JP2006072098A - 内視鏡先端部光学系 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】内視鏡の先端部に、光源から出射された光を発散させる複数の照明光学系と、観察光学系とを有し、前記複数の照明光学系のうち少なくとも1つの照明光学系が、次の条件式を満足することを特徴としている。
0 ≦ −df(θ)/dθ < 0.025 , 10° ≦ θ ≦ 85°
但し、θは当該照明光学系の中心からの射出角、f(θ)は当該照明光学系を基準として球面物体を照らしたときの照度を示す関数であって射出角が0°のときの照度を1とする関数f(x)を用いた、当該照明光学系の射出角θの範囲での照度分布(球面配光分布)である。
【選択図】 図9
Description
内視鏡でより広い範囲を一度に観察することができれば、診察時間を短縮して患者の負担を軽減することができる。このため、内視鏡において観察光学系の視野角は、一般に広くとられている。そして、観察光学系の広い視野角に合わせて、広い範囲を明るく照明することができるように照明系(ライトガイドファイバ束及び照明光学系等)を配置している。
このため、従来、図29(b)に示すようなライトガイドファイバ束1と凸レンズとの間に単ファイバを挿入し、網目状の照明ムラを生じないようにした例えば図36に示すような照明光学系が、例えば、次の特許文献2,3に開示されている。
以下、この点に関し、照明光学系の配光特性、及び、観察光学系と照明光学系の位置関係、という2つの観点から説明する。
医療用内視鏡の被写体である胃や大腸の形状は、略球面形状もしくは管空形状と見なすことができる。しかるに、照明光学系の配光特性については、この2つの評価面のうち、より周辺まで明るくすることが難しい球面形状の物体面で評価すればよい。
従来、視野角が140°以下の内視鏡においては、照明の球面配光分布が視野の中心から周辺までできる限り平坦で照度ムラが少ないことが望ましいとされている。
内視鏡先端面が被写体に対し10mm以下にまで近接した場合の配光分布は、照明光学系に固有に備わる配光性能の他に、観察光学系と各照明系との配置関係も大きく依存する。内視鏡先端面が被写体に近接したとき、観察光学系と照明光学系とが離れていると、図34に示すように、照明光学系10によって照明される範囲11が観察光学系9の視野内12において斜線部に含まれない箇所は明るくないという問題がある。そこで、この課題を改善しようとした従来の照明光学系が、例えば、次の特許文献5に開示されている。
しかしながら、内視鏡先端面の被写体への近接時の配光バランスは、単なる観察光学系と照明光学系との配置関係や出射光量だけでは広角照明として十分満足できるような改善は期待でない。即ち、配光バランスの改善について考える場合には、照明光学系固有の配光特性を十分に考える必要がある。
0 ≦ −df(θ)/dθ < 0.025 , 10° ≦ θ ≦ 85°
・・・(1)
但し、θは当該照明光学系の中心からの射出角、f(θ)は当該照明光学系を基準として球面物体を照らしたときの照度を示す関数であって射出角が0°のときの照度を1とする関数f(x)を用いた、当該照明光学系の射出角θの範囲での照度分布(球面配光分布)である。
0 ≦ −df(θ)/dθ ≦ 0.02 , 65° ≦ θ ≦ 80°
・・・(2)
但し、θは当該照明光学系の中心からの射出角、f(θ)は当該照明光学系を基準として球面物体を照らしたときの照度を示す関数であって射出角が0°のときの照度を1とする関数f(x)を用いた、当該照明光学系の射出角θの範囲での照度分布(球面配光分布)である。
φ1=120°±25° ・・・(3)
φ2=240°±25° ・・・(4)
を満足し、
さらに、前記観察光学系の最も物体側のレンズの中心から夫々の照明光学系の最も物体側のレンズの中心までの距離をrとしたとき、次の条件式(5)を満足するのが好ましい。
1.3 ≦ r/d ≦ 3 ・・・(5)
但し、dは前記観察光学系における最も物体側のレンズの外径である。
5° ≦ ε ≦ 20° ・・・(6)
0 ≦ −df(θ)/dθ < 0.025 , 10° ≦ θ ≦ 85°
・・・(1)
0 ≦ −df(θ)/dθ ≦ 0.02 , 65° ≦ θ ≦ 80°
・・・(2)
但し、θは当該照明光学系の中心からの射出角、f(θ)は当該照明光学系を基準として球面物体を照らしたときの照度を示す関数であって射出角が0°のときの照度を1とする関数f(x)を用いた、当該照明光学系の射出角θの範囲での照度分布(球面配光分布)である。
0.05 ≦ f(80°) ≦ 0.15 ・・・(7)
但し、f(80°)は、当該照明光学系を基準として球面物体を照らしたときの照度を示す関数であって射出角θが0°のときの照度を1とする関数f(x)を用いた、当該照明光学系の射出角θが80°のときの照度である。
−df(θ)/dθ ≦ 0.015 , 0° ≦ θ ≦ 40°
・・・(8)
を満足し、
且つ、射出角θが60°〜70°の間で、次の条件式(9)
f(θ) = 0.02 ・・・(9)
を満足するθが存在するのが好ましい。
本発明の内視鏡先端部光学系は、内視鏡の先端部に、光源から出射された光を発散させる複数の照明光学系と、観察光学系とを有し、前記複数の照明光学系のうち少なくとも1つの照明光学系が、当該照明光学系の中心からの射出角をθ、当該照明光学系による球面配光分布、即ち、当該照明光学系を基準として球面物体を照らしたときの照度を示す関数であって射出角が0°のときの照度を1とする関数f(x)を用いた、当該照明光学系の射出角θの範囲での照度分布をf(θ)としたとき、次の条件式(1)
0 ≦ −df(θ)/dθ < 0.025 , 10° ≦ θ ≦ 85°
・・・(1)
を満足する。
f(θ)は、図25に示すように、照明光学系10の中心を基準としたときの球面物体13,13に内視鏡の当該照明光学系によって照らされた照度の分布、即ち、球面配光分布を表している。但し、照度は、射出角度θ=0°の照度を1としたときの相対照度値である。
しかし、前記ライトガイドファイバ束において、図37に示すような組立時や実使用時に一部折れることやファイバ束の偏りは、ファイバの耐性上及び製造上避けられず、図38に示すような特異的なムラ、即ち一部配光が特異的に暗くなるような部分が生じることがある。本発明におけるf(θ)は、ライトガイドファイバ束の折れや偏りによる特異的な照度変化は無視して、ファイバ束が折れていないと仮定した時の理想的な配光分布を考える。
ここで、条件式(1)は、射出角度θが10°〜85°の照明光学系において、球面物体の照度の角度依存が小さく、周辺まで暗く感じさせないための条件式である。−df(θ)/dθ が条件式(1)の上限値を上回って大きくなると、照度の変化が大きくなるため、暗くなる印象を与えやすくなる。実際に、−df(θ)/dθ が0.025を上回ると、実使用で周辺が暗いと感じる。なお、条件式(1)の上限値を0.02以下にすると、周辺まで暗く感じさせない効果をより得ることができるので好ましい。
0 ≦ −df(θ)/dθ ≦ 0.02 , 65° ≦ θ ≦ 80°
・・・(2)
但し、θは当該照明光学系の中心からの射出角、f(θ)は当該照明光学系を基準として球面物体を照らしたときの照度を示す関数であって射出角が0°のときの照度を1とする関数f(x)を用いた、当該照明光学系の射出角θの範囲での照度分布である。
半画角が65°以上の観察光学系の視野周辺部における照明光学系の絶対照度は、中央部に比較して小さくなるため、照度変化が大きいとより暗さを感じやすい。そこで、射出角度が65°から80°までの照度の変化を−0.02以下と変化をより小さくすると暗さを感じにくくすることができる。これをさらに−0.015以下とするとより効果的となる。
φ1=120°±25° ・・・(3)
φ2=240°±25° ・・・(4)
を満足し、
さらに、前記観察光学系の最も物体側のレンズの中心から夫々の照明光学系の最も物体側のレンズの中心までの距離rが、次の条件式(5)を満足すると尚良い。
1.3 ≦ r/d ≦ 3 ・・・(5)
但し、dは前記観察光学系における最も物体側のレンズの外径である。
5° ≦ ε ≦ 20° ・・・(6)
視野角が150°以上である広角の観察光学系の視野を照明する照明系の場合には、照明光学系単独で光を広げるよりも、内視鏡先端面を図24のような観察光学系を略頂点とした砲弾形状にし、少なくとも2つ以上の照明光学系を外側に傾ける方が、照明効率をそれ程落とさずに周辺光量を稼ぐことができる。このとき、外側に傾けた照明光学系の観察光学系に対する傾き角εが5°≦ε≦20°を満足するのが良い。
傾き角εが5°を下回ると、傾けることによる有意な差が認められない。一方、傾き角εが20°を上回ると、内視鏡先端部の外径が大きくなり、また、ライトガイドファイバ束を曲げることによる光量ロスや組立にくさが問題になってくる。
さらに好ましくは、上記傾き角εが、5°≦ε≦15°を満足するのが良い。
0.05 ≦ f(80°) ≦ 0.15 ・・・(7)
但し、f(80°)は、当該照明光学系を基準として球面物体を照らしたときの照度を示す関数であって射出角θが0°のときの照度を1とする関数f(x)を用いた、当該照明光学系の射出角θが80°のときの照度である。
本件出願人の実験により、ある粗さレベルの砂目状の面を備えて構成した照明光学系は、条件式(1),(2)を満足する光学配光特性が得られやすいことが、判明した。このような砂目状の面を備えた照明光学系の特性は、図26の球面配光分布に示すように、射出角度30°〜50°近辺での照度の変化が、砂目状の面を備えない照明光学系に比べて、なだらかであると同時に、射出角度が65°よりも広角では、砂目状の面を備えない照明光学系に比べて、照度が高く維持されるという効果が得られる。このように照明光学系に砂目状の面を備えて構成すると、上述したような視野角の広い内視鏡として適当な配光分布が比較的容易に得られる。
砂目状の面は、光学面の表面粗さの値によって定義される。この定義は、JIS B 0601:2001(ISO 4287:1997)によるもので、そこで定義されている粗さ曲線を求めるための基準長さlr(カットオフ値λcに等しい)は、0.08mmで計算している。
但し、Z(x)は縦座標値で、粗さ曲線の位置xにおける高さである。
本発明では、上記定義での“算術平均粗さ”Raが0.005未満の面を鏡面とし、0.005以上の面を砂目状の面としている。
本件出願人は実験を介して、これまで上述したような広角照明用の配光特性を持つ照明光学系を実現するには、照明光学系における光軸を通る面の全てを鏡面にしたときの配光分布に強く依存することが分ってきた。具体的には、射出角度が40°くらいまで、ある程度球面照度の変化が少ないフラットな特性で、その後、射出角度の大きいところで、照度の変化が大きくなるような配光特性をもつ照明光学系が良い。特に、照度の変化が少ないフラットな部分が広い照明光学系であればあるほど、その中の一面を砂目にすることで、広角照明に適した照明性能が得られることが分ってきた。また、本件出願人の実験によれば、照度の変化のないフラットな特性が射出角が40°以下のときに生じ、かつ、射出角が40°に至らないうちに照度が大きく下がるような鏡面系照明系では、砂目状による拡散効果を使っても広角な部分にまで明るくすることは困難であった。
レンズ曲面を非球面とすれば、球面の場合よりも自由に配光性能を変えることができるため、非球面形状の上に砂目状の面を構成すれば、面の拡散効果によりより一層広配光化できる。なお、非球面形状Z(y)は、光軸方向をZ、光軸からの高さをyとして、光の進行方向を正としたとき、次式にて表される。
但し、Rはレンズの曲率半径、kは円錐係数、A2は2次の非球面係数、A4は4次の非球面係数、Anはn次の非球面係数である。また、レンズ形状は光軸中心に対して対称形であるため、このように偶数次数にて構成する必要がある。
図1は本発明の内視鏡先端部光学系を適用可能な内視鏡の一例を示す全体構成図である。図1中、6は術者等が手で把持して操作を行うための本体操作部、7は体腔内等への挿入部、8はユニバーサルコードである。
挿入部7は、本体操作部6に連設され大半の長さ部分が挿入経路に沿って任意の方向に曲がる軟性部7aと、この軟性部7aの先端に連接されたアングル部7bと、アングル部7bに連接された先端硬性部7cとで構成されている。アングル部7bは、先端硬性部7cを所望の方向に向けるためのものである。先端硬性部7cには、体腔内の観察を行うための機構が設けられている。そして、本発明の内視鏡先端部光学系は、先端硬性部7cに備えられている。
実施例1の内視鏡先端部光学系は、略平面形状に形成された先端硬性部7cの先端面7dに対し、視野角が155°の観察光学系9と、2つの照明光学系10a,10bとを配置した状態で構成されている。なお、便宜上、図示を省略したが、内視鏡先端部7dには、その他に、鉗子その他の処置具を導出させるための処置具の導出口と、観察光学系先端面に向けて洗浄用の流体を供給するためのノズルとが設けられている。照明光学系10a,10bは、夫々像側の端面が、図示しないライトガイドファイバ束の端面と接している。
NA=(n1 2−n2 2)1/2=sinα
と表すことができる。
但し、αはライトガイドファイバ束への照明光の入射角である。
内視鏡のライトガイドファイバ束は、光伝送効率を高くするために高NAの光ファイバを用いるのが普通である。より具体的には、ライトガイドファイバ束の光ファイバとしては、コアとクラッドを構成する媒質の屈折率が、夫々1.65、1.51で、NA=0.66(α=46°)であるものが用いられる。ライトガイドファイバ束の出射端での配光分布を、図3に示す。
図4は図2に示した内視鏡先端部光学系における照明光学系10aの光軸に沿う断面図である。
照明光学系10aは、物体側から順に、物体側が平面で像側が凸面の平凸レンズ10a1と、両凸レンズ10a2と、物体側が凸面で像側が平面の平凸レンズ10a3で構成されている。平凸レンズ10a3は、単ファイバで構成されている。
照明光学系10aの配光分布f(θ)を図5に、配光分布f(θ)の微分値df(θ)/dθを図6に夫々示す。
照明光学系10bは、物体側が平面で像側が非球面形状の凸面の凸レンズ1枚で構成され、曲率のついた部分(非球面形状の凸面)には砂目加工が施されている。
照明光学系10bの配光分布f(θ)を図8に、配光分布f(θ)の微分値df(θ)/dθを図9に夫々示す。
但し、図5及び図8の配光分布f(θ)を示すグラフは、横軸を照明レンズから出射される角度θとし、縦軸を球面物体における相対照度f(θ)として表しており、θ=0°での光量を1とする。また、微分関数df(θ)/dθのグラフは、横軸を照明レンズから出射される角度θとし、縦軸を配光分布の微分値として表している。
本件出願人は、実験を介して、“算術平均粗さ”Ra=0.1〜0.6μmの砂目状の面となるように砂目加工を施すと、実施例1の照明光学系10bの−df(θ)/dθは、射出角θが5°〜85°の範囲において0.02以下を保ち、さらに、射出角θが65°〜80°の範囲において0.015以下を保つため、視野中心から周辺まで明るさの変化を感じさせない印象を与えることが可能になることを付きとめた。またさらに、射出角θが80°における照度比f(θ)は、0.09となり、照明効率という意味でも優れた性能をもつことが判明した。
照明光学系10aは、視野角が140°の観察光学系の視野を照明するために主に使用されている従来の照明光学系と同様の照明光学系であり、図5に示したように射出角度が60°よりも大きい範囲において、照度の変化が大きくなる。このため、視野角が150°(半画角75°)以上の内視鏡では周辺が暗くなる。
しかるに、実施例1の内視鏡先端部光学系のように、図8のような配光分布を持つ照明光学系10bを組合せると、2つの照明光学系10a,10bを組合せた配光分布は、図12に示すように、射出角度が0°〜80°に至るまで、緩やかに照度が減衰する配光分布にすることが可能になり、視野角150°以上の内視鏡においても実使用で十分使える照明系が得られる。但し、図12は観察光学系における最も物体側のレンズの中心を基準としたときの距離40mmにおける、2つの照明光学系10a,10bを組合せたときの球面配光分布を示すグラフである。
なお、数値データ中、r1、r2・・・は各レンズ面等の曲率半径、d1、d2・・・は各レンズ等の肉厚またはそれらの空気間隔、nd1、nd3・・・は各レンズ等のd線での屈折率、νd1、νd3は各レンズ等のd線でのアッベ数である。
なお、これらの記号は各実施例において共通である。
数値データ1
照明光学系10a
r1=∞ d1=1.5 nd1=1.883 νd1=40.76
r2=−1.116 d2=0.07
r3=2.858 d3=0.655 nd3=1.883 νd3=40.76
r4=−2.858 d4=0.07
r5=2.11(ロット゛棒) d5=3.2 nd5=1.72825 νd5=28.46
r6=∞ d6=0
r7=∞(ライトガイドファイバ束の出射端面)
焦点距離 0.702mm
照明光学系10b
r1=∞ d1=1.85 nd1=1.883 νd1=40.76
r2=−0.675(非球面)
r3=∞(ライトガイドファイバ束の出射端面)
非球面データ
第2面
k=−0.625 A4=−0.1
焦点距離 0.7644mm
なお、実施例1における観察光学系と照明光学系の配置データを図13に示す。
照明光学系10bは、配光分布f(θ)が図14に示すような特性を有しており、曲面も鏡面仕上げとなっている。この配光分布f(θ)の微分値df(θ)/dθを図15に示す。図15に示すように、配光分布f(θ)の微分値df(θ)/dθは、射出角θが5°〜85°の範囲において0.02以下を保ち、さらに、射出角θが65°〜80°の範囲において0.015以下を保つために、中心から周辺まで明るさの変化を感じさせない印象を与えることが可能になる。またさらに、射出角θが80°における照度比f(θ)は0.11であり、照明効率という意味でも優れた性能を持っている。
数値データ2
照明光学系10b
r1=∞ d1=1.85 nd1=1.883 νd1=40.76
r2=−0.781(鏡面)
r3=∞(ライトガイドファイバ束の出射端面)
実施例3の内視鏡先端部光学系では、内視鏡先端面7dが、観察光学系を頂点とした砲弾形状に形成されている。そして、先端面7dに対し、視野角が170°の観察光学系9と、3つの照明光学系10a,10b及び10cを配置した状態で構成されている。3つの照明光学系10a,10b及び10cは、先端面7dの砲弾形状に合わせて観察光学系の光軸に対して射出面を外側に向けるように傾いている。また、3つの照明光学系10a,10b及び10cの傾き角εa,εb,εcは、いずれも7°である。
また、3つの照明光学系10a,10b及び10cは、いずれも、図7で示したような凸レンズ1枚で構成されている。
さらに、観察光学系9の最も物体側のレンズの中心を基準として、照明光学系10aの最も物体側のレンズの中心とを結ぶ直線の方向を0°としたとき、観察光学系9の最も物体側のレンズの中心と照明光学系10b,10cの最も物体側のレンズの中心とを結ぶ方向の角度φ1,φ2は、夫々120°、240°である。また、観察光学系9の最も物体側のレンズの中心から照明光学系10a,10b及び10cの夫々の最も物体側のレンズの中心までの距離ra,rb及びrcは夫々4.5mm、4.7mm、5mmである。また、観察光学系9の最も物体側のレンズの外径はφ2.3である。
内視鏡の先端面から物体面までの距離が40mmにある球面の被写体の視野方向の配光分布(画面方向30°毎の球面配光分布)を図17に示し、内視鏡の先端面から物体面までの距離が10mmにある球面の被写体に対する配光分布を図18に示す。但し、このときの原点(基準点)は、観察光学系9の先端面の中心であり、配光分布は3つの照明光学系10a,10b,10cを組合せた結果で表している。図17に示すように、被写体(物体面)までの距離が40mmのときには、視野方向による配光分布のバラツキは殆どない。このバラツキが大きいとある方向は暗い、別の方向は明るいといった輝度ムラが生じる。バラツキが大きくなりやすい被写体(物体面)までの距離が10mmのような近接の距離においても、図に示す後述の実施例4にかかる内視鏡先端部光学系の配光特性に比べるとバランスが取れており、輝度ムラが目立たない。
実施例4の内視鏡先端部光学系では、内視鏡先端面7dが、略平面形状に形成されている。そして、先端面7dに対し、視野角が160°の観察光学系9と、3つの照明光学系10a,10b及び10cを配置した状態で構成されている。
また、3つの照明光学系10a,10b及び10cは、いずれも、図7で示したような凸レンズ1枚で構成されている。また、上述の通り条件式(1),(2)を満足しており、視野角の広い観察光学系に組合せる照明系として適当なものとなっている。
さらに、観察光学系9の最も物体側のレンズの中心を基準として、照明光学系10aの最も物体側のレンズの中心とを結ぶ直線の方向を0°としたとき、観察光学系9の最も物体側のレンズの中心と照明光学系10b,10cの最も物体側のレンズの中心とを結ぶ方向の角度φ1,φ2は、夫々120°、240°である。また、観察光学系9の最も物体側のレンズの中心から照明光学系10a,10b及び10cの夫々の最も物体側のレンズの中心までの距離ra,rb及びrcは夫々4.5mm、4.7mm、5mmである。また、観察光学系9の最も物体面側のレンズ外径はφ2.3である。
内視鏡の先端面から物体面までの距離が40mmにある球面の被写体の視野方向の配光分布(画面方向30°毎の球面配光分布)を図22に示し、内視鏡の先端面から物体面までの距離が10mmにある球面の被写体に対する配光分布を図23に示す。但し、このときの原点(基準点)は、観察光学系9の先端面の中心であり、配光分布は3つの照明光学系10a,10b,10cを組合せた結果で表している。
実施例5の内視鏡先端部光学系では、内視鏡先端面7dが、観察光学系を頂点とした砲弾形状に形成されている。そして、先端面7dに対し、視野角が170°の観察光学系9と、3つの照明光学系10a,10b及び10cを配置した状態で構成されている。3つの照明光学系10a,10b及び10cは、先端面7dの砲弾形状に合わせて観察光学系の光軸に対して射出面を外側に向けるように傾いている。また、3つの照明光学系10a,10b及び10cの傾き角εa,εb,εcは、夫々8°、8°及び0°である。
そして、先端面7dに対し、視野角が170°の観察光学系9と、3つの照明光学系10a,10b及び10cは、いずれも、図7で示したような凸レンズ1枚で構成されている。また、上述の通り、条件式(1),(2)を満足しており、視野角の広い観察光学系に組合せる照明系として好適なものとなっている。
内視鏡の先端面から物体面までの距離が40mmにある球面の被写体の視野方向の配光分布(画面方向30°毎の球面配光分布)を図40に示し、内視鏡の先端面から物体面までの距離が10mmにある球面の被写体に対する配光分布を図41に示す。但し、このときの原点(基準点)は、観察光学系9の先端面の中心であり、配光分布は3つの照明光学系10a,10b,10cを組合せた結果で表している。
0 ≦ −df(θ)/dθ < 0.02 , 10° ≦ θ ≦ 85°
・・・(1')
但し、θは当該照明光学系の中心からの射出角、f(θ)は当該照明光学系を基準として球面物体を照らしたときの照度を示す関数であって射出角が0°のときの照度を1とする関数f(x)を用いた、当該照明光学系の射出角θの範囲での照度分布(球面配光分布)である。
0 ≦ −df(θ)/dθ ≦ 0.015 , 65° ≦ θ ≦ 80°
・・・(2')
但し、θは当該照明光学系の中心からの射出角、f(θ)は当該照明光学系を基準として球面物体を照らしたときの照度を示す関数であって射出角が0°のときの照度を1とする関数f(x)を用いた、当該照明光学系の射出角θの範囲での照度分布(球面配光分布)である。
2 凹レンズ
3 平凸レンズ
4 物体面
5 照明光学系
6 本体操作部
7 挿入部
7a 軟性部
7b アングル部
7c 先端硬性部
7d 先端面
8 ユニバーサルコード
9 観察光学系
10,10a,10b,10c 照明光学系
10a1 物体側が平面で像側が凸面の平凸レンズ
10a2 両凸レンズ
10a3 物体側が凸面で像側が平面の平凸レンズ
13 球面物体
Claims (9)
- 内視鏡の先端部に、光源から出射された光を発散させる複数の照明光学系と、観察光学系とを有し、
前記複数の照明光学系のうち少なくとも1つの照明光学系が、次の条件式(1)を満足することを特徴とする内視鏡先端部光学系。
0 ≦ −df(θ)/dθ < 0.025 , 10° ≦ θ ≦ 85°
・・・(1)
但し、θは当該照明光学系の中心からの射出角、f(θ)は当該照明光学系を基準として球面物体を照らしたときの照度を示す関数であって射出角が0°のときの照度を1とする関数f(x)を用いた、当該照明光学系の射出角θの範囲での照度分布(球面配光分布)である。 - 前記条件式(1)を満足する照明光学系が、次の条件式(2)を満足することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡先端部光学系。
0 ≦ −df(θ)/dθ ≦ 0.02 , 65° ≦ θ ≦ 80°
・・・(2)
但し、θは当該照明光学系の中心からの射出角、f(θ)は当該照明光学系を基準として球面物体を照らしたときの照度を示す関数であって射出角が0°のときの照度を1とする関数f(x)を用いた、当該照明光学系の射出角θの範囲での照度分布(球面配光分布)である。 - 3つの照明光学系を有し、
前記3つの照明光学系は、前記観察光学系の最も物体側のレンズの中心が、該3つの照明光学系の夫々における最も物体側のレンズの中心同士を結んでできる範囲の中に位置するように配置され、かつ、
前記観察光学系の最も物体側のレンズの中心を基準として、1つの照明光学系における最も物体側のレンズの中心とを結ぶ直線の方向を0°としたときの他の2つの照明光学系における最の物体側のレンズの中心とを結ぶ直線の方向の角度をφ1,φ2としたとき、次の式(3),(4)
φ1=120°±25° ・・・(3)
φ2=240°±25° ・・・(4)
を満足し、
さらに、前記観察光学系の最も物体側のレンズの中心から夫々の照明光学系の最も物体側のレンズの中心までの距離をrとしたとき、次の条件式(5)を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の内視鏡先端部光学系。
1.3 ≦ r/d ≦ 3 ・・・(5)
但し、dは前記観察光学系における最も物体側のレンズの外径である。 - 内視鏡先端面が、前記観察光学系を頂点とした砲弾形状に形成され、
前記複数の照明光学系のうち少なくとも2つの照明光学系が、前記観察光学系の光軸に対し射出面を外側に向けて配置され、
前記観察光学系と前記射出面を外側に向けて配置された照明光学系との光軸のなす角をεとしたとき、次の条件式(6)を満足することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内視鏡先端部光学系。
5°≦ ε ≦20° ・・・(6) - 3つの照明光学系を有し、該3つの照明光学系のいずれもが、次の条件式(1),(2)を満足することを特徴とする請求項4に記載の内視鏡先端部光学系。
0 ≦ −df(θ)/dθ < 0.025 , 10° ≦ θ ≦ 85°
・・・(1)
0 ≦ −df(θ)/dθ ≦ 0.02 , 65° ≦ θ ≦ 80°
・・・(2)
但し、θは当該照明光学系の中心からの射出角、f(θ)は当該照明光学系を基準として球面物体を照らしたときの照度を示す関数であって射出角が0°のときの照度を1とする関数f(x)を用いた、当該照明光学系の射出角θの範囲での照度分布(球面配光分布)である。 - 前記条件式(1)を満足する照明光学系、又は前記条件式(1)及び(2)を満足する照明光学系が、次の条件式(7)を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の内視鏡先端部光学系。
0.05 ≦ f(80°) ≦ 0.15 ・・・(7)
但し、f(80°)は、当該照明光学系を基準として球面物体を照らしたときの照度を示す関数であって射出角θが0°のときの照度を1とする関数f(x)を用いた、当該照明光学系の射出角θが80°のときの照度である。 - 前記条件式(7)を満足する照明光学系は、少なくとも1面以上が砂目状の面で構成されていることを特徴とする請求項6に記載の内視鏡先端部光学系。
- 前記条件式(7)を満足する照明光学系は、前記砂目状の面を鏡面で置き換えた場合の球面配光分布f(θ)が次の条件式(8)
−df(θ)/dθ ≦ 0.015 , 0° ≦ θ ≦ 40°
・・・(8)
を満足し、
且つ、射出角θが60°〜70°の間で、次の条件式(9)
f(θ) = 0.02 ・・・(9)
を満足するθが存在することを特徴とする請求項7に記載の内視鏡先端部光学系。 - 前記条件式(7)を満足する照明光学系は、正のパワーを持ち、かつ砂目状の面を備えた非球面形状の凸面を有する平凸レンズ1枚で構成されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の内視鏡先端部光学系。
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