JP2006083213A - 保護層形成用シートおよび保護層の形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 環状エーテル構造を有する化合物(A)、(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B)および熱カチオン重合開始剤(C)を含有する硬化性樹脂組成物を基体シート上に塗装した後、活性エネルギー線を照射して該硬化性樹脂組成物をB―ステージ化してなる塗膜層を有することを特徴とする保護層形成用シート、前記保護層形成用シートの基体シートと成形品とを接着した後、加熱することにより前記B−ステージ化してなる塗膜層を更に硬化させることを特徴とする成形品の保護層の形成方法を提供
【選択図】 なし
Description
(1)環状エーテル構造を有する化合物(A)、(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B)および熱カチオン重合開始剤(C)を含有する硬化性樹脂組成物は、活性エネルギー線を照射する事により、硬化性樹脂組成物中の(メタ)アクリロイル基(α−β不飽和カルボニル基)がラジカル重合反応を開始して半硬化(B−ステージ化)し、更に、Bーステージ化した硬化性樹脂組成物は加熱することにより化合物(A)中の環状エーテルのカチオン重合反応により完全硬化する。この完全硬化した硬化性樹脂組成物は擦傷性、耐溶剤性に優れる。
(2)前記硬化性樹脂組成物を基体シート上に塗装した後、活性エネルギー線を照射することによりB−ステージ化された樹脂層を有する保護層形成用シートを製造することができ、このB−ステージ化された樹脂層は指で触れても粘着性が無く(残タックが無い)経時的な粘着性の増加も見られない。そのため、この保護層形成用シートはロール状態等で安定して保管することができる。
(3)保護層形成用シートと成形品等の基材とを接着した後、加熱することにより耐擦傷性、耐溶剤性に優れる保護層を有する成型品を得ることができ、また、保護層形成用シートを接着する際にも成型品の曲面部において保護層にクラックが生じない。
(2)多価アミン化合物とジケテンとを反応させて得られる化合物;
(3)活性メチレン基を有する(メタ)アクリルモノマーや活性メチン基を有する(メタ)アクリルモノマーを必須成分として、必要に応じて他のアクリルモノマーや非アクリル系モノマーと共に重合して得られる(メタ)アクリル系樹脂;
(4)メタントリカルボン酸トリアルキルエステルと多価アルコールとをエステル交換反応させて得られる化合物;
(5)イソシアネート化合物と活性メチレン基含有化合物との付加反応により得られる化合物。
撹拌装置、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた反応装置に、酢酸ブチル463gを仕込み、撹拌しながら系内温度が110℃になるまで昇温した。次いで、サイクロマーM100〔3,4―エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、ダイセル化学(株)製:純度96.8%。〕463gおよびt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本乳化剤製:パーブチルO)9.3gからなる混合液を2時間かけて滴下ロートより滴下した。滴下後110℃で5時間保持した後120℃に昇温し、同温度で8時間反応を続けた。反応終了後、酢酸ブチル223gを仕込み、環状エーテル構造を有する化合物920gを得た。これを重合体(A)と称する。重合体(A)は、不揮発分:41.9%、ガードナー粘度(25℃):D―E2、ガードナーカラー:1以下、GPCによるスチレン換算重量平均分子量:20,700、固形分換算のエポキシ当量:196mgKOH/gである。
撹拌装置、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた反応装置に、酢酸ブチル1200gを仕込み、撹拌しながら系内温度が110℃になるまで昇温した。次いで、グリシジルメタアクリレート1200gおよびパーブチルO24gからなる混合液を2時間かけて滴下ロートより滴下した。滴下後110℃で7時間保持した後120℃に昇温し、同温度で8時間反応を続けた。次いで、窒素を乾燥空気に変更して90℃まで降温した後、メトキノン1.82gおよびアクリル酸621gを仕込んだ後、トリフェニルホスフィン17.7gを添加後、100℃まで昇温して8時間反応を続けた。反応終了後、メチルエチルケトン(MEK)1160gおよび酢酸ブチル680gを仕込み、アクロイル基を有する化合物を4550g得た。これを重合体(B)と称する。重合体(B)は、不揮発分:37.7%、ガードナー粘度(25℃):C2−D、ガードナーカラー:1以下、酸価:1.0mgKOH/g、GPCによるスチレン換算重量平均分子量:25、600、固形分換算のアクリル当量:218g/eq、固形分換算の水酸基価:258mgKOH/gである。
メチルメタクリレート 182g、ブチルアクリレート 10g、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート 8g、t−ブチルハイドロパーオキサイド(開始剤)0.6gを混合し重合性単量体および開始剤からなる混合物(I)を得た。攪拌装置を備えた内容量5Lのオートクレーブに、脱イオン水2.5Kg、ホウ酸10g、炭酸ナトリウム1g、硫酸第一鉄0.001g、エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム0.004gおよび乳化剤(N−ラウロイルザルコシンナトリウム、以下同じ)5g、並びに上記混合物(I)のうち80gおよび開始剤を一括して入れ、窒素ガスを吹き込んで実質的に酸素の影響のない状態とした後、80℃に昇温して、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(以下SFS)の10%水溶液を加え、60分間重合を行った。その後混合物(I)の残り120gを30分間にわたり連続的に添加して重合させ、添加終了後さらに90分間重合を継続した。
窒素導入口、撹拌機、コンデンサーおよび温度計を備えた1Lの4つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、メチルエチルケトン60gおよびアクリル系ゴム状弾性体(A)1gを入れ、撹拌しながら湯浴の温度を80℃に上げ、サイクロマーM100が100g、アゾビスイソブチロニトリル0.3gからなる混合物(IV)を2時間かけて滴下した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル0.7gを1時間置きに5回に分けて添加した後、フラスコ内温を溶剤の沸点まで上昇させてその温度でさらに2時間重合させた。その後、フラスコ内温度が50℃以下になってから、メチルエチルケトンの90gを添加して重合反応物をフラスコより取り出し、比較対照用アクリル樹脂(C)溶液を得た。これを重合体(C)と称する。アクリル樹脂(C)における単量体混合物の重合率は99.5%以上であり、固形分量は約40重量%、重量平均分子量は約21万、ガラス転移温度は約74℃であった。
第1表に示す組成で化合物を配合して、硬化性樹脂組成物を調製した。これを組成物M1と略記する。
保護層形成用シートの保護層面と前記ポリエステル樹脂シートを重ねてこれをガラス板で挟んだ。このガラス板の上に1kgの重りをのせて40℃で1日間保持した。その後、重ね合わせたシートを取り出し、シート同士を剥離させた。保護層形成用シートの保護層面がもう片方のフィルムに移る現象(ブロッキング)の有無を目視で観察し、以下の判定に従い、評価した。
◎:ブロッキングの発生が認められない。シート同士を剥離させるのもスムーズである。
○:ブロッキングの発生が認められないが、シート同士を剥離させる際に抵抗を感じる。
×:ブロッキングが発生する。
ガーゼにMEKを含浸させ、440g/cm2の荷重で50往復擦った後の保護層表面の状態を目視観察し、以下の判定に従い評価した。
◎:表面の状態に変化無し。
○:保護層表面が溶解し傷が発生するが、保護層内部まで届く傷は発生しない。
×:保護層が溶解し、内部まで届く傷が発生する。
#0000スチールウールを用い、荷重(440g/cm2)で50往復させた後の保護層表面の傷つき程度を目視観察し、以下の判定に従い評価した。
◎:表面の状態に変化無し。
○:保護層表面に傷が発生するが、保護層内部まで届く傷は発生しない。
×:内部まで届く傷が発生する。
成形品曲面の保護層のクラックの発生状態を目視判定し、以下の判定に従い評価した。
○:クラック発生が認められない。
×:クラック発生が認められる。
第1表、第2表に示す配合で硬化性樹脂組成物である組成物M2、M3及び比較対照用組成物M′1〜M′3を調製した。実施例1と同様にして保護層形成用シートの製造と成形品の保護層の形成を行った。実施例1と同様の各試験を行いその結果を第3表及び第4表に示す。
アクリル樹脂Aを100部、サンエイドSI−100L(三新化学工業株式会社製のトリフェニルスルホニウム6フッ化アンチモネート)1部およびアクリル系ゴム状弾性体(A)1部を混合して比較対照用硬化性樹脂組成物M′3を調製した。実施例1と同様にして保護層形成用シートの製造と成形品の保護層を形成した。実施例1と同様の各試験を行いその結果を第4表に示す。
SH28PA:シリコーン系スリップ剤であるSH28PA〔東レ−ダウコーニング(株)製〕をMEKにて不揮発分10%となるように希釈したもの。
イルガキュア184:光重合開始剤(チバガイギー社製)
SI−110:スルホニウム系熱カチオン重合開始剤であるSI−110(三新化学社製)をMEKにて不揮発分20%となるように希釈したもの。
Claims (10)
- 環状エーテル構造を有する化合物(A)、(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B)および熱カチオン重合開始剤(C)を含有する硬化性樹脂組成物を基体シート上に塗装した後、活性エネルギー線を照射して該硬化性樹脂組成物をB―ステージ化してなる塗膜層を有することを特徴とする保護層形成用シート。
- 前記化合物(A)中の環状エーテル構造のモル数(a)に対する前記化合物(B)中の(メタ)アクリロイル基のモル数(b)〔(b)/(a)〕が、1〜10である請求項1記載の保護層形成用シート。
- 前記化合物(A)中の環状エーテル構造の官能基当量が80〜1500g/eqで、前記化合物(B)中の(メタ)アクリロイル基の当量が80〜1500g/eqである請求項2記載の保護層形成用シート。
- 前記化合物(A)が3,4―エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートを必須成分として重合して得られる重量平均分子量500〜50000の脂環式エポキシ(メタ)アクリル系樹脂である請求項2記載の保護層形成用シート。
- 前記化合物(B)がグリシジル(メタ)アクリレートを必須成分として重合して得られるエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応して得られる重量平均分子量200〜50000の水酸基含有エポキシ(メタ)アクリレートである請求項4記載の保護層形成用シート。
- 前記熱カチオン重合開始剤(C)がスルホニウム塩化合物である請求項2記載の保護層形成用シート。
- 前記硬化性樹脂組成物が更に光重合開始剤(D)を含有する請求項1〜6のいずれか1項記載の保護層形成用シート。
- 前記光重合開始剤(D)がベンゾイン類、アセトフェノン類およびケタール類からなる群から選ばれる一種以上の化合物である請求項7記載の保護層形成用シート。
- 前記基体シートがポリエチレンテレフタレートシート、トリアセチルセルロースシート、ポリプロピレンシート、ポリエチレンシートおよびポリスチレンシートからなる群から選ばれる1種以上のシートである請求項1〜8のいずれか1項記載の保護層形成用シート。
- 請求項1〜9のいずれか1項記載の保護層形成用シートの基体シートと成形品とを接着した後、加熱することにより前記B−ステージ化してなる塗膜層を硬化させることを特徴とする成形品の保護層の形成方法。
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