JP2006061674A - キッチンカウンター - Google Patents
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Abstract
【課題】常にキッチンのキャビネットを使用できるようにし、且つ必要なときは天板の載置面を拡張することのできる出し入れ自在な棚板を備えたリフトアップ式対面キャビネットを提供する。
【解決手段】この発明の対面キャビネット1は、天板3を備えたキャビネット本体1Aが、リビング側等の一方側の空間領域と、キッチン側等の他方側の空間領域とを区画する位置に配置されている。そして、天板3に対して移動自在な棚板2A,2B,2Cを設けて成り、該棚板2A,2B,2Cは天板3のリビング側等の一方側の空間領域寄りの第一の停止位置からキッチン側等の他方側の空間領域へ向けて且つ天板3上面よりも高い位置の第二の停止位置まで移動できるようになされており、また常に水平姿勢を維持している。これにより、必要なときに天板3の使用面積を棚板2A,2B,2Cで拡大することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】この発明の対面キャビネット1は、天板3を備えたキャビネット本体1Aが、リビング側等の一方側の空間領域と、キッチン側等の他方側の空間領域とを区画する位置に配置されている。そして、天板3に対して移動自在な棚板2A,2B,2Cを設けて成り、該棚板2A,2B,2Cは天板3のリビング側等の一方側の空間領域寄りの第一の停止位置からキッチン側等の他方側の空間領域へ向けて且つ天板3上面よりも高い位置の第二の停止位置まで移動できるようになされており、また常に水平姿勢を維持している。これにより、必要なときに天板3の使用面積を棚板2A,2B,2Cで拡大することができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、リフトアップ式の棚板を第一の停止位置と第二の停止位置との間で移動できるようにし、必要に応じてキッチンカウンターの天板の載置領域を拡張できるようにした技術に関するものである。
最近の一般住宅においては、天板(カウンター)を備えたキャビネット本体を、リビング側等の一方側の空間領域と、キッチン側等の他方側の空間領域とを区画する位置に配置し、リビング側とキッチン側との両空間から使用できるようにした対面方式のものが用いられることがある。また天板(カウンター)に脚を取り付けただけの簡単なタイプのカウンターもある。このような対面方式を含めたキッチンで用いられるカウンターでは、キッチン側で調理をしていくと、その進行途中において準備した材料の種類が次第に多くなり、やがて天板上に新しく準備する材料の置き場所が不足することがある。
このような載置領域の問題点を解決する技術として特許文献1及び2に示すような技術がある。特許文献1に記載された技術は、キッチンの天板に補助天板を設けるようにした技術である。補助天板は、リビング側の天板に回動自在に取り付けられ、起立(垂直)状態と水平状態の二つの姿勢を取り得るようになされており、起立状態ではリビング側から天板上の調理用材料が見えないようにし、水平状態では天板に連続してその載置面の領域を拡大するようにしている。またこの特許文献1の技術では、補助天板を門型に形成し、キャビネット本体の左右側面に門型の脚部をスライド自在に設置し、門型の補助天板が天板上の手前側から奥側との間で移動自在としている。
また特許文献2に記載された技術は、キッチンの天板の上方を覆い隠すことのできる蓋体をリフトアップ自在に設け、オープン状態では蓋体がリビング側の空間領域へ張り出して補助天板として利用できるようにしている。
特開2004−49565号公報
実開平2−141224号公報
ところが、特許文献1の技術では、天板が常に水平状態を維持するものではなく、起立状態のときには目隠し板として機能するものの、調理用材料の載置板としては機能せず、材料の置き場所に困ることがあった。また移動自在な門型の補助天板では、門型の構成が常に天板上に有り、載置面の拡張は実現できるものの、調理等で使用しないときでも常に門型の状態で存在し、見栄えが悪くなるという欠点があった。
一方、特許文献2に示す技術では、蓋体が天板を覆い隠している状態では、キッチンキャビネットのシンクや水栓及びレンジ等を使用できないという問題があった。
一方、特許文献2に示す技術では、蓋体が天板を覆い隠している状態では、キッチンキャビネットのシンクや水栓及びレンジ等を使用できないという問題があった。
本発明は従来の前記課題に鑑みてこれを改良除去したものであって、常にキッチンのキャビネット等を使用できるようにし、且つ必要なときは天板の載置面を拡張することのできる出し入れ自在な棚板を備えたキッチンカウンターを提供せんとするものである。
而して、前記課題を解決するために本発明が採用した請求項1の手段は、天板と、第一の停止位置から該第一の停止位置よりも上方の第二の停止位置まで移動可能に該天板に支持され且つ該天板よりも面積の小さい棚板と、前記棚板を第一の停止位置から第二の停止位置まで移動させる移動機構とを備えたキッチンカウンターであって、少なくとも第一の停止位置と第二の停止位置では棚板が水平姿勢を維持していることを特徴とするキッチンカウンターである。
本発明が採用した請求項2の手段は、前記棚板は、第一の停止位置と第二の停止位置との間を移動する際も常に水平姿勢を維持していることを特徴とする請求項1に記載のキッチンカウンターである。
本発明が採用した請求項3の手段は、前記棚板は、第一の停止位置で天板上面に対向して該天板に載置され、棚板と天板とで段差が形成されることを特徴とする請求項2に記載のキッチンカウンターである。
本発明が採用した請求項4の手段は、前記棚板は、第一の停止位置で天板上面と棚板上面とが面一になることを特徴とする請求項2に記載のキッチンカウンターである。
本発明が採用した請求項5の手段は、天板の上面にシンク又は加熱調理器が設けられ、前記第一の停止位置は、前記シンク又は加熱調理器よりも後方に位置し、第二の停止位置は第一の停止位置よりも前方に位置することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載のキッチンカウンターである。
本発明が採用した請求項6の手段は、前記キッチンカウンターは、リビング側等の一方側の空間領域と、キッチン側等の他方側の空間領域とを区画する位置に配置される対面カウンターであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載のキッチンカウンターである。
本発明が採用した請求項7の手段は、前記天板の下方にはキャビネットが設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のキッチンカウンターである。
本発明が採用した請求項8の手段は、前記天板に収納凹部が設けられ、前記棚板が第一の停止位置に位置したときには前記収納凹部が前記棚板によって覆蓋され、棚板が第二の停止位置に位置したときには前記収納凹部が解放されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つに記載のキッチンカウンターである。
本発明が採用した請求項9の手段は、前記天板及び前記キャビネットに収納凹部が設けられ、前記棚板が第一の停止位置に位置したときには前記収納凹部が前記棚板によって覆蓋され、棚板が第二の停止位置に位置したときには前記収納凹部が解放されることを特徴とする請求項7に記載のキッチンカウンターである。
本発明が採用した請求項10の手段は、前記棚板の裏面側に収納部を形成したことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一つに記載のキッチンカウンターである。
本発明が採用した請求項11の手段は、前記棚板に給湯水源から供給された湯水を吐水する吐水口を設け、棚板を第二の停止位置に位置させたときに、吐水口からシンクへ吐水可能としたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一つに記載のキッチンカウンターである。
本発明が採用した請求項12の手段は、前記棚板に吸気口を設けたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一つに記載のキッチンカウンターである。
本発明が採用した請求項13の手段は、前記棚板にブラインドを設け、棚板が第一の停止位置へ位置したときに、棚板と天板との間の空間を前記ブラインドが覆い隠すようにしたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一つに記載のキッチンカウンターである。
本発明が採用した請求項14の手段は、複数の棚板を天板の長手方向に沿って並列させたことを特徴とする請求項1乃至9に記載のキッチンカウンターである。
本発明が採用した請求項15の手段は、前記棚板の上面に凹部又は貫通孔を設けたことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一つに記載のキッチンカウンターである。
本発明が採用した請求項16の手段は、前記凹部又は貫通孔に着脱自在に嵌挿できる係合突起を有し、該係合突起を前記凹部に嵌挿することにより前記棚板の上面に載置可能としたキッチン用収納具を備えたことを特徴とする請求項15記載のキッチンカウンターである。
本発明が採用した請求項17の手段は、前記棚板は、その上面及び側面の各々に凹部を設け、これら両凹部を連通させて握ることのできる棒状部を形成したことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一つに記載のキッチンカウンターである。
請求項1の発明にあっては、天板の他に、移動可能な棚板を設けたので、通常は第一の停止位置に棚板を位置させ、調理時には棚板を第二の停止位置へ移動させて、調理材料や調理器具、食器等を載置するための補助的な載置部として利用することが可能であり、調理時の物品の載置面積を増やすことが可能である。
請求項2の発明にあっては、棚板は、常に水平を保っているので、棚板上に物品を載置したまま、棚板を第一の停止位置から第二の停止位置へ移動可能であり、棚板を移動させる際に、物品を一旦片づける必要がない。
請求項3の発明にあっては、第一の停止位置では棚板は、天板上に載置されているので、棚板が邪魔になることはなく、通常のキッチンカウンターとして使用することが可能であり、意匠上もスッキリさせることが可能である。また棚板と天板とで段差が形成されているので、当該段差が水返しとなり、棚板上は濡れないものを載置するドライエリア、天板上は濡れたもの若しくは濡れても構わないものを載置するウエットエリアというように、作業エリアを機能的に分割することが可能となる。
請求項4の発明にあっては、第一の停止位置で天板上面と棚板上面とが面一になるので、見栄えが良く、また天板上面と棚板上面を一続きの載置面として広く使うことが可能である。
請求項5の発明にあっては、棚板を使用しないときは、シンク又は調理機器よりも後方の第一の停止位置に棚板を移動させて、スッキリさせることができ、また調理等の作業をする際には、棚板を第二の停止位置(前方)に移動させることにより、棚板の位置が、作業者が仕込みをした材料や食器等を仮置きするのにちょうど良い距離となり、極めて便利である。
請求項6の発明にあっては、キッチンカウンターが対面カウンターであるので、第一の停止位置に棚板がある場合には、リビング側等の一方側から該棚板を使用することができ、キッチン側等の他方側から使用する際には、第二の停止位置に棚板を移動させることにより、棚板が使いやすい位置となる。
請求項7の発明にあっては、天板下方にキャビネットを備えたキッチンカウンターであっても、上記同様の作用効果を有する。
請求項8及び請求項9の発明にあっては、通常時は棚板を第一の停止位置に位置させて、収納凹部内の収納物を見栄え良く収納することができ、調理時には、棚板を第二の停止位置に位置させて、収納凹部内の収納物を自由に取り出すことができる。
請求項10の発明にあっては、棚板の裏面側に収納部を形成したので、棚板を第二の停止位置へ位置させた状態で収納部へ調理器具などを出し入れさせることができ、第一の停止位置へ位置させたときには、収納部を見栄え良く隠すことが可能となる。
請求項11の発明にあっては、棚板自体に吐水口を設けている。吐水口と給水源とはフレキシブル管などで接続すればよい。これにより、キッチンキャビネットのシンクの近くに棚板を移動させ(第二の停止位置)、その位置で棚板の吐水口から給水を行って洗い物等をすることができる。そのため、通常の状態では水栓をキャビネット本体の天板の上から無くすことが可能であり、極めてシンプル且つ見栄えのよいものとなる。
請求項12の発明にあっては、棚板に吸気口を設けているので、棚板を第二の停止位置へ移動させて吸気口をレンジの近くへ位置させることにより、前記吸気口から調理に際し発生した煙や匂いなどを排気ダクトへ排出することができる。
請求項13の発明にあっては、棚板にブラインドを設けており、棚板を第二の停止位置へ移動させた時にブラインドが棚板と天板との間の空間を遮蔽するようにしている。そのため、リビング側からキッチンの天板上に並べられた調理用材料や調理の状況等が直接見えることはない。調理作業者はリビング側の人たちの目を気にすることなく調理することができる。
請求項14の発明にあっては、天板の長手方向に沿って複数の棚板を並列させたので、必要な棚板のみ第二の停止位置へ移動させることができ、また一つ一つの棚板の幅が適度な大きさとなり、手動で移動させる際にも、楽に移動させることができる。
請求項15の発明にあっては、凹部又は貫通孔にまな板等のキッチン用具を着脱自在に挿着できるようにしたり、凹部又は貫通孔にキッチン用収納具を着脱自在に挿着できるようにして棚板の機能を向上させることができる。
請求項16の発明にあっては、棚板の凹部又は貫通孔に係合突起を嵌挿して棚板の上面に載置したキッチン用具を、棚板から脱落させることなく、第一の停止位置から第二の停止位置まで移動する棚板と一体に移動させることができる。
請求項17の発明にあっては、上面の凹部にまな板等のキッチン用具を着脱自在に挿着できるようにしたり、上面の凹部にキッチン用収納具を着脱自在に挿着できるようにしたり、また、棒状部を布巾掛け等に利用できるようにして棚板の機能を向上させることができる。また、棒状部を把手として用いることで棚板を第一の停止位置から第二の停止位置へ移動操作し易くできる。
以下に、本発明の構成を図面に示す発明の実施の形態に基づいて説明すると次の通りである。図1〜図4は本発明の第1の実施の形態に係る対面キャビネット1を示すものであり、図1は棚板2A,2B,2Cの全てが第一の停止位置にあるときのキャビネット本体1Aの全体斜視図である。図2の図(A)は同側面図、図(B)はリフトアップ時の同側面図である。図3は中央の棚板2Bをリフトアップした状態の天板3を示す斜視図である。図4は各棚板2A〜2Cに設けた付属器具を示すものであり、図(A)は棚板2Aの下面側に設けた水栓4を示すキャビネット本体1Aの側面図、図(B)は棚板2Bの下面側に設けた収納ボックス5を示す棚板2Bの側面図、図(C)は棚板2Cの下面側に設けた吸引ボックス6を示す棚板2Cの斜視図である。なお、本明細書において、「前方」とは対面キャビネット1の引出11やグリル10が設けられたキッチン側(手前側)をいい、「後方」とは対面キャビネット1のリビング側(背面側)をいう。
図1に示す如く、第1の実施の形態の対面キャビネット1は、天板3の上面にシンク7と、作業スペース8と、レンジ9とが設けられており、レンジ9の下方の手前側正面にはグリル10が設けられ、その他の手前側正面には多数の引出11が設けられている。この対面キャビネット1は、手前側がキッチン側の空間領域に面し、背面側がリビング側の空間領域に面している。つまり、キャビネット1は、リビングとキッチンの両空間領域を仕切る位置に配設されている。また前記キャビネット本体1Aの上面側に配設された天板3の奥側には、シンク7と作業スペース8とレンジ9とに対応して棚板2A〜2Cが設けられている。このように天板3の長手方向(矢符A方向)に沿って複数の棚板2A〜2Cを並列させており、必要な棚板2A〜2Cのみ第二の停止位置へ移動させることができるばかりでなく、一つ一つの棚板2A〜2Cの幅寸法(矢符A方向に沿った長さ寸法)が適度な大きさとなり、手動で移動させる際にも、楽に移動させることが可能である。
しかも、これらの棚板2A〜2Cは、通常の状態では、棚板2A〜2Cと天板3とで段差Bが形成されているので、当該段差が水返しとなり、棚板2A〜2C上は濡れないもの若しくは濡れては困るものを載置するドライエリア、天板3上は濡れたもの若しくは濡れても構わないものを載置するウエットエリアというように、作業エリアを機能的に分割することが可能である。更に、棚板2A〜2Cは、回動自在に枢支された二本のアーム等からなる平行リンク機構12及び必要に応じて付加されるシリンダー式のエアーダンパー機構を介して図2の図(A)に示す第一の停止位置(リビング側寄りの位置)から、同図の図(B)に示す第二の停止位置(キッチン側寄りの位置)まで、平行な姿勢を維持したまま移動することができるようになっている。
また、図3に示す如く、天板3及びキャビネット本体1Aの左右方向中央部の作業スペース8の奥側には、収納凹部13が穿設されており、通常は、第一の停止位置にある棚板2Bによって覆蓋(図1に示す状態)されている。この収納凹部13は、食器や調理用材料、食器洗浄用具類等を保管しておくためのものである。更に、各棚板2A〜2Cの下面側には、図4の図(A)〜図(C)に示すように、付属する機器類が設置されている。シンク7に対応する位置の棚板2Aの下面側には、図(A)に示すように、吐水口4Aを備えた水栓4が取り付けられている。該水栓4は、給水源及び給湯源とはフレキシブル管14を介して接続されている。この棚板2Bの第一の停止位置の天板3及びキャビネット本体1Aには、前記水栓4及び管14を収納するための収納凹部26が設けられている。なお、水栓4と給水源及び給湯源とを接続する管14は、回転バルブを利用して剛体の管を利用することにより、棚板2Aをリフトアップさせるリンク機構を兼用させることも可能である。
また作業スペース8に対応する位置の棚板2Bの下面側には、同図の図(B)に示すように、支点15を介して回動自在に支持された収納ボックス5が設けられている。収納ボックス5は、棚板2Bの高さ寸法内に納まるようになっており、第一の停止位置(図1に示す位置)では外部から見えないようになっている。
レンジ9に対応する位置の棚板2Cの下面側には、同図の図(C)に示すように、吸気口16を備えた吸引ボックス6が取り付けられており、フレキシブルな排煙管17及び排気ファン(図示せず)を通じて排気ダクトへ連通接続されている。なお、この棚板2Cの第一の停止位置の天板3及びキャビネット本体1Aには、前記吸引ボックス6及び排煙管17を収納するための凹部(図示せず)が形成されている。
次に、このように構成された対面キャビネット1の使用態様について説明する。この第1の実施の形態では、図1に示すように、シンク7の近傍に水栓が設けられておらず、全体が平面で構成されており、極めてシンプルで且つ見栄えも良好である。このような状態から、シンク7内で食器や調理用材料を洗ったりするときには、天板奥側の棚板2Aをリフトアップして図4の図(A)で示すように第二の停止位置へ移動させて起立させ、棚板2Aの下面側に設けた水栓4の吐水口4Aをシンク7内に臨ませるようにすればよい。そして、この状態で水栓4のハンドルを操作して吐水状態をコントロールし、食器や調理用材料等を洗えばよい。洗った食器や調理用材料等は、一時的に棚板2Aに載置して水切りを行う等のことも可能である。洗う作業が終了した後は、棚板2Aを第一の停止位置まで後退させればよい。
また天板3の中央の作業スペース8で調理作業をするに際しては、図1に示す状態のまま(棚板2Bが第一の停止位置にある状態)で作業を行うか、又は図3に示す真ん中の棚板2Bをリフトアップして第二の停止位置まで移動させ、収納凹部13をオープンにして作業を行う。収納部13には、食器や調理用材料、食器洗浄用具類等が保管されているので、必要に応じて該凹部13から食器又は調理用材料などを取り出し、作業スペース8で所定の調理作業を行えばよい。通常時は、棚板2Bを下方の第一の停止位置に位置させて、収納凹部13内の収納物を見栄え良く収納することができ、調理時には、棚板2Bを上方の第二の停止位置に位置させて、収納凹部13内の収納物を自由に取り出すことが可能である。
更に、レンジ9で煮炊きものを行うとき等には、鍋から湯気や匂いが立ち上ったり、肉や魚など食材から煙が立ち上ったりすることがある。通常は、レンジ9の上方にレンジフードが設けられ、換気扇を廻して排気するようにしているが、この実施の形態のように、リビングとキッチンとの境界部分にキャビネット1が配置されるタイプのものでは、室内の中央まで排気ダクトを建設することになり、室内空間領域を狭くして圧迫感を与えたり、排気ダクトの存在そのものが邪魔になり、実際には希にしか設置されていないのが現状である。それで、この実施の形態にあっては、レンジ9に対応する棚板2Cをリフトアップして第二の停止位置へ移動させ(図4の図(C)参照)、吸引ボックス6の吸気口16をレンジ9側に面するように位置させている。吸気口16は、排煙ダクト17及び排気ファン(図示せず)を介して排気ダクトへ連通接続されており、鍋やレンジから立ち上る匂いや煙を直ちに吸引して室外へ排気することができる。従って、匂いや煙が室内へ広がることがなく、環境上も好ましいものである。
図5は本発明の第2の実施の形態に係るものキャビネット18の側面図である。同図に示す如く、この実施の形態では、例えば棚板2Bの後端寄りの下面側にロールに巻き取られたカーテンなどのブラインド19を設置している。棚板2Bがリフトアップした第二の停止位置に移動したときは、ロール状カーテンのブラインド19が引き出されて天板3の上面付近まで延伸され、リビング側から天板3の作業スペース8で作業している内容(調理用材料や調理の状況等)が直接見えないようにしている。これにより、調理作業者はリビング側の人たちの目を気にすることなく調理することができる。
図6は本発明の第3の実施の形態に係るキャビネット20の側面図である。この実施の形態では、例えば棚板2Bの前端側にヒンジ21を介して木質、金属、合成樹脂などで成形された板状のブラインド22の上端側を回動自在に枢支している。そして、天板3上の固定フレーム23に設けたレール溝24に、ブラインド22の下端側をローラ25を介してスライド自在に嵌合させている。これにより、ブラインド22は、棚板2Bがリフトアップして第二の停止位置まで移動したときに棚板2Bと天板3の上面との間の空間領域を遮蔽するようになり、第2の実施の形態の場合と同じ作用効果を奏している。
図7の図(A)〜図(D)は本発明の変形例を示すキャビネット1の側面図である。同図の図(A)に示すものは、棚板2A〜2Cが垂直方向に平行移動するようにした場合のものであり、図(B)に示すものは、棚板2A〜2Cが第一の停止位置にあるとき、天板3の上面と棚板2A〜2Cの上面とが面一になるようにしたものである。また図(C)に示すものは、棚板2A〜2Cが垂直方向に平行移動するようにし、且つリフトアップしない待機位置の状態で天板3の上面と棚板2A〜2Cの上面とが面一になるようにしたものである。更に、図(D)に示すものは、棚板2A〜2Cが第一の停止位置にあるとき、天板3のリビング側に向けて該天板3の上面と面一になるように張り出して設置されており、リフトアップ時には天板3の上方へ平行移動するようになされている。
図8乃至図10は本発明のキャビネット1に備えた棚板2A〜2Cの変形例を示すものであって、図8はキャビネット1の全体斜視図であり、図9(A)は棚板2A〜2Cを上方の第二の停止位置へリフトアップした状態の側面断面図、図(B)は棚板2A〜2Cを下方の第一の停止位置へ降下した状態の側面断面図である。図10は棚板2A〜2Cの貫通孔28にキッチン用収納具33を挿着すると共に貫通孔28を蓋32で覆った状態を示すものであって、図(A)は棚板2A〜2Cの平面図、図(B)は棚板2A〜2Cの正面図、図(C)は図(A)のc−c線で断面したものであって、上方の第二の停止位置へリフトアップした状態を実線で示し、下方の第一の停止位置へ降下した状態を二点鎖線で示す側面図である。
本例のキャビネット1は、棚板2A〜2Cの各々に貫通孔28を設けてある。この貫通孔28は、棚板2A〜2Cの上面に開口する貫通孔28aと、棚板2A〜2Cの側面及び下面に開口する貫通孔28bとからなり、これら両貫通孔28a,28bを連通させて棒状部29を棚板2A〜2Cの手前側縁の上方隅部に形成してある。棒状部29は、貫通孔28を利用して握ることができる形状となっており、棚板2A〜2Cを上方の第二の停止位置と下方の第一の停止位置との間で移動させるときの把手としての機能を有する。棒状部29は、布巾掛け等に利用することもある。棒状部29は、横断面を図面の如く四角形状とする以外に、円又は楕円等の形状とすることもある。
本例のキャビネット1は、棚板2A〜2Cに設けた貫通孔28の上下へ貫通する部分へ着脱自在に挿着するキッチン用収納具33と、貫通孔28の上面を着脱自在に覆蓋する蓋32を備えている。キッチン用収納具33は、上面が開口した収納凹部33aと、上部の開口外縁部に設けたフランジ33bとを備え、貫通孔28の開口周縁にフランジ33bを係止した状態で使用され、収納凹部33aにまな板,包丁,計量スプーン,レシピ等を着脱自在に収納保持できるようにしてある。キッチン用収納具33に水切り用の通水孔を設けたときには、前記収納凹部13(26)は、底部に排水路27を設けて、キッチン用収納具33から滴下した水を外部へ排出できるようにするとよい。前記蓋32は、各貫通孔28の長手方向の一部を覆うことができる大きさのもの、又は各貫通孔28の長手方向の全域を覆うことができる大きさのものが予め準備され、棚板2A〜2Cに置いた載置物の脱落を防止したり、使用しない貫通孔28を覆って見栄え良くするとき等に用いられる。
本例のキャビネット1は、図9(B)に示す如く、下方の第一の停止位置に位置する棚板2A〜2Cの貫通孔28へキッチン用具31(例えば、まな板等の板状物)を差し込んで保持させることもある。保持されてキッチン用具31から滴下した水滴は、前記収納凹部13(26)で受け止められて、排水路27から外部へ排出される。
図11は本発明のキャビネット1に備えた棚板2A〜2Cの異なる変形例を示すものであって、図(A)は棚板2A〜2Cの平面図、図(B)は棚板2A〜2Cの正面図、図(C)は上方の第二の停止位置へリフトアップした状態を実線で示し、下方の第一の停止位置へ降下した状態を二点鎖線で示す側面断面図である。
本例のキャビネット1は、棚板2A〜2Cの各々に設けた貫通孔28を、上面に開口する貫通孔28aと、棚板2A〜2Cの側面に開口する貫通孔28cとで形成して、これら両貫通孔28a,28cを連通させて棒状部29を棚板2A〜2Cの手前側縁の上方隅部に形成してある。貫通孔28は、底面のある貫通孔28aへ差し込んだキッチン用具31(例えば、まな板等の板状物)やレシピ等の下端側を保持して、起立した状態を維持できるようにしてある。棒状部29は、貫通孔28を利用して握ることができる形状となっており、棚板2A〜2Cを上方の第二の停止位置と下方の第一の停止位置との間で移動させるときの把手としての機能を有する。
図12及び図13は本発明のキャビネット1に備えた棚板2A〜2Cの更に異なる変形例を示すものであって、図12(A)は棚板2A〜2Cの平面図、図(B)は図(A)のb−b線で断面したものであって、棚板2A〜2Cを上方の第二の停止位置へリフトアップした状態を実線で示し、下方の第一の停止位置へ降下した状態を二点鎖線で示す側面断面図である。図13は、図12(A)のc−c線で断面したものであって、棚板2A〜2Cを上方の第二の停止位置へリフトアップした状態を実線で示し、下方の第一の停止位置へ降下した状態を二点鎖線で示す側面断面図である。
本例のキャビネット1は、棚板2A〜2Cに前記貫通孔28を設ける以外に、棚板2A〜2Cの上面に、前後幅寸法が貫通孔28より大きな貫通孔34と、直径が貫通孔28の前後幅寸法より小さな二個以上の凹部35と、大きな貫通孔34に着脱自在に嵌挿できるキッチン用キッチン用収納具36と、小径の凹部35,35…に着脱自在に装着できるキッチン用キッチン用収納具37(図13参照)とを備えている。キッチン用収納具36は、上面が開口した収納凹部36aと、上部の開口外縁部に設けたフランジ36bとを備え、貫通孔34の開口周縁にフランジ36bを係止した状態で使用され、収納凹部36aに食材等を収納できるようにしてある。キッチン用収納具33は、濡れた収納物のために水切り用の通水孔を設け、収納凹部13(26)へ排水できるようにすることもある。キッチン用キッチン用収納具37は、上面が開口した収納凹部37aと、底面から突設した複数の係合突起37bとを備えた収納具となっており、棚板2A〜2Cの小径凹部35,35…へ係合突起37b,37b…を嵌挿した状態で棚板上面に載置され、棚板から脱落させることなく、第一の停止位置から第二の停止位置まで移動する棚板2A〜2Cと一体に移動させることができる。キッチン用キッチン用収納具37は、皿等の比較的大きなものを収納できるようになっている。
ところで、本願発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、適宜の変更が可能である。例えば、天板(カウンター)3は、その下方側にキャビネットが設置されるタイプのもの以外に、脚のみが取り付けられるテーブルタイプのものであっても適用可能である。また対面式のカウンター以外に、背面側を壁面へ密着させるタイプのカウンターであってもよい。
1…対面キャビネット、1A…キャビネット本体、2A,2B,2C…棚板、3…天板 、4…水栓、4A…吐水口、5…収納ボックス、6…吸引ボックス、7…シンク、8… 作業スペース、9…レンジ、10…グリル、11…引出、12…平行リンク機構、13 …収納凹部、19…ブラインド、28(34)…貫通孔,35…凹部、31…キッチン 用具、33(36,37)…キッチン用収納具
Claims (17)
- 天板と、第一の停止位置から該第一の停止位置よりも上方の第二の停止位置まで移動可能に該天板に支持され且つ該天板よりも面積の小さい棚板と、前記棚板を第一の停止位置から第二の停止位置まで移動させる移動機構とを備えたキッチンカウンターであって、少なくとも第一の停止位置と第二の停止位置では棚板が水平姿勢を維持していることを特徴とするキッチンカウンター。
- 前記棚板は、第一の停止位置と第二の停止位置との間を移動する際も常に水平姿勢を維持していることを特徴とする請求項1に記載のキッチンカウンター。
- 前記棚板は、第一の停止位置で天板上面に対向して該天板に載置され、棚板と天板とで段差が形成されることを特徴とする請求項2に記載のキッチンカウンター。
- 前記棚板は、第一の停止位置で天板上面と棚板上面とが面一になることを特徴とする請求項2に記載のキッチンカウンター。
- 天板の上面にシンク又は加熱調理器が設けられ、前記第一の停止位置は、前記シンク又は加熱調理器よりも後方に位置し、第二の停止位置は第一の停止位置よりも前方に位置することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載のキッチンカウンター。
- 前記キッチンカウンターは、リビング側等の一方側の空間領域と、キッチン側等の他方側の空間領域とを区画する位置に配置される対面カウンターであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載のキッチンカウンター。
- 前記天板の下方にはキャビネットが設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つに記載のキッチンカウンター。
- 前記天板に収納凹部が設けられ、前記棚板が第一の停止位置に位置したときには前記収納凹部が前記棚板によって覆蓋され、棚板が第二の停止位置に位置したときには前記収納凹部が解放されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つに記載のキッチンカウンター。
- 前記天板及び前記キャビネットに収納凹部が設けられ、前記棚板が第一の停止位置に位置したときには前記収納凹部が前記棚板によって覆蓋され、棚板が第二の停止位置に位置したときには前記収納凹部が解放されることを特徴とする請求項7に記載のキッチンカウンター。
- 前記棚板の裏面側に収納部を形成したことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一つに記載のキッチンカウンター。
- 前記棚板に給湯水源から供給された湯水を吐水する吐水口を設け、棚板を第二の停止位置に位置させたときに、吐水口からシンクへ吐水可能としたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一つに記載のキッチンカウンター。
- 前記棚板に吸気口を設けたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一つに記載のキッチンカウンター。
- 前記棚板にブラインドを設け、棚板が第一の停止位置へ位置したときに、棚板と天板との間の空間を前記ブラインドが覆い隠すようにしたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一つに記載のキッチンカウンター。
- 複数の棚板を天板の長手方向に沿って並列させたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一つに記載のキッチンカウンター。
- 前記棚板の上面に凹部又は貫通孔を設けたことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一つに記載のキッチンカウンター。
- 前記凹部又は貫通孔に着脱自在に嵌挿できる係合突起を有し、該係合突起を前記凹部に嵌挿することにより前記棚板の上面に載置可能としたキッチン用収納具を備えたことを特徴とする請求項15記載のキッチンカウンター。
- 前記棚板は、その上面及び側面の各々に凹部を設け、これら両凹部を連通させて握ることのできる棒状部を形成したことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一つに記載のキッチンカウンター。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN102669960A (zh) * | 2012-05-08 | 2012-09-19 | 合肥志邦厨饰有限公司 | 一种带有吧台的橱柜 |
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- 2005-03-29 JP JP2005093660A patent/JP2006061674A/ja active Pending
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