実施例1は一般的なスロットマシンにおいて、リールの回転開始順序で報知を行う遊技台を提供するように構成したものである。
まず、本発明の実施例1に係る遊技台の具体的構造について説明しておく。
<全体の構成>
図1は、本発明の実施例1に係る遊技台としてのスロットマシン100の外観を示す斜視図である。図1に示すように、スロットマシン100の中央内部には、外周面に複数種類の絵柄(「7」、「オレンジ」、「ベル」、「BAR」、「JAC」等の文字や記号:図3参照)を配列した円筒状のリールが3個(左リール110、中リール111、右リール112)収納され、本体201の内部で回転できるように構成されている。本体201の両サイドには取手部201cが設けられ、スロットマシン100の運搬の際に利用される。
前面扉101には、表示窓113が設けられており、リール110乃至112を正面から眺めると、これに施された絵柄が表示窓113から縦方向に3つ見えるようになっている。つまり、全リール110乃至112が停止した場合、遊技者は、3×3の合計9個の絵柄を見ることができる。これらのリール110乃至112が回転し、停止することにより、様々な絵柄の組合せが表示窓113に表示されることになる。なお、実施例1では、3個のリールを備えるものとしたが、リールの数やリールの設置位置はこれに限定されるものではない。
各リール110乃至112の裏側には、表示窓113上に表示される個々の絵柄を照らすためのバックライト(図示せず)が配置されている。バックライトは、例えば、7色(赤、緑、青紫の三原色と、白色等をはじめとするこれらの混合色)の光を発することが可能であり、各原色に対応したLED等を含んで構成される。
入賞ライン表示ランプ120は、遊技毎に有効となる入賞ライン114を示すランプである。有効となる入賞ライン114は、スロットマシン100に投入された遊技媒体(実施例1ではメダルを設定する。)の枚数によって変化する。例えば、図1に示すように5本の入賞ライン114を有する場合、メダルを1枚投入したときは中段の水平入賞ライン、2枚投入したときは、上段の水平入賞ラインおよび下段の水平入賞ラインを加えた3つの入賞ライン、3枚投入したときは更に2本の斜めの入賞ラインを加えた5ラインが有効となり、有効な入賞ライン114上に揃った絵柄の組合せにより入賞が判断されることとなる。勿論、入賞ラインの数は5本に限定されるものではない。
スタートランプ121は、リール110乃至112が回転することができる状態にあることを遊技者に知らせるランプである。再遊技ランプ122は、入賞役である再遊技に入賞したとき(例えば、JAC−JAC−JACの再遊技絵柄の組合せが入賞ライン114上に揃ったとき)、遊技者へ次の遊技が再遊技であることを知らせるランプである。再遊技の場合、次遊技において遊技媒体であるメダルの投入が免除される。
告知ランプ123は、特別な入賞役(例えば、ビッグボーナス(BB)やレギュラーボーナス(RB))に内部当選した状態にあることを遊技者に報知するランプである。メダル投入ランプ124は、遊技開始にあたって遊技者にメダルの投入が必要であることを報知するランプである。
メダル投入枚数表示ランプ125は、遊技者が投入したメダル枚数を表示するランプである。実施例1では、1回の遊技に最大3枚までメダル投入できるので、縦に配置した3つのランプを用いてメダル投入枚数を表示している。無論、ランプで表示する他に7セグメント表示器等で直接メダル投入枚数を表示しても良い。
払出枚数表示器126は、メダルの払い出しのある何らかの入賞役に入賞したとき、遊技者へ払い出されるメダルの枚数を表示する表示器である。遊技回数表示器127は、ビッグボーナスゲーム中の一般ゲームの回数等を表示する表示器である。貯留枚数表示器128は、電子的に貯留(クレジット)しているメダルの枚数を表示する表示器である。演出用ランプ129は、遊技の興趣を高めるための演出に使用されるランプである。
メダル投入ボタン131、132は、貯留されたメダルをスロットマシン100へ電子的に投入するための投入ボタンであり、いわゆるベットボタンと呼ばれているものである。実施例1では、3枚メダル投入ボタン131(最大枚数のメダルを投入できる、いわゆるマックスベットボタン)と、1回押下するごとに1枚のメダルを投入する1枚メダル投入ボタン132とを有し、これらのボタンのいずれかを押下することにより遊技に必要な1乃至3枚のメダルがスロットマシン100へ電子的に投入される。2枚のメダルを投入する場合は、1枚メダル投入ボタン131を2回押下することとなる。投入されたメダル枚数分は、現在の貯留枚数から減算されて残枚数が貯留枚数表示器128に表示される。
メダル投入口ブロック133は、遊技を開始するに当たって遊技者が直接メダルを投入するための開口を有する。メダルを直接投入した際に、メダル投入口直下にあるメダルセレクターユニット(図示せず)内にメダルが詰まってしまった場合は、メダルキャンセルスイッチ133aを操作することによってメダルの詰まりを解消させる。スタートレバー135は、遊技の開始操作として、リール110乃至112の回転を開始させるレバー型のスイッチである。
ストップボタンユニット136には、3つのストップボタン(左ストップボタン136a、中ストップボタン136b、右ストップボタン136c)が設けられている。各ストップボタンは、押下することによって対応するリール110乃至112を停止させるボタン型のスイッチである。具体的には、左ストップボタン136aを操作することによって左リール110が、中ストップボタン136bを操作することによって中リール111が、右ストップボタン136cを操作することによって右リール112がそれぞれ停止する。
各ストップボタンの内部にはランプ(図示せず)が設けられており、スタートレバー135が操作された後、リール110乃至112の停止操作が可能な状態になると全ランプが点灯し、遊技者に停止操作が可能になったことを報知する。各ストップボタンのランプは各ストップボタンが押下される毎に消灯する。無論、停止操作可能な状態とその他の状態とでランプの発光色を変化させるように構成することもできる。
精算ボタン138は、遊技者が獲得したメダルを精算して排出する精算処理を行う場合に押下されるボタンである。なお、精算ボタン138は、遊技者がメダル投入口ブロック133から投入したメダルのうち所定枚数(例えば3枚)以上のメダルまたは入賞により獲得したメダルを最大50枚まで貯留するか否かを切換える場合にも使用され、例えば、一回精算ボタンを押下されて精算処理が行われると、非貯留モードが設定され、もう一度精算ボタンを押下されると、貯留モードが設定される。ここに、メダルの貯留とは、メダルを直接払い出さずに、電子的にその枚数を後述する制御部に一時記憶しておくことを意味する。
キー孔139は、扉開閉用のキーを差し込む孔で、キーを差し込んで時計方向に回すとロックが解除され、スロットマシン100の前面扉10lを開けることができる。メダル排出口165は、メダルを排出するための開口であり、入賞時に払い出されるメダルはここから排出される。排出されたメダルは、受け皿160に溜まるようになっている。
上部ランプ190、サイドランプ151,152、中央ランプ153,154、腰部ランプ155,156、下部ランプ157,158は、遊技を盛り上げるための演出用のランプであり、遊技状態に応じて点灯/消灯/点滅する。また、図示を省略したタイトルパネルランプによりタイトルパネル140を照明する。実施例1では、受皿160を透光性材料で構成し、受皿取り付け面からランプ光を入射させることで上記演出用のランプと同様の効果を発揮させるように構成している。また、受皿160には、着脱可能に構成した灰皿ユニット170が設けられている。
また、スロットマシンの上部(表示窓113の上方)中央部には、遊技に関する各種の情報(ゲームを盛り上げるためキャラクタ等を登場させるゲーム画面、スロットマシンの内部で異常が発生した場合にエラーの内容を表示するエラー画面など)を表示することができるLCD(液晶表示部)180が設けられている。
<制御ブロック>
次に、図2を参照して、スロットマシン100の制御部の構成について詳述する。実施例1における制御部は、全体を制御する主制御部300と、遊技を盛り上げるための演出に関する制御等を遂行する副制御部400と、LCD180を制御するLCD表示制御部500とで構成されている。
<主制御部300>
マイクロプロセッサ(以下、MainCPUと称す)310は、スロットマシン100における制御の中枢となるものであり、バス370を介して、周辺部との間で制御信号やデータの受渡しが行われる。
乱数発生器311は、内部抽選等に用いられる乱数を発生するもので、複数のカウンタ、クロック発振器、分周器及びラッチ回路等で構成される。乱数発生器311が発生した乱数値は、バス370を介して、RAM313の乱数記憶領域に記憶され、必要に応じてMainCPU310へ送られる。
MainCPU310には、入力インターフェース360およびバス370を介して、種々の検出手段が接続されている。
例えば、メダル投入口ブロック133より投入されたメダルを検知するメダルセンサ320、スタートレバー135の操作を検知するスタートレバーセンサ321、ストップボタン136a乃至136cのいずれかが押された場合、どのストップボタンが押されたかを検知するストップボタンセンサ322、メダル投入ボタン131,132のいずれかが押された場合、どのメダル投入ボタンが押されたかを検知するメダル投入ボタンセンサ323は、入力インターフェース360およびバス370を介して、MainCPU310と接続されている。
ROM(リード・オンリー・メモリ)312は、各種制御を行うためのプログラムや、各種制御データ等を記憶する記憶手段の一つである。MainCPU310は、バス370を介して、プログラムや、各種制御データ等を読み込む。RAM(ランダム・アクセス・メモリ)313は、バス370を介して、MainCPU310によって処理されるプログラムのワークエリアを有し、可変データ等を記憶する記憶手段の一つである。
また、リール110乃至112の回転と停止を行うリール駆動用のパルスモータ(図示省略)を制御するモータ制御部331、及び、メダル払出装置(いわゆるホッパー)を制御するホッパー制御部332が、入出力インターフェース330及びバス370を介してMainCPU310に接続されている。
演出用ランプ・表示器類(例えば、図1で示した入賞ライン表示ランプ120、スタートランプ121、再遊技ランプ122等のランプ類や、払出枚数表示器125、遊技回数表示器126等の各種表示器の総称)を制御する表示用ランプ表示器類制御部341は、出力インターフェース340およびバス370を介してMainCPU310に接続され、制御指令を受ける。
さらに、出力インターフェース350は、MainCPU310の指示に基づき、各種のコマンドを副制御部400の入力インターフェース430へ送信する。コマンドには、例えば、メダルが投入されたことを示すコマンド、スタートレバー135が操作されたことを示すコマンド、押されたストップボタンを示すコマンド、演出の内容(バックライト、上部ランプ、音声出力、LCD表示装置等による演出の内容)を規定したコマンド等がある。
<副制御部400>
マイクロプロセッサ(以下、SubCPUと称す)410は、主制御部300から送信された各種コマンドを入力インターフェース430およびバス470を介して受信し、受信したコマンドの内容に応じて副制御部400全体を制御する。
ROM411は、副制御部400全体を制御するためのプログラムやデータ等を記憶する記憶手段の一つである。 RAM412は、SubCPU410で処理されるプログラムのワークエリアを有し、可変データ等を記憶する記憶手段の一つである。
バックライト421は、リールの絵柄を照らす発光手段で、SubCPU410の指示に従って点灯/点滅/消灯する。演出用発光表示部422は、上部ランプ190、サイドランプ151,152、中央ランプ153,154、腰部ランプ155,156、下部ランプ157,158、受け皿ランプをまとめて表したもので、SubCPU410の指示に従って点灯/点滅/消灯する。バックライト421および演出用発光表示部422は、出力インターフェース420、バス470を介してSubCPU410と接続されている。
楽音信号形成部460は、SubCPU410から受け渡された制御データに基づいて、楽音信号を形成して出力する。この楽音信号は、アンプ461で増幅された後、スピーカー(具体的には上部スピーカー及び背面スピーカー)462から音として出力される。
出力インターフェース450は、SubCPU410の指示に基づき、各種制御データをLCD表示制御部500へ送信する。この制御データに基づいて、LCD表示制御部500は、LCD180を表示制御する。LCD表示制御部500については後述する。
<LCD表示制御部500>
SubCPU510は、副制御部400から送信された各種コマンドを入出力インターフェース530を介して受信し、受信したコマンドの内容に応じて画像データを特定し、LCD180に表示させるべき画像データをビデオ・ディスプレイ・プロセッサー(以降VDP)550へ指示する。
ROM511は、LCD用SubCPU510の制御プログラムやデータ等を記憶する記憶手段の一つである。
VDP550は、指定された画像データを外部接続されたROM552から読み込んで描画処理を行うと共にRGB信号に変換して、出力インターフェース553を介して出力し、LCD180に表示を行わせる。
<絵柄配列>
図3は各リールの絵柄の説明図であり、図3は各リール110乃至112に施される絵柄組合せを平面的に展開して示した図である。各リール110乃至112には、図3に示すように、複数種類の絵柄が所定コマ数(ここでは21コマ)だけ配置されている。本実施例では、ベルとオレンジを同一配当枚数の同一フラグとし、全リールで引き込み100%を可能にするものである。
<入賞役の種類>
次に、入賞役の種類について、図4(a)乃至(c)を用いて説明する。入賞役の種類は任意に採用することができるが、実施例1では以下の遊技を設定する。
(1)通常遊技
通常遊技の入賞役、絵柄組合せを図4(a)に示す。実施例1では、通常遊技において以下の入賞役を設定する。即ち、絵柄組合せが「赤7−赤7−赤7」であれば特別遊技(ビッグボーナスゲーム)に入賞する。また、絵柄組合せが「BAR−BAR−BAR」であればRB(レギュラーボーナスゲーム)役物遊技に入賞する。また、絵柄組合せが「プラム−プラム−プラム」であれば小役1に入賞する。また、絵柄組合せが「オレンジ−オレンジ−オレンジ」であれば小役2に入賞する。また、絵柄組合せが「ベル−ベル−ベル」であれば小役3に入賞する。また、絵柄組合せが「チェリー−ANY−ANY」であれば小役4に入賞する。「ANY」は、どの絵柄でもよいことを示している。また、絵柄組合せが「JAC−JAC−JAC」であれば再遊技に入賞する。
(2)特別遊技
通常遊技において、BBに入賞することにより通常遊技とは異なる特別遊技が開始される。特別遊技の入賞役、絵柄組合せを図4(b)に示す。実施例1では、特別遊技において以下の入賞役を設定する。即ち、絵柄組合せが「JAC−JAC−JAC」であれば役物遊技に入賞する。また、絵柄組合せが「オレンジ−オレンジ−オレンジ」であれば小役2に入賞する。また、絵柄組合せが「ベル−ベル−ベル」であれば小役3に入賞する。また、絵柄組合せが「チェリー−ANY−ANY」であれば小役4に入賞する。
(3)役物遊技
特別遊技において、「JAC―JAC―JAC」、若しくは、通常遊技において、RBに入賞することにより役物遊技が開始される。役物遊技中の入賞役、絵柄組合せを図4(c)に示す。実施例1では、役物遊技において絵柄組合せが「JAC−JAC−JAC」であれば役物遊技に入賞する。
<通常遊技>
次に、図5は、通常遊技における制御処理の流れを示す図である。図5を参照して通常遊技について説明する。通常遊技は遊技者による遊技媒体投入と遊技開始操作とによりリールの移動を開始させると共にステップST1の内部抽選処理を実行して、ステップST2のリール停止準備処理に移行する。
ステップST2ではリール停止準備処理が行われ、内部抽選で決定された入賞役に対応する停止位置データT1乃至T6に振り分けられ、該当する停止位置データ選択テーブルが選ばれてステップST3に移行する。
ここで停止位置データ選択テーブルは、ステップST1の内部抽選で決定された入賞役に対応する絵柄組合せがいずれかの入賞ライン上に停止表示されるようにリールを停止制御するための停止位置データを選択するためのテーブルである。本実施例では、内部当選した小役2・3を入賞させるための表示条件としてリール停止操作順序を決定する。停止位置データ選択テーブルにより選択された停止位置データに設定された停止操作順序が、内部当選した小役2・3を入賞させるための表示条件となっている。
本実施例では、通常遊技中において停止位置データ選択状態として通常の停止位置データ選択状態(通常)と特定の停止位置データ選択状態(特定)との2つの停止位置データ選択状態を設定した。通常の停止位置データ選択状態時は、揃うか否かの振り分けのみとなる。そして、特定の契機条件で特定の停止位置データ選択状態に移行する。契機条件に関しては、従来行われている種々の移行契機で切換え制御を行えばよい。所定の条件(移行抽選等)により特定の停止位置データ選択状態になる。
ステップST1の内部抽選の結果、本実施例では、通常遊技において特定のテーブル選択状態でで共通入賞役としての「小役2」、「小役3」(以下、小役2・3という)に内部当選した場合を説明する。
ステップST1で内部抽選の結果、小役2・3に内部当選したことが決定されると、ステップST2でリール停止準備処理が行われる。リール停止準備処理は、概略的には、リールの停止位置を決定するための停止位置データを停止位置データ選択テーブルで選択する処理と、リール回転開始時にリールの回転開始順序を制御する遅延タイマデータテーブルから制御データを選択する処理とで構成されている。ここでは、停止位置データT3が選択されものとして説明する。
停止位置データT3は、概念的には、リールの停止操作順序を最初は中リール、2番目に左リール、最後に右リールに対応するストップボタンを操作することにより小役2・3に対応する絵柄組合せである「オレンジ」、「ベル」のいずれかの絵柄組合せがいずれかの入賞ライン上に停止表示されるようにリールを停止制御する情報が設定されたデータと、上記以外の停止操作順序で停止操作が行われた場合は、いずれの絵柄組合せもいずれの入賞ライン上に停止表示させないようにリールを停止制御する情報が設定されたデータとで構成されている。停止位置データは、主制御部300のROM312に記憶されている。次に、選択された停止位置データT3に応じて遅延タイマデータテーブルT3が参照され、タイマ値が取得される。遅延タイマとは、リールの回転開始順序を制御するための情報が設定されたデータテーブルで、設定されているデータは、リールを回転開始させるまでの待ち時間に相当する値が設定されている。
停止位置データT3に対応する遅延タイマデータT3によると、左リール110に対応して設定されている値が「200」、中リール111に対応して設定されている値が「0」、右リール112に対応して設定されている値が「400」となっている。
ステップST2で取得された遅延タイマ値は、ステップST3のリール回転開始処理で各リール110乃至112に対応して設けられた遅延カウンタに設定される。
ST3では、遅延カウンタに基づいてリール回転開始処理が行われる。遅延カウンタは、タイマ割込処理が行われる毎に減算される。タイマ割込処理は、所定時間間隔の割込み周期でリールの回転制御等を行うためパルスモータへ駆動パルスの供給を行う処理を行っている。遅延カウンタの値が0である場合は、0になった順にリール回転が開始される。本実施例では、割込み周期を1.877msecとしている。その結果、取得された遅延タイマデータT3によれば、左リールの遅延カウンタ値200×1.877msec=375msec、右リールの遅延カウンタ値400では、750msecの回転開始遅れが発生する。
次のステップST4のリール停止処理では、停止位置データ選択テーブルから選択された停止位置データに基づいてリールの停止制御が行われる。そして、停止操作により全リール110乃至112が停止した後に停止表示結果から、ステップST5の入賞判定処理が行われ入賞の有無が決定される。
実際に遊技者から表示窓113を見ると図6に示すように図6(a)の遊技開始と共に中リールが回転を開始し、375msec後に図6(b)に示すように左リールが回転を開始する。更に750msec後に右リールが回転を開始し、図6(c)に示すように全てのリールが定速状態になったときに停止操作が有効化される。
そして、遊技者は図6(d)乃至(e)に示すように、回転を開始した順序に従って停止操作を行うことで「小役2」、「小役3」のベル若しくはオレンジのいずれかが入賞ライン上に停止表示され、入賞する。
ここで、各リール110乃至112の回転開始と同時に計時を開始して一定時間経過後に各リール個別に停止操作が行われたのと同じ様に自動停止させるための自動停止タイマ(例えば回転開始後30秒)を設けるとよい。そして、自動停止タイマにより自動的に停止させることでも「小役2」、「小役3」のベル若しくはオレンジのいずれかが入賞ライン上に停止表示された場合も入賞したものとする。
この場合、仮に回転開始順序を見落としたり忘れたりしてしまっても、自動停止まで待つことで回転開始順序と同じ順に自動停止が行われるため、「小役2」、「小役3」を入賞させることができる。自動停止タイマによる救済措置を設けることができる。
<制御フロー>
以下、本実施例のスロットマシン100のリール制御について図7乃至図11のフローチャートを用いて説明する。
スロットマシン100のリール制御は、概略的には、遊技実行処理(図7)とタイマ割込処理(図10)との2つの処理で行われている。遊技実行処理は、遊技の進行を制御する処理である。タイマ割込処理は、遊技実行処理で進行制御される個々の処理を実際に実行する処理である。
例えば、遊技開始時に遊技者がメダルを投入する場合、遊技実行処理は、メダル投入を待って次の処理であるスタートレバーの操作を許可するという遊技の進行を制御する。タイマ割込処理は、遊技実行処理がメダル受付処理中であることから、メダルセンサ320、メダル投入ボタンセンサ323の監視、これらからの検出信号に基づいてメダルの適否の判定、投入枚数のカウント、メダル受付表示等の具体的な処理を行う。遊技実行処理は、タイマ割込処理において、メダルが投入されたことを受けて次のスタートレバー受付処理へと移行させる制御を行う。他の処理についても同様である。
本実施例では、遊技実行処理において抽選で決定された小役2・3を入賞させるか否かの停止操作順序を定めた停止位置データと停止操作順序に応じてリールの回転開始を遅延させる遅延タイマデータとを決定する。タイマ割込処理では、リール回転開始時に遅延タイマデータに基づいてリールの回転開始を遅延させる処理と、ストップボタン操作に応じて停止位置データに基づいてリールを停止させる処理とを行っている。以下、詳述する。
<遊技実行処理>
図7は、実施例1のスロットマシン100における遊技実行処理を示すフローチャートである。遊技実行処理において、本実施例のリール制御に関連する部分は、図5に記載されている処理が対応している。その他は、遊技の流れ全体の制御で特に従来のものとは変わらない。遊技実行処理は、MainCPU310が行い、電源切断等を検知しないかぎり、本ルーチンを繰り返し実行する。
ステップST1002では、メダル投入ブロック133からのメダル投入や3枚メダル投入ボタン131若しくは1枚メダル投入ボタン132の操作によりメダルを受け付けていれば、メダル投入の確認を行い、これにより、スタートレバー135の操作が可能な状態となる。また、メダルの投入数に応じた入賞ラインランプの点灯等を行う。
ステップST1004では、スタートレバー135の操作に関する処理を行う。スタートレバー135が操作された場合、投入されたメダル枚数を確定して、有効な入賞ライン114を確定する。
ステップST1006では、乱数発生器311で発生させた乱数を取得し、ROM312に格納されている抽選データテーブルと、取得した乱数値とを用いて、入賞役の内部当選の当否を定める内部抽選を行う。なお、抽選データテーブルには、図4に示す入賞役に対応した抽選用データが、あらかじめ特別遊技、役物遊技、小役等の遊技状態毎に格納されている。
ステップST1008では、図5に示したようにリール停止準備処理として内部抽選で決定された入賞役に対応する停止位置データ選択テーブルが選ばれて、リールを停止制御するための停止位置データ、及び、遅延タイマ値が取得される。なお、リール停止準備処理の詳細については図8を参照して後述する。
ステップST1010では、演出表示処理が行われ、演出抽選で何らかの演出に当選した場合に、当選した演出内容をLCD180に表示する。
ステップST1012では、リール回転開始処理が行われる。リール回転開始処理では、遅延タイマ値を含むリール回転制御のためのパラメータが設定され、リール制御状態を加速状態に設定する。後述のタイマ割込処理は、リールの制御状態が加速状態に設定されることをうけて、リールの回転処理を行う。なお、リール回転開始処理の詳細については図9を参照して後述する。
ステップST1014では、ストップボタン受付処理が行われ、ストップボタン136a乃至136cの受け付けが可能になる。
ステップST1016では、いずれかのストップボタン136a乃至136cが押されると、押されたストップボタンに対応するリールを、ステップST1008で取得したリール停止位置データに基づいて停止させる。
ステップST1018では、全てのリールが停止しているか否かをチェックして全てのリールが停止していなければステップST1014に戻り、全てのリールが停止していれば、ステップST1020に移行する。
ステップST1020では、入賞判定処理が行われ、入賞判定を行う。ここでは、有効化された入賞ライン114上(図中(a)乃至(e))に、入賞役に対応する絵柄組合せが表示された場合にその入賞役に入賞したと判定する。例えば、有効化された入賞ライン114上に、「ベル−ベル−ベル」が揃っていたならばベル入賞と判定する。また、例えば「オレンジ−オレンジ−オレンジ」が揃っていたならばオレンジ入賞と判定する。
ステップST1022では、メダル払出処理が実行される。払い出しのある何らかの入賞役に入賞していれば、その入賞役に対応する枚数のメダルを払出すようにメダル払出要求が出され、そのメダル払出要求枚数に応じたメダルの払出しが行われる。メダルの払出しにおいては、遊技機内に貯留可能であれば貯留部に貯留され、貯留部の貯留可能な上限枚数を超えているときにはメダル排出口165からメダルが払出される。
ステップST1024では、入賞演出処理が実行され、必要に応じてその入賞役に対応する演出内容をLCD180に表示する。
ステップST1026では、遊技状態更新処理が実行され遊技状態を更新する。例えば、BB入賞時には、次の遊技から特別遊技が開始される制御が行われ、特別遊技終了時には、次の遊技から通常の遊技が開始されるように制御される。
<リール停止準備処理>
以下にステップST1008のリール停止準備処理について図8を参照して詳細に説明する。リール停止準備処理は、内部抽選処理で決定された入賞役に対応した停止位置データを設定する処理である。本実施例では、内部抽選の結果、特定の入賞役(小役2・3)に当選した場合は、遅延タイマデータテーブルから遅延タイマ値を選択するように構成されている。
ステップST1210では、現在の遊技状態に関するデータを取得する。
ステップST1212では、遊技実行処理のステップST1006で決定された内部抽選結果に関するデータを取得する。
ステップST1214では、ステップST1210で取得した遊技状態に基づき停止位置データ選択テーブルが選ばれる。選ばれた停止位置データ選択テーブルからステップST1212で取得した内部抽選結果に対応した停止位置データが選択される。停止位置データ選択テーブルは、遊技状態毎に入賞役に応じて使用される停止位置データを定めたデータテーブルである。本実施例では、停止位置データ選択テーブルに設定されている停止位置データは、特別遊技、役物遊技、小役1、小役4、再遊技等への入賞や入賞なしの場合の選択率には、通常状態と特定状態との区別はないが、小役2・3への入賞の場合には、通常状態と特定状態との選択率は区別されている。
更に、小役2・3に対しては、複数の停止位置データが設定されている。T0は、いかなる停止操作順序においても小役2・3に対応する絵柄組合せである「オレンジ」「ベル」をいずれかの入賞ライン上に停止表示することができる停止位置データである。T1乃至T6は、それぞれ、左中右、左右中、中左右、中右左、右左中、右中左の停止操作順序でのみ停止操作した場合に「オレンジ」「ベル」を入賞ライン上に停止表示することができる停止位置データである。T9は、いかなる停止操作順序においても小役2・3に対応する絵柄組合せである「オレンジ」「ベル」をいずれの入賞ライン上にも停止表示させない停止位置データである。本実施例では、通常遊技中においてT0及びT9を設定した通常状態と、T1乃至T6を設定した特定状態とを設けている。通常状態と特定状態との切換えは、適宜、予め定められた移行条件により制御される。
ステップST1216では、停止位置データ選択テーブルで選択された停止位置データ番号(記憶先の先頭アドレスであってもよい)を所定の記憶領域に記録することで停止位置データ番号を取得する。本実施例では、停止位置データT3を取得したものとして以後説明する。ステップST1218において、遅延タイマテーブルが参照されると、取得した停止位置データT3に対応した遅延タイマデータT3が取得される。遅延タイマデータテーブルは、停止位置データ番号であるT0乃至T9に対して左リール110、中リール111、右リール112のそれぞれに遅延タイマ値が設定されている。遅延タイマ値は、回転開始に伴い、後述するタイマ割込処理においてパルスモータに駆動パルスを出力する処理をスキップする回数が設定されている。「0」は、スキップ回数=0となり遅延無しを意味する。したがって、「0」が設定されたリールは、リール回転開始処理において遅延無しで即回転を開始する。「200」、「400」が設定されたリールは、タイマ割込処理毎に1減算され、0になるまで駆動パルスの出力が遅延される。
停止位置データT3に対応する遅延タイマデータT3は、左リール「200」、中リール「0」、右リール「400」が設定されている。停止位置データT3は、中⇒左⇒右の順に停止操作することにより小役2・3を入賞させることができるデータである。したがって、遅延タイマ値も中(0)<左(200)<右(400)と設定されている。このためリールの回転が開始される順序が中⇒左⇒右となる。
尚、通常状態において小役2・3へ入賞した場合には、停止位置データT0又はT9が選択され、停止位置データT1乃至T6は選択されないように設定されており、停止位置データT0又はT9が選択されることで、次のステップST1218で遅延タイマテーブルが参照されて、停止位置データT0又はT9に対応した遅延タイマデータT0又はT9が取得されても、遅延タイマ値はいずれのリールに関しても「0」が設定されている。したがって、各リール110乃至112のそれぞれの回転開始タイミングには時間差は生じないように設定されている。
<リール回転開始処理>
以下にステップST1012のリール回転開始処理について図9を参照して説明する。尚、図9については、本発明の関連する部分である処理について記載すると共にその他の処理に関する記載については省略する。
ステップST1110では、遅延カウンタに遅延タイマ値T3を設定する。図8に示す遅延タイマデータT3を参照すると、左リール110は「200」、中リール111が「0」、右リール112が「400」である。
ステップST1112からステップST1116では、左、中、右それぞれのリールの回転開始に伴う各種の制御パラメータの初期値等をRAM313の制御データの記憶領域に設定する。
そしてステップST1118で、リール制御状態を加速状態に設定する。ここでリールの制御状態が加速状態に設定されることで、後述のタイマ割込処理が、リール制御データの記憶領域を参照し、リール制御状態が加速状態であることを条件にパルスモータに駆動パルスの供給を開始する。
<タイマ割込処理>
次に、スロットマシン10の遊技実行処理とは別に所定のタイミングで処理が行われるタイマ割込処理について説明する。図10は、タイマ割込処理を示すフローチャートである。
タイマ割込処理は、主制御部のMainCPU310に外部入力されるクロック信号によって割込タイミングが管理されており1.877msec間隔で処理が行われている。タイマ割込処理は一般的に処理の初めに割込直前に動作していたプログラムのアドレス等を一旦退避させ、タイマ割込処理終了時に退避させたアドレスを元に戻して、元のプログラムに復帰する処理が行われるが、図10についてはこれを省略する。
ステップST2002では、主制御部に入力されるセンサ類、スイッチ類、乱数値等の情報が入力される入力ポートのデータを取得する。取得された入力ポートのデータに基づいて各種処理を実行する。
続いて、ステップST2004では、設定値変更処理中であるか否かを判定し、設定値変更処理中であればステップST2006で設定値更新処理を行う。ステップST2004で設定値変更処理中でないと判定されれば、ステップST2008でメダル投入処理中か否かを判定し、メダル投入処理中であればステップST2010でメダル投入受付処理を行う。ステップST2008でメダル投人処理中でないと判定されれば、ステップST2012で払出処理中か否かを判定し、払出処理中であればステップST2014でメダル払出処理を行う。ステップST2012で払出処理中でないと判定されれば、ステップST2200のリール回転制御処理に移行する。
ステップST2200では、リール回転状態、ストップボタン136乃至138の操作、リールの基準センサ(図示省略)の検出信号の検出、リールの回転状態に応じた制御(加速、定速、停止)、ストップボタン136a乃至136cの停止操作受付時間管理や、自動停止時間の管理等を行っている。また、停止操作のあったリールに対しては、引込みコマ数に基づく停止制御を行っている。そして、ステップST2200のリール回転制御処理を行った後には、ステップST2016のパネルランプ更新処理を行い、その後、ステップST2018の出力ポートにセットされたデータを出力する出力ポートデータ出力処理を行い、ステップST2020で副制御部400等ヘコマンドを出力するコマンド出力処理を行う。このようにタイマ割込処理は、遊技の進行状況に応じて必要な処理を行うようになっている。
<リール回転制御処理>
図11を参照して、リール回転制御処理について詳細に説明する。リール回転制御処理は、各リールの回転状態を監視してパルスモータへの駆動パルスの制御を行っている。
リール回転制御処理は、概略的には、リールの制御状態すなわち、加速状態、定速状態、停止状態の3つの制御状態に応じてパルスモータの駆動パルス送出パターンを制御する処理を行っている。
加速制御は、スタートレバー135の操作に基づく回転開始処理(図9)のステップST1118で加速状態に設定されたことによって実行される。定速制御は、加速制御が終了したことを受けて実行する。停止制御は、ストップボタンセンサ322の出力による入力ポートデータの変化若しくは自動停止タイマ経過に伴う停止指令に基づいて実行される。
リールを回転させるパルスモータに供給される駆動パルスは、タイマ割込処理毎に出力される駆動パルスのパターンが予め設定されている。加速状態では、停止状態からリールの回転を開始し、定速になるまで加速させるための駆動パルス出力パターンに基づいて回転が制御される。加速時の駆動パルス出力パターンは、徐々に割込回数に対するパルス出力間隔を狭くし最終的には割り込み毎に駆動パルスを出力するまでの出力パターンが設定されている。
定速状態は、割り込み毎に駆動パルスを出力することで、約80rpmの定速回転となるように制御される。
停止状態は、ストップボタン136a乃至136cの操作に基づき決定された停止位置まで定速状態を維持し、絵柄停止位置でパルスモータに全相励磁出力を行い、リールを停止させる。
この駆動パルスパターンの切換えはリール駆動パルス設定処理で行われる。以下詳述する。
ステップST2300では、リール停止処理が行われる。ストップボタンセンサ322の検出信号に基づいて対応するリールを停止絵柄位置で停止させるため決定された引込みコマ数で停止させるための停止状態への設定を行う。
ステップST2204では、基準センサの通過チェックの対象リールを左リール110に設定する。ここで絵柄位置の追跡は、回転するリールに設けられた基準センサの出力に基づいて行われる。即ち、基準センサの出力をチェックし、基準センサの出力が検出された場合、リールが所定の位置まで回転して、基準となる絵柄が通過したことが検出される。基準センサの出力検出後は、駆動パルスを計数することで絵柄位置の追跡が可能になる。そして、1絵柄分の駆動パルスを出力した時点で絵柄位置を更新し、21絵柄分進んだ時点で再び基準センサの出力を検出し、リセットされる。リール停止操作があるまで上記動作が繰り返される。絵柄位置は、タイマ割込処理毎にRAM313のワークエリアに書き込まれ更新される。最初に絵柄位置の検出を行うリールは、遊技者が第1停止操作する頻度の最も高い左リール110に設定する。
ステップST2206は、3つのリール110乃至112全てに対して基準センサの検出が必要なので3回繰り返す設定を行う。
ステップST2208では、基準センサの入力ポートデータの変化を検出する。本実施例のスロットマシン100は、タイマ割込時間間隔が高速で行われているため入力ポートの変化をタイマ割込処理毎に複数回に渡って検知できる様に基準センサの検出部の長さが設定されている。
ステップST2209は、通過チェックの対象となっているリールの遅延カウンタ値が0になったか否かをチェックし、0になっていればステップST2400に移行し、0になっていなければステップST2221へ移行する。
ステップST2400では、リール駆動パルス設定処理が行われる。リールの制御状態に応じて、加速、定速、停止のパルスパターンの設定が行われる。
ステップST2210乃至ST2214では、各リールの制御状態に応じてステップST2216若しくはステップST2218へ処理を移行させる。リール制御状態が停止状態中であった場合は、ステップST2218で全相励磁パターンをセットする。停止状態中の駆動パルスパターンは1つしかないため、ステップST2216の処理は不用になる。
リール制御状態が、加速状態若しくは定速状態中であった場合は、ステップST2216へ移行し、その状態に応じた駆動パルスパターンを取得する。ステップST2218で駆動パルスパターンを出力ポートに出力してパルスモータに駆動パルスを供給する。
ステップST2220は、次の基準センサを検出すべきリールの設定を行い、ステップST2222に移行する。
ステップST2222では、ステップST2206の繰返し回数が0になったかを判定し、0と判定され、全てのリールについての処理が完了している場合は処理を終了する。
ステップST2209において、対象リール遅延カウンタ値が0になっていなければステップST2221で対象リール遅延カウンタ値を1減算してステップST2222へ移行する。
したがって、遅延カウンタが設定されたリールに関しては、遅延カウンタ値が0になるまでパルスモータに駆動パルスを供給する処理へ移行しない。このため、リールは、停止したままになる。遅延カウンタ値が0になったときにはじめてステップST2400以降の処理が実行されるのでリールが回転を開始する。以上のように制御することで回転を開始する順序を変化させることで遊技者にリールの停止操作順序を報知するようになっている。
本実施例によれば、単に告知された順にしたがって停止操作を行う遊技形態に比べて、回転開始順序を遊技者自身が記憶して停止操作を行うという比較的楽ながらも技術介入的な要素を設けることができる。このため、停止操作を強いられているという違和感を和らげ、主体的に遊技に参加している意識を高めさせることができる。
実施例3は、停止表示態様によって次回の停止操作順序を報知させる実施例である。具体的には、停止表示されることにより停止操作順序の報知形態となる停止表示位置を新たな入賞ラインとして設定し、これらの入賞ラインに停止表示されることにより入賞と判定すると共に、次回遊技における停止操作順序とするものである。
遊技台は、実施例1のスロットマシン100と同じであるので、図1に示したスロットマシンの外観の説明と、図2に示したスロットマシン100の制御部の構成説明及び図3に示したスロットマシン100における各リールの絵柄の説明については省略する。
図15は、通常遊技における制御処理の流れを示す図である。図中、ステップST1乃至ST5における各ステップの処理の内容自体については概ね図5と同じであるので、ステップST1乃至ST5の処理の具体的な内容説明については省略する。本実施例におけるスロットマシン100は、停止位置データ選択テーブルが、前回の遊技において選択された停止位置データで設定された停止操作順序に基づいて今回の遊技で選択される停止位置データを選択させるように構成されている。
停止位置データ選択テーブルに設定されている停止位置データの内容を図16(j)に示す。停止位置データは、T00乃至T99まで38種類設定されている。T00とT99は、実施例1と同様に通常状態に使用される停止位置データである。T11乃至T66が、本実施例における停止表示態様で次回遊技の停止操作順序を報知するための停止位置データである。
ここで停止位置データの説明をする前に本実施例のスロットマシン100の入賞ラインについて先に説明する。本実施例の入賞ラインを図16(a)乃至(i)に示す。入賞ラインは、(a)(b)(c)(d)(i)の従来の直線入賞ラインに加えて、(e)(f)(g)(h)の4つを加えた合計9本の入賞ラインが設定されている。全入賞ラインの内、(d)(e)(f)(g)(h)(i)の入賞ラインが、遊技者に停止表示態様で次回遊技の停止操作順序を報知する入賞ラインに設定されている。
例えば、(e)の入賞ラインは、左リール上段停止位置と中リール下段停止位置と右リール中段停止位置とを結ぶ変則的なラインで構成されている。ここで、この有効入賞ラインが示す停止操作順序は、「左⇒右⇒中」となっている。これは、上段水平ラインが、停止操作順序の第1停止を行うべきリールの位置を示している。中段水平ラインは、停止操作順序の第2停止を行うべきリールの位置を示している。最後に停止操作させるべきリールの位置は、下段水平ラインが示している。すなわち、上段水平ライン上の左リール、中段水平ライン上の右リール、下段水平ライン上の中リールにそれぞれ入賞絵柄が停止表示されることにより、入賞と判定すると同時に、その停止表示態様を持って次回遊技における停止操作順序が「左⇒右⇒中」であることを報知しているのである。したがって、(d)の停止操作順序は「左⇒中⇒右」、(f)の停止操作順序は「中⇒左⇒右」、(g)の停止操作順序は「中⇒右⇒左」、(h)の停止操作順序は「右⇒左⇒中」、(i)の停止操作順序は「右⇒中⇒左」を示すことになる。このように、本実施例では、次回の停止操作順序を報知すべく複数の変則的な入賞ラインを新たに設定している。
話を停止位置データ番号に戻すと、停止位置データ番号T16と付されている「16」には、停止位置データに設定されている入賞させるための停止操作順序と、その停止操作順序で停止操作したときの停止表示態様とが設定されている。
最初の数字「1」は、左⇒中⇒右の停止操作順序に対応する番号である。同様に「2」、「3」、「4」、「5」、「6」は、それぞれ「左⇒右⇒中」、「中⇒左⇒右」、「中⇒右⇒左」、「右⇒左⇒中」、「右⇒中⇒左」に対応している。
終わりの数字「6」は、選択された停止位置データに設定されている停止表示態様図16(i)を示し、且つ次回の遊技における停止操作順序が、「右⇒中⇒左」であることを示している。同様に「1」は、停止表示態様(d)で停止操作順序が「左⇒中⇒右」、「2」は、停止表示態様(e)で停止操作順序が「左⇒右⇒中」、「3」は、停止表示態様(f)で停止操作順序が「中⇒左⇒右」、「4」は、停止表示態様(g)で停止操作順序が「中⇒右⇒左」、「5」は、停止表示態様(h)で停止操作順序が「右⇒左⇒中」、に対応している。
したがって、停止位置データ「T16」とは、「左⇒中⇒右」の停止操作順序で停止表示態様図16(i)の入賞ライン上に入賞絵柄が停止表示されて入賞する停止位置データであることを示している。
そして、今回の遊技において参照される前回の停止操作順序は、前回の停止表示態様に対応した停止操作順序である「6」の欄に設定されているT61乃至T66から選択されるようになっている。すなわち本実施例では、前回遊技において停止表示された停止表示態様で報知した停止操作順序を今回の遊技における停止操作順序として予め設定することで前回の遊技の停止表示結果を今回遊技の停止操作順序に反映できるように構成されているのである。図15における停止位置データ選択テーブルにおいて、前回が「1」の欄から今回の停止位置データが選択されているのは、前回の停止位置データが、T11、T21、T31、T41、T51、T61のいずれかが選択されていたことを示すものである。
また、今回の遊技における停止位置データの選択率は、図15の停止位置データ選択テーブルの上段に設定された確率で「1」乃至「6」のいずれかが選択されるように構成されている。本実施例では、前回と今回とで同じ停止操作順序となる停止位置データ(T11、T22、T33、T44、T55、T66)が選択される確率が、もっとも高くなるように構成している。これは、同じ停止表示態様が継続して停止表示される確率を高く設定することになる。つまり、前回T11の停止位置データが選択された場合1/2で今回もT11が選択されることとなる。これは、毎遊技、停止表示態様の変化を記憶して次回の遊技を行うこととなるため、前回の停止表示態様と同じものが比較的継続されやすい確率配分とすることで遊技者の負担を少なくするためである。無論、逆に同じ停止位置データが選択される確率を最も少なく設定するようにしてもよい。この場合、毎遊技停止位置データが変更されることになり技術介入性の高いスロットマシンとなる。
尚、図16の停止位置データにおいて、停止表示態様で報知された停止操作順序と異なる順序で停止操作が行われた場合の停止表示態様を決定する停止位置データについては、原則として入賞を阻止する停止位置データを組合せればよいのではあるが、単に入賞ライン上に停止表示させないように任意の停止位置で停止するように制御した場合、入賞阻止の目的は十分に達成できるものの、次回の遊技において、正しい停止操作順序での停止操作を行いたくても前回誤った停止操作順序で停止操作を行った結果、今回の停止操作順序は判別不能な停止表示態様であったなら、いくら次回の遊技から正しい停止操作順序で行おうと遊技者が考えても正しい停止操作を行うことができないといった問題が考えられる。
上記のように停止操作順序を誤ってしまった場合の停止位置データとしては、第1停止、第2停止操作までは、仮に停止操作順序を誤ったとしても入賞させる停止位置データをそのまま採用するよう構成する。そして最後に停止操作されるリールについてのみ入賞を回避することができる停止位置に停止させる制御を行わせるようにすることが考えられる。
例えば、停止位置データにT21が設定された場合、図16(j)にあるように左⇒右⇒中と正しい停止操作順序で停止操作された場合は、図16(d)の入賞ライン上に入賞絵柄が揃って、次回の遊技の停止操作順序が左⇒中⇒右であることが報知される。しかし、その遊技における停止操作を誤って左⇒中⇒右で停止操作を行ってしまった場合、第1停止操作、第2停止操作で左⇒中と停止操作しても図16(d)のように左リールは上段停止位置、中リールは中段停止位置に停止表示されるように制御する。これは、入賞させる場合の停止位置データと同じデータを用いて制御を行えばよい。但し、最後の停止操作時には、入賞絵柄を右リールの上段若しくは中段に停止表示されるように制御することで入賞ライン上に停止させないようにすることができる。すなわち、最後に停止させるリールに関しては、先に停止させた2つのリール停止位置のいずれかと同じ停止位置に停止制御することで入賞を回避することができる。この場合、入賞はしていないものの、第1停止、と第2停止が、次回遊技の正しい停止操作順序を報知していることになる。したがって、最後に停止操作されたリールの停止表示位置が、入賞ライン上になかった場合でも、次回の遊技の停止操作が図16(d)で報知されるべき停止操作順序であったことを推定することができ、次回遊技について正しい停止操作順序での遊技に復帰することができることとなる。また、JAC絵柄等を代用絵柄にして入賞ライン上に停止させるように制御しても良い。
無論、上記以外の方法としては、停止操作順序が誤っていた場合、第1停止、第2停止を図16(a)(b)(c)のいずれかの入賞ライン上に停止制御するようにして最後に停止操作されたリールは、入賞を回避するように制御してもよい。この場合、遊技者には次回の停止操作順序を推測することができなくなり、次回以降、停止操作順序を自力で合致させて入賞を得るまでは、それ以降の正しい停止操作順序での遊技に復帰させることができなくなる。このため、遊技者は、停止操作順序を1回でも間違えることによって後の停止操作順序が実質報知されなくなることから停止操作をより慎重に行うこととなる。
また、上記2つの事例は、停止操作順序が異なる場合に、入賞を回避するように構成したが、停止操作が異なっていても入賞させるように制御してもよい。この場合、結果的にどのような停止操作順序で操作してもいずれかの入賞ライン上に結果的には入賞してしまうことになる。しかし、報知された停止操作順序で停止操作することで図16(d)乃至(i)の変則的な入賞ライン上に絵柄が停止制御されることで淡々と遊技を重ねるのに比べれば停止表示態様が多様化する遊技を楽しむことができる。
図17は、本実施例のスロットマシン100の遊技進行経過を示す図である。本実施例では、図17(a)乃至(c)までが前回の遊技の経過を示し、図17(d)乃至(f)までが今回の遊技の経過であることを示している。
本図を説明するにあたり、前提として前々回の遊技においては、停止表示態様が図16(d)の「左⇒中⇒右」(停止位置データとしては、T11、T21、T31、T41、T51、T61のいずれか)に基づいて図17(a)乃至(c)までの前回の遊技を行っており、図17(a)乃至(c)までの前回の遊技においては、内部抽選の結果、小役2・3に当選すると共に停止位置データとしてT13が選択され、図17(d)乃至(f)の今回の遊技が行われているものとする。
図17(a)乃至(c)は、前々回に報知された停止操作順序「左⇒中⇒右」に基づいて前回の遊技で「左⇒中⇒右」の順にリールの停止操作が行われた結果、停止位置データT13に基づいて左リールの中段停止位置、中リールの上段停止位置、右リールの下段停止位置にそれぞれ入賞絵柄である「オレンジ」が停止表示され入賞したことを示している。
遊技者は、図17(c)の停止表示結果から次の遊技においては、「中⇒左⇒右」の順に停止操作すればよいことがわかる。図17(d)乃至(f)は、図17(c)に示す前回の遊技において報知された停止操作順序「中⇒左⇒右」に基づいて今回の遊技で「中⇒左⇒右」の順にリールの停止操作が行われた結果、左リールの下段停止位置、中リールの中段停止位置、右リールの上段停止位置にそれぞれ入賞絵柄である「オレンジ」が停止表示され入賞したことを示している。これは、今回の遊技において結果的に停止位置データT36が選択されたことによるものである。遊技者は、図17(f)から次回の遊技を「右⇒中⇒左」の停止操作順序で遊技すれば良いことを認識する。
以上のように前回のリール停止表示態様が、次に行われる遊技における停止操作順序であることから、遊技者は、自ら遊技結果の停止表示態様から次の遊技の停止操作順序を明確に理解してから次の遊技を開始することができるので、前述の実施例1、2の如く、自動的に報知を行い終了する形態に比べて見落としで停止操作順序がわからなくなることが少ない。
また、全リールが停止した際に入賞ラインを絵柄の背後から絵柄を照明するためのバックランプで照明してもよい。このとき停止操作順序に当たる上段⇒中段⇒下段の順にバックランプを発光制御することにより、次の遊技の停止操作順序を同時に報知することにもなる。
図18に本実施例のリール停止処理のフローチャートを示す。ステップST1310では、ストップボタンの入力があったか否かをチェックし、ストップボタンの入力がなければ処理を終了する。ストップボタンの入力があった場合、ステップST1330へ移行する。ステップST1330では、小役2・3への内部当選であるか否かをチェックし、小役2・3への内部当選でなければ、ステップST1312へ移行する。小役2・3への内部当選である場合は、ステップST1340へ移行して停止操作されたストップボタンが停止位置データに設定されている停止操作順序と合致しているか否かを判定する。停止操作したストップボタンが停止位置データに設定されている停止操作順序と合致している場合は、ステップST1312へ移行し、合致していない場合は、ステップST1350へ移行して停止位置データの再設定処理が行われる。停止位置データの再設定処理とは、前述の停止操作順序が異なっていた場合の停止表示態様に停止制御するための停止位置データの再設定を行う処理である。ステップST1312では、ステップST1310の停止操作が行われたリールに対応して設定されている停止位置データを取得し、記憶領域に展開する。ステップST1316で、ストップボタンが操作された時にリール表示窓113内に設定された基準位置(本実施例では中段水平入賞ライン)を通過している絵柄位置を取得する。
ステップST1318では、ステップST1316の絵柄位置からこれから通過する予定の4絵柄分の絵柄位置に対する停止位置データを取得する。ステップST1320では、ステップST1318で取得された停止位置データの中から停止許可が設定されている絵柄位置を検索する。ステップST1322では、ステップST1322で検索された結果決定された絵柄位置と、ステップST1316で取得された停止操作時の絵柄位置との差を引込みコマ数として演算し、パルスモータの駆動パルス数に換算し、記憶領域上に設定された引き込みカウンタに設定する。ステップST1324では、停止状態に設定して、本ルーチンを終了する。その後、停止状態に設定されたことによりタイマ割込処理がリール回転制御処理において、引き込みカウンタが0になるまで駆動パルスを供給し、引き込みカウンタが0になった時点で駆動パルスを全相励磁パターンに切換えることでリールを停止させる。
尚、本実施例では、6通りの押し順を報知するために新たに4ライン追加したスロットマシンを挙げたが、それよりも少ない3通り(第1停止のみいずれかにリールを選択させる)の場合は、図16(b)、(d)、(i)の停止表示態様でそれぞれ「中リール」「左リール」「右リール」の停止操作リールを報知させるようにしてもよい。また、2通り(左中右:順押しと右中左:逆押し)であれば図16(d)、(i)で十分である。
本発明によれば、リールの回転態様で遊技者に停止操作順序を報知させることができるのでリールそのものを直視した状態で必要な情報を明確に得ることができる。