JP2006075202A - ボタン付けミシン - Google Patents

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Abstract

【課題】ボタンキャリアにボタンが載置されていなくても作業者に確実に知らせる。
【解決手段】縫い針5の針下にボタンBを供給するボタン供給手段110と、ボタン供給手段110により縫い針5の針下に供給されたボタンBを保持するボタン保持手段10と、ボタン保持手段10がボタンを保持しているか否かを検出する検出手段69と、検出手段69により、ボタン保持手段10がボタンBを保持していないと検出された場合に、その旨を報知する報知手段101,102を備えるボタン付けミシン1であって、ボタン保持手段10は、縫い針5の針下に供給されたボタンBを保持するボタン保持部26L,26Rを有する一対のボタン保持アーム25L,25Rと、ボタン保持アーム25L,25Rを駆動させるアーム駆動手段51と、を備え、報知手段101,102は、アーム駆動手段51により、ボタン保持部26L,26Rの接離動作を繰り返し行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、ボタン付けミシンに関する。
従来、ボタン付けミシンには、一つのボタン付け作業が終了した後に次のボタンを縫い針の針下のボタン供給位置に供給するボタン供給装置が設けられている。ボタン供給装置は、ボタンが載置されるボタンキャリア、このボタンキャリアを支持するアーム、このアームを水平面方向に沿って旋回させて、ボタンキャリアをボタン供給位置とボタンセット位置との間で移動させる旋回装置等を備えている。ここで、ボタンをボタン供給位置に供給するには、旋回装置により、ボタンキャリアをボタンセット位置にまで移動させ、ボタンキャリアにボタンを載置し、ボタンキャリアをボタン供給位置まで移動させる。
このようなボタン供給装置により、ボタン供給位置に供給されたボタンは、ボタン保持装置に設けられたボタンチャックにより左右から保持され、布地へと縫製される(例えば、特許文献1参照。)。
特開2003−205189号公報
しかし、ボタン供給装置によりボタン供給位置にボタンを供給する場合、ボタンキャリアにボタンのセットを忘れたときのように、ボタンキャリアにボタンが載置されないまま旋回装置を駆動させてしまうことがあった。このような場合、ボタンキャリアにボタンが載置されていないことを作業者が認識していないことが多く、作業者が気付いてボタンを供給するまでは縫製作業が停滞してしまうという問題があった。
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ボタンキャリアにボタンが載置されていなくても作業者に確実に知らせることができるボタン付けミシンを提供することを目的とする。
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、ボタン付けミシンであって、上下動を行う縫い針の針下にボタンを供給するボタン供給手段と、前記ボタン供給手段により前記縫い針の針下に供給されたボタンを保持するボタン保持手段と、前記ボタン保持手段がボタンを保持しているか否かを検出する検出手段と、前記検出手段により、前記ボタン保持手段がボタンを保持していないと検出された場合に、その旨を報知する報知手段を備えることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、ボタンがセットされていない等の理由でボタン供給手段が縫い針の針下に正常にボタンを供給しない場合であっても、ボタン供給手段はボタンがセットされた場合と同じ動きをするが、縫い針の針下にはボタンがないため、ボタン保持手段はボタンを保持することができない。そこで、検出手段は、ボタン保持手段がボタンを保持しているか否かを検出し、ボタン保持手段がボタンを保持していないと検出された場合に、報知手段がその旨を作業者に報知する。
よって、ボタンが縫い針の針下に供給されていないことを作業者に確実に知らせることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のボタン付けミシンにおいて、前記ボタン保持手段は、前記縫い針の針下に供給されたボタンを保持するボタン保持部を有するボタン保持アームを備え、前記報知手段は、前記ボタン保持アーム又は前記ボタン保持アームに設けられた作動部の所定の繰り返し動作による報知動作を行うことを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、報知手段は、ボタン保持アーム又はボタン保持アームに設けられた作動部の所定の繰り返し動作による報知動作を行うことにより、作業者の視線はその報知動作に集まるのでボタン保持部にボタンが保持されていないことに気付く。
よって、ボタンが縫い針の針下に供給されていないことを作業者に確実に知らせることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のボタン付けミシンにおいて、前記ボタン保持手段は、接離動作によりボタンを保持解放する一対のボタン保持アームと、前記ボタン保持アームを駆動させるアーム駆動手段と、を備え、前記報知手段は、前記アーム駆動手段により、前記ボタン保持アームの接離動作を繰り返し行うことを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、ボタンがボタン供給手段によって縫い針の針下に供給されなかった場合、接離動作によりボタンを保持解放する一対のボタン保持アームはボタンを保持することができないが、このような場合に、アーム駆動手段により、ボタン保持アームの接離動作が繰り返し行われる。
これにより、作業者の視線はボタン保持アームに集まる。ここで、ボタン保持アームが接離動作を繰り返すことにより、作業者は通常の縫製作業中にはない動作であることを認識できるため、ボタン保持アームに視線を集めやすくなる。
よって、ボタンが縫い針の針下に供給されていないことを作業者に確実に知らせることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載のボタン付けミシンにおいて、前記ボタン保持手段は、前記ボタン保持部を回転駆動させることで保持されたボタンの姿勢を変える保持部駆動手段を備え、前記報知手段は、前記保持部駆動手段により、前記ボタン保持部に所定の回転角の範囲内で正転と逆転を繰り返し行うことを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、ボタンがボタン供給手段によって縫い針の針下に供給されなかった場合、ボタン保持アームに設けられたボタン保持部はボタンを保持することができないが、このような場合に、報知手段は、保持部駆動手段によりボタン保持部に所定の回転角の範囲内で正転と逆転を繰り返す。
これにより、作業者の視線はボタン保持部に集まる。ここで、ボタン保持部が正転と逆転を繰り返して行うことにより、作業者は通常の縫製作業中にはない動作であることを認識できるため、ボタン保持部に視線を集めやすくなる。
よって、ボタンが縫い針の針下に供給されていないことを作業者に確実に知らせることができる。
請求項1に記載の発明によれば、検出手段はボタン保持手段がボタンを保持しているか否かを検出し、ボタン保持手段がボタンを保持していないと検出された場合に、報知手段がその旨を作業者に報知する。よって、ボタンが縫い針の針下に供給されていないことを作業者に確実に知らせることができる。
請求項2に記載の発明によれば、報知手段は、ボタン保持アーム又はボタン保持アームに設けられた作動部の所定の繰り返し動作による報知動作を行うことにより、作業者の視線はその報知動作に集まるのでボタン保持部にボタンが保持されていないことに気付く。
よって、ボタンが縫い針の針下に供給されていないことを作業者に確実に知らせることができる。
請求項3に記載の発明によれば、作業者の視線はボタン保持部に集まる。ここで、ボタン保持部が接離動作を繰り返すことにより、作業者は通常の縫製作業中にはない動作であることを認識できるため、ボタン保持部に視線を集めやすくなる。
よって、ボタンが縫い針の針下に供給されていないことを作業者に確実に知らせることができる。
請求項4に記載の発明によれば、作業者の視線はボタン保持部に集まる。ここで、ボタン保持部が正転と逆転を繰り返して行うことにより、作業者は通常の縫製作業中にはない動作であることを認識できるため、ボタン保持部に視線を集めやすくなる。
よって、ボタンが縫い針の針下に供給されていないことを作業者に確実に知らせることができる。
以下、図面を参照して、本発明に係るボタン付けミシンの最良の形態について詳細に説明する。
<ボタン付けミシンの構成>
図1に示すように、ボタン付けミシン1は、ベッド部2と、ベッド部2から立設された縦胴部3と、縦胴部3からベッド部2に対向するように設けられたアーム部4と、を備えている。なお、以下の説明では、ボタン付けミシン1の前後方向、上下方向は図1に示す通りであり、それぞれY軸方向、Z軸方向とする。また、図1の紙面に向かって垂直な方向を左右方向(X軸方向)とする。
ボタン付けミシン1は、アーム部4の先端に設けられた針棒9の先端に固定され、糸が通された縫い針5と、ベッド部2内に縫い針5に対向するように設けられた図示しないルーパとの協働により自動的に布地(被縫製物)にボタンを縫い付けるものである。ルーパの動作による縫い目の形成については周知の技術であるため、詳細な説明は省略する。
ボタン付けミシン1は、ボタンや布地などを独立に自在に搬送することによって、多様なボタン付け縫いが可能となっている。以下では、ボタン等を搬送する各種機構について詳細に説明する。
<針上下動機構>
針棒9は、主軸モータ14を駆動源としてクランク機構を介して上下動が行われる。また、針棒9は、Y軸方向(前後方向)を中心として揺動可能な針棒支持体により上下動可能に支持されている。従って、針棒9は、上下動を行いながらその下端部の縫い針5をX軸方向(左右方向)に沿って揺動させることが可能となっている。針棒支持体は、パルスモータである針振りモータ16を駆動源とする。この針振りモータ16は、その駆動時には、その揺動における両端部に縫い針5が位置するときに下死点となるように主軸モータ14と同期して駆動制御される。
<ボタン保持装置>
ボタンは、アーム部4の中間下部において垂下支持されるとともに、その先端部が縫い針5の上下動経路近傍まで延びるように設けられた一対のボタン保持アーム25L,25Rにより保持される。かかるボタン保持アーム25L,25Rは、その基端部において、アーム部4に対してY軸方向に沿って移動可能に支持されるとともに上Y送りモータ31により当該Y軸方向への駆動が行われるようになっている。
さらに、ボタン保持アーム25L,25Rは、その基端部がX軸方向を中心として揺動可能に支持されており、且つ基端部にはアーム駆動手段としての上下駆動モータ51が併設されている。かかる上下駆動モータ51により、ボタン保持アーム25L,25Rの先端側で保持されるボタンは、上下に移動することが可能となっている。
ボタン保持手段としてのボタン保持装置10は、図2〜図6に示すように、ボタン付けミシン1の内部の本体フレーム(図示略)によりY軸方向に往復自在に支持されたベース体18と、その基端部をベース体18に回動自在に支持されるとともにその先端部でボタンBを保持する第一のリンク体20と、その一端部を回動自在にベース体18に支持されると共に他端部を第一のリンク体20の中間部に回動自在に連結された第二のリンク体15と、ベース体18をY軸方向に沿って往復移動させるY軸機構30と、第一のリンク体20をX軸方向に沿って往復移動させるX軸機構40と、第一のリンク体20の先端部をZ軸方向に沿って往復移動させるZ軸機構50とを備えている。
さらに、ボタン保持装置10は、第一のリンク体20が備える二本のボタン保持アーム25L,25Rを介してボタンBの保持及び解除を行うボタン保持部開閉機構60(図5参照)と、ボタン保持アーム25L,25Rが備えるボタン保持部26L,26Rを介してボタンBを90度回転させるボタン起立機構70L,70Rと、を備えている。
(第一のリンク体)
第一のリンク体20は、図2〜図4に示すように、略長方形状の板状体である本体プレート22と、この本体プレート22のX軸方向両側端部からそれぞれ立設された基端部側連結腕部21L,21Rと、その両端部が基端部側連結腕部21L,21Rに連結されるとともにベース体の滑動部材に貫通状態で支持されるプレート支軸23と、本体プレート22の底面(負のZ軸方向側平面)に並んでY軸方向に平行に支持された二本のボタン保持アーム25L,25Rと、各ボタン保持アーム25L,25Rの先端部に設けられたボタン保持部26L,26Rとを備えている。
プレート支軸23は、滑動部材に回転自在且つ軸方向に沿って摺動自在に支持されている。またプレート支軸23は、X軸方向に沿って配設されていることから、プレート支軸23を中心とする回動による各ボタン保持部26L,26RのZ軸方向の移動だけでなく、第一のリンク体20全体をベース体に対してX軸方向に沿って往復移動させることが可能となっている。
また、各ボタン保持アーム25L,25Rは、ボタン保持部開閉機構60を介して本体プレート22に支持されており、互いに接離可能となっているがその詳細は後述する。また、各ボタン保持部26L,26Rは各ボタン保持アーム25L,25Rの正のY軸方向先端部において互いに対向して装備されている。そして、これらのボタン保持部26L,26Rの対向部位にはそれぞれボタンBの外縁部がはまりこむ凹部が形成されており、各ボタン保持アーム25L,25Rの接近により各凹部を介してボタンBを狭持することを可能としている。さらに各ボタン保持部26L,26Rは、いずれも各ボタン保持アーム25L,25Rの先端部においてX軸方向に沿った回転軸を介して支持されており、ボタン起立機構70L,70Rにより回転動作が入力される。
(第二のリンク体)
第二のリンク体15は、図2,3に示すように、変形U字状に形成されており、U字の上端部に相当する位置で、第一のリンク体20のX軸方向両側面であってY軸方向中間部にそれぞれ回転自在に連結されている。また、U字の下端部に相当する位置で支持軸17を介してベース体18の正のY軸方向先端部に回動自在に連結されている。第二のリンク体15の第一のリンク体20に対する二つの回動軸線は、同一線上であっていずれもX軸方向に平行に向けられている。また、第二のリンク体15をベース体18に連結するベース体支軸19は、図2に示すように、やはりX軸方向に向けられているとともにベース体18に対して回転自在且つ軸方向に沿って摺動自在となっている。従って、第一のリンク体20がX軸機構40によりX軸方向に往動した場合に、第二のリンク体15は第一のリンク体20とともに往動することが可能となっている。
(Y軸機構)
ベース体18は、ボタン付けミシン1の内部においてY軸方向に往動可能に支持されるとともに、自らが各リンク体20,15を回動自在に支持している。即ち、ベース体18は、各軸機構30,40,50を除くボタン保持装置10の全ての構成を支持していることになる。
ベース体18の負のY軸方向端部側には、Y軸機構30が配設されている。かかるY軸機構30は、ボタン付けミシン1の本体フレームに出力軸をX軸方向に向けた状態で支持された上Y送りモータ31と、上Y送りモータ31の出力軸に設けられたピニオンギア32と、ベース体18の負のY軸方向端部の上部に設けられたラック部33とを備えている。ラック部33はY軸方向に沿って形成されており、上Y送りモータ31の駆動によりピニオンギア32を介してベース体18へのY軸方向への移動力が加えられる。これに伴い、各軸機構30,40,50を除くボタン保持装置10の全ての構成がY軸方向の移動を行うこととなり、第一のリンク体20の先端部おいて保持されるボタンBについてX軸方向に往動させることが可能となる。
(X軸機構)
X軸機構40は、ボタン付けミシン1の本体フレームに支持されたモータ保持枠41と、このモータ保持枠41にその出力軸をY軸方向に向けて保持された差動モータ42と、差動モータ42の出力軸に装備されたピニオンギア43と、モータ保持枠41にX軸方向に沿ってスライド自在に支持されると共にピニオンギア43とかみ合うラック部を備えた丸棒状ラック部材44と、Y軸方向に沿った貫通長穴を備えると共に第一のリンク体20に固定支持された受け穴部材46と、その上端部(正のZ軸方向の端部)で丸棒状ラック部材44に固定連結されるとともに下端部(負のZ軸方向端部)が受け穴部材46の長穴に挿通される伝達軸45とを備えている。
このような構成のX軸機構40は、差動モータ42の駆動によりピニオンギア43を介して丸棒状ラック部材44にX軸方向への移動力が入力されると、伝達軸45は丸棒状ラック部材44と共に移動し、その下端部において受け穴部材46の長穴の内部に当接して、第一のリンク体20全体をX軸方向に移動させることが可能である。なお、第一のリンク体20及び第二のリンク体15はベース体18に対してX軸方向に沿った往動が自在であるため、これらリンク体20,15が同時にベース体18に対してX軸方向に移動することとなる。その結果、第一のリンク体20の先端部に保持されたボタンBもまたX軸方向に移動させることができる。
(Z軸機構)
Z軸機構50は、ボタン付けミシン1の本体フレームに支持されたモータ保持枠50aと、このモータ保持枠50aにその出力軸をZ軸方向に向けて保持された上下駆動モータ51と、上下駆動モータ51の出力軸に装備されたウォームギア52と、回転軸をX軸方向に沿わせた状態でモータ保持枠51aに回転自在に支持されたウォームホイール53と、ウォームホイール53と同一軸で連結された入力リンク54と、入力リンクの54の回動端部にその一端部が回転自在に連結された伝達リンク55と、伝達リンク55の他端部とその上端部が回転自在に連結された直動リンク56と、ボタン付けミシン1の本体フレームに支持されると共に直動リンク56をZ軸方向に沿った直動のみを可能とする直動ガイド57と、Y軸方向を向いてその一端部を直動リンク56の下端部に固定連結されている連結棹58と、連結棹58の他端部に連結され先端部が下方に延びたL字棒状体59とを備えている。
このような構成のZ軸機構50は、上下駆動モータ51の駆動により、ウォームギア52が回転し、ウォームギア52の駆動力は、ウォームホイール53に伝達され、入力リンク54、伝達リンク55、直動リンク56の順に伝達される。直動リンク56に伝達された上下駆動モータ51の駆動力は、連結棹58をZ軸方向に駆動させ、連結棹58がZ軸方向に駆動することにより、連結棹58に連結されたL字棒状体59もZ軸方向に駆動する。
そして、このL字棒状体59は、そのY軸方向に向けられた部位を、第一のリンク体20に装備された揺動部材の受け棹部を引っかけて第一のリンク体20の先端部をZ軸方向に沿って移動させる。その結果、第一のリンク体20の先端部に保持されたボタンBもまたZ軸方向に移動させることができる。
(ボタン保持部開閉機構)
ボタン保持部開閉機構60は、第一のリンク体20に設けられている。このボタン保持部開閉機構60は、図4〜図6に示すように、本体プレート22の上面から下面にわたって貫通して形成され、ボタン保持アーム25Lとボタン保持アーム25Rとの連結部25cを中心として、ボタン保持アーム25L,25Rを回動させたときの回動軌跡に沿った円弧状に形成され、かつ、Y軸方向に沿って並列配置された長孔61L,61Rと、長孔61Lを介してボタン保持アーム25Lを支持するとともに長孔61Lに沿って移動自在なピン62Lと、長孔61Rを介してボタン保持アーム25Rを支持するとともに長孔61Rに沿って移動自在なピン62Rと、各ボタン保持アーム25L,25Rの間で本体プレート22にY軸方向に沿って往復移動自在に支持された移動体65と、移動体65とボタン保持アーム25Lとの間にわたって設けられたリンク66Lと、移動体65とボタン保持アーム25Rとにわたって設けられたリンク66Rと、正負のY軸方向に沿った移動力を移動体65に入力する開閉用エアシリンダ68と、を備えている。
長孔61Lは、ピン62Lが挿通されることにより、ボタン保持アーム25Lは連結部25cを中心として回動することを可能としている。ボタン保持アーム25Rも同様である。また、ボタン保持アーム25Lとボタン保持アーム25Rとは、図4に示すように、X軸方向に沿って設けられたコイルバネSにより常時互いに引き寄せられる方向に付勢されている。
リンク66Lは、一端部が移動体65に連結され、他端部がボタン保持アーム25Lに回転自在に連結されており、リンク66Lの両端連結点の距離を常時一定に維持する。従って、リンク66Lの回動により、移動体65に対するボタン保持アーム25Lの二つのリンク支点の距離変化を均一に維持することができる。ここで、ボタン保持アーム25LのY軸方向の移動は長孔61Lにより規制されているので、移動体65の移動により、ボタン保持アーム25Lに対してX軸向の移動を入力することができる。ボタン保持アーム25Rの場合も同様である
また、開閉用エアシリンダ68は、複動式であり、出力軸68aの突出及び縮退の双方を積極的に切り替えることが可能である。従って、ボタン保持部開閉機構60は、開閉用エアシリンダ68により移動体65を正負のY軸方向に移動させることにより、各ボタン保持アーム25L,25Rの接離動作を自在に入力することができるので、各ボタン保持部26L,26Rを介してボタンBを狭持状態で保持させ、又はその解除を自在に行うことができる。
ここで、ボタン保持アーム25L,25Rは、平面視略コ字状に形成された板材であり、一端同士が連結部25cにおいてボルト等により回動自在に連結されている。すなわち、移動体65の移動により、リンク66L,66Rのボタン保持アーム25L,25Rに対する角度が変化してピン62L,62Rが長孔61L,61R内に沿って移動し、ボタン保持アーム25L,25Rが連結部25cを回動中心として互いに接近したり離れたりする。これにより、ボタン保持アーム25L,25Rの他端部に設けられたボタン保持部26L,26Rも互いに接近したり離れたりする。
具体的には、ボタン保持アーム25L,25Rと、リンク66L,66Rと、連結部25cとの位置関係が図4〜図6である場合には、移動体65が前方、つまりボタン保持部26L,26R側に移動するにつれて、図5に示すように、ボタン保持部26L,26R同士が接近し、移動体65が後方、つまりボタン保持部26L,26Rから離れるように移動するにつれて、図6に示すように、ボタン保持部26L,26R同士が離隔するようになる。
また、図4に示すように、本体プレート22の裏面側には、ボタン保持部26L,26RがボタンBを保持しているか否かを検出する検出手段としてのボタン有無センサ69が移動体65の裏面に対向するように取り付けられている。ボタン有無センサ69は、例えば、近接センサにより構成されている。また、移動体65の裏面には、ボタン有無センサ69がボタンの有無を検出するための磁性体69mが設けられている。
ここで、ボタン有無センサ69によるボタン保持部26L,26Rのボタン有無の検出原理について説明すると、ボタン有無センサ69の発振回路から磁力線を発生させておき、移動体65の移動に伴って所定位置に設けられた磁性体69mがボタン有無センサ69が発生させた磁界内に進入すると、ボタン有無センサ69が発生させた磁力線に歪みが生じる。この歪みを検出することにより、移動体65の位置を割り出し、その位置からボタン保持アーム25L,25Rの姿勢状態、換言すると、ボタン保持部26L,26R間の距離を算出することができる。この算出された値に基づいて、ボタン保持部26L,26RがボタンBを保持しているか否かを知ることができる。具体的には、ボタン保持部26L,26R間の距離がボタンBの径とほぼ等しい場合には、ボタン保持部26L,26RがボタンBを保持していることになり、ボタンBの径よりも小さい、或いは遙かに大きい場合には、ボタン保持部26L,26RがボタンBを保持していないことになる。
(ボタン起立機構)
ボタン起立機構70L,70Rを図3,4に基づいて説明する。ボタン起立機構70L,70Rは、それぞれボタン保持アーム25L,25Rに設けられており、ボタン保持部開閉機構60から入力される移動力によりボタン保持アーム25L,25RとともにそれぞれX軸方向に移動する。これらボタン起立機構70Lと70Rとは、その中間に位置するY−Z平面を基準に面対象となる構造を備えているので、ボタン起立機構70Lについて説明することとする。
かかるボタン起立機構70Lは、その一端部をボタン保持部26Lの回転軸と連結された出力リンク72Lと、その一端部をボタン保持アーム25Lの途中に回転自在に連結された入力リンク71Lと、出力リンク72Lの他端部にその一端部が回転自在に連結されるとともに入力リンク71Lの他端部とその他端部とが回転自在に連結された伝達リンク73Lと、入力リンク71Lに回転力を入力し、ボタン保持部26L,26Rに保持されたボタンの姿勢を変える保持部駆動手段としての起立用エアシリンダ74Lと、ボタンBが水平状態(ボタンの穴がある平面がX−Y平面に沿った状態)から起立した状態(ボタンの穴がある平面がX−Z平面に沿った状態)に向けて回転したときにそれ以上の出力リンク72Lの回動を規制する起立用ストッパ75Lとを備えている。
各リンク71L,72L,73Lは、いずれもその両端部の回転軸がX軸方向に沿っており、これにより四節リンク機構を構成している。一方、起立用エアシリンダ74Lは、その出力軸先端部が入力リンク71Lの中間部に設けられたリンク長手方向に沿った長穴に挿通される回転軸を介して入力リンク71Lに連結されているので、当該出力軸の直線的な往動が円滑に入力リンク71Lの回転力として入力される。入力リンク71Lの先端部と出力リンク72Lの先端部とは伝達リンク73Lにより均一距離が維持されるので、入力リンク71Lに回転力が入力されると、出力リンク72Lにも回転力が入力されることとなる。
また、起立用エアシリンダ74Lは、複動式であり、出力軸の突出及び縮退の双方を積極的に切り替えることが可能である。
即ち、図3の状態において、起立用エアシリンダ74Lの出力軸が縮退すると、出力リンク72Lは時計方向に回転して起立用ストッパ75Lに当接して止まり、かかる状態から起立用エアシリンダ74Lの出力軸が突出すると、出力リンク72Lは反時計方向に回転し、起立用エアシリンダ74Lのストロークエンドにて停止する。
(ベッド部周辺及びタング)
ベッド部2は、その上面が、すくい縫いではない通常のボタン縫着縫製(いわゆるベタ縫い)を行う場合において、被縫製物たる布地を広げて載置する載置台となっている。かかる載置台には、力ボタンの縫着縫製を行う際に当該力ボタンを保持する力ボタン保持部が設けられている。
さらに、ベッド部2の前側先端部には、タング91がその基端部をX軸方向を中心に回動可能に支持装備されている。かかるタング91は、その先端部が後方を向いた状態でベッド部2の前側先端部に装備されており、当該先端部には布地が折り返した状態で装着を行うように先端が薄くなる板片状に形成されている。かかるタング91の先端部は、その基端部の回動により、縫い針5の上下動経路に接離可能となっている。タング91の回動はタングシリンダ92を駆動源としており、タング91の先端部が縫い針5の上下動経路に近づけると当該接近を検知するタングセンサ93が載置台に設けられており、当該タングセンサ93の出力によりタング91の先端部が縫い針5の上下動経路に最接近した状態となる使用位置にタングシリンダ92が引き寄せるようになっている。なお、使用位置までタング91が移動すると、タング91の先端部にセットされた布地を挟み込んで保持する板ばねが載置台の前方端部に設けられている。なお、タングシリンダ92は、縫製が終了すれば自動的にOFFになり、タング91は前方に倒れて元の待機位置に戻る。
(ボタン付けミシンの制御系)
次に、ボタン付けミシン1の制御回路について、図1に基づいて説明する。ボタン付けミシン1には、CPU101を備える電装ボックス100が設けられ、この電装ボックス100に各部が接続されている。
例えば、電装ボックス100には、操作パネル103、電源スイッチ104、スタートペダル105、一時停止スイッチ106等が接続されている。
操作パネル103は作業者が根巻き縫いなしのすくい縫い、すくい根巻き縫い、下ボタン付け縫い、べた付け縫いなどからボタン付けの種類を選択したり、選択したボタン付け縫製の縫製条件などを入力したり、あるいは設定されている縫製条件や縫製状況などを表示するものである。操作パネル103にはフラッシュメモリ等の外部メモリ103aが接続可能であり、外部メモリ103aからの縫製データを読み込んで縫製条件を設定できるようにもなっている。また、逆に、操作パネル103から入力した各種の縫製条件を外部メモリ103aに記憶させることもできるようになっている。
また、電装ボックス100には、記憶部となるメモリ102が設けられ、該メモリ102に各種プログラムが記憶されている。例えば、メモリ102には、ボタン有無センサ69により、ボタン保持部26L,26Rがボタンを保持していないと検出された場合にその旨を作業者に報知する報知プログラムが格納されている。すなわち、CPU101が報知プログラムを実行することにより、報知手段として機能する。具体的には、CPU101が報知プログラムを実行することにより、ボタン保持アーム25L,25R又はボタン保持アーム25L,25Rに設けられた作動部(例えば、ボタン保持部)による報知動作が行われる。
電源スイッチ104は、ボタン付けミシン1を通電状態にするためのON/OFFスイッチである。スタートペダル105は、縫製をスタートするときに操作するペダルであり、これを操作するとCPU101の制御により縫製を開始する。一時停止スイッチ106は、縫製開始後に、一時的に停止するためのスイッチである。
また、電装ボックス100内には、図示しないインターフェースが設けられ、CPU101からの制御信号がこのインターフェースを介して、さらに図示しない駆動回路を介して各駆動源に出力されるようになっている。
すなわち、インターフェースを介して、主軸モータ14、針振りモータ16、上Y送りモータ31、上下駆動モータ51、差動モータ42、下Y送りモータ95が接続されている。
また、インターフェースを介して複数の電磁弁108が接続され、この電磁弁108のそれぞれを介して起立用エアシリンダ74L,74R、タングシリンダ92、布押さえシリンダ107、糸切りシリンダ109aが接続されている。
また、インターフェースを介して、縫い針5の針下にボタンを供給するボタン供給機構110と接続されている。
(ボタン供給機構)
次に、ボタン供給機構110について、図7〜10に基づいて説明する。ボタン供給手段としてのボタン供給機構110は、ボタンセット位置(図7に示す位置)においてセットされたボタンBをボタン供給位置(図8に示す位置)まで搬送し、ボタン保持装置10に供給する装置であり、ボタン保持台120、平行4節リンク機構130、駆動装置140(回転モータ141及びかさ歯車142)等を備えている。なお、本実施形態においては、ボタン保持台120、平行4節リンク機構130、駆動装置140は、アーム部4の右側面に配置されている。
ボタン保持台120は、ボタンBを水平状態で保持するための部材であり、その端部において平行4節リンク機構130の従動部材133に接合されている。ボタン保持台120の長手方向には複数(本実施の形態においては2つ)のボタンセット部121が配設されており、ボタン保持台120はボタンセット位置において、その長手方向が前後方向に沿った状態で、ボタンセット部121が前方、即ち、作業者側に位置するようになっている。
各ボタンセット部121には、ボタン穴の位置に対応した複数のピン121aが取り付けられており、このピン121aをボタン穴に挿通することで、ボタンBがボタン保持台120に保持されるようになっている。
平行4節リンク機構130は、ボタン保持台120をボタンセット位置とボタン供給位置とにわたって移動させるための機構である。平行4節リンク機構130は、固定部材131と、原動部材132と、従動部材133と、回転部材134と、を備えている。
固定部材131は、アーム部4に接合されるとともに、駆動装置140を支持するための部材であり、略水平に配設される水平部135と、水平部135の左側面から上方に延出する側面部136と、水平部135の後部から上方に延出する背面部137とを備えている。
側面部136には、左右に貫通した開口136aが形成されており、この開口136aを介してアーム部4の右側面にねじ止めされている。
背面部137は、前後に貫通した開口137aを備えており、駆動装置140の回転モータ141は、その回転軸141aが開口137aに挿通された状態で背面部137に固定されている。なお、詳しい説明は後述するが、回転軸141aにはかさ歯車142aが取り付けられている。
水平部135は上下に貫通した2つの開口135aを備える略矩形状の板体であり、これら開口135aに原動部材支持部200及び回転部材支持部300が挿通されている。
原動部材支持部200は、原動部材132を水平面内で回転可能に支持するとともに、駆動装置140の駆動力を原動部材132に伝達するために設けられ、筒体201、回転軸202等を備えている。筒体201は水平部135の後方の開口135aに挿通された状態で固定されており、回転軸202は筒体201内に挿通されている。
回転軸202の下端には原動部材132が固定されており、回転軸202の上端にはかさ歯車142bが固定されている。このかさ歯車142bは、かさ歯車142aに噛み合わされており、回転モータ141の駆動力を回転軸202に伝達できるようになっているそして、回転モータ141の駆動により、かさ歯車142を介して回転軸202が軸回りに回転し、この回転軸202と一体に原動部材132が回転するようになっている。
回転部材支持部300は、回転部材134を水平面内で回転可能に支持するために設けられ、筒体301、回転軸302、ベアリング303等を備えている。筒体301は水平部135の前方の開口135aに挿通された状態で固定されており、下端に回転部材134が固定された回転軸302は筒体301内に挿通され、ベアリング303により軸回りに回転可能に支持されている。
原動部材132は、その一方の端部において原動部材支持部200の回転軸202に接合され、他方の端部において従動部材133に回転可能に連結されている。具体的には、原動部材132の他方の端部側は、斜め下方に延出するように形成されており、その先端部分には上下に貫通する開口132aが形成されている。この開口132aには従動部材133の端部から上方に突出して設けられた略円筒形の第一の連結部材310が挿通されており、原動部材132は第一の連結部材310を介して従動部材133に回転可能に連結する構成となっている。
従動部材133はボタン保持台120に接合され、原動部材132の回転に従って移動する平面視略L字状の部材である。上述のように、従動部材133の一方の端部には第一の連結部材310が設けられており、従動部材133は原動部材132と回転可能に連結されている。また、従動部材133の他方の端部には、略円筒形の第二の連結部材311が設けられており、この第二の連結部材311を介して回転部材134と回転可能に連結されている。そして、従動部材133の他方の端部から側方に延出した部分にボタン保持台120が取り付けられている。
回転部材134は、その一方の端部において回転部材支持部300の回転軸302に接合され、他方の端部において従動部材133に回転可能に連結されている。具体的には、回転部材134の他方の端部側は、斜め下方に延出するように形成されており、その先端部分には上下に貫通する開口134aが形成されている。この開口134aには従動部材133の端部から上方に突出して設けられた略円筒形の第二の連結部材311が挿通されており、回転部材134は第二の連結部材311を介して従動部材133と回転可能に連結された構成となっている。
ここで、図10に示すように、原動部材132の両端を結ぶ直線、即ち、原動部材132と原動部材支持部200の回転軸202との接合点と、原動部材132と第一の連結部材310との連結点とを結ぶ直線をL1とする。そして、回転部材134の両端を結ぶ直線、即ち、回転部材134と回転部材支持部300の回転軸302との接合点と、回転部材134と第二の連結部材311との連結点とを結ぶ直線をL2とする。そして、従動部材133の両端を結ぶ直線、即ち、第一の連結部材310の接合点と第二の連結部材311の接合点とを結ぶ直線をL3とする。そして、原動部材132と原動部材支持部200の回転軸202との接合点と、回転部材134と回転部材支持部300の回転軸302との接合点とを結ぶ直線をL4とする。そして、平面視した場合に、直線L1と直線L2とが平行となり、かつ、直線L3と直線L4とが平行となるように固定部材131、原動部材132、従動部材133及び回転部材134が連結されることで平行4節リンク機構130が構成されている。
また、原動部材132の長手方向の略中央部分と回転部材134の長手方向の略中央部分には補助部材312が回転可能に連結されている。そして、回転モータ141が駆動すると、図10に示すように、原動部材132が回転軸202との接合部分を中心として略水平面内で半時計回り、即ち、縦胴部3側に向かって回転し始め、この原動部材132の回転に従い従動部材133が後方に移動する。そして、従動部材133の移動に伴い回転部材134も回転軸302との接合部分を中心として回転するが、平行4節リンク機構130の性質上、直線L3と直線L4とは常に平面視した場合に平行状態を維持して移動する。従って、ボタン保持台120はボタンセット位置における向きを維持したまま、即ち、その長手方向が前後方向に沿った状態で、ボタンセット部121が前方に位置したまま移動することになる。
その後、原動部材132、従動部材133及び回転部材134が平面視同一直線L上に並ぶ、いわゆる死点を迎える。この状態では、一般的な平行4節リンク機構130では、従動部材133と回転部材134との連結点は、直線Lに対して左右いずれの側にも位置することが可能となるが、本実施形態に示す平行4節リンク機構130には補助部材312が取り付けられていることから、従動部材133と回転部材134との連結点が直線Lに対して右側に位置することなく、死点を通過することができる。
その後、ボタン保持台120はボタン供給位置のボタン保持装置10の近傍まで移動し(図9参照)、ボタン保持アーム25L,25Rが左右に対向するボタン保持部26L,26Rの間でボタンBを把持することでボタン供給動作が完了する。
さらに、ボタン付けミシン1には、図示しない糸切り機構が設けられ、図1に示すように、縫製途中や縫製後に所定のタイミングで糸が切断されるようになっており、その駆動源として糸切りモータ109や糸切りシリンダ109aが設けられている。
以上の構成を有するボタン付けミシン1は、ボタンに関しては、差動モータ42の駆動によりX軸方向への移動を行い、上Y送りモータ31の駆動によりY軸方向への移動を行い、上下駆動モータ51の駆動によりZ軸方向を行うことができる。
また、布地に関しては下Y送りモータ95の駆動によりY方向に移動させることができる。加えて、X軸方向に針棒9を揺動させる針振りモータ16の駆動により、縫い針5の針落ち位置をX軸方向について位置決めすることができる。
即ち、針振りモータ16,上Y送りモータ31,差動モータ42及び下Y送りモータ95が協働することで、ボタン保持アーム25L,25Rに保持されたボタン及びタング91に保持された布地に対して縫い針5の針落ち位置を相対的に位置決めする。また、下Y送りモータ95は、タング91を縫い針5から退避させる。
<ボタン付けミシンの動作説明>
次に、上記構成からなるボタン付けミシン1の動作を説明する。ここでは、すくい縫いの時の動作と、べた縫いの時の動作に分けて説明する。
(すくい縫い)
図11に示すように、まず、作業者がボタン保持台120上に設けられたボタンセット部121にボタンを載置する(ステップS1)。ここで、ボタンセット部121へのボタンの載置方法は自動的に載置するようにしてもよいし、手作業で載置してもよい。ボタンセット部121にボタンを載置した後、作業者はボタン供給スイッチを押す。
電装ボックス100内のCPU101は、ボタン供給スイッチが押されたか否かを判断し(ステップS2)、押されたと判断した場合(ステップS2:YES)には、CPU101は回転モータ141を駆動させてボタンが載置されたボタンセット部121を縫い針5の針下(ボタン供給位置)に移動させ、ボタンBをボタン保持装置10に供給する(ステップS3)。一方、CPU101が、ボタン供給スイッチが押されていないと判断した場合(ステップS2:NO)には、CPU101は当該判断処理を繰り返す。
ここで、ボタンBをボタン保持装置10に供給するときの動作について説明する。
図12に示すように、まず、CPU101が回転モータ141を駆動させてボタンが載置されたボタンセット部121をボタン供給位置に移動させる(ステップS21)。次いで、ボタン保持部26L,26RによりボタンBを左右から挟んで保持し(ステップS22)、保持した状態でボタン保持部26L,26Rを上昇させてボタンセット部121からボタンBを抜き取る(ステップS23)。次いで、CPU101が回転モータ141を駆動させてボタンセット部121を元の位置に戻す(ステップS24)。
ステップS3において、ボタンBをボタン保持装置10に供給した後、作業者は布地をセットしたタング91を縫い針5の上下動経路に近づけると、タングセンサ93がタング91の先端の接近を検出し、タングシリンダ92が縫い針5の上下動経路に最接近した状態となる使用位置にタング91を引き寄せて布地をセットする。CPU101は、布地がセットされたか否かを判断し(ステップS4)、CPU101が、布地がセットされたことを認識すると(ステップS4:YES)、CPU101は、上下駆動モータ51に駆動信号を発信してボタン保持アーム25L,25Rを駆動させて、ボタンBを下降させる(ステップS5)。一方、CPU101が、布地がセットされていないと判断した場合(ステップS4:NO)には、CPU101は当該判断処理を繰り返す。
次いで、CPU101は、スタートペダル105が踏まれて縫製スタートスイッチがONになったか否かを判断する(ステップS6)。CPU101が、縫製スタートスイッチがONになったことを認識すると(ステップS6:YES)、CPU101はボタン有無センサ69がボタンBの存在を検出したか否かを判断する(ステップS7)。一方、CPU101が、縫製スタートスイッチがONになっていないと判断した場合(ステップS6:NO)には、CPU101は当該判断処理を繰り返す。
ステップS7において、CPU101が、ボタン有無センサ69がボタンBの存在を検出したと判断すると(ステップS7:YES)、CPU101が所定の縫製プログラムを実行することにより、ボタンBを布地に縫製する(ステップS8)。一方、CPU101が、ボタン有無センサ69がボタンBの存在を検出していないと判断した場合(ステップS7:NO)には、CPU101は報知プログラムを実行することにより、開閉用エアシリンダ68の出力軸68aを前後に往復移動させ、互いのボタン保持部26L,26Rが接離動作を所定回数繰り返すようにボタン保持アーム25L,25Rを駆動させる(ステップS9)。このステップS9の動作により、ボタンが保持されていないことを作業者に報知することができる。このボタン保持部26L,26Rの接離動作は所定回数で停止するが、この接離動作によりボタン保持アーム25L,25RにボタンBが保持されていないことを認識した作業者は、再度ボタンセット位置にあるボタン保持台120にボタンBをセットすることができる。
(べた縫い)
図13に示すように、まず、作業者がボタンセット部121にボタンBを載置する(ステップS31)。ここで、ボタンセット部121へのボタンの載置方法は自動的に載置するようにしてもよいし、手作業で載置してもよい。ボタンセット部121にボタンを載置した後、作業者はボタン供給スイッチを押す。
電装ボックス100内のCPU101は、ボタン供給スイッチが押されたか否かを判断し(ステップS32)、押されたと判断した場合(ステップS32:YES)には、CPU101は回転モータ141を駆動させてボタンが載置されたボタンセット部121を縫い針5の針下(ボタン供給位置)に移動させ、ボタンBをボタン保持装置10に供給する(ステップS33)。一方、CPU101が、ボタン供給スイッチが押されていないと判断した場合(ステップS32:NO)には、CPU101は当該判断処理を繰り返す。
なお、ボタンBをボタン保持装置10に供給するときの動作については、図12と同じであるため、説明を省略する。
ステップS33において、ボタンBをボタン保持装置10に供給した後、作業者はベッド部2に布地をセットする(ステップS34)。
そして、CPU101は、スタートペダル105が踏まれてボタン下降スイッチがONになったか否かを判断する(ステップS35)。CPU101が、ボタン下降スイッチがONになったことを判断すると(ステップS35:YES)、CPU101はボタン有無センサ69がボタンBの存在を検出したか否かを判断する(ステップS36)。一方、CPU101が、ボタン下降スイッチがONになっていないと判断した場合(ステップS35:NO)、CPU101は当該判断処理を繰り返す。
ステップS36において、CPU101が、ボタン有無センサ69がボタンBの存在を検出したと判断すると(ステップS36:YES)、CPU101は、上下駆動モータ51に駆動信号を発信してボタン保持アーム25L,25Rを駆動させて、ボタンBを下降させる(ステップS37)。一方、ボタン有無センサ69がボタンBの存在を検出していないと判断すると(ステップS36:NO)、CPU101は報知プログラムを実行することにより、開閉用エアシリンダ68の出力軸68aを前後に往復移動させ、互いのボタン保持部26L,26Rが接離動作を繰り返すようにボタン保持アーム25L,25Rを駆動させる(ステップS38)。このステップS38の動作により、ボタンBが保持されていないことを作業者に報知することができる。
ステップS37において、ボタンBを下降させると、CPU101は、スタートペダル105が踏まれて縫製スタートスイッチがONになったか否かを判断する(ステップS39)。CPU101が、縫製スタートスイッチがONになったことを認識すると(ステップS39:YES)、CPU101は、所定の縫製プログラムを実行することにより、ボタンBを布地に縫製する(ステップS40)。一方、CPU101が、縫製スタートスイッチがONになっていないと判断した場合(ステップS39:NO)には、CPU101は当該判断処理を繰り返す。
<実施形態の作用効果>
実施形態におけるボタン付けミシン1によれば、ボタンBがボタン供給機構110によって縫い針5の針下に供給されなかった場合、ボタン保持アーム25L,25Rに設けられたボタン保持部26L,26RはボタンBを保持することができない。そこで、ボタン有無センサ69は、ボタン保持部26L,26RがボタンBを保持しているか否かを検出し、ボタン保持部26L,26RがボタンBを保持していないと検出された場合に、CPU101がメモリ102に格納された報知プログラムを実行することにより、開閉用エアシリンダ68は、ボタン保持部26L,26Rの接離動作を繰り返して行う。
これにより、ボタン保持部26L,26Rの周囲に位置するボタン保持アーム25L,25Rが往復駆動するため、作業者の視線はボタン保持アーム25L,25Rに集まり、その近傍のボタン保持部26L,26Rにも集まる。また、ボタン保持部26L,26Rが接離動作を繰り返すことにより、作業者は通常の縫製作業中にはない動作であることを認識できるため、ボタン保持部26L,26Rに視線を集めやすくなる。
よって、ボタンBが縫い針5の針下に供給されていないことを作業者に確実に知らせることができる。
また、上記のように、ボタン保持アーム25L,25R又はボタン保持アーム25L,25Rに設けられた作動部の動作により、ボタン保持アーム25L,25RにボタンBが保持されていないことを報知する場合は、報知手段として専用の部材を設けることなく報知手段を構成することができ、ボタン付けミシン1のコストアップを防止することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。ボタン保持部26L,26RがボタンBを保持していないことを作業者に報知する手段としては、ボタン保持アーム25L,25Rを揺動させるものに限らず、例えば、ボタン保持部26L,26Rに正転と逆転を繰り返して行わせるようにしてもよい。この場合には、ボタンBがボタン供給機構110によって縫い針5の針下に供給されなかった場合、ボタン保持アーム25L,25Rに設けられたボタン保持部26L,26RはボタンBを保持することができないが、このような場合に、CPU101がメモリ102に格納された報知プログラムを実行することにより、起立用エアシリンダ74L,74Rは、ボタン保持部26L,26Rに所定の回転角の範囲内で正転と逆転を繰り返し行わせる。
これにより、ボタンBの供給位置に隣接するボタン保持部26L,26Rが回転駆動するため、作業者の視線はボタン保持部26L,26Rに集まる。また、ボタン保持部26L,26Rが回転駆動することにより、作業者は通常の縫製作業中にはない動作であることを認識できるため、ボタン保持部26L,26Rに視線を集めやすくなる。
よって、ボタンBが縫い針5の針下に供給されていないことを作業者に確実に知らせることができる。
また、上記実施形態では、ボタンBがボタン保持アーム25L,25RにボタンBが保持されていないことが検出された場合に、ボタン保持部26L,26Rの接離動作は所定回数で終了するように構成されているが、操作パネル103に接離動作を停止させるための解除スイッチを設けて、この解除スイッチが操作されるまで接離動作を繰り返すようにして、ボタンBがボタン保持アーム25L,25Rに保持されていないことを作業者がより確実に認識できるようにしてもよい。
また、ボタン保持部26L,26RにボタンBが保持されていないことを報知する方法は、ボタン保持アーム25L,25Rの駆動、ボタン保持部26L,26Rに限らず、ボタン保持アーム25L,25Rに設けられた他の作動部の動作であってもよい。また、「ボタンが保持されていません」のような報知メッセージを操作パネル103に表示させるようにしてもよい。その他、ボタン保持部26L,26R(他の場所でもよい)に光源を設け、ボタンが保持されていない場合にのみ光源を発光させてもよい。また、ボタン保持部26L,26R(他の場所でもよい)に報知ブザーを設け、ボタンが保持されていない場合にのみ報知ブザーが鳴るようにしてもよい。
ボタン付けミシンの構成ブロック図である。 ボタン保持装置の上方からの斜視図である。 ボタン保持装置の上方からの斜視図である。 ボタン保持装置の下方からの斜視図である。 ボタン保持部を閉じた状態を示す模式図である。 ボタン保持部を開いた状態を示す模式図である。 ボタン供給機構がボタンセット位置にある場合の斜視図である。 ボタン供給機構がボタン供給位置にある場合の斜視図である。 ボタン保持部の斜視図である。 ボタン供給機構のボタン供給動作を説明する模式図である。 すくい縫いにおける報知動作を示すフローチャートである。 ボタン供給機構によるボタン供給動作を示すフローチャートである。 べた縫いにおける報知動作を示すフローチャートである。
符号の説明
1 ボタン付けミシン
5 縫い針
10 ボタン保持装置(ボタン保持手段)
25L ボタン保持アーム
25R ボタン保持アーム
26L ボタン保持部
26R ボタン保持部
51 上下駆動モータ(アーム駆動手段)
69 ボタン有無センサ(検出手段)
74L,74R 起立用エアシリンダ(保持部駆動手段)
101 CPU(報知手段)
102 メモリ(報知手段)
110 ボタン供給機構(ボタン供給手段)
B ボタン

Claims (4)

  1. 上下動を行う縫い針の針下にボタンを供給するボタン供給手段と、
    前記ボタン供給手段により前記縫い針の針下に供給されたボタンを保持するボタン保持手段と、
    前記ボタン保持手段がボタンを保持しているか否かを検出する検出手段と、
    前記検出手段により、前記ボタン保持手段がボタンを保持していないと検出された場合に、その旨を報知する報知手段と、
    を備えることを特徴とするボタン付けミシン。
  2. 前記ボタン保持手段は、前記縫い針の針下に供給されたボタンを保持するボタン保持部を有するボタン保持アームを備え、
    前記報知手段は、前記ボタン保持アーム又は前記ボタン保持アームに設けられた作動部の所定の繰り返し動作による報知動作を行うことを特徴とする請求項1に記載のボタン付けミシン。
  3. 前記ボタン保持手段は、接離動作によりボタンを保持解放する一対のボタン保持アームと、前記ボタン保持アームを駆動させるアーム駆動手段と、を備え、
    前記報知手段は、前記アーム駆動手段により、前記ボタン保持アームの接離動作を繰り返し行うことを特徴とする請求項2に記載のボタン付けミシン。
  4. 前記ボタン保持手段は、前記ボタン保持部を回転駆動させることで保持されたボタンの姿勢を変える保持部駆動手段を備え、
    前記報知手段は、前記保持部駆動手段により、前記ボタン保持部に所定の回転角の範囲内で正転と逆転を繰り返し行うことを特徴とする請求項2に記載のボタン付けミシン。
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