JP2004197150A - 高温強度に優れた耐メタルダスティング金属材料 - Google Patents
高温強度に優れた耐メタルダスティング金属材料 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】C:0.2%以下、Si:0.01〜4%、Mn:0.01〜2%、P:0.03%以下、S:0.01%以下、Cr:15〜35%、Ni:40〜78%、Al:0.005%以上4.5%未満、N:0.001〜0.2%、Cu:3%を超えて10%まで及びCo:7%未満で、且つCuとCoの含有量の和であるCu(%)+Co(%):3%を超えて10%までを含有し、残部は実質的にFeからなり、元素記号をその元素の含有量として、40Si+Ni+5Al+40N+10(Cu+Co)の値が80以上である金属材料。この材料は、Mo、Ta、W、Ti、V、Zr、Nb、Hf、B、Ca、Mg、La、Ce、Nd及びYの1種以上を含んでいてもよい。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、石油精製や石油化学プラントなどにおける熱交換型の炭化水素改質装置や廃熱回収装置等において、高温での雰囲気に曝される容器、反応管、部品等に使用される高Cr−高Ni−Fe系合金である金属材料、複層金属材料及びそれらを素材とする金属管に関する。
【0002】
【従来の技術】
水素やメタノールといったクリーンエネルギの燃料となるガスは、今後、大幅な需要増加が予想され、そのためには炭化水素改質装置は大型化し、より一層熱効率が高く量産に適した装置が要求される。又、従来の石油精製や石油化学プラントなどにおける炭化水素改質装置、或いは石油などを原料とするアンモニア製造装置、水素製造装置などにおいても、エネルギー効率を高めるために、廃熱回収のための熱交換が多用されるようになってきている。
【0003】
このような高温ガスの熱を有効活用するためには、従来対象とされてきたよりも低い、400〜700℃の温度域における熱交換が重要であり、この温度域において反応管や熱交換器等に使用する高Cr−高Ni−Fe合金系金属材料の浸炭現象に伴う腐食が課題となっている。
【0004】
通常、上述のような反応装置において反応ガス、すなわちH2 、CO、CO2 、H2O 及びメタンなど炭化水素を含むガスと、反応管などの金属材料とは、1000℃前後或いはそれ以上の高い温度で接している。この温度域において金属材料の表面では、FeやNiなどよりも酸化傾向の大きい元素が選択的に酸化され、酸化Crや酸化Siなどの緻密な酸化皮膜の形成により腐食が抑制される。ところが、熱交換部分など相対的に温度の低い部分では、金属材料中から表面への元素の拡散が不十分となって腐食抑制効果のある酸化皮膜の形成が遅れるため、ガスからC原子が金属材料表面に吸着され、金属材料中にCが侵入して浸炭が生じる。
【0005】
このような環境下で浸炭が進み、CrやFeなどの炭化物を含む浸炭層が形成されるとその部分の体積が膨張し、その結果、微細な割れが生じやすくなる。更に、Cが金属材料中に侵入して炭化物の形成が飽和すると、炭化物が分解して生じた金属粉末が金属材料表面から剥離し、メタルダスティングといわれる腐食消耗が進行する。又、剥離した金属粉末が触媒となり、金属材料表面での炭素析出が促進される。このような損耗や炭素析出による管内閉塞が拡大すると装置故障等による操業中断に到る恐れがあるので、装置部材としての材料選定に十分な配慮が必要である。
【0006】
従来、メタルダスティングに対して、種々の対策が検討されてきた。例えば、特許文献1には、H2 、CO、CO2 、H2O を含む400〜700℃の雰囲気ガス中での耐メタルダスティング性は、Crを11〜60%(重量%、以下同様)含むFe基合金又はNi基合金が優れているので、Fe基合金ではCrを24%以上、且つNiを35%以上含む材料、Ni基合金ではCrを20%以上、且つNiを60%以上含む材料、及びこれらのFe基合金又はNi基合金に更にNbを添加した材料の発明が開示されている。しかし、一般には、Fe基合金又はNi基合金のCrやNiの含有量を増しただけでは十分な浸炭抑制効果が得られず、より一層のメタルダスティング抑制を図る必要がある。
【0007】
特許文献2に開示されている方法は、鉄、ニッケル及びクロムを含む『高温合金』のメタルダスティングによる腐食に対し、元素周期表の第8族、第1B族、第4族及び第5族の1種以上の金属及びそれらの混合物を、通常の物理的或いは化学的手段で表面に付着させ、不活性雰囲気中でアニーリングして0.01〜10μmの厚さの薄層を形成させる技術である。なかでも、Sn、Pb、Bi等の薄層の場合に効果が大きいと記載されている。しかし、この方法は初期には効果があっても長期にわたる使用により薄層が剥離すれば効果がなくなる。
【0008】
その他、雰囲気ガス中にH2Sを添加する方法も考えられているが、H2Sは炭化水素の改質に用いられる触媒の活性を著しく低下させる恐れがあるので、その適用は限定される。このように、種々の検討はなされてはいるが、メタルダスティングを十分に抑制できる金属材料は、現状では得られていない。
【0009】
【特許文献1】
特開平9−78204号公報
【特許文献2】
特開平11−172473号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたもので、その目的は、H2 、CO、CO2 、H2O 及び炭化水素等を含むガス雰囲気中のように、メタルダスティングの発生しやすい環境下において、優れた耐食性とともに優れた高温強度を有する高Cr−高Ni−Fe系合金である金属材料、複層金属材料及びそれらを素材とする金属管を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、下記(1)〜(7)に示す高温強度に優れた耐メタルダスティング金属材料、(8)に示す複層金属材料、(9)に示す金属管及び(10)に示す複層金属管にある。
【0012】
(1)質量%で、C:0.2%以下、Si:0.01〜4%、Mn:0.01〜2%、P:0.03%以下、S:0.01%以下、Cr:15〜35%、Ni:40〜78%、Al:0.005%以上4.5%未満、N:0.001〜0.2%、Cu:3%を超えて10%まで及びCo:7%未満で、且つCuとCoの含有量の和であるCu(%)+Co(%):3%を超えて10%までを含有し、残部はFe及び不純物からなり、下記▲1▼式で表されるfn1の値が80以上であることを特徴とする耐メタルダスティング性を有する金属材料。
【0013】
fn1=40Si+Ni+5Al+40N+10(Cu+Co)・・・・▲1▼。
ここで、▲1▼式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。
【0014】
(2)質量%で、C:0.2%以下、Si:0.01〜4%、Mn:0.01〜2%、P:0.03%以下、S:0.01%以下、Cr:15〜35%、Ni:40〜78%、Al:0.005%以上4.5%未満、N:0.001〜0.2%、Cu:3%を超えて10%まで及びCo:7%未満で、且つCuとCoの含有量の和であるCu(%)+Co(%):3%を超えて10%までを含有し、更に以下に示す(a)のグループの成分のうちの少なくとも1種を含み、残部はFe及び不純物からなり、前記▲1▼式で表されるfn1の値が80以上であることを特徴とする高温強度に優れた耐メタルダスティング金属材料。
【0015】
(a)Mo:0.05〜10%、Ta:0.05〜5%、W:0.05〜5%、Ti:0.01〜1.4%、V:0.01〜1%、Zr:0.01〜2.5%、Nb:0.01〜2.5%及びHf:0.01〜1%。
【0016】
(3)質量%で、C:0.2%以下、Si:0.01〜4%、Mn:0.01〜2%、P:0.03%以下、S:0.01%以下、Cr:15〜35%、Ni:40〜78%、Al:0.005%以上4.5%未満、N:0.001〜0.2%、Cu:3%を超えて10%まで及びCo:7%未満で、且つCuとCoの含有量の和であるCu(%)+Co(%):3%を超えて10%までを含有し、更に以下に示す(a)のグループの成分のうちの少なくとも1種を含み、残部はFe及び不純物からなり、前記▲1▼式で表されるfn1の値が80以上、且つ下記▲2▼式で表されるfn2の値が0.003以上である高温強度に優れた耐メタルダスティング金属材料。
【0017】
fn2=(Mo/192)+(Ta/181)+(W/368)+(Ti/48)+(V/51)+(Zr/92)+(Nb/93)+(Hf/179)・・・・▲2▼。ここで、各式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。
【0018】
(4)Feの一部に代えて、以下に示す(b)のグループの成分のうちの少なくとも1種を含有する上記(1)から(3)までのいずれかに記載の高温強度に優れた耐メタルダスティング金属材料。
【0019】
(b)B:0.0005〜0.02%、Ca:0.0005〜0.02%及びMg:0.0005〜0.02%。
【0020】
(5)Feの一部に代えて、以下に示す(c)のグループの成分のうちの少なくとも1種を含有する上記(1)から(4)までのいずれかに記載の高温強度に優れた耐メタルダスティング金属材料。
【0021】
(c)La:0.005〜0.3%、Ce:0.005〜0.3%、Nd:0.005〜0.3%及びY:0.005〜0.3%。
【0022】
(6)Feの含有量が0%を超えて10%以下である上記(1)から(5)までのいずれかに記載の高温強度に優れた耐メタルダスティング金属材料。
【0023】
(7)炭化水素、CO及びH2 の含有量の総和が25vol%以上、炭化水素とCOとの合計が1vol%以上、且つ1000℃以下の雰囲気で使用する部材用である上記(1)から(6)までのいずれかに記載の高温強度に優れた耐メタルダスティング金属材料。
【0024】
(8)上記(1)から(6)までのいずれかに記載の高温強度に優れた耐メタルダスティング金属材料の層を1又は複数含み、且つ少なくとも最外層の一部が前記の高温強度に優れた耐メタルダスティング金属材料の層である複層金属材料。
【0025】
(9)素材が上記(1)から(6)までのいずれかに記載の高温強度に優れた耐メタルダスティング金属材料である金属管。
【0026】
(10)素材が上記(8)に記載の複層金属材料であって、外面が高温強度に優れた耐メタルダスティング金属材料の層である複層金属管。
【0027】
以下、上記(1)〜(10)の耐メタルダスティング金属材料、複層金属材料、金属材料管、或いは複層金属管に係る発明をそれぞれ(1)〜(10)の発明という。
【0028】
本発明者らは、1000℃以下の温度で発生するメタルダスティングといわれる腐食現象に対し、優れた耐性を有する金属材料について種々検討を行った。
【0029】
メタルダスティングの発生には、表面に形成される酸化皮膜の保護性とその内部に形成される浸炭層の発達が影響する。つまり、酸化皮膜に割れが生じたり、酸化皮膜が剥離すると、金属中にCが侵入して浸炭層が形成され、そのときの体積変化や炭化物の形成分解などによってメタルダスティングが生じると考えられる。そこで、酸化皮膜の保護性を高めるとともに、浸炭層の成長を抑制するための金属材料の組成に関して検討した。
【0030】
酸化皮膜の保護性を高めるには、Crの含有量を高めることが最も有効であり、更に、SiやAlといった酸素との親和力の強い元素を含有させることがよい。これは、耐酸化性を高めるための一般的手法と同様である。
【0031】
上記の対策によって、金属材料中へのCの侵入は相当抑制されることになるが、Cの侵入を完全に遮断すること、換言すれば、長時間にわたって酸化皮膜が全く割れず、剥離もしないことを実現するのは不可能である。そのため、酸化皮膜によってCの進入を遮断することと同様、浸炭層の成長を抑制することが耐メタルダスティング性を高めるために必要不可欠である。
【0032】
そこで、高温材料としての基本になるCrが25%、Niが60%程度で残部は主としてFeからなる合金をベースに、浸炭層の成長に及ぼす種々の元素添加の影響を調査した。その結果、一つはSi、Al、Niなど炭素との親和力がほとんどないと思われる元素と、もう一つはTi、Nb、V、Moなど金属材料中で安定な炭化物を作る元素とが、浸炭層の成長速度を抑制する効果のあることが明らかになった。
【0033】
浸炭層は、例えば金属表面において雰囲気の条件により、
C+CO2 =2CO・・・・▲3▼
のような反応が右辺から左辺の方向に進み、生じたCが金属材料表面に吸着され、金属材料内部に侵入することによって形成される。
【0034】
炭化物形成元素が存在する場合、侵入したCがこれらの元素と結合することにより、Cの拡散が抑制され、浸炭層の成長を抑制するのではないかと考えられる。しかしながら、Si、Al、Niなどが浸炭層の成長を抑制する理由については必ずしも明らかではない。
【0035】
更に調査を進めていくと、他にも炭化物形成元素ではないが、浸炭層の成長を抑制する元素が見出された。そこで、これらの元素についてFe中の溶質元素の観点からCとの相互作用について調べてみると、いずれも相互作用助係数Ωが正の値を示す元素であった。
【0036】
Ωが正であれば、溶質元素であるCの活量を高める効果があり、金属材料中のCの活量が高くなれば固溶C量が低下し、内部への流束が小さくなることで成長が遅くなるのではないかと思われる。
【0037】
Ωが正である元素を調べると、例えば、PやSは大きな正のΩ値を示すが、金属材料の熱間加工性や靱性などの性質を劣化させるので、含有量を低減させなければならない。同様にΩ値の高いAgとAsに関しては、Agはコストの点から、又、Asは毒性の点からいずれも使用することが難しい。
【0038】
上記Ωが正である元素の中で、Co及びCuは、通常、鋼の添加元素として利用されていることから、その添加の効果を調査した結果、耐メタルダスティング性改善に有効であることが判明した。又、多量の含有は困難であるが、Nも耐メタルダスティング性改善のために利用できることが明らかになった。
【0039】
上記Si、Al、Ni、Co、Cu及びNの各元素について、その含有量と浸炭層の成長抑制効果との関係を試験溶製材を用いて調査し、得られた結果を多重回帰計算することで、浸炭層の成長抑制効果、したがって、耐メタルダスティング性に及ぼす各元素の含有量の影響を明確にすることができた。
【0040】
次に、Ti、Nb、V、Moなど金属材料中で安定な炭化物を作る元素も、浸炭層の成長を抑制する作用を有するので、それぞれの含有量の影響について検討した。その結果、上記金属材料中で安定な炭化物を作る元素が浸炭層の成長を抑制する効果はほぼ原子濃度に比例しており、含有量をMo及びWは原子濃度の1/2、他の元素は原子濃度として、それらの合計の濃度を指数とすれば、その指数により上記効果を定量的に示し得ることがわかった。このことは、前述のようにこれらの元素が、表面から侵入してきた炭素と結合して安定な炭化物を形成することにより、浸炭層の成長を抑制することを示している。
【0041】
このように、表面に形成される酸化皮膜を強固にする元素を含有させることによるCの金属材料中への侵入抑制と、上述の相互作用助係数Ωが正である元素を含有させること及びこれに加えて更に炭化物形成元素を同時に適量含有させることによる浸炭性雰囲気における浸炭層の成長抑制とによって、高Cr−高Ni−Fe合金の耐メタルダスティング性を大きく改善できることがわかった。
【0042】
しかし、上記の各種元素の添加は、その含有量によっては熱間加工性や耐高温腐食性に悪影響を及ぼすことがある。そのような悪影響を防ぐには、次の元素を含有させることが有効である。
【0043】
すなわち、B、Ca及びMgを少量含有させると、対象とする金属材料の熱間加工時の割れが抑制されて熱間加工性が向上する。これらの元素は、鋼の粒界の強化や微量介在物の形態の変化によって、熱間加工性の向上効果をもたらすものと思われる。
【0044】
La、Ce、NdやYなどの希土類元素を少量含有させると、高温における耐食性や耐酸化性が向上する。これは、上記元素がCr、Al及びSiの酸化皮膜の均一生成を促進し、しかも酸化皮膜と金属材料界面との密着性を高めることによるものと考えられる。
【0045】
なお、表面に形成する酸化皮膜の保護性を高める作用と、相互作用助係数Ωが正であることによる浸炭層の成長を抑制する作用との2つの作用によって、耐メタルダスティング性を大きく高めるSi及びAlを多量に含有させる場合には、熱間加工性と溶接性の低下が著しくなる。
【0046】
しかし、本発明者らの検討の結果、Si及びAlを多量に含むことによる熱間加工性と溶接性の低下は、金属材料中のP、S及びNの含有量を同時に低減すれば改善できることが明らかになった。
【0047】
すなわち、熱間加工性及び溶接性に劣る金属材料の場合には粒界の結合が弱くなっており、又、粒内が強化されていると粒内強度と粒界強度の相対的な差が大きくなるので、熱間加工時や溶接時に粒界を起点とした割れが多発する。このため、粒界に偏析して結合力を弱めるPやSを制限し、同時に粒内に窒化物を析出するNも制限することが熱間加工時や溶接時の粒界割れを抑制するのに有効である。
【0048】
上記のP、S及びNは相互作用助係数Ωを高める元素であり、耐メタルダスティング性を向上させる。しかし、耐メタルダスティング性は、P、S及びNを含有させるよりも、Si及びAlを多量に含有させることによって大きく高めることができる。したがって、高い耐メタルダスティング性が要求される場合には、Si及びAlを多量に含有させ、これによる熱間加工性や溶接性の低下を、P、S及びNの含有量を制限することで抑制するのがよい。
【0049】
なお、金属材料が高温で使用される場合、高温での強度が大きいほど長寿命化できる。一方、寿命が同程度であれば、高温での強度が大きいほど部材の設計肉厚を薄くすることができるのでコストの軽減が可能である。
【0050】
そこで、高温での強度上昇手段についても検討した。その結果、Cuを質量%で、3%を超えて含有させれば、素地と整合性を有する微細なε−Cuが析出し、しかもそのε−Cuは長時間粗大化することがないので、高温強度の大幅な改善が達成できることが明らかになった。
【0051】
前記(1)〜(10)の発明は、上記の知見に基づいて完成されたものである。
【0052】
【発明の実施の形態】
本発明において、耐メタルダスティング金属材料の組成を限定する理由は次のとおりである。なお、以下の説明において、各元素の含有量の「%」表示は「質量%」を意味する。
【0053】
Cr:
Crは、高温での使用を目的とする本発明に係る耐メタルダスティング金属材料の基本成分である。Crは、高温の使用環境において、金属材料中に侵入したCと結合して浸炭層の成長を遅延する作用を有し、これによって良好な耐メタルダスティング性が確保される。この効果は、Crの含有量が15%以上で良好になる。しかし、その含有量が35%を超えると、靱性の低下及び熱間加工性の劣化が生じて製造が困難になる。したがって、Crの含有量を15〜35%とした。なお、Crの好ましい含有量は18〜33%であり、25.2〜33%であれば極めて好ましい。
【0054】
Ni:
Niは、本発明に係る耐メタルダスティング金属材料の基本成分であり、高温強度と組織安定性を維持し、Crと共存することによって耐食性を高める作用を有する。Niには、メタルダスティングの発生を抑制する効果もある。これらの効果はNiの含有量が40%以上で顕著に発揮され、78%までは含有量が多いほど効果が顕著になる。したがって、Niの含有量を40〜78%とした。なお、Niの含有量は48〜78%とすることが好ましく、50〜78%であれば一層好ましい。Niの含有量が56〜78%であれば極めて好ましい。
【0055】
C:
Cは、添加しなくてもよい。添加すれば、金属材料の強度を高める作用を有する。この効果を確実に得るには、Cは0.01%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、その含有量が0.2%を超えると金属材料の熱間加工性や溶接性の低下をきたす。したがって、Cの含有量を0.2%以下とした。なお、Cを添加する場合、その含有量は0.01〜0.18%とすることが好ましく、0.02〜0.15%であれば一層好ましい。
【0056】
Si:
Siは、金属材料の溶製時に脱酸作用を有する。Siは、金属材料表面のCr酸化皮膜の下層にSi酸化皮膜を形成して金属中へのCの侵入を抑制するとともに金属材料中のCの活量を高めて、耐メタルダスティング性を大幅に向上させる作用も有する。これらの効果を得るためには、Siの含有量は0.01%以上とする必要がある。しかし、Siの多量の添加は熱間加工性や溶接性の低下をきたす。特にその含有量が4%を超えると、熱間加工性や溶接性の低下が著しくなる。したがって、Si含有量の下限を0.01%、上限を4%とした。Si含有量の下限と上限はそれぞれ0.05%と3.5%であれば更に好ましく、0.1%と3.2%であれば一層好ましい。
【0057】
なお、後述するNの含有量が0.055%を超える場合には、特に、溶接性や熱間加工性の観点からSi含有量の上限を2%とし、併せてAl含有量の上限も2%とするのがよい。
【0058】
後述するNの含有量の上限を0.055%とする場合には、良好な熱間加工性と溶接性が確保できるので、この場合には、耐メタルダスティング性を大きく高めるためにSiの含有量を1.1%以上としてもよい。なお、この場合に、より良好な熱間加工性と溶接性を得るためには、Alの含有量の上限を0.5%とすることが一層好ましい。
【0059】
Mn:
Mnは、不純物として含まれるSによる熱間加工脆性を抑制する作用や溶製時に脱酸作用を有する。こうした効果を得るために、Mnは少なくとも0.01%以上含有させる。しかし、Mnは金属材料中のCの活量を低下させること及び金属材料表面におけるCrやAlの酸化皮膜の形成を阻害することによって、雰囲気からのCの侵入を促進してメタルダスティングを発生させやすくする元素であるため、その含有量は多くても2%までとする必要がある。なお、Mnの含有量は0.05〜1.0%とすることがより好ましく、0.1〜0.8%であれば更に好ましい。
【0060】
P:
Pは金属材料を溶製する際に原料などから混入してくる不純物元素である。耐食性の低下を招き、熱間加工性、溶接性を劣化させるので、可能な限り低減することが望ましいため、その含有量を0.03%以下とする。なお、Pの含有量は0.025%以下とすることが更に好ましく、0.02%以下であれば極めて好ましい。
【0061】
S:
Sも金属材料を溶製する際に原料などから混入してくる不純物元素である。耐食性の低下を招き、熱間加工性、溶接性を劣化させるので、可能な限り低減することが望ましいため、その含有量を0.01%以下とする。なお、Sの含有量は0.007%以下とすることが更に好ましく、0.002%以下であれば極めて好ましい。
【0062】
Al:
Alは、金属材料の溶製時に脱酸作用を有する。Alには、金属材料表面のCr酸化皮膜の下層にAl酸化皮膜を形成すること、又は金属材料の最表面でAl酸化皮膜を形成することによって、Cの金属材料中への侵入を抑制するとともに金属材料中のCの活量を高めて、耐メタルダスティング性を大幅に向上させる作用もある。これらの効果を得るためには、Alの含有量は0.005%以上とする必要がある。しかし、Alの多量の添加は熱間加工性や溶接性の低下をきたす。特にその含有量が4.5%以上になると、熱間加工性や溶接性の低下が著しくなる。したがって、Al含有量の下限を0.005%、上限を4.5%未満とした。Al含有量の上限は4%未満であれば更に好ましい。Al含有量の下限が0.01%、上限が3.7%未満であれば一層好ましい。
【0063】
なお、後述するNの含有量が0.055%を超える場合には、特に、溶接性や熱間加工性の観点からAl含有量の上限を2%とし、併せてSi含有量の上限も2%とするのがよい。
【0064】
後述するNの含有量の上限を0.055%とする場合には、良好な熱間加工性と溶接性が確保できるので、この場合には、耐メタルダスティング性を大きく高めるためにAlの含有量を2.6%以上としてもよい。なお、この場合に、より良好な熱間加工性と溶接性を得るためには、Siの含有量の上限を0.5%とすることが一層好ましい。
【0065】
N:
Nは、金属材料中のCの活量を高めて、耐メタルダスティング性を向上させる作用を有する。しかし、その含有量が0.001%未満では前記効果が十分には得られない。一方、Nの含有量が0.2%を超えると、CrやAlの窒化物が多く形成されて、熱間加工性及び溶接性が著しく低下する。したがって、N含有量の下限を0.001%、上限を0.2%とした。
【0066】
前述のSi及びAlの含有量の上限をいずれも2%にする場合には、Nの含有量の下限は0.005%とするのがよい。この場合のN含有量の上限は0.15%とすることがより好ましい。
【0067】
一方、耐メタルダスティング性を大きく高めるために、前述のSi及びAlについて、これらの含有量をそれぞれ1.1%以上及び2.6%以上としたうえで、Siについては4%までの含有量、Alについては4.5%未満の含有量とする場合には、溶接性や熱間加工性の観点からN含有量の上限は0.055%とするのがよい。この場合のN含有量の上限は、0.035%とすることが一層好ましく、0.025%とすれば極めて好ましい。
【0068】
Cu:
Cuは本発明において重要な元素である。すなわち、本発明に係る耐メタルダスティング金属材料においては、金属材料中のCの活量を高め、その結果浸炭層の成長を抑制して耐メタルダスティング性を向上させるとともに、ε−Cuとして粒内に微細析出させて高温強度を大きく高めるために、3%を超えるCuを含有させる。しかし、Cuを10%を超えて含有させても高温での強度を高める効果は飽和し、更にクリープ延性の低下を招く。したがって、Cuの含有量を3%を超えて10%までとした。Cuの含有量は3%を超えて7%までとするのが好ましく、3%を超えて5.5%までとすれば一層好ましい。なお、Cuの含有量は、後述のCoの含有量との和であるCu(%)+Co(%)の値が10%以下となるようにする必要がある。
【0069】
Co:
Coは添加しなくてもよい。添加すれば、金属材料中のCの活量を高め、その結果浸炭層の成長を抑制して耐メタルダスティング性を向上させるとともに金属材料の高温強度を高める作用を有する。これらの効果を確実に得るには、Coは0.01%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、Coを7%以上含有させても高温での強度を高める効果は飽和し、逆にクリープ延性の著しい低下を招く。したがって、Coの含有量を7%未満とした。なお、Coを添加する場合、その含有量は0.01%以上7%未満とするのが好ましく、0.02%以上7%未満とすれば一層好ましい。0.05%以上5.5%未満とすれば極めて好ましい。なお、Coの含有量は、後述のCuの含有量との和であるCu(%)+Co(%)の値が10%以下となるようにする必要がある。
【0070】
Cu(%)+Co(%):
Cu及びCoの含有量がそれぞれ3%を超えて10%まで及び7%未満であっても、CuとCoの含有量の和であるCu(%)+Co(%)の値が10%を超えると高温での強度を高める効果が飽和する。又、コストが嵩み、更にクリープ延性の低下も生じる。したがって、Cu(%)+Co(%)の上限値を10%とした。なお、前述のようにCuの含有量が3%を超えて10%まで及びCoの含有量が7%未満であることから、Cu(%)+Co(%)の値は当然に3%を超えるものとなる。このため、CuとCoの含有量の和であるCu(%)+Co(%)の値を3%を超えて10%までとした。
【0071】
fn1:
既に述べたように、本発明者らは金属材料中のCの活量を高めるSi、Al、Ni、Co、Cu及びNの各元素について、その含有量と浸炭層の成長抑制効果との関係を試験溶製材を用いて調査した。
【0072】
その結果、浸炭層の成長抑制効果、したがって、耐メタルダスティング性に及ぼす各元素の含有量の影響が前記▲1▼式で表されるfn1の値で整理できることが明らかになった。fn1の値が大きいほど、耐メタルダスティング性、つまり、メタルダスティング発生の抑制効果も大きくなり、特に、fn1の値が80以上の場合には、極めて良好な耐メタルダスティング性が確保できる。したがって、前記▲1▼式で表されるfn1の値を80以上と規定した。
【0073】
(1)の発明に係る耐メタルダスティング金属材料が含有するFe以外の成分元素は、上記のCrからCoまでの元素だけであってもよい。しかし、上記の成分に加え、必要に応じて、前記(a)〜(c)のグループの元素の1種以上を選択的に含有させることができる。すなわち、前記(a)〜(c)のグループの元素の1種以上を任意添加元素として添加し、含有させてもよい。
【0074】
以下、上記の任意添加元素に関して説明する。
【0075】
Mo、Ta、W、Ti、V、Zr、Nb及びHf:(a)グループ
これらの元素はいずれも炭化物形成元素であり、添加すれば、浸炭層の成長を抑制して耐メタルダスティング性を高める作用を有する。又、上記の各元素には高温強度を高める作用もある。
【0076】
前記の効果を確実に得るには、Mo、Ta及びWはいずれも0.05%以上の含有量とすることが好ましく、Ti、V、Zr、Nb及びHfはいずれも0.01%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、Moを10%を超えて、Ta及びWを5%を超えて、Tiを1.4%を超えて、Zr及びNbを2.5%を超えて、V及びHfを1%を超えてそれぞれ含有させると、熱間加工性、靱性及び溶接性の低下を招く。
【0077】
したがって、Mo、Ta、W、Ti、V、Zr、Nb及びHfを添加する場合のそれぞれの含有量は、Moは0.05〜10%、Taは0.05〜5%、Wは0.05〜5%、Tiは0.01〜1.4%、Vは0.01〜1%、Zrは0.01〜2.5%、Nbは0.01〜2.5%及びHfは0.01〜1%とするのがよい。添加する場合の好ましい含有量の範囲は、Moが1〜10%、Ta及びWがいずれも0.5〜5%、Tiが0.01〜0.8%、Zr及びNbがいずれも0.01〜2.0%、V及びHfがいずれも0.01〜0.6%である。添加する場合の更に好ましい含有量の範囲は、Moが1〜8%、Ta及びWがいずれも1〜3%、Tiが0.01〜0.4%、Zr及びNbがいずれも0.02〜1.6%、Vが0.01〜0.3%、Hfが0.02〜0.6%である。
【0078】
上記のMo、Ta、W、Ti、V、Zr、Nb及びHfはいずれか1種のみ、又は2種以上の複合で添加することができる。
【0079】
(1)の発明に係る耐メタルダスティング金属材料に、上記のMo、Ta、W、Ti、V、Zr、Nb及びHfのいずれか1種のみ、又は2種以上を複合して含有させることによって、(2)の発明に係る耐メタルダスティング金属材料が得られる。
【0080】
fn2:
既に述べたように、本発明者らは、金属材料中で安定な炭化物を作る元素の含有量と浸炭層の成長を抑制する効果との関係について検討した。
【0081】
その結果、金属材料中で安定な炭化物を作るMo、Ta、W、Ti、V、Zr、Nb及びHfが浸炭層の成長を抑制する効果はほぼ原子濃度に比例しており、含有量をMo及びWは原子濃度の1/2、他の元素は原子濃度として、それらの合計の濃度を指数とすればその指数によって、すなわち、前記▲2▼式で表されるfn2の値によって、浸炭層の成長抑制効果、したがって、耐メタルダスティング性が整理できることが明らかになった。
【0082】
fn2の値が大きいほど、耐メタルダスティング性、つまり、メタルダスティング発生の抑制効果も大きくなり、fn2の値が0.003以上の場合に、特に、良好な耐メタルダスティング性が確保できる。したがって、前記▲2▼式で表されるfn2の値を0.003以上とするのがよい。なお、fn2の値は0.005以上とするのが更に好ましく、0.007以上であれば一層好ましい。
【0083】
(2)の発明に係る耐メタルダスティング金属材料において、上記fn2の値が0.003以上となるようにMo、Ta、W、Ti、V、Zr、Nb及びHfのいずれか1種のみ、又は2種以上を複合して含有させることによって、(3)の発明に係る耐メタルダスティング金属材料が得られる。
【0084】
B、Ca及びMg:(b)グループ
これらの元素は、添加すれば、いずれも熱間加工性を高める作用を有する。この効果を確実に得るには、いずれも0.0005%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、Bの含有量が0.02%を超えると、金属材料が脆化するとともに融点が低下して熱間加工性と溶接性の低下を招く。又、Ca及びMgは、いずれも0.02%を超える含有量では、酸化物系介在物となって製品表面品質の劣化や耐食性の低下を招く。したがって、B、Ca及びMgを添加する場合の含有量は、いずれも0.0005〜0.02%とするのがよい。いずれの元素も含有量の好ましい範囲は0.0005〜0.015%、より好ましい範囲は0.0005〜0.012%である。なお、これらの元素はいずれか1種のみ又は2種以上の複合で添加することができる。
【0085】
(1)〜(3)の発明に係る耐メタルダスティング金属材料に、上記のB、Ca及びMgのいずれか1種のみ、又は2種以上を複合して含有させることによって、(4)の発明に係る耐メタルダスティング金属材料が得られる。
【0086】
La、Ce、Nd及びY:(c)グループ
これらの元素は、添加すれば、いずれも使用環境において金属材料表面に生成するCrやAlを含む酸化皮膜の均一性を良好にして密着性を向上させ、耐食性を高める作用を有する。この効果を確実に得るには、いずれも0.005%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、いずれの元素もその含有量が0.3%を超えると、粗大な酸化物を形成して靱性や熱間加工性の低下を招き、又、表面疵の発生を多くする。したがって、La、Ce、Nd及びYを添加する場合の含有量は、いずれも0.005〜0.3%とするのがよい。いずれの元素も含有量の好ましい範囲は0.005〜0.1%、より好ましい範囲は0.005〜0.07%である。なお、これらの元素はいずれか1種のみ又は2種以上の複合で添加することができる。
【0087】
(1)〜(4)の発明に係る耐メタルダスティング金属材料に、上記のLa、Ce、Nd及びYのいずれか1種のみ、又は2種以上を複合して含有させることによって、(5)の発明に係る耐メタルダスティング金属材料が得られる。
【0088】
Fe:
Feは本発明に係る耐メタルダスティング金属材料にとって、実質的な残部元素である。しかし、Feは金属材料の表面に生成するCr、Al及びSiの酸化皮膜の緻密度を低下させてしまう。上記の金属材料の表面に生成する酸化皮膜は緻密、且つ金属材料との密着性に優れる方が、Cの金属材料中への侵入を遮断する効果が大きく、この場合に良好な耐メタルダスティング性が得られる。したがって、上記酸化皮膜の緻密度を低下させるFeの含有量は低減するほうがよいが、Fe含有量の過度の低減はコスト高を招くため、0%にする必要はない。この場合、Feの含有量が10%以下であれば、上記酸化皮膜によるCの金属材料中への侵入遮断効果に対する悪影響は小さいので、Feの含有量は10%以下にまで低減しておくのがよい。Feの含有量のより好ましい上限は9%、一層好ましい上限は8%である。
【0089】
(1)〜(5)の発明に係る耐メタルダスティング金属材料に実質的な残部元素として含まれるFeの含有量を制限することによって、(6)の発明に係る耐メタルダスティング金属材料が得られる。
【0090】
なお、(1)〜(6)の発明に係る耐メタルダスティング金属材料において、Siの含有量を1.1〜4%、且つfn1の値を95以上とすることで、一層良好な耐メタルダスティング性が得られる。更に、上記のSi含有量とfn1の値の規定に加えて、Alの含有量を0.005〜0.5%とすれば、より一層良好な熱間加工性と溶接性も得ることができる。
【0091】
又、(1)〜(6)の発明に係る耐メタルダスティング金属材料において、Alの含有量を2.6%以上4.5%未満、且つfn1の値を85以上とすることで、一層良好な耐メタルダスティング性が得られる。更に、上記のAl含有量とfn1の値の規定に加えて、Siの含有量を0.01〜0.5%とすれば、より一層良好な熱間加工性と溶接性も得ることができる。
【0092】
上記の各場合において、更に、Feの含有量を10%以下にまで低減すれば極めて良好な耐メタルダスティング性が得られる。
【0093】
(1)〜(6)の発明に係る耐メタルダスティング金属材料は、特に、炭化水素、CO及びH2 の含有量の総和が25vol%以上、炭化水素とCOとの合計が1vol%以上、且つ1000℃以下の雰囲気中における耐メタルダスティング性に優れている。このため、これらの耐メタルダスティング金属材料を石油化学プラントの熱交換型改質装置や廃熱回収装置における反応管や周辺機器等の部材に適用すれば、装置の耐久性及び安全性を大幅に向上させることができる。つまり、(1)〜(6)の発明に係る耐メタルダスティング金属材料は上記環境に曝される部材用として適している((7)の発明)。
【0094】
本発明に係る耐メタルダスティング金属材料は、鋼やその他の金属材料に適用される一般的な製造工程によって、すなわち、溶解、鋳造、熱間加工、冷間加工、溶接等の手段によって、継目無管、溶接管、板及び棒等の所要の形状に成形すればよく、粉末冶金や遠心鋳造等の手法によって所要の形状に成形してもよい。
【0095】
(9)の発明は、成形後の形状が「管」に関するものである。
【0096】
なお、成形した後に、例えば1050〜1250℃に加熱する均一化処理(固溶化熱処理)を施してもよい。更に、成形した後、又は均一化処理を施した後で、金属材料表面に対し、酸洗、ショットブラスト、グラインダ研磨及び電解研磨等の表面加工処理を施してもよい。
【0097】
本発明に係る耐メタルダスティング金属材料は、メタルダスティングが発生する雰囲気で優れた耐性を発揮することから、これを単独で使用するだけではなく、2層以上の複層金属材料として用いてもよい。
【0098】
複層金属材料として用いる場合、メタルダスティングが発生する雰囲気に本発明に係る耐メタルダスティング金属材料が面しておりさえすればよいので、少なくとも最外層の一方を本発明に係る耐メタルダスティング金属材料で構成しておけばよい((8)の発明)。この場合、支持部材(強度部材)は炭素鋼、ステンレス鋼、Ni基合金及びCo基合金等のいずれか1種以上の組合せで構成すればよい。
【0099】
本発明に係る複層金属材料を製造する方法は特に限定されるものではない。例えば、通常の圧接又は溶接によって接合した後に、熱間加工や冷間加工を施して、所要の形状に成形すればよい。
【0100】
(10)の発明は、成形後の形状が「管」に関するものである。
【0101】
なお、メタルダスティングが発生する雰囲気に面する複層金属材料の層を肉盛溶接や化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)やメッキ等の表面処理によって作製してもよい。上記表面処理層が、本発明に係る耐メタルダスティング金属材料の成分範囲内にあれば、メタルダスティングに対する抵抗性を高めることができる。
【0102】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0103】
表1〜6に示す化学組成の金属材料を高周波加熱真空炉を用いて溶製し、通常の方法で熱間鍛造した後、1200℃で固溶化熱処理を施し、厚さ20mmの板材を作製した。次いで、この厚さ20mmの板材から、厚さ4mm、幅10mm、長さ20mmの試験片を切り出した。
【0104】
【表1】
【0105】
【表2】
【0106】
【表3】
【0107】
【表4】
【0108】
【表5】
【0109】
【表6】
【0110】
このようにして得た各金属材料の試験片を用いて、体積比で26%H2 −60%CO−11.5%CO2 −25%H2O の雰囲気中で、650℃にて1000時間保持する試験を行った。
【0111】
次いで、試験片の表面堆積物を除去し、超音波洗浄を施した後、深度測定器によって最大の減肉深さを測定し、耐メタルダスティング性を評価した。
【0112】
又、固溶化熱処理を施した厚さ20mmの板材から、厚さ2mmの板状引張試験片を作製し、650℃で引張試験を行って引張強度を測定することも行った。
【0113】
上記の各調査結果を表7にまとめて示す。
【0114】
【表7】
【0115】
表7から、化学組成が本発明で規定する条件を満たす試験番号1〜35の金属材料は、最大減肉深さが極めて小さく耐メタルダスティング性に優れ、更に、650℃での引張強度も大きく高温強度にも優れていることが明らかである。
【0116】
これに対して、化学組成が本発明で規定する条件から外れた金属材料のうち、試験番号36の金属材料は耐メタルダスティング性と高温強度のいずれにも劣っており、試験番号37及び38の金属材料は耐メタルダスティング性に劣っている。
【0117】
【発明の効果】
本発明の金属材料は、耐メタルダスティング性及び高温強度に優れているので、石油精製や石油化学プラントなどにおける加熱炉管、配管、或いは熱交換器管などに利用することができ、装置の耐久性や安全性を大幅に向上させることができる。
Claims (10)
- 質量%で、C:0.2%以下、Si:0.01〜4%、Mn:0.01〜2%、P:0.03%以下、S:0.01%以下、Cr:15〜35%、Ni:40〜78%、Al:0.005%以上4.5%未満、N:0.001〜0.2%、Cu:3%を超えて10%まで及びCo:7%未満で、且つCuとCoの含有量の和であるCu(%)+Co(%):3%を超えて10%までを含有し、残部はFe及び不純物からなり、下記▲1▼式で表されるfn1の値が80以上であることを特徴とする耐メタルダスティング性を有する金属材料。
fn1=40Si+Ni+5Al+40N+10(Cu+Co)・・・・▲1▼
ここで、▲1▼式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。 - 質量%で、C:0.2%以下、Si:0.01〜4%、Mn:0.01〜2%、P:0.03%以下、S:0.01%以下、Cr:15〜35%、Ni:40〜78%、Al:0.005%以上4.5%未満、N:0.001〜0.2%、Cu:3%を超えて10%まで及びCo:7%未満で、且つCuとCoの含有量の和であるCu(%)+Co(%):3%を超えて10%までを含有し、更に以下に示す(a)のグループの成分のうちの少なくとも1種を含み、残部はFe及び不純物からなり、下記▲1▼式で表されるfn1の値が80以上であることを特徴とする高温強度に優れた耐メタルダスティング金属材料。
(a)Mo:0.05〜10%、Ta:0.05〜5%、W:0.05〜5%、Ti:0.01〜1.4%、V:0.01〜1%、Zr:0.01〜2.5%、Nb:0.01〜2.5%及びHf:0.01〜1%
fn1=40Si+Ni+5Al+40N+10(Cu+Co)・・・・▲1▼
ここで、▲1▼式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。 - 質量%で、C:0.2%以下、Si:0.01〜4%、Mn:0.01〜2%、P:0.03%以下、S:0.01%以下、Cr:15〜35%、Ni:40〜78%、Al:0.005%以上4.5%未満、N:0.001〜0.2%、Cu:3%を超えて10%まで及びCo:7%未満で、且つCuとCoの含有量の和であるCu(%)+Co(%):3%を超えて10%までを含有し、更に以下に示す(a)のグループの成分のうちの少なくとも1種を含み、残部はFe及び不純物からなり、下記▲1▼式で表されるfn1の値が80以上、且つ下記▲2▼式で表されるfn2の値が0.003以上であることを特徴とする高温強度に優れた耐メタルダスティング金属材料。
(a)Mo:0.05〜10%、Ta:0.05〜5%、W:0.05〜5%、Ti:0.01〜1.4%、V:0.01〜1%、Zr:0.01〜2.5%、Nb:0.01〜2.5%及びHf:0.01〜1%
fn1=40Si+Ni+5Al+40N+10(Cu+Co)・・・・▲1▼、
fn2=(Mo/192)+(Ta/181)+(W/368)+(Ti/48)+(V/51)+(Zr/92)+(Nb/93)+(Hf/179)・・・・▲2▼
ここで、各式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。 - Feの一部に代えて、以下に示す(b)のグループの成分のうちの少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の高温強度に優れた耐メタルダスティング金属材料。
(b)B:0.0005〜0.02%、Ca:0.0005〜0.02%及びMg:0.0005〜0.02% - Feの一部に代えて、以下に示す(c)のグループの成分のうちの少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の高温強度に優れた耐メタルダスティング金属材料。
(c)La:0.005〜0.3%、Ce:0.005〜0.3%、Nd:0.005〜0.3%及びY:0.005〜0.3% - Feの含有量が0%を超えて10%以下であることを特徴とする請求項1から5までのいずれかに記載の高温強度に優れた耐メタルダスティング金属材料。
- 炭化水素、CO及びH2 の含有量の総和が25vol%以上、炭化水素とCOとの合計が1vol%以上、且つ1000℃以下の雰囲気で使用する部材用であることを特徴とする請求項1から6までのいずれかに記載の高温強度に優れた耐メタルダスティング金属材料。
- 請求項1から6までのいずれかに記載の高温強度に優れた耐メタルダスティング金属材料の層を1又は複数含み、且つ少なくとも最外層の一部が前記の高温強度に優れた耐メタルダスティング金属材料の層であることを特徴とする複層金属材料。
- 素材が請求項1から6までのいずれかに記載の高温強度に優れた耐メタルダスティング金属材料であることを特徴とする金属管。
- 素材が請求項8に記載の複層金属材料であって、外面が高温強度に優れた耐メタルダスティング金属材料の層であることを特徴とする複層金属管。
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