JP2008143104A - 塗膜形成用転写シート及びそれを用いた被覆塗膜の形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】種々の基材に対して被覆塗膜を転写、硬化することにより強靱な塗膜を形成することが可能な紫外線硬化型の塗膜形成用転写シートを提供すること。
【解決手段】加圧により変形可能な光硬化性組成物からなる被覆塗膜を形成するための塗膜形成層及び塗膜形成層の両方の表面に設けられた剥離シートからなる塗膜形成用転写シートであって、光硬化性組成物が、ポリマーとエチレン性不飽和基を有する反応性希釈剤とを含み、且つ塗膜形成層の光硬化前のガラス転移温度が20℃未満であることを特徴とする塗膜形成用転写シート。
【選択図】図1

Description

本発明は、ドライペイントフィルム等の被覆塗膜を転写により形成することが可能な転写シートとして有用な紫外線硬化型塗膜形成用転写シート及びそれを用いた被覆塗膜の形成方法に関する。
現在、自動車等のプラスチック部品表面の被覆塗膜は、ほとんどの場合、有機溶剤系塗料をスプレー塗装することにより行われている。このようなスプレー塗装工程は、有機溶剤による作業環境の悪化と共に環境汚染を起こすとの環境面の問題、或いは塗装効率が低い、塗装ブース、乾燥・硬化設備及び溶剤回収設備等の設備費用が高い等のコスト面の問題を抱えている。
このような問題を解決する方法として、ドライペイントフィルムという手法が提案され、実用化に向けて検討が進められている。ドライペイントフィルムによる塗膜形成方法は、従来の塗装、塗膜形成方法とは異なり、あらかじめ被膜化されたドライフィルムの層をプラスチック部品等の基材上に転写し、この層を塗膜とするものである。この塗膜形成過程では環境破壊につながる有機溶剤の環境中への排出、リサイクル使用が困難な廃塗料の発生がほぼ皆無に抑制され、環境影響上好ましい。
例えば、非特許文献1(荒井博孝、金山賢教、ドライペイントフィルムによる塗装代替技術、「成形加工」 第11刊 第5号、p392〜p396(1999))に上記ドライペイントフィルムによる塗膜形成方法が記載されている。
この塗膜形成方法は基材を成形(インサート成形、真空成形など)する際に、同時に塗膜を形成するというものである。従って、フィルムは熱可塑性であり、基材の成形応力に追従するためかなりの柔軟性(加熱時)を有する必要がある。同時に、基材としては比較的低温で成形加工が可能な熱可塑性プラスチックである必要があり、耐熱性や高強度を有するエンジニアリングプラスチック、及び金属類は適さない。さらに、塗膜形成時フィルムは流動性、平滑性が十分でなく、結果として高外観(高光沢、高鮮映性等)な塗膜は得難い。また、塗膜硬度も高いとは言えず、耐殺傷性や、耐洗浄性に劣るとの不利がある。さらに、塗膜が架橋していないために、耐汚染性、そして夏場等の高温時における塗膜強度が十分でないとの不利もある。
上記不利を解消するために、特許文献1(特開2001−246706号公報)及び特許文献2(特開2002−240822号公報)には、一対のガードフィルムの間に硬化可能な被覆塗膜形成層が挟まれ、その被覆塗膜形成層がオキセタニル基含有化合物を含む塗膜形成用積層フィルムが提案され、被覆塗膜形成層を光照射によるカチオン重合により塗膜を形成することが開示されている。
特開2001−246706号公報 特開2002−240822号公報 荒井博孝、金山賢教、ドライペイントフィルムによる塗装代替技術、「成形加工」 第11刊 第5号、p392〜p396(1999)
特許文献1の塗膜形成用積層フィルムの被覆塗膜形成層はカチオン重合により硬化され、得られた塗膜は架橋構造を有するものである。しかしながら、カチオン系は、一般的に温度、湿度の影響を受けやすい。即ち、塗膜中に残存する酸の安全性や金属腐食性、そして硬化速度の点で工業的に使用するには有利とは言えない。
従って、本発明は、工業的使用に有利で、種々の基材に対して被覆塗膜を転写、硬化することにより強靱な塗膜を形成することが可能な紫外線硬化型の塗膜形成用転写シートを提供することをその目的とする。
また、本発明は、工業的使用に有利で、種々の基材に対して被覆塗膜を転写、硬化することにより強靱で良好な仕上がりの塗膜を、高い生産性で形成することが可能な紫外線硬化型の塗膜形成用転写シートを提供することをその目的とする。
さらに、本発明は、上記塗膜形成用転写シートを用いて、紫外線によるラジカル重合より被覆塗膜を形成する方法を提供することをその目的とする。
上記目的は、
加圧により変形可能な光硬化性組成物からなる被覆塗膜を形成するための塗膜形成層及び塗膜形成層の少なくとも一方の表面に設けられた剥離シートからなる塗膜形成用転写シートであって、
光硬化性組成物が、ポリマーとエチレン性不飽和基を有する反応性希釈剤とを含み、且つ塗膜形成層の光硬化前のガラス転移温度が20℃未満であることを特徴とする塗膜形成用転写シート、
により達成することができる。
尚、上記本発明の塗膜形成用転写シートは、特許文献2で指摘のある粘性についても解消されており、即ち、形状保持性が良好であり、作業性、仕上がりにおいても良好である。さらに、カチオン系と比較して硬化は明らかに速く、耐殺傷性に優れていることから、タクト(工程の処理時間)を短縮することが可能である。
本発明の塗膜形成用転写シートの好適態様を以下に列挙する。
1)塗膜形成層の300mJ/cm2の紫外線照射後のガラス転移温度が50℃以上(好ましくは65℃以上)である。強靱な塗膜が得られる。
2)ポリマーのガラス転移温度が80℃以上である、優れた転写性及び硬化後の高い塗膜強度が得られやすい。
3)ポリマーが、アクリル樹脂である。反応性希釈剤との適宜組合せにより、良好な転写性と優れた硬化性の両立が容易となる。
4)上記アクリル樹脂が、メチルメタクリレートの繰り返し単位を少なくとも50質量%含むアクリル樹脂である。反応性希釈剤との適宜組合せにより、良好な転写性と優れた硬化性の両立が容易となる。
5)アクリル樹脂が、ヒドロキシル基を有するアクリル樹脂である。
上記ヒドロキシル基を有するアクリル樹脂が、メチルメタクリレートと、アルコール残基が炭素原子数2〜10個のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも1種と、アルコール残基がヒドロキシルキを有する炭素原子数2〜4個のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも1種との共重合体であることが好ましい。メチルメタクリレートを50質量%以上有することが特に好ましい。反応性希釈剤との適宜組合せにより、良好な転写性と優れた硬化性の両立が容易となる。
6)上記アクリル樹脂が、エチレン性不飽和基を有するアクリル樹脂である。
上記アクリル樹脂が、メチルメタクリレートと、アルコール残基が炭素原子数2〜10個のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも1種と、グリシジル(メタ)アクリレートとの共重合体で、且つ該グリシジル基に重合性官能基を有するカルボン酸を反応させて得られたものであることが好ましい。反応性希釈剤との適宜組合せにより、良好な転写性と優れた硬化性の両立が容易となる。
た上記アクリル樹脂が、メチルメタクリレートと、アルコール残基が炭素原子数2〜10個のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも1種と、重合性官能基を有するカルボン酸との共重合体で、且つ該カルボン酸基にグリシジル(メタ)アクリレートを反応させて得られたものであることが好ましい。反応性希釈剤との適宜組合せにより、良好な転写性と優れた硬化性の両立が容易となる。
7)さらにポリイソシアネート(ジイソシアネートが好ましい)を含む。光硬化前の後架橋が可能となり、転写前のフィルムの形状保持性が向上する。
8)ポリマーの数平均分子量が100000以上、及び/又は重量平均分子量が100000以上である。特に数平均分子量が100000〜300000、重量平均分子量が100000〜300000であることが好ましい。この分子量、アクリル樹脂の組成、及び反応性希釈剤の割合を、後述するように好適にすることにより特に優れた転写性と高い硬化速度を得ることができる。上記数平均分子量は、ポリスチレン標準を用いてGPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ)により測定する。
9)エチレン性不飽和基を有する反応性希釈剤が、エチレン性不飽和基及び極性基を有する反応性希釈剤を含む。基材との密着性が向上する。極性基がヒドロキシル基であることが好ましい。
10)エチレン性不飽和基を有する反応性希釈剤が、ヒドロキシル基を少なくとも1個有し、且つアクリロイル基及びメタクリロイル基から選択される少なくとも1種の基を少なくとも2個有する化合物を含む。
11)上記10)のヒドロキシル基とアクリロイル基及び/又はメタクリロイル基とを有する化合物が、下記式(I):
Figure 2008143104
[但し、R1が、水素原子又は炭素原子数1〜5個のアルキル基を表し、相互に同一でも異なっていても良く、
2が水素原子、炭素原子数1〜5個のアルキル基又は炭素原子数1〜5個のヒドロキシアルキル基を表し、
3が、水素原子又は炭素原子数1〜5個のアルキル基を表し、相互に同一でも異なっていても良く、
4が炭素原子数1〜5個のアルキレン基を表し、
X及びYが、それぞれ独立してアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を表し、そして
nが0又は1を表す。]
で表される化合物である。この化合物を用いることにより、基材との密着性が向上する。
前記一般式(I)において、
1が、水素原子を表し、
2が水素原子、メチル、エチル又はヒドロキシメチル基を表し、
3が、水素原子を表し、
4がメチレン基を表し、
X及びYが、それぞれ独立してアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を表し、そして
nが0又は1を表すことが好ましい。
さらに、前記一般式(I)において、
1が、水素原子を表し、
2が水素原子を表し、
3が、水素原子を表し、
X及びYが、それぞれ独立してアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を表し、そして
nが0を表すことが好ましい。
12)塗膜形成層の膜厚ムラが、±3μmの範囲にある。これにより転写、硬化後の塗膜に優れた平滑性が得られる。
13)光硬化性組成物が、光重合開始剤を0.1〜10質量%含む。
14)塗膜形成層と剥離シートとの間に、着色層及び/又は接着層を有する。一般に、硬化後除去される剥離シート側に塗膜形成層が存在する。最初に剥離される剥離シート、接着層、着色層、塗膜形成層及び硬化後除去される剥離シートから構成される積層体が好ましい。接着層に塗膜形成層を使用しても良い。即ち、塗膜形成層と剥離シートとの間に、着色層及び塗膜形成層を有しても良い。
15)剥離シートは、プラスチックフィルム(特にポリエチレンテレフタレートフィルム)とのその表面に設けられた剥離層からなるであることが好ましい。
16)塗膜形成層の両方の表面に剥離シートが設けられている。取扱いが容易となる。
17)一方の剥離シート(硬化後除去される剥離シート)が、プラスチックフィルムと、その上に設けられた、塗膜形成層と接する剥離層とを含み、この剥離層が、ヒドロキシル基を有するポリシロキサンと水素化ポリシロキサンとの縮合反応生成物からなる。ヒドロキシル基を有するポリシロキサンが、ジメチルポリシロキサンであることが好ましい。
もう一方の剥離シート(転写前に除去される剥離シート)第2剥離シートが、プラスチックフィルムと、その上に設けられた、塗膜形成層と接する剥離層とを含み、この剥離層が、ケイ素原子を含まない熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂から、或いはこれらの樹脂とシランカップリング剤とから形成されている。或いは、第2剥離シートの剥離層が、不飽和2重結合基を有するポリシロキサンと水素化ポリシロキサンとの付加反応生成物(不飽和2重結合基を有するポリシロキサンがジメチルポリシロキサンであることが好ましい)からなる。また第2剥離シートは、剥離層を有していなくても良い。
さらに本発明は、
下記の工程(1)〜(3):
(1)請求項1〜17のいずれか1項に記載の塗膜形成用転写シートの両方の表面に剥離シートが設けられている場合に、その一方の剥離シートを除去する工程;
(2)プラスチック部品の表面に、塗膜形成用転写シートの塗膜形成層の表面がプラスチック部品の表面に接触するように裁置し、これらを押圧して塗膜形成層の表面がプラスチック部品の表面に沿って密着された積層体を形成する工程;及び
(3)該積層体のもう一方の剥離シート上から紫外線を照射して硬化させる工程;
を含むことを特徴とする被覆塗膜の形成方法にもある。
本発明の被覆塗膜の形成方法の好適態様を以下に列挙する。
1)前記(3)の紫外線照射を少なくとも300mJ/cm2の照射エネルギーで行う。
2)前記(3)で得られる塗膜形成層のガラス転移温度が50℃以上である。
本発明の塗膜形成用転写シートの塗膜形成層は、ポリマーとエチレン性不飽和基を有する反応性希釈剤とを含み、且つ塗膜形成層の光硬化前のガラス転移温度が20℃未満であるため、基材に直接圧着(ラミネート)することが容易であり、その後、塗膜形成層は紫外線によりラジカル重合されるため、塗膜は硬化、架橋され、強靱であることから、耐久性の優れた塗膜保護された基材を得ることができる。また、本発明の塗膜形成用転写シートは、常温でも転写できるほど可撓性があるため、従来の熱可塑性のドライペイントフィルムと異なり成形加工により成膜する必要が無く、あらゆる通常のプラスチックのみならず、成形加工されないエンジニアリングプラスチック、金属等の様々な素材の基材に適用することができ、なおかつ強靱で、密着性に優れた塗膜を得ることができる。
以下に図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明で使用される塗膜形成用転写シートの実施形態の代表例を示す断面図である。塗膜形成用転写シート10において、塗膜形成層11には、一方の表面に、第1剥離シート12b、及び他方の表面に、第2剥離シート12aが、設けられている。塗膜形成層11は、一般にクリア層であるが、酸化チタン顔料、アルミニウム顔料等を含んでいても良い(但し、過剰に含有すると紫外線硬化に支障を来す)。第1剥離シート12b、及び第2剥離シート12aは、同一の剥離シートでも良い。一般に、剥離シートは、プラスチックシート上に剥離層が設けられ、剥離層が塗膜形成層11の表面と接触するように設けられている。第1剥離シート12bと第2剥離シート12aは後述するように相互に異なる剥離性を有することが好ましい。一般に、塗膜形成用転写シート10は、第2剥離シート12aが除去され、露出した塗膜形成層11の表面を基材表面に圧着させる。従って、第2剥離シート12aは無くても良いが、取扱いが容易なことからあった方が好ましい。
本発明の塗膜形成層11は、基材の凹凸表面を押圧することにより精確に転写できるように、加圧により変形し易い層であるとともに、硬化後において基材表面との接着性が良好な層である。このため、塗膜形成層11は、ポリマーとエチレン性不飽和基(ラジカル重合性炭素炭素2重結合)を有する反応性希釈剤とを含む光硬化性組成物からなり、且つ塗膜形成層の光硬化前のガラス転移温度が20℃未満である。
本発明では、光硬化性組成物は、ポリマーとして、ガラス転移温度が80℃以上のポリマーを含むことが好ましい。これにより、基材の凹凸形状が容易に転写でき、その後の硬化も高速で行うことができる。また硬化された(300mJ/cm2以上)塗膜も高いTg(好ましくは50℃以上、特に65℃以上)有するのでその形状が変わることなく長期に維持され得る。
上記ポリマーは、ヒドロキシル基を有することにより、塗膜形成層11にジイソシアネートを含ませることで、ポリマー等を僅かに架橋させることが可能となり、塗膜形成層の形状安定性が、層厚変動が大きく抑えられた層とするのに特に有利である。ジイソシアネートは、ヒドロキシル基の無いポリマーでもある程度有効である。また、ポリマーとして(好ましくはガラス転移温度が80℃以上)は、エチレン性不飽和基を有することが、反応性希釈剤との反応が可能となり硬化の高速化に有利である。塗膜形成層の膜厚ムラが、±3μmの範囲にあることが好ましい。
図2は本発明で使用される塗膜形成用転写シートの実施形態の好ましい例を示す断面図である。塗膜形成用転写シート20において、塗膜形成層21には、一方の表面に、第1剥離シート22b、及び他方の表面に、着色層23、接着層24及び第2剥離シート22aが、設けられている。着色層23は、一般に酸化チタン顔料、アルミニウム顔料等の顔料が配合され着色された着色層(エナメル層)である。塗膜形成層21は、一般にクリア層であるが、上記顔料を含んでいても良い(過剰に含有すると紫外線硬化に支障を来す)。塗膜形成層21と着色層23との間に印刷層を設けても良い。接着層24は、種々の基材への密着性を向上させるために設けられるが、設けなくても良い。また着色層23が、接着層の機能を有していても良い。接着層24、着色層23は、本発明の塗膜形成層からなるものでも良いが、着色が濃い場合は紫外線による硬化に支障を来すので、原料等の含有量はできるだけ抑える必要がある。また、場合により、接着層24は剥離シート側にあらかじめ設けておいてもよい。
一般に、塗膜形成用転写シート20は、第2剥離シート22aが除去され、露出した接着層24の表面を基材表面に圧着させる。
図1に示すように、塗膜形成層11がクリア層単層の場合には、層厚は2〜200μm、好ましくは5〜100μmである。層厚が下限未満では十分に基材表面の隠蔽、保護ができず、上限を超える場合には塗膜の硬度を十分に高めることができず傷つきやすくなることがある
塗膜形成層21と着色層23とを設ける場合には、塗膜形成層(クリア層)は5〜100μm、好ましくは10〜80μm、着色層は10〜150μm、好ましくは20〜80μmである。これにより塗膜外観が向上する。
接着層24は膜厚が0.01〜100μm、好ましくは0.05〜80μmである。下限未満では、十分な接着強度が得られないことがあり、上限を超える場合には被覆塗膜の耐候性等が悪化する場合がある。
成形プラスチック等の基材への塗膜の形成は、例えば図3に示すように行われる。塗膜形成用転写シート30から第2剥離シート32aを剥がし(1)、基材表面に貼付(加圧、或いは真空下に加圧するのが好ましい)し、塗膜形成層31を基材35表面に圧着(着色層、粘着層を用いた場合は必要により加熱する)した(2)後、塗膜形成層に紫外線照射(一般に第1剥離シートを介して)して硬化させ(300mJ/cm2以上が好ましい)(3)、その後第1剥離シートを除去することにより、強靱な塗膜(ガラス転移温度が50℃以上が好ましい)で被覆された基材を得ることができる(4)。この場合、例えば、第1剥離シートの塗膜形成層と接触する側の表面にエンボス加工を施すことにより塗膜形成層表面にエンボスを施すことも可能である。これによりつや消し状態の表面を得ることができる。尚、使用される基材35は、前述のように本発明の転写シートの優れた可撓性のため、通常のプラスチックのみならず、成形加工されないエンジニアリングプラスチック(例、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン)、金属(例、アルマイト、ステンレス(SUS403、410等))等の様々な素材の基材に適用することができる。
塗膜形成層を加圧する方法としては、例えば基材表面に塗膜形成用転写シートを貼付した後、圧着ロールで加圧する方法或いは減圧下に2個のロール(例、転圧ローラ)の間を通過させて加圧する方法、簡易プレス等のプレス機で加圧する方法、アイロンで加圧する方法、真空下に加圧する方法、基材表面を成形する際に成形用の金型等で加圧する方法等を挙げることができる。好ましくは0.01MPa(0.1atm)以上の圧力を塗膜形成用転写シートにかけることが可能な方法である。圧着する際の加圧が0.01MPa(0.1atm)では、密着性に優れた塗膜が形成されにくくなることがある。
基材の表面(凹凸形状)と塗膜形成層とを圧着する際の温度は、100℃以下の低温(好ましくは常温)が好ましい。塗膜形成層の硬化後の層は、一般にTgが50℃以上(特に65℃以上)の層であり、基材表面に硬化塗膜は高い接着力で形成されており、また硬化被膜から第1の剥離シートを容易に剥離することができる。
また、本発明における塗膜形成層の加圧を、例えば二重真空室方式の装置を用いて減圧下の押圧により行うことができる。図4を参照しながら説明する。図4には二重真空室方式のラミネータの一例が示されている。ラミネータは下室44、上室42、シリコーンゴムシート43、ヒータ45を備えている。ラミネータ内の下室44に、基材と塗膜形成用転写シートとの積層体49を置く。上室42及び下室44共に排気する(減圧する)。積層体49をヒータ45で加熱し、その後、下室34を排気したまま上室42を大気圧に戻し、積層体を圧着する。冷却して積層体を取り出し、次工程に移す。これにより排気時に脱泡が十分に行われ、気泡の無い状態で、スタンパ又は基板と塗膜形成用転写シートとを圧着することができる。
以上のようにして塗膜形成用転写シートを用い被覆塗膜が形成された基材は、さらにその形成された塗膜に紫外線照射(300mJ/cm2以上が好ましい)、必要により加熱することにより、塗膜強度、密着性、耐薬品性、耐候性等の耐久性を向上させることが可能であり好ましい。
本発明で使用される塗膜形成用転写シートは、ポリマー及びエチレン性不飽和基を有する反応性希釈剤(重合性モノマー、オリゴマー)を含み、加圧により変形可能な光硬化性組成物からなる塗膜形成層を有するものである。
本発明の上記光硬化性組成物は、一般に、上記ポリマー(好ましくはガラス転移温度が80℃以上のポリマー)、エチレン性不飽和基(一般に炭素炭素2重結合基、好ましくは(メタ)アクリロイル基)を有する反応性希釈剤(モノマー及びオリゴマー)、光重合性開始剤及び、所望により他の添加剤から構成される。
本発明の光硬化性組成物の一般的な構成要件であるエチレン性不飽和基を有する反応性希釈剤としては、例えば、(メタ)アクリルモノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルポリエトキシ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンモノ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、N−ビニルカプロラクタム、o−フェニルフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、
ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジプロポキシジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、
グリセリンジアクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンアクリレートメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリス〔(メタ)アクリロキシエチル〕イソシアヌレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートモノマー類;
ポリオール化合物(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、ビスフェノールAポリエトキシジオール、ポリテトラメチレングリコール等のポリオール類、前記ポリオール類とコハク酸、マレイン酸、イタコン酸、アジピン酸、水添ダイマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の多塩基酸又はこれらの酸無水物類との反応物であるポリエステルポリオール類、前記ポリオール類とε−カプロラクトンとの反応物であるポリカプロラクトンポリオール類、前記ポリオール類と前記、多塩基酸又はこれらの酸無水物類のε−カプロラクトンとの反応物、ポリカーボネートポリオール、ポリマーポリオール等)と、有機ポリイソシアネート(例えば、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、ジシクロペンタニルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4'−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2',4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等)と水酸基含有(メタ)アクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキサン−1,4−ジメチロールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等)の反応物であるポリウレタン(メタ)アクリレート、
ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応物であるビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートオリゴマー類等を挙げることができる。これら光重合可能な官能基を有する化合物は1種又は2種以上、混合して使用することができる。
本発明の反応性希釈剤としては、極性基を有する反応性希釈剤を含むことが好ましい。極性基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、リン酸基、或いは一級、二級又は三級アミノ基等を挙げることができ、好ましくはヒドロキシル基、リン酸基、或いは二級又は三級アミノ基であり、特にヒドロキシル基が好ましい。
ヒドロキシル基を有する反応性希釈剤は、一般にヒドロキシル基とアクリロイル基及び/又はメタクリロイル基とを有する化合物であり、例えば、前述の2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
ヒドロキシル基とアクリロイル基及び/又はメタクリロイル基とを有する化合物として、特に、1個以上のヒドロキシル基と2個以上のアクリロイル基及び/又はメタクリロイル基(即ち、1個以上のアクリロイル基及び1個以上のメタクリロイル基、2個以上のアクリロイル基、又は2個以上のメタクリロイル基のいずれか)とを有する化合物が好ましい。例えば、このような化合物としては、3個以上のヒドロキシル基を有する多価アルコール(例、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等)に2個以上の(メタ)アクリル酸を縮合させたものを挙げることができる。
上記ヒドロキシル基とアクリロイル基及び/又はメタクリロイル基とを有する化合物は、下記式(I):
Figure 2008143104
[但し、R1が、水素原子又は炭素原子数1〜5個のアルキル基を表し、相互に同一でも異なっていても良く、
2が水素原子、炭素原子数1〜5個のアルキル基又は炭素原子数1〜5個のヒドロキシアルキル基を表し、
3が、水素原子又は炭素原子数1〜5個のアルキル基を表し、相互に同一でも異なっていても良く、
4が炭素原子数1〜5個のアルキレン基を表し、
X及びYが、それぞれ独立してアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を表し、そして
nが0又は1を表す。]
で表される化合物であることが好ましい。
前記一般式(I)において、R1が、水素原子を表し、R2が水素原子、メチル、エチル又はヒドロキシメチル基を表し、R3が、水素原子を表し、R4がメチレン基を表し、X及びYが、それぞれ独立してアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を表し、そしてnが0又は1を表すことが好ましい。特に、前記一般式(I)において、R1が、水素原子を表し、R2が水素を表し、R4が、水素を表し、X及びYが、それぞれ独立してアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を表し、そしてnが0を表すことが好ましい。
一般式(I)の化合物の好ましい例としては、グリセリンジアクリレート(特に1,3−ジアクリロイル−プロパントリオール)、グリセリンアクリレートメタクリレート(特に、1−アクリロイル−3−メタクリロイル−プロパントリオール(商品名G−201P;共栄社化学(株)製))、グリセリンジメタクリレート(特に、1,3−ジメタクリロイル−プロパントリオール(商品名G−101P;共栄社化学(株)製))、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンアクリレートメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレートを挙げることができ、特に、グリセリンアクリレートメタクリレート、グリセリンジメタクリレートが好ましい。本発明では、多価アルコールにアクリレートとメタクリレートの両方を有するものが好ましい。
このような特定の化合物を、反応性希釈剤に対して、一般に5〜70質量%、好ましくは5〜50質量%、特にこのましくは5〜30質量%の割合で含有している。これにより上記基材表面との良好な密着性を獲得することができる。
前記ポリマー(好ましくはガラス転移温度が80℃以上)としては、アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、ビニルアセテート/(メタ)アクリレート共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン及びその共重合体、ポリ塩化ビニル及びその共重合体、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、メタクリレート/アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、2−クロロブタジエン−1,3−ポリマー、塩素化ゴム、スチレン/ブタジエン/スチレン共重合体、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、セルロースエステル、セルロースエーテル、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等を挙げることができる。
本発明では、良好な転写性及び優れた硬化性の点から、アクリル樹脂が好ましい。アクリル樹脂は、前述したように、エチレン性不飽和基を有するアクリル樹脂又はヒドロキシル基を有するアクリル樹脂であることが特に好ましい。またアクリル樹脂は、メチルメタクリレートの繰り返し単位を少なくとも50質量%(特に60〜90質量%)含むことが、Tg80℃以上のアクリル樹脂を得られやすく、また良好な転写性、高速硬化性も得られやすく好ましい。
上記エチレン性不飽和基を有するアクリル樹脂は、一般にエチレン性不飽和基を有するアクリル樹脂が、メチルメタクリレートと、アルコール残基が炭素原子数2〜10個のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも1種と、グリシジル(メタ)アクリレートとの共重合体で、且つ該グリシジル基にエチレン性不飽和基を有するカルボン酸が反応したもの、或いはメチルメタクリレートと、アルコール残基が炭素原子数2〜10個のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも1種と、エチレン性不飽和基を有するカルボン酸との共重合体で、且つ該カルボン酸基にグリシジル(メタ)アクリレートが反応したものである。
メチルメタクリレートと、アルコール残基が炭素原子数2〜10個のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも1種と、グリシジル(メタ)アクリレートとの共重合体である。メチルメタクリレートは、その繰り返し単位として、ポリマー中に50質量%以上(特に60〜90質量%)含まれることが好ましい。反応性希釈剤との適当な組合せにより、良好な転写性と優れた硬化性の両立が容易となる。アルコール残基が炭素原子数2〜10個(特に3〜5個)のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルとしては、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。またこのような(メタ)アクリル酸エステルは、その繰り返し単位として、ポリマー中に、一般に5〜30質量%、特に10〜30質量%含まれることが好ましい。グリシジル(メタ)アクリレート又は重合性官能基を有するカルボン酸は、その繰り返し単位として、ポリマー中に、一般に5〜25質量%、特に5〜20質量%含まれることが好ましい。得られた共重合体のグリシジル基又はカルボン酸基に、それぞれ重合性官能基を有するカルボン酸又はグリシジル(メタ)アクリレートを反応させる。
上記ヒドロキシル基を有するアクリル樹脂は、一般にメチルメタクリレートと、アルコール残基が炭素原子数2〜10個(特に3〜5個)のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも1種と、アルコール残基がヒドロキシル基を有する炭素原子数2〜4個のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも1種との共重合体である。メチルメタクリレートは、その繰り返し単位として、ポリマー中に50質量%以上(特に60〜90質量%)含まれることが好ましい。反応性希釈剤との適当な組合せにより、良好な転写性と優れた硬化性の両立が容易となる。アルコール残基が炭素原子数2〜10個(特に3〜5個)のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルとしては、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。またこのような(メタ)アクリル酸エステルは、その繰り返し単位として、ポリマー中に、一般に5〜30質量%、特に10〜30質量%含まれることが好ましい。アルコール残基がヒドロキシル基を有する炭素原子数2〜4個のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートを挙げることができ、その繰り返し単位として、ポリマー中に、一般に5〜25質量%、特に5〜20質量%含まれることが好ましい。
前記エチレン性不飽和基を有するアクリル樹脂は、例えば、以下のように製造することができる。
1種又は複数種の(メタ)アクリルモノマー(好ましくは上述の、メチルメタクリレートと、アルコール残基が炭素原子数2〜10個のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも1種と、グリシジル基を1個かつエチレン性不飽和基を1個有する化合物(好ましくはグリシジル(メタ)アクリレート)或いは重合性官能基を有するカルボン酸とを、ラジカル重合開始剤と有機溶剤の存在下で溶液重合法などの公知の方法にて反応させて共重合体であるグリシジル基含有アクリル樹脂(a)又はカルボキシル基含有アクリル樹脂(b)を得る。(メタ)アクリルモノマー等のモノマー類の配合割合はグリシジル基含有アクリル樹脂(a)又はカルボキシル基含有アクリル樹脂(b)の固形分換算合計量に対して10〜45質量%とすることが好ましい。
次いで得られたグリシジル基含有アクリル樹脂(a)にエチレン性不飽和基を有するカルボン酸を加え、或いは得られたカルボキシル基含有アクリル樹脂(b)にグリシジル基を1個かつエチレン性不飽和基を1個有する化合物(好ましくはグリシジルメタクリレート)を加え、必要に応じ加熱することによりアクリル系光硬化型樹脂(A)又はアクリル系光硬化型樹脂(B)を得る。この配合比は、グリシジル基とカルボキシル基のモル比が1/0.9〜1/1となるように配合するのが好ましく、より好ましくは1/1である。グリシジル基過剰では長期安定性において増粘、ゲル化のおそれがあり、カルボキシル基過剰では皮膚刺激性が上がり作業性が低下する。さらに1/1の場合は残存グリシジル基がなくなり、貯蔵安定性が顕著に良好になる。反応は塩基性触媒、リン系触媒などの存在下で公知の方法にて行うことができる。
上記OH又はエチレン性不飽和基を有するアクリル樹脂を含み、本発明で用いることができるアクリル樹脂を構成する主成分として使用することができる(メタ)アクリル系モノマーとしては、アクリル酸又はメタクリル酸の各種エステルを挙げることができる。アクリル酸又はメタクリル酸の各種エステルの例として、メチル(メタ)アクリレート((メタ)アクリレートとはアクリレート及びメタクリレートを示す。以下同様)、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、2−メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシ(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート、ピレノキシド付加物(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。さらに不飽和基を含有する芳香族化合物(例、スチレン)も使用しても良い。
本発明では、前述のように、アクリル系モノマーの主成分としては、メチルメタクリレートと、アルコール残基が炭素原子数2〜10個のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも1種を使用することが好ましい。
本発明のポリマー(好ましくはガラス転移温度が80℃以上)は、数平均分子量が100000以上、特に100000〜300000、そして重量平均分子量が100000で以上、特に100000〜300000であることが好ましい。
さらに本発明では、ポリマー(好ましくはガラス転移温度が80℃以上)として、ヒドロキシル基等の活性水素を有する官能基及びエチレン性不飽和基の両方を有するポリマーも使用することができる。このような反応性ポリマーとしては、例えば、主として前記アクリル系モノマーから得られる単独重合体又は共重合体(即ちアクリル樹脂)で、且つ、主鎖又は側鎖にエチレン性不飽和基及び活性水素を有する官能基を有するものである。従って、このような反応性ポリマーは、例えば、メチルメタクリレートと、前記1種以上の(メタ)アクリレートと、ヒドロキシル基等の官能基を有する(メタ)アクリレート(例、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)とを共重合させ、得られた重合体とイソシアナトアルキル(メタ)アクリレートなどの、重合体の官能基と反応し且つ光重合性基を有する化合物と反応させることにより得ることができる。その際、ヒドロキシル基が残るようにイソシアナトアルキル(メタ)アクリレートの量を調節して使用することにより、活性水素を有する官能基としてヒドロキシル基及び光重合性官能基を有するポリマーが得られる。
或いは上記において、ヒドロキシル基の代わりにアミノ基を有する(メタ)アクリレート(例、2−アミノエチル(メタ)アクリレート)を用いることにより活性水素を有する官能基としてアミノ基を有する、エチレン性不飽和基含有ポリマーを得ることができる。同様に、活性水素を有する官能基としてカルボキシル基等を有する、エチレン性不飽和基含有ポリマーも得ることができる。
本発明では、前記エチレン性不飽和基をウレタン結合を介して有するアクリル樹脂も好ましい。
上記エチレン性不飽和基及び活性水素を有する官能基を有するポリマーは、エチレン性不飽和基を一般に1〜50モル%、特に5〜30モル%含むことが好ましい。このエチレン性不飽和基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基が好ましく、特にアクリロイル基、メタクリロイル基が好ましい。
本発明の光硬化性組成物中に添加され得るジイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート(TDI)、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート、ジシクロペンタニルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4’−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2’,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートを挙げることができる。またトリメチロールプロパンのTDI付加体等の3官能以上のイソシアネート化合物等のポリイソシアネートシアネートも使用することができる。これらの中でトリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加体が好ましい。
本発明のジイソシアネートは、光硬化性組成物(不揮発分)中に0.2〜4質量%、特に0.2〜2質量%の範囲で含まれていることが好ましい。転写層のしみ出しを防止するために適当な架橋がもたらされると共に、基材表面への良好な転写性も維持される。上記化合物とポリマーとの反応は、剥離シートに塗膜形成層形成後、徐々に進行し、常温(一般に25℃)、24時間でかなり反応している。塗膜形成層形成用の塗布液を調製した後、塗布するまでの間にも反応は進行するものと考えられる。塗膜形成層を形成後、ロール状態で巻き取る前にある程度硬化させることが好ましいので、必要に応じて、塗膜形成層の形成時、或いはその後、ロール状態で巻き取る前の間に加熱して反応を促進させても良い。
本発明の光硬化性組成物は、上述のように、一般に、ポリマー、エチレン性不飽和基(好ましくは(メタ)アクリロイル基)を有する反応性希釈剤(モノマー及びオリゴマー)、光重合性開始剤及び、所望により他の添加剤から構成される。ポリマーと反応性希釈剤との質量比は、20:80〜80:20、特に30:70〜70:30の範囲が好ましい。
本発明の塗膜形成層は、ガラス転移温度を20℃以下である。これにより、得られる塗膜形成層が基材凹凸面に圧着されたとき、常温においてもその凹凸面に緊密に追随できる可撓性を有することができる。特に、ガラス転移温度が15℃〜−50℃、特に15℃〜−10℃の範囲にすることにより追随性がたものとなる。ガラス転移温度が高すぎると、貼り付け時に高圧力及び高圧力が必要となり作業性の低下につながり、また低すぎると、硬化後の十分な高度が得られなくなる。
本発明の塗膜形成層の周波数1Hzにおける貯蔵弾性率は、25℃において1×107Pa以下であることが好ましく、特に1×104〜6×105Paの範囲であることが好ましい。また80℃において8×104Pa以下であることが好ましく、特に1×104〜5×105Paの範囲であることが好ましい。これにより、精確で迅速な転写が可能となる。
また上記光硬化性組成物からなる塗膜形成層は、300mJ/cm2の紫外線照射後のガラス転移温度が50℃以上、好ましくは65℃以上となるように設計されていることが好ましい。短時間の紫外線照射により、強靱な塗膜を得ることができる。本発明の光硬化性組成物からなる塗膜形成層は、主として、上記好ましいポリマー、反応性希釈剤を使用することにより有利に得ることができる。
光重合開始剤としては、公知のどのような光重合開始剤でも使用することができるが、配合後の貯蔵安定性の良いものが望ましい。このような光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系、ベンジルジメチルケタールなどのベンゾイン系、ベンゾフェノン系、イソプロピルチオキサントン、2−4−ジエチルチオキサントンなどのチオキサントン系、その他特殊なものとしては、メチルフェニルグリオキシレートなどが使用できる。特に好ましくは、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1、ベンゾフェノン等が挙げられる。これら光重合開始剤は、必要に応じて、4−ジメチルアミノ安息香酸のごとき安息香酸系又は、第3級アミン系などの公知慣用の光重合促進剤の1種または2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。また、光重合開始剤のみの1種または2種以上の混合で使用することができる。光硬化性組成物(不揮発分)中に、光重合開始剤を一般に0.1〜20質量%、特に1〜10質量%含むことが好ましい。
光重合開始剤のうち、アセトフェノン系重合開始剤としては、例えば、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1など、ベンゾフェノン系重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンッゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンなどが使用できる。
アセトフェノン系重合開始剤としては、特に、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1が好ましい。ベンゾフェノン系重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチルが好ましい。また、第3級アミン系の光重合促進剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシルなどが使用できる。特に好ましくは、光重合促進剤としては、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシルなどが挙げられる。
本発明では、上記エチレン性不飽和基を有する反応性希釈剤及び光重合開始剤に加えて、所望により下記の熱可塑性樹脂及び他の添加剤を添加することが好ましい。
他の添加剤として、シランカップリング剤(接着促進剤)を添加することができる。このシランカップリング剤としてはビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどがあり、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらシランカップリング剤の添加量は、上記ポリマー(固形分)100質量部に対し通常0.01〜5質量部で十分である。
また同様に接着性を向上させる目的でエポキシ基含有化合物を添加することができる。エポキシ基含有化合物としては、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート;ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル;1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル;アクリルグリシジルエーテル;2−エチルヘキシルグリシジルエーテル;フェニルグリシジルエーテル;フェノールグリシジルエーテル;p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル;アジピン酸ジグリシジルエステル;o−フタル酸ジグリシジルエステル;グリシジルメタクリレート;ブチルグリシジルエーテル等が挙げられる。また、エポキシ基を含有した分子量が数百から数千のオリゴマーや重量平均分子量が数千から数十万のポリマーを添加することによっても同様の効果が得られる。これらエポキシ基含有化合物の添加量は上記ポリマー(固形分)100質量部に対し0.1〜20質量部で十分で、上記エポキシ基含有化合物の少なくとも1種を単独で又は混合して添加することができる。
さらに他の添加剤として、加工性や貼り合わせ等の加工性向上の目的で炭化水素樹脂を添加することができる。この場合、添加される炭化水素樹脂は天然樹脂系、合成樹脂系のいずれでも差支えない。天然樹脂系ではロジン、ロジン誘導体、テルペン系樹脂が好適に用いられる。ロジンではガム系樹脂、トール油系樹脂、ウッド系樹脂を用いることができる。ロジン誘導体としてはロジンをそれぞれ水素化、不均一化、重合、エステル化、金属塩化したものを用いることができる。テルペン系樹脂ではα−ピネン、β−ピネンなどのテルペン系樹脂のほか、テルペンフェノール樹脂を用いることができる。また、その他の天然樹脂としてダンマル、コーバル、シェラックを用いても差支えない。一方、合成樹脂系では石油系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂が好適に用いられる。石油系樹脂では脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、水素化石油樹脂、純モノマー系石油樹脂、クマロンインデン樹脂を用いることができる。フェノール系樹脂ではアルキルフェノール樹脂、変性フェノール樹脂を用いることができる。キシレン系樹脂ではキシレン樹脂、変性キシレン樹脂を用いることができる。
上記炭化水素樹脂等の樹脂の添加量は適宜選択されるが、上記ポリマー(固形分)100質量部に対して1〜20質量部が好ましく、より好ましくは5〜15質量部である。
以上の添加剤の他、本発明の光硬化性組成物は紫外線吸収剤、老化防止剤、染料、加工助剤等を少量含んでいてもよい。また、場合によってはシリカゲル、炭酸カルシウム、シリコーン共重合体の微粒子等の添加剤を少量含んでもよい。
本発明の光硬化性組成物からなる塗膜形成用転写シートは、本発明のリン原子含有化合物、ポリマー(好ましくはTg80℃以上)、エチレン性不飽和基を有する反応性希釈剤(モノマー及びオリゴマー)、所望によりジイソシアネートシアネート及び、所望により他の添加剤とを均一に混合し、押出機、ロール等で混練した後、カレンダー、ロール、Tダイ押出、インフレーション等の製膜法により所定の形状に製膜して用いることができる。支持体を用いる場合は、支持体上に製膜する必要がある。より好ましい本発明の光硬化性接着剤の製膜方法は、各構成成分を良溶媒に均一に混合溶解し、この溶液をシリコーンやフッ素樹脂を精密にコートしたセパレーターにフローコート法、ロールコート法、グラビアロール法、マイヤバー法、リップダイコート法等により支持体上に塗工し、溶媒を乾燥することにより製膜する方法である。
本発明で使用される塗膜形成用転写シートは、一般に、加圧により変形可能な光硬化性組成物からなる塗膜形成層と、その一方の側又は両側に剥離シートとを有する。さらに、一方の側に設けられた特定の第1剥離シートと他方の側に設けられた第1剥離シートと異なる性質の第2剥離シートとを有することが好ましい。
上記第1剥離シートは、一般にヒドロキシル基を有するポリシロキサンと水素化ポリシロキサンとの縮合反応生成物からなる剥離層を有する。即ち、塗膜形成層の表面と接する、第1剥離シートの第1剥離層は、スタンパの除去が容易となるように剥離性が高く(一般に、剥離性低分子量成分が少ない或いは表面張力が低い)、他方、第2剥離シートの光硬化性層の表面と接する側の表面である第2剥離層は、転写層と基板表面との接着性が要求されるので剥離性がそれほど高くはなっていない(一般に、剥離性低分子量成分が少ない、或いは表面張力がそれほど低くない)。
第1剥離シートの剥離層は、上記のようにヒドロキシル基を有するポリシロキサンと水素化ポリシロキサンとの縮合反応生成物からなる層である必要があるが、第2剥離シートの剥離層はどのような層でも良い。第2剥離シートの剥離層は、一般的な剥離層であり、一般に、転写層の反射層との接着性を低下させない層であり、第1剥離シートの剥離層より表面張力が低い層が好ましい。
本発明の第1剥離シートの剥離層は、前記のように、ヒドロキシル基を有するポリシロキサン(好ましくはジメチルポリシロキサン)と水素化ポリシロキサン(好ましくはジメチルポリシロキサン)から形成される層である。一般に、これらは、スズ系化合物等の触媒の存在下に、加熱して付加反応させることにより、本発明の剥離層(比較的低い表面張力の層)が得られる。
上記第1剥離層は、上記シリコーン樹脂等を溶剤に溶解又は分散させ、リバースロールコート、グラビアコート、バーコート、ドクターブレードコート等により透明フィルムに塗布し、適当な時間加熱して得ることができる。加熱温度は一般に100〜150℃、好ましくは120〜140℃、加熱時間は一般に10〜60秒、好ましくは20〜30秒である。第1剥離層の層厚は、一般に300〜1500nm、500〜800nmが好ましい。層厚が、上記範囲未満では、塗布性の安定性に欠け、均一な塗膜を得るのが困難になる場合がある。一方、上記範囲 を超えて厚塗りにすると、剥離層自体の塗膜密着性、硬化性等が低下する場合がある。
一方、第2剥離シートの剥離層は、一般的な剥離層であり、下記のいずれの樹脂からなる層であっても良い。即ち、第2剥離シートの剥離層は、ケイ素原子を含まない熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂から形成されていても、或いは熱可塑性樹脂又は熱硬化性のシリコーン樹脂等から形成されていても良い。本発明の第2剥離シートの剥離層は、反応型のシリコーン樹脂が好ましい。特に、不飽和2重結合基(好ましくはビニル基)を有するポリシロキサン(好ましくはジメチルポリシロキサン)と水素化ポリシロキサン(好ましくはジメチルポリシロキサン)とを用いることが好ましい。不飽和2重結合基を有するポリシロキサンの代わりに、不飽和2重結合基を有するポリアルキレンオキシド等を用いることもできる。
第2剥離シートの剥離層は、ケイ素原子を含まない熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂から形成されているか、或いは熱可塑性樹脂又は上記以外の熱硬化性のシリコーン樹脂でもよい。
上記第2剥離層は、上記シリコーン樹脂等を溶剤に溶解又は分散させ、リバースロールコート、グラビアコート、バーコート、ドクターブレードコート等により透明フィルムに塗布し、適当な時間加熱して得ることができる。加熱温度は、使用する樹脂の種類により異なる。一般に100〜150℃、好ましくは120〜140℃、加熱時間は一般に10〜60秒、好ましくは20〜30秒である。第2剥離層の層厚は、一般に300〜1500nm、500〜800nmが好ましい。層厚が、上記範囲未満では、塗布性の安定性に欠け、均一な塗膜を得るのが困難になる場合がある。一方、上記範囲 を超えて厚塗りにすると、剥離層自体の塗膜密着性、硬化性等が低下する場合がある。
剥離シート(例、第1及び第2剥離シート)のプラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン46、変性ナイロン6T、ナイロンMXD6、ポリフタルアミド等のポリアミド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリチオエーテルサルフォン等のケトン系樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン等のサルフォン系樹脂の他に、ポリエーテルニトリル、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、トリアセチルセルロース、ポリスチレン、ポリビニルクロライド等の有機樹脂を主成分とする透明樹脂フィルムを用いることができる。これら中で、ポリカーボネート、ポリメチルメタアクリレート、ポリビニルクロライド、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートのフィルムが好適に用いることができ、特にポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。厚さは10〜200μmが好ましく、特に30〜100μmが好ましい。
本発明で使用される塗膜形成用転写シートは、加圧により変形可能な光硬化性組成物からなる塗膜形成層とその両側に上記の第1、第2剥離シートを有するものである場合、この塗膜形成用転写シートはアニール処理されていることが好ましい。即ち、アニール処理した塗膜形成用転写シートを用いて、前述の光情報記録媒体を製造することが好ましい。アニール処理は、転写シートを30〜100℃、特に40〜70℃の温度で、1時間〜30日間、特に10時間〜10日間に亘って保管することにより行うことが好ましい。転写シートは、一般にロール状態(巻かれた状態)でアニール処理することが好ましい。このようなアニール処理により、第1剥離シートの剥離層の剥離を促進する成分(離型成分)が、塗膜形成層への移行が進み、スタンパの除去が容易になると考えられる。
表面に凹凸を有する基板21の材料としてはとしては、ガラス転移温度が50℃以上の透明の有機樹脂が好ましく、このような支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン46、変性ナイロン6T、ナイロンMXD6、ポリフタルアミド等のポリアミド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリチオエーテルサルフォン等のケトン系樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン等のサルフォン系樹脂の他に、ポリエーテルニトリル、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、トリアセチルセルロース、ポリスチレン、ポリビニルクロライド等の有機樹脂を主成分とする透明樹脂基板を用いることができる。これら中で、ポリカーボネート、ポリメチルメタアクリレート、ポリビニルクロライド、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートが転写性、複屈折の点で優れており、好適に用いることができる。厚さは200〜2000μmが好ましく、特に500〜1500μmが好ましい。
有機ポリマーフィルムの材料26としては、ガラス転移温度が50℃以上の透明の有機樹脂が好ましく、このような支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン46、変性ナイロン6T、ナイロンMXD6、ポリフタルアミド等のポリアミド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリチオエーテルサルフォン等のケトン系樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン等のサルフォン系樹脂の他に、ポリエーテルニトリル、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、トリアセチルセルロース、ポリスチレン、ポリビニルクロライド等の有機樹脂を主成分とする透明樹脂基板を用いることができる。これら中で、ポリカーボネート、ポリメチルメタアクリレート、ポリビニルクロライド、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートが転写性、複屈折の点で優れており、好適に用いることができる。厚さは10〜200μmが好ましく、特に50〜100μmが好ましい。
こうして得られる本発明に塗膜形成用転写シートでは、さらに塗膜形成層の380〜420nmの波長領域の光透過率が70%以上であることが好ましい。
塗膜形成用転写シートは380〜420nm(好ましくは380〜800nm)の波長領域の光透過率が70%以上であり、これはレーザによる読み取り信号の強度低下を防止するためである。さらに380〜420nmの波長領域の光透過率が80%以上であることが好ましい。
本発明に塗膜形成用転写シートは、本発明の光硬化性組成物を、剥離シート上に従来の方法により塗布或いは押出等によりフィルムを形成することにより容易に得ることができる。従って、得られる本発明に塗膜形成用転写シートの塗膜形成層は、膜厚精度を精密に制御したフィルム状で提供することができるため、基板及びスタンパとの貼り合わせを容易にかつ精度良くおこなうことが可能である。また、この貼り合わせは、前述のように圧着ロールや簡易プレスなどの簡便な方法で20〜100℃で仮圧着した後、光により常温、1〜数十秒で硬化できる上、本接着剤特有の自着力によりその積層体にズレや剥離が起き難いため、光硬化まで自由にハンドリングができるという特徴を有している。
本発明の塗膜形成用転写シートを硬化する場合は、光源として紫外〜可視領域に発光する多くのものが採用でき、例えば超高圧、高圧、低圧水銀灯、ケミカルランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、マーキュリーハロゲンランプ、カーボンアーク灯、白熱灯、レーザ光等が挙げられる。照射時間は、ランプの種類、光源の強さによって一概には決められないが、0.1秒〜数十秒程度、好ましくは0.5〜数秒である。紫外線照射量は、300mJ/cm2以上が好ましい。
また、硬化促進のために、予め積層体を30〜80℃に加温し、これに紫外線を照射してもよい。
以下に実施例を示し、本発明についてさらに詳述する。
[実施例1]
<塗膜形成用転写シートの作製>
(ヒドロキシル基を有するポリマー1の作製)
ポリマー配合1
メチルメタクリレート 74.6質量部
n−ブチルメタクリレート 13.2質量部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 12.1質量部
AIBN 5質量部
トルエン 50質量部
酢酸エチル 50質量部
上記の配合の混合物を、穏やかに撹拌しながら、70℃に加熱して重合を開始させ、この温度で8時間撹拌し、側鎖にヒドロキシル基を有するヒドロキシル基を有するポリマー1(アクリル樹脂)を得た。固形分を36質量%に調製した(ポリマー溶液1)。
得られたポリマー1は、Tgが90℃であり、重量平均分子量が110000であった。
組成物配合1
ヒドロキシル基を有するポリマー溶液1(固形分) 100質量部
ヘキサンジオールジアクリレート 100質量部
(KS−HDDA;日本化薬(株)製)
トリメチロールプロパントリアクリレート 10質量部
(TMP−A;共栄社化学(株)製)
ジイソシアネート(BXX5627、東洋インキ製造(株)製) 1.5質量部
イルガキュア651(チバガイギー(株)製) 2質量部
ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ) 0.05質量部
上記配合の混合物を均一に溶解、混練し、剥離シート(幅140mm、長さ300m、厚さ75μm;商品名No.23、藤森工業(株)製)上に、全面塗布し、乾燥厚さ25μmの塗膜形成層を形成し、シートの反対側に上記と同一の剥離シートを貼付し、ロール状に巻き上げ、塗膜形成用転写シートのロール(直径260mm)を得た。塗膜形成層のTgは、−20℃であった。
[実施例2]
実施例1において、組成物配合1を下記の組成物配合2に変更した以外は同様にして塗膜形成用転写シートのロール(直径260mm)を得た。
組成物配合2
ヒドロキシル基を有するポリマー溶液1(固形分) 100質量部
ヘキサンジオールジアクリレート 50質量部
(KS−HDDA;日本化薬(株)製)
トリメチロールプロパントリアクリレート 10質量部
(TMP−A;共栄社化学(株)製)
2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート 70質量部
(G−201P;共栄社化学(株)製)
ジイソシアネート(BXX5627、東洋インキ製造(株)製) 1.5質量部
イルガキュア651(チバガイギー(株)製) 2質量部
ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ) 0.05質量部
[実施例3]
実施例1において、組成物配合1を下記の組成物配合3に変更した以外は同様にして塗膜形成用転写シートのロール(直径260mm)を得た。
組成物配合3
ヒドロキシル基を有するポリマー溶液1(固形分) 100質量部
ヘキサンジオールジアクリレート 50質量部
(KS−HDDA;日本化薬(株)製)
トリメチロールプロパントリアクリレート 10質量部
(TMP−A;共栄社化学(株)製)
1,3−ジメタクリロイル−プロパントリオール 70質量部
(G−101P;共栄社化学(株)製)
ジイソシアネート(BXX5627、東洋インキ製造(株)製) 1.5質量部
イルガキュア651(チバガイギー(株)製) 2質量部
ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ) 0.05質量部
[実施例4]
実施例1において、組成物配合1を下記の組成物配合4に変更した以外は同様にして塗膜形成用転写シートのロール(直径260mm)を得た。
組成物配合4
ヒドロキシル基を有するポリマー溶液1(固形分) 100質量部
ヘキサンジオールジアクリレート 50質量部
(KS−HDDA;日本化薬(株)製)
トリメチロールプロパントリアクリレート 10質量部
(TMP−A;共栄社化学(株)製)
2−ヒドロキシプロピルアクリレート 70質量部
(HOP−A;共栄社化学(株)製)
ジイソシアネート(BXX5627、東洋インキ製造(株)製) 1.5質量部
イルガキュア651(チバガイギー(株)製) 2質量部
ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ) 0.05質量部
[比較例1]
実施例1において、塗膜形成用転写シートのロール(直径260mm)の代わりに市販のドライペイントフィルム(AVLOY;三菱化学(株)製)を用意した。
[実施例5]
実施例1において、組成物配合の調製において、配合の混合物を均一に溶解、混練し、下記の第2剥離シート1の剥離層上に、全面塗布し、乾燥厚さ25μmの塗膜形成層を形成し、シートの反対側に下記の第1剥離シート1をその剥離層と転写層が接触するように貼付し、ロール状に巻き上げ、塗膜形成用転写シートのフルエッジタイプのロール(直径260mm)を得た。
(第2剥離シート1)
第2剥離層1配合(付加型シリコーン)
TPR6700(東芝シリコーン(株)製; 100質量部
CM670(白金触媒、 (株)製) 1質量部
トルエン 499質量部
PETフィルム(幅300mm、長さ300m、厚さ75μm)の表面に、第2剥離層1配合の混合物を、ロール塗布し、その後140℃で30秒間加熱して、付加反応させ、厚さ500nmの第2剥離層1を形成した。
(第1剥離シート1)
第1剥離層1配合(縮合型シリコーン)
XS56−A3075(東芝シリコーン(株)製; 100質量部
YC6831(スズ触媒、東芝シリコーン(株)製) 4質量部
YC6919(スズ触媒、東芝シリコーン(株)製) 2質量部
トルエン 2000質量部
PETフィルム(幅300mm、長さ300m、厚さ75μm)の裏面に、第1剥離層1配合の混合物を、ロール塗布し、その後150℃で10秒間加熱して、付加反応させ、厚さ500nmの第1剥離層1を形成した。
(1)塗膜形成用転写シートの評価
(1−1)ガラス転移温度(Tg)の測定
得られた塗膜形成用転写シートから両側の剥離シートを除去し、長さ20mm、幅4mm(厚さ25μm)に裁断してサンプルとした。
サンプルのTgを、TMA (Thermal Mechanical Analysis) 装置SS6100(SIIナノテクノロジー(株)製)を用いて、サンプル温度:30〜120℃、昇温レート:5℃/分、引張張力:4.9×105Paの条件で測定した。
以上の条件で試験を行うと、図4に示すグラフが得られ、安定領域の接線と伸び領域の最大傾斜からの接線との交点をガラス転移温度とした。
(2)基材表面に塗膜の形成及び評価
(2−1)基材表面に塗膜の形成
塗膜形成用転写シートから、一方の剥離シート(第2剥離シート)を剥がし、表面に凹凸を有する(サンドブラストDI(Ra:10nm))アルマイト部品及びSUS301部品に実施例1〜4又は比較例1で得られた塗膜形成用転写シートの塗膜形成層を常温で圧着させて、2000Paの加重で貼付し、その後もう一方の剥離シート(第1剥離シート)上から、メタルハライドランプ(600mW/cm)を用いて、積算光量300mJ/cm2の条件でUV照射し(照射距離20cm、照射時間1.0秒)、UV硬化を実施し、硬化後剥離シート(第1剥離シート)を除去した。
(2−2)塗膜の密着性
JIS−G−0202に準拠し、塗膜にカットナイフで碁盤目を切り、切った部分の剥離状態を観察し、下記のように評価した。
○: 塗膜の剥れがみられ無い △:塗膜の剥れが若干見られる
(2−3)ガラス転移温度(Tg)の測定
(1−1)と同様にして得られたサンプルに、積算光量300mJ/cm2の条件でUV照射し、(1−1)と同様にしてTgを測定した。
積算光量(300mJ/cm2)は、フュージョンUVシステムズジャパン(株)製UV Power Puck(UV−Aバンド測定)を用いて層表面で測定した。
得られた試験結果を表1に示す。
Figure 2008143104
実施例1〜4で得られた塗膜形成用転写シートを用いた場合、常温で容易に成形可能であったが、市販のフィルム(比較例1)では成形は不可能であった。また実施例5の剥離シートとして2種の異なるものを用いた場合は、特に優れた密着性を示した。
本発明に従う塗膜形成用転写シートの実施形態の代表例を示す断面図である。 本発明に従う塗膜形成用転写シートの実施形態の好ましい例を示す断面図である。 本発明の基材への塗膜の形成方法の1例を示す図である。 二重真空室方式の装置を用いた押圧法を説明するための概略図である。 ガラス転移温度(Tg)の決定に用いられるグラフである。
符号の説明
11、21、31 塗膜形成層
12a、22a、32a 第2剥離シート
12b、22b、32b 第1剥離シート
23 着色層
24 接着層
35 基材

Claims (20)

  1. 加圧により変形可能な光硬化性組成物からなる被覆塗膜を形成するための塗膜形成層及び塗膜形成層の少なくとも一方の表面に設けられた剥離シートからなる塗膜形成用転写シートであって、
    光硬化性組成物が、ポリマーとエチレン性不飽和基を有する反応性希釈剤とを含み、且つ塗膜形成層の光硬化前のガラス転移温度が20℃未満であることを特徴とする塗膜形成用転写シート。
  2. 塗膜形成層の300mJ/cm2の紫外線照射後のガラス転移温度が50℃以上である請求項1に記載の塗膜形成用転写シート。
  3. ポリマーのガラス転移温度が80℃以上である請求項1又は2に記載の塗膜形成用転写シート。
  4. ポリマーが、アクリル樹脂である請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗膜形成用転写シート。
  5. アクリル樹脂が、メチルメタクリレートの繰り返し単位を少なくとも50質量%含むアクリル樹脂である請求項4に記載の塗膜形成用転写シート。
  6. アクリル樹脂が、ヒドロキシル基を有するアクリル樹脂である請求項4又は5に記載の塗膜形成用転写シート。
  7. アクリル樹脂が、エチレン性不飽和基を有するアクリル樹脂である請求項4〜6のいずれか1項に記載の塗膜形成用転写シート。
  8. 光硬化性組成物がさらにジイソシアネートを含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の塗膜形成用転写シート。
  9. ポリマーの重量平均分子量が100000以上である請求項1〜8のいずれか1項に記載の塗膜形成用転写シート。
  10. エチレン性不飽和基を有する反応性希釈剤が、エチレン性不飽和基及び極性基を有する反応性希釈剤を含む請求項1〜9のいずれか1項に記載の塗膜形成用転写シート。
  11. 極性基がヒドロキシル基である請求項10に記載の塗膜形成用転写シート。
  12. エチレン性不飽和基を有する反応性希釈剤が、ヒドロキシル基を少なくとも1個有し、且つアクリロイル基及びメタクリロイル基から選択される少なくとも1種の基を少なくとも2個有する化合物を含む請求項1〜10のいずれか1項に記載の塗膜形成用転写シート。
  13. 塗膜形成層の膜厚ムラが、±3μmの範囲にある請求項1〜12のいずれか1項に記載の塗膜形成用転写シート。
  14. 光硬化性組成物が、光重合開始剤を0.1〜10質量%含む請求項1〜13のいずれか1項に記載の塗膜形成用転写シート。
  15. 塗膜形成層と剥離シートとの間に、着色層及び/又は接着層を有する請求項1〜14のいずれか1項に記載の塗膜形成用転写シート。
  16. 塗膜形成層と剥離シートとの間に、着色層及び塗膜形成層(接着層)を有する請求項1〜14のいずれか1項に記載の塗膜形成用転写シート。
  17. 塗膜形成層の両方の表面に剥離シートが設けられている請求項1〜16のいずれか1項に記載の塗膜形成用転写シート。
  18. 下記の工程(1)〜(3):
    (1)請求項1〜17のいずれか1項に記載の塗膜形成用転写シートの両方の表面に剥離シートが設けられている場合に、その一方の剥離シートを除去する工程;
    (2)プラスチック部品の表面に、塗膜形成用転写シートの塗膜形成層の表面がプラスチック部品の表面に接触するように裁置し、これらを押圧して塗膜形成層の表面がプラスチック部品の表面に沿って密着された積層体を形成する工程;及び
    (3)該積層体のもう一方の剥離シート上から紫外線を照射して硬化させる工程;
    を含むことを特徴とする被覆塗膜の形成方法。
  19. 前記(3)の紫外線照射を少なくとも300mJ/cm2の照射エネルギーで行う請求項18に記載の被覆塗膜の形成方法。
  20. 前記(3)で得られる塗膜形成層のガラス転移温度が50℃以上である請求項18又は19に記載の被覆塗膜の形成方法。
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