WO2017069106A1 - 積層光学フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

接着剤がフィルムの端から漏出することを効果的に防ぐことができる積層光学フィルムの製造方法を提供する。 第1表面フィルムと第2表面フィルムとを含む、少なくとも2枚の積層されたフィルムを有する積層光学フィルムの製造方法であって、一方の表面を構成する前記第1表面フィルムと、他方の表面を構成する前記第2表面フィルムと、前記第1表面フィルムと前記第2表面フィルムの間に設けられた接着剤層とを有するフィルム積層体を、一対のロール間を通過させて、前記フィルム積層体に圧力を印加する貼合工程と、前記圧力により前記フィルム積層体の幅方向両端部方向に移動する余剰の接着剤を吸引する吸引工程と、を含む、積層光学フィルムの製造方法。

Description

積層光学フィルムの製造方法
 本発明は、積層光学フィルムの製造方法に関し、より詳しくは、接着剤層を介してフィルムの貼合を行う工程を含む積層光学フィルムの製造方法に関する。
 画像表示装置(液晶表示装置、有機EL表示装置等)のような光学装置には各種の積層光学フィルムが使用されており、その1つの代表例は、液晶表示装置等に用いられている偏光板である。本明細書中において積層光学フィルムとは、複数のフィルムからなる積層体であって、積層体を構成するフィルムの少なくとも1つが光学フィルムであるものをいう。光学フィルムとは、光学装置の部材として用いられるなど、光学用途に用いられるフィルムをいう。
 偏光板は通常、偏光フィルムの片面又は両面に、接着剤を用いて保護フィルムを貼合することによって製造される。接着剤を用いて貼合する工程においては、接着剤が貼り合わせ面から漏出するのを防ぐために、従来より工夫がなされている。
 例えば、特開2006-88651号公報(特許文献1)には、貼り合わせ部分に接着液を供給し、かつフィルムの端に向かって流れようとする接着液に抗する液体をフィルムの端から供給し、さらにかかる液体により希釈された接着液を、貼り合わせ前に吸引除去することが記載されている。特開平11-179871号公報(特許文献2)には、空気を吹き付けて接着剤液を幅方向中央部に寄せるとともに、過剰に供給した接着剤を予め吸引除去することが記載されている。
特開2006-88651号公報 特開平11-179871号公報
 しかしながら、上記方法によっても、接着剤がフィルムの端から漏出することがあり、フィルムや製造装置を汚染することがあった。
 そこで本発明の目的は、接着剤がフィルムの端から漏出することを効果的に防ぐことができる積層光学フィルムの製造方法を提供することにある。
 本発明は、以下に示す積層光学フィルムの製造方法を提供する。
 〔1〕 第1表面フィルムと第2表面フィルムとを含む、少なくとも2枚の積層されたフィルムを有する積層光学フィルムの製造方法であって、
 一方の表面を構成する前記第1表面フィルムと、他方の表面を構成する前記第2表面フィルムと、前記第1表面フィルムと前記第2表面フィルムの間に設けられた接着剤層とを有するフィルム積層体を、一対のロール間を通過させて、前記フィルム積層体に圧力を印加する貼合工程と、
 前記圧力により前記フィルム積層体の幅方向両端部方向に移動する余剰の接着剤を吸引する吸引工程と、を含む、積層光学フィルムの製造方法。
 〔2〕 前記吸引工程において、前記接着剤を吸引する吸引手段の吸引口の配置位置が可変である、〔1〕に記載の積層光学フィルムの製造方法。
 〔3〕 前記第1表面フィルムと前記第2表面フィルムは、その幅が、前記一対のロールの面長よりも長く、前記貼合工程において前記一対のロールに接触しない部分を幅方向両端部に有する、〔1〕または〔2〕に記載の積層光学フィルムの製造方法。
 〔4〕 前記吸引工程において、前記接着剤を吸引する吸引手段の吸引口が、前記フィルム積層体の幅方向両端部における前記第1表面フィルムと前記第2表面フィルムの間の空間内に挿入されている、〔3〕に記載の積層光学フィルムの製造方法。
 〔5〕 前記積層光学フィルムは、前記第1表面フィルムと前記第2表面フィルムの間に積層された少なくとも1枚の内側フィルムを有し、
 前記第1表面フィルムと前記第2表面フィルムは、その幅が、前記内側フィルムよりも長く、前記貼合工程において、前記内側フィルムを有しない部分を幅方向両端部に有する、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の積層光学フィルムの製造方法。
 〔6〕 前記吸引工程において、吸引される前記接着剤を希釈する液体が供給され、希釈された前記接着剤が吸引される、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の積層光学フィルムの製造方法。
 本発明の積層光学フィルムの製造方法においては、フィルムの端から接着剤が漏出することを抑制することができる。
本発明に係る積層光学フィルムの製造方法及びそれに用いる製造装置の一例を模式的に示す側面図である。 本発明に係る積層光学フィルムの製造方法及びそれに用いる製造装置の他の一例を模式的に示す側面図である。 図1に示す製造装置の一対の貼合ロール近傍の上面斜視図である。 吸引ノズルの先端の構成の一例を模式的に示す図である。 積層光学フィルムと吸引ノズルの吸引口の位置関係の一例を示す図である。 積層光学フィルムと吸引ノズルの吸引口の位置関係の一例を示す図である。 積層光学フィルムと吸引ノズルの吸引口の位置関係の一例を示す図である。 吸引口が2枚のフィルム間に挿入されている場合に、貼合工程における接着剤の移動方向と(a)、吸引ノズルの吸引による予測される周囲雰囲気の流れ(b)を示す図である。 吸引口が2枚のフィルムの端面と略一致する位置に配置されている場合に、貼合工程における接着剤の移動方向と(a)、吸引ノズルの吸引により予測される周囲雰囲気の流れ(b)を示す図である。
 本発明は、第1表面フィルムと第2表面フィルムとを含む、少なくとも2枚の積層されたフィルムを有する積層光学フィルムを製造する方法に関するものである。積層光学フィルムを構成するフィルムの少なくとも1枚は光学フィルムであり、例えば、第1表面フィルム及び第2表面フィルムの少なくとも一方は光学フィルムであり、典型的には両者が光学フィルムである。本発明の方法によって得られる積層光学フィルムは、例えば画像表示装置(液晶表示装置等)のような光学装置の一部材として用いられる光学部材であり、その1つの代表例は偏光板である。偏光板は、これを構成するフィルムとして、偏光フィルムと保護フィルムとを少なくとも備えるものである。
 [積層光学フィルムの製造方法]
 本発明の積層光学フィルムの製造方法は、次の工程:
 第1表面フィルムと第2表面フィルムとが接着剤層を介して積層されたフィルム積層体を、一対のロール間を通過させて、前記フィルム積層体に圧力を印加する貼合工程;及び
 前記圧力によりフィルム積層体の幅方向両端部方向に移動する余剰の接着剤を吸引する吸引工程、を含む。
 また、上記貼合工程の前に、第1表面フィルム及び第2表面フィルムの間に接着剤を注入して接着剤層を形成する注入工程を含むことができる。さらに、上記吸引工程の後に、接着剤層を硬化または乾燥させる硬化工程を含むことができる。第1表面フィルム及び第2表面フィルムの間に形成される接着剤層は、当該接着剤を介在して対向する2枚のフィルムを貼合する。接着剤層は、積層光学フィルムを構成するフィルムが第1表面フィルム及び第2表面フィルムのみである場合は、第1表面フィルムと第2表面フィルムを貼合するために形成され、さらに他のフィルム(内側フィルム)を有する場合には隣り合う2枚のフィルムを貼合するために形成される。積層光学フィルムを構成するフィルムが3枚以上である場合は、接着剤による貼合が必要なフィルム間に接着剤層を形成する必要があり、したがって2層以上の接着剤層が形成される場合がある。
 以下、図1及び図2を用いて、本発明に係る積層光学フィルムの製造方法について詳細に説明する。図1及び図2は、本発明に係る積層光学フィルムの製造方法及びそれに用いる製造装置の一例を示す側面図である。図1は、2枚貼合の場合の積層光学フィルムの製造方法、すなわち第1表面フィルムと第2表面フィルムの2枚のフィルムから構成される積層光学フィルムの製造方法を示す。図2は、3枚貼合の場合の積層光学フィルムの製造方法、すなわち第1表面フィルムと第2表面フィルムに加えてその間に1枚の内側フィルムを有する積層光学フィルムの製造方法を示す。一般に、偏光板のような積層光学フィルムは、図1に示されるように、長尺のフィルムを連続的に巻き出して搬送しながら各工程における処理を施すことにより、長尺品として連続的に製造することができる。ただし本発明の製造方法は、このような長尺のフィルムを用いた連続生産に限定されるものではなく、枚葉フィルムを用いた方法であってもよい。
 まず、図1を用いて、偏光フィルム10(第2表面フィルム)の片面に第1保護フィルム20(第1表面フィルム)が貼合される2枚貼合により偏光板(積層光学フィルム)を製造する方法ついて説明する。
 図1に示す製造方法ではまず、長尺の偏光フィルム10のロール(巻回品)及び長尺の第1保護フィルム20のロールを用意し、これらを図示しない巻き出し装置を用いて連続的に巻き出しながらフィルム搬送を行う。各フィルムは、それらの長手方向が搬送方向となるように搬送される。フィルムの搬送経路には適宜、走行するフィルムを支持するガイドロール60が設けられる。図1における矢印は、フィルムの搬送方向又は各種ロールの回転方向を示す。
 <注入工程>
 本工程では、注入装置30を用いて、偏光フィルム10と第1保護フィルム20の間に接着剤を注入して接着剤層(図示せず)を形成する。なお、接着剤層を介在させるための装置は、図1に示されるような注入装置30に限定されるものではなく、例えば接着剤の粘度等に応じて、ドクターブレード法、ワイヤーバーコート法、ダイコート法、カンマコーター法、グラビアコート法、ディップコート法、流延法のような塗工方式を適宜選択し、接着剤を介して重ね合わされる少なくとも一方のフィルムの貼合面に塗工するようにしてもよい。
 注入工程が実施される環境温度及び注入されるときの接着剤の温度は特に制限されない。これらの温度は、例えば10~35℃程度(25℃程度等)とすることができる。
 <貼合工程>
 本工程では、上記注入工程で形成された接着剤層を介して偏光フィルム10と第1保護フィルム20とを貼合する。図1に示されるように、連続的に搬送される偏光フィルム10及び第1保護フィルム20を、それらの長手方向(搬送方向)が平行となるように重ねたフィルム積層体を一対の貼合ロール40,40間に通して、フィルム積層体に圧力を印加することによってフィルムを貼合することができる。貼合ロール40,40によってフィルム積層体に加えられる圧力は、例えば0.1~4MPa程度である。
 この際、本発明においては、偏光フィルム10と第1保護フィルム20とを貼合するとき(貼合ロール間40,40間の通過時)の接着剤層(すなわち、これを構成する接着剤)の粘度が50cP以下となるようにするのが好ましい。フィルム貼合時の接着剤層の粘度を50cP以下とすることによって、圧力印加時に余剰の接着剤が移動しやすく、したがって吸引工程において余剰の接着剤を効率よく吸引することができる。
 一方、接着剤層の粘度があまりに低いと、注入された接着剤が貼合時にフィルムから漏出しやすくなる。したがって、フィルム貼合時の接着剤層の粘度は、1cP以上であることが好ましく、3cP以上であることがより好ましい。
 一対の貼合ロール40,40の通過時の偏光フィルム10及び第1保護フィルム20の通過速度(搬送速度)は特に制限されず、例えば10m/分以上とすることができる。なお、通過速度が大きいと、吸引工程による吸引速度の調整が難しくなるため、通過速度は40m/分以下であることが好ましい。
 <吸引工程>
 図3に、図1に示す製造方法及び製造装置における一対の貼合ロール40,40近傍の上面斜視図を示す。図3に示すように、一対の貼合ロール40,40によりフィルム積層体に圧力が印加される位置の両端部付近に接着剤を吸引する吸引ノズル(吸引手段)90を設ける。本工程では、吸引ノズル90によりフィルム積層体の幅方向両端部近傍の余剰の接着剤を吸引する。貼合工程において、フィルム積層体に圧力が印加されると、偏光フィルム10と第1保護フィルム20の間に介在している接着剤にも圧力が印加され、一部はフィルム積層体の幅方向両端部方向に移動する。幅方向両端部付近の余剰の接着剤は、後の工程において、積層体フィルムの端部から漏れやすく、接着剤が漏れると積層体フィルムや製造装置が汚染される。本発明では、吸引工程により、貼合工程で印加された圧力により幅方向両端部方向に移動した余剰の接着剤を吸引することができるので、接着剤によるフィルム積層体や製造装置の汚染を抑制することができる。
 図3において、吸引ノズル90は、一対の貼合ロール40,40により印加された圧力によってフィルム積層体の幅方向両端部方向に移動する余剰の接着剤を効率よく吸引するために、一対の貼合ロール40,40のそれぞれの回転軸を含む平面とフィルム積層体が交差する直線(以下、「交差直線」とする)上に設けられている。ただし、吸引ノズル90の配置位置は、当該交差直線上に限定されることはなく交差直線近傍であればよい。一対の貼合ロール40,40によりフィルム積層体に印加される圧力は交差直線上において極大となるが、この近傍であっても、貼合ロール40,40の直径、硬度、押し付け圧力等によってその範囲は異なるものの、フィルム積層体に圧力が印加されており、当該圧力により余剰の接着剤の移動が発生しているからである。吸引ノズル90が配置される交差直線近傍としては、例えば、交差直線より上流側に10mmから交差直線より下流側に10mmの範囲である。好ましくは交差直線から交差直線より下流側に10mmの範囲、より好ましくは交差直線から交差直線より下流側に8mmの範囲、さらに好ましくは交差直線から2mmの範囲である。なお、貼合工程によりフィルム積層体の幅方向両端部方向に移動した余剰の接着剤がフィルム積層体の端から漏れる機会をより低減するために、吸引ノズル90が設けられる位置は、一対の貼合ロール40,40によりフィルム積層体に印加される圧力が極大となる交差直線に近い位置であるほど好ましい。
 フィルム積層体に印加される圧力を均一なものとし、メンテナンス作業等における作業性を向上させるために、貼合ロール40,40の直径は100mm以上500mm以下であることが好ましく、200mm以上400mm以下であることがさらに好ましい。また、フィルム積層体に印加される圧力を均一なものとし、良好な耐久性を得るために、貼合ロールの硬度は60~95°であることが好ましく、70~95°であることがより好ましい。貼合ロールの硬度は、JIS K 6253に規定されるタイプAデュロメータ硬さ試験機で測定することができる。
 吸引ノズル90の吸引口の配置位置は可変であることが好ましく、接着剤の種類や粘度、偏光フィルム10や第1保護フィルム20の硬さに応じて吸引ノズル90の吸引口の配置位置を適宜調整することが好ましい。吸引ノズル90の吸引口は、3次元位置調整機構により可変に構成することができる。また、吸引ノズル90の先端には、接着剤を吸引する吸引口とともに水等の接着剤を希釈する液体を供給する希釈液供給口を備える構成であることが好ましい。吸引ノズル90の吸引口からの接着剤の吸引時に、希釈液供給口から希釈液が供給されていることが好ましい。このように実施することにより、吸引口からは希釈された接着剤が吸引されることになり、吸引口が接着剤で詰まるのを防止することができる。
 図4は、吸引ノズル90の先端の構成の一例を模式的に示す図である。図4(a)は、吸引ノズル90の先端において、接着剤を吸引する吸引口91と、その横方向に並んで希釈液供給口92とが設けられている構成を示し、図4(b)は、吸引ノズル90の先端において、接着剤を吸引する吸引口91と、その中心付近上部に希釈液供給口92とが設けられている構成を示す。吸引ノズル90の先端部の厚みは、偏光フィルム10と第1保護フィルム20の間に挿入しやすいとの観点から5mm以下であることが好ましい。
 図3において、吸引ノズル90の吸引口は偏光フィルム10と第1保護フィルム20の間に挿入されるように配置されているが、吸引ノズル90の吸引口は積層光学フィルムの端部と一致する位置またはその外側に配置されていてもよい。なお、効率よく余剰の接着剤を吸引できる観点から、吸引ノズル90の吸引口は偏光フィルム10と第1保護フィルム20の間に挿入されていることが好ましい。
 吸引ノズル90の吸引口を偏光フィルム10と第1保護フィルム20の間に挿入する観点から、偏光フィルム10と第1保護フィルムの幅は、一対の貼合ロール40,40の面長よりも長く、一対の貼合ロール40,40に接触しない部分を幅方向両端部に有することが好ましい。この一対の貼合ロール40,40に接触しない部分の幅方向の長さは片側端部において5mm以上100mm以下であることが好ましく、10mm以上50mm以下であることがさらに好ましい。接触しない部分の幅方向の長さが5mm以上であることにより、吸引ノズル90の吸引口を偏光フィルム10と第1保護フィルム20の間に挿入した際に、偏光フィルム10と第1保護フィルム20の端部が吸引ノズル90の吸引口を挿入したことによって急峻に折れ曲がることを防ぐことができ、積層光学フィルムの搬送性を維持することができる。一方、接触しない部分の幅方向の長さが100mm以下であることにより、接触しない部分の自重等による変形を防ぐことができ、積層光学フィルムの搬送性を維持することができる。吸引ノズル90の好ましい配置位置については、図5~図7を用いて後段で詳述する。
 <硬化工程>
 本工程は、接着剤層を介して貼合された偏光フィルム10と第1保護フィルム20との積層体の当該接着剤層を硬化または乾燥させる工程である。接着剤層が水系接着剤からなる場合、図1に示されるように、乾燥装置50を用いて、水系接着剤を乾燥させることができる。乾燥装置50における乾燥方法としては、特に制限されず、熱風乾燥機や赤外線ヒーター等を用いることができる。
 乾燥温度は、好ましくは30~95℃である。30℃未満であると、接着剤を十分に乾燥できない場合がある。また乾燥温度が95℃を超えると、熱によって偏光フィルム10の偏光性能が劣化するおそれがある。乾燥時間は10~1000秒程度とすることができ、生産性の観点からは、好ましくは60~750秒、より好ましくは150~600秒である。
 接着剤が活性エネルギー線硬化性接着剤からなる場合、可視光線、紫外線、X線、電子線のような活性エネルギー線を照射することにより接着剤層を硬化させることができる。上記積層体が偏光フィルム10及び第1保護フィルム20からなり、第3フィルム(偏光フィルム10の他方の面に積層される保護フィルム)を含まない場合、活性エネルギー線は、第1保護フィルム20側から照射してもよいし、偏光フィルム10側から照射してもよいが、好ましくは第1保護フィルム20側から照射される。
 活性エネルギー線は、可視光線、紫外線、X線、電子線等であることができるが、取扱いの容易さ、活性エネルギー線硬化性接着剤の調製の容易さ及びその安定性、並びに、その硬化性能の観点から、紫外線が好ましく用いられる。活性エネルギー線の光源は特に制限されないが、波長400nm以下に発光分布を有する、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等を好ましく用いることができる。
 紫外線硬化性接着剤からなる接着剤層への光照射強度は、接着剤の組成ごとに決定されるものであり、特に制限されないが、重合開始剤の活性化に有効な波長領域の照射強度が0.1~100mW/cm2であることが好ましい。光照射強度が0.1mW/cm2以上であることで、反応時間が長くなりすぎず、100mW/cm2以下であることで、光源から輻射される熱及び接着剤の硬化時の発熱による接着剤の黄変や偏光フィルムの劣化を生じるおそれが少ない。接着剤層への光照射時間もまた、接着剤の組成ごとに制御されるものであり、特に制限されないが、上記光照射強度と照射時間との積として表される積算光量が10~5000mJ/m2となるように設定されることが好ましい。積算光量が10mJ/m2以上であることで、重合開始剤由来の活性種を十分量発生させて硬化反応をより確実に進行させることができ、また、5000mJ/m2以下であることで、照射時間が長くなりすぎず、良好な生産性を維持できる。
 活性エネルギー線を照射して接着剤層を硬化させる際、上記積層体を凸曲面に密着させた状態で活性エネルギー線を照射することにより、得られる偏光板に生じ得るシワやカールを抑制できる。凸曲面としては、ガイドロールや冷却ロールのようなロールの外周面を好適に用いることができる。冷却ロールの温度は、例えば10~30℃であり、好ましくは15~25℃である。
 以上のようにして得られる偏光板は通常、図示しない巻き取り装置によって順次巻き取られ、フィルムロールとされる。
 次に、図2を用いて、偏光フィルム10の一方の表面に第1保護フィルム20(第1表面フィルム)が貼合され、他方の表面に第2保護フィルム21(第2表面フィルム)が貼合される3枚貼合により偏光板(積層光学フィルム)を製造する方法について説明する。
 注入工程では、注入装置30を用いて、偏光フィルム10と第1保護フィルム20の間に接着剤を注入して接着剤層(図示せず)が形成されるとともに、偏光フィルム10と第2保護フィルム21の間に接着剤層を注入して接着剤層(図示せず)が形成される。これら二つの接着剤層を構成する接着剤は、同種であっても、異種であってもよい。
 貼合工程では、上記注入工程で形成された接着剤層を介して、第1保護フィルム20、偏光フィルム10、及び第2保護フィルム21からなるフィルム積層体を貼合する。図2に示されるように、連続的に搬送される第1保護フィルム20、偏光フィルム10、及び第2保護フィルム21を、それらの長手方向(搬送方向)が平行となるように重ねたフィルム積層体を一対の貼合ロール40,40間を通して、フィルム積層体に圧力を印加することによってフィルムを貼合することができる。上記した説明以外については、図1の製造方法において説明した通りである。
 <吸引ノズルの位置>
 図5~図7は、本発明の貼合工程における、積層光学フィルムと吸引ノズルの吸引口の位置関係の一例を示す図である。図5は、第1表面フィルム71と第2表面フィルム72の幅が、一対の貼合ロール40,40の面長よりも長く、吸引ノズル90の吸引口が第1表面フィルム71と第2表面フィルム72の間の空間内に挿入されている形態を示す。
 図5(a)は、第1表面フィルム71と第2表面フィルム72とを、接着剤層81を介して貼合する2枚貼合の場合を示す。図5(b)及び図5(c)は、第1表面フィルム71と、第2表面フィルム72と、さらにその間に配置された1枚の内側フィルム101とを、接着剤層81,82を介して貼合する3枚貼合の場合を示す。図5(b)においては、内側フィルム101の幅は第1表面フィルム71及び第2表面フィルム72の幅と略一致し、第1表面フィルム71と第2表面フィルム72の間の空間がさらに内側フィルム101によって分断され、各接着剤層に対応する吸引ノズル90の吸引口が分断された空間に挿入されている。図5(c)においては、内側フィルム101の幅は第1表面フィルム71及び第2表面フィルム72の幅より短く、2つの接着剤層81,82の吸引に共通して用いられる吸引ノズル90の吸引口が第1表面フィルム71と第2表面フィルム72の間の空間内に挿入されている。
 図5(d)は、第1表面フィルム71と、第2表面フィルム72と、さらにその間に配置された3枚の内側フィルム101,102,103とを、接着剤層81,82,83,84を介して貼合する5枚貼合の場合を示す。図5(d)において、3枚の内側フィルム101,102,103の幅は第1表面フィルム71及び第2表面フィルム72の幅より短く、4つの接着剤層81,82,83,84の吸引に共通して用いられる吸引ノズル90の吸引口が第1表面フィルム71と第2表面フィルム72の間の空間内に挿入されている。
 図5においては、吸引される接着剤が移動する空間が、第1表面フィルム71と第2表面フィルム72の間に形成される空間(かかる空間が内側フィルムによってさらに分断される場合も含まれる)に限定され、さらに吸引ノズル90の吸引口も同じ空間内に挿入されているので、吸引ノズル90により接着剤を効率的に吸引することができ、高い吸引効率と接着剤の漏出防止を実現することができる。また、吸引ノズル90で吸引されなかった接着剤が吸引口近傍に存在したとしても、吸引口から積層光学フィルムの表面や、一対の貼合ロール40まで距離があるので、このような接着剤が原因となって積層光学フィルムや製造装置の汚染が生じることを抑制することができる。なお、図5(a),(b)の場合は、図5(c),(d)の場合と比較して、吸引される接着剤が移動する空間をより限定することができ、さらに吸引ノズル90の吸引口もより限定された空間内に挿入されているので、吸引ノズル90により接着剤をさらに効率的に吸引することができる。ただし、吸引ノズルの数が多い場合には、空間的な制約より接着剤を効率的に吸引することが出来る位置に全ての吸引ノズルを設置出来なくなり、接着剤の吸引を効率的に行うことが難しくなるため、吸引ノズルの数は片側端部に2個以下であることが好ましい。よって、接着剤層の数が3を超える場合には、図5(c),(d)に例示したように、複数の接着剤層の吸引に共通して用いられる吸引ノズルを設置することが好ましい。
 吸引ノズル90の吸引口を第1表面フィルム71と第2表面フィルム72の間に形成される空間に挿入する観点から、第1表面フィルム71と第2表面フィルム72の幅は、一対の貼合ロール40,40の面長よりも長く、一対の貼合ロール40,40に接触しない部分を幅方向両端部に有することが好ましい。この一対の貼合ロール40,40に接触しない部分の幅方向の長さは片側端部において5mm以上100mm以下であることが好ましく、10mm以上50mm以下であることがさらに好ましい。接触しない部分の幅方向の長さが5mm以上であることにより、吸引ノズル90の吸引口を第1表面フィルム71と第2表面フィルム72の間に挿入した際に、第1表面フィルム71と第2表面フィルム72の端部が吸引ノズル90の吸引口を挿入したことによって急峻に折れ曲がることを防ぐことができ、積層光学フィルムの搬送性を維持することができる。一方、接触しない部分の幅方向の長さが100mm以下であることにより、接触しない部分の自重等による変形を防ぐことができ、積層光学フィルムの搬送性を維持することができる。
 図6は、第1表面フィルム71と第2表面フィルム72の幅が、一対の貼合ロール40,40の面長よりも長く、吸引ノズル90の吸引口が第1表面フィルム71と第2表面フィルム72の端面と略一致する位置に配置されている形態を示す。図6(a)は、第1表面フィルム71と第2表面フィルム72とを、接着剤層81を介して貼合する2枚貼合の場合を示す。図6(b)及び図6(c)は、第1表面フィルム71と、第2表面フィルム72と、さらにその間に配置された1枚の内側フィルム101とを、接着剤層81,82を介して貼合する3枚貼合の場合を示す。図6(b)においては、内側フィルム101の幅は第1表面フィルム71及び第2表面フィルム72の幅と略一致し、第1表面フィルム71と第2表面フィルム72の間の空間がさらに内側フィルム101によって分断され、各接着剤層に対応するように吸引ノズル90が配置されている。図6(c)においては、内側フィルム101の幅は第1表面フィルム71及び第2表面フィルム72の幅より短く、2つの接着剤層81,82の吸引に共通して用いられる吸引ノズル90が配置されている。
 図6においては、吸引される接着剤が移動する空間が、第1表面フィルム71と第2表面フィルム72の間に形成される空間(かかる空間が内側フィルムによってさらに分断される場合も含まれる)に限定されているので、吸引ノズル90により接着剤を効率的に吸引することができ、高い吸引効率と接着剤の漏出防止を実現することができる。また、吸引ノズル90で吸引されなかった接着剤が吸引口近傍に存在したとしても、吸引口から一対の貼合ロール40まで距離があるので、このような接着剤が原因となって製造装置の汚染が生じることを抑制することができる。
 図7は、第1表面フィルム71と第2表面フィルム72の幅が、一対の貼合ロール40,40の面長と略同じであり、吸引ノズル90の吸引口が第1表面フィルム71と第2表面フィルム72の端面と略一致する位置に配置されている形態を示す。図7(a)は、第1表面フィルム71と第2表面フィルム72とを、接着剤層81を介して貼合する2枚貼合の場合を示す。図7(b)及び図7(c)は、第1表面フィルム71と、第2表面フィルム72と、さらにその間に配置された1枚の内側フィルム101とを、接着剤層81,82を介して貼合する3枚貼合の場合を示す。図7(b)においては、内側フィルム101の幅は第1表面フィルム71及び第2表面フィルム72の幅と略一致し、第1表面フィルム71と第2表面フィルム72の間の空間がさらに内側フィルム101によって分断され、各接着剤層に対応する吸引ノズル90が配置されている。図7(c)においては、内側フィルム101の幅は第1表面フィルム71及び第2表面フィルム72の幅より短く、2つの接着剤層81,82の吸引に共通して用いられる吸引ノズル90が配置されている。
 図7においては、吸引される接着剤が移動する空間が、第1表面フィルム71と第2表面フィルム72の間に形成される空間(かかる空間が内側フィルムによってさらに分断される場合も含まれる)に限定されているので、吸引ノズル90により接着剤を効率的に吸引することができ、高い吸引効率と接着剤の漏出防止を実現することができる。
 なお、図5に示されるように、吸引ノズル90の吸引口が第1表面フィルム71と第2表面フィルム72の間に形成される空間内に挿入される場合の方が、図6に示されるように、吸引ノズル90の吸引口が第1表面フィルム71と第2表面フィルムの端面と略一致する位置に配置されている場合よりも、接着剤をより効率的に吸引することができるので好ましい。両者の吸引効率に違いが生じるメカニズムについて図8,図9を用いて考察する。
 図8(a),(b)には、2枚貼合の貼合工程において、吸引ノズル90の吸引口が第1表面フィルム71と第2表面フィルム72の間に形成される空間内に挿入される場合を示す。図9(a),(b)には、2枚貼合の貼合工程において、吸引ノズル90の吸引口が第1表面フィルム71と第2表面フィルム72の端面と略一致する位置に配置されている場合を示す。図8(a),図9(a)に示す矢印Aは、貼合工程で圧力が印加された際に余剰の接着剤の移動方向を示す。図8(b),図9(b)に示す矢印Bは、吸引ノズル90の吸引口からの吸引により生じる、予想される周囲雰囲気の流れを示す。吸引ノズル90の吸引口が第1表面フィルム71と第2表面フィルム72の間に形成される空間内に挿入される場合は、図8(a),(b)に示すように幅方向両端部方向に移動する余剰の接着剤が効率よく吸引ノズル90により吸引されるものと予想することができ、一方、吸引ノズル90の吸引口が第1表面フィルムと第2表面フィルム72の端面と略一致する位置に配置されている場合は、図9(a),(b)に示すように幅方向両端部方向に移動する余剰の接着剤について吸引ノズル90の周囲からの若干の漏れが生じる可能性があり、また吸引ノズルの吸引力は接着剤の吸引以外に周囲大気の吸引にも及ぶ可能性があり、図8(a),(b)に示す場合ほど高い吸引効率を実現できない場合があるものと予想することができる。
 <偏光フィルム、保護フィルム、接着剤>
 次に、偏光フィルム10、保護フィルム(第1保護フィルム20、第2保護フィルム21)及び接着剤について説明する。
 (1)偏光フィルム
 図1,2に示される偏光フィルム10は、ポリビニルアルコール系樹脂に二色性色素が吸着配向されたものであることができ、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向されたものが好適に用いられる。
 ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体が例示される。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類等が挙げられる。
 ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、80.0~100.0モル%の範囲であることができるが、好ましくは90.0~100.0モル%の範囲であり、より好ましくは94.0~100.0モル%の範囲である。ケン化度が80.0モル%未満であると、得られる片面保護偏光板の耐水性及び耐湿熱性が低下する。
 ケン化度とは、ポリビニルアルコール系樹脂の原料であるポリ酢酸ビニル系樹脂に含まれる酢酸基(アセトキシ基:-OCOCH3)がケン化工程により水酸基に変化した割合をユニット比(モル%)で表したものであり、下記式:
 ケン化度(モル%)=100×(水酸基の数)/(水酸基の数+酢酸基の数)
で定義される。ケン化度は、JIS K 6726(1994)に準拠して求めることができる。ケン化度が高いほど、水酸基の割合が高いことを示しており、従って結晶化を阻害する酢酸基の割合が低いことを示している。
 ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、好ましくは100~10000であり、より好ましくは1500~8000であり、さらに好ましくは2000~5000である。ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度もJIS K 6726(1994)に準拠して求めることができる。平均重合度が100未満では好ましい偏光性能を得ることが困難であり、10000超では溶媒への溶解性が悪化し、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの形成が困難になってしまう。
 偏光フィルム10に含有(吸着配向)される二色性色素は、ヨウ素又は二色性有機染料であることができる。二色性有機染料の具体例は、レッドBR、レッドLR、レッドR、ピンクLB、ルビンBL、ボルドーGS、スカイブルーLG、レモンイエロー、ブルーBR、ブルー2R、ネイビーRY、グリーンLG、バイオレットLB、バイオレットB、ブラックH、ブラックB、ブラックGSP、イエロー3G、イエローR、オレンジLR、オレンジ3R、スカーレットGL、スカーレットKGL、コンゴーレッド、ブリリアントバイオレットBK、スプラブルーG、スプラブルーGL、スプラオレンジGL、ダイレクトスカイブルー、ダイレクトファーストオレンジS、ファーストブラックを含む。二色性色素は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
 偏光フィルム10は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程;ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色することにより、二色性色素を吸着させる工程;二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程;及び、ホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程、を経て製造することができる。
 ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、上述したポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものである。製膜方法は、特に限定されるものではなく、溶融押出法、溶剤キャスト法のような公知の方法を採用することができる。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの厚みは、例えば10~150μm程度である。
 ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸は、二色性色素の染色前、染色と同時、又は染色の後に行うことができる。一軸延伸を染色の後で行う場合、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前又はホウ酸処理中に行ってもよい。また、これらの複数の段階で一軸延伸を行ってもよい。
 一軸延伸にあたっては、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、一軸延伸は、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、溶剤を用い、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は通常、3~8倍程度である。
 ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色する方法としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素が含有された水溶液(染色溶液)に浸漬する方法が採用される。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理の前に水への浸漬処理(膨潤処理)を施しておくことが好ましい。
 二色性色素としてヨウ素を用いる場合は、通常、ヨウ素及びヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この染色水溶液におけるヨウ素の含有量は通常、水100重量部あたり0.003~1重量部程度である。また、ヨウ化カリウムの含有量は通常、水100重量部あたり0.1~20重量部程度である。染色水溶液の温度は通常、20~40℃程度である。また、染色水溶液への浸漬時間(染色時間)は通常、20~600秒程度である。
 一方、二色性色素として二色性有機染料を用いる場合は、通常、水溶性の二色性有機染料を含む染色水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。染色水溶液における二色性有機染料の含有量は通常、水100重量部あたり1×10-4~10重量部程度であり、1×10-3~1重量部程度が好ましい。この染色水溶液は、硫酸ナトリウム等の無機塩を染色助剤として含有していてもよい。染色水溶液の温度は通常、20~80℃程度である。また、染色水溶液への浸漬時間(染色時間)は通
常、20~600秒程度である。
 二色性色素による染色後のホウ酸処理は、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸含有水溶液に浸漬することにより行うことができる。
 ホウ酸含有水溶液におけるホウ酸の量は通常、水100重量部あたり、1~15重量部程度であり、5~12重量部が好ましい。二色性色素としてヨウ素を用いる場合には、このホウ酸含有水溶液はヨウ化カリウムを含有することが好ましい。ホウ酸含有水溶液におけるヨウ化カリウムの量は通常、水100重量部あたり、0.1~20重量部程度であり、5~15重量部程度が好ましい。ホウ酸含有水溶液への浸漬時間は通常、10~600秒程度であり、60~420秒程度が好ましく、90~300秒程度がより好ましい。ホウ酸含有水溶液の温度は通常、50℃以上であり、50~85℃が好ましく、60~80℃がより好ましい。
 ホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムは通常、水洗処理される。水洗処理は、例えば、ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬することにより行うことができる。水洗処理における水の温度は通常、1~40℃程度である。
また、浸漬時間は通常、1~120秒程度である。
 水洗後は乾燥処理が施されて、偏光フィルム10が得られる。乾燥処理は、熱風を吹き付ける方法、熱ロールに接触させる方法、IRヒーターで加熱する方法など、種々の方法があるが、いずれも好適に用いることができる。熱ロールに接触させて乾燥させる方法は、乾燥効率が向上するため乾燥時間を短縮化することができ、またフィルムの幅方向の収縮を抑制して広幅化が可能である等の点で好適である。なお、乾燥工程における乾燥温度とは、熱風を吹き付ける方法やIRヒーターなどのように乾燥炉を設ける乾燥設備の場合には乾燥炉内の雰囲気温度を意味し、熱ロールのような接触型の乾燥設備の場合には、熱ロールの表面温度を意味する。
 乾燥処理の温度は通常、30~100℃程度であり、40~80℃が好ましい。乾燥処理の時間は通常、30~600秒程度であり、80~300秒が好ましい。偏光フィルム10の厚みは通常、2~40μm程度である。
 乾燥処理によって、偏光フィルム10の水分率は実用程度にまで低減される。その水分率は通常5~45重量%となるように調整され、より好ましくは7~40重量%に調整される。5重量%より低い場合、偏光フィルム10の可撓性が失われ、偏光フィルム10がその乾燥後に損傷したり、破断したりする場合がある、45重量%より高い場合、保護フィルムとの密着性が十分に発現し難くなり、外観の不良やフィルムがライン中で破断して工程を汚染するといった問題が発生し易くなる。
 長尺の偏光フィルム10におけるフィルム幅は特に制限されず、通常0.2~2m程度であることができる。
 (2)保護フィルム
 第1表面フィルムまたは第2表面フィルムとして用いられる保護フィルム(第1保護フィルム20または第2保護フィルム21)は、偏光フィルム10上に積層されて、偏光フィルム10を保護する役割を少なくとも担うものである。保護フィルムは、透光性(好ましくは透明性)を有する限り特に制限されず、熱可塑性樹脂フィルムやガラス材料からなるフィルムであることができる。ガラス材料からなるフィルムとしては、特開2012-247785号公報、国際公開第12/090693号、特開平08-283041号公報等に記載されているガラスフィルムが例示される。
 保護フィルムを構成する熱可塑性樹脂の具体例は、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂等)、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂等)のようなポリオレフィン系樹脂;セルローストリアセテート、セルロースジアセテートのようなセルロースエステル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリメタクリル酸メチル系樹脂のような(メタ)アクリル系樹脂;又はこれらの混合物、共重合物等からなる透明樹脂フィルムであることができる。
 鎖状ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂のような鎖状オレフィンの単独重合体の他、2種以上の鎖状オレフィンからなる共重合体を挙げることができる。より具体的な例は、ポリプロピレン系樹脂(プロピレンの単独重合体であるポリプロピレン樹脂や、プロピレンを主体とする共重合体)、ポリエチレン系樹脂(エチレンの単独重合体であるポリエチレン樹脂や、エチレンを主体とする共重合体)を含む。
 環状ポリオレフィン系樹脂は、環状オレフィンを重合単位として重合される樹脂の総称であり、例えば、特開平1-240517号公報、特開平3-14882号公報、特開平3-122137号公報等に記載されている樹脂が挙げられる。環状ポリオレフィン系樹脂の具体例を挙げれば、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレンのような鎖状オレフィンとの共重合体(代表的にはランダム共重合体)、及びこれらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト重合体、並びにそれらの水素化物等である。中でも、環状オレフィンとしてノルボルネンや多環ノルボルネン系モノマー等のノルボルネン系モノマーを用いたノルボルネン系樹脂が好ましく用いられる。
 セルロースエステル系樹脂は、セルロースと脂肪酸とのエステルである。セルロースエステル系樹脂の具体例は、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリプロピオネート、セルロースジプロピオネートを含む。また、これらの共重合物や、水酸基の一部が他の置換基で修飾されたものを用いることもできる。これらの中でも、セルローストリアセテート(トリアセチルセルロース:TAC)が特に好ましい。
 ポリエステル系樹脂は、エステル結合を有する樹脂であり、多価カルボン酸又はその誘導体と多価アルコールとの重縮合体からなるものが一般的である。多価カルボン酸又はその誘導体としては2価のジカルボン酸又はその誘導体を用いることができ、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ジメチルテレフタレート、ナフタレンジカルボン酸ジメチル等が挙げられる。多価アルコールとしては2価のジオールを用いることができ、例えばエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。好適なポリエステル系樹脂の例は、ポリエチレンテレフタレートを含む。
 ポリカーボネート系樹脂は、カルボナート基を介してモノマー単位が結合された重合体からなるエンジニアリングプラスチックであり、高い耐衝撃性、耐熱性、難燃性、透明性を有する樹脂である。ポリカーボネート系樹脂は、光弾性係数を下げるためにポリマー骨格を修飾したような変性ポリカーボネートと呼ばれる樹脂や、波長依存性を改良した共重合ポリカーボネート等であってもよい。
 (メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を主な構成モノマーとする樹脂である。(メタ)アクリル系樹脂の具体例は、例えば、ポリメタクリル酸メチルのようなポリ(メタ)アクリル酸エステル;メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸共重合体;メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸エステル共重合体;メタクリル酸メチル-アクリル酸エステル-(メタ)アクリル酸共重合体;(メタ)アクリル酸メチル-スチレン共重合体(MS樹脂等);メタクリル酸メチルと脂環族炭化水素基を有する化合物との共重合体(例えば、メタクリル酸メチル-メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体等)を含む。好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸メチルのようなポリ(メタ)アクリル酸C1-6アルキルエステルを主成分とする重合体が用いられ、より好ましくは、メタクリル酸メチルを主成分(50~100重量%、好ましくは70~100重量%)とするメタクリル酸メチル系樹脂が用いられる。
 保護フィルムは、必要に応じて、各種の添加剤を含有することができる。添加剤の具体例は、蛍光増白剤、分散剤、界面活性剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、有機系染料、顔料、無機系色素等を含む。
 保護フィルムの厚みは、通常2~300μm程度であり、好ましくは10μm以上であり、また好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、さらに好ましくは100μm以下である。長尺の保護フィルムにおけるフィルム幅は特に制限されないが、貼合工程において、フィルム積層体の幅方向両端部に保護フィルムと偏光フィルムとによってその間に空間を形成し、その空間内に吸引ノズルの吸引口を挿入する形態においては、保護フィルムと偏光フィルムの幅は略同じであることが好ましい。
 保護フィルムは、上記熱可塑性樹脂フィルムに対して延伸処理を施したものであってもよい。延伸することで任意の位相差値を付与することができる。所定の位相差特性を有する保護フィルムを光学補償フィルム又は位相差フィルムともいう。延伸処理としては、一軸延伸や二軸延伸等が挙げられる。延伸方向としては、未延伸フィルムの機械流れ方向(MD)、これに直交する方向(TD)、機械流れ方向(MD)に斜交する方向等が挙げられる。二軸延伸は、2つの延伸方向に同時に延伸する同時二軸延伸でもよく、所定方向に延伸した後で他の方向に延伸する逐次二軸延伸であってもよい。
 保護フィルムは、偏光フィルム10との貼合面とは反対側の表面に、ハードコート層、防眩層、帯電防止層、反射防止層、防汚層等の表面処理層を有していてもよい。
 また、偏光フィルム10との接着性を高めるため、接着剤の注入に先立って、保護フィルムの貼合面に表面活性化処理を施すことが好ましい。表面活性化処理の具体例は、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理(水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのようなアルカリ水溶液への浸漬等)を含む。保護フィルムの貼合面の代わりに、あるいは保護フィルムの貼合面とともに、偏光フィルム10の貼合面に表面活性化処理を施してもよい。
 図2に示される例において、第1保護フィルム20と第2保護フィルム21は、同種のフィルムであってもよいし、異種のフィルムであってもよい。
 (3)接着剤
 本発明で用いる接着剤として、水系接着剤、活性エネルギー線硬化性接着剤を挙げることができる。通常、水系接着剤を用いる場合の方が活性エネルギー線硬化性接着剤を用いる場合よりも注入工程で注入される接着剤の量が多くなり、端部からの接着剤の漏れの問題が生じやすく、したがって接着剤の漏れを抑制することができるとの本発明の効果は水系接着剤を用いた場合により顕著である。
 水系接着剤は、接着剤成分を水に溶解したもの又は水に分散させたものである。好ましく用いられる水系接着剤は、例えば、主成分としてポリビニルアルコール系樹脂又はウレタン樹脂を用いた接着剤組成物である。水系接着剤から接着剤層31が形成される場合、その厚みは通常、1μm以下である。
 接着剤の主成分としてポリビニルアルコール系樹脂を用いる場合、当該ポリビニルアルコール系樹脂は、部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコールのほか、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、メチロール基変性ポリビニルアルコール、アミノ基変性ポリビニルアルコールのような変性されたポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。ポリビニルアルコール系樹脂は、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルをケン化処理して得られるビニルアルコールホモポリマーのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体をケン化処理して得られるポリビニルアルコール系共重合体であってもよい。
 ポリビニルアルコール系樹脂を接着剤成分とする水系接着剤は通常、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液である。接着剤中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、水100重量部に対して、通常1~10重量部、好ましくは1~5重量部である。
 ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤には、接着性を向上させるために、多価アルデヒド、メラミン系化合物、ジルコニア化合物、亜鉛化合物、グリオキザール、グリオキザール誘導体、水溶性エポキシ樹脂のような硬化性成分や架橋剤を添加することが好ましい。水溶性エポキシ樹脂としては、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアルキレンポリアミンと、アジピン酸等のジカルボン酸との反応で得られるポリアミドアミンに、エピクロロヒドリンを反応させて得られるポリアミドポリアミンエポキシ樹脂を好適に用いることができる。かかるポリアミドポリアミンエポキシ樹脂の市販品としては、「スミレーズレジン650」(田岡化学工業(株)製)、「スミレーズレジン675」(田岡化学工業(株)製)、「WS-525」(日本PMC(株)製)等が挙げられる。これら硬化性成分や架橋剤の添加量(硬化性成分及び架橋剤として共に添加する場合にはその合計量)は、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、通常1~100重量部、好ましくは1~50重量部である。上記硬化性成分や架橋剤の添加量がポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して1重量部未満である場合には、接着性向上の効果が小さくなる傾向にあり、また、上記硬化性成分や架橋剤の添加量がポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して100重量部を超える場合には、接着剤層が脆くなる傾向にある。
 また、接着剤の主成分としてウレタン樹脂を用いる場合、適当な接着剤組成物の例として、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とグリシジルオキシ基を有する化合物との混合物を挙げることができる。ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とは、ポリエステル骨格を有するウレタン樹脂であって、その中に少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。かかるアイオノマー型ウレタン樹脂は、乳化剤を使用せずに直接、水中で乳化してエマルジョンとなるため、水系の接着剤として好適である。
 活性エネルギー線硬化性接着剤は、紫外線、可視光、電子線、X線のような活性エネルギー線の照射によって硬化し得る接着剤である。活性エネルギー線硬化性接着剤としては、カチオン重合によって硬化するエポキシ系化合物を硬化性成分とする活性エネルギー線硬化性接着剤をより好ましく用いることができ、さらに好ましくはかかるエポキシ系化合物を硬化性成分とする紫外線硬化性接着剤である。ここでいうエポキシ系化合物とは、分子内に平均1個以上、好ましくは2個以上のエポキシ基を有する化合物を意味する。エポキシ系化合物は、1種のみを単独で使用してもよいし、あるいは2種以上を併用してもよい。
 好適に使用できるエポキシ系化合物の例は、芳香族ポリオールの芳香環に水素化反応を行って得られる脂環式ポリオールに、エピクロロヒドリンを反応させることにより得られる水素化エポキシ系化合物(脂環式環を有するポリオールのグリシジルエーテル);脂肪族多価アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテルのような脂肪族エポキシ系化合物;脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に1個以上有するエポキシ系化合物である脂環式エポキシ系化合物を含む。
 活性エネルギー線硬化性接着剤は、硬化性成分としてラジカル重合性である(メタ)アクリル系化合物をさらに含有することもできる。(メタ)アクリル系化合物としては、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートモノマー;官能基含有化合物を2種以上反応させて得られ、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートオリゴマー等の(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物を挙げることができる。
 活性エネルギー線硬化性接着剤は、カチオン重合によって硬化するエポキシ系化合物を硬化性成分として含む場合、光カチオン重合開始剤を含有することが好ましい。光カチオン重合開始剤としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩;芳香族ヨードニウム塩や芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩;鉄-アレン錯体等を挙げることができる。また、活性エネルギー線硬化性接着剤が(メタ)アクリル系化合物のようなラジカル重合性硬化性成分を含有する場合は、光ラジカル重合開始剤を含有することが好ましい。光ラジカル重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系開始剤、ベンゾフェノン系開始剤、ベンゾインエーテル系開始剤、チオキサントン系開始剤、キサントン、フルオレノン、カンファーキノン、ベンズアルデヒド、アントラキノン等を挙げることができる。
 [偏光板作製工程]
 上記のようにして得られた、偏光フィルム10と保護フィルムとを含む積層光学フィルムを用いて偏光板を作製することができる。積層光学フィルムをそのまま偏光板として用いてもよいし、積層光学フィルムに対して以下に示す処理を施して偏光板を作製してもよい。
 <養生工程>
 上記硬化工程の後、室温以上の温度で少なくとも半日、通常は数日間以上の養生を施して十分な接着強度を得てもよい(養生工程)。かかる養生工程は、典型的には、ロール状に巻き取られた状態で行われる。好ましい養生温度は、30~50℃の範囲であり、さらに好ましくは35~45℃である。養生温度が50℃を超えると、ロール巻き状態において、いわゆる「巻き締まり」が起こりやすくなる。なお、養生時の湿度は、特に限定されないが、相対湿度が0~70%RH程度の範囲となるように選択されることが好ましい。養生時間は、通常1~10日程度、好ましくは2~7日程度である。
 <切除工程>
 上記貼合工程において、偏光フィルム10と保護フィルムが一対の貼合ロール40に接触しない幅方向両端部を有する場合には、本工程においてかかる幅方向両端部を含む部分を切除する切除工程を行ってもよい。このとき、偏光フィルム10、保護フィルム、及び接着剤層の側端面が揃うように切除することが好ましい。
 切除方法は特に限定されるものではないが、たとえば、一般にスリッターと呼ばれている方法などを好適に用いることができる。スリッターの例としては、たとえばレザー刃と呼ばれる剃刀刃を用いる方法が挙げられる。同じレザー刃を用いた方法でも、特にバックアップガイドを設けずに空中でスリットする中空切りや、バックアップガイドとして、溝を切ったロールに刃を入れ込んでスリットの蛇行を安定させる溝ロール法などがある。その他にも、シヤー刃と呼ばれる円形の刃を2枚用いて、フィルムの搬送にあわせて回転させながら上刃で下刃に接圧をかけてスリットする方法や、シヤー刃やスコアー刃と呼ばれる刃を焼き入れロール等に押し付けてスリットする方法、さらに、シヤー刃を2枚組み合わせてハサミのようにカットしながらスリットする方法などを用いることができる。中でも、フィルムのスリット位置を簡単に変更でき、かつ、走行が安定しやすい方法である「レザー刃を用いた溝ロール法」などが好適に用いられる。
 <粘着剤層形成工程>
 上記硬化工程の後、積層光学フィルムの保護フィルムの外面に粘着剤層を積層する粘着剤層形成工程を行って粘着剤層付偏光板とすることもできる。かかる粘着剤層を用いて偏光板を液晶セルに貼合することができる。
 粘着剤層に用いられる粘着剤としては、従来公知の適宜の粘着剤を用いることができ、例えばアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ポリエーテル系粘着剤、フッ素系粘着剤、ゴム系粘着剤などが挙げられる。中でも、透明性、粘着力、信頼性、リワーク性などの観点から、アクリル系粘着剤が好ましく用いられる。粘着剤層は、粘着剤を、例えば有機溶剤溶液の形態で用い、それを保護フィルム上にダイコーターやグラビアコーター等によって塗工し、乾燥させる方法によって設けることができる他、離型処理が施されたプラスチックフィルム(セパレートフィルムと呼ばれる。)上に形成されたシート状粘着剤を保護フィルム上に転写する方法によっても設けることができる。いずれの方法をとっても、粘着剤層の表面にセパレートフィルムが貼着されていることが好ましい。粘着剤層の厚みは、例えば2~40μmであることができる。
 10 偏光フィルム、20 第1保護フィルム、21 第2保護フィルム、30 注入装置、40 貼合ロール、50 乾燥装置、71 第1表面フィルム、72 第2表面フィルム、81,82,83,84 接着剤層、101,102,103 内側フィルム、90 吸引ノズル(吸引手段)、91 吸引口、92 希釈液供給口。

Claims (6)

  1.  第1表面フィルムと第2表面フィルムとを含む、少なくとも2枚の積層されたフィルムを有する積層光学フィルムの製造方法であって、
     一方の表面を構成する前記第1表面フィルムと、他方の表面を構成する前記第2表面フィルムと、前記第1表面フィルムと前記第2表面フィルムの間に設けられた接着剤層とを有するフィルム積層体を、一対のロール間を通過させて、前記フィルム積層体に圧力を印加する貼合工程と、
     前記圧力により前記フィルム積層体の幅方向両端部方向に移動する余剰の接着剤を吸引する吸引工程と、を含む、積層光学フィルムの製造方法。
  2.  前記吸引工程において、前記接着剤を吸引する吸引手段の吸引口の配置位置が可変である、請求項1に記載の積層光学フィルムの製造方法。
  3.  前記第1表面フィルムと前記第2表面フィルムは、その幅が、前記一対のロールの面長よりも長く、前記貼合工程において前記一対のロールに接触しない部分を幅方向両端部に有する、請求項1または2に記載の積層光学フィルムの製造方法。
  4.  前記吸引工程において、前記接着剤を吸引する吸引手段の吸引口が、前記フィルム積層体の幅方向両端部における前記第1表面フィルムと前記第2表面フィルムの間の空間内に挿入されている、請求項3に記載の積層光学フィルムの製造方法。
  5.  前記積層光学フィルムは、前記第1表面フィルムと前記第2表面フィルムの間に積層された少なくとも1枚の内側フィルムを有し、
     前記第1表面フィルムと前記第2表面フィルムは、その幅が、前記内側フィルムよりも長く、前記貼合工程において、前記内側フィルムを有しない部分を幅方向両端部に有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の積層光学フィルムの製造方法。
  6.  前記吸引工程において、吸引される前記接着剤を希釈する液体が供給され、希釈された前記接着剤が吸引される、請求項1~5のいずれか1項に記載の積層光学フィルムの製造方法。
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