
第1保護フィルム及び第2保護フィルムとして、両側端部にそれぞれ幅1.5cmのナーリング部が予め形成された保護フィルム〔コニカミノルタオプト(株)製のTACフィルムである商品名「KC2UAW」、厚み25μm、幅133cm、貼合面にケン化処理を施したもの〕を用いた。ナーリング部の両表面の凸部や凹部の形状は図5(C)に示す形状であり、その高さは4μmであった。
(D)積層フィルムの作製
図3に示される製造装置と同様の装置を用いて、次の手順で積層フィルムを作製した。上記(A)で得られた偏光フィルムと、上記(C)で得られた第1保護フィルム及び第2保護フィルムを連側的に搬送し、偏光フィルムと第1保護フィルムとの間に上記(B)で得られた水系接着剤を注入し、偏光フィルムと第2保護フィルムとの間に同じく上記(B)で得られた水系接着剤を注入し貼合ロール40,40間に通して第1保護フィルム/水系接着剤層/偏光フィルム/水系接着剤/第2保護フィルムからなる積層フィルムとした。貼合ロール40,40の間を通過させる際に、ここに設けられた吸引手段を作動させて、第1保護フィルム/水系接着剤層/偏光フィルム/水系接着剤/第2保護フィルムがその幅方向の位置関係が図4に示す関係を満たすように接着剤を吸引した。引き続き、積層フィルムを搬送し、乾燥装置に通して80℃、300秒の加熱処理を行うことにより、水系接着剤層を乾燥して積層フィルムを得た。
積層フィルムの製造中、積層フィルムからの接着剤のはみ出しはなく、接着剤による積層フィルム及び製造装置の汚れは生じなかった。
<比較例1>
貼合ロール40,40の間を通過させる際に、吸引手段を作動させず、したがって、水系接着剤層の側端面がナーリング部にかかっていた点以外は実施例1と同様の方法により積層フィルムを得た。
貼合工程において積層フィルムからの接着剤のはみ出しがあり、はみ出した接着剤により搬送ロール及び積層フィルム表面に汚れが生じた。
1 片面保護フィルム付偏光板、2 両面保護フィルム付偏光板、5 偏光フィルム、6 第1接着剤層、7 第1保護フィルム、7a ナーリング部、8 第2接着剤層、9 第2保護フィルム、9a ナーリング部、10 基材フィルム、20,21 積層フィルム、40 貼合ロール、50,55 接着剤、51 偏光性積層フィルム、60 ガイドロール、70,71 注入装置、101,102,103,104,105 ナーリング部の最小単位。

Claims (4)

  1. 偏光フィルムと、前記偏光フィルムの少なくとも一方の面に貼合された保護フィルムと、を含む偏光板の製造方法であって、
    偏光フィルムと、前記偏光フィルムより広幅で側端部にナーリング部を有する保護フィルムとを接着剤を介在させつつ重ねて1対の貼合ロール間に通すことにより押圧して積層フィルムを得る貼合工程と、
    前記積層フィルムを用いて前記偏光板を得る偏光板作製工程と、
    を含み、
    前記積層フィルムにおいて、その幅方向に関し、前記接着剤で構成される接着剤層は、その側端面が前記保護フィルムの前記ナーリング部よりも実質的に内側に位置している、偏光板の製造方法。
  2. 前記積層フィルムにおいて、その幅方向に関し、前記保護フィルムの前記ナーリング部は前記偏光フィルムの側端面よりも外側に位置し、前記接着剤で構成される接着剤層は、その側端面が前記偏光フィルムの側端面と同じ位置または前記偏光フィルムの側端面よりも外側に位置している、請求項1に記載の偏光板の製造方法。
  3. 前記貼合工程において、前記偏光フィルムの両面に前記ナーリング部を有する保護フィルムが重ねられる、請求項1または2に記載の偏光板の製造方法。
  4. 前記貼合工程において、前記偏光フィルムの一方の面に前記ナーリング部を有する保護フィルムが重ねられ、他方の面にナーリング部を有しない保護フィルムが重ねられる、請求項1または2に記載の偏光板の製造方法。
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