従来のプッシュスイッチとして特許文献1の構成が公知であり、これを図11及び図12に示す。
これらの図において、ケース31は、側壁31aと、後面壁31bと、開放端部31cとを有している。また、ひとつの側壁31aの開放端部31c側には、一対の凹部31dと、凸部31eとが設けられている。
固定接点部材32は、平板状の基部32aと、基部32aの略中央部に配設された孔32bと、基部32aの一方の端部から垂直に延設された固定接点32cと、基部32aの他方の端部から垂直に延設された端子部32dとを有している。
この固定接点部材32は、孔32bにケース31の凸部31eが挿通されて、熱カシメ加工などによって基部32aを凹部31d内に位置決めして配設される。
復帰ばね33はコイルバネからなり、この復帰ばね33は、ケース31内の底壁31b上に復帰ばね33の一方の端部が弾接された状態で載置・保持されている。
可動部材34は、略矩形体状の基体部34aと、基体部34aの前面壁34cから外方に突出され、四角柱状である操作軸34bとを有している。また、基体部34aは、前面壁34cと、後面壁34dと、第1側壁34eと、第2側壁34fと、第3側壁34gとを有している。また、第3側壁34gには、略中央部に円形の孔34hが設けられている。そして、この基体部34aは、前面壁34cと、後面壁34dと、第1、第2、及び第3側壁34e、34f、34gとによって囲まれた空間部(図示せず)を有している。また、操作軸34bは、一対の第1側面34qと、一対の第2側面34jと、一対の係合凸部34kと、4個の凸条からなる支持部34mと、先端部34nとを有している。
この可動部材34の基体部34aはケース31内に配設され、このとき、基体部34aの空間部(図示せず)と、ケース31の後面壁31bとの間には前記復帰ばね33が配設されており、この復帰ばね33の弾性力によって、可動部材34が可動部材34の軸線方向に弾性付勢されている。
駆動部材35は、一方の端部がケース31のひとつの側壁31aに取り付けられ、他方の端部が前記側壁31aを貫通して可動部材34の第2側壁34fに取り付けられている。このとき、前記第2側壁34fには、駆動部材35の他方の端部が位置する個所に、ハートカム(図示せず)が形成されており、このハートカム内を駆動部材35の他方の端部が移動し、この移動によって可動部材34が所定の動作をするように構成されている。
板バネ36は、平板状の弾性を有する金属材料から成り、全体形状が略L字状に形成され、取付部36aと、取付部36aの一方の端部から垂直に延設された弾圧部36bとを有している。弾圧部36bが駆動部材35を前記側壁31a側に弾接するように配設されている。
弾性部材37はコイルバネから構成されている。この弾性部材37は、可動部材34の第3側壁34gの孔34h内に挿通・収納され、保持されている。
可動接点部材38は、平板状の基部38aと、略小判状の2個の可動接点38bと、一対の外側端縁からそれぞれ垂直に延設された一対の取付部38cと、翼部38dと、ガイド片部38eとを有している。この可動接点部材38は、弾性部材37の一方の端部が弾接され、基部38aが操作軸36の第3側壁36gと対向するように位置し、このとき、一対の取付部38cが操作軸36の上壁36cと底壁36dとの間に取り付けられる。この状態のとき、2個の可動接点38bは、弾性部材37の弾性力によって操作軸36の第3側壁36gから離間する方向に弾圧されている。
また、2個の可動接点38bは、2個の前記固定接点部材32の各固定接点32cに弾接されている。
ツマミ39は、合成樹脂材料から成り、二色成形加工によって形成され、内部筐体40と、内部筐体40に一体化され、内部筐体40を覆うように形成された外部筐体41とを有している。このツマミ39は、内部筐体40の四角筒状の取付部40a内に可動部材34の四角柱状である操作軸34bが挿入された状態に位置され、ツマミ39が可動部材34に取り付けられて配設されている。この取り付けられた時には、可動部材34の一対の係合凸部34kがツマミ39の内部筐体40の一対の嵌入孔40b内に係止される。
次に、このプッシュスイッチの動作を簡単に説明する。先ず、このツマミ39に押圧力を加えると、ツマミ39と可動部材34とが復帰ばね33の弾性力に抗して、押し下げられ、この押し下げによって、ケース31内に可動部材34の一部が押し込まれる。この可動部材34がケース31内に押し込まれるとき、可動接点部材38の2個の可動接点38bが各固定接点部材32の各固定接点32cに弾接され、押釦スイッチ装置がオン状態となる。
このとき、駆動部材35は、可動部材34の第2側壁34fに形成されたハートカム(図示せず)内を所定の動作をする。次に、この状態から、ツマミ39に更なる押圧力を加えると、ツマミ39と可動部材34とが更に僅かに押し下げられ、その後、ツマミ39への押圧力を解除すると、復帰ばね33の弾性力によって、元の位置にツマミ39と可動部材34とが復帰し、プッシュスイッチがオフ状態となる。
特開2003−51225号公報
本発明の実施例について図面を参照して説明すると、図1は本発明の実施例に係るプッシュスイッチの平面図、図2は図1に示すプッシュスイッチの正面図、図3は図1の3−3線に沿った断面図、図4は図2の4−4線に沿った断面図、図5は本発明の実施例に係るプッシュスイッチのケースの固定接点付近を示す説明図、図6は本発明の実施例に係るプッシュスイッチの分解斜視図、図7は図6の裏面からみた分解斜視図、図8は本発明の実施例に係るプッシュスイッチのツマミを押し下げた状態を示す断面図である。
本実施例に係るプッシュスイッチはたとえば、大電流のパワーウインド用ロックアウトスイッチに適用したものである。
図1〜図8に示すように、本実施例に係るプッシュスイッチはケース1を有し、このケース1は、合成樹脂材料から成り、成形加工によって形成され、略四方を囲む側壁1aと、底面の中央に形成された平面視長方形状の挿入孔1bと、挿入孔1bを挟んで底面から上方へ立設された一対の復帰ばねガイド突起1cと、側壁1aの上方に開口された開口部1dと、側壁1aの内面に形成されたガイド溝部1eと、側壁1aの外面に形成された係止突起部1fとが設けられている。また、ケース1の1つの側壁1aの内面には、2つの固定接点部材2が固定され、これらの固定接点部材2の間には、図5に示すようにガイド凹部1gが上端から中央部付近まで形成され、さらにガイド凹部1gに続いて突条状の離接ガイド部1hが底部まで形成されている。離接ガイド部1hの上端は傾斜面1iがガイド凹部1gまで形成されている。また、側壁1aの傾斜面1iの両側付近から図5で横方向に摩耗粉を収容する溝部1jが設けられている。また、1kは上ケース8を組み合わせたときに位置決めを行なう位置決め突部、1lはロックピン5を後述するように揺動自在に支持するためのケース1の底部に突設された支点部、1mはプリント基板11にケース1を取り付けた際にプリント基板11に差し込まれて位置決めするためのケース1の底部下面に突設された位置決め突起、1nは復帰ばねガイド突起1cに設けられたガイド溝である。
このケース1の開口部1dを塞ぐように上ケース8が被せられている。この上ケース8は下面が開口された四角箱形状であり、上面に開口された開口部8aと、側板に形成され、係止突起部1fが係止される係止孔8bと、側板の下端中央に形成され、前記位置決め突部1kが嵌め込まれる位置決め用スリット8cとを有している。
固定接点部材2は平板状の金属材料から成り、プレス加工によって形成され、ケース1に一体成形されている。固定接点部材2は、図5で上方に固定接点2aがケース1内に側壁1aの内表面に沿うようにガイド凹部1gを挟んで配置されるとともに固定接点2aは溝部1jの上方まで配設され、固定接点2aの各端縁寄りから細幅の基部2bが底部の方に向かって配設され、基部2bの他方の端部から屈曲してケース1の底部に引き回されさらに垂直に延設された端子部2cとを有している。
復帰ばね3は、線状の金属材料から成り、螺旋状に形成され、いわゆるコイルバネから構成されている。この復帰ばね3は、ケース1内の底面の復帰ばねガイド突起1cに復帰ばね3の一方の端部の内周面が当接するようにして差し込まれた状態で載置・保持されている。
操作軸4は、合成樹脂材料から成り、成形加工によって全体に略四角筒形状にして貫通孔4hを形成した4つの側壁4aを有し、側壁4aの上部にはツマミ9を嵌合して取り付けるための嵌合孔4bが設けられいている。
また、側壁4aのうち対向する一対の側壁4aの外面下部に操作方向に沿って外方に突出された2個の凸条からなるガイド部4cと、その両側壁4aの下部両縁から側方に突出されたガイド片4dとを有している。
また、側壁4aのうち対向する他の一対の側壁4aのうちの一方の側壁4aには、その下部外面に略中央部に弾性部材6を収納するための円形の収納穴4fが設けられている。また、他方の側壁4aには、その下部外面にいわゆるハートカム4gが形成されている。
収納穴4fのある側壁4aから突出された一対のガイド片4dの上下端間には壁部4eが形成されて収納穴4fがガイド片4d及び壁部4eによって囲われるとともに、可動接点部材7の取付部7cが収納されて取り付けられる収納凹部4iが形成されている。また、両壁部4eにはガイド用切欠き部4jがそれぞれ形成されて可動接点部材7をガイドするようになっている。
この操作軸4は、その下部がケース1内に収納され、上部が上ケース8の開口部8aから上方へ突出している。また、操作軸4の貫通孔4hの下部に形成されて周囲の側壁4aとともに復帰ばね3の位置決めをする位置決め段部4kと、ケース1の復帰ばねガイド突起1cとの間には前記復帰ばね3が配設されており、この復帰ばね3の弾性力によって、操作軸4が操作軸4の軸線方向に弾性付勢されている。この状態のとき、操作軸4は、操作軸4の軸線方向に弾性部材6の弾性力に抗して移動操作できるように配設されている。
ロックピン5は、線状の金属材料から成り、プレス加工によって形成され、全体形状がコ字状である。このロックピン5は、一方の端部側がケース1の底部上の支点部1lに揺動自在に支持されるとともに一方の端部がケース1の復帰ばねガイド突起1cのガイド溝1nに差し込まれ、他方の端部が前記ハートカム4gのカム溝に差し込まれている。そして、ロックピン5の一方の端部は、復帰ばねガイド突起1cに差し込まれた復帰ばね3の一方の端部が下方に付勢されるので、ロックピン5は支点部1lを中心にして図3で反時計回り方向に付勢されて、他方の端部はハートカム4gのカム溝から外れないように押し付けられる。したがって、このハートカム4gのカム溝に沿ってロックピン5の他方の端部が操作軸4の移動と共に移動し、この移動によって操作軸4が所定の動作をするように構成されている。なお、1oはロックピン5の一方の端部を挟持する支持部で、この支持部1oはロックピン5を支点部1lを中心に揺動可能にし、また、他方の端部がハートカム4gのカム溝をトレースして回動できるように支持している。これらハートカム4g、ロックピン5によりプッシュプッシュ動作が行なわれるようになっている。
弾性部材6は、線状の金属材料から成り、螺旋状に形成され、いわゆるコイルバネから構成されている。この弾性部材6は、操作軸4の側壁4aの収納穴4f内に挿通・収納され、可動接点部材7と収納穴4fを画成する側壁4aによって保持されている。また、この弾性部材6は、操作軸4の軸線方向に対して直交する方向に弾性変形するように配置されている。
可動接点部材7は、平板状の金属材料から成り、プレス加工によって形成され、平板長方形状の基部7aと、基部7aの一方の表面から外方に突出し、所定の間隔をもって配設された球面形状の2個の可動接点7bと、基部7aの両短辺縁からそれぞれ垂直に延設された一対の取付部7cと、一対の取付部7cの先端内側に設けられた抜け止め用の爪部7dと、基部7aの下方の長辺縁中央から垂直に延設された摺動片部7eを有している。この摺動片部7eは基部7aから垂直に折り曲げ形成され、その屈曲部7fは円弧状に形成されているので、可動接点部材7が前記傾斜面1i上を摺動する際、スムーズに摺動できる。また、基部7aの上端中央には突片部7gが突設されている。
この可動接点部材7は、基部7aの他方の表面の中央部に前記弾性部材6の一方の端部が弾接され、基部7aが操作軸4の収納穴4fのある側壁4aと対向するように位置し、このとき、一対の取付部7cが操作軸4の収納凹部4i内に収納されて操作軸4の軸線方向に対して直交する方向に所定のストローク移動可能に保持され、摺動片部7eと突片部7gがガイド用切欠き部4jに挿入されて取り付けられる。この状態のとき、2個の可動接点7bは、弾性部材6の弾性力によって操作軸4の側壁4aから離間する方向に弾圧されている。
また、2個の可動接点7bは、2個の前記固定接点部材2の各固定接点2aにそれぞれ弾接されている。これら可動接点部材7及び固定接点部材2及び傾斜面1i及び離接ガイド部1h等によりスイッチ機構が構成されている。
ツマミ9は、合成樹脂材料から成り、略矩形の上壁9aと、上壁9aの外周縁端から垂直に延設された4つの側壁9bと、上壁9aの中央部から内方(軸方向)に延設された一対の取付部9cとを有している。また、取付部9cの下端には、前記操作軸4の一対の嵌合孔4bに嵌合される一対の係止片9dが内方に向かって突設されている。
前記上壁9aの表面には、例えば、絵記号や文字記号が形成され、光源10によって照光される表示部9eが設けられている。なお、操作軸4とツマミ9が操作体に相当する。
そして、操作軸4の貫通孔4h上端にツマミ9の表示部9eを形成され、貫通孔4hに対向してケース1の底面に挿入孔1bが形成され、ケース1と操作体(操作軸4及びツマミ9)間のケース1の貫通孔1cと操作体(操作軸4及びツマミ9)の貫通孔4h内に復帰ばね3が配設され、貫通孔4hは操作体(操作軸4及びツマミ9)をプッシュした際に光源が、当接する等してプッシュ操作の妨げにならないよう具体的には光源10の周囲に形成される復帰ばねガイド突起1c及び復帰ばね3よりも大径にしてプッシュ方向に沿って直線状に形成されて、特段の導光部材を必要とせず且つ途中で光の進行を妨げることなくケース1の底面の挿入孔1bに位置した光源10の光が効率良く表示部9eを照光することができる。したがって、光源10と、表示部9eとを簡単な構成で近接して配置でき、また、このように表示部9eに近接して光源10を配置できるので、効率良く照光することが可能であり、また、復帰ばね3は操作体(操作軸4及びツマミ9)の貫通孔4hに収納されることとなるので、径方向の小型化ができる。
光源10は、プリント基板11上に実装され、ケース1の挿入孔1b内に配置されて上方のツマミ9の表示部9eを照光するようになっている。また、プリント基板11には、端子部2cを挿入する挿入孔(図示せず)と、ケース1の位置決め突起1mを嵌合する嵌合孔11aとが設けられている。光源10はたとえばLEDであり、LEDは指向性が高いため、指向の向きを挿入孔1bの軸心にあわせることにより挿入孔1bの上端にある表示部9eを効率良く照光することが可能である。
次に、この本発明の動作を説明する。
図3の状態では、操作軸4は復帰ばね3の弾性力によって上方に付勢され、ガイド片4dが上ケース8の開口部8aの周縁下面に突き当たった位置で抜け止めされている。可動接点部材7は弾性部材6の弾性力によって左方向に付勢されて2つの可動接点7bはケース1の側壁1aの固定接点部材2の固定接点2bにそれぞれ圧接され、プッシュスイッチがオン状態となる。このとき、ロックピン5の他方の端部はハートカム4gのカム溝の下方端に位置している。
先ず、このツマミ9に押圧力を加えると、ツマミ9と操作軸4とが復帰ばね3の弾性力に抗して、押し下げられ(プッシュ操作され)、この押し下げによって、上ケース8及びケース1内に操作軸4がさらに押し込まれる。この操作軸4がケース1内に押し込まれると、各固定接点部材2の各固定接点2aに弾接されている可動接点部材7の2個の可動接点7bが、各固定接点2a上を下方へ摺動する。そして、可動接点部材7が下方へ摺動してくると、可動接点部材7の摺動片部7eが傾斜面1iに突き当たる。このとき、先ず、屈曲部7fが傾斜面1iに突き当たって傾斜面1i上を摺動し、図8に示すように、可動接点部材7は弾性部材6に抗して次第に右方向へ移動し、可動接点7bは固定接点2aから離間してスイッチはオフとなる。つまり、可動接点部材7の可動接点7bは、固定接点2aの設けられた領域でのみ摺動し、固定接点2aの下辺付近で可動接点7bは固定接点2aから離間していく。さらに、操作軸4が下動すると、可動接点部材7の摺動片部7eは傾斜面1iから離接ガイド部1h上に至る。この状態では、可動接点7bは固定接点2aは、固定接点2aから離間しているだけでなく、固定接点2aに対向する側壁1aの位置には固定接点部材7は配設されていない。したがって、確実にスイッチはオフ状態となる。
この可動接点7bのオフ位置においては、可動接点部材7の一方の可動接点7bが固定接点2aに接したとしていても離接ガイド部1hをシーソーの支点として他方の可動接点7bが固定接点2aから浮くので、確実にオフとなる。また、この際に、可動接点部材7の離接ガイド部1hとの当接部分に曲げ加重は生じないので、可動接点部材7の板厚を薄くしても基部7aが撓むことなく確実に接触しないようにすることができる。
一方、ロックピン5は、復帰ばね3の弾性力によりその一方の端部が下方に押圧されることにより、支点部1lを中心にして反時計回り方向へ付勢されているので、ロックピン5の他方の端部は、操作軸4の側壁4aのハートカム4gのカム溝に押圧されており、したがって、ロックピン5の他方の端部は、ハートカム4gのカム溝内をトレースして所定の動作をする。すなわち、図3の状態から図5の状態に至ると、ロックピン5の他方の端部は、ハートカム4gのカム溝の係止部に保持され、ツマミ9の押圧力を解除しても操作軸4は図5の押し込んだ位置でロックされる。
次に、この図5の状態から、ツマミ9に再度押圧力を加えると、ツマミ9と操作軸4とが更に僅かに押し下げられてロックピン5の他方の端部はハートカム4gのカム溝の係止部から外れ、その後、ツマミ9への押圧力を解除すると、復帰ばね3の弾性力によって、元の位置(図3)にツマミ9と操作軸4とが復帰する。この際、操作軸4の上動とともに可動接点部材7も上動し、ケース1の突部からなる離接ガイド部1h上に位置していた可動接点部材7の摺動片部7cが離接ガイド部1h上を摺動し傾斜面1iに至る。この傾斜面1iでは屈曲部7fが摺動してスムーズに移動することができる。そして、可動接点部材7の屈曲部7fは弾性部材6の弾性力によって傾斜面1iを滑り降り、可動接点部材7の可動接点7bは上動とともに次第に固定接点2bに接近し接触する。これにより、プッシュスイッチがオン状態となる。
ところで、特許文献1では、翼部38dにより作用が明確に記載されていないが、翼部38d付近の構成は図9及び図10に示すような参考構成を考える。
図9は参考構成の可動接点機構を示す説明図、図10は図9の分解斜視図である。なお、前記図11及び図12と同一の部品には同一符号を伏して詳細な説明を省略する。
参考構成は、図9及び図10に示すように、可動接点部材38の基部38aは、可動部材34の移動方向に沿って一対の取付部38cが可動部材34の取付穴部34oに嵌め込まれている。可動接点部材38の基部38aの移動方向と直交する両端部には翼部38dが形成され、さらに翼部38dの前記移動方向の両端には、図10で上方に傾斜して折り曲げたガイド片部38eが設けられている。
一方、ケース31の固定接点32cの設けられた側壁31aの奥の両端にはガイド用段差31fが突設されている。
そして、図9のスイッチオン状態から可動部材34をプッシュすると、復帰ばね33に抗して左方へ移動する。すると、復帰ばね33によって固定接点32cに圧接されている可動接点38bは摺動しながら左方へ移動する。さらに、可動部材34をプッシュすると、可動接点部材38の翼部38dのガイド片部38eが段差31fに突き当たって翼部38dが乗り上げることにより可動接点部材38は弾性部材37の弾性力に抗して固定接点32c並びに側壁31aの内面から浮き上がり、スイッチオフとなる。
ここで、前記参考構成と前記実施例との相違を以下述べる。
参考構成においては、可動接点部材38の基部38aの両側(プッシュ方向に沿った)に翼部38dを設けている都合上、それと直交する方向に取付部38cを設ける必要がある。よって、下側(図9で左側)からツマミ39の照光を行う場合に該取付部38cが邪魔になって可動部材34内に導光路あるいは貫通孔を設けることができないという問題がある。
これに対して、前記実施例においては、ケース1の離接ガイド部1hと当接する可動接点部材7の部分を基部7aの中央とし、基部7aのプッシュ方向と直交する方向の両側に取付部7cを設けているから、操作軸4の中央を貫通する貫通孔4aを設けることができて、取付部7cが円柱状の復帰ばね33の挿入の邪魔あるいは復帰ばねガイド突起1cの邪魔になりずらく、よって光源10を配置する挿入孔1bの径を大きくすることが可能となり、又、復帰ばね33及び復帰ばねガイド突起1cをこの位置に設けずに取付部7cが光源10上方に遮る部材はなく位置する場合には、照光の邪魔にならず、よって照光付きプッシュスイッチとして可動部材34の移動方向と直交する方向から見た場合の小型化が可能となる。すなわち、参考構成の例では、取付部7cの板面が可動部材34の中心線上に位置するのに対して、本実施例においては、一対の取付部7cは中心線上から外れた位置となり可動部材34の移動方向と直交する方向から見た場合に円形の復帰ばね33を挟むように配置することが可能であり、又、その側面が移動方向に向くためである。なお、前記実施例では、前記参考構成の翼部38dに相当する部分として1つの摺動片部7eが設けられ、これは参考構成の取付部38cと同様の位置に設けられているが、離接ガイド部1h上をガイドさせれば良いだけなので、参考構成の取付部38c程大きく突出させる必要はない。
また、参考構成においては、上述したように可動接点部材38の基部38aの両側(プッシュ方向に沿った)に翼部38dを設けている都合上、それと直交する方向に取付部38cを設ける必要がある。また、取付部38cは2ヵ所必要であり、可動部材34のプッシュ方向の寸法が長くなってしまうという問題がある。
これに対して、前記実施例においては、操作軸4のプッシュ方向において、可動接点部材7の取付部7cと可動接点7bとがオーバーラップするよう並べて(図3の上下方向に重ねて)設けているので、前記プッシュ方向の寸法を小さくできる。なお、前記実施例にあっても可動接点部材7を離接ガイド部1hへスムーズに乗り上げさせる曲げ部分(屈曲部7f)が可動接点部材7に1箇所は必要であるが、参考構成では2ヵ所設ける必要があるのに比べて寸法的に有利である。
また、参考構成においては翼部38dを可動接点部材38の基部38aの左右に2箇所設けているから、可動部材34のプッシュ方向と直交する方向での幅寸法が多く必要である。
これに対して、前記実施例においては、可動接点部材7の基部7aの中央が弾性部材6に接するようにしており、一対の可動接点7b間の基部7aを挟んで、離接ガイド部1hと対向する位置に配設されている。従って、可動部材34のプッシュ方向と直交する方向の幅寸法を小さくして同時に両方の可動接点7bを確実に固定接点2aから離間させることが可能である。つまり、可動接点部材7が傾いて片側の可動接点7bしか固定接点2aから離間しないということがない。
また、前記実施例では、可動接点部材7に当接してガイドする離接ガイド部1hは、ケース1に一体成形されて絶縁された一対の固定接点2aのリード(基部7a)部分の隙間部分から突出して形成されている。このようにもともとある隙間部分に離接ガイド部1hが形成されているので、プッシュ方向と直交する方向の幅寸法を抑えることが可能となる。
なお、可動接点7bは、可動接点7bの摺動による削れ粉の発生等の問題から固定接点2a上のみを摺動するようにしている。つまり、可動接点7bは固定接点2aの金属板の途中から離接ガイド部1hによって浮き上がり固定接点2aから離間するようにしている。
また、参考構成においては一対の固定接点32cは一平面状に形成されている。
これに対して、前記実施例においては、離接ガイド部1hを構成する凸部が一対の固定接点2aの間に形成されており、したがって、その一対の固定接点2a間部分の延面距離を長くしてある。よって、耐電圧を高めることもできる。
このような前記実施例では、プッシュ操作に伴って直線方向を往復移動する操作軸4と、プッシュ操作方向に沿って平行に延びる一対の固定接点2aを有するケース1と、操作軸4に保持されるとともに、弾性部材に弾性付勢され、固定接点2aにそれぞれ弾接する一対の突出部からなる可動接点7bを設けた可動接点部材7と、ケース1に設けられ、プッシュ操作に伴うオフ位置において一対の突出部の間の部分に接して可動接点7bを固定接点2aから離間させる離接ガイド部1hとを備えたため、一対の突出部の間の部分に接して可動接点7bを固定接点2aから離間させるので、翼部を設ける必要がなく、操作軸4のプッシュ操作により可動接点7bの固定接点2aからの離接を行なえ、小型化を図れる。
また、前記実施例では、一対の可動接点7b間を弾性部材6により押圧するようにしたため、可動接点部材7の板全体を弾性部材で押した場合、可動接点部材7は傾きづらく、製造上の誤差等で両固定接点2aに段差が生じていたとき各可動接点7bがそれぞれの固定接点2aに確実に接しない可能性があるが、本構成のように一対の可動接点7b間を弾性部材6により押圧するようにすることによって、特に、弾性部材6を小径のコイルばねとすることにより、可動接点部材7は傾きやすく可動接点7bを確実に各固定接点2aに接触することが可能となる。
また、可動接点7bのオフ位置においては、可動接点部材7の一方の可動接点7bが固定接点2aに接したとしていても離接ガイド部1hをシーソーの支点として他方の可動接点7bが固定接点2aから浮くので、確実にオフとなる。また、この際に、可動接点部材7の離接ガイド部1hとの当接部分に曲げ加重は生じないので、可動接点部材7の板厚を薄くしても確実に接触しないようにすることができる。
また、前記実施例では、一対の可動接点7b間を結ぶ直線上を弾性部材6により押圧したため。可動接点7bの移動方向の寸法を抑えることができる。また、離接ガイド部1hの形状に応じて、可動接点7bを固定接点2aから浮き上がらせることとなるので、移動方向の寸法を抑えることが可能である。