JP2006045597A - 溶接継手およびその溶接材料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】母材および溶接金属がともに、C:0.01〜0.45%、Si:1%を超え4%以下、Mn:0.01〜2%、P:0.05%以下、S:0.01%以下、Cr:15〜35%、Ni:40〜78%、Al:0.005〜2%、N:0.001〜0.2%およびCu:0.015〜5.5%を含み、更に下記(1)式を満足するTiを含有し、残部はFeおよび不純物からなる化学組成を有することを特徴とする溶接継手。母材および溶接金属は、さらにCo、Mo、Ta、W、V、Zr、Nb、Hf、B、Ca、MgおよびREMの1種以上を含有してもよい。
{(Si-0.01)/30}+ 0.01Cu ≦ Ti ≦ 5 ・・・(1)
但し、(1)式中の元素記号は、その元素の含有量(質量%)を意味する。
【選択図】なし
Description
但し、(1)式中の元素記号は、その元素の含有量(質量%)を意味する。
但し、(1)式中の元素記号は、その元素の含有量(質量%)を意味する。
Cは、溶接継手の母材および溶接金属の強度を高める作用を有する元素である。C含有量が0.01%未満では高温強度が不十分となる。しかし、その含有量が0.45%を超えると、溶接継手の靭性が低下する。従って、Cの含有量を0.01〜0.45%とした。Cの含有量は0.02〜0.4%が好ましく、最も好ましいのは0.04〜0.4%である。
Siは、金属材料の溶製時に脱酸作用を有する元素である。Siは、また、溶接継手表面のCr酸化皮膜の下層にSi酸化皮膜を形成して溶接継手中へのCの侵入を抑制するとともに溶接継手中のCの活量を高めて、耐メタルダスティング性を大幅に向上させる作用も有する元素である。これらの効果は、1%以下では発揮されない。しかし、その含有量が4%を超えると、母材の熱間加工性や溶接性の低下が著しくなる。従って、Siの含有量は1%を超え4%以下とした。Siの含有量の下限は、1.2%が望ましく、更に望ましいのは1.5%である。
Mnは、不純物として含まれるSによる母材の熱間加工時の脆性を抑制する効果を有するとともに、溶製時の脱酸に有効な元素である。これら効果を得るためには、Mnは0.01%以上含有させることが必要である。しかし、Mnの含有量が2%を超えると、母材および溶接金属からなる溶接継手中のCの活量を低下させ、溶接継手表面におけるCrやAlの酸化皮膜の形成を阻害し、雰囲気中からのCの侵入を促進してメタルダスティングが発生しやすくなる。従って、Mnの含有量は0.01〜2%とした。Mnの含有量は0.05〜1.0%が好ましく、最も好ましいのは0.1〜0.8%である。
Pは、金属材料を溶製する際に原料などから混入してくる不純物元素であり、耐食性の低下を招き、熱間加工性、溶接性を劣化させるので、可能な限り低減することが望ましい。従って、Pの含有量は0.05%以下とした。Pの含有量は、0.03%以下が好ましく、最も好ましいのは0.02%以下である。
Sも金属材料を溶製する際に原料などから混入してくる不純物元素であり、耐食性の低下を招き、熱間加工性、溶接性を劣化させるので、可能な限り低減することが望ましい。従って、Sの含有量は0.01%以下とした。Sの含有量は、0.007%以下が好ましく、さらに好ましいのは0.002%以下である。
Crは、高温の使用環境において、溶接継手中に侵入したCと結合して浸炭層の成長を遅延する作用を有し、これによって良好な耐メタルダスティング性が確保される。この効果はその含有量が15%以上の場合に発揮される。しかし、その含有量が35%を超えると、靱性の低下、熱間加工性の劣化が生じて母材の製造が困難になる。従って、Crの含有量は15〜35%とした。Crの含有量は18〜33%が望ましく、更に望ましいのは、25.2〜33%である。
Niは、高温強度と組織安定性を維持し、Crと共存することによって耐食性を高める作用を有する元素である。また、Niはメタルダスティングの発生を抑制する効果も有する。これらの効果はNiの含有量が40%以上で発揮されるが、78%を超えてもその効果は飽和する。従って、Niの含有量は40〜78%とした。Niの含有量は、48〜78%が好ましく、更に50〜78%であれば一層好ましい。最も好ましいのは56〜78%である。
Alは、金属材料の溶製時に脱酸作用を有する元素である。Alは、溶接継手表面のCr酸化皮膜の下層または溶接継手の最表面にAl酸化皮膜を形成し、Cの金属材料中への侵入を抑制するとともに金属材料中のCの活量を高めて、耐メタルダスティング性を大幅に向上させる作用も有する。これらの効果を得るためには、Alの含有量は0.005%以上とする必要がある。しかし、その含有量が2%を超えると、母材の熱間加工性や溶接性の低下が著しくなる。従って、Alの含有量は0.005〜2%とした。Alの含有量の上限は1.5%以下であれば更に好ましい。Alの含有量の下限が0.01%、上限が0.8%未満であれば一層好ましい。
Nは、母材中のCの活量を高めて、耐メタルダスティング性を向上させる作用を有する元素である。この効果は、その含有量が0.001%未満では不十分である。しかし、Nの含有量が0.2%を超えると、CrやAlの窒化物が多く形成されて、熱間加工性および溶接性が著しく低下する。従って、Nの含有量は0.001〜0.2%とした。
Cuは、溶接継手中のCの活量を高めて浸炭層の成長を抑制して耐メタルダスティング性を向上させる元素である。この効果は、0.015%以上のCuを含有させることで発揮される。しかし、5.5%を超えてCuを含有させると、母材及び溶接金属の靱性が低下し、熱間加工性が著しく低下する。また溶接凝固割れ感受性を著しく増大させる。従って、Cuの含有量は0.015〜5.5%とした。Cuの含有量は0.04〜4.8%が好ましく、更に好ましいのは1.5〜4.2%である。
{(Si-0.01)/30}+0.01Cu ≦ Ti ≦ 5 ・・・(1)
但し、(1)式中の元素記号は、その元素の含有量(質量%)を意味する。
溶接凝固割れ感受性を低減するためTiの含有量は、SiおよびCuの含有量との関係で、{(Si-0.01)/30}+0.01Cu ≦Tiとする必要がある。これは、SiおよびCu含有量が小さくなるほど、凝固割れ感受性を低減するために必要なTiの添加量は減少するからであり、{(Si-0.01)/30}+0.01Cu ≦Tiの範囲のTiを含有すれば、Pによる溶接凝固割れ感受性への悪影響も抑制することができる。
しかし、Tiの含有量が5%を超えると、Si-Ti化合物の晶出形態をオーステナイト相との共晶凝固組織から化合物のみの晶出成長を誘発し、凝固割れ感受性を逆に増大させる。しかも、Si-Ti化合物の晶出量が増大して熱間加工性の低下を招く。Tiの含有量の上限は4%であるのが望ましい。以上により、Tiは上記の(1)式を満足する範囲で含有させることとした。
次いで、拘束溶接割れ試験片の溶接ビード長に対する凝固割れ発生率を測定した。その調査結果を表1および表2に併記する。また、各金属材料の耐メタルダスティング性評価用試験片を用いて、体積比で26 %H2-60%CO-11.5%CO2-2.5%H2Oの雰囲気中で630℃にて1000時間保持する試験を行い、その後、試験片の表面堆積物を除去し、超音波洗浄を施した後、光学顕微鏡にてピットの発生有無を調査した。この結果も表1および表2に併記する。なお、耐メタルダスティング性は200時間未満でピットが発生しないことを目標とする。
Claims (8)
- 母材および溶接金属がともに、質量%で、C:0.01〜0.45%、Si:1%を超え4%以下、Mn:0.01〜2%、P:0.05%以下、S:0.01%以下、Cr:15〜35%、Ni:40〜78%、Al:0.005〜2%、N:0.001〜0.2%およびCu:0.015〜5.5%を含み、更に下記(1)式を満足するTiを含有し、残部はFeおよび不純物からなる化学組成を有することを特徴とする溶接継手。
{(Si-0.01)/30}+ 0.01Cu ≦ Ti ≦ 5 ・・・(1)
但し、(1)式中の元素記号は、その元素の含有量(質量%)を意味する。 - 請求項1に記載の溶接継手において、母材および溶接金属がともに、Feの一部に代えて、質量%で、Co:0.015〜5.5%、Mo:0.05〜10%、Ta:0.05〜5%、W:0.05〜5%、V:0.01〜1%、Zr:0.01〜1.4%、Nb:0.01〜1.4%およびHf:0.01〜1%から選択される1種以上を含む化学組成を有することを特徴とする溶接継手。
- 請求項1または2に記載の溶接継手において、母材および溶接金属がともに、Feの一部に代えて、質量%で、B:0.0005〜0.3%、Ca:0.0005〜0.02%およびMg:0.0005〜0.02%から選択される1種以上を含む化学組成を有することを特徴とする溶接継手。
- 請求項1から3までのいずれかに記載の溶接継手において、母材および溶接金属がともに、Feの一部に代えて、質量%で、REM:0.005〜0.3%を含む化学組成を有することを特徴とする溶接継手。
- 質量%で、C:0.01〜0.45%、Si:1%を超え4%以下、Mn:0.01〜2%、P:0.05%以下、S:0.01%以下、Cr:15〜35%、Ni:40〜78%、Al:0.005〜2%、N:0.001〜0.2%およびCu:0.015〜5.5%を含み、更に下記(1)式を満足するTiを含有し、残部はFeおよび不純物からなる化学組成を有することを特徴とする請求項1に係る溶接継手をTIG溶接法により作製するために用いる溶接材料。
{(Si-0.01)/30}+ 0.01Cu ≦ Ti ≦ 5 ・・・(1)
但し、(1)式中の元素記号は、その元素の含有量(質量%)を意味する。 - 請求項5に記載の溶接材料において、Feの一部に代えて、質量%で、Co:0.015〜5.5%、Mo:0.05〜10%、Ta:0.05〜5%、W:0.05〜5%、V:0.01〜1%、Zr:0.01〜1.4%、Nb:0.01〜1.4%およびHf:0.01〜1%から選択される1種以上を含む化学組成を有することを特徴とする請求項2に係る溶接継手をTIG溶接法により作製するために用いる溶接材料。
- 請求項5または6に記載の溶接材料において、Feの一部に代えて、質量%で、B:0.0005〜0.3%、Ca:0.0005〜0.02%およびMg:0.0005〜0.02%から選択される1種以上を含む化学組成を有することを特徴とする請求項3に係る溶接継手をTIG溶接法により作製するために用いる溶接材料。
- 請求項5から7までのいずれかに記載の溶接材料において、Feの一部に代えて、質量%で、REM:0.005〜0.3%を含む化学組成を有することを特徴とする請求項4に係る溶接継手をTIG溶接法により作製するために用いる溶接材料。
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