JP2006028314A - 複合材料及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 簡便な方法により、互いに性質の異なるポリアミド系樹脂と熱可塑性ポリウレタン系樹脂とを加熱溶融下に混合混練し、十分な引っ張り伸度を有し、疲労特性や磨耗特性にも優れ、かつ成形品に千枚めくれなどの表層の乱れをも生じない均一な複合材料を得る。
【解決手段】 ポリアミド系樹脂(I)と、熱可塑性ポリウレタン系樹脂(II)とを構成成分とする複合材料において、前記ポリアミド系樹脂(I)として、10mmol/kg以上のアミノ基を有するポリアミド系樹脂(I)を使用する。このようなポリアミド系樹脂(I)の使用により、混合相中の各相間の接合が強固となり、目的の均一な複合材料を得ることができる。このとき、ポリアミド系樹脂中のアミノ基を有する成分を、一分子中に一個のアミノ基を有する成分で構成することにより、より均一な複合材料を得ることができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、特定のポリアミド系樹脂と熱可塑性ポリウレタン系樹脂とを構成成分とする複合材料及びその製造方法に関する。
ポリアミド系樹脂は、強度、疲労、磨耗などの機械特性に優れ、広範囲に工業用部品の材料として使用されてきた。しかし、一部の用途では、ポリアミド樹脂の持つこれらの優れた物性の根源である靭性はそのまま維持され、硬度面では、寧ろ、より柔軟性に富む材料が求められている。消音性の各種歯車類、工業用チューブホース類、靴底などの(スポーツ)シューズ部品などがその例である。
これらの要望に対応するため、上記分野では、ポリアミド系樹脂の中でも比較的柔軟性に優れるポリアミド11、あるいはポリアミド12系の材料が好んで使用されてきた。これらの材料は、ポリアミド6やポリアミド66に比べて、吸水率が小さく、物性や寸法が安定する上に耐寒性にも優れるなどの利点があった。さらに、ポリアミド11及び12は可塑剤を添加して使用することが容易であり、弾性率を大幅に低減することが出来るため、前記用途などでは柔軟性ポリアミドとして重用されてきた。
しかしながら、可塑剤による柔軟化は、低温において硬度が上昇する、高温においては可塑剤が徐々に揮発逸散する、クリープ性が大きくなる、そのほか、樹脂中にブレンドされた安定剤などが浸出し、成形品表面に粉を吹きやすいなどの欠点があった。
これらの問題を解決する方法として、ポリアミド系樹脂とポリウレタン系樹脂とをブレンドすることが度々試みられてきた。また、ポリウレタン系樹脂側においても耐熱性や耐薬品性を改善するために、あるいは、硬度を調整するために、ポリアミド樹脂とのブレンドを検討する事例が多数あった。
一般に複数の材料を混合する場合、混合される材料間に十分な相溶性が無い場合には、一方の材料が他方の材料の中に分散し、いわゆる海島構造を持った組成物となる。このような組成物では、海と島を形成する両相の界面は接着していない。そのため、この種の組成物(ブレンド物)では、相と相の界面での剥離が起こりやすく、実用上多くの問題を引き起こす。このような問題としては、例えば、成形品に均一な表面が得られない、成形品の表層部が剥離してくる(いわゆる、「千枚めくれ」や「するめ」など)、ゲート部の白化や亀裂(いわゆる、「ささら」)あるいは、疲労特性や磨耗特性が低下する、引っ張り試験において十分な引っ張り伸度が得られないなどが挙げられる。
前記のようなポリアミド系樹脂とポリウレタン系樹脂のブレンドにおいても、傾向を同じくし、単純な両者の混合系では実用に耐えうる材料を得ることは困難であった。
このような問題の解決策として、両樹脂相の界面での接着性を改善するために、混合される材料の何れにも相溶性を有する材料や反応性を有する材料を第三成分(相溶化剤)として混合混練に際して添加することが検討されてきた。これらの相溶化剤としては、マレイン酸、アクリル酸などで酸変性されたオレフィン系樹脂(三井・デュポンケミカル製 ハイミランH17056 ニュクレルN1035 EVAFLEXA703、日本ポリオレフィン製 レクスパールなど)や、各種エポキシ変性樹脂(日本油脂製 マープルーフG1005SA、東都化成製 YD7020、鐘淵化学製 AGE107など)などが知られている。しかし、ポリアミド系樹脂とポリウレタン系樹脂とのブレンド物に対して、このような相溶化剤を使用しても、接着性を十分に改善することは困難であるだけでなく、むしろ、引っ張り強度や衝撃強度、特に破断伸度が大きく低下するおそれがある。
なお、ポリアミド系樹脂の樹脂部材と、熱可塑性ポリウレタン系樹脂の樹脂部材とが、互いの接触面において接着又は接合した複合部材に関し、WO2004/050363号公報(特許文献1)には、ポリアミド系樹脂で構成された樹脂部材(Ia)と、熱可塑性ポリウレタン系樹脂で構成された樹脂部材(IIa)とが直接接合した複合成形体であって、前記ポリアミド系樹脂が、10mmol/kg以上のアミノ基を有する複合成形体が開示されている。
WO2004/050363号公報(請求項1)
従って、本発明の目的は、相溶化剤などの第三成分を使用することなく、ポリアミド系樹脂と熱可塑性ポリウレタン系樹脂とで構成された複合材料を提供することにある。
本発明の他の目的は、ポリアミド系樹脂と熱可塑性ポリウレタン系樹脂とが強固に接合(又は直接接合)し、引張強度、疲労特性や磨耗特性などに優れた複合材料を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、ポリアミド系樹脂と熱可塑性ポリウレタン系樹脂とで構成され、高いレベルで成形不良(例えば、千枚めくれなどの表層の乱れ)が抑制された複合材料を提供することにある。
本発明の別の他の目的は、複雑な製造工程を経ることなく、最も合理的な方法で、ポリアミド系樹脂と熱可塑性ポリウレタン系樹脂とが強固に接合した複合材料を製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、前記のような相溶化剤(マレイン酸、アクリル酸などで酸変性されたオレフィン系樹脂、各種エポキシ変性樹脂など)の使用を検討したが、ポリアミド系樹脂とポリウレタン系樹脂のブレンドへの有効性は殆ど見出し得なかった。これらの添加剤はベースレジンに対して通常数%から10%程度を添加するが、その結果、寧ろ、引っ張り強度や衝撃強度、特に破断伸度が大きく低下するなどの逆効果が多くの事例で見られ、また白化などの色相の変化を伴うことも多かった。
また、本発明者らは、両材料の相間剥離を抑えるため、ポリアミド樹脂として、分子中にポリエーテルセグメントを導入(例えば、ポリアミド系ブロック共重合体とする)したポリアミド樹脂を調製することにより、ポリウレタン樹脂との分子構造上の類似性を持たせ、両者の相溶性を向上させる試みも行った。しかし、ポリエーテル系ポリアミドブロック共重合体とポリエーテル系ポリウレタン樹脂との間では、ある程度の効果は得られるものの、ポリウレタン樹脂が、ポリエステルやポリカーボネート系のポリウレタン樹脂の場合には、ほとんど有効ではなかった。
そこで、本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、特定濃度で遊離のアミノ基を有するポリアミド系樹脂を用いると、(i)相溶化剤などを使用することなく、広範囲の熱可塑性ポリウレタン系樹脂(以下、単にポリウレタン系樹脂という場合がある)とのブレンド物(複合材料)が得られること、(ii)この複合材料を構成する両樹脂が、相間において高くかつ安定した接合強度で接合(直接接合)しており、引張強度(又は引っ張り伸度)(詳細には、引っ張り試験における引っ張り伸度)、疲労特性や磨耗特性にも優れていること、(iii)成形不良(例えば、成形品における千枚めくれなどの表層の乱れ)を著しく抑制できる(又は生じない)こと、さらには(iv)合理的でかつ経済的な工程の下で商業的に有利に、前記複合材料を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の複合材料は、ポリアミド系樹脂(I)と、熱可塑性ポリウレタン系樹脂(II)とを構成成分とする複合材料であって、前記ポリアミド系樹脂(I)が、10mmol/kg以上のアミノ基を有している。前記複合材料では、通常、ポリアミド系樹脂(I)と熱可塑性ポリウレタン系樹脂(II)とが、ポリマーブレンドを形成していてもよく、かつ相溶化剤などの第3成分を介することなく、直接接合していてもよい。
前記ポリアミド系樹脂(I)は、脂肪族ポリアミド系樹脂、脂環族ポリアミド系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂及びポリアミドブロック共重合体から選択された少なくとも一種であってもよい。
前記ポリアミド系樹脂(I)は、ポリアミド系樹脂(単一又は複数のポリアミド系樹脂)で構成されていてもよく、ポリアミド系樹脂(単一又は複数のポリアミド系樹脂)およびアミノ基を有する化合物で構成されていてもよい。具体的には、前記ポリアミド系樹脂(I)は、下記の(Ia-1)、(Ia-2)および(Ia-3)から選択された少なくとも1種で構成してもよい。
(Ia-1):単一のポリアミド系樹脂であって、10mmol/kg以上のアミノ基を有するポリアミド系樹脂
(Ia-2): アミノ基含有量が異なる複数のポリアミド系樹脂の混合物であって、10mmol/kg以上のアミノ基を有するポリアミド系樹脂
(Ia-3):ポリアミド系樹脂と、アミノ基を有する化合物とを含むポリアミド系樹脂組成物であって、10mmol/kg以上のアミノ基を有するポリアミド系樹脂組成物
なお、前記ポリアミド系樹脂(I)において、ポリアミド系樹脂(I)を構成するアミノ基を有する成分(例えば、前記ポリアミド系樹脂および前記アミノ基を有する化合物から選択された少なくとも1種のアミノ基を有する成分)の一部又はその全部を、一分子あたり一個のアミノ基を有する成分で構成してもよい。例えば、ポリアミド系樹脂(I)に含まれるアミノ基のうち、一分子あたり一個のアミノ基を有する成分に帰属(又は由来)するアミノ基の割合(又は数)が、ポリアミド系樹脂(I)に含まれるアミノ基全体(又はアミノ基の全数量)の40%以上(例えば、45〜100%程度)を占めていてもよい。
ポリアミド系樹脂組成物(Ia-3)において、前記アミノ基を有する化合物は、モノアミン(又はモノアミン化合物)、ポリアミン(又はポリアミン化合物)、及びポリアミドオリゴマーから選択された少なくとも一種であってもよく、特に、ポリアミドオリゴマーであってもよい。また、ポリアミド系樹脂組成物(Ia-3)において、前記アミノ基を有する化合物の割合は、ポリアミド系樹脂100重量部に対して、例えば、0.01〜30重量部程度であってもよい。代表的なポリアミドオリゴマーを含むポリアミド系樹脂(I)としては、例えば、脂肪族ポリアミド系樹脂、脂環族ポリアミド系樹脂及びポリアミドブロック共重合体から選択された少なくとも一種のポリアミド系樹脂と、ポリアミドオリゴマーとで構成されたポリアミド系樹脂(I)などが含まれる。特に、ポリアミドオリゴマーを使用する場合、ポリアミドオリゴマーの割合は、ポリアミド系樹脂100重量部に対して、例えば、1〜30重量部程度であってもよい。
前記熱可塑性ポリウレタン系樹脂(II)は、例えば、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(例えば、ポリエステルポリウレタン)で構成されていてもよい。
代表的な複合材料では、ポリアミド系樹脂(I)が、脂肪族ポリアミド系樹脂及びポリアミドブロック共重合体から選択された少なくとも一種で構成されており、熱可塑性ポリウレタン系樹脂(II)が、ポリエーテルウレタンエラストマー、ポリエステルエーテルウレタンエラストマー及びポリカーボネートウレタンエラストマーから選択された少なくとも一種で構成されていてもよい。
前記ポリアミド系樹脂(I)と前記熱可塑性ポリウレタン系樹脂(II)との割合は、例えば、前者/後者(重量比)=95/5〜5/95程度であってもよい。
本発明の複合材料は、前記ポリアミド系樹脂(I)(すなわち、10mmol/kg以上のアミノ基を有するポリアミド系樹脂(I))、及び熱可塑性ポリウレタン系樹脂(II)を混練(通常、溶融混練)することにより製造してもよい。
本発明には、ポリアミド系樹脂と熱可塑性ポリウレタン系樹脂とを構成成分とする複合材料において、前記ポリアミド系樹脂として、10mmol/kg以上のアミノ基を有するポリアミド系樹脂を使用することにより、前記複合材料の成形不良を防止(又は低減又は抑制)する方法も含まれる。
なお、本明細書において、「樹脂」とは、「樹脂組成物」を含む意味に用いる。また、本明細書において「複合材料」とは、分子構造、組成、あるいは性質の異なる複数の樹脂材料を「混練」(又は「混合混練」)して得られる材料(ポリマーブレンド)であって、「混練」と「ブレンド」「コンパウンディング」とは同じ意味であり、このようにして得られる複合材料には、樹脂アロイ(ポリマーアロイ)も含まれる。
また、本明細書において、「相溶化剤」とは、相互に相溶しない複数の材料を混練(混合混練)して複合材料を得る場合、両材料からなる相と相の界面に第三成分として存在し、両界面の接着、あるいは接合に寄与する添加剤を意味し、複合化される材料自体の改質剤を意味しない。
さらに、本明細書では「相間剥離」と「層間剥離」とを区別して使用している。「相間剥離」とは相互に相溶性を有しない材料間の分散系において、一方の相(例えば、海を形成する相)が他方の相(例えば、島を形成する相)から剥離する現象をいい、分散系を形成するモルフォロジーに関わる現象である。一方、「層間剥離」とは、上記分散系からなる組成物を成形して得られた成形品に、外力(例えば、延伸するなど)を加えた場合に、前記成形品表面層が、深部から剥離してくるなどの現象を指し、「相間剥離」を原因とするマクロな現象を示す。
本発明では、特定のポリアミド系樹脂と熱可塑性ポリウレタン系樹脂とを、混練(通常、加熱溶融下に混合混練)するので、相溶化剤などの第三成分を使用することなく(詳細には、第三成分を両樹脂の相間に介在させることなく)、ポリアミド系樹脂と熱可塑性ポリウレタン系樹脂とで構成された複合材料を得ることができる。また、このような複合材料は、ポリアミド系樹脂と熱可塑性ポリウレタン系樹脂とが強固に接合(又は直接接合)しており、引張強度、疲労特性や磨耗特性などに優れている。さらに、このような複合材料では、高いレベルで成形不良(例えば、成形品における千枚めくれなどの表層の乱れ)を抑制できる。また、本発明では、複雑な製造工程を経ることなく、最も合理的な方法で、ポリアミド系樹脂と熱可塑性ポリウレタン系樹脂とが強固に接合した複合部材を製造できる。
[複合成形体]
本発明の複合材料は、ポリアミド系樹脂(I)と、熱可塑性ポリウレタン系樹脂(II)とを構成成分とする複合材料であって、前記ポリアミド系樹脂(I)は、特定濃度のアミノ基(10mmol/kg以上のアミノ基)を有している。
[ポリアミド系樹脂(I)]
ポリアミド系樹脂(I)(又はポリアミド系樹脂(I)を構成するポリアミド系樹脂、以下、単にポリアミド系樹脂ということがある)としては、脂肪族ポリアミド系樹脂、脂環族ポリアミド系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂などが挙げられ、各種ホモポリアミド及びコポリアミドなどが使用できる。
脂肪族ポリアミド系樹脂のうち、ホモポリアミドとしては、脂肪族ジアミン成分[テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ドデカンジアミンなどの炭素数4〜16のアルキレンジアミン(好ましくは炭素数4〜14のアルキレンジアミン、特に炭素数6〜12のアルキレンジアミン)]と脂肪族ジカルボン酸成分[アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの炭素数4〜20程度のアルキレンジカルボン酸(好ましくは炭素数4〜16のアルキレンジカルボン酸、特に炭素数6〜14のアルキレンジカルボン酸)など]との縮合物(例えば、ポリアミド46、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド1010など)、ラクタム[ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどの炭素数4〜20(好ましくは炭素数4〜16)程度のラクタムなど]又はアミノカルボン酸[ω−アミノウンデカン酸などの炭素数4〜20(好ましくは炭素数4〜16)程度のアミノカルボン酸など]のホモポリアミド(例えば、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12など)などが例示できる。また、コポリアミドとしては、前記脂肪族ジアミン成分、脂肪族ジカルボン酸成分、ラクタム及びアミノカルボン酸などのポリアミドを構成し得るモノマー成分が共重合したコポリアミド、例えば、6−アミノカプロン酸と12−アミノドデカン酸との共重合体;6−アミノカプロン酸、12−アミノドデカン酸、ヘキサメチレンジアミン及びアジピン酸の共重合体;ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸、水添ダイマー酸及び12−アミノドデカン酸の共重合体;ポリアミド6/11,ポリアミド6/12,ポリアミド66/11,ポリアミド66/12,ポリアミド6/12/612などが挙げられる。
脂環族ポリアミド系樹脂としては、少なくとも脂環族ジアミン及び脂環族ジカルボン酸から選択された少なくとも一種を構成成分とするホモポリアミド又はコポリアミドなどが挙げられ、例えば、ポリアミド系樹脂を構成するジアミン成分及びジカルボン酸成分のうち、少なくとも一部の成分として脂環族ジアミン及び/又は脂環族ジカルボン酸を用いることにより得られる脂環族ポリアミドなどが使用できる。前記ジアミン成分及びジカルボン酸成分として、脂環族ジアミン及び/又は脂環族ジカルボン酸と共に、前記例示の脂肪族ジアミン及び/又は脂肪族ジカルボン酸を併用するのが好ましい。このような脂環族ポリアミド系樹脂は、透明性が高く、いわゆる透明ポリアミドとして知られている。
前記脂環族ジアミンとしては、ジアミノシクロヘキサンなどのジアミノシクロアルカン(ジアミノ炭素数5〜10シクロアルカンなど);ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4’−アミノシクロヘキシル)プロパンなどのビス(アミノシクロアルキル)アルカン[ビス(アミノ炭素数5〜8シクロアルキル)炭素数1〜3アルカンなど];水添キシリレンジアミンなどが挙げられる。また、前記脂環族ジカルボン酸としては、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸などのシクロアルカンジカルボン酸(炭素数5〜10シクロアルカン−ジカルボン酸など)などが挙げられる。
脂環族ポリアミド系樹脂のうち、前記脂肪族ジカルボン酸と脂環族ジアミンとの縮合体(ホモ又はコポリアミド)などが好ましい。
芳香族ポリアミド系樹脂には、前記脂肪族ポリアミドにおいて、脂肪族ジアミン成分及び脂肪族ジカルボン酸成分のうち少なくとも一方の成分が芳香族成分であるポリアミド、例えば、ジアミン成分が芳香族成分であるポリアミド[MXD−6などの芳香族ジアミン(メタキシリレンジアミンなど)と脂肪族ジカルボン酸との縮合体など]、ジカルボン酸成分が芳香族成分であるポリアミド[脂肪族ジアミン(トリメチルヘキサメチレンジアミンなど)と芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸など)との縮合体など]などが含まれる。
なお、ポリアミド系樹脂には、ジアミン成分及びジカルボン酸成分が芳香族成分であるポリアミド[ポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)など]の全芳香族ポリアミド(アラミド)などを併用してもよい。
ポリアミド系樹脂には、さらに、ダイマー酸をジカルボン酸成分とするポリアミド、少量の多官能性ポリアミン及び/又はポリカルボン酸成分を用い、分岐鎖構造を導入したポリアミド、変性ポリアミド(N−アルコキシメチルポリアミドなど)、及びそれらの組成物なども含まれる。
また、ポリアミド系樹脂には、ポリアミドブロック共重合体も含まれる。このようなポリアミドブロック共重合体としては、例えば、ポリアミド−ポリエーテルブロック共重合体、ポリアミド−ポリエステルブロック共重合体、ポリアミド−ポリカーボネートブロック共重合体などが挙げられる。
このようなポリアミドブロック共重合体において、分子中に含まれるブロック(ポリエーテルブロックなど)は、ジオール成分、ジカルボン酸成分、ヒドロキシカルボン酸(又はオキシカルボン酸)成分などを構成成分(又は構成要素)とするブロック(通常、ソフトブロック又はソフトセグメント)であってもよい。これらの構成成分は、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。
ジオール成分としては、脂肪族ジオール[炭素数2〜12程度の脂肪族ジオール、例えば、直鎖状脂肪族ジオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオールなど)、分岐状脂肪族ジオール(2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなど)など]、脂環族ジオール、芳香族ジオール[置換基を有していてもよいジヒドロキシアレーン(例えば、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシトルエン、ジヒドロキシビフェニルなどのジヒドロキシ炭素数6〜12アレーンなど)、置換基を有していてもよいビスヒドロキシアリールアルカン(例えば、ビスフェノールAなどのビス(ヒドロキシ炭素数6〜10アリール)直鎖又は分岐状炭素数1〜4アルカンなど)]などが挙げられる。
ジカルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸(アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの炭素数4〜20程度のアルカンジカルボン酸)、脂環族ジカルボン酸(シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸などの炭素数5〜10のシクロアルカンジカルボン酸)、芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸など)などが挙げられる。ヒドロキシカルボン酸としては、脂肪族ヒドロキシカルボン酸(例えば、2−ヒドロキシプロピオン酸、一連のラクトンが開環した3−ヒドロキシブタン酸、5−ヒドロキシカプロン酸などの炭素数2〜10の脂肪族ヒドロキシカルボン酸)、脂環族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸などが挙げられる。
例えば、前記ポリアミド−ポリエーテルブロック共重合体とは、分子中に前記ジオール成分(単独又は2種以上のジオール成分)を構成成分とするポリエーテルを、ブロック又はセグメントの一つとして有するポリアミド共重合体である。また、前記ポリアミド−ポリエステルブロック共重合体とは、分子中に、(i)前記ジオール成分(単独又は2種以上のジオール成分)と、上記ジカルボン酸成分から選択された少なくとも一種とが縮合(重縮合)したポリエステル、あるいは、(ii)前記ヒドロキシカルボン酸成分(単独又は2種以上のヒドロキシカルボン酸成分)が縮合(重縮合)したポリエステル、(iii)前記ヒドロキシカルボン酸成分(単独又は2種以上のヒドロキシカルボン酸成分)と、前記ジオール成分(単独又は2種以上のジオール成分)および/または前記ジカルボン酸成分(単独又は2種以上のジカルボン酸成分)とが複合して縮合(重縮合)したポリエステルを、ブロック又はセグメントの一つとして有するポリアミド共重合体である。さらに、前記ポリカーボネート−ポリアミドブロック共重合体とは、分子中に上記ジオール成分(単独又は2種以上のジオール成分)のポリ炭酸エステルを、ブロック又はセグメントの一つとして有するポリアミド共重合体である。
なお、前記ポリエーテル(又はポリエーテルブロック)は、少なくとも末端(通常、少なくとも2つの末端)にアミノ基を有するポリエーテル(すなわち、ポリエーテルポリアミン)(又は少なくとも末端にイミノ基を有するポリエーテルセグメント)であってもよい。代表的なポリエーテルポリアミンには、下記式(1)で表される末端(両末端、2つの末端)にアミノ基を有する脂肪族ポリエーテル(ポリオキシアルキレンポリアミン)、下記式(2)で表される3以上の末端に(すなわち、2つの末端(両末端)および側鎖に)アミノ基を有する脂肪族ポリエーテル(ポリオキシアルキレンポリアミン)などが例示できる。
2N−[R1−(O−R2m−OR3−NH]n−H (1)
A−[(O−R4p−NH2q (2)
(式中、R1〜R4は、同一又は異なってアルキレン基、Aはアルカン骨格、m、nおよびpは1以上の整数、qは3以上の整数を示す。)
上記式(1)又は(2)において、基R1〜R4で表されるアルキレン基としては、限定されないが、同一又は異なって、例えば、C2-4アルキレン基(エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブタン−1,2−ジイル基など)などが例示でき、特に、C2-3アルキレン基(特に、エチレン基、プロピレン基)が好ましい。なお、m、n、p、qが複数である場合、それぞれのアルキレン基R1〜R4は互いに同一であってもよく、異なるアルキレン基であってもよい。例えば、mが複数であるとき、ポリオキシアルキレン単位が異種のアルキレンオキシ基(例えば、エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基との組合せ)で構成されていてもよい。
また、Aで表されるアルカン骨格としては、前記3官能以上の多価アルコールに対応するアルカン骨格、例えば、前記3官能以上の多価アルコールに対応するアルカン(例えば、プロパン、2,2−ジメチルプロパン、2,2−ジメチルブタンなどのC3-8アルカンなど)や、前記3官能以上の多価アルコールの縮合物に対応する(ポリ)アルコキシアルカン(ジプロピルエーテル、ジ(2,2−ジメチルブチル)エーテルなど)などが例示できる。
mおよびpは、それぞれ1以上の整数(例えば、1〜200程度)であればよく、好ましくは1〜100、さらに好ましくは1〜80程度であってもよい。また、nは、1以上の整数(例えば、1〜20程度)であればよく、好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜6(特に、1〜4)程度であってもよい。また、qは、3以上の整数であればよく、3官能以上の多価アルコール又はその縮合物の官能基数(ヒドロキシル基の数)に応じて、例えば、3〜10、好ましくは3〜8、さらに好ましくは3〜6程度であってもよい。
このようなアミノ基を有するポリエーテルとしては、例えば、ハンツマン社、サンテクノケミカル株式会社らが提供しているジェファーミン(登録商標)と称される一連のポリエーテル(例えば、ジェファーミン「XTJ−500」、「XTJ−502」、「ED−600」、「ED−2003」、「EDR−148」、「XTJ−504」、「D−230」、「D−400」、「D−2000」、「XTJ−510」、「D−4000」、「XTJ−511」、「XTJ−512」、「T−403」、「XTJ−509」、「XTJ−542」、「T−3000」、「T−5000」など)などとして入手できるポリエーテルを使用してもよいが、無論これらに限定されるものではない。
前記ポリアミドブロック共重合体において、共重合体に含まれるブロック(ポリエーテルブロック、ポリエステルブロック、ポリカーボネートブロックなど)は、ポリアミドに柔軟性を与える目的で(ソフトブロックとして)使用される場合が多い。このようなソフトブロック(又はソフトセグメント)とポリアミドブロック(ハードブロック又はハードセグメント)を有するポリアミドブロック共重合体は、ポリアミドエラストマーと呼称されている。
上記ポリアミドブロック共重合体は、反応性末端基(a)を有するポリアミドブロックと、前記反応性末端基(a)に対して反応性の反応性末端基(b)を有するブロック(例えば、ポリエーテルブロック、ポリエステルブロック、ポリカーボネートブロックの何れか、又はこれらの組み合わせ)と共重縮合することにより得られる。例えば、ポリアミド−ポリエーテルブロック共重合体(ポリエーテルアミド系のポリエーテルポリアミドブロック共重合体)は、アミノ基を末端基として有するポリアミドブロックとカルボキシル基を末端基として有するポリオキシアルキレンブロック(ポリエーテルブロック)とを共重縮合するか、又は、カルボキシル基を末端基として有するポリアミドブロックとアミノ基を末端基として有するポリオキシアルキレンブロック(ポリエーテルブロック、例えば、前記ポリエーテルポリアミンなど)とを共重縮合することにより得てもよい。また、ポリアミド−ポリエステルブロック共重合体(ポリエーテルエステルアミド系のポリエーテルポリアミドブロック共重合体)は、カルボキシル基を末端基として有するポリアミドブロックとヒドロキシル基を末端基として有するポリオキシアルキレンブロック(ポリエーテルブロック)とを共重縮合することにより得てもよい。これらは何れもポリアミドエラストマーとして一般に知られている。
なお、本発明において、ポリアミドブロック共重合体には、上記の如くポリアミドブロックとその他のブロック(ポリエーテルブロック、ポリエステルブロック、ポリカーボネートブロックなど)を共重縮合させることによって得られるものの他に、両末端にカルボキシル基を有するポリエーテルブロック、ポリエステルブロック、ポリカーボネートブロックから選択された少なくとも一種と、必要に応じて前記ジカルボン酸成分の共存の下で、各種ジイソシアナートを重付加させ、次いで脱炭酸させる事により得られるポリアミドブロック共重合体も含まれる。
前記ポリアミドブロック共重合体において、ブロック(ポリエーテルブロック、ポリエステルブロック、ポリカーボネートブロックなど、通常、ソフトセグメント)の数平均分子量は、例えば、100〜10,000程度の範囲から選択でき、好ましくは300〜6,000(例えば、300〜5,000)、さらに好ましくは500〜4,000(例えば、500〜3,000)程度であってもよい。
なお、上記ポリアミドブロック共重合体における前記ブロック(ソフトセグメント)の割合は、ポリアミド系樹脂(I)(又は組成物)全体に対して、例えば、10〜90重量%(例えば、10〜80重量%)、好ましくは20〜90重量%(例えば、20〜75重量%)、さらに好ましくは30〜90重量%(例えば、30〜70重量%)程度であってもよい。また、前記ポリアミドブロック共重合体において、ポリアミドブロック(ポリアミドセグメント)と、前記ブロック(ソフトセグメント)との割合(重量比)は、特に制限されず、例えば、前者/後者=9/1〜2/8、好ましくは9/1〜2.5/7.5、さらに好ましくは8/2〜3/7、特に7/3〜4/6程度であってもよい。
上記に例示した各種ポリアミド樹脂のうち、ポリアミド系樹脂(I)(又はポリアミド系樹脂(I)を構成するポリアミド系樹脂)の数平均分子量は、6,000〜100,000、好ましくは8,000〜50,000、さらに好ましくは10,000〜30,000程度であってもよい。
また、ポリアミド系樹脂(I)(又はポリアミド系樹脂(I)を構成するポリアミド系樹脂)の融点は、例えば、80℃〜300℃、好ましくは90℃〜260℃、さらに好ましくは100℃〜230℃程度であってもよい。なお、融点の測定方法は、特に限定されないが、例えば、窒素雰囲気下、DSC装置(示差走査熱量測定装置、例えば、DSCセイコー電子部品(株)製DSC220Cなど)を用い、室温から250℃まで10℃/min(分)の速度で昇温し(昇温ファーストランと呼ぶ)、250℃で10分間保持の後、−80℃まで10℃/min(分)の速度で降温し(降温ファーストランという)、次いで250℃まで10℃/min(分)の速度で昇温し(昇温セカンドランという)、このうちの、昇温セカンドランにおける吸熱ピーク温度を融点として測定してもよい。
好ましいポリアミド系樹脂には、脂肪族ポリアミド系樹脂、ポリアミドブロック共重合体、特に、上記平均分子量(および融点)を有する脂肪族ポリアミド系樹脂、ポリアミドブロック共重合体などが含まれる。これらの樹脂は、熱可塑性ポリウレタン系樹脂と成形温度領域、又は溶融領域での流動特性が比較的近似しており、両者の混合混練作業が容易で都合がよい。
ポリアミド系樹脂は、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。
ポリアミド系樹脂(I)は、前記のように、特定の濃度でアミノ基を有している。このアミノ基は、通常、ポリアミド系樹脂の主鎖に含まれるアミド結合や、尿素結合、ウレタン結合などに由来する−NH−(イミノ)基や−N<基などは含まず、通常、遊離のアミノ基(−NH2基)である。ポリアミド系樹脂は、この遊離アミノ基を、樹脂(又は後述するアミノ基を有する化合物)の分岐鎖に有していてもよく、主鎖の末端に有していてもよい。
本発明において、アミノ基の果たす役割(機能)は、未だ明らかではないが、ポリウレタン系樹脂(II)とのブレンド(混合混練)時において、何らかの形でポリアミド系樹脂(I)とポリウレタン系樹脂(II)を化学的に連結(又は結合)させるものと推察される。
ポリアミド系樹脂(I)のアミノ基の含有量(又は濃度)は、ポリアミド系樹脂(I)1kgに対して、10mmol以上(例えば、10〜300mmol程度)、好ましくは20mmol以上(例えば、25〜200mmol程度)、さらに好ましくは30mmol以上(例えば、35〜150mmol程度)である。ポリアミド系樹脂(I)は、特にアミノ基を末端基としてこのような範囲の含有量で含むのが好ましい。
アミノ基の含有量は、慣用の方法、例えば、(a-1)ポリアミド形成性成分を重合(重縮合、重付加)するに際して末端封止剤(ジアミン成分など)を添加し、その割合を調整する方法、(a-2)アミノ基濃度の異なる複数のポリアミド系樹脂(例えば、アミノ基濃度の低いポリアミド系樹脂と、アミノ基濃度の高いポリアミド系樹脂と)を組み合わせて、ブレンド又はアロイなどとする方法、(a-3)ポリアミド系樹脂(例えば、アミノ基濃度の低いポリアミド樹脂)に後述するアミノ基を有する化合物(例えば、アミノ基濃度の高い比較的低分子量のアミノ基含有化合物)を添加混合するなどの方法により調整することができる。
すなわち、ポリアミド系樹脂(I)は、特定濃度のアミノ基を有している限り、ポリアミド系樹脂[単独(単一)又は複数のポリアミド系樹脂]で構成してもよく、ポリアミド系樹脂[単独(単一)又は複数のポリアミド系樹脂]とアミノ基を有する化合物とで構成してもよい。
このような方法によりアミノ基濃度が調整されたポリアミド系樹脂(I)は、類型化することができ、例えば、下記のポリアミド系樹脂(Ia-1)、(Ia-2)および(Ia-3)から選択された少なくとも1種で構成されていてもよい。
(Ia-1):単一のポリアミド系樹脂であって、10mmol/kg以上[例えば、10〜300mmol/kg、好ましくは20mmol/kg以上(例えば、25〜200mmol/kg程度)、さらに好ましくは30mmol/kg以上(例えば、35〜150mmol/kg程度)]のアミノ基を有するポリアミド系樹脂
(Ia-2): アミノ基含有量が異なる複数のポリアミド系樹脂の混合物であって、10mmol/kg以上[例えば、10〜300mmol/kg、好ましくは20mmol/kg以上(例えば、25〜200mmol/kg程度)、さらに好ましくは30mmol/kg以上(例えば、35〜150mmol/kg程度)]のアミノ基を有するポリアミド系樹脂
(Ia-3):ポリアミド系樹脂と、アミノ基を有する化合物とを含むポリアミド系樹脂組成物であって、10mmol/kg以上[例えば、10〜300mmol/kg、好ましくは20mmol/kg以上(例えば、25〜200mmol/kg程度)、さらに好ましくは30mmol/kg以上(例えば、35〜150mmol/kg程度)]のアミノ基を有するポリアミド系樹脂組成物。
(ポリアミド系樹脂(Ia-1))
ポリアミド系樹脂(Ia-1)は、例えば、アミノ基の濃度を、ポリアミドの重合に際して末端封止剤として添加するジアミン成分の割合で調整する方法(上記(a-1))を採用した場合のポリアミド系樹脂に該当する。例えば、ジアミンとジカルボン酸を重縮合して得られるポリアミド樹脂において、ジアミンの量をジカルボン酸に比べて計算量多く使用することにより、分子量を調整すれば、ポリマー分子の末端はアミノ基となる。ラクタムを開環付加(重付加)してポリアミド樹脂を得る場合も計算量のジアミンを添加して分子量を調整すればポリマー分子の末端はアミノ基となる。添加するジアミンの割合を高くすれば、得られるポリアミド樹脂のアミノ基濃度は高くなる。但し、この場合、応じて分子量は小さくなる。上記分子量の調整において、計算量のジアミン(又は過剰量のジアミン)をゼロとし、重合時間を調整して分子量を調整する方法をとれば、得られたポリマーの末端はカルボキシル基とアミノ基の比率はほぼ1:1となり、重合時間を調整すればアミノ基の濃度を調整することができる。但し、アミノ基の濃度を高めれば分子量は応じて小さくなる。このようにして得られたポリアミド樹脂をポリアミド系樹脂(I)として単独で使用した場合がこのポリアミド系樹脂(Ia-1)の類型に属する。
(ポリアミド系樹脂(Ia-2))
ポリアミド系樹脂(Ia-2)は、例えば、アミノ基の濃度を、アミノ基濃度の異なる複数のポリアミド系樹脂を組み合わせて、混合(ブレンド又はアロイなど)することで調整する方法(上記(a-2))を採用した場合のポリアミド系樹脂に該当する。アミノ基濃度の低いポリアミド樹脂(例えば、重合に際してジカルボン酸を計算量過剰に、または追加することで分子量を調節して得たポリアミド樹脂のアミノ基濃度は、実質的にゼロか、もしくはあっても数mmol/kg程度であることが多い)と、アミノ基濃度の高いポリアミド樹脂(例えば、上記(Ia-1)に類型化されるポリアミド系樹脂)をブレンドしてアミノ基濃度を調整したポリアミド系樹脂(I)がこのポリアミド系樹脂(Ia-2)の類型に属する。
アミノ基濃度の異なる複数のポリアミド樹脂を組み合わせてアミノ基の濃度を調整する方法は、次のような調整が別途必要になる場合において特に有利である。
ポリアミド系樹脂と熱可塑性ポリウレタン系樹脂とをブレンドする場合、混合混練工程において両材料の溶融粘度を近似させることが、均一な組成物を得る上で極めて重要である。すなわち、ポリアミド系樹脂(I)のアミノ基の濃度と分子量とを、同時に調整する必要に迫られることがある。このような場合においては、上記(Ia-1)に類型化されるポリアミド系樹脂を使用するだけでは十分に対応できない場合がある。このような場合の対策として、アミノ基濃度の異なる複数のポリアミド樹脂(アミノ基濃度と分子量の異なる複数のポリアミド系樹脂)を組み合わせて使用する方法が有効である。例えば、アミノ基濃度は高いが分子量の低い(溶融粘度が低い)ポリアミド系樹脂と、アミノ基濃度は低いが分子量の高い(溶融粘度が高い)複数のポリアミド系樹脂(何れも(Ia-1)に類型化される樹脂であってもよい)を組み合わせることにより、求められる溶融粘度とアミノ基濃度を有するポリアミド系樹脂を調整することができる。このように、アミノ基濃度と分子量の異なる複数のポリアミド系樹脂を組み合わせたブレンド物又はアロイなどをポリアミド系樹脂(I)として使用する場合もこのポリアミド系樹脂(Ia-2)の類型に属する。
また、この類型に属するポリアミド系樹脂を調整する場合、モノマー組成の異なる樹脂を組み合わせてもよい。このようなモノマー組成の異なる樹脂を組み合わせることにより、アミノ基濃度、分子量(溶融粘度)の他に、例えば、樹脂の機械特性、融点などを同時に調整することも可能である。このようなモノマー組成の異なる樹脂を組みあわせる方法は、例えば、アミノ基濃度の高いホモポリマーと、アミノ基濃度の低い共重合体やポリアミドブロック共重合体とを組み合わせ、アミノ基濃度と共に、融点や柔軟性も合わせて調整する場合などにおいて有用である。
(ポリアミド系樹脂(Ia-3))
ポリアミド系樹脂(Ia-3)は、例えば、アミノ基濃度を、ポリアミド系樹脂にアミノ基を有する化合物を添加混合することで調整する方法(上記(a-3))を採用した場合のポリアミド系樹脂に該当する。例えば、アミノ基濃度の低いポリアミド樹脂に、アミノ基を有する化合物(例えば、アミノ基濃度の高い比較的低分子量のアミノ基含有化合物)を添加混合することにより、所望のアミノ基濃度を有するポリアミド系樹脂を調整することができる。ポリアミド系樹脂(I)として、このようにして得られたポリアミド系樹脂を使用する場合がこのポリアミド系樹脂(Ia-3)の類型に属する。
アミノ基を有する化合物(アミノ基濃度の高い比較的低分子量のアミノ基含有化合物)としては、モノアミン(炭素数2〜24の脂肪族、脂環族、芳香族モノアミンなど)、ポリアミン[ジアミン類(前記例示の脂肪族ジアミン、脂環族ジアミン及び芳香族ジアミンなど)の他、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのポリアルキレンポリアミン(ポリ炭素数2〜3アルキレンポリアミンなど)などの脂肪族ポリアミンなどのポリアミン類など]、ポリアミドオリゴマー(詳細には、分子末端及び/又は分岐鎖などに遊離のアミノ基を有するポリアミドオリゴマー)などが挙げられる。これらのアミノ基を有する化合物は、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。アミノ基を有する化合物の割合は、ポリアミド系樹脂(詳細には、ベースとなるポリアミド系樹脂)100重量部に対して、例えば、0.01〜30重量部、好ましくは0.02〜20重量部、さらに好ましくは0.03〜15重量部程度であってもよい。
これらのアミノ基を有する化合物のうち、接合性の点で、特に、ポリアミドオリゴマーが好ましい。前記分子末端及び/又は分枝鎖に遊離のアミノ基を有するポリアミドオリゴマーとは、慣用の方法、例えば、前記例示のポリアミド成分を用いて、モノマー処方や重縮合条件などを調整することなどにより得られる比較的分子量の低いポリアミドなどが使用できる。例えば、ポリアミド成分として、前記例示のジアミン[脂肪族ジアミン(アルキレンジアミンなど)、脂環族ジアミン、芳香族ジアミンなど]とジカルボン酸(脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸など)とを当量(ほぼ当量)組み合わせ、計算量のジアミン成分を過剰に添加して重縮合すれば、求めるアミノ基の濃度と分子量を持ったポリアミドオリゴマーを得ることができる(上記(Ia-1)に該当する)。また、同様にして、前記ラクタム(ω−ラウロラクタムなどの炭素数4〜20程度のラクタムなど)に計算量のジアミン成分を追加して重合しても目的に沿うポリアミドオリゴマーを得ることができる。さらに、上記ポリアミドオリゴマーの調製において、計算量のジアミンを過剰に添加したり追加することなく、重合時間を調整することで分子量を調整することにより、目的に沿った濃度のアミノ基を有するポリアミドオリゴマーを得ることもできる。
ポリアミドオリゴマーの数平均分子量は、例えば、500〜10,000、好ましくは500〜8,000(例えば、1,000〜7,000)、さらに好ましくは1,000〜5,000程度であり、通常、2,000〜6,000(例えば、3,000〜6,000)程度であってもよい。ポリアミドオリゴマーの有するアミノ基は、主鎖の少なくとも一方の末端にあってもよく、主鎖の両末端にあってもよく、また、分岐鎖にあってもよい。
ポリアミドオリゴマーの有するアミノ基の濃度は、例えば、100〜4000mmol/kg、好ましくは125〜4000mmol/kg、さらに好ましくは200〜2000mmol/kgであり、通常、150〜1500mmol/kg(例えば、167〜1000mmol/kg)程度であってもよい。
特に、ポリアミドオリゴマーの割合(使用割合)は、ベースとなるポリアミド系樹脂(脂肪族ポリアミド系樹脂、脂環族ポリアミド系樹脂、ポリアミドブロック共重合体など)100重量部に対して、1〜30重量部、好ましくは2〜20重量部、さらに好ましくは3〜15重量部程度であってもよい。ポリアミドオリゴマーの添加量が多すぎる(例えば、30重量部を超える)場合、ポリアミド系樹脂(I)において、機械強度などの重要な物性において不都合が生じる場合がある。また、ポリアミドオリゴマーの添加量が少なすぎる(例えば、1重量部未満)と、求めるポリウレタン系樹脂との接合において、充分な添加効果が得られない場合がある。
本発明の複合材料は、後述するように、通常、ポリアミド系樹脂(I)と熱可塑性ポリウレタン系樹脂(II)とを混練(通常、加熱溶融)する(例えば、前記両樹脂を二軸押出機などの押出機を用いて混合混練するなど)ことにより得られる。このような混練では、場合によっては、溶融混合物の粘度上昇(又は増粘)が生じたり、溶融混合物中にゲル状の物質が発生し均一な組成物が得られないなどの問題が発生することがある。さらに、そのような材料を成形した場合には、成形品表面に千枚めくれ状の乱れが発生し、均一な組織が得られないなどの不具合を生じることもある。前述のように、ポリアミド系樹脂の有するアミノ基が、ポリウレタン系樹脂との接合においてどのように作用するかについては、未だ十分には解明されていないが、両樹脂間の化学的架橋(化学結合)に何らかの形で関与するものと考えられる。そして、前記溶融混合物の粘度上昇やゲルの発生などにもアミノ基の関与が推測されている。
そこで、本発明者らは、鋭意検討した結果、ポリアミド系樹脂(I)を構成するアミノ基を有する成分を選択することにより、前記のような粘度上昇やゲルを抑制できる(又は発生させない)ことを見いだした。アミノ基を有する成分としては、ポリアミド系樹脂(I)の態様に応じて、例えば、前記ポリアミド系樹脂、前記アミノ基を有する化合物、前記ポリアミド系樹脂および前記アミノ基を有する化合物などが挙げられる。特に、前記ポリアミド系樹脂(Ia-1)〜(Ia-3)では、ポリアミド系樹脂およびアミノ基を有する化合物から選択された少なくとも1種の成分がアミノ基を有する成分となる。
このようなアミノ基を有する成分を選択する方法としては、例えば、(A)「アミノ基を有する成分」を、非架橋性の「アミノ基を有する成分」で構成する方法、(B)ポリアミド系樹脂(I)において、アミノ基あたりの分子量を調整する方法などが挙げられる。これらの方法は、単独で又は組みあわせてもよい。
前記方法(A)では、前記アミノ基を有する成分を、非架橋性のアミノ基を有する成分で構成することにより、粘度上昇やゲル化を抑制又は防止する。このような非架橋性のアミノ基を有する成分としては、例えば、一分子あたり一個のアミノ基を有する成分(前記ポリアミド系樹脂、モノアミン、ポリアミドオリゴマーなどの前記アミノ基を有する化合物など)などが挙げられる。具体的には、アミノ基を有する成分を、このような非架橋性のアミノ基を有する成分で構成することにより、架橋性のアミノ基を有する成分(例えば、両末端にアミノ基を有するポリアミド系樹脂、ポリアミン成分、両末端にアミノ基を有するポリアミドオリゴマーなど)の割合を低減させることにより、化学的架橋を抑制又は防止し、粘度上昇やゲル化を抑制又は防止してもよい。
より具体的に説明すると、例えば、ポリアミド系樹脂(I)を構成する成分のうち、アミノ基を有する成分[ポリアミド系樹脂、アミノ基を有する化合物など、例えば、前記ポリアミド系樹脂(Ia-1)および(Ia-3)では、ポリアミド系樹脂およびアミノ基を有する化合物から選択された少なくとも1種の成分]は、(1)分子中に一個だけ単独でアミノ基を有するもの[分子末端(及び分岐鎖がある場合には分枝鎖)の何れか一つにアミノ基を有するもの、]と、2)分子中に複数個のアミノ基を有するもの[分子末端(及び分岐鎖がある場合には分枝鎖)に複数個のアミノ基を有するもの]に分けて考える。例えば、アミノ基を有する成分がポリアミドである場合には、(1)ポリアミド分子末端、あるいは(分枝鎖がある場合には)分枝鎖の何れかに一つだけアミノ基が単独で存在するもの、(2)両方の分子末端に、さらには分枝鎖にもアミノ基が存在するなど、一分子中に複数個のアミノ基を有するものに分類して考える。
そして、本発明者らは、上記のうち(1)に類するものを、非架橋のアミノ基を有する成分とし、アミノ基を有する成分の構成成分としてポリアミド系樹脂(I)を構成すれば、ポリウレタン系樹脂(II)との混練において、増粘現象やゲルの発生を回避できることを見出した。すなわち、ポリアミド系樹脂(I)において、アミノ基を有する成分(ポリアミド系樹脂、アミノ基を有する化合物など)を、一分子あたり一個のアミノ基を有する成分(ポリアミド系樹脂、アミノ基を有する化合物など)で構成する(好ましくは、上記のうち(1)に帰属又は由来するアミノ基が、後述するように、一定量以上を占めるべく調整する)ことにより、増粘やゲルを抑制又は防止してもよい。
なお、前記ポリアミド系樹脂(I)とポリウレタン系樹脂(II)との混練(混合混練)時における増粘現象やゲルの発生が、アミノ基の関わる、例えば、架橋などによるものであれば、アミノ基を一分子中に複数個有する成分は、巨大分子を形成する(ゲルの形成や増粘現象の原因になる)という点において不都合であり、排除されることが好ましいといえる。しかし、本明細書でいう「一分子中に一個のアミノ基を有する成分」を選択することは、ポリアミド系樹脂(I)とポリウレタン系樹脂(II)の混練(混合混練)工程での上記粘度上昇やゲル発生などの不具合を回避することが目的であるから、その目的が概ね達せられる範囲においては、上記(2)に分類される成分が共存することは許容される。
すなわち、ポリアミド系樹脂(I)を構成するアミノ基を有する成分(ポリアミド系樹脂およびアミノ基を有する化合物から選択された少なくとも1種のアミノ基を有する成分)の一部又はその全部を、一分子あたり一個のアミノ基を有する成分で構成してもよい。換言すれば、ポリアミド系樹脂(I)に含まれるアミノ基(又はポリアミド系樹脂(I)を構成するアミノ基)の一部又はその全部を、一分子あたり一個のアミノ基を有する成分(又は分子)に帰属(又は由来)するアミノ基で構成してもよい。具体的には、ポリアミド系樹脂(I)に含まれるアミノ基のうち、一分子あたり一個のアミノ基を有する成分に帰属(又は由来)するアミノ基の割合(又は数)は、例えば、ポリアミド系樹脂(I)に含まれるアミノ基全体の40%以上(例えば、45〜100%程度)、好ましくは50%以上(例えば、55〜95%程度)、さらに好ましくは60%以上(例えば、70〜90%程度)であってもよい。
また、前記方法(B)では、ポリアミド系樹脂(I)において、アミノ基あたりの分子量を調整する(具体的には大きくする)ことにより、粘度上昇やゲル化の抑制又は防止する。具体的には、架橋性のアミノ基を有する成分(例えば、複数のアミノ基を有する成分)を含む場合であっても、この架橋性のアミノ基を有する成分が、比較的高分子量であったり、ポリアミド系樹脂(I)において比較的小さい含有量である場合には、前記のような粘度上昇やゲルの発生を充分に抑制又は防止できる場合がある。
そのため、ポリアミド系樹脂(I)(又はポリアミド系樹脂(I)を構成するポリアミド系樹脂)の数平均分子量が、アミノ基(詳細には、ポリアミド系樹脂(I)に含有されているアミノ基)一個あたり、例えば、3,000〜100,000、好ましくは5,000〜50,000、さらに好ましくは8,000〜30,000程度であってもよい。
アミノ基を有する成分を選択する方法(前記方法(A))としては、特に限定されず、例えば、(b-1)ポリアミド形成性成分を重合(重縮合、重付加)するに際して、末端封止剤としてモノアミン成分を添加し、その割合を調整する方法、(b-2)アミノ基濃度の異なる複数のポリアミド系樹脂[例えば、アミノ基濃度の低いポリアミド系樹脂と、アミノ基濃度の高いポリアミド系樹脂を組み合わせて(但し、この時、ポリアミド系樹脂の一部又は全部を、一分子中に一個のみのアミノ基を有する分子からなるポリアミド樹脂としてもよい)]、ブレンド又はアロイなどとする方法、(b-3)ポリアミド系樹脂(例えば、アミノ基濃度の低いポリアミド樹脂など)に、分子中に一個のアミノ基を有する化合物(例えば、アミノ基濃度の高い比較的低分子量のモノアミノ化合物)を添加混合するなどの方法が挙げられる。
このような方法によりアミノ基を有する成分が選択されたポリアミド系樹脂(I)は、類型化でき、例えば、前記ポリアミド系樹脂(Ia-1)〜(Ia-3)に対応した下記ポリアミド系樹脂(Ib-1)、(Ib-2)および(Ib-3)から選択された少なくとも1種で構成してもよい。
(Ib-1):10mmol/kg以上[例えば、10〜300mmol/kg程度)、好ましくは20mmol/kg以上(例えば、25〜200mmol/kg程度)、さらに好ましくは30mmol/kg以上(例えば、35〜150mmol/kg程度)]のアミノ基を有する単一のポリアミド系樹脂であって、前記アミノ基を有する成分が前記方法により選択されたポリアミド系樹脂[例えば、一分子あたり一個のアミノ基を有する成分に帰属するアミノ基の割合が、ポリアミド系樹脂(I)に含まれるアミノ基全体の40%以上(例えば、45〜100%程度)、好ましくは50%以上(例えば、55〜95%程度)、さらに好ましくは60%以上(例えば、70〜90%程度)であるポリアミド系樹脂など)など]
(Ib-2):10mmol/kg以上[例えば、10〜300mmol/kg程度、好ましくは20mmol/kg以上(例えば、25〜200mmol/kg程度)、さらに好ましくは30mmol/kg以上(例えば、35〜150mmol/kg程度)]のアミノ基を有し、アミノ基含有量が異なる複数のポリアミド系樹脂の混合物であって、前記アミノ基を有する成分が前記方法により選択されたポリアミド系樹脂[例えば、一分子あたり一個のアミノ基を有する成分に帰属するアミノ基の割合が、ポリアミド系樹脂(I)に含まれるアミノ基全体の40%以上(例えば、45〜100%程度)、好ましくは50%以上(例えば、55〜95%程度)、さらに好ましくは60%以上(例えば、70〜90%程度)であるポリアミド系樹脂など)など]
(Ib-3):10mmol/kg以上[例えば、10〜300mmol/kg程度)、好ましくは20mmol/kg以上(例えば、25〜200mmol/kg程度)、さらに好ましくは30mmol/kg以上(例えば、35〜150mmol/kg程度)]のアミノ基を有し、かつポリアミド系樹脂と、アミノ基を有する化合物とを含むポリアミド系樹脂組成物であって、前記アミノ基を有する成分が前記方法により選択されたポリアミド系樹脂組成物[例えば、一分子あたり一個のアミノ基を有する成分に帰属するアミノ基の割合が、ポリアミド系樹脂(I)に含まれるアミノ基全体の40%以上(例えば、45〜100%程度)、好ましくは50%以上(例えば、55〜95%程度)、さらに好ましくは60%以上(例えば、70〜90%程度)であるポリアミド系樹脂組成物など)など]。
(ポリアミド系樹脂(Ib-1))
ポリアミド系樹脂(Ib-1)は、前記ポリアミド系樹脂(Ia-1)に対応しており、例えば、アミノ基濃度を、ポリアミドの重合に際してモノアミンを末端封止剤として使用し、その添加の割合で調整した場合(上記(b-1))に得られるポリアミドがこの類型に属する。例えば、当量のジアミンとジカルボン酸を重縮合して得られるポリアミド樹脂において、分子量調整のための末端封止剤として、計算量のモノアミン化合物を使用すれば、得られるポリアミドの分子末端は一方だけがアミノ基となる。ラクタムを開環付加(重付加)してポリアミド樹脂を得るときも計算量のモノアミンを添加して分子量を調整すればポリマー分子の末端は一方だけがアミノ基となる。添加するモノアミンの割合を高くすれば、得られるポリアミド樹脂のアミノ基濃度は高くなる。但し、この場合、応じて分子量は小さくなる。
上記モノアミンとしては、炭素数が2〜24であって、脂肪族、脂環族及び芳香族系の1〜3級のモノアミンを例示することができる。これらのうち、炭素数4〜12の脂肪族モノアミンがより好ましい。
上記分子量の調整において、計算量のモノアミンをゼロとし、重合時間を調整して分子量を調整する方法をとれば、得られたポリマーの末端はカルボキシル基とアミノ基の比率がほぼ1対1となり、分子末端の一方だけがアミノ基となる。このとき、重合時間を調整すればアミノ基の濃度を調整することができる。但し、アミノ基の濃度を高めれば分子量は応じて小さくなる。このようにして得られたポリアミド樹脂を(I)として単一で使用した場合がこのポリアミド系樹脂(Ib-1)の類型に属する。
ポリアミドの分子量調整のためにジカルボン酸を末端封止剤として使用した場合、ポリアミド分子の両末端は共にカルボキシル基になる。しかし、実際には未反応のアミノ基が残留し、このアミノ基を有する分子の他方の末端はカルボキシル基になる。従って、本明細書では、この種のポリアミドも便宜上(Ib-1)に属するものとしている。
(ポリアミド系樹脂(Ib-2))
ポリアミド系樹脂(Ib-2)は、例えば、アミノ基濃度の異なる複数のポリアミド系樹脂を組み合わせて、ブレンド又はアロイなどの混合組成物とする場合がこの分類に該当する。但し、このとき、使用するポリアミド成分の一部または全部を、一分子中に一個のアミノ基を有するポリアミドとすることで、前記混合組成物に含まれるアミノ基の40%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上が分子中に一個のアミノ基を有するポリアミドに由来するアミノ基で占められるべく調整してもよい。例えば、アミノ基濃度の低いポリアミド樹脂(重合に際してジカルボン酸を計算量過剰に、または追加することで分子量を調節して得たポリアミド樹脂のアミノ基濃度は、実質的にゼロか、もしくはあっても数mmol/kgであることが多い)と、上記(Ib-1)に類型化されるアミノ基濃度の高いポリアミド樹脂をブレンドしてアミノ基濃度を調整したポリアミド系樹脂などが具体例である。
アミノ基濃度の異なる複数のポリアミド樹脂を組み合わせてアミノ基の濃度を調整する方法は、次のような調整が別途必要になる場合において特に有利である。
ポリアミド系樹脂と熱可塑性ポリウレタン系樹脂とをブレンドする場合、混合混練工程において両材料の溶融粘度を近似させることが、均一な組成物を得る上で極めて重要である。すなわち、ポリアミド系樹脂(I)のアミノ基を有する成分の選択およびアミノ基濃度と、分子量を、同時に調整する必要に迫られることがある。このような場合においては、上記(Ib-1)に類型化される樹脂を使用するだけでは対応できない場合がある。対策として、アミノ基を有する成分の選択とアミノ基濃度及び分子量の異なる複数のポリアミド系樹脂を組み合わせて使用する方法をとってもよい。例えば、アミノ基が主として一方の分子末端に存在し、そのアミノ基濃度は高いが分子量の低い(溶融粘度が低い)ポリアミド系樹脂と、アミノ基濃度は低いが分子量の高い(溶融粘度が高い)複数のポリアミド系樹脂(何れも(Ib-1)に類型化される樹脂であってもよい)を組み合わせることにより、求められる溶融粘度とアミノ基濃度を有するポリアミド系樹脂を調整することができる。このように、アミノ基濃度と分子量の異なる複数のポリアミド系樹脂を組み合わせたブレンド物又はアロイなどをポリアミド系樹脂(I)として使用する場合も、含まれるアミノ基の一定量以上が一分子中に一個のアミノ基を有するポリアミド成分に由来するならばこのポリアミド系樹脂(Ib-2)に類型に属する。この類型に属する樹脂を調整する場合、モノマー組成の異なる樹脂を組み合わせてもよい。モノマー組成の異なる樹脂を組み合わせることにより、アミノ基を有する成分の選択およびアミノ基濃度、分子量(溶融粘度)などに加えて、例えば、樹脂の機械特性、融点などを同時に調整することもできる。このような例としては、例えば、アミノ基濃度の高いホモポリマーと、アミノ基濃度の低い共重合体やポリアミドブロック共重合体とを組み合わせ、柔軟性も合わせて調整する場合などが挙げられる。
(ポリアミド系樹脂(Ib-3))
ポリアミド系樹脂(Ib-3)は、前記ポリアミド系樹脂(Ia-3)に対応し、例えば、ポリアミド系樹脂(例えば、アミノ基濃度の低いポリアミド系樹脂など)に、前記アミノ基を有する成分の選択方法[例えば、分子中に一個のアミノ基を有する化合物(例えば、アミノ基濃度の高い比較的低分子量のモノアミノ化合物、ポリアミドオリゴマーなど)を添加混合するなどの方法(上記(b-3))]を採用する場合のポリアミド系樹脂などに該当する。
前記モノアミン化合物としては、炭素数2〜24の脂肪族、脂環族、芳香族モノアミンの他に、ポリアミドオリゴマー(詳細には、分子末端及び分枝鎖の何れか一つに遊離のアミノ基を有するポリアミドオリゴマー)などが挙げられる。そのアミノ基を有する化合物を添加する割合は、前記と同様であり、ポリアミド系樹脂(ベースとなるポリアミド系樹脂)100重量部に対して、0.01〜30重量部、好ましくは0.02〜20重量部、さらに好ましくは0.03〜15重量部程度であってもよい。
これらの化合物のうち、接合性の点で、特に、ポリアミドオリゴマーが好ましい。前記分子末端及び分枝鎖の何れか一つに遊離のアミノ基を有するポリアミドオリゴマーとしては、例えば、前記例示のポリアミド成分を用いて、モノマー処方や重縮合条件などを調整することなどにより得られる比較的分子量の低いポリアミドなどが使用できる。例えば、ポリアミド成分として、前記例示のジアミン[脂肪族ジアミン(アルキレンジアミンなど)、脂環族ジアミン、芳香族ジアミンなど]とジカルボン酸(脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸など)とを当量(ほぼ当量)組み合わせ、計算量のモノアミン成分を添加して重縮合すれば、求める一分子当たり一個のアミノ基を持ったポリアミドオリゴマーを得ることができる。また、同様にして、前記ラクタム(ω−ラウロラクタムなどの炭素数4〜20程度のラクタムなど)に計算量のモノアミン成分を追加して重合しても目的に沿うポリアミドオリゴマーを得ることができる。さらに、上記ポリアミドオリゴマーの調整において、計算量モノアミンをゼロとし、重合時間を調整することで分子量を調整しても目的に沿った一分子当たり一個のアミノ基を有するポリアミドオリゴマーを得ることができる(これらは何れも上記(Ib-1)に属するポリマーとして分類される)。
ポリアミドオリゴマーの数平均分子量は、例えば、500〜10,000、好ましくは500〜8,000(例えば、1,000〜7,000),さらに好ましくは1,000〜5,000程度であり、通常、2,000〜6,000(例えば、3,000〜6,000)程度である。ポリアミドオリゴマーの有するアミノ基は、主鎖の両末端及び分岐鎖の何れかに一個ある。
ポリアミドオリゴマーの有するアミノ基の濃度は100〜2000mmol/kg、好ましくは125〜2000mmol/kg、さらに好ましくは200〜1000mmol/kg程度であり、通常、167〜500mmol/kg程度であってもよい。
上記ポリアミドオリゴマーを添加する割合は、ベースとなるポリアミド系樹脂(脂肪族ポリアミド系樹脂、脂環族ポリアミド系樹脂、ポリアミドブロック共重合体など)100重量部に対して、1〜30重量部、好ましくは2〜20重量部、さらに好ましくは、5〜15重量部程度である。ポリアミドオリゴマーの添加量が30重量部を超えるとポリアミド系樹脂(I)は機械強度など重要な物性において不都合が生じる。また、ポリアミドオリゴマーの添加量が1重量以下では求めるポリウレタン系樹脂との接合性に添加効果が得られない。
なお、本発明では、前記のように、ポリアミド系樹脂(Ib-1)〜(Ib-3)に類型化されているポリアミド系樹脂は、少なくとも10mmol/kg以上、好ましくは20mmol/kg以上、さらに好ましくは30mmol/kg以上のアミノ基を含有しており、かつ、そのアミノ基のうちある一定量以上が一分子中に一個のアミノ基を有する成分(あるいは、分子)に由来するアミノ基であってもよいことを規定している。このことは、前記のように、本発明の目的を損なわない範囲で一分子中に複数のアミノ基を有する成分を含んでよいことを意味している。上記(Ib-1)〜(Ib-3)に類型化されているポリアミド系樹脂に共通して、含有するアミノ基のうち、一分子中に一個のアミノ基を有する成分(あるいは分子)に帰属又は由来するアミノ基の占める割合は、前記と同様の範囲[例えば、ポリアミド系樹脂(I)に含まれるアミノ基全体の40%以上、好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上(例えば、70〜90%程度)]であってもよい。
また、ポリアミド系樹脂(I)と熱可塑性ポリウレタン系樹脂(II)との間の接合力をさらに高めるため、ポリアミド系樹脂(I)の結晶融解熱は、100J/g以下(例えば、0〜100J/g程度)、好ましくは80J/g以下(例えば、0〜80J/g程度)、さらに好ましくは70J/g以下(例えば、0〜70J/g程度)であってもよい。本発明では、結晶化度の低いポリアミド系樹脂を用いても、確実かつ効率よく接合できる。このようなポリアミド系樹脂の結晶融解熱は、例えば、30J/g以下(例えば、0〜30J/g程度)、好ましくは20J/g以下(例えば、0〜20J/g程度)、さらに好ましくは17J/g以下(0〜17J/g程度)から選択できる。
なお、ポリアミド系樹脂の「結晶融解熱」とは、樹脂の融解に要した融解熱ΔHmから樹脂の結晶化に伴い発生した結晶化熱ΔHfを減じた値を示す。すなわち、融解熱の測定において、昇温に伴い、結晶化熱と、その後に融解熱との双方が観察される場合には、樹脂1g当たりの融解熱の実測値ΔHmから、樹脂1g当たりの結晶化熱の実測値ΔHfを減じた値をポリアミド系樹脂の結晶融解熱とする。結晶融解熱は、JIS K7122に従って、DSC装置(示差走査熱量測定装置)を用いて測定することができる。なお、完全非晶質ポリアミドでは、結晶化熱が観測できないため、結晶融解熱は0J/gとするものとする。
なお、ポリアミド系樹脂(I)のカルボキシル基濃度は、特に制限されず、例えば、0.1〜200mmol/kg、好ましくは0.5〜150mmol/kg、さらに好ましくは1〜100mmol/kg程度であってもよい。
ポリアミド系樹脂(I)は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の樹脂(ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリケトン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ハロゲン含有ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂など)、各種添加剤、例えば、フィラー又は補強剤(強化繊維など)、安定剤(紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤など)、着色剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤などを含んでいてもよい。
なお、本発明の複合材料の製造に伴って、複合されるポリアミド系樹脂とポリウレタン系樹脂の成形収縮率に大きな差異があると、前記複合材料を使用した成形品を構成する各相の界面に応力が残留し、結果として本発明の目的である引っ張り試験における破断伸度や、疲労特性、磨耗特性の改善、あるいは、成形品の千枚めくれ対策などが減殺される場合がある。
そのため、両材料の結晶性が近似していることが好ましい。その意味でポリアミド系樹脂の結晶性は、低い方が好ましく、ポリアミド系樹脂の到達結晶化度(平均的な到達結晶化度)は、50%以下(例えば、5〜50%程度)、好ましくは40%以下(例えば、5〜40%程度)、さらに好ましくは30%以下(例えば、10〜30%程度)であるのが有利である。脂肪族系ポリアミドホモポリマーの場合を例に挙げて到達結晶化度の大小を比較すると以下の順序で到達結晶化度が小さくなる。
ポリアミド66>ポリアミド6≧ポリアミド612>ポリアミド11≧ポリアミド12。
なお、到達結晶化度の点だけを考慮すると、ホモポリマーよりコポリマーが有利である。
ポリアミドをハードセグメントとし、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネートなどをソフトセグメントとするポリアミドブロック共重合体(ポリアミドエラストマー)の場合は、ハードセグメントとソフトセグメントとの存在比率により到達結晶化度を調整できる。例えば、ソフトセグメントがポリエーテルの場合にはポリアミドブロックに対するポリエーテルセグメントの相対比率を大きくすれば到達結晶化度は低くなる。また、ソフトセグメントを構成するジオール成分として、分岐状ジオールが含まれると、さらに、ポリマー分子中でのその存在比率が大きくなるほど到達結晶化度が低下する。この特性を利用してポリアミドブロック共重合体の到達結晶化度を、40%以下(例えば、5〜40%程度)、好ましくは35%以下(例えば、5〜35%程度)、さらに好ましくは30%以下(例えば、10〜30%程度)に調整すると、熱可塑性ポリウレタン系樹脂との組み合わせにおいて相間界面に残留する応力が低下し有利である。特に、ソフトセグメントの構成を調整する場合、組み合わせるポリウレタン系樹脂を構成するソフトセグメントに類似するソフトセグメントを選択すると、両者間の相溶性が増しさらに有利である。
なお、「到達結晶化度」とは、精密熱プレス装置を用い、試料樹脂をこの樹脂の融点より20℃高い温度まで加熱し、次いで、3℃/分の冷却速度で室温まで冷却して、厚み1mmの平板を作製し、この平板を用いてX線回折分析により測定される結晶化度をいう。前記樹脂の融点は、JIS K7122に従って、DSC装置(示差走査熱量分析装置)により測定した融点である。
(熱可塑性ポリウレタン系樹脂)
熱可塑性ポリウレタン系樹脂は、ジイソシアネート類とジオール類と必要により鎖伸長剤との反応により得ることができる。
ジイソシアネート類としては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート類;1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロアルキルメタン−4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などの脂環族ジイソシアネート類;フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)などの芳香族ジイソシアネート類、キシリレンジイソシアネートなどの芳香脂肪族ジイソシアネート類などが例示できる。ジイソシアネート類として、アルキル基(例えば、メチル基)が主鎖又は環に置換した化合物を使用してもよい。ジイソシアネート類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ジオール類としては、ポリエステルジオール[脂肪族ジカルボン酸成分(アジピン酸などの炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸など)、脂肪族ジオール成分(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどの炭素数2〜12の脂肪族ジオールなど)、ラクトン成分(ε−カプロラクトンなどの炭素数4〜12のラクトンなど)などから得られるポリエステルジオール(脂肪族ポリエステルジオール)、例えば、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(1,4−ブチレンアジペート)、ポリ(1,6−ヘキサンアジペート)、ポリ−ε−カプロラクトンなど]、ポリエーテルジオール[脂肪族ポリエーテルジオール、例えば、ポリエチレングリコール、ポリ(オキシトリメチレン)グリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)などのポリ(オキシ炭素数2〜4アルキレン)グリコール類、これらのポリ(オキシアルキレン)グリコール類のブロック共重合体(ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体など);芳香族ポリエーテルジオール、例えば、ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加体などの芳香族ジオールのアルキレンオキサイド付加体(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどの炭素数2〜4のアルキレンオキサイド付加体など)など];ポリエステルエーテルジオール(ジオール成分の一部として上記ポリエーテルジオールを用いたポリエステルジオール);ポリカーボネートジオールなどが利用できる。これらのジオール類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのジオール類のうち、ポリエステルジオールや、ポリエーテルジオール(ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど)(例えば、ポリエステルジオール)を用いる場合が多い。
鎖伸長剤としては、グリコール類[短鎖グリコール類、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの炭素数2〜10のアルカンジオール;ビスヒドロキシエトキシベンゼン(BHEB)など]の他、ジアミン類[エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどの炭素数2〜10のアルキレンジアミンなどの脂肪族ジアミン類;イソホロンジアミンなどの脂環族ジアミン;フェニレンジアミン、キシリレンジアミンなどの芳香族ジアミン類など]も使用できる。鎖伸長剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
熱可塑性ポリウレタン系樹脂には、ジオール類とジイソシアネート類とを実質的に当量の割合で用いて得られた完全熱可塑性ポリウレタンの他、ジオール類に対して少過剰のジイソシアネート類を用いて得られた遊離(未反応)のイソシアネートが少量残存している不完全熱可塑性ポリイソシアネートなども含まれる。
熱可塑性ポリウレタン系樹脂のうち、特に、ジオール類[ポリエステル単位やポリエーテル単位を有するジオール類(前記ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール)など]と、ジイソシアネート類と、鎖伸長剤としてのグリコール類(短鎖グリコール類など)とを用いて得られる熱可塑性ポリウレタンエラストマーが好ましい。この熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、グリコール類とジイソシアネート類とのポリウレタンで構成されたハードセグメント(ハードブロック)と、ポリエーテルジオールポリ(オキシエチレン)グリコールなどの脂肪族ポリエーテルジオールなど]、ポリエステルジオール(脂肪族ポリエステルジオールなど)などで構成されたソフトセグメント(ソフトブロック)とを含んでいる。ポリウレタンエラストマーには、ソフトセグメントの種類に応じて、例えば、ポリエステルウレタンエラストマー、ポリエステルエーテルウレタンエラストマー、ポリエーテルウレタンエラストマー、ポリカーボネートウレタンエラストマーなどが含まれる。ポリウレタンエラストマーのうち、ポリエステルウレタンエラストマー、ポリエステルエーテルウレタンエラストマー、ポリエーテルウレタンエラストマーなどが好ましい。なお、前記ポリエーテル(ポリオキシアルキレングリコール)の分子量(又は重量平均分子量)は、例えば、100〜10,000程度の範囲から選択でき、好ましくは300〜6,000(例えば、300〜5,000)、さらに好ましくは500〜4,000(例えば、500〜3,000)程度であってもよい。
これらの熱可塑性ポリウレタン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
熱可塑性ポリウレタン系樹脂(II)は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の樹脂(熱可塑性樹脂、特に、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマーなどの熱可塑性エラストマーなど)、安定剤(熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤など)、可塑剤、滑剤、充填剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤などを含んでいてもよい。
なお、代表的な複合材料には、以下の複合材料などが含まれる。
(1)ポリアミド系樹脂(I)が、ポリアミド系樹脂で構成されており、熱可塑性ポリウレタン系樹脂(II)が、ポリエステルポリウレタンで構成されている複合材料
詳細には、前記ポリアミド系樹脂(I)として、ポリアミド系樹脂(組成物を含む)を用いる場合、熱可塑性ポリウレタン系樹脂として、ポリエステルジオールを用いて得られるポリエステルポリウレタン、特に、ポリエステルウレタンエラストマーを好適に用いてもよい。
(2)ポリアミド系樹脂(I)が、脂肪族ポリアミド系樹脂、脂環族ポリアミド系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂、およびポリアミドブロック共重合体から選択された少なくとも一種(特に、脂肪族ポリアミド系樹脂及びポリアミドブロック共重合体から選択された少なくとも一種)で構成されており、熱可塑性ポリウレタン系樹脂(II)が、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(例えば、ポリエーテルウレタンエラストマー、ポリエステルエーテルウレタンエラストマー、及びポリカーボネートウレタンエラストマーから選択された少なくとも一種)で構成されている複合材料
詳細には、特定の濃度でアミノ基を有するポリアミド系樹脂(組成物も含む)(例えば、脂肪族ポリアミド系樹脂、脂環族ポリアミド系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂、およびポリアミドブロック共重合体から選択された少なくとも一種を含むポリアミド系樹脂)(I)と、熱可塑性ポリウレタンエラストマー[ポリエーテルウレタンエラストマー、ポリエステルエーテルウレタンエラストマー、およびポリカーボネートウレタンエラストマーから選択された少なくとも一種(特に、ポリエーテルウレタンエラストマーおよびポリエステルエーテルウレタンエラストマーから選択された少なくとも一種)]で構成された熱可塑性ポリウレタン系樹脂(II)とを組み合わせると、複合材料を構成する両材料の相界面での接合強度をより一層向上できる。
(3)ポリアミド系樹脂(I)が、ポリアミド系樹脂と、ポリアミドブロック共重合体とで構成され、熱可塑性ポリウレタン系樹脂(II)が、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(例えば、ポリエーテルウレタンエラストマー、ポリエステルエーテルウレタンエラストマー、及びポリカーボネートウレタンエラストマーから選択された少なくとも一種)で構成されている複合材料
詳細には、少なくともポリアミドブロック共重合体、例えば、ポリアミドエラストマーを含むポリアミド系樹脂(ポリアミドオリゴマーとの組成物も含む)(I)と、熱可塑性ポリウレタン系樹脂(II)が、熱可塑性ポリウレタンエラストマー[例えば、ポリエーテルウレタンエラストマー、ポリエステルウレタンエラストマー、及びポリエステルエーテルウレタンエラストマーから選択された少なくとも一種]で構成された熱可塑性ポリウレタン系樹脂(II)とを組み合わせてもよい。
本発明の複合材料は、後述するように、通常、ポリアミド系樹脂(I)と熱可塑性ポリウレタン系樹脂(II)とを混練(通常、加熱溶融下に混合混練)することにより得ることができるが、両者の混合比は、用途に応じて適宜選択でき、特に制限されない。前記複合材料において、ポリアミド系樹脂(I)と熱可塑性ポリウレタン系樹脂(II)の割合は、例えば、前者/後者(重量比)=95/5〜5/95、好ましくは90/10〜10/90、さらに好ましくは80/20〜20/80重量部程度であってもよい。また、ポリアミド系樹脂(I)と熱可塑性ポリウレタン系樹脂(II)の割合は、前者/後者(重量比)=95/5〜30/70、好ましくは90/10〜40/60、さらに好ましくは85/15〜50/50(例えば、80/20〜60/40)程度であってもよい。
本発明の複合材料は、分散構造を有していてもよく、例えば、ポリアミド系樹脂(I)及び熱可塑性ポリウレタン系樹脂(II)のうち一方が連続相、他方が分散相を構成していてもよい。特に、ポリアミド系樹脂(I)が連続相、熱可塑性ポリウレタン系樹脂(II)がが分散相を構成していてもよい。なお、通常、混合割合の多い方の材料[例えば、ポリアミド系樹脂(I)]中に、混合比の小さい方の材料[例えば、ポリウレタン系樹脂(II)]が分散した複合材料が得られる場合が多い。
分散構造を有する複合材料において、分散相は、連続相に独立して分散した海島構造を有していてもよく、分散相の形状は、粒子状、楕円体状、球状、棒状、繊維状などであってもよい。分散相の好ましい形状は、球状であり、分散相は連続相に均一に分散しているのが好ましい。なお、分散相(例えば、熱可塑性ポリウレタン系樹脂(II))の平均粒子径としては、分散相を形成する物質の特性が発現できればよく、例えば、0.1〜1000μm、好ましくは1〜800μm、さらに好ましくは10〜500μm(例えば、50〜150μm)程度であってもよい。
本発明の複合材料は、ポリアミド系樹脂が特定のアミノ基濃度を有しているので、相溶化剤などの第3成分を用いることなく、ポリアミド系樹脂とポリウレタン系樹脂とが、ポリマーブレンド(コンパウンディング)を形成しており、特に、前記ポリアミド系樹脂と熱可塑性ポリウレタン系樹脂とが両者の相の界面で強固に接合(又は直接接合)している。そのため、本発明の複合材料は、引っ張り試験などにおいても十分な引っ張り伸度(又は破断伸度)が得られ、疲労特性や磨耗特性にも優れている。
本発明の複合材料において、ポリアミド系樹脂(I)とポリウレタン系樹脂(II)との接合強度は、通常、30N/cm以上(30N/cm〜凝集破壊)であり、好ましくは40N/cm以上(40N/cm以上〜凝集破壊)、特に50N/cm以上(50N/cm以上〜凝集破壊)であってもよい。
なお、前記のように、通常、ポリアミド系樹脂とポリウレタン系樹脂とで構成された複合材料を混練又は成形(特に、射出成形)すると、外観の不均一(フローマークなど)、表層の乱れ又は剥離(いわゆる、千枚めくれ、するめなど)、射出成形ではゲート部の白化や亀裂、などの成形不良が生じる場合が多い。
本発明では、特定のアミノ基濃度を有するポリアミド系樹脂を使用するので、前記のような成形不良を防止(又は抑制)しつつ、前記複合材料を成形できる。そのため、本発明には、ポリアミド系樹脂と熱可塑性ポリウレタン系樹脂とを構成成分とする前記複合材料において、前記ポリアミド系樹脂として、特定のアミノ基(例えば、10mmol/kg以上のアミノ基)を有するポリアミド系樹脂(すなわち、前記ポリアミド系樹脂(I))を使用することにより、前記複合材料の成形不良(特に、射出成形における成形不良)を防止(又は低減又は抑制)する方法も含まれる。
さらに、本発明では、ポリアミド系樹脂(I)において、前記のように、アミノ基を有する成分を選択する(例えば、アミノ基を有する成分を、一分子当たり一個のアミノ基を有する成分で構成する)ことにより、ポリアミド系樹脂と熱可塑性ポリウレタン系樹脂との混練(溶融混練)において、粘度上昇(又は増粘)やゲル化などの混練不良を効率よく防止(又は抑制又は低減)でき、複合材料の均一性を向上できる。
[複合材料の製造方法]
本発明の複合材料は、通常、ポリアミド系樹脂(I)と熱可塑性ポリウレタン系樹脂(II)とを混練(混合混練)することにより製造できる。このような混練は、通常、ポリアミド系樹脂(I)と熱可塑性ポリウレタン系樹脂(II)とを、溶融混練(すなわち、加熱溶融下に混合混練)することにより行う場合が多い。前記混練(混合混練)は、慣用の混合混練機、例えば、押出機(短軸の押出機)、二軸押出機、ニーダーなどにより行うことでき、中でも二軸押出機が最も便利である。このように、本発明の複合材料は、混練(溶融混練)により、複雑な製造工程を経ることなく製造できる。
なお、ポリアミド系樹脂(I)が、例えば、前記ポリアミド系樹脂(Ia-1)、(Ib-1)などのように、単一のポリアミド系樹脂である場合には、ポリウレタン系樹脂(II)と、必要に応じてその他の添加剤とを、予め混合(ドライブレンド)して、又はそれぞれ別個に、混合混練機に供給してもよい。
また、ポリアミド系樹脂(I)が、前記ポリアミド系樹脂(Ia-2)、(Ib-2)、(Ia-3)、(Ib-3)などのように混合物である場合は、これらのポリアミド系樹脂とポリウレタン系樹脂(II)、必要に応じてその他添加剤とを、予め混合(ドライブレンド)して混合混練機に供給してもよく、又はそれらをそれぞれ別個に混合混練機に供給してもよい。このとき、好ましくは、複数の供給口を有する混合混練機、例えば、二軸押出機などを用い、ポリアミド系樹脂(I)(混合物)とポリウレタン系樹脂(II)のうち混合比率の高い方の材料を後部の供給口から、混合比率の低い方の材料を前部の供給口から供給するのがよく、特に、ポリアミド系樹脂を、必要に応じてその他の添加剤と共に、事前に一度押出機により混合混練しておくのがよい。
また、本発明の複合材料は、慣用の成形法により成形できる。成形法としては、押出成形、射出成形、ブロー成形などが挙げられ、通常、射出成形が使用される。成形品の形状は、特に制限されず、板状、シート状、管状などであってもよい。なお、成形温度は、使用される原材料(例えば、樹脂及びゴム)に応じて適宜設定することが可能である。
本発明の複合材料は、各種工業部品、例えば、自動車用部品(インストルメントパネル、センターパネル、センターコンソールボックス、ドアトリム、ピラー、アシストグリップ、ハンドル、エアバッグカバーなどの自動車内装部品;モール、バンパー等の自動車外装部品;ラックアンドピニオンブーツ、サスペンションブーツ、等速ジョイントブーツなどの自動車機能部品など)、家電用部品(掃除機バンパー、リモコンスイッチ、オフィスオートメーション(OA)機器のキートップなど)、水中使用製品(水中眼鏡、水中カメラカバーなど)、工業用部品(カバー部品;密閉性、防水性、防音性、防振性等を目的とした各種パッキン付き工業用部品;工業用ゴムローラー類など)、電気・電子用部品(カールコード電線被覆、ベルト、ホース、チューブ、消音ギアなど)、スポーツ用品、靴用部品(運動靴、靴底など)、意匠性や装飾性を要する部品(例えば、サングラス、メガネなど)などに使用できる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例では、ポリアミド系樹脂をポリアミド樹脂、又は単にポリアミドと表現することがある。さらに、ポリアミドをPAと略記することがある。特に、ポリアミドの種類を限定して示す場合には、ポリアミド(又はPA)の後にポリアミドの種類を表す数字など(12、6、エラストマーなど)を付して表現することがある。また、熱可塑性ポリウレタン系樹脂をポリウレタン樹脂、又は単にポリウレタンと表現することがある。さらにポリウレタンをTPUと略記することがある。
[ポリアミド系樹脂]
(ポリアミド成分の調製)
(1)アミノ末端ポリアミドオリゴマーの調製(PA12/Ia-1/385)
オートクレーブを窒素置換し、ラウリルラクタム1,000g及びドデカンジアミン38gを少量の水及び少量の燐酸と共に添加し、得られた混合物を加熱下に攪拌した。反応系を徐々に昇温すると共に窒素ガスにより調圧し、17.5kgf/cm2(1.7×106Pa)で270℃に保ち、約4時間加熱攪拌を続けた。次いで、反応系を徐々に常圧に戻し、さらに、ごく少量の窒素ガスを循環させながら、減圧下に約1時間を要して系内の水分を排出した。その後、常圧で系を冷却しながらポリアミド12オリゴマーを溶融状態で取り出した。得られたポリアミド12オリゴマーを、さらに冷却し、ややもろい固体として得た。ポリアミド12オリゴマーの数平均分子量は約5400と低分子量であり、アミノ基の含有量は、385mmol/kgであった。このポリアミド12オリゴマーを、アミノ基を有するポリアミドオリゴマー(PA12/Ia-1/385)とした。
(2)片アミノ末端ポリアミドオリゴマーの調製(PA12/Ib-1/189)
オートクレーブを窒素置換し、ラウリルラクタム1,000g及びn−ヘキシルアミン20gを少量の水及び少量の燐酸と共に添加し、得られた混合物を加熱下に攪拌した。反応系を徐々に昇温すると共に窒素ガスにより調圧し、17.5kgf/cm2(1.7×106Pa)で270℃に保ち、約4時間加熱攪拌を続けた。次いで、反応系を徐々に常圧に戻し、さらに、ごく少量の窒素ガスを循環させながら、減圧下に約1時間を要して系内の水分と残留するn−ヘキシルアミンを排出した。その後、常圧で系を冷却しながらポリアミド12オリゴマーを溶融状態で取り出した。得られたポリアミド12を、さらに冷却し、ややもろい固体として得た。ポリアミド12オリゴマーの数平均分子量は約5300と低分子量であり、アミノ基の含有量は、189mmol/kgであった。このポリアミド12オリゴマーを、アミノ基を一分子中に一個有するポリアミドオリゴマー(PA12/Ib-1/189)とした。
(3)ポリアミド12(PA12/Ib-1/48)
オートクレーブを窒素置換し、ラウリルラクタム1,000gを、少量の水及び少量の燐酸と共に添加し、得られた混合物を加熱下に攪拌した。反応系を徐々に昇温すると共に窒素ガスにより調圧し、17.5kgf/cm2(1.7×106Pa)で270℃に保ち、約4時間加熱攪拌を続けた。次いで、反応系を徐々に常圧に戻し、さらに、ごく少量の窒素ガスを循環させながら、減圧下に約1時間を要して系内の水分を排出した。その後、常圧で系を冷却しながらポリアミド12を溶融状態で取り出した。得られたポリアミド12の数平均分子量は約21000であり、末端アミノ基濃度は48mmol/kgであった。
(4)ポリアミド12(PA12/Ib-1/7)
オートクレーブを窒素置換し、ω−ラウリルラクタム1000g及びドデカンジカルボン酸10gを、少量の水及び少量のリン酸と共に添加し、得られた混合物を加熱下に攪拌した。反応系を徐々に昇温すると共に窒素ガスにより調圧し、17.5kgf/cm2(1.7×106Pa)で270℃に保ち、約4時間加熱攪拌を続けた。次いで、反応系を徐々に常圧に戻し、さらに、ごく少量の窒素ガスを循環させながら、減圧下に約1時間を要して系内の水分を排出した。その後、常圧で系を冷却しながらポリアミド12を溶融状態で取り出した。得られたポリアミド12の数平均分子量は約20000であり、末端アミノ基濃度は7mmol/kgであった。
(5)ポリアミド12(PA12/Ia-1/72)
オートクレーブを窒素置換し、ω−ラウリルラクタム1000g及びヘキサメチレンジアミン3.8gを、少量の水及び少量のリン酸と共に添加し、得られた混合物を加熱下に攪拌した。反応系を徐々に昇温すると共に窒素ガスにより調圧し、17.5kgf/cm2(1.7×106Pa)で270℃に保ち、約4時間加熱攪拌を続けた。次いで、反応系を徐々に常圧に戻し、さらに、ごく少量の窒素ガスを循環させながら、減圧下に約1時間を要して系内の水分を排出した。その後、常圧で系を冷却しながらポリアミド12を溶融状態で取り出した。得られたポリアミド12の数平均分子量は約27000であり、末端アミノ基濃度は72mmol/kgであった。
(6)ポリアミド12(PA12/Ia-1/56)
オートクレーブを窒素置換し、ω−ラウリルラクタム1000g及びヘキサメチレンジアミン3.0gを、少量の水及び少量のリン酸と共に添加し、得られた混合物を加熱下に攪拌した。反応系を徐々に昇温すると共に窒素ガスにより調圧し、17.5kgf/cm2(1.7×106Pa)で270℃に保ち、約4時間加熱攪拌を続けた。次いで、反応系を徐々に常圧に戻し、更に、ごく少量の窒素ガスを循環させながら、減圧下に約1時間を要して系内の水分を排出した。その後、常圧で系を冷却しながらポリアミド12を溶融状態で取り出した。得られたポリアミド12の数平均分子量は約34000であり、末端アミノ基濃度は56mmol/kgであった。
(7)ポリアミド612(PA612/Ib-1/43)
オートクレーブを窒素置換し、ヘキサメチレンジアミンとドデカンジカルボン酸との塩の80重量%水溶液1250gを、少量の燐酸と共に添加し、得られた混合物を加熱下に攪拌した。反応系を徐々に昇温し、系内の圧力が15〜17kgf/cm2(1.5〜1.7×106Pa)に保たれるように少量の窒素ガスを循環させながら制御し、4時間を要して水分を系外に排出した。次いで、反応系の温度を270℃にすると共に、系内の圧力を徐々に常圧に戻し、さらに、ごく少量の窒素ガスを循環させながら、減圧下に約1時間を要して系内の水分を排出した。その後、常圧で系を冷却しながらポリアミド612を溶融状態で取り出した。得られたポリアミド12の数平均分子量は約23000であり、末端アミノ基濃度は43mmol/kgであった。
(8)ポリアミドエラストマー(PAE/Ib-1/4)
オートクレーブを窒素置換し、ω−ラウリルラクタム800g及びドデカンジカルボン酸90gを、少量の水及び少量のリン酸と共に添加し、得られた混合物を加熱下に攪拌した。反応系を徐々に昇温すると共に窒素ガスにより調圧し、17.5kgf/cm2(1.7×106Pa)で270℃に保ち、約4時間加熱攪拌を続けた。次いで、反応系を常圧に戻し、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(数平均分子量1300、末端は水酸基)425gを添加し、減圧下(10〜3mmHg)に加熱(220〜250℃)撹拌し、水分を系外に排除した。5時間後、常圧下に系を冷却しながらポリアミドブロック共重合体であるポリアミドエラストマーを溶融状態で得た。得られたポリアミドエラストマーの数平均分子量は約17000であり、末端アミノ基濃度は4mmol/kgであった。
(9)ポリアミド共重合体(PA6・12/Ib-1/45)
オートクレーブを窒素置換し、ω−ラウリルラクタム950g及びε−カプロラクタム50gを、少量の水及び少量のリン酸と共に添加し、得られた混合物を加熱下に攪拌した。反応系を徐々に昇温すると共に窒素ガスにより調圧し、17.5kgf/cm2(1.7×106Pa)で270℃に保ち、約4時間加熱攪拌を続けた。次いで、反応系を徐々に常圧に戻し、更に、ごく少量の窒素ガスを循環させながら、減圧下に約1時間を要して系内の水分を排出した。その後、常圧で系を冷却しながらポリアミド共重合体を溶融状態で取り出した。得られたポリアミド6・12共重合体の数平均分子量は約22000であり、末端アミノ基濃度は45mmol/kgであった。
(10)ポリアミド6(PA6/Ib-1/3)
オートクレーブを窒素置換し、ε−カプロラクタム1000g及びドデカンジカルボン酸10gを、少量の水及び少量のリン酸と共に添加し、得られた混合物を加熱下に攪拌した。反応系を徐々に昇温すると共に窒素ガスにより調圧し、17.5kgf/cm2(1.7×106Pa)で270℃に保ち、約4時間加熱攪拌を続けた。次いで、反応系を徐々に常圧に戻し、さらに、ごく少量の窒素ガスを循環させながら、減圧下に約1時間を要して系内の水分を排出した。その後、常圧で系を冷却しながらポリアミド6を溶融状態で取り出した。得られたポリアミド6の数平均分子量は約22000であり、末端アミノ基濃度は3mmol/kgであった。
(11)ポリアミド6(PA6/Ib-1/39)
オートクレーブを窒素置換し、ε−カプロラクタム1000gを、少量の水及び少量のリン酸と共に添加し、得られた混合物を加熱下に攪拌した。反応系を徐々に昇温すると共に窒素ガスにより調圧し、17.5kgf/cm2(1.7×106Pa)で270℃に保ち、約4時間加熱攪拌を続けた。次いで、反応系を徐々に常圧に戻し、さらに、ごく少量の窒素ガスを循環させながら、減圧下に約1時間を要して系内の水分を排出した。その後、常圧で系を冷却しながらポリアミド6を溶融状態で取り出した。得られたポリアミド6の数平均分子量は約26000であり、末端アミノ基濃度は39mmol/kgであった。
(ポリアミドの混合)
実施例及び比較例では上記各種ポリアミドを単独であるいは混合して、後述するように、ポリウレタン系樹脂と混合混練し、その混合物の特性を評価する。異種のポリアミドの混合はポリウレタン系樹脂との混合混練に先立って、二軸押出機((株)日本製鋼所 「TEX33α」)を用いて行った。例えば、後述する実施例1(表1)では、ポリアミド12(PA12/Ib-1/7)80重量部とポリアミド12(PA12/Ib-1/48)20重量部とを、240℃の温度条件下で二軸押出機を用いて混合混練し、冷却してペレットとして混合物を回収した。このペレットをポリウレタン系樹脂との混合混練用原料とした。その他の実施例においても、混合方法を特に断らない限り(すなわち、実施例34〜36以外)、上記と同様の方法で混合混練した。押出機の温度設定は230〜250℃の範囲であった。
なお、ポリアミド系樹脂において、アミノ基濃度([NH2] )は、試料[重合物(上記(1)〜(11))]約1gを40ミリリットルのフェノール/メタノール混合溶媒(容量比:9/1 )に溶解し、得られた試料溶液に指示薬としてチモールブルーを加えて、N/20(0.05規定)塩酸で滴定することにより求めた。以下、実施例及び比較例において表1〜6に示したポリアミドのアミノ基(NH2)濃度は同表の処方の基づいて算出した計算上のアミノ基濃度である。また、表中、「片末端NH2」とは上記「NH2含有量」のうち、一分子あたりに一個のアミノ基を有する成分に由来するアミノ基の割合(%)を示す。
[熱可塑性ポリウレタン系樹脂]
実施例及び比較例で使用した熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)は次のとおりである。
1.エーテル系ポリウレタン(Ether/A80):日本ポリウレタン(株)製、「ミラクトラン」E380
2.エーテル系ポリウレタン(Ether/A90):デイーアイシーバイエルポリマー(株)製、「パンデックス」T8190
3.エーテル系ポリウレタン(Ether/A95):BASFジャパン(株)製、「エラストラン」1195ATR
4.エステル系ポリウレタン(Lactone/A80):日本ポリウレタン(株)製、「ミラクトラン」E580
5.エステル系ポリウレタン(Adipate/A92):デイーアイシーバイエルポリマー(株)製、「パンデックス」T1190
6.エステル系ポリウレタン(Adipate/A95):日本ポリウレタン(株)製、「ミラクトラン」E495
7.ポリカーボネート系ポリウレタン(Carbonate/A80):日本ポリウレタン(株)製、「ミラクトラン」E980
なお、上記、ポリウレタンの種類に次いで示した丸括弧内の表記(例えば、Ether/A80など)は、ソフトセグメントの種類及びポリウレタンのショアーA(Shore A) 硬度を示している。
[複合材料]
ポリアミド系樹脂(I)と熱可塑性ポリウレタン系樹脂とを表1〜6に示す処方(組成および割合)で、混合混練し、複合材料を得た。なお、表中、ポリアミド系樹脂(I)において、50,100などの数字の単位は、特に断りのない限り、「重量部」である。
すなわち、実施例1〜33、37および比較例1〜7では、表1〜6に示す処方で、ポリアミド系樹脂[必要に応じて表1〜表6に示した処方で、前記混合方法により混合混練(ドライブレンド)して準備したポリアミド系樹脂]と、熱可塑性ポリウレタン系樹脂とを混合混練し、複合材料を得た。
また、実施例34〜36では、表6に示したポリアミド処方に従って選択したポリアミドと、ポリウレタン系樹脂を、同じく表6に示した混合比に従い、混合混練し、複合材料を得た。このとき、実施例34及び35においては、事前にペレットの状態で前記混合方法によりドライブレンドされたポリアミド系樹脂を、二軸押出機の後部供給部より、ポリウレタン系樹脂をシリンダー中部の供給口よりサイドフィーダーで仕込んだ。また、実施例36においては、表6に示したすべてのポリアミドとポリウレタン系樹脂を、事前にペレット状態でドライブレンドし、シリンダー後部供給口から二軸押出機に仕込み、混合混練した。
なお、ポリアミド系樹脂と熱可塑性ポリウレタン系樹脂の混合混練は、すべて、前記ポリアミドの混合において使用した二軸押出機を用いて行った。押出機の温度条件は以下の通りである。
シリンダー後部 170〜180℃
シリンダー中央部 200〜240℃
シリンダー前部 210〜240℃
ダイス部 200〜220℃。
なお、複合材料の混合混練特性を、観察し、以下の基準により評価した。
混合混練特性:ポリアミド系樹脂とポリウレタン系樹脂とを、二軸押出機にて混合混練する工程で、明瞭な粘度の上昇もゲルの発生も見られなかった場合を(○)、粘度の上昇(増粘)は観察されたがゲルの発生にまでは至らなかった場合を(△)、粘度の上昇とゲルの発生が認められた場合を(×)とした。
[複合材料(混合混練物)の評価方法]
(引張特性)
得られた複合材料を射出成形により試験片(引っ張り試験片)に成形し、引張破断伸度を測定するとともに、破断時の試験片を観察し、層間剥離の有無、破断面の乱れを評価した。
(1)引っ張り試験:ISO R527に従って、試験片[引っ張り試験片、ISO R527のタイプ1(Type1)の試験片]を、引張試験に供し、引張破断伸度を測定した。
(2)層間剥離:試験片を破断に至るまで延伸したとき、延伸された試験片表面層に乱れが観察され、層間剥離を生じた場合を(×)、層間剥離は生じなかったが、表面層に亀裂が生じた場合を(△)、層間剥離および表面層の亀裂がいずれも観察されなかった場合を(○)と評価した。
(3)破断面:試験片を破断に至るまで延伸し、破断面を観察した。破断面が白化し「ささら」状の乱れが認められた場合は(×)、全く認められなかった場合は(○)、破断面に白化だけが認められた場合を(△)と評価した。
(成形特性)
また、前記試験片の成形において、成形特性(又は成形不良)を観察した。すなわち、試験片の成形において、成形品(試験片)表面、特にゲート近辺の成形品表面を観察した。また、ゲート部でのランナーの切断に際して切断部の白化と「ささら」の発生を観察した。
(4)成形品表面:成形品表面に乱れが観察されなかった場合を(○)、成形品表面に千枚めくれ状の乱れを認めた場合を(×)、広域に亘る千枚めくれは観察されなかったがゲート近傍にシルバー状の乱れが観察された場合を(△)とした。
(5)ゲート切断部:ゲート切断部位に白化及び「ささら」の発生が観察された場合を(×)、ゲート切断部位に白化も「ささら」も生じなかった場合を(○)、ゲート切断部位に白化のみを認めた時を(△)とした。
なお、「ささら」とは広辞苑(岩波書店)によれば、細かく割った竹を束ねたものと説明されている。本実施例では、引張試験片を成形後、ゲート部位で切断したとき、ゲート部位が「ささら」状に割れた場合を、「ささら」が発生したと表現している。また、引張試験において、試験片の破断部が「ささら」状に割れたときも「ささら」が発生したと表現している。
さらに、前記試験片において、疲労特性および摩耗特性を観察した。
(6)疲労特性:前記試験片を、手で、中央部辺りで繰り返し反転(360度)させる折り曲げ試験を行い、折り曲げ部位の白化の状況を観察した。10回の折り曲げで白化も表層剥離も生じなかった場合を(○)、10回の折り曲げで白化ならびに表層剥離が認められた場合を(×)、10回の折り曲げで白化は観察されたが表層剥離は観察されなかったものを(△)と評価した。
(7)磨耗特性:得られた複合材料を射出成形により、サッカーシューズの靴底に成形した。この靴底を用いてサッカーシューズを作成し、三ヶ月の実履き試験に供した。
三ヶ月後のスタッドの状況を観察し、磨耗が大きくスタッドの形状がほぼ失われ、もはや実用に供されない程度に達したものを(×)、なお十分実用に供し得るものを(○)、それらの中間的なものを(△)とした。
評価の結果を表1〜6に示す。
なお、評価はポリアミドの処方及びポリウレタン樹脂との組み合わせごとに実施され、その評価結果は、個々を実施例と比較例に振り分け、ポリアミドの処方及び混合混練して組み合わせるポリウレタンの種類と共に表中に示した。また、表中、評価結果において、「−」は実施しなかったことを意味する。
Figure 2006028314
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Claims (14)

  1. ポリアミド系樹脂(I)と、熱可塑性ポリウレタン系樹脂(II)とを構成成分とする複合材料であって、前記ポリアミド系樹脂(I)が、10mmol/kg以上のアミノ基を有する複合材料。
  2. ポリアミド系樹脂(I)と熱可塑性ポリウレタン系樹脂(II)とが、ポリマーブレンドを形成し、かつ直接接合している請求項1記載の複合材料。
  3. ポリアミド系樹脂(I)が、脂肪族ポリアミド系樹脂、脂環族ポリアミド系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂及びポリアミドブロック共重合体から選択された少なくとも一種である請求項1記載の複合材料。
  4. ポリアミド系樹脂(I)が、下記の(Ia-1)、(Ia-2)および(Ia-3)から選択された少なくとも1種で構成されている請求項1記載の複合材料。
    (Ia-1):単一のポリアミド系樹脂であって、10mmol/kg以上のアミノ基を有するポリアミド系樹脂
    (Ia-2): アミノ基含有量が異なる複数のポリアミド系樹脂の混合物であって、10mmol/kg以上のアミノ基を有するポリアミド系樹脂
    (Ia-3):ポリアミド系樹脂と、アミノ基を有する化合物とを含むポリアミド系樹脂組成物であって、10mmol/kg以上のアミノ基を有するポリアミド系樹脂組成物
  5. ポリアミド系樹脂組成物(Ia-3)において、アミノ基を有する化合物が、モノアミン、ポリアミン、及びポリアミドオリゴマーから選択された少なくとも一種である請求項4記載の複合材料。
  6. ポリアミド系樹脂組成物(Ia-3)において、アミノ基を有する化合物の割合が、ポリアミド系樹脂100重量部に対して、0.01〜30重量部である請求項4記載の複合材料。
  7. ポリアミド系樹脂(I)が、脂肪族ポリアミド系樹脂、脂環族ポリアミド系樹脂及びポリアミドブロック共重合体から選択された少なくとも一種のポリアミド系樹脂と、ポリアミドオリゴマーとで構成されている請求項1記載の複合材料。
  8. ポリアミドオリゴマーの割合が、ポリアミド系樹脂100重量部に対して、1〜30重量部である請求項7記載の複合材料。
  9. 熱可塑性ポリウレタン系樹脂(II)が、熱可塑性ポリウレタンエラストマーで構成されている請求項1記載の複合材料。
  10. 熱可塑性ポリウレタン系樹脂(II)が、ポリエステルポリウレタンで構成されている請求項1記載の複合材料。
  11. ポリアミド系樹脂(I)が、脂肪族ポリアミド系樹脂及びポリアミドブロック共重合体から選択された少なくとも一種で構成されており、熱可塑性ポリウレタン系樹脂(II)が、ポリエーテルウレタンエラストマー、ポリエステルエーテルウレタンエラストマー及びポリカーボネートウレタンエラストマーから選択された少なくとも一種で構成されている請求項1記載の複合材料。
  12. ポリアミド系樹脂(I)と熱可塑性ポリウレタン系樹脂(II)との割合が、前者/後者(重量比)=95/5〜5/95である請求項1記載の複合材料。
  13. 10mmol/kg以上のアミノ基を有するポリアミド系樹脂(I)、及び熱可塑性ポリウレタン系樹脂(II)を溶融混練して請求項1記載の複合材料を製造する方法。
  14. ポリアミド系樹脂と熱可塑性ポリウレタン系樹脂とを構成成分とする複合材料において、前記ポリアミド系樹脂として、10mmol/kg以上のアミノ基を有するポリアミド系樹脂を使用することにより、前記複合材料の成形不良を防止する方法。
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