JP5271486B2 - 離型剤、これを用いた凹凸パターンの形成方法及び光情報記録媒体の製造方法、並びに光情報記録媒体 - Google Patents

離型剤、これを用いた凹凸パターンの形成方法及び光情報記録媒体の製造方法、並びに光情報記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は、記録媒体、半導体、半導体高密度パッケージ等の製造、特にDVD(Digital Versatile Disc)等の大容量の文字、音声、動画像等の情報をディジタル信号として記録された及び/又は記録可能な光情報記録媒体の製造において使用される微細凹凸パターンを有するスタンパ(金型)に有利に使用することができる離型剤、及びこれを用いた凹凸パターンの形成方法及び光情報記録媒体の製造方法、並びに光情報記録媒体に関する。
ディジタル信号として表面にピット形成された記録済み光情報記録媒体(光ディスク)として、オーディオ用CD、CD−ROMが以前から広く使用されているが、最近では、動画像と記録も可能な両面にピット記録がなされたDVDが、CDの次世代記録媒体として使用され、その使用量も拡大している。またピット及びグルーブが形成されたユーザが記録可能なCD−R、CD−RW、DVD−R、DVD−RW等も広く使用されている。
さらに高密度記録が可能な光ディスクとして、2002年2月10日に次世代光ディスクの統一規格「ブルーレイ・ディスク(Blu-ray Disc)」が提案されている。主な仕様は、記録容量:23.3/25/27GB、レーザ波長:405nm(青紫色レーザ)、レンズ開口数(N/A):0.85、ディスク直径:120mm、ディスク厚:1.2mm、トラックピッチ:0.32μm、最短ピット長:0.16/0.149/0.138μm等である。
上記仕様を有する高密度の光情報記録媒体も既に実用化されているが、このようにブルーレイ・ディスクでは、上記のように溝の幅が狭く、且つピットも小さくなっている。このため読み取りレーザのスポットを小さく絞る必要があるが、スポットを小さくするとディスクの傾きによる影響を大きく受けるようになり、再生しようとする媒体がわずかに曲がっていても再生できなくなる。
しかしながら、このようなブルーレイ・ディスク、高密度のDVD等の光情報記録媒体は、薄い基板が用いられているため得られる媒体が変形しやすく、その製造には媒体の反りや、厚みムラが問題となる。特に、従来のCD等の作製に使用されていた紫外線硬化性樹脂を用いてブルーレイ・ディスクを製造した場合、媒体の変形は顕著である。
このような光情報記録媒体の製造に有利な方法が、特許文献1(特開2003−115130号公報)に開示されている。ここには、光重合性官能基を有する反応性ポリマーを含み且つ加圧により変形可能な光硬化性組成物からなる光硬化性転写シートを用いた製造方法が記載されている。さらに、特許文献2(特開2003−123332号公報)にも、上記と同様に、硬化前の貯蔵弾性率が10〜10Paの硬化性基を有するアクリル酸エステルの共重合体のスタンパ受容層を備えた光ディスク製造用シート(光硬化性転写シート)が開示されており、その光ディスク製造では、スタンパで受容層上に微細凹凸を形成し、金属蒸着して反射層を形成した後、反射層に保護層を設ける際、感圧接着剤が使用されている。
従来のCD等の作製に使用されていた紫外線硬化性樹脂の代わりに、上記のように、固体状の上記光硬化性転写シートを用いて、スタンパに押圧することにより微細凹凸面を転写して、反りや、厚みムラ少ない光情報記録媒体を得ることができる。
特開2003−115130号公報 特開2003−123332号公報
しかしながら、本発明者等の検討によると、光硬化性転写シートを用いた場合、媒体の反りや、厚みムラが改善されるが、光硬化性転写シートにスタンパを押圧、光硬化した後にスタンパを剥離した際、スタンパに光硬化性転写シートの光硬化した転写層の一部が反射層から剥がれてスタンパに付着する場合があることが明らかとなった。このような転写層の剥離が発生すると、記録面である硬化転写層の表面の微細凹凸部分が損傷し、レーザ光による正確な信号の読み取りが不可能となる。このような転写層の剥離の主な原因は、光硬化転写層とスタンパとの接着性が大きすぎること、及び転写層と反射層との接着性が充分でないための両方或いはいずれかであると考えられる。
またこのような問題は、上記の製造方法を包含する、記録媒体、半導体、半導体高密度パッケージ等の作製に使用されるナノインプリントプロセス法においても同様な問題がある。この方法としては、例えば、1)熱可塑性樹脂にスタンパの押しつけてガラス転移温度以上に加熱し、微細凹凸パターンを転写する方法、2)熱硬化性樹脂にスタンパの押しつけながら硬化温度まで加熱し、微細凹凸パターンを転写する方法、3)光硬化性樹脂にスタンパの押しつけ、光照射により硬化させ微細凹凸パターンを転写する方法を挙げることができる。これらの方法におけるスタンパの除去も、前記光硬化転写層からのスタンパの除去と同様の問題がある。
従って、本発明は、記録媒体、半導体、半導体高密度パッケージ等の作製に有用なナノインプリントプロセス法において、この方法で使用される微細凹凸パターンを有するスタンパの成形後の除去(剥離)を容易にする離型剤を提供することをその目的とする。
また、本発明は、光硬化性転写シートを用いる光情報記録媒体の製造において、この製造で使用される微細凹凸パターンを有するスタンパの成形後の除去(剥離)を容易にする離型剤を提供することをその目的とする。
さらに、本発明は、使用されるスタンパの微細凹凸パターンを、対応する精確な形状で転写することができるの凹凸パターンの形成方法を提供することをその目的とする。
また、本発明は、使用されるスタンパの微細凹凸パターンを、対応する精確な形状で上記ピット等の微細凹凸信号面として転写された光情報記録媒体を容易に製造することができる光情報記録媒体の製造方法を提供することをその目的とする。
さらにまた、上記ピット等の凹凸信号面がスタンパに対応した精確な形状で形成された、読み取りエラーのほとんど無い光情報記録媒体を提供することをその目的とする。
上記目的は、
表面に微細な凹凸パターンを有するスタンパの該表面を、下記の一般式(II):
Figure 0005271486
[但し、Rが、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基を表し、それぞれ置換基を有していても良く、
が、−CHCH−又は−CH(CH)CH−を表し、そして
nが1〜20を表す。]
で表されるリン酸アルキルポリオキシアルキレン化合物を含む離型剤で処理する工程、
離型剤が処理されたスタンパを、加圧により変形可能な硬化性樹脂層に、該スタンパの凹凸パターン表面が該樹脂層の表面に接触するように裁置し、これらを押圧して該樹脂層の表面が該パターン表面に沿って密着した積層体を形成する工程;及び
該スタンパを有する積層体の樹脂層を、積算光量300mJ/cm 以上の条件での紫外線照射により硬化させ、次いでスタンパを除去することにより、該層の表面に凹凸パターンを設ける工程;
を含む凹凸パターンの形成方法。
により達成される。
上記離型剤の処理が、離型剤の塗布であることが好ましい。また硬化は、加熱又は光(UV)照射により行われる。下記の光情報記録媒体の製造方法の好適態様も、本方法に適宜適用することができる。
さらに、本発明は、
下記の工程(1)〜(4):
(1)加圧により変形可能な光硬化性組成物からなる光硬化性転写層及び光硬化性転写層の一方又は両方の表面に設けられた剥離シートを含む光硬化性転写シートから、光硬化性転写シートが両面に剥離シートを有する場合に、その一方の剥離シートを除去する工程;
(2)該光硬化性転写シートの光硬化性転写層を、表面に記録ピット及び/又はグルーブとしての微細凹凸表面を有し、さらに該微細凹凸表面の凹凸に沿って反射層が設けられた基板の該反射層上に、該光硬化性転写シートの光硬化性転写層の表面が該反射層の微細凹凸表面に接触するように裁置し、これらを押圧して該光硬化性転写シートの表面が該反射層の微細凹凸表面の凹凸に沿って密着された積層体を形成する工程;
(3)該積層体のもう一方の剥離シートを除去し、該除去された光硬化性転写層の表面に、記録ピット及び/又はグルーブとしての微細凹凸表面を有し且つその微細凹凸表面が、下記の一般式(II):
Figure 0005271486
[但し、Rが、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基を表し、それぞれ置換基を有していても良く、
が、−CHCH−又は−CH(CH)CH−を表し、そして
nが1〜20を表す。]
で表されるリン酸アルキルポリオキシアルキレン化合物を含む離型剤で処理されたスタンパを、該微細凹凸表面が転写層の表面に接触するように裁置し、これらを押圧して該光硬化性転写層の表面が該微細凹凸表面の凹凸に沿って密着した積層体を形成する工程;及び
(4)該スタンパを有する積層体の光硬化性転写層を、積算光量300mJ/cm 以上の条件での紫外線照射により硬化させ、次いでスタンパを除去することにより、光硬化性転写層の表面に微細凹凸を設ける工程;
を含むことを特徴とする光情報記録媒体の製造方法、にもある。

上記本発明の光情報記録媒体の製造方法の好適態様は以下の通りである。
1)離型剤の処理が、離型剤の塗布である。
2)反射層が、銀又は銀合金の層である。銀又は銀合金の層に対して、離型剤がほとんど腐食することが無く、好ましい。
3)前記工程(1)の前に、
(A)光硬化性転写シートを円盤状に打ち抜く工程
を行う。この場合、光硬化性転写シートは、一般に長尺状シートである。
4)前記工程(4)を行った後、さらに
(5)該積層体のもう一方の剥離シートが除去された光硬化性転写層の表面に、記録ピット及び/又はグルーブとしての微細凹凸を有し且つ微細凹凸表面が前記離型剤で処理されたスタンパを該微細凹凸表面が転写層の表面に接触するように裁置し、これらを押圧して該光硬化性転写層の表面が該微細凹凸表面の凹凸に沿って密着した積層体を形成する工程;
(6)該スタンパを有する積層体の光硬化性転写層を紫外線照射により硬化させ、次いでスタンパを除去することにより、光硬化性転写層の表面に微細凹凸を設ける工程;
を行う。
5)スタンパが、ニッケル製である。ニッケル製スタンパに対して、離型剤の離型効果が特に大きい。
6)前記(4)及び/又は(6)の紫外線照射を少なくとも300mJ/cmの照射エネルギーで行う。短時間での硬化が可能である。
7)前記(4)及び/又は(6)で得られる硬化した光硬化性転写層のガラス転移温度が65℃以上である。
8)前記(5)〜(6)の工程を行った後、さらに
(7)光硬化性転写層の微細凹凸表面に反射層を設ける工程;
を行う。
9)光硬化性組成物が、ポリマーと光重合性官能基を有する反応性希釈剤とを含む。組成物のTg、弾性率等の物性を適宜変更することが容易で、ピット等の転写性等の向上を図れる。
10)ポリマーのガラス転移温度が80℃以上である。
11)光硬化性転写層の300mJ/cmの紫外線照射後のガラス転移温度が65℃以上である。短時間の紫外線照射により、転写での残留応力から発生しやすいピット形状等のダレ発生を防止することが可能で、転写されたピット形状等を保持することができる。
12)光硬化性組成物(一般に光硬化性転写層)のガラス転移温度が20℃未満である。優れた転写性を得ることができやすい。
13)ポリマーが、アクリル樹脂である。
14)上記アクリル樹脂が、メチルメタクリレートの繰り返し単位を少なくとも50質量%含むアクリル樹脂である。反応性希釈剤との適宜組合せにより、良好な転写性と優れた硬化性の両立が容易となる。
15)上記アクリル樹脂が、重合性官能基を有するアクリル樹脂である。
上記アクリル樹脂が、メチルメタクリレートと、アルコール残基が炭素原子数2〜10個のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも1種と、グリシジル(メタ)アクリレートとの共重合体で、且つ該グリシジル基に重合性官能基を有するカルボン酸を反応させて得られたものであることが好ましい。反応性希釈剤との適宜組合せにより、良好な転写性と優れた硬化性の両立が容易となる。
また上記アクリル樹脂が、メチルメタクリレートと、アルコール残基が炭素原子数2〜10個のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも1種と、重合性官能基を有するカルボン酸との共重合体で、且つ該カルボン酸基にグリシジル(メタ)アクリレートを反応させて得られたものであることが好ましい。反応性希釈剤との適宜組合せにより、良好な転写性と優れた硬化性の両立が容易となる。
16)アクリル樹脂が、ヒドロキシル基を有するアクリル樹脂である。
上記ヒドロキシル基を有するアクリル樹脂が、メチルメタクリレートと、アルコール残基が炭素原子数2〜10個のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも1種と、アルコール残基がヒドロキシルキを有する炭素原子数2〜4個のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも1種との共重合体であることが好ましい。メチルメタクリレートを50質量%以上有することが特に好ましい。反応性希釈剤との適宜組合せにより、良好な転写性と優れた硬化性の両立が容易となる。
17)さらにポリイソシアネート(ジイソシアネートが好ましい)を含む。光硬化前の後架橋が可能となり、転写前のフィルムの形状保持性が向上する。
18)ガラス転移温度が80℃以上のポリマーの数平均分子量が100000以上、及び/又は重量平均分子量が100000以上である。特に数平均分子量が100000〜300000、重量平均分子量が100000〜300000であることが好ましい。この分子量、アクリル樹脂の組成、及び反応性希釈剤の割合を、後述するように好適にすることにより特に優れた転写性と高い硬化速度を得ることができる。上記数平均分子量は、ポリスチレン標準を用いてGPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ)により測定する。
19)光硬化性組成物が、光重合開始剤を0.1〜10質量%含む。
20)380〜420nmの波長領域の光透過率が70%以上である。特に380〜800nmの波長領域の光透過率が70%以上であることが好ましい。
21)光硬化性転写層の厚さが5〜300μmである。
22)光硬化性転写シートが長尺状であり、かつ光硬化性転写層と剥離シートの幅が略同一である。
23)上記工程(1)における、光硬化性転写シートが両面に剥離シートを有する場合に除去される一方の剥離シート(第1剥離シート)が、プラスチックフィルムと、その上に設けられた、光硬化性転写層と接する剥離層とを含み、この剥離層が、ヒドロキシル基を有するポリシロキサンと水素化ポリシロキサンとの縮合反応生成物からなる。ヒドロキシル基を有するポリシロキサンが、ジメチルポリシロキサンであることが好ましい。
24)上記工程(5)において除去される、もう一方の剥離シート(第2剥離シート)が、プラスチックフィルムと、その上にも受けられた、光硬化性転写層と接する剥離層とを含み、この剥離層が、ケイ素原子を含まない熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂から、或いはこれらの樹脂とシランカップリング剤とから形成されている。或いは、第2剥離シートの剥離層が、不飽和2重結合基を有するポリシロキサンと水素化ポリシロキサンとの付加反応生成物(不飽和2重結合基を有するポリシロキサンがジメチルポリシロキサンであることが好ましい)からなる。また第2剥離シートは、剥離層を有していなくても良い。
上記第1及び第2剥離シートのプラスチックフィルムがポリエチレンテレフタレートフィルムであることが好ましい。
さらに本発明は、上記の製造方法により得られる光情報記録媒体にもある。
さらにまた、本発明は、下記の光情報記録媒体にもある:
即ち、表面に記録ピットおよび/又はグルーブとしての微細凹凸を有し、さらにその微細凹凸表面に形成された反射層を有する光情報記録基板の該反射層上に、その微細凹凸に沿って加圧により変形可能な光硬化性組成物からなる光硬化性転写層の硬化層が設けられ、硬化層の表面に前記リン原子含有化合物が付着していることを特徴とする光情報記録媒体;
表面に記録ピットおよび/又はグルーブとしての微細凹凸を有し、さらにその微細凹凸表面に形成された反射層を有する光情報記録基板の該反射層上に、表面に記録ピットおよび/又はグルーブとしての微細凹凸を有し、さらにその微細凹凸表面に形成された反射層を有する中間樹脂層が、その中間樹脂層の微細凹凸を持たない表面を基板表面の反射層に対向させて、基板表面の反射層上に、その微細凹凸に沿って設けられてなる光情報記録媒体であって、
中間樹脂層が、加圧により変形可能な光硬化性組成物からなる光硬化性転写層の硬化層で、硬化層の表面に前記リン原子含有化合物が付着していることを特徴とする光情報記録媒体;及び
表面に記録ピットおよび/又はグルーブとしての微細凹凸を有し、さらにその微細凹凸表面に形成された反射層を有する光情報記録基板の該反射層上に、表面に記録ピットおよび/又はグルーブとしての微細凹凸を有し、さらにその微細凹凸表面に形成された反射層を有する中間樹脂層が、その中間樹脂層の微細凹凸を持たない表面を基板表面の反射層に対向させて、基板表面の反射層上に、その微細凹凸に沿って設けられ、さらに微細凹凸表面及び反射層を有する1層以上の別の中間樹脂層が、中間樹脂層の微細凹凸を持たない表面をすでに設けられた中間樹脂層の反射層に対向させて、すでに設けられた中間樹脂層の反射層上に、その微細凹凸に沿って設けられてなる光情報記録媒体であって、
中間樹脂層が、中間樹脂層が、加圧により変形可能な光硬化性組成物からなる光硬化性転写層の硬化層で、硬化層の表面に前記リン原子含有化合物が付着していることを特徴とする光情報記録媒体。
変形可能な光硬化性組成物からなる光硬化性転写層、及びリン原子含有化合物は、前述の好ましい態様を適用することができる。
本発明の離型剤は、記録媒体、半導体、半導体高密度パッケージ等の作製に有用なナノインプリントプロセス法において使用される微細凹凸パターンを有するスタンパの成形後の剥離を容易にする。特に、光情報記録媒体の製造において、加圧により変形可能な光硬化性転写シートに微細凹凸パターンを有するスタンパを圧着、光硬化後スタンパを除去する際、スタンパの微細凹凸パターン表面を本発明の離型剤で処理することにより、スタンパの除去をきわめて容易にすることができ、かつ、その硬化層がスタンパ側に移ることもない。すなわち、硬化した転写層の一部が、転写層が設けられた銀合金等の反射層から剥がれることがなく、またスタンパに付着することもなく、硬化層の表面の微細凹凸がスタンパの対応する形状を精確に転写した通りに、反射層上に残されている。このため、このようにして得られる光情報記録媒体は、レーザ光による信号の読み取りを行った場合、読み取りエラーの発生がほとんど無いものである。
従って、本発明の離型剤を用いることにより、高速に、精度の高い光情報記録媒体を製造することができる。
本発明の離型剤は、前述のように、記録媒体、半導体、半導体高密度パッケージ等の作製に有用なナノインプリントプロセス法、特に光情報記録媒体の製造において使用される微細凹凸パターンを有するスタンパの剥離を容易にするものである。
本発明の特徴的要件は、離型剤はリン原子含有化合物を含んでいることである。本発明の離型剤は、一般にリン原子含有化合物を有機溶剤に溶解した溶剤型であるが、オイル型、エマルジョン型、エアゾール型、コンパウンド型でもよい。所望により他の離型剤成分を含んでも良い。他の離型剤成分として、高融点ワックス類、高級脂肪酸及びその塩若しくはエステル類、シリコーン、シリコーン油、フッ素樹脂、低分子量ポリエチレン、植物性タンパク質誘導体、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。
本発明のリン原子含有化合物としては、スタンパの(微細凹凸)表面にこの化合物を付着させ、転写層等の樹脂層と圧着後、或いは圧着、硬化後に、スタンパを樹脂層から容易に除去し得る機能を有するものであれば、どのようなリン原子含有化合物でも使用することができる。例えば、リン酸アルキルポリオキシアルキレン化合物及びリン酸アルキルエステル化合物等のリン酸アルキルエステル系化合物、リン酸塩及びリン酸アミド等を挙げることができる。
リン酸アルキルエステル化合物としては、例えば、リン酸トリアルキルエステル(例、トリオクチルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリスクロロエチルホスフェート)、リン酸トリアリールエステル(例、トリクレジルホスフェート、トリトリルホスフェート)等を挙げることができる。リン酸塩としては、例えば、リン酸のナトリウム塩(例、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム)を挙げることができる。またリン酸アミドとしては、例えば、トリス(エチレンイミノ)リン酸アミド、トリス(メチルエチレンイミノ)リン酸アミド、ヘキサメチルリン酸アミド等を挙げることができる。さらにリン脂質界面活性剤(例えばレシチン)、リンの塩素化合物(例、三塩化リン、五塩化リン、オキシ塩化リン)等を挙げることができる。
本発明のリン原子含有化合物としては、リン酸エステル系化合物、特にリン酸アルキルエステル系化合物、中でもリン酸アルキルポリオキシアルキレン化合物或いはリン酸エステル型陰イオン界面活性剤が好ましい。
本発明では、リン酸エステル系化合物におけるリン酸基1個当たりのアルコール残基の分子量が、50〜1000の範囲、特に100〜300の範囲にあることが好ましい。一般に、アルコール残基(通常炭化水素基)の分子量は、リン酸基のOH基(即ち3個のOH基の1個以上)のHと置換した炭化水素基の合計の分子量に当たる。上記値は、上記範囲を上回ると樹脂層又は転写層へのリン酸エステル系化合物へ多量に移行し、その後の樹脂層又は転写層の接着性を低下させる。また上記範囲より下回ると十分な離型性が得られない。
上記リン酸アルキルエステル系化合物としては、下記の一般式(I):
Figure 0005271486
[但し、R、R及びRが、相互に独立してそれぞれ水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、アルキルポリオキシアルキレン基又はアリールポリオキシアルキレン基を表し、それぞれ置換基を有していても良く、そしてR、R及びRの少なくとも1個が、
Figure 0005271486
{但し、Rが、アルキレン基、アリーレン基、アルキルアリーレン基、アリールアルキレン基、アルキレンポリオキシアルキレン基又はアリーレンポリオキシアルキレン基を表し、そしてR及びRが、上記R、R及びRと同義である}であって良く、且つ
、R及びRの少なくとも1個は水素原子以外の基を表す。]
で表されるリン酸エステル系化合物が好ましい。
上記一般式(I)のR、R及びRにおいて、アルキル基としては、一般に炭素原子数1〜10のアルキル基であり、アリール基としては一般にフェニル基であり、アルキルアリール基としては一般に炭素原子数1〜3のアルキル基を有するフェニル基であり、アリールアルキル基としては、一般にフェニルアルキル基(アルキル基は炭素原子数1〜3アルキル基)であり、アルキルポリオキシアルキレン基としては、一般に炭素原子数5〜20のアルキルポリオキシエチレン基又は炭素原子数7〜20のアルキルポリオキシプロピレン基であり、アリールポリオキシアルキレン基としては、一般に炭素原子数10〜30のアルキルフェニルポリオキシエチレン基又は炭素原子数12〜30のアルキルフェニルポリオキシプロピレン基、或いは炭素原子数9〜30のフェニルポリオキシエチレン基又は炭素原子数11〜30のフェニルポリオキシプロピレン基である。アルキルポリオキシアルキレン基及びアリールポリオキシアルキレン基が特に好ましい。置換基としては、ハロゲン(特に塩素、臭素)、アルキルアンモニウム塩(特に−N(CH)、ビニル基を挙げることができる。R、R及びRの全てが水素原子以外の基であることが好ましく、R、R及びRの全てが同一であることが特に好ましい。
において、アルキレン基としては一般に炭素原子数1〜10のアルキレン基であり、アリーレン基としては一般にフェニレン基であり、アルキルアリーレン基としては一般に炭素原子数1〜3のアルキル基を有するフェニレン基であり、アリールアルキレン基としては、一般にフェニルアルキレン基(アルキレン基は炭素原子数1〜3のアルレン基)であり、アルキレンポリオキシアルキレン基としては、一般に炭素原子数5〜20のアルキレンポリオキシエチレン基又は炭素原子数7〜20のアルキレンポリオキシプロピレン基であり、アリーレンポリオキシアルキレン基としては、一般に炭素原子数10〜30のフェニレンポリオキシエチレン基又は炭素原子数12〜30のフェニレンポリオキシプロピレン基、或いは炭素原子数9〜30のフェニレンポリオキシエチレン基又は炭素原子数11〜30のフェニレンポリオキシプロピレン基である。置換基としては、ハロゲン(特に塩素、臭素)、アルキルアンモニウム塩(特に−N(CH)、ビニル基を挙げることができる。
上記リン酸アルキルエステル系化合物(I)は、特に下記の一般式(II):
Figure 0005271486
[但し、Rが、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基を表し、それぞれ置換基を有していても良く、
が、−CHCH−又は−CH(CH)CH−を表し、そして
nが1〜20を表す。]
リン酸アルキルポリオキシアルキレン化合物であることが好ましい。
において、アルキル基としては炭素原子数1〜20のアルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、セチル)、特に炭素原子数4〜18のアルキル基が好ましく、アリール基としてはフェニル基が好ましく、アルキルアリール基としては炭素原子数1〜3のアルキル基を有するフェニル基(特にメチルフェニル)が好ましく、アリールアルキル基としてはフェニルアルキル基(特にアルキル基は炭素原子数1〜3のアルキル基)が好ましい。置換基としては、ハロゲン(特に塩素、臭素)を挙げることができが、有しないことが好ましい。
またRは−CHCH−が好ましい。nは、1〜10、特に2〜5が好ましい。
上記一般式(II)で表されるリン酸アルキルポリオキシアルキレン化合物は、商品名:LTP−2(川研ファインケミカル(株)製)、商品名:N3A及びN10A(クローダジャパン(株)製)が市場で入手可能であり、好ましい。上記N3Aは、式(II)におけるR:オクチル、R:−CHCH−、n:3である化合物、上記N10Aは、式(II)におけるR:オクチル、R:−CHCH−、n:10である化合物である。
リン原子含有化合物は、離型剤の液中に0.1〜10質量%、特に0.1〜5質量%の範囲で含まれていることが好ましい。上限より多い場合は、転写層等の樹脂層に化合物が付着しすぎるため後工程に悪影響を及ぼす(例えば、その後の樹脂層又は転写層の接着性を低下させる)場合があり、下限より少ない場合は、スタンパからの剥離性が十分に良好とは言えない。本発明の離型剤は、リン原子含有化合物を溶剤に溶解させた溶剤型、オイルに溶解させたオイル型、水に乳化させたエマルジョン型、エアゾール型、コンパウンド型等の形態で使用することができるが、溶剤型、エマルジョン型、エアゾール型が好ましく、特に溶剤型が好ましい。所望により前述の他の離型剤成分を含んでも良く、その量は離型剤の液中に0.1〜10質量%、特に0.1〜5質量%の範囲が一般的である。
溶剤を使用する場合、例えば、エステル類(例、酢酸エチル、酢酸ブチル)、芳香族化合物(例、トルエン、キシレン)、ケトン類(例、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、アルコール類(例、メタノール、イソプロパノール)等を挙げることができる。
以下に本発明の凹凸パターンの形成方法について、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。
図1に、本発明の凹凸パターンの形成方法における代表的な実施の形態の概略を描いた断面図を示す。まず硬化性樹脂層1上に、スタンパ2を配置する。この際、スタンパ2の微細凹凸パターンが硬化性樹脂層1の表面に対向するように配置する(1)。続いて、硬化性樹脂層1上に、スタンパ2を押圧する(2)。押圧が可能なように、硬化性樹脂層1は必要に応じて加熱される。常温で押圧可能であれば加熱する必要はない。この状態で、硬化性樹脂層1を、加熱又は光(UV)照射することにより、硬化させる。その後、スタンパ2を硬化した硬化性樹脂層1から除去する(3)。このようにして、微細凹凸パターンを硬化性樹脂層1に形成する。本発明では、スタンパ2の微細凹凸パターンを有する表面に、本発明の離型剤が塗布等により付与されている。このため、スタンパ2を硬化した硬化性樹脂層1からの除去をきわめて容易に行うことができ、かつ、その硬化層の一部がスタンパ側に移ることもない。スタンパ表面への離型剤(好ましくは溶剤型)の処理は、一般に塗布で行われ、スピンコート等を用いたキャスト製膜が好ましい。その他の塗布方法として、スプレー、ディッピング、刷毛塗布、スポンジ塗布等を挙げることができる。
上記方法において、硬化性樹脂層1の代わりに熱可塑性樹脂層を用いて行うこともできる。その場合、熱可塑性樹脂層にスタンパの押しつけてガラス転移温度以上に加熱し、その後冷却してスタンパを除去することにより行うことができる。
次に、本発明の光情報記録媒体の製造方法について、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。
図2は本発明の製造方法で使用される光硬化性転写シート10の実施形態の代表例を示す断面図である。光硬化性転写層11には、一方の表面に、第1剥離シート12b、及び他方の表面に、第2剥離シート12aが、設けられている。第1剥離シート12b、及び第2剥離シート12aは、同一の剥離シートでも良く、また一方のみ設けられていても、或いは全く設けられていなくても良い。一般に、剥離シートは、プラスチックシート上に剥離層が設けられ、剥離層が光硬化性転写層11の表面と接触するように設けられている。第1剥離シート12bと第2剥離シート12aは後述するように相互に異なる剥離性を有することが好ましい。また光硬化性転写シートは長尺状であり、かつ光硬化性転写層と剥離シートの幅が略同一であることが製造上有利である。
本発明の光硬化性転写層11は、スタンパの微細凹凸表面を押圧することにより精確に転写できるように、加圧により変形し易い層であるとともに、硬化後において銀合金等の反射層との接着性が良好で、スタンパの剥離性にも優れた層である。
本発明では、光硬化性組成物は、ポリマーとして、ガラス転移温度が80℃以上のポリマーを含むことが好ましい。これにより、スタンパ或いは基板上の微細凹凸形状が容易に転写でき、その後の硬化も高速で行うことができる。また硬化された形状も高いTg有するのでその形状が変わることなく長期に維持され得る。ガラス転移温度が80℃以上のポリマーとしては、重合性官能基を有することが、反応性希釈剤と反応が可能となり硬化の高速化に有利である。またヒドロキシル基を有することにより、転写層11にジイソシアネートを含ませることで、ポリマーを僅かに架橋させることが可能となり、転写層のしみ出し、層厚変動が大きく抑えられた層とするのに特に有利である。ジイソシアネートは、ヒドロキシル基の無いポリマーでもある程度有効である。
上記光硬化性転写シートは、情報の高密度化のため、再生レーザにより読み取りが容易なように380〜420nmの波長領域の光透過率が70%以上であることが好ましい。特に、380〜420nmの波長領域の光透過率が80%以上であることが好ましい。従って、この転写シート用いて作製される本発明の光情報記録媒体は380〜420nmの波長のレーザを用いてピット信号を再生する方法に有利に使用することができる。
上記光硬化性転写シート10を用いて、本発明の光情報記録媒体を、例えば図3に示すように製造することができる。
光硬化性転写シート10は、先ず円盤状に打ち抜かれる。この際、光硬化性転写層11と第1剥離シート12b、第2剥離シート12a全てを打ち抜く場合(一般にフルエッジの場合)と、光硬化性転写層11と一方の第1剥離シート12bを円盤状に打ち抜き、もう一方の第2剥離シート12aをそのまま残す場合(一般にドライエッジの場合)があり、適宜選択して行われる(工程A)。このように予めの打ち抜き作業は、本発明の光硬化性転写シートを用いることにより、転写層のしみ出し、はみ出し無く、作業性良く行うことができる。
次いで、光硬化性転写シート10から第2剥離シート12aを除去し、第1剥離シート12b付き光硬化性転写層を用意する(工程1)。この場合、第2剥離シート12aを除去した光硬化性転写層11の表面は、硬化後、反射層と良好な接着性を有する必要があるため、第2剥離シート12aの第2剥離層は、一般に、硬化後転写層の接着性に悪影響をもたらさないように設計されている。表面に記録ピットとしての微細凹凸を有する基板21の該微細凹凸表面の半透明反射層23a(一般にAgX等の反射率の比較的低い反射層)上に、第2剥離シートの無い側を対向させて光硬化性転写シート10を押圧する(工程2)。これにより光硬化性転写シートの表面が基板の微細凹凸表面に沿って密着された積層体(11,23a,21からなる)を形成する。この構成で光情報記録媒体として使用する場合は、光硬化性転写シート11を紫外線照射により硬化させ、第1剥離シート12bを除去する(工程3)。
次いで、積層体から本発明の特定の第1剥離シート12bを除去して、表面に記録ピットとしての微細凹凸を有し且つ表面が本発明の離型剤で処理されたスタンパ24を未硬化状態の光硬化性転写層11の表面(基板と接触していない側の表面)に押圧する(工程4)。光硬化性転写層11の表面がスタンパ24の微細凹凸表面に沿って密着した積層体(21,23a,11,24からなる)を形成し、そして積層体の光硬化性転写シートを紫外線照射(一般に300mJ/cm以上)により硬化させた(工程5)のちスタンパ24を除去することにより、硬化シートの表面に記録ピット等の微細凹凸を設ける。これにより、基板11、反射層23a及び硬化した光硬化性転写層11aから成る積層体を得る。本発明では、前記のようにスタンパ24の表面が本発明の離型剤で処理されているので、スタンパ24の除去を円滑に、容易に行うことができる。このため、このスタンパ除去の際、硬化した転写層がスタンパに付着することなく、反射層上に残存し、その転写層表面にはスタンパの微細凹凸に対応する微細凹凸形状が精確に形成される。通常、この微細凹凸上(硬化シートの表面)に、反射層(一般にAl等の高反射率の反射層)23bを設け(工程6)、さらにその上に有機ポリマーフィルム(カバー層)26を接着剤層を介して貼付する(工程7)。これにより図4に示す光情報記録媒体を得る。記録ピットを有する硬化層の反射層の表面に、さらに光硬化性転写シートを押圧し、紫外線照射(一般に300mJ/cm以上)により硬化させても良い。或いは、硬化層の反射層の表面に紫外線硬化性樹脂を塗布、硬化させても良い。半透明反射層23aは、通常のAl等の反射層でも良い(両面読み出し用)。また半透明反射層23aを高反射率反射層、高反射率反射層23bを半透明反射層としても良い。さらにスタンパは、微細凹凸を有する基板であっても良い。
また、(6)の工程で高反射層の代わりに半透明反射層を設け、同様に(1)〜(6)の工程を繰り返すことにより、記録ピットを三層以上形成することもできる。例えば、図5に示すような4層構成の光情報記録媒体を形成することができる。この構成は、次世代のブルーレイ・ディスクとして特に注目されている一般的な構成である。即ち、表面に微細凹凸を有する基板21、その上に設けられた表面に微細凹凸を有する反射層23a、表面に微細凹凸を有する反射層23a上に表面に微細凹凸を有する硬化した光硬化性転写層(中間樹脂層)11a、この微細凹凸上に設けられた反射層(一般に前の反射層23aより反射率の高い反射層)23b、反射層23b上に設けられた表面に微細凹凸を有する硬化した光硬化性転写層(中間樹脂層)11b、その上に形成された反射層23c(前の反射層23bより反射率の高い反射層)、反射層23c上に設けられた表面に微細凹凸を有する硬化した光硬化性転写層(中間樹脂層)11c、その上に形成された反射層23d(前の反射層23cより反射率の高い反射層)から構成されている。反射層23d上には、前記と同様有機ポリマーフィルム(カバー層)26等が貼付される。本発明では、少なくとも中間樹脂層11aにおいて、本発明の光硬化性転写シートの転写層が使用される。本発明では、中間樹脂層の表面に本発明のリン原子含有化合物が付着している。反射層23a、23b、23c、23dの反射率の大きさは反対になるように設定しても良い。
尚、上記方法においては、再生専用の光情報記録媒体について説明したが、記録可能な光情報記録媒体についても同様に行うことができる。記録可能媒体の場合、グルーブ或いはグルーブ及びプレピットを有しており、この場合反射層及び半透明反射層の代わりに金属記録層(色素記録層の場合や金属記録層の反射率が低い場合は、記録層及び反射層)及びその他の機能層(例、エンハンス層)が一般に設けられる。それ以外は上記と同様に光情報記録媒体を製造することができる。
本発明の製造方法では、上述のように、リン原子含有化合物を含む離型剤によりスタンパ表面が処理されている。上記特定の離型剤を用いることにより、硬化した転写層の表面とスタンパ(一般にニッケル製)とが剥離しやすい状態となるため、硬化した転写層の一部が反射層から剥がれてスタンパに付着することがほとんど無い。また、転写層は、硬化後、銀、銀合金等の反射層に対する接着性が良好である。即ち、上記のように硬化転写層とスタンパとの剥離性が大幅に向上し、転写層の反射層に対する接着性が良好であるので、スタンパを除去する際の負荷は極端に小さくなっている。従って、除去されたスタンパに硬化転写層の一部が付着することが無いため、記録面である硬化転写層の表面の微細凹凸部分が転写されたまま完全に反射層上に残ることができ、このためレーザ光による信号の読み取りをエラー無く行うことが可能である。
本発明では、記録ピット及び/又はグルーブである微細凹凸形状を、光硬化性転写層11と基板21とを100℃以下の比較的低い温度(好ましくは常温)で押圧する(好ましくは減圧下)ことにより精確に転写されるように光硬化性転写シートが設計されている。基板21と、光硬化性転写層11との重ね合わせは、一般に圧着ロールや簡易プレスで行われる(好ましくは減圧下)。また、光硬化性転写層11の硬化後の層は、基板21の表面の反射層に用いられる金属との接着力が良好で剥離することはない。必要により反射層上に接着促進層を設けても良い。
また本発明では、記録ピット及び/又はグルーブである微細凹凸形状を、光硬化性転写層11とスタンパ24とを100℃以下の低温(好ましくは常温)で押圧する(好ましくは減圧下)ことにより精確に転写されるように光硬化性転写シートが設計されている。スタンパ21と、光硬化性転写シート11との重ね合わせは、一般に圧着ロールや簡易プレスで行われる(好ましくは減圧下)。また、光硬化性転写層11の硬化後の層は、一般にTgが65℃以上(特に80℃以上)の層であり、スタンパに用いられるニッケルなどの金属との接着力が弱く、光硬化性転写シートをスタンパから容易に剥離することができる。
基板21は、一般に厚板(通常0.3〜1.5mm、特に1.1mm程度)であるので、従来の射出成形法で作製することが一般的である。しかし光硬化性転写シートとスタンパを用いて製造しても良い。本発明の光硬化性転写シートは300μm以下(好ましくは150μm以下)に薄くすることができるので、もう一方の基板を従来法で作製し、基板の厚さを大きくすることができるのでピット形状の転写精度を上げることができる。
上記工程において、光硬化性転写層を基板に押圧する際、或いはスタンパを光硬化性転写層に押圧する際に、減圧下に押圧を行うことが好ましい。これにより、気泡の除去等が円滑に行われる。
上記減圧下の押圧は、例えば、減圧下に2個のロール間に、光硬化性転写シートとスタンパを通過させる方法、あるいは真空成形機を用い、スタンパを型内に裁置し、減圧しながら光硬化性転写シートをスタンパに圧着させる方法を挙げることができる。
また、二重真空室方式の装置を用いて減圧下の押圧を行うことができる。図5を参照しながら説明する。図6には二重真空室方式のラミネータの一例が示されている。ラミネータは下室64、上室62、シリコーンゴムシート63、ヒータ65を備えている。ラミネータ内の下室64に、微細凹凸を有する基板と光硬化性転写シートとの積層体69、又は基板と光硬化性転写シートとスタンパとの積層体69を置く。上室62及び下室64共に排気する(減圧する)。積層体69をヒータ65で加熱し、その後、下室64を排気したまま上室62を大気圧に戻し、積層体を圧着する。冷却して積層体を取り出し、次工程に移す。これにより排気時に脱泡が十分に行われ、気泡の無い状態で、スタンパ又は基板と光硬化性転写シートとを圧着することができる。
本発明で使用される光硬化性転写シートは、加圧により変形可能な光硬化性組成物からなる光硬化性転写層を有するものである。
本発明の上記光硬化性組成物は、一般に、ポリマー(好ましくはガラス転移温度が80℃以上のポリマー)、光重合性官能基(一般に炭素炭素2重結合基、好ましくは(メタ)アクリロイル基)を有する反応性希釈剤(モノマー及びオリゴマー)、光重合性開始剤及び、所望により他の添加剤から構成される。
本発明の光硬化性組成物の一般的な構成要件である光重合性官能基を有する反応性希釈剤としては、例えば、(メタ)アクリルモノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルポリエトキシ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンモノ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、N−ビニルカプロラクタム、o−フェニルフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、
ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジプロポキシジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、
グリセリンジアクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンアクリレートメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリス〔(メタ)アクリロキシエチル〕イソシアヌレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートモノマー類;
ポリオール化合物(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、ビスフェノールAポリエトキシジオール、ポリテトラメチレングリコール等のポリオール類、前記ポリオール類とコハク酸、マレイン酸、イタコン酸、アジピン酸、水添ダイマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の多塩基酸又はこれらの酸無水物類との反応物であるポリエステルポリオール類、前記ポリオール類とε−カプロラクトンとの反応物であるポリカプロラクトンポリオール類、前記ポリオール類と前記、多塩基酸又はこれらの酸無水物類のε−カプロラクトンとの反応物、ポリカーボネートポリオール、ポリマーポリオール等)と、有機ポリイソシアネート(例えば、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、ジシクロペンタニルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4'−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2',4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等)と水酸基含有(メタ)アクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキサン−1,4−ジメチロールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等)の反応物であるポリウレタン(メタ)アクリレート、
ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応物であるビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートオリゴマー類等を挙げることができる。これら光重合可能な官能基を有する化合物は1種又は2種以上、混合して使用することができる。
前記ポリマー(好ましくはガラス転移温度が80℃以上)としては、アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、ビニルアセテート/(メタ)アクリレート共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン及びその共重合体、ポリ塩化ビニル及びその共重合体、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、メタクリレート/アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、2−クロロブタジエン−1,3−ポリマー、塩素化ゴム、スチレン/ブタジエン/スチレン共重合体、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、セルロースエステル、セルロースエーテル、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等を挙げることができる。
本発明では、良好な転写性及び優れた硬化性の点から、アクリル樹脂が好ましい。アクリル樹脂は、前述したように、重合性官能基を有するアクリル樹脂又はヒドロキシル基を有するアクリル樹脂であることが特に好ましい。またアクリル樹脂は、メチルメタクリレートの繰り返し単位を少なくとも50質量%(特に60〜90質量%)含むことが、Tg80℃以上のアクリル樹脂を得られやすく、また良好な転写性、高速硬化性も得られやすく好ましい。
上記重合性官能基を有するアクリル樹脂は、一般に重合性官能基を有するアクリル樹脂が、メチルメタクリレートと、アルコール残基が炭素原子数2〜10個のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも1種と、グリシジル(メタ)アクリレートとの共重合体で、且つ該グリシジル基に重合性官能基を有するカルボン酸が反応したもの、或いはメチルメタクリレートと、アルコール残基が炭素原子数2〜10個のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも1種と、重合性官能基を有するカルボン酸との共重合体で、且つ該カルボン酸基にグリシジル(メタ)アクリレートが反応したものである。
メチルメタクリレートと、アルコール残基が炭素原子数2〜10個のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも1種と、グリシジル(メタ)アクリレートとの共重合体である。メチルメタクリレートは、その繰り返し単位として、ポリマー中に50質量%以上(特に60〜90質量%)含まれることが好ましい。反応性希釈剤との適当な組合せにより、良好な転写性と優れた硬化性の両立が容易となる。アルコール残基が炭素原子数2〜10個(特に3〜5個)のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルとしては、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。またこのような(メタ)アクリル酸エステルは、その繰り返し単位として、ポリマー中に、一般に5〜30質量%、特に10〜30質量%含まれることが好ましい。グリシジル(メタ)アクリレート又は重合性官能基を有するカルボン酸は、その繰り返し単位として、ポリマー中に、一般に5〜25質量%、特に5〜20質量%含まれることが好ましい。得られた共重合体のグリシジル基又はカルボン酸基に、それぞれ重合性官能基を有するカルボン酸又はグリシジル(メタ)アクリレートを反応させる。
上記ヒドロキシル基を有するアクリル樹脂は、一般にメチルメタクリレートと、アルコール残基が炭素原子数2〜10個(特に3〜5個)のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも1種と、アルコール残基がヒドロキシル基を有する炭素原子数2〜4個のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも1種との共重合体である。メチルメタクリレートは、その繰り返し単位として、ポリマー中に50質量%以上(特に60〜90質量%)含まれることが好ましい。反応性希釈剤との適当な組合せにより、良好な転写性と優れた硬化性の両立が容易となる。アルコール残基が炭素原子数2〜10個(特に3〜5個)のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルとしては、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。またこのような(メタ)アクリル酸エステルは、その繰り返し単位として、ポリマー中に、一般に5〜30質量%、特に10〜30質量%含まれることが好ましい。アルコール残基がヒドロキシル基を有する炭素原子数2〜4個のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートを挙げることができ、その繰り返し単位として、ポリマー中に、一般に5〜25質量%、特に5〜20質量%含まれることが好ましい。
前記重合性官能基を有するアクリル樹脂は、例えば、以下のように製造することができる。
1種又は複数種の(メタ)アクリルモノマー(好ましくは上述の、メチルメタクリレートと、アルコール残基が炭素原子数2〜10個のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも1種と、グリシジル基を1個かつ重合性官能基を1個有する化合物(好ましくはグリシジル(メタ)アクリレート)或いは重合性官能基を有するカルボン酸とを、ラジカル重合開始剤と有機溶剤の存在下で溶液重合法などの公知の方法にて反応させて共重合体であるグリシジル基含有アクリル樹脂(a)又はカルボキシル基含有アクリル樹脂(b)を得る。(メタ)アクリルモノマー等のモノマー類の配合割合はグリシジル基含有アクリル樹脂(a)又はカルボキシル基含有アクリル樹脂(b)の固形分換算合計量に対して10〜45質量%とすることが好ましい。
次いで得られたグリシジル基含有アクリル樹脂(a)に重合性官能基を有するカルボン酸を加え、或いは得られたカルボキシル基含有アクリル樹脂(b)にグリシジル基を1個かつ重合性官能基を1個有する化合物(好ましくはグリシジルメタクリレート)を加え、必要に応じ加熱することによりアクリル系光硬化型樹脂(A)又はアクリル系光硬化型樹脂(B)を得る。この配合比は、グリシジル基とカルボキシル基のモル比が1/0.9〜1/1となるように配合するのが好ましく、より好ましくは1/1である。グリシジル基過剰では長期安定性において増粘、ゲル化のおそれがあり、カルボキシル基過剰では皮膚刺激性が上がり作業性が低下する。さらに1/1の場合は残存グリシジル基がなくなり、貯蔵安定性が顕著に良好になる。反応は塩基性触媒、リン系触媒などの存在下で公知の方法にて行うことができる。
上記OH又は重合性官能基を有するアクリル樹脂を含み、本発明で用いることができるアクリル樹脂を構成する主成分として使用することができる(メタ)アクリル系モノマーとしては、アクリル酸又はメタクリル酸の各種エステルを挙げることができる。アクリル酸又はメタクリル酸の各種エステルの例として、メチル(メタ)アクリレート((メタ)アクリレートとはアクリレート及びメタクリレートを示す。以下同様)、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、2−メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシ(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート、ピレノキシド付加物(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。さらに不飽和基を含有する芳香族化合物(例、スチレン)も使用しても良い。
本発明では、前述のように、アクリル系モノマーの主成分としては、メチルメタクリレートと、アルコール残基が炭素原子数2〜10個のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも1種を使用することが好ましい。
本発明のポリマー(好ましくはガラス転移温度が80℃以上)は、数平均分子量が100000以上、特に100000〜300000、そして重量平均分子量が100000で以上、特に100000〜300000であることが好ましい。
さらに本発明では、ポリマー(好ましくはガラス転移温度が80℃以上)として、ヒドロキシル基等の活性水素を有する官能基及び光重合性官能基の両方を有するポリマーも使用することができる。このような反応性ポリマーとしては、例えば、主として前記アクリル系モノマーから得られる単独重合体又は共重合体(即ちアクリル樹脂)で、且つ、主鎖又は側鎖に光重合性官能基及び活性水素を有する官能基を有するものである。従って、このような反応性ポリマーは、例えば、メチルメタクリレートと、前記1種以上の(メタ)アクリレートと、ヒドロキシル基等の官能基を有する(メタ)アクリレート(例、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)とを共重合させ、得られた重合体とイソシアナトアルキル(メタ)アクリレートなどの、重合体の官能基と反応し且つ光重合性基を有する化合物と反応させることにより得ることができる。その際、ヒドロキシル基が残るようにイソシアナトアルキル(メタ)アクリレートの量を調節して使用することにより、活性水素を有する官能基としてヒドロキシル基及び光重合性官能基を有するポリマーが得られる。
或いは上記において、ヒドロキシル基の代わりにアミノ基を有する(メタ)アクリレート(例、2−アミノエチル(メタ)アクリレート)を用いることにより活性水素を有する官能基としてアミノ基を有する、光重合性官能基含有ポリマーを得ることができる。同様に、活性水素を有する官能基としてカルボキシル基等を有する、光重合性官能基含有ポリマーも得ることができる。
本発明では、前記光重合性官能基をウレタン結合を介して有するアクリル樹脂も好ましい。
上記光重合性官能基及び活性水素を有する官能基を有するポリマーは、光重合性官能基を一般に1〜50モル%、特に5〜30モル%含むことが好ましい。この光重合性官能基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基が好ましく、特にアクリロイル基、メタクリロイル基が好ましい。
本発明の光硬化性組成物中に添加され得るジイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート(TDI)、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート、ジシクロペンタニルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4’−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2’,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートを挙げることができる。またトリメチロールプロパンのTDI付加体等の3官能以上のイソシアネート化合物等のポリイソシアネートシアネートも使用することができる。これらの中でトリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加体が好ましい。
本発明のジイソシアネートは、光硬化性組成物(不揮発分)中に0.2〜4質量%、特に0.2〜2質量%の範囲で含まれていることが好ましい。転写層のしみ出しを防止するために適当な架橋がもたらされると共に、基板やスタンパの微細凹凸の良好な転写性も維持される。上記化合物とポリマーとの反応は、転写層形成後、徐々に進行し、常温(一般に25℃)、24時間でかなり反応している。転写層形成用の塗布液を調製した後、塗布するまでの間にも反応は進行するものと考えられる。転写層を形成後、ロール状態で巻き取る前にある程度硬化させることが好ましいので、必要に応じて、転写層を形成時、或いはその後、ロール状態で巻き取る前の間に加熱して反応を促進させても良い。
本発明の光硬化性組成物は、上述のように、一般に、ガラス転移温度が80℃以上のポリマー、光重合性官能基(好ましくは(メタ)アクリロイル基)を有する反応性希釈剤(モノマー及びオリゴマー)、光重合性開始剤及び、所望により他の添加剤から構成される。ポリマーと反応性希釈剤との質量比は、20:80〜80:20、特に30:70〜70:30の範囲が好ましい。
本発明の光硬化性転写層の周波数1Hzにおける貯蔵弾性率は、25℃において1×10Pa以下であることが好ましく、特に1×10〜6×10Paの範囲であることが好ましい。また80℃において8×10Pa以下であることが好ましく、特に1×10〜5×10Paの範囲であることが好ましい。これにより、精確で迅速な転写が可能となる。さらに、本発明の光硬化性転写層は、ガラス転移温度を20℃以下であることが好ましい。これにより、得られる光硬化性転写層がスタンパの微細凹凸面に圧着されたとき、常温においてもその微細凹凸面に緊密に追随できる可撓性を有することができる。特に、ガラス転移温度が15℃〜−50℃、特に15℃〜−10℃の範囲にすることにより追随性がたものとなる。ガラス転移温度が高すぎると、貼り付け時に高圧力及び高圧力が必要となり作業性の低下につながり、また低すぎると、硬化後の十分な高度が得られなくなる。
また上記光硬化性組成物からなる光硬化性転写層は、300mJ/cmの紫外線照射後のガラス転移温度が65℃以上となるように設計されていることが好ましい。短時間の紫外線照射により、転写での残留応力から発生しやすいピット形状等のダレ発生を防止することが容易で、転写されたピット形状等を保持することができる。本発明の光硬化性組成物からなる光硬化性転写層は、主として、上記好ましいポリマー、以下の反応性希釈剤を使用することにより有利に得ることができる。
光重合開始剤としては、公知のどのような光重合開始剤でも使用することができるが、配合後の貯蔵安定性の良いものが望ましい。このような光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系、ベンジルジメチルケタールなどのベンゾイン系、ベンゾフェノン系、イソプロピルチオキサントン、2−4−ジエチルチオキサントンなどのチオキサントン系、その他特殊なものとしては、メチルフェニルグリオキシレートなどが使用できる。特に好ましくは、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1、ベンゾフェノン等が挙げられる。これら光重合開始剤は、必要に応じて、4−ジメチルアミノ安息香酸のごとき安息香酸系又は、第3級アミン系などの公知慣用の光重合促進剤の1種または2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。また、光重合開始剤のみの1種または2種以上の混合で使用することができる。光硬化性組成物(不揮発分)中に、光重合開始剤を一般に0.1〜20質量%、特に1〜10質量%含むことが好ましい。
光重合開始剤のうち、アセトフェノン系重合開始剤としては、例えば、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1など、ベンゾフェノン系重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンッゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンなどが使用できる。
アセトフェノン系重合開始剤としては、特に、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1が好ましい。ベンゾフェノン系重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチルが好ましい。また、第3級アミン系の光重合促進剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシルなどが使用できる。特に好ましくは、光重合促進剤としては、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシルなどが挙げられる。
本発明では、上記光重合性官能基を有する反応性希釈剤及び光重合開始剤に加えて、所望により下記の熱可塑性樹脂及び他の添加剤を添加することが好ましい。
他の添加剤として、シランカップリング剤(接着促進剤)を添加することができる。このシランカップリング剤としてはビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどがあり、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらシランカップリング剤の添加量は、上記ポリマー(固形分)100質量部に対し通常0.01〜5質量部で十分である。
また同様に接着性を向上させる目的でエポキシ基含有化合物を添加することができる。エポキシ基含有化合物としては、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート;ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル;1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル;アクリルグリシジルエーテル;2−エチルヘキシルグリシジルエーテル;フェニルグリシジルエーテル;フェノールグリシジルエーテル;p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル;アジピン酸ジグリシジルエステル;o−フタル酸ジグリシジルエステル;グリシジルメタクリレート;ブチルグリシジルエーテル等が挙げられる。また、エポキシ基を含有した分子量が数百から数千のオリゴマーや重量平均分子量が数千から数十万のポリマーを添加することによっても同様の効果が得られる。これらエポキシ基含有化合物の添加量は上記ポリマー(固形分)100質量部に対し0.1〜20質量部で十分で、上記エポキシ基含有化合物の少なくとも1種を単独で又は混合して添加することができる。
さらに他の添加剤として、加工性や貼り合わせ等の加工性向上の目的で炭化水素樹脂を添加することができる。この場合、添加される炭化水素樹脂は天然樹脂系、合成樹脂系のいずれでも差支えない。天然樹脂系ではロジン、ロジン誘導体、テルペン系樹脂が好適に用いられる。ロジンではガム系樹脂、トール油系樹脂、ウッド系樹脂を用いることができる。ロジン誘導体としてはロジンをそれぞれ水素化、不均一化、重合、エステル化、金属塩化したものを用いることができる。テルペン系樹脂ではα−ピネン、β−ピネンなどのテルペン系樹脂のほか、テルペンフェノール樹脂を用いることができる。また、その他の天然樹脂としてダンマル、コーバル、シェラックを用いても差支えない。一方、合成樹脂系では石油系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂が好適に用いられる。石油系樹脂では脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、水素化石油樹脂、純モノマー系石油樹脂、クマロンインデン樹脂を用いることができる。フェノール系樹脂ではアルキルフェノール樹脂、変性フェノール樹脂を用いることができる。キシレン系樹脂ではキシレン樹脂、変性キシレン樹脂を用いることができる。
上記炭化水素樹脂等の樹脂の添加量は適宜選択されるが、上記ポリマー(固形分)100質量部に対して1〜20質量部が好ましく、より好ましくは5〜15質量部である。
以上の添加剤の他、本発明の光硬化性組成物は紫外線吸収剤、老化防止剤、染料、加工助剤等を少量含んでいてもよい。また、場合によってはシリカゲル、炭酸カルシウム、シリコーン共重合体の微粒子等の添加剤を少量含んでもよい。
本発明で使用される光硬化性組成物は、本発明のリン原子含有化合物を含んでいても良い。スタンパの離型性がさらに向上する。含有量は一般に0.01〜1質量%である。
本発明で使用される光硬化性組成物からなる光硬化性転写層(光硬化性転写シート)は、例えば、ポリマー(好ましくはTg80℃以上)、光重合性官能基を有する反応性希釈剤(モノマー及びオリゴマー)、所望によりジイソシアネートシアネート及び、所望により他の添加剤とを均一に混合し、押出機、ロール等で混練した後、カレンダー、ロール、Tダイ押出、インフレーション等の製膜法により所定の形状に製膜して用いることができる。支持体を用いる場合は、支持体上に製膜する必要がある。より好ましい本発明の光硬化性接着剤の製膜方法は、各構成成分を良溶媒に均一に混合溶解し、この溶液をシリコーンやフッ素樹脂を精密にコートしたセパレーターにフローコート法、ロールコート法、グラビアロール法、マイヤバー法、リップダイコート法等により支持体上に塗工し、溶媒を乾燥することにより製膜する方法である。
また、光硬化性転写層(光硬化性転写シート)の厚さは1〜1200μm、特に5〜500μmとすることが好ましい。特に5〜300μm(好ましくは150μm以下)が好ましい。1μmより薄いと封止性が劣り、透明樹脂基板の凸凹を埋め切れない場合が生じる。一方、1000μmより厚いと記録媒体の厚みが増し、記録媒体の収納、アッセンブリー等に問題が生じるおそれがあり、更に光線透過に影響を与えるおそれもある。
本発明で使用される光硬化性転写シートは、一般に、加圧により変形可能な光硬化性組成物からなる光硬化性転写層と、その一方の側又は両側に剥離シートとを有する。さらに、一方の側に設けられた特定の第1剥離シートと他方の側に設けられた第1剥離シートと異なる性質の第2剥離シートとを有することが好ましい。
上記第1剥離シートは、一般にヒドロキシル基を有するポリシロキサンと水素化ポリシロキサンとの縮合反応生成物からなる剥離層を有する。即ち、光硬化性転写層の表面と接する、第1剥離シートの第1剥離層は、スタンパの除去が容易となるように剥離性が高く(一般に、剥離性低分子量成分が少ない或いは表面張力が低い)、他方、第2剥離シートの光硬化性層の表面と接する側の表面である第2剥離層は、転写層と基板表面との接着性が要求されるので剥離性がそれほど高くはなっていない(一般に、剥離性低分子量成分が少ない、或いは表面張力がそれほど低くない)。
第1剥離シートの剥離層は、上記のようにヒドロキシル基を有するポリシロキサンと水素化ポリシロキサンとの縮合反応生成物からなる層である必要があるが、第2剥離シートの剥離層はどのような層でも良い。第2剥離シートの剥離層は、一般的な剥離層であり、一般に、転写層の反射層との接着性を低下させない層であり、第1剥離シートの剥離層より表面張力が低い層が好ましい。
本発明の第1剥離シートの剥離層は、前記のように、ヒドロキシル基を有するポリシロキサン(好ましくはジメチルポリシロキサン)と水素化ポリシロキサン(好ましくはジメチルポリシロキサン)から形成される層である。一般に、これらは、スズ系化合物等の触媒の存在下に、加熱して付加反応させることにより、本発明の剥離層(比較的低い表面張力の層)が得られる。
上記第1剥離層は、上記シリコーン樹脂等を溶剤に溶解又は分散させ、リバースロールコート、グラビアコート、バーコート、ドクターブレードコート等により透明フィルムに塗布し、適当な時間加熱して得ることができる。加熱温度は一般に100〜150℃、好ましくは120〜140℃、加熱時間は一般に10〜60秒、好ましくは20〜30秒である。第1剥離層の層厚は、一般に300〜1500nm、500〜800nmが好ましい。層厚が、上記範囲未満では、塗布性の安定性に欠け、均一な塗膜を得るのが困難になる場合がある。一方、上記範囲を超えて厚塗りにすると、剥離層自体の塗膜密着性、硬化性等が低下する場合がある。
一方、第2剥離シートの剥離層は、一般的な剥離層であり、下記のいずれの樹脂からなる層であっても良い。即ち、第2剥離シートの剥離層は、ケイ素原子を含まない熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂から形成されていても、或いは熱可塑性樹脂又は熱硬化性のシリコーン樹脂等から形成されていても良い。本発明の第2剥離シートの剥離層は、反応型のシリコーン樹脂が好ましい。特に、不飽和2重結合基(好ましくはビニル基)を有するポリシロキサン(好ましくはジメチルポリシロキサン)と水素化ポリシロキサン(好ましくはジメチルポリシロキサン)とを用いることが好ましい。不飽和2重結合基を有するポリシロキサンの代わりに、不飽和2重結合基を有するポリアルキレンオキシド等を用いることもできる。
第2剥離シートの剥離層は、ケイ素原子を含まない熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂から形成されているか、或いは熱可塑性樹脂又は上記以外の熱硬化性のシリコーン樹脂でもよい。
上記第2剥離層は、上記シリコーン樹脂等を溶剤に溶解又は分散させ、リバースロールコート、グラビアコート、バーコート、ドクターブレードコート等により透明フィルムに塗布し、適当な時間加熱して得ることができる。加熱温度は、使用する樹脂の種類により異なる。一般に100〜150℃、好ましくは120〜140℃、加熱時間は一般に10〜60秒、好ましくは20〜30秒である。第2剥離層の層厚は、一般に300〜1500nm、500〜800nmが好ましい。層厚が、上記範囲未満では、塗布性の安定性に欠け、均一な塗膜を得るのが困難になる場合がある。一方、上記範囲 を超えて厚塗りにすると、剥離層自体の塗膜密着性、硬化性等が低下する場合がある。
剥離シート(例、第1及び第2剥離シート)のプラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン46、変性ナイロン6T、ナイロンMXD6、ポリフタルアミド等のポリアミド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリチオエーテルサルフォン等のケトン系樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン等のサルフォン系樹脂の他に、ポリエーテルニトリル、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、トリアセチルセルロース、ポリスチレン、ポリビニルクロライド等の有機樹脂を主成分とする透明樹脂フィルムを用いることができる。これら中で、ポリカーボネート、ポリメチルメタアクリレート、ポリビニルクロライド、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートのフィルムが好適に用いることができ、特にポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。厚さは10〜200μmが好ましく、特に30〜100μmが好ましい。
本発明で使用される光硬化性転写シートは、加圧により変形可能な光硬化性組成物からなる光硬化性転写層とその両側に上記の第1、第2剥離シートを有するものである場合、この光硬化性転写シートはアニール処理されていることが好ましい。即ち、アニール処理した光硬化性転写シートを用いて、前述の光情報記録媒体を製造することが好ましい。アニール処理は、転写シートを30〜100℃、特に40〜70℃の温度で、1時間〜30日間、特に10時間〜10日間に亘って保管することにより行うことが好ましい。転写シートは、一般にロール状態(巻かれた状態)でアニール処理することが好ましい。このようなアニール処理により、第1剥離シートの剥離層の剥離を促進する成分(離型成分)が、光硬化性転写層への移行が進み、スタンパの除去が容易になると考えられる。
表面に微細凹凸を有する基板21の材料としてはとしては、ガラス転移温度が50℃以上の透明の有機樹脂が好ましく、このような支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン46、変性ナイロン6T、ナイロンMXD6、ポリフタルアミド等のポリアミド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリチオエーテルサルフォン等のケトン系樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン等のサルフォン系樹脂の他に、ポリエーテルニトリル、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、トリアセチルセルロース、ポリスチレン、ポリビニルクロライド等の有機樹脂を主成分とする透明樹脂基板を用いることができる。これら中で、ポリカーボネート、ポリメチルメタアクリレート、ポリビニルクロライド、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートが転写性、複屈折の点で優れており、好適に用いることができる。厚さは200〜2000μmが好ましく、特に500〜1500μmが好ましい。
有機ポリマーフィルムの材料26としては、ガラス転移温度が50℃以上の透明の有機樹脂が好ましく、このような支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン46、変性ナイロン6T、ナイロンMXD6、ポリフタルアミド等のポリアミド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリチオエーテルサルフォン等のケトン系樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン等のサルフォン系樹脂の他に、ポリエーテルニトリル、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、トリアセチルセルロース、ポリスチレン、ポリビニルクロライド等の有機樹脂を主成分とする透明樹脂基板を用いることができる。これら中で、ポリカーボネート、ポリメチルメタアクリレート、ポリビニルクロライド、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートが転写性、複屈折の点で優れており、好適に用いることができる。厚さは10〜200μmが好ましく、特に50〜100μmが好ましい。
こうして得られる本発明に光硬化性転写シートでは、さらに光硬化性転写層の380〜420nmの波長領域の光透過率が70%以上であることが好ましい。
光硬化性転写シートは380〜420nm(好ましくは380〜800nm)の波長領域の光透過率が70%以上であり、これはレーザによる読み取り信号の強度低下を防止するためである。さらに380〜420nmの波長領域の光透過率が80%以上であることが好ましい。
本発明に光硬化性転写シートは、膜厚精度を精密に制御したフィルム状で提供することができるため、基板及びスタンパとの貼り合わせを容易にかつ精度良くおこなうことが可能である。また、この貼り合わせは、圧着ロールや簡易プレスなどの簡便な方法で20〜100℃で仮圧着した後、光により常温、1〜数十秒で硬化できる上、本接着剤特有の自着力によりその積層体にズレや剥離が起き難いため、光硬化まで自由にハンドリングができるという特徴を有している。
本発明の光硬化性転写シートを硬化する場合は、光源として紫外〜可視領域に発光する多くのものが採用でき、例えば超高圧、高圧、低圧水銀灯、ケミカルランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、マーキュリーハロゲンランプ、カーボンアーク灯、白熱灯、レーザ光等が挙げられる。照射時間は、ランプの種類、光源の強さによって一概には決められないが、0.1秒〜数十秒程度、好ましくは0.5〜数秒である。紫外線照射量は、300mJ/cm以上が好ましい。
また、硬化促進のために、予め積層体を30〜80℃に加温し、これに紫外線を照射してもよい。
得られた本発明の基板の微細凹凸表面の反射層或いは硬化した転写層上の反射層は、基板等に反射層を金属蒸着(例えばスパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティング等)することにより形成する。金属としては、アルミニウム、金、銀、これらの合金等を挙げることができる。銀合金が好ましく、特にAgX(XはCu・Pd又はCu・Ndが好ましい)が好ましい。本発明の反射層は、特に、銀合金(AgX(好ましくはAg・Cu・Pd(97.4:0.9:1.7(質量比))[例えばフルヤ金属(株)製のAPC]又はAg・Cu・Nd(98.4:0.7:0.9(質量比))[例えばコベルコ科研(株)製のANC]))等から構成されていることが好ましい。
一般に、基板上の半透明反射層は、金属として銀等を用いて形成される。即ち、転写層の硬化層上には、上記反射層より高い反射率の反射層にする必要があり、成分、層厚等が変更される。例えば、銀合金の反射層を層厚を変えることにより反射率を変更することができるので、複数の反射層(低反射層から高反射層まで)を銀合金の反射層の厚さを変えて設けることができる。
硬化シートの反射層上に有機ポリマーフィルムを貼り付ける場合、一方に接着剤を塗布し、その上に他方を重ね、硬化させる。接着剤がUV硬化性樹脂の場合はUV照射により、ホットメルト接着剤の場合は、加熱下に塗布し、冷却することにより得られる。
本発明の光情報記録媒体の製造は、通常、上記のように円盤状で処理されるが、シート状で連続的に作成し、最後に円盤状にしてもよい。
以下に実施例を示し、本発明についてさらに詳述する。
[実施例1]
<光硬化性転写シートの作製>
(アクリロイル基を有するポリマー2の作製)
ポリマー配合1
メチルメタクリレート 74質量部
n−ブチルメタクリレート 13質量部
グリシジルメタクリレート 13質量部
(商品名ブレンマーG;日本油脂(株)製)
AIBN 1.2質量部
トルエン 70質量部
酢酸エチル 30質量部
上記の配合の混合物を、穏やかに撹拌しながら、70℃に加熱して重合を開始させ、この温度で8時間撹拌し、側鎖にグリシジル基を有するポリマー1(アクリル樹脂)を得た。これにアクリル酸(6.6質量部)を加えて、70℃に加熱し、この温度で5時間撹拌し、アクリロイル基を有するポリマー1を得た。固形分を36質量%に調製した(ポリマー溶液2)。
得られたポリマー1は、Tgが100℃であり、重量平均分子量が110000であった。
組成物配合1
アクリロイル基を有するポリマー溶液2 100質量部
ヘキサンジオールジアクリレート(KS−HDDA) 110質量部
ジイソシアネート(BXX5627、東洋インキ製造(株)製) 1質量部
イルガキュア651(チバガイギー(株)製) 1質量部
ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ) 0.05質量部
上記配合の混合物を均一に溶解、混練し、剥離シート(幅140mm、長さ300m、厚さ75μm;商品名No.23、藤森工業(株)製)上に、全面塗布し、乾燥厚さ20μmの光硬化性転写層を形成し、シートの反対側に上記と同一の剥離シートを貼付し、ロール状に巻き上げ、光硬化性転写シートのフルエッジタイプのロール(直径260mm)を得た。光硬化性転写層のTgは、0℃であった。
<光情報記録媒体の作製>
光情報記録媒体を、下記の(2)光情報記録媒体の作製及び評価で示すようにして作製した。
[実施例2]
実施例1と同じ光硬化性転写シートを用意した。但し、光情報記録媒体を、下記の(2)光情報記録媒体の作製及び評価で示すようにして作製したが、離型剤の配合の調製におけるリン酸エステルとして、式(II)の、R:オクチル、R:−CHCH−、n:3である、商品名N3A(クローダジャパン(株)製)を同量使用した。
[実施例3]
実施例1と同じ光硬化性転写シートを用意した。但し、光情報記録媒体を、下記の(2)光情報記録媒体の作製及び評価で示すようにして作製したが、組成物配合の調製におけるリン酸エステルとして、式(II)の、R:オクチル、R:−CHCH−、n:10である、商品名N10A(クローダジャパン(株)製)を同量使用した。
[比較例1]
実施例1と同じ光硬化性転写シートを用意した。但し、光情報記録媒体を、下記の(2)光情報記録媒体の作製及び評価で示すようにして作製したが、スタンパを離型剤で処理しなかった。
[実施例4]
実施例1において、組成物配合の調製において、配合の混合物を均一に溶解、混練し、下記の第2剥離シート1の剥離層上に、全面塗布し、乾燥厚さ25μmの光硬化性転写層を形成し、シートの反対側に下記の第2剥離シート1をその剥離層と転写層が接触するように貼付し、ロール状に巻き上げ、光硬化性転写シートのフルエッジタイプのロール(直径260mm)を得た。
(第2剥離シート1)
第2剥離層1配合(付加型シリコーン)
TPR6700(東芝シリコーン(株)製; 100質量部
CM670(白金触媒、 (株)製) 1質量部
トルエン 499質量部
PETフィルム(幅300mm、長さ300m、厚さ75μm)の表面に、第2剥離層1配合の混合物を、ロール塗布し、その後140℃で30秒間加熱して、付加反応させ、厚さ500nmの第2剥離層1を形成した。
(第1剥離シート1)
第1剥離層1配合(縮合型シリコーン)
XS56−A3075(東芝シリコーン(株)製; 100質量部
YC6831(スズ触媒、東芝シリコーン(株)製) 4質量部
YC6919(スズ触媒、東芝シリコーン(株)製) 2質量部
トルエン 2000質量部
PETフィルム(幅300mm、長さ300m、厚さ75μm)の裏面に、第1剥離層1配合の混合物を、ロール塗布し、その後150℃で10秒間加熱して、付加反応させ、厚さ500nmの第1剥離層1を形成した。

(1)光硬化性転写シートの評価
(1−1)ガラス転移温度(Tg)の測定
得られた光硬化性転写シートから両側の剥離シートを除去し、長さ20mm、幅4mm(厚さ25μm)に裁断してサンプルとした。
サンプルのTgを、TMA (Thermal Mechanical Analysis) 装置SS6100(SIIナノテクノロジー(株)製)を用いて、サンプル温度:30〜120℃、昇温レート:5℃/分、引張張力:4.9×10Paの条件で測定した。
以上の条件で試験を行うと、図7に示すグラフが得られ、安定領域の接線と伸び領域の最大傾斜からの接線との交点をガラス転移温度とした。

(2)光情報記録媒体の作製及び評価
(2−1)基板、反射層及び硬化転写層の積層体(光情報記録媒体)の作製
光硬化性転写シートのロールを円盤状に打ち抜いた後、一方の剥離シート(第2剥離シート)を除去し、得られた円盤状光硬化性転写シートを、射出成形により成形したピットとしての微細凹凸面を有するポリカーボネート基板(厚さ1.1mm)の微細凹凸面に設けられた厚さ40nmの銀合金(Ag・Cu・Nd(組成比98.4:0.7:0.9(質量))の半透過反射層上に、転写シート面と反射層が接触するように配置し、シリコーンゴム製のローラを用いて2kgの荷重で光硬化性転写シートを押圧し、積層体を形成した(図3の(2)に対応)。
ピットとしての微細凹凸表面を有するニッケル製のスタンパの微細凹凸表面に、下記の配合の離型剤をスピンコートにより塗布し、0.05μmの塗布層を設けた。
(離型剤配合)
リン酸エステル 1質量部
(商品名LTP−2;川研ファインケミカル(株)製)
酢酸エチル 99質量部
積層体の光硬化性転写シートのもう一方の剥離シート(第1剥離シート)を除去し、その除去された転写シート表面に、上記離型剤で処理したピットとしての微細凹凸面を有するニッケル製のスタンパを50℃に温調し、このスタンパの微細凹凸面とシート表面とが接触するように配置して、シリコーンゴム製のローラを用いて2kgの荷重でスタンパを押圧し、積層体を形成し、ニッケル製のスタンパの微細凹凸形状を転写シート表面に転写した(図3の(4)に対応)。
次に、光硬化性転写シート側から、メタルハライドランプ(600mW/cm)を用いて、前記反射層(Ag・Cu・Nd)の半透過反射層を介して、積算光量300mJ/cmの条件でUV照射し(照射距離20cm、照射時間1.0秒)、転写シートを硬化させた(図3の(5)に対応)。
硬化直後に、得られた積層体を突き上げることにより、積層体からスタンパを剥離、除去した。これにより、基板、反射層及び微細凹凸形状が転写された硬化転写層の積層体を得た。
この後の反射層の形成等の工程は省略した。
(2−2)スタンパの剥離性
スタンパの剥離性を評価するため、上記光情報記録媒体を、同一のスタンパで何枚作製可能かを調査した。調査は10枚ごとに行った。スタンパ除去後、反射層上に硬化した転写層の一部がスタンパに付着した段階で不合格とし、それまで得られた枚数を表記した。
(2−3)耐湿熱性
得られた光情報記録媒体を、湿熱オーブン(60℃、80%RH)に1000時間保管し、反射層の銀の腐食の程度を観察した。
○:反射層の変色無し ×:反射層の変色有り
(2−4)ガラス転移温度(Tg)の測定
(1−1)と同様にして得られたサンプルに、積算光量300mJ/cmの条件でUV照射し、(1−1)と同様にしてTgを測定した。
積算光量(300mJ/cm)は、フュージョンUVシステムズジャパン(株)製UV Power Puck(UV−Aバンド測定)を用いて層表面で測定した。
得られた試験結果を表1に示す。
Figure 0005271486
実施例1〜3で得られた光硬化性転写シートを用いた場合、1個のスタンパで、硬化した転写層に剥離無しで微細凹凸の形成を極めて多数回行うことができたが、本発明とは種類の異なる他の滑剤を用いた比較例1及び2のシートでは、大量に行うことはできなかった。また、耐湿熱性から分かるように、離型剤による媒体(反射層)への悪影響は無いと考えられる。
また実施例4の剥離シートとして2種の異なるものを用いた場合は、スタンパの使用可能枚数はさらに向上した(30000枚)。
本発明の凹凸パターンの形成方法における代表的な実施の形態を描いた概略断面図である。 本発明で用いられる光硬化性転写シートの実施形態の代表例を示す断面図である。 本発明に従う光情報記録媒体の製造方法の一例を示す断面図である。 本発明に従う光情報記録媒体の一例を示す断面図である。 本発明に従う光情報記録媒体の別の一例を示す断面図である。 二重真空室方式の装置を用いた押圧法を説明するための該略図である。 ガラス転移温度(Tg)の決定に用いられるグラフである。
符号の説明
1 硬化性樹脂層
2 24 スタンパ
11 光硬化性転写層
12a 第2剥離シート
12b 第1剥離シート
21 基板
23a,23b,23c,23d 反射層
11a,11b,11c 硬化した光硬化性転写層
26 有機ポリマーフィルム(カバー層)

Claims (19)

  1. 表面に微細な凹凸パターンを有するスタンパの該表面を、下記の一般式(II):
    Figure 0005271486
    [但し、Rが、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基を表し、それぞれ置換基を有していても良く、
    が、−CHCH−又は−CH(CH)CH−を表し、そして
    nが1〜20を表す。]
    で表されるリン酸アルキルポリオキシアルキレン化合物を含む離型剤で塗布する工程、
    離型剤が塗布されたスタンパを、加圧により変形可能な光硬化性樹脂層に、該スタンパの凹凸パターン表面が該樹脂層の表面に接触するように置し、これらを押圧して該樹脂層の表面が該パターン表面に沿って密着した積層体を形成する工程;及び
    該スタンパを有する積層体の樹脂層を、積算光量300mJ/cm以上の条件での紫外線照射により硬化させ、次いでスタンパを除去することにより、該層の表面に凹凸パターンを設ける工程;
    を含むカバー層を有する光情報記録媒体の記録ピットとしての凹凸パターンの形成方法。
  2. リン酸アルキルポリオキシアルキレン化合物におけるリン酸基1個当たりのアルコール残基の分子量が、50〜1000の範囲にある請求項1に記載の凹凸パターンの形成方法。
  3. 離型剤が、リン原子含有化合物を0.1〜10質量%含む請求項1又は2に記載の凹凸パターンの形成方法。
  4. 下記の工程(1)〜(4):
    (1)加圧により変形可能な光硬化性組成物からなる光硬化性転写層及び光硬化性転写層の一方又は両方の表面に設けられた剥離シートを含む光硬化性転写シートから、光硬化性転写シートが両面に剥離シートを有する場合に、その一方の剥離シートを除去する工程;
    (2)該光硬化性転写シートの光硬化性転写層を、表面に記録ピットとしての微細凹凸表面を有し、さらに該微細凹凸表面の凹凸に沿って反射層が設けられた基板の該反射層上に、該光硬化性転写シートの光硬化性転写層の表面が該反射層の微細凹凸表面に接触するように置し、これらを押圧して該光硬化性転写シートの表面が該反射層の微細凹凸表面の凹凸に沿って密着された積層体を形成する工程;
    (3)該積層体のもう一方の剥離シートを除去し、該除去された光硬化性転写層の表面に、記録ピットとしての微細凹凸表面を有し且つその微細凹凸表面が、下記の一般式(II):
    Figure 0005271486
    [但し、Rが、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基を表し、それぞれ置換基を有していても良く、
    が、−CHCH−又は−CH(CH)CH−を表し、そして
    nが1〜20を表す。]
    で表されるリン酸アルキルポリオキシアルキレン化合物を含む離型剤で塗布されたスタンパを、該微細凹凸表面が転写層の表面に接触するように置し、これらを押圧して該光硬化性転写層の表面が該微細凹凸表面の凹凸に沿って密着した積層体を形成する工程;及び
    (4)該スタンパを有する積層体の光硬化性転写層を、積算光量300mJ/cm以上の条件での紫外線照射により硬化させ、次いでスタンパを除去することにより、光硬化性転写層の表面に微細凹凸を設ける工程;
    を含むことを特徴とするカバー層を有する光情報記録媒体の製造方法。
  5. リン酸アルキルポリオキシアルキレン化合物におけるリン酸基1個当たりのアルコール残基の分子量が、50〜1000の範囲にある請求項に記載の光情報記録媒体の製造方法。
  6. 離型剤が、リン原子含有化合物を0.1〜10質量%含む請求項4又は5に記載の光情報記録媒体の製造方法。
  7. 反射層が、銀又は銀合金の層である請求項4〜6のいずれか1項に記載の光情報記録媒体の製造方法。
  8. 前記工程(1)の前に、
    (A)光硬化性転写シートを円盤状に打ち抜く工程を行う請求項4〜7のいずれか1項に記載の光情報記録媒体の製造方法。
  9. 前記(4)得られる硬化した光硬化性転写層のガラス転移温度が65℃以上である請求項4〜8のいずれか1項に記載の光情報記録媒体の製造方法。
  10. 前記(4)の工程を行った後、さらに
    (7)光硬化性転写層の微細凹凸表面に反射層を設ける工程;
    を含む請求項4〜9のいずれか1項に記載の光情報記録媒体の製造方法。
  11. 光硬化性組成物が、ポリマーと光重合性官能基を有する反応性希釈剤とを含む請求項4〜10のいずれか1項に記載の光情報記録媒体の製造方法。
  12. ポリマーのガラス転移温度が80℃以上である請求項11に記載の光情報記録媒体の製造方法。
  13. 光硬化性転写層の300mJ/cmの紫外線照射後のガラス転移温度が65℃以上である請求項9〜12のいずれか1項に記載の光情報記録媒体の製造方法。
  14. 光硬化性組成物のガラス転移温度が20℃未満である請求項4〜13のいずれか1項に記載の光情報記録媒体の製造方法。
  15. ポリマーが、アクリル樹脂である請求項11〜14のいずれか1項に記載の光情報記録媒体の製造方法。
  16. 光硬化性組成物がさらにジイソシアネートを含む請求項4〜15のいずれか1項に記載の光情報記録媒体の製造方法。
  17. 光硬化性組成物が、光重合開始剤を0.1〜10質量%含む請求項4〜16のいずれか1項に記載の光情報記録媒体の製造方法。
  18. 光硬化性転写層の厚さが5〜300μmである請求項4〜17のいずれか1項に記載の光情報記録媒体の製造方法。
  19. 光硬化性転写シートが長尺状であり、かつ光硬化性転写層と剥離シートの幅が略同一である請求項4〜18のいずれか1項に記載の光情報記録媒体の製造方法。
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