本発明は、反射型表示と透過型表示とを併せ持つカラーフィルタ、カラーフィルタの製造方法、吐出方法、表示装置、液晶表示装置の製造方法、電気光学装置、電子機器および電子機器の製造方法に関する。
従来、外部光による反射型表示と、バックライトによる透過型表示とを併せ持つ液晶表示装置において、反射型表示の場合には、外部からの入射光がカラー表示用の着色層を通過して着色光となるため、入射光の一部が着色層に吸収され着色光による表示が暗くなっていた。そこで、着色層の一部に着色されていない開口部と、開口部に対応した反射層とを設け、外部入射光を着色層に吸収されることなく明るい非着色光として反射させることにより、着色光と混合させて明るい表示が得られる。また、透過型表示の場合には、内臓する光源(バックライト)の光が着色層へ入射して、着色層を通過する着色光のみで表示を行うためコントラストの良い表示が得られる(例えば特許文献1参照)。
また、反射型表示と、透過型表示とを必要に応じて切換えることのできる、液晶表示装置も知られている(例えば特許文献2)。
特開平11−183892号公報(図1)
特開2001−33778号公報(図1、図2)
しかし上記の従来技術では、反射型表示において、外部からの入射光は着色層を通過した後反射し、再び着色層を通過して着色層を2回通過することになるため、着色光の色は濃いものとなる。一方、透過型においては、光源からの光は、着色層を1回通過するだけであり、この結果、反射型表示と透過型表示とでは、光の着色の度合いが異なり、反射型表示の場合の方が色の濃い着色光として認識される。すなわち反射型表示と透過型表示との色バランスが異なる表示装置であった。
さらに、一つの着色層毎に反射部と透過部とが設けられており、透過部は反射部に設けられた開口部であるため、反射部と透過部との境界に段差が存在する。インクジェット装置などの吐出装置を利用して、このような段差上にカラーフィルタエレメントを形成する場合には、段差の部分の近傍がカラーフィルタ材料で覆われない場合がある。
そこで、本発明は、上記問題を鑑みてなされたものであり、反射型表示と透過型表示との色バランスが良く、且つ、液状の材料が適切に塗布され得る構造を有するカラーフィルタ、カラーフィルタの製造方法、吐出方法、表示装置、液晶表示装置の製造方法、電気光学装置、電子機器および電子機器の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の吐出方法は、反射部と透過部とを備えた被吐出部であって、前記透過部が前記反射部に対して窪んでいる被吐出部、に液状のカラーフィルタ材料を吐出する吐出方法であって、前記透過部に前記カラーフィルタ材料を吐出するステップ(a)と、ステップ(a)の後に前記反射部に前記カラーフィルタ材料を吐出するステップ(b)と、を含んでいる。
上記構成よって、まず窪んでいる透過部に液状の材料が吐出され、次に反射部に液状の材料が吐出される。このため、反射部および開口部だけでなく、反射部と開口部との間の境界に位置する段差の近傍も液状の材料で覆われる。この結果、インクジェット装置などの吐出装置を用いても、半透過反射型の表示装置用のカラーフィルタが容易に製造できる。
本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、カラーフィルタの製造方法や、液晶表示装置の製造方法や、電子機器の製造方法の態様でも実現できる。
本発明のカラーフィルタは、光透過性を有する基板と、基板の上に形成され開口部を有する反射層と、反射層の上に形成された境界層と、境界層によって取り囲まれた複数の着色層とを備えたカラーフィルタであって、反射層と境界層との間に、光透過性の透明コート層を設けたことを特徴とする。
この構成によれば、反射層の領域に透明コート層を設けることにより、反射層領域の着色層の厚さを透明コート層の厚み分だけ薄くできる。すなわち着色層の反射層領域以外である開口部領域における着色層の厚さは、透明コート層の厚み分だけ反射層領域の着色層の厚さより相対的に厚くなる。従って、この透明コート層の厚さを調整することにより、反射層で反射して2回着色層を通過する反射型表示の着色の濃さと、開口部から入射して1回着色層を通過する透過型表示の着色の濃さとのバランスを自在に調整できる。
この場合、境界層は開口部を取り囲み、且つ光透過性を有する境界層と光透過性の無い境界層とを含み、また、着色層は、所定の溶液を、吐出装置によって吐出された液滴により形成されることが好ましい。
これらの構成によれば、反射層上の境界層に光透過性を有する境界層の部分を設けることにより、着色層を通過しない明るい非着色光が得られ、反射型表示の明るさを向上させることができる。また、光透過性の無い境界層により色のコントラストが向上する。そして、境界層に囲まれた着色層の形成に吐出装置を用いることにより、液滴を均一に塗布して塗布の厚さおよび塗布面積のバラツキの無い境界層が形成できる。
また、本発明のカラーフィルタは、光透過性を有する基板と、基板の上に形成され開口部を有する反射層と、反射層の上に形成された境界層と、境界層によって取り囲まれた複数の着色層と、境界層および着色層を覆うように形成された第1のオーバーコート層とを備えたカラーフィルタであって、境界層が形成された反射層の面は、光を散乱させる凹凸形状であり、前記第1のオーバーコート層の上に第2のオーバーコート層が形成されてなることを特徴とする。
この構成によれば、反射層の面が凹凸形状であるため光が散乱して反射し、入射光方向からの像、例えば表示を見ている人の目や顔などの写りこみを防ぐことができる。
この場合、反射層と境界層との間に、光透過性の透明コート層を設け、境界層は、開口部を取り囲み、且つ光透過性を有する境界層を含んでおり、そして、着色層は、所定の溶液を吐出装置によって吐出された液滴により形成されることが好ましい。
さらに、第2のオーバーコート層は、反射層に対応する領域に形成されていることが好ましく、この構成では、反射層の領域でオーバーコート層が厚い分だけ同じ領域の液晶部分の厚みが少なくなり、無色の境界層および着色層からの反射光が液晶部分を通過する際の明るさの低下が抑えられ、より明るい表示が可能となる。
本発明のカラーフィルタの製造方法は、光透過性を有する基板上に開口部を有する反射層を形成する工程と、反射層の上に境界層を形成する工程と、境界層によって取り囲まれた複数の着色層を形成する工程を備えたカラーフィルタの製造方法であって、前記反射層と前記境界層との間に、光透過性の透明コート層を設ける工程を備えたことを特徴とする。また、境界層を形成する工程は、開口部を取り囲み、且つ光透過性を有する境界層を形成する工程を含み、着色層を形成する工程は、所定の溶液を吐出装置によって吐出された液滴により着色層を形成する。
そして、本発明のカラーフィルタの製造方法は、光透過性を有する基板の上に開口部を有する反射層を形成する工程と、反射層の上に境界層を形成する工程と、境界層によって取り囲まれた複数の着色層を形成する工程と、境界層および着色層を覆うように第1のオーバーコート層を形成する工程とを備えたカラーフィルタの製造方法であって、少なくとも前記境界層が形成された前記反射層の面を、光を散乱させる凹凸形状に形成する工程と、前記第1のオーバーコート層の上に第2のオーバーコート層を形成する工程とを有することを特徴とする。また、反射層と境界層との間に光透過性の透明コート層を設ける工程をさらに備えたことが好ましく、境界層を形成する工程は、開口部を取り囲み、且つ光透過性を有する境界層を形成する工程を含むことが好ましい。さらに、着色層を形成する工程は、所定の溶液を吐出装置によって吐出された液滴により着色層を形成することが好ましく、第2のオーバーコート層を形成する工程は、反射層に対応する領域に第2のオーバーコート層を形成することが好ましい。
本発明の表示装置は、光透過性を有する基板と、基板の上に形成され開口部を有する反射層と、反射層の上に形成された境界層と、境界層によって取り囲まれた複数の着色層とを備えたカラーフィルタを有する表示装置であって、、反射層と境界層との間に光透過性の透明コート層を設けることを特徴とする。この場合、境界層は、開口部を取り囲み、且つ光透過性を有する境界層を含んでおり、着色層は、所定の溶液を吐出装置によって吐出された液滴により形成されることが好ましい。
また、本発明の表示装置は、光透過性を有する基板と、基板の上に形成され開口部を有する反射層と、反射層の上に形成された境界層と、境界層によって取り囲まれた複数の着色層と、境界層および着色層を覆うように形成された第1のオーバーコート層とを備えたカラーフィルタを有する表示装置であって、前記境界層が形成された前記反射層の面は、光を散乱させる凹凸形状であり、前記反射層の上に第2のオーバーコート層が形成されてなることを特徴とする。
この場合、前記反射層と前記境界層との間に、光透過性の透明コート層を設けることが好ましく、境界層は、開口部を取り囲んだ光透過性を有する境界層を含むことが好ましい。そして、着色層は、所定の溶液を吐出装置によって吐出された液滴により形成されることが好ましい。さらに、第2のオーバーコート層は、反射層に対応する領域に形成されていることが好ましい。
本発明の電気光学装置は、光透過性を有する部分を含む境界層に囲まれた着色層を有するカラーフィルタ部と、着色層にそれぞれ対応した個別光源である有機EL部とから構成されたことを特徴とする。この構成によれば、目的の色の着色層に対応する有機ELのみ発光する無駄のない省エネルギー型光源と、光透過性を有する境界層を通った明るい有機EL光とにより、視認性の良い電気光学装置が得られる。
本発明の電子機器は、カラーフィルタあるいは表示装置あるいは電気光学装置を搭載したことを特徴とし、この構成によれば、色のコントラストおよび明るさが向上した、見やすい表示装置を備えた各種表示装置、例えば携帯電話、腕時計、電子辞書、携帯ゲーム機、小型テレビなどが実現できる。
本発明のカラーフィルタによれば、反射層と境界層との間に透明コート層を設けて、光が着色層を通過する回数に対応して着色層領域の厚さを変えることにより、反射型表示と透過型表示とによる着色光の色の濃さの差異をなくすことができる。さらに、反射部と透過部との境界に存在する段差部分に、液状の材料が適切に塗布され得る構造を提供することができる。
以下に、添付図面を参照して、本発明のカラーフィルタを搭載した表示装置である液晶表示装置の実施例を説明する。なお、以下に示す実施例は、特許請求の範囲に記載された発明の内容を何ら限定するものではない。また、以下の実施例に示す構成のすべてが、特許請求の範囲に記載された発明の解決手段として必須であるとは限らない。この液晶表示装置は、外部光を取り入れてその反射光によって表示を行う反射型表示と、バックライトの光によって表示を行う透過型表示とを併せ持ち、周囲の明るさに応じて最適な表示方法で表示を行う、省エネルギータイプのいわゆる半透過反射型液晶表示装置であり、カラー表示のための着色層を備えたカラーフィルタを有している。
図1は、本発明の実施例1の半透過反射型液晶表示装置を示す断面図である。この断面図において液晶15に対して光源(バックライト)20が配置されている側を背面側と称し、反対側を前面側と称する。通常、前面側から表示内容の確認が行われる。また、図2は、本発明の境界層5、21と着色層6との配置を前面側から見て示した図であり、Y軸方向に複数延在する光透過性を有する無色境界層5と、Y軸と直交するX軸方向に複数延在する光透過性の無い有色境界層21とが格子状に形成されている。無色境界層5の断面(A−A’)を示した図が図1であり、有色境界層21の断面(B−B’)を示した図が図3である。
図1および図2に示すように、半透過反射型液晶表示装置1は、光透過性の背面基板2と前面基板11とが対向して配置され、背面基板2の前面側に形成された開口部4を有する反射層3と、反射層3の上に形成された透明コート層25と、透明コート層25の上に開口部4を取り囲むように形成された無色境界層5および有色境界層21と、無色境界層5および有色境界層21により形成され後述する吐出装置により所定の着色液を塗布される複数の被吐出部7と、各被吐出部7に塗布された着色液の層である着色層6R、6G、6Bと、無色境界層5、有色境界層21および着色層6R、6G、6Bを一面に覆うオーバーコート層8とから成るカラー表示のためのカラーフィルタ40を有する。
また、前面基板11の背面側には、着色層6R、6G、6Bに対応して配置された画素電極12と、画素電極12を覆う配向膜13が形成され、上述したオーバーコート層8の上には画素電極12に対応して配置された対向電極9と、対向電極9を覆って配向膜10が形成されている。そして、配向膜10と配向膜13との間に前面基板11の外周部に沿うようにシール材14が形成され、シール材14、配向膜10および配向膜13で作られる空間に液晶15が封入されている。さらに、前面基板11の前面側に貼着された前面偏光板17と、背面基板2の背面側に貼着された背面偏光板16と、背面偏光板16の背面側全面を覆うように緩衝材18を介して設けられた導光板19と、導光板19へ光を供給する光源20とを備えている。
なお、着色層6R、6G、6Bは格子状に規則正しく配置されており、Y軸方向に同じ色の着色層6が列をなし、X軸方向に着色層6R、6G、6Bが順に配列されていて、異なる色の着色層6の境には無色境界層5が配置され、同じ色の着色層6の境には有色境界層21が配置されている。これらの着色層6は境界層5、21で仕切られていて、互いの色が重なりあったり、隙間ができたりして色のコントラストが悪くなるというようなことが無く、鮮明な表示が表現できる。また、無色境界層5、対向電極9、画素電極12、配向膜10、13、オーバーコート層8および透明コート層25は光透過性である。
このような構成の半透過反射型液晶表示装置1における反射型表示を最初に説明する。
外部光Q、Sが前面偏光板17へ入射すると、前面偏光板17が透過する方向(透過軸方向)の光だけが通過して、他方向の光は前面偏光板17に吸収される。前面偏光板17を通過した外部光Qおよび外部光Sは画素電極12→配向膜13→液晶15→配向膜10→対向電極9→オーバーコート層8の経路で入射する。ここで外部光Sは、着色層6R、6G、6Bのいずれかを通過し、透明コート層25を経て反射層3に至り、反射層3で反射して再び透明コート層25、着色層6を通過して、着色層6のそれぞれの色に着色された着色光となって、入射と逆の経路を辿って前面側へ出射する。一方、外部光Qは、無色境界層5、透明コート層25を通過して反射層3に至り、反射層3で反射して再び透明コート層25、無色境界層5を通過して、非着色光として入射と逆の経路を辿って前面側へ出射する。
外部光Sのうち、着色の該当色以外の波長の光は着色層6に吸収される。そして、外部光Sは、着色層6を2回通過するので明るさが低下する。色の濃さを上げる目的で、着色層6の層厚を厚くすれば、明るさがさらに低下する。一方、非着色の外部光Qは、着色層6を通過せず無色境界層5を通過するため、明るい状態のまま出射する。そこで、外部光Sの明るさを上げるため、外部光Qと外部光Sとを同時に前面から出射させるようにして、相乗効果として全体の明るさを確保している。着色光と非着色光とが混ざって明るくなった光は、人間の目には着色光と非着色光の区別がされず、それぞれの着色光として認識される。
このような無色境界層5は、光透過性の良いアクリル樹脂やエポキシ樹脂から成り、異なる色の着色層6の境界に規則正しく形成されているため、各着色層6全体の明るさのバランスがとれて見やすい表示となる。また、同じ色の着色層6の境界に形成された樹脂製の有色境界層21は、黒色であって色のコントラストを良好にするとともに、後述する吐出装置での着色層6の形成において、着色液が有色境界層21上に吐出しても表示に影響を与えないため、連続して着色液の吐出が行える利点がある。これら両境界層とも通常、ディスペンサやスクリーン印刷などで形成される。
また、背面基板2の上に形成された反射層3は、銀、アルミニウム、ニッケル、クロムなどの薄膜であり、光を反射する。オーバーコート層8は、無色境界層5、有色境界層21、着色層6R、6G、6Bの形成による凹凸を平坦化して対向電極を形成し易くする。
配向膜10、13はそれぞれ対向電極9および画素電極12を覆って保護するとともに、有機材料等が染み出して液晶15を劣化させることを防ぐ目的がある。
液晶15は、液晶15を挟んで対峙する対向電極9と、画素電極12との間に印加される電界に応じて、液晶分子の配向状態が変化して通過する光を制御できる。従って、対向電極9と、画素電極12とは、着色層6R、6G、6Bのそれぞれと無色境界層5とに対応した位置で対になるように配置され、光の透過、遮断やそれぞれの色の明るさを制御して所定の表示を描く。無色境界層5の領域では、互いに隣り合う対向電極9のそれぞれが、無色境界層5の幅の半分ずつを覆うように配置されている。すなわち、外部光Qと外部光Sとの透過、遮断は、対になった対向電極9、画素電極12のそれぞれの領域毎に制御されている。なお、外部光Q、Sは、液晶15を2回通過する。
次に、透過型表示について簡単に説明する。透過型表示では、反射型表示と異なり外部光Q、Sの替わりに光源20から発せられる透過光Pを用いる。透過光Pは導光板19によって背面偏光板16へ導かれ、背面偏光板16が光を透過する方向(透過軸方向)の光だけが背面偏光板16を通過して、さらに背面基板2を通過して、開口部4から着色層6R、6G、6Bへ入射する。着色層6R、6G、6Bに入射した透過光Pは、入射した着色層6のそれぞれの色に着色されて、オーバーコート層8→対向電極9→配向膜10→液晶15→配向膜13→画素電極12→前面基板11→前面偏光板17の経路を経て前面側へ出射する。通常、透過光Pは着色層6および液晶15を1回通過するだけであるので、前面から入射時の外部光Sと光源20からの透過光Pとが同じ明るさとすると、前面からの出射時の明るさは透過光Pの方が明るい。そこで外部光Sに、無色境界層5によって得られた明るい外部光Qを加えることにより反射型表示の明るさを増し、透過型表示との明るさの差を極めて少なくできている。
さらに、本発明の透明コート層25の形成によって、反射型表示と透過型表示との色の濃さについても、着色層6を光が通過する回数の相違を相殺して、差異の無い表示が可能となる。通常、透明コート層25の無い場合、外部光Sは着色層6を2回通過して着色され、透過光Pは1回通過して着色される。それぞれ通過する着色層6の厚さは、反射層3が厚さ0.2μm以下の金属薄膜であるため、ほぼ同等の厚さとみることができる。従って、前面側から出射したときの色の濃さは、2回着色層6を通過した外部光Sの方が、通過する着色層6の長さが透過光Pの2倍となり、その分、濃く着色されている。すなわち、反射型表示と透過型表示とでは同じ色でも、人間の目には異なった濃さの色として認識される。それぞれの表示だけの場合は、色の濃さの差が認識されにくいが、薄暗い場所で両方の表示によって表示がされる場合は、それぞれの着色光が混ざって濃淡のある表示となってしまう。
そこで、図1および図3に示すように、反射層3と境界層5、21との間に透明コート層25を設け、外部光Sが通過する着色層6の厚さを、透過光Pが通過する着色層6の厚さの半分としている。この設定によれば、着色層6を2回通過する外部光Sと、着色層6を1回通過する透過光Pとは、同じ長さだけ着色層6を通過することになり、それぞれ同じ色の濃さに着色された着色光になる。透明コート層25は、光透過性の良いアクリル樹脂やエポキシ樹脂等から成り、反射層3の上に反射層3全体を覆うように形成されていて、透明コート層25を通過した外部光Q、Sはすべて反射層3で反射される設定である。
この透明コート層25は反射層3と境界層5、21との間に形成されているが、反射層3と背面基板2との間に形成しても同様の効果が得られる。
以上のように、実施例1で説明した半透過反射型液晶表示装置1によれば、透明コート層25の形成により、外部光Sと透過光Pとの着色層6通過長さを同じにして、着色光の色の濃さを同等にできる。また、明るい非着色光を得られる無色境界層5の形成と合わせて、反射型表示と透過型表示との明るさの差異も少ない、視認性の良い表示装置を提供できる。
次に、本発明の実施例2について説明する。図4は、実施例2の半透過反射型液晶表示装置30の断面図である。実施例1と同様に、この断面図において液晶15に対して光源20が配置されている側を背面側、反対側を前面側と称し、境界層の配置も、図2に示すようにY軸方向に複数延在する無色境界層5と、X軸方向に複数延在する有色境界層21とが格子状に形成されている。無色境界層5の断面(A−A’)を示した図が図4であり、有色境界層21の断面(B−B’)を示した図が図5である。実施例1との相違点は、樹脂散乱層32を新たに設けたことと、反射層3に凹凸を設けて散乱反射層31としたことと、オーバーコート層8の厚さを部分的に変えたことである。
図4および図5に示すように、半透過反射型液晶表示装置30は、光透過性の背面基板2と前面基板11とが対向して配置され、背面基板2の前面側に形成され前面側表面に凹凸を設けた樹脂散乱層32と、樹脂散乱層32の上に形成された開口部4および前面側表面に光を散乱させる凹凸面を有する散乱反射層31と、散乱反射層31の上に形成された透明コート層25と、透明コート層25の上で開口部4を取り囲むように形成された無色境界層5および有色境界層21と、無色境界層5および有色境界層21により形成され後述する吐出装置により所定の着色液が塗布される複数の被吐出部7と、各被吐出部7に塗布された着色液の層である着色層6R、6G、6Bと、無色境界層5、有色境界層21および着色層6R、6G、6Bを一面に覆うとともに散乱反射層31に対応する部分が厚く形成されているオーバーコート層8とから成るカラー表示のためのカラーフィルタ45を有する。なお、オーバーコート層8は、無色境界層5、有色境界層21および着色層6R、6G、6Bの直上を一面に覆う第1のオーバーコート層と、第1のオーバーコート層の上の散乱反射層31に対応する部分にのみ形成された第2のオーバーコート層とからなっている。
また、前面基板11の背面側には、着色層6R、6G、6Bに対応して配置された画素電極12と、画素電極12を覆う配向膜13が形成され、上述したオーバーコート層8の上には画素電極12に対応して凹部状に配置された対向電極9と、対向電極9を覆って配向膜10が形成されている。そして、配向膜10と配向膜13との間に前面基板11の外周部に沿うようにシール材14が形成され、シール材14、配向膜10および配向膜13で作られる空間に液晶15が封入されている。さらに、半透過反射型液晶表示装置30は、前面基板11の前面側に貼着された前面偏光板17と、背面基板2の背面側に貼着された背面偏光板16と、背面偏光板16の全面を覆うように緩衝材18を介して設けられた導光板19と、導光板19へ光を供給する光源20とを備えている。
なお、着色層6R、6G、6Bは、格子状に規則正しく配置されており、Y軸方向に同じ色の着色層6が列をなし、X軸方向に着色層6R、6G、6Bが順に配列されていて、異なる色の着色層6の境には無色境界層5が配置され、同じ色の着色層6の境には有色境界層21が配置されている。また、無色境界層5、対向電極9、画素電極12、配向膜10、13、オーバーコート層8、樹脂散乱層32および透明コート層25は光透過性である。
このような構成の半透過反射型液晶表示装置30における反射型表示を、まず説明する。外部光Qおよび外部光Sは前面偏光板17へ入射すると、前面偏光板17の透過軸方向の光だけが通過して、画素電極12→配向膜13→液晶15→配向膜10→対向電極9→オーバーコート層8の経路で入射する。ここで外部光Sは、着色層6R、6G、6Bのいずれかを通過して、透明コート層25を経て散乱反射層31に至り、散乱反射層31で反射して再び透明コート層25、着色層6を通過して、着色層6のそれぞれの色に着色された着色光となって、入射と逆の経路を辿って前面側へ出射する。一方、外部光Qは、無色境界層5、透明コート層25を通過して散乱反射層31に至り、散乱反射層31で反射して再び透明コート層25、無色境界層5を通過して、非着色光として入射と逆の経路を辿って前面側へ出射する。
ここで、外部光Q、Sは散乱反射層31で反射する際に、散乱反射層31の表面の凹凸によって種々の方向へ散乱する。これにより、凹凸が無い場合に生じる前面からの人の目や顔などの像の映り込みを防ぐことができ、より鮮明な表示が得られる。この散乱反射層31は、銀、アルミニウム、ニッケル、クロムなどの薄膜であり、光を反射する。また、散乱反射層31の表面には、光を散乱させるために酸素プラズマ処理等により凹凸を設けてある。さらに、開口部4へ入射した外部光はほとんど反射されないが、わずかな映り込みをも防いで表示を鮮明にするために、樹脂散乱層32の前面側表面にも凹凸を設けている。
着色光である外部光Sは、着色層6を通過して所定の色と色の濃さに着色される際に、明るさが減少する。非着色である外部光Qは、着色層6を通過せずに、無色境界層5を通過して明るい状態のまま出射するため、この外部光Qと外部光Sとを同時に前面から出射させるようにして、全体の明るさを確保している。また、散乱反射層31によって散乱して反射された外部光Q、Sの明るさを維持するため、散乱反射層31に対応するオーバーコート層8を、その部分だけ厚く形成して、散乱反射層31で反射した外部光Q、Sが通過する液晶15部分の長さを他の部分より短く設定している。これにより液晶15通過による明るさの減少が抑えられ、前面からの出射光の明るさをさらに向上させることができる。そして、同じ色の着色層6の境界に形成された樹脂製の有色境界層21は、黒色であって色のコントラストを良好にする。
透過型表示については、既に説明した半透過反射型液晶表示装置1と同様である。実施例2においては、外部光Q、Sが通過する液晶15の長さを短くして明るさの減少を抑える工夫が付加されており、入射する時の外部光Q、Sと光源20からの透過光Pとが同じ明るさとすると、前面に出射する透過光Pと外部光Q、Sとの明るさの差異が無い設定となっている。すなわち、半透過反射型液晶表示装置30は、透過光Pおよび外部光Q、Sの通過経路の違いによる明るさの差異を解消する表示バランスの良い表示装置である。
さらに、本発明の透明コート層25の形成によって、反射型表示と透過型表示との色の濃さについても、差異の無い表示が可能となる。透明コート層25の無い場合、外部光Sと透過光Pのそれぞれが通過する着色層6の厚さは、反射層3が金属の薄膜のため同等とみることができる。従って、前面側から出射したときの色の濃さは、2回着色層6を通過した外部光Sの方が、1回通過した透過光Pに比べて、濃く着色されている。
そこで、図4および図5に示すように、散乱反射層31と境界層5、21との間に透明コート層25を設け、外部光Sが通過する着色層6の厚さを、透過光Pが通過する着色層6の厚さの半分としている。この設定によれば、外部光Sと透過光Pとは、同じ長さだけ着色層6を通過することになり、それぞれ同じ色の濃さに着色された着色光になる。透明コート層25は、光透過性の良いアクリル樹脂やエポキシ樹脂等から成り、散乱反射層31の上に散乱反射層31全体を覆うように形成されていて、透明コート層25を通過した外部光Q、Sはすべて散乱反射層31で反射される設定である。この透明コート層25は散乱反射層31と境界層5、21との間に形成されているが、散乱反射層31と背面基板2との間に形成しても同様の効果が得られる。
以上のように、実施例2による半透過反射型液晶表示装置30は、実施例1の構成に加えて、厚みの異なるオーバーコート層8の形成により、外部光Q、Sと透過光Pとの液晶15の通過長さを調節して、外部光Q、Sの混合光および透過光Pのそれぞれの色の明るさを同等まで向上させ、さらに樹脂散乱層32および散乱反射層31表面の凹凸により外部像の映り込みを防止した、視認性が良好な表示を提供することができる。
このような実施例1および2で説明した半透過反射型液晶表示装置1、30において、カラー表示の要である着色層6R、6G、6Bを均一に形成するには、液滴吐出装置を用いて着色液を液滴の状態で被吐出部7へ吐出して塗布することによって可能である。この場合、オーバーコート層8も液滴吐出装置によって形成可能である。
液滴吐出装置100は、図6に示すように、液滴を吐出するヘッド部110を有するヘッド機構部102と、ヘッド部110から吐出された液滴の吐出対象であるワーク120を載置するワーク機構部103と、ヘッド部110に液体133を供給する液体供給部104と、これら各機構部および供給部を総括的に制御する制御部105とを含む。
液滴吐出装置100は、床上に設置された複数の支持脚106と、支持脚106の上側に設置された定盤107を備えている。定盤107の上側には、ワーク機構部103が定盤107の長手方向(Y軸方向)に延在するように配置されており、ワーク機構部103の上方には、定盤107に固定された2本の柱で両持ち支持されているヘッド機構部102が、ワーク機構部103と直交する方向(X軸方向)に延在して配置されている。また、定盤107の一方の端部上には、ヘッド機構部102のヘッド部110から連通して液体133を供給する液体供給部104が配置されている。さらに、定盤107の下側には、制御部105が収容されている。
ヘッド機構部102は、液体133を吐出するヘッド部110と、ヘッド部110を搭載したキャリッジ111と、キャリッジ111のX軸方向への移動をガイドするX軸ガイド113と、X軸ガイド113の下側にX軸方向に設置されたX軸ボールねじ115と、X軸ボールねじ115を正逆回転させるX軸モータ114と、キャリッジ111の下部にあって、X軸ボールねじ115と螺合してキャリッジ111を移動させる雌ねじ部が形成されたキャリッジ螺合部112とを備えている。
ワーク機構部103は、ヘッド機構部102の下方に位置し、ヘッド機構部102とほぼ同様の構成でY軸方向に配置されており、ワーク120を載置する載置台121と、載置台121の移動をガイドするY軸ガイド123と、Y軸ガイド123の下側に設置されたY軸ボールねじ125と、Y軸ボールねじ125を正逆回転させるY軸モータ124と、載置台121の下部にあって、Y軸ボールねじ125と螺合して載置台121を移動させる載置台螺合部122とを備えている。
なお、ヘッド機構部102およびワーク機構部103には、図示していないが、ヘッド部110と載置台121の移動した位置を検出する位置検出手段が、それぞれ備えられている。また、キャリッジ111と載置台121には、回転方向(いわゆるΘ軸)を調整する機構が組込まれ、ヘッド部110の中心を回転中心とした回転方向調整、および載置台121の回転方向調整が可能である。
これらの構成により、ヘッド部110とワーク120とは、それぞれX軸方向およびY軸方向に往復自在に移動することができる。まず、ヘッド部110の移動について説明する。X軸モータ114の正逆回転によってX軸ボールねじ115が正逆回転し、X軸ボールねじ115に螺合しているキャリッジ螺合部112が、X軸ガイド113に沿って移動することで、キャリッジ螺合部112と一体のキャリッジ111が任意の位置に移動する。すなわち、X軸モータ114の駆動により、キャリッジ111に搭載したヘッド部110が、X軸方向に自在に移動する。同様に、載置台121に載置されたワーク120もY軸方向に自在に移動する。
このように、ヘッド部110は、X軸方向の吐出位置まで移動して停止し、下方にあるワーク120のY軸方向の移動に同調して、液滴を吐出する構成となっている。Y軸方向に移動するワーク120と、X軸方向に移動するヘッド部110とを相対的に制御することにより、ワーク120上に所定の描画等を行うことができる。
次に、ヘッド部110に液体133を供給する液体供給部104は、ヘッド部110に連通する流路を形成するチューブ131aと、チューブ131aへ液体を送り込むポンプ132と、ポンプ132へ液体133を供給するチューブ131b(流路)と、チューブ131bに連通して液体133を貯蔵するタンク130とから成っており、定盤107上の一端に配置されている。液体133の補充および交換を考慮すると、タンク130は、定盤107の上側あるいは下方に設置することが望ましいが、配置上、ヘッド部110の上方に設置できれば、ポンプ132無しに一本のフレキシブルチューブでタンク130とヘッド部110を連結し、重力により液体の自然供給が可能となる。
ヘッド部110は、図7(a)に示すように互いに同じ構造を有する複数の吐出ヘッド116を保持している。ここで、図7(a)は、ヘッド部110を載置台121側から観察した図である。ヘッド部110には6個の吐出ヘッド116からなる列が、それぞれの吐出ヘッド116の長手方向がX軸方向に対して角度をなすように2列配置されている。
また、液体133を吐出するための吐出ヘッド116は、それぞれが吐出ヘッド116の長手方向に延びる2つのノズル列118、119を有している。1つのノズル列は、それぞれ180個のノズル117が一列に並んだ列のことであり、このノズル列118、119の方向に沿ったノズル117の間隔は、約140μmである。2つのノズル列118、119間のノズル117はそれぞれ半ピッチ(約70μm)ずれて配置されている。
図7(b)に示すように、それぞれの吐出ヘッド116は、振動板143と、ノズルプレート144とを、備えている。振動板143と、ノズルプレート144との間には、タンク130から孔147を介して供給される液体133が常に充填される液たまり145が位置している。また、振動板143と、ノズルプレート144との間には、複数の隔壁141が位置している。そして、振動板143と、ノズルプレート144と、1対の隔壁141とによって囲まれた部分がキャビティ140である。キャビティ140はノズル117に対応して設けられているため、キャビティ140の数とノズル117の数とは同じである。キャビティ140には、1対の隔壁141間に位置する供給口146を介して、液たまり145から液体133が供給される。
図8に示すように、振動板143上には、それぞれのキャビティ140に対応して、振動子142が位置する。振動子142は、ピエゾ素子142cと、ピエゾ素子142cを挟む1対の電極142a、142bとから成る。この1対の電極142a、142bに駆動電圧を与えることで、対応するノズル117から液体133が液滴150となって吐出される。半透過反射型液晶表示装置1、30の場合、着色液の液滴150は、無色境界層5および有色境界層21に囲まれた被吐出部7へ吐出されて、着色層6R、6G、6Bを形成する。
次に、以上述べた構成を制御する制御系について図10を参考に説明する。制御系は、制御部105と駆動部175とを備え、制御部105は、CPU170、ROM、RAMおよび入出力インターフェイス171からなり、CPU170が入出力インターフェイス171を介して入力される各種信号を、ROM、RAMのデータに基づき処理し、入出力インターフェイス171を介して駆動部175へ制御信号を出力して、それぞれを制御する。
駆動部175は、ヘッドドライバ176、モータドライバ177、ポンプドライバ178から構成されている。モータドライバ177は、制御部105の制御信号により、X軸モータ114、Y軸モータ124を正逆回転させ、ワーク120、ヘッド部110の移動を制御する。ヘッドドライバ176は、吐出ヘッド116からの液体133の吐出を制御し、モータドライバ177の制御と同調して、ワーク120上に所定の描画が行えるようにする。また、ポンプドライバ168は、液体133の吐出状態に対応してポンプ132を制御し、吐出ヘッド116への液体供給を最適に制御する。
制御部105は、ヘッドドライバ176を介して、複数の振動子142のそれぞれに互いに独立な信号を与えるように構成されている。このため、ノズル117から吐出される液滴150の体積は、ヘッドドライバ176からの信号に応じてノズル117毎に制御される。さらに、ノズル117のそれぞれから吐出される液滴150の体積は、0pl〜42pl(ピコリットル)の間で可変である。
具体的に、背面基板2、反射層3、透明コート層25、開口部4、無色境界層5、有色境界層21、被吐出部7、着色層6R、6G、6Bおよびオーバーコート層8とを含む実施例1のカラーフィルタ40の製造方法について図11を参照して説明する。まず、図11(a)に示すように、背面基板2上の開口部4に対応する部分に有機物のレジスト膜27を形成し、背面基板2、レジスト膜27の上に反射層3となるアルミニウム、クロム等の金属薄膜を蒸着等で形成する。金属薄膜は背面基板2には密着して形成されるがレジスト上には密着されない。金属薄膜形成後、レジスト膜27とレジスト膜27上の金属薄膜とを溶剤によって除去すると、図11(b)のように反射層3が形成される。次に、反射層3の上に、アクリル等の光透過性樹からなる透明コート層25と、同じく光透過性樹からなる無色境界層5と黒色樹脂からなる有色境界層21とを、スクリーン印刷などで図2に示すような格子状に形成し、これら背面基板2と、反射層3と、境界層5、21とで囲まれた領域の被吐出部7が図11(c)のように形成される。
ここで、被吐出部7に着色液の液滴150を、液滴吐出装置100によって吐出して着色層6を形成する方法について、赤の着色液を吐出して着色層6Rを形成する場合を例にして説明する。まず、反射層3と、透明コート層25と、無色境界層5と、有色境界層21とが形成された背面基板2をワーク120として載置台121に載置する。載置する方向は図2に示すように無色境界層5の延在する方向をY軸方向、有色境界層21の延在する方向をX軸方向とする。吐出ヘッド116はY軸方向へ相対移動しながら、図8に示すようにノズル117から赤の着色液の液滴150を吐出し、Y軸方向に一列に並んでいる赤の着色層が設けられることになる一端の被吐出部7から他端の被吐出部7まで、順番に液滴150を配置して行く。この時赤の着色層6Rに対応する他の被吐出部7の列にも、他のノズル117によって同時に液滴150を配置することができる。この操作を赤の着色層6Rに対応する被吐出部7の列の数に応じて、何回か繰り返すことによって、赤の着色層6Rが完成する。
この場合、Y軸方向に並んだ赤の着色層6Rの境界は、X軸方向へ延在する光透過性の無い有色境界層21なので、有色境界層21に液滴150が着弾しても表示装置としての性能に影響が無い。したがって、Y軸方向の液滴吐出は有色境界層21を避けることなく連続して行うことができ効率的である。また、隣の緑の着色層6Gの列との境は無色境界層5であるため、液滴150の着弾は避けなくてはならないが、無色境界層5はY軸と平行であり、ノズル117もY軸方向へ相対移動するので、互いが交差することなく回避が容易である。従来の例では、各被吐出部7内の一部に非着色部分を設けて、無色境界層5の作用をさせる構成であって、各被吐出部7への液滴150の吐出毎に、非着色部分を避けて吐出する必要があり制御が複雑となる。この点においても本発明の無色境界層5の配置は効果的である。これらは、着色層6G、6Bのそれぞれの場合についても同様のことが言える。以上のように着色層6R、6G、6Bが形成された後、着色層6R、6G、6Bと無色境界層5と有色境界層21とを覆うようにオーバーコート層8を設けて(図11(d))カラーフィルタ40が完成する。
また、実施例2におけるカラーフィルタ45についても、基本的に実施例1のカラーフィルタ40と同様な製造方法であるため、主な相違点についてのみ説明する。背面基板2の前面側には、前面側表面に凹凸を設けた光透過性の樹脂散乱層32が一面に追加貼着され、樹脂散乱層32の上にレジスト膜27と散乱反射層31とが形成される。散乱反射層31は金属薄膜であるため、樹脂散乱層32表面の凹凸に沿って形成されるが、酸素プラズマ処理等により表面にさらに凹凸を設けて、散乱の効果を上げる。この後、レジスト膜27を除去し、散乱反射層31上に透明コート層25をスクリーン印刷等で形成する。以降の工程は、実施例1に準ずる。
この液滴吐出装置100により効率的に着色層6R、6G、6Bを形成するために、以下に説明する製造装置を用いればより有効である。図9に示す製造装置200は、半透過反射型液晶表示装置1、30を製造する装置群であり、図1および図4の着色層6R、6G、6Bのそれぞれに対して、対応する着色液の液滴150を吐出する液滴吐出装置100を含んでいる。製造装置200は、赤の着色液を塗布する被吐出部7のすべてに、赤の着色液を塗布する吐出装置210Rと、赤の着色液を乾燥させる乾燥装置220Rと、緑の着色液を塗布する被吐出部7のすべてに緑の着色液を塗布する吐出装置210Gと、緑の着色液を乾燥させる乾燥装置220Gと、同様に青の着色液を塗布する被吐出部7のすべてに、青の着色液をそれぞれ塗布および乾燥させる吐出装置210B、乾燥装置220Bと、各色の着色液を再度加熱(ポストベーク)するオーブン230と、ポストベークされた着色液の層の上にオーバーコート層8を設ける吐出装置210Cと、オーバーコート層8を乾燥させる乾燥装置220Cと、乾燥されたオーバーコート層8を再度加熱して硬化する硬化装置240とを備えている。さらに製造装置200は、吐出装置210R、乾燥装置220R、吐出装置210G、乾燥装置220G、吐出装置210B、乾燥装置220B、オーブン230、吐出装置210C、乾燥装置220C、硬化装置240の順番に着色層6R、6G、6Bが形成されたワーク120を搬送する搬送装置250も備えている。
なお、試作などにおいては、吐出装置210R、吐出装置210G、吐出装置210B、吐出装置210Cが1つの同じ液滴吐出装置100であってもよく、この場合、ヘッド部110は吐出ヘッド116によって赤(R)、緑(G)、青(B)、オーバーコートのそれぞれの着色液の液滴を吐出する構成を有すればよい。例えば、液滴吐出装置100が、赤の着色層6Rの形成では、赤(R)の着色液が供給された吐出ヘッド116を用いて、製造装置200の吐出装置210Rと同じ機能を果たし、緑(G)の着色層6Gの形成では、緑(G)の着色液が供給された吐出ヘッド116を用いて、製造装置200の吐出装置210Gと同じ機能を果たし、青(B)、オーバーコートについても同様な対応をすることによって可能である。さらに、ディスペンサやスクリーン印刷で行っているカラーフィルタ40、45の透明コート層25、無色境界層5、有色境界層21の形成、半透過反射型液晶表示装置1、30の配向膜10、13の形成、液晶15の塗布も液滴吐出装置100によって可能であり、上述の製造装置200にこれらの機能を付加することができる。
以上述べた実施例1および2のカラーフィルタ40、45を、それぞれ搭載した半透過反射型液晶表示装置1および30の製造方法について、図1の半透過反射型液晶表示装置1を代表として説明する。まず、背面基板2、反射層3、開口部4、透明コート層25、無色境界層5、有色境界層21、被吐出部7、着色層6R、6G、6B、およびオーバーコート層8とを含むカラーフィルタ40のオーバーコート層8上に、透明材のITO(Indium Tin Oxide)により構成されている対向電極9を、各着色層6に対応して形成する。
さらに、対向電極9とオーバーコート層8の全面を覆ってポリイミド等の配向膜10を形成して背面基板部が出来上がる。
一方、前面基板11の背面側に、対向電極9と同様にITOにより構成され、対向電極と対応する位置に配置された画素電極12を形成し、画素電極12と前面基板11との全面を覆うようにポリイミド等の配向膜13を形成して前面基板部が出来上がる。次に、背面基板部の配向膜10上に、一部に切欠部を有し液晶15の領域を形成する矩形のシール材14を、スクリーン印刷等で形成する。このシール材14の内側に、液滴吐出装置100を用いて、吐出性の良い温度に保持された液晶15を、吐出ヘッド116のノズル117から吐出する。液晶15が満たされた後、シール材の上に前面基板部の配向膜13面を張り合わせ、切欠部から溢れた液晶を除去したのち、切欠部を封止する。この時吐出する液晶15の体積は、液晶領域内に空間が生じたり余分に溢れたりしないように、液晶領域の容積の100%から110%とすることが望ましい。
そして、前面基板11および背面基板2にそれぞれ前面偏光板17、背面偏光板16を貼着し、さらに背面偏光板16の周囲に緩衝材18を設け、緩衝材18を介して背面偏光板16全面に対向するように導光板19を貼着し、導光板19に直結して光源20を配置する。このようにして色視認性に優れた半透過反射型液晶表示装置1が完成する。半透過反射型液晶表示装置30においても同様な製造工程で製造される。
図12に示す液晶表示装置300は、2端子素子であるTFD(Thin Film Diode)をスイッチング素子として備えた表示装置である。液晶表示装置300は、偏光板320Aと、偏光板320Bと、カラーフィルタ基板310と、対向基板312と、液晶層314と、光源部316と、を備えている。液晶層314は、カラーフィルタ基板310と対向基板312との間に位置している。また、カラーフィルタ基板310は、液晶層314と光源部316との間に位置している。また、偏光板320Aと偏光板320Bとの間に、カラーフィルタ基板310と、液晶層314と、対向基板312と、が位置している。なお、カラーフィルタ基板310は、単に「カラーフィルタ」と呼ばれることもある。
カラーフィルタ基板310は、光透過性を有する基板332と、反射部326と、透過部328と、複数のフィルタ層305FR、305FG、305FBと、ブラックマトリクス317と、バンク330と、平坦化層334と、光透過性を有する複数の電極336と、配向膜338Aと、を含む。本実施例では、基板332の位置は、偏光板320Aと反射部326および透過部328との間である。なお、フィルタ層305FR、305FG、305FBは、「着色層」とも呼ばれる。また、ブラックマトリクス、バンク、平坦化層は、それぞれ「有色境界層」「無色境界層」「オーバーコート層」とも呼ばれる。
偏光板320Aは基板332のほぼ全面を覆うように位置している。なお、本実施例では、偏光板320Aと基板332とは接しているが、偏光板320Aと基板332とが離れていてもよい。
反射部326および透過部328は、ともに基板332上に位置している。反射部326および透過部328は、ともに複数のフィルタ層305FR、305FG、305FBのそれぞれに対応する領域に位置している。本実施例において、反射部326および透過部328は、それぞれ基板332上に形成されたアルミニウム膜およびその開口面部である。
ブラックマトリクス317は、複数の開口面部317Aを有する。具体的には、ブラックマトリクス317は、複数の開口面部317Aを規定する形状を有する遮光部である。
複数の開口面部317Aは、マトリクス状に位置しており、それぞれの開口面部317Aは後述する画素領域Gに対応する。なお、ブラックマトリクス317は、それぞれの反射部326の一部分上に形成されている。なお、ブラックマトリクス317は、本発明の「第1の層」の一例である。
複数のフィルタ層305FR、305FG、305FBのそれぞれは、3つの色のいずれかに対応する。具体的には、フィルタ層305FRが赤色に対応するフィルタであり、フィルタ層305FGが緑色に対応するフィルタであり、フィルタ層305FBが青色に対応するフィルタである。複数のフィルタ層305FR、305FG、305FBのそれぞれは、複数の開口面部317Aのそれぞれに位置している。
バンク330はブラックマトリクス317上に形成されている。バンク330の平面形状はブラックマトリクス317の平面形状と同じである。後に詳細に説明するように、フィルタ層305FR、305FG、305FBを形成するための液状のカラーフィルタ材料に対するバンク330の撥液性は、カラーフィルタ材料に対するブラックマトリクス317の撥液性よりも大きい。なお、バンク330は、本発明の「第2の層」の一例である。
平坦化層334は、複数のフィルタ層305FR、305FG、305FBと、バンク330と、を覆うように位置している。具体的には、ほぼ平坦な面が得られるように、平坦化層334は、フィルタ層305FR、305FG、305FBとバンク330とが形成する段差を覆っている。平坦化層334上には、複数の電極336が位置している。複数の電極336はそれぞれY軸方向(図12の紙面に垂直な方向)に延びるストライプ状の形状を有しており、互いに平行である。配向膜338Aは、複数の電極336および平坦化層334を覆うように位置しており、所定の方向にラビング処理が施されている。
対向基板312は、光透過性を有する基板340と、光透過性を有する複数の電極(画素電極)342と、配向膜338Bと、を含む。基板340の位置は、偏光板320Bと複数の電極342との間である。偏光板320Bは、基板340のほぼ全面を覆うように位置している。なお、本実施例では、偏光板320Bと基板340とは接しているが、偏光板320Bと基板340とが離れていてもよい。また、図12には示されていないが、対向基板312は、それぞれが複数の電極342のそれぞれと電気的に接続された複数の2端子素子を備えている。
複数の電極342はマトリクス状に位置している。配向膜338Bは、複数の電極342および基板340を覆うように位置しており、所定の方向にラビングされている。なお、本実施例では、配向膜338Bのラビング方向と上述の配向膜338Aのラビング方向とは、配向膜338Aおよびお338Bの間で液晶がTN配向をするように、設定されている。
液晶層314は、カラーフィルタ基板310と対向基板312との間に位置する。具体的には、液晶層314は、配向膜338Aと配向膜338Bとの間に位置する複数のスペーサによって確保された空間に位置するとともに、配向膜338Aおよび配向膜338Bに接する。
複数の電極336と複数の電極342とが重なる部分は、それぞれ画素領域Gに対応する。
また、1つの画素領域Gとは、複数のフィルタ層305FR、305FG、305FBのうちの1つのフィルタ層に対応する領域でもある。
光源部316は、光源部316と液晶層314との間にカラーフィルタ基板310が位置するように、設けられている。本実施例の光源部316はバックライトとも呼ばれる。
光源部316は、白色光を発光する光源316Aと、導光体316Bと、を含む。導光体316Bは、基板332を裏面から均一に照明するように、光源316Aからの光を拡散しながら導光する機能を有する。基板332の裏面とは、フィルタ層305FR、305FG、305FBや、ブラックマトリクス317や、反射部326や、透過部328が形成された面の反対の面である。このため、例えば、基板332は、フィルタ層305FR、305FG、305FBと、光源部316との間に位置するとも表記し得る。
上述したように、カラーフィルタ基板310において、フィルタ層305FR、305FG、305FBのそれぞれに対応して、反射部326と透過部328とが位置する。このようなカラーフィルタ基板310を有する液晶表示装置300は、以下のように機能する。
バックライト(光源部316)の利用時には、バックライトからの光線Pは、偏光板320Aと基板332とを伝播したのちに透過部328を通過する。そして、透過部328を通過した光線は、フィルタ層305FR、305FG、305FBに入射し、対応する波長域の光線がフィルタ層305FR、305FG、305FBから射出する。フィルタ層305FR、305FG、305FBからの光線(色光)は、液晶層314および対向基板312を伝播して偏光板320Bから射出する。偏光板320Bの射出面では、バックライトからの光線の強度は、電極336および電極342の間で印加された電圧に応じて変調されている。
一方、外光利用時には、外光などの光線Sは、偏光板320Bと、対向基板312と、液晶層314とを伝播して、対応するフィルタ層305FR、305FG、305FBに入射する。そして、フィルタ層305FR、305FG、305FBを伝播した光線のうち、反射部326によって反射された光線は、再度フィルタ層305FR、305FG、305FBを伝播し、対応する色光として射出する。各色光は、液晶層314および対向基板312を再び伝播して、偏光板320Bから射出する。偏光板320Bの射出面では、外光などの光線の強度は、電極336および電極342の間で印加された電圧に応じて変調されている。
上記構成によって、ブラックマトリクス317に関して第1の側から入射する第1の光線であって対応するフィルタ層305FR、305FG、305FBを通過する第1の光線は、反射部326によって第1の側へ反射する。一方、ブラックマトリクス317に関して第2の側から入射する第2の光線は、透過部328および対応するフィルタ層305FR,305FG、305FBを介して第1の側に射出する。なお、ブラックマトリクス317に対して第1の側とは、平坦化層334や液晶層314が位置する側である。また、ブラックマトリクス317に対して第2の側とは、光源部316が位置する側である。
このように、液晶表示装置300は、外光を利用して画像を表示することも、バックライトからの光を利用して画像を表示することも可能である。このような機能を有する液晶表示装置300は、半透過反射型の表示装置と呼ばれる。
カラーフィルタ基板310におけるフィルタ層305FR、305FG、305FBは、ブラックマトリクス317の開口面部317A内にインクジェット装置などの吐出装置からカラーフィルタ材料を吐出することで形成されている。
本実施例では、フィルタ層305FR、305FG、305FBが設けられる前のカラーフィルタ基板310を「基体310A」と表記することもある。また、本実施例では、フィルタ層305FR、305FG、305FBを設けるべき領域のそれぞれを「被吐出部350R、350G、350B」と表記することもある。この表記によれば、本実施例の場合、基体310Aにおいて、バンク330と、ブラックマトリクス317と、反射部326と、透過部328と、によって囲まれる凹部のそれぞれが被吐出部350R、350G、350Bに対応する。
以下では、液晶表示装置300を製造するための製造装置を説明する。
図13に示す製造装置400は、基体310Aの被吐出部350R、350G、350Bのそれぞれに対して、対応するカラーフィルタ材料を吐出する装置である。具体的には、製造装置400は、被吐出部350Rのすべてにカラーフィルタ材料305Rを塗布する吐出装置400Rと、被吐出部350R上のカラーフィルタ材料305Rを乾燥させる乾燥装置450Rと、被吐出部350Gのすべてにカラーフィルタ材料305Gを塗布する400Gと、被吐出部350G上のカラーフィルタ材料305Gを乾燥させる乾燥装置450Gと、被吐出部350Bのすべてにカラーフィルタ材料305Bを塗布する400Bと、被吐出部350Bのカラーフィルタ材料305Bを乾燥させる乾燥装置450Bと、カラーフィルタ材料305R、305G、305Bを再度加熱(ポストベーク)するオーブン460と、ポストベークされたカラーフィルタ材料305R、305G、305Bの層の上に平坦化層334を設ける吐出装置400Cと、平坦化層334を乾燥させる乾燥装置450Cと、乾燥された平坦化層334を再度加熱して硬化する硬化装置465と、を備えている。さらに製造装置400は、吐出装置400R、乾燥装置450R、吐出装置400G、乾燥装置450G、吐出装置400B、乾燥装置450B、オーブン460、吐出装置400C、乾燥装置450C、硬化装置465の順番に基体310Aを搬送する搬送装置470も備えている。
図14に示すように、吐出装置400Rは、液状のカラーフィルタ材料305Rを保持するタンク401Rと、チューブ410Rを介してタンク401Rからカラーフィルタ材料305Rが供給される吐出走査部402と、を備える。吐出走査部402は、それぞれがカラーフィルタ材料を吐出可能な複数のヘッド414(図15)を有するキャリッジ403と、キャリッジ403の位置を制御する第1位置制御装置404と、基体310Aを保持するステージ406と、ステージ406の位置を制御する第2位置制御装置408と、制御部412と、を備えている。タンク401Rと、キャリッジ403における複数のヘッド414と、はチューブ410Rで連結されており、タンク401Rから複数のヘッド414のそれぞれに液状のカラーフィルタ材料305Rが圧縮空気によって供給される。
本実施例における液状のカラーフィルタ材料305Rは、本発明の「液状の材料」の一例である。液状の材料とは、ノズルから吐出可能な粘度を有する材料をいう。この場合、材料が水性であると油性であるとを問わない。ノズルから吐出可能な流動性(粘度)を備えていれば十分で、固体物質が混入していても全体として流動体であればよい。
第1位置制御装置404はリニアモータを備えており、制御部412からの信号に応じて、キャリッジ403をX軸方向、およびX軸方向と直交するZ軸方向に沿って移動させる。第2位置制御装置408はリニアモータを備えており、制御部412からの信号に応じて、X軸方向およびZ軸方向の両方と直交するY軸方向に沿ってステージ406を移動させる。ステージ406はX軸方向およびY軸方向の双方と平行な平面を有していて、この平面上に基体310Aを固定できるように構成されている。ステージ406が基体310Aを固定するので、ステージ406は被吐出部350R、350G、350Bの位置を決定できる。なお、本実施例の基体310Aは、受容基板の一例である。
第1位置制御装置404は、さらに、Z軸方向に平行な所定の軸の回りでキャリッジ403を回転させる機能も有する。Z軸方向とは、鉛直方向(つまり重力加速度の方向)に平行な方向である。第1位置制御装置404によるキャリッジ403のZ軸方向に平行な軸の回りの回転によって、受容基板上に固定された座標系におけるX軸およびY軸を、X軸方向およびY軸方向とそれぞれ平行にできる。本実施例では、X軸方向およびY軸方向は、ともにステージ406に対してキャリッジが相対移動する方向である。本明細書では、第1位置制御装置404および第2位置制御装置408を「走査部」と表記することもある。
キャリッジ403およびステージ406は上記以外の平行移動および回転の自由度をさらに有している。ただし、本実施例では、上記自由度以外の自由度に関する記載は説明を平易にする目的で省略されている。
制御部412は、カラーフィルタ材料305Rを吐出すべき相対位置を表す吐出データを外部情報処理装置から受け取るように構成されている。制御部412の詳細な機能は、後述する。
図15に示すように、キャリッジ403は、互いに同じ構造を有する複数のヘッド414を保持している。ここで、図15は、キャリッジ403をステージ406側から観察した図であり、このため図面に垂直な方向がZ軸方向である。本実施形態では、キャリッジ403には6個のヘッド414からなる列が2列配置されている。また、それぞれのヘッド414の長手方向がX軸方向に対して角度ANをなすように、ヘッド414のそれぞれがキャリッジ403に固定されている。
図16に示すように、カラーフィルタ材料305Rを吐出するためのヘッド414は、それぞれがヘッド414の長手方向に延びる2つのノズル列416を有している。1つのノズル列416とは、180個のノズル418が一列に並んだ列のことである。このノズル列方向HXに沿ったノズル418の間隔は、約140μmである。また、図16において、1つのヘッド414における2つのノズル列416は、互いに半ピッチ(約70μm)だけ互いにずれて位置している。さらに、ノズル418の直径は、およそ27μmである。
上述したように、ヘッド414の長手方向がX軸方向に対して角度ANをなすため、ノズル列方向HX、すなわち180個のノズル418が一列に並ぶ方向もX軸方向に対して角度ANをなす。なお、複数のノズル418のそれぞれの端部は、上記X軸方向およびY軸方向で定義される仮想的な平面上に位置している。また、ヘッド414がほぼZ軸と平行に材料を吐出できるように、複数のノズル418のそれぞれの形状が調整されている。
角度ANは、X軸方向に並んだ複数の被吐出部350Rのいくつかに、少なくとも任意の2つのノズルが同時に対応するように適宜設定されればよい。そうすれば、1つの走査期間内に同時に2つの列を塗布走査できるからである。なお、この場合に、任意の2つのノズル418は、互いに隣接していなくてもよい。
図17(a)および(b)に示すように、それぞれのヘッド414は、インクジェットヘッドである。より具体的には、それぞれのヘッド414は、振動板426と、ノズルプレート428と、を備えている。振動板426と、ノズルプレート428と、の間には、タンク401Rから孔431を介して供給される液状のカラーフィルタ材料305Rが常に充填される液たまり429が位置している。また、振動板426と、ノズルプレート428と、の間には、複数の隔壁422が位置している。そして、振動板426と、ノズルプレート428と、1対の隔壁422と、によって囲まれた部分がキャビティ420である。キャビティ420はノズル418に対応して設けられているため、キャビティ420の数とノズル418の数とは同じである。キャビティ420には、1対の隔壁422間に位置する供給口430を介して、液たまり429からカラーフィルタ材料305Rが供給される。
振動板426上には、それぞれのキャビティ420に対応して、振動子424が位置する。振動子424は、ピエゾ素子424Cと、ピエゾ素子424Cを挟む1対の電極424A、424Bと、を含む。この1対の電極424A、424Bに駆動電圧を与えることで、対応するノズル418から液状のカラーフィルタ材料305Rが吐出される。
制御部412(図14)は、複数の振動子424のそれぞれに互いに独立な信号を与えるように構成されている。このため、ノズル418から吐出されるカラーフィルタ材料305Rの体積は、制御部412からの信号に応じてノズル418毎に制御される。さらに、ノズル418のそれぞれから吐出されるカラーフィルタ材料305Rの体積は、0pl〜42pl(ピコリットル)の間で可変である。このため、塗布走査の間に吐出動作を行うノズル418と、吐出動作を行わないノズル418と、を設定することでもできる。
本明細書では、1つのノズル418と、ノズル418に対応するキャビティ420と、キャビティに対応する振動子と、を含んだ部分を、吐出部427と表記することもある。
この表記によれば、1つのヘッド414は、ノズル418の数と同じ数の吐出部427を有する。吐出部427は、ピエゾ素子の代わりに電気熱変換素子を有してもよい。つまり、吐出部は、電気熱変換素子による材料の熱膨張を利用して材料を吐出する構成を有していてもよい。
上述のように、キャリッジ403は第1位置制御装置404(図14)によってX軸方向およびZ軸方向に移動させられる。一方、ステージ406(図14)は第2位置制御装置408(図14)によってY軸方向に移動させられる。この結果、第1位置制御装置404および第2位置制御装置408によって、ステージ406に対するヘッド414の相対位置が変わる。より具体的には、これらの動作によって、複数のヘッド414、複数のノズル列416、または複数のノズル418は、ステージ406上で位置決めされた被吐出部350Rに対してZ軸方向に所定の距離を保ちながらX軸方向およびY軸方向に相対的に移動、すなわち相対的に走査する。さらに具体的には、ヘッド414は、ステージ406に対してX軸方向およびY軸方向に相対走査するとともに、複数のノズル418から材料を吐出する。本発明では、被吐出部350R、350G、350Bに対してノズル418を走査して、被吐出部350Rに対してノズル418から材料を吐出してもよい。「相対走査」とは吐出する側とそこからの吐出物が着弾する側(被吐出部350Rなど)の少なくとも一方を他方に対して走査することを含む。また、相対走査と材料の吐出との組合せを指して「塗布走査」と表記することもある。
次に、制御部412の構成を説明する。図18に示すように、制御部412は、入力バッファメモリ451と、記憶手段452と、処理部454と、走査ドライバ456と、ヘッドドライバ458と、を備えている。入力バッファメモリ451と処理部454とは相互に通信可能に接続されている。処理部454と記憶手段452とは、相互に通信可能に接続されている。処理部454と走査ドライバ456とは相互に通信可能に接続されている。処理部454とヘッドドライバ458とは相互に通信可能に接続されている。また、走査ドライバ456は、第1位置制御装置404および第2位置制御装置408と相互に通信可能に接続されている。同様にヘッドドライバ458は、複数のヘッド414のそれぞれと相互に通信可能に接続されている。
入力バッファメモリ451は、外部情報処理装置からカラーフィルタ材料305Rの吐出を行うための吐出データを受け取る。吐出データは、基体310A上のすべての被吐出部350Rの相対位置を表すデータと、材料を吐出すべき位置、あるいは材料が着弾すべき位置を示すデータと、すべての被吐出部350Rに所望の厚さのカラーフィルタ材料305Rを塗布するまでに必要となる相対走査の回数を示すデータと、材料を吐出するノズルと材料の吐出を休止するノズルとを指定するデータと、を含む。入力バッファメモリ451は、吐出データを処理部454に供給し、処理部454は吐出データを記憶手段452に格納する。図18では、記憶手段452はRAMである。
処理部454は、記憶手段452内の吐出データに基づいて、被吐出部350Rに対するノズル列416の相対位置を示すデータを走査ドライバ456に与える。走査ドライバ456はこのデータに応じた駆動信号を第1位置制御装置404および第2位置制御装置408に与える。この結果、被吐出部350Rに対してノズル列416が走査される。一方、処理部454は、記憶手段452に記憶された吐出データに基づいて、対応するノズル418からの吐出タイミングを示すデータをヘッドドライバ458に与える。ヘッドドライバ458はこのデータに基づいて、カラーフィルタ材料305Rの吐出に必要な駆動信号をヘッド414に与える。この結果、ノズル列416における対応するノズル418から液状のカラーフィルタ材料305Rが吐出される。
制御部412は、CPU、ROM、RAMを含んだコンピュータであってもよい。この場合には、制御部412の上記機能は、コンピュータによって実行されるソフトウェアプログラムによって実現される。もちろん、制御部412は、専用の回路(ハードウェア)によって実現されてもよい。
以上の構成によって、吐出装置400Rは、制御部412に与えられた吐出データに応じて、カラーフィルタ材料305Rの塗布走査を行う。
以上は、吐出装置400Rの構成の説明である。吐出装置400Gの構成と、吐出装置400Bの構成と、吐出装置400Cの構成と、は、いずれも基本的に吐出装置400Rの構造と同じある。ただし、吐出装置400Rにおけるタンク401Rの代わりに、吐出装置400Gがカラーフィルタ材料305G用のタンクを備える点で吐出装置400Gの構成は吐出装置400Rの構成と異なる。同様に、タンク401Rの代わりに、吐出装置400Bがカラーフィルタ材料305B用のタンクを備える点で吐出装置400Bの構成は吐出装置400Rの構成と異なる。さらに、タンク401Rの代わりに、吐出装置400Cが保護膜材料用のタンクを備える点で吐出装置400Cの構成は吐出装置400Rの構成と異なる。
次に液晶表示装置300の製造方法を説明する。
まず、光透過性を有する部材上に反射部326と透過部328とを形成する。具体的には、図19(a)に示すように、ガラス基板など光透過性を有する基板332のほぼ全面を覆うように、スパッタ法などでアルミニウム(Al)膜を製膜する。ここで、基板332が上記「光透過性を有する部材」に対応する。そして、図19(b)に示すように、画素領域Gごとに反射部326と透過部328とが形成されるように、上記Al膜をパターニングする。具体的には、透過部328の形状がほぼ矩形になるように、Al膜がパターニングされる。パターニング後に基板332上に残ったAl膜が反射部326であり、Al膜が取り除かれた部分が透過部328である。このようにして、光透過性を有する部材上に反射部326と透過部328とが形成される。
本実施例では、基板332上に直接、反射部326が設けられている。ただし、基板332と反射部326との間に保護膜などの層が設けられていてもよい。本明細書では、基板332は、そのような保護膜などの層も含み得る用語である。
次に、反射部326と透過部328とを覆って第1の材料の層を形成する。具体的には、図19(c)に示すように、反射部326と基板332とを覆って黒顔料が分散された熱硬化型アクリル樹脂(樹脂ブラック)を3μm程度の厚さに塗布する。この結果、樹脂ブラック層317’を得る。ここで、樹脂ブラック層317’が本発明の「第1の材料の層」の一例である。
そして、第1の材料の層上にレジストを塗布することで第2の材料の層を形成する。具体的には、図19(c)に示すように、樹脂ブラック層317’の全面を覆うように、フッ素系ポリマーがブレンドされたネガ型のアクリル系化学増幅型感光性レジストを塗布する。
この結果、樹脂ブラック層317’上にレジスト層330’を得る。ここで、レジスト層330’が本発明の「第2の材料の層」の一例である。
次に、レジスト層330’と樹脂ブラック層317’とをパターニングする。具体的には、画素領域Gに対応した部位に遮光部を有するフォトマスクを介して、レジスト層330’に光hνを照射する。そして、所定のエッチング液を用いてエッチングすることで、光hνが照射されていない複数の部分、すなわち複数の画素領域Gに対応する複数の部分のレジスト層330’と、樹脂ブラック層317’と、を取り除く。そのことによって、図19(d)に示すように、後に形成されるべきフィルタ層を囲む形状を有するブラックマトリクス317とバンク330とが、基板332上に同時に得られる。つまり、反射部326と透過部328とに対応した開口面部317Aが得られる。
前述したように、ブラックマトリクス317と、バンク330と、反射部326と、透過部328と、によって規定または囲まれた領域が、被吐出部350R、350G、350Bである。なお、バンク330は光透過性を有する。また、前述したように、ブラックマトリクス317は本発明の「第1の層」の一例であり、バンク330は本発明の「第2の層」の一例である。
このように、ブラックマトリクス317とブラックマトリクス317上に位置するバンク330とを形成することで、ブラックマトリクス317とバンク330とによって区画された領域(つまり被吐出部350R、350G、350B)を基体310Aに設ける。
次に吐出装置400Rが、被吐出部350Rにカラーフィルタ材料305Rを吐出する方法を説明する。
図20に示す基体310Aにおいて、複数の被吐出部350R、350G、350Bが形成するマトリクスの行方向および列方向は、それぞれX軸方向およびY軸方向と平行である。さらに、被吐出部350R、被吐出部350G、および被吐出部350Bは、X軸方向にこの順番で周期的に並んでいる。一方、被吐出部350R同士はY軸方向に所定の間隔をおいて1列に並んでおり、また、被吐出部350G同士はY軸方向に所定の間隔をおいて1列に並んでおり、そして、被吐出部350B同士はY軸方向に所定の間隔をおいて1列に並んでいる。
被吐出部350R同士のX軸方向に沿った間隔LRXは、ほぼ237μmである。この間隔LRXは、被吐出部350G同士のX軸方向に沿った間隔LGXと同じであり、被吐出部350B同士のX軸方向に沿った間隔LBXとも同じである。また、被吐出部350R、350G、350BのそれぞれのX軸方向の長さおよびY軸方向の長さは、それぞれ約50μmおよび約120μmである。
本実施例では、被吐出部350Rにおいて、透過部328は反射部326に対して窪んでおり、このため、被吐出部350R内に段差が形成されている(図19(d))。より具体的には、段差は、反射部326と透過部328との境界に位置する。これは、透過部328が反射部326の開口部分だからであり、反射部326の一部を取り除くことで形成されているからである。したがって、段差の大きさは、反射部326の厚さに相当する。なお、被吐出部350R、350G、350Bにおいても、透過部328は反射部326に対して、同様に窪んでいる。
まず、搬送装置470は、基体310Aを吐出装置400Rのステージ406に位置させる。具体的には、複数の被吐出部350R、350G、350Bが形成するマトリクスの行方向および列方向が、それぞれX軸方向およびY軸方向と平行となるように、固定する。
第1の走査期間が始る前に、吐出装置400Rは、ノズル418のX座標と、被吐出部350RのX座標とを一致させる。具体的には、図21に示すノズル418のうち、最も左のノズル418のX座標を、図21に示す被吐出部350Rの列のうち、最も左の列のX座標X1に一致させる。これに伴い、図21に示すノズル418のうち、最も右のノズル418のX座標が、図21の被吐出部350Rの列のうち、最も右の列のX座標X2に一致する。以下では、被吐出部350Rに対応したノズル418を第1のノズル418Aと表記することもある。また、被吐出部350Rに対応しないノズル418を第2のノズル418Bと表記することもある。
ところで、本実施例において「走査期間」とは、図24に示すように、Y軸方向に並んだ複数の被吐出部350Rのすべてに材料を塗布ために、キャリッジ403の一辺がY軸方向に沿って走査範囲434の一端E1(または他端E2)から他端E2(または一端E1)まで相対移動を1回行う期間を意味する。さらに、本実施例において走査範囲434とは、マトリクス18Mに含まれる被吐出部350Rのすべてにカラーフィルタ材料305Rを塗布するまでに、キャリッジ403の一辺が相対移動する範囲を意味する。しかしながら、場合によっては用語「走査範囲」は、1つのノズル418が相対移動する範囲を意味することもあるし、1つのノズル列416が相対移動する範囲を意味することもあるし、1つのヘッド414が相対移動する範囲を意味することもある。なお、マトリクス18Mとは、被吐出部350R、350G、350Bが構成するマトリクスである。
また、キャリッジ403、ヘッド414、またはノズル418が相対移動するとは、被吐出部350Rに対するこれらの相対位置が変わることである。このため、キャリッジ403、ヘッド414、またはノズル418が絶対静止して、被吐出部350Rのみがステージ406によって移動する場合であっても、キャリッジ403、ヘッド414、またはノズル418が相対移動すると表現する。
図21に示すように、第1の走査期間が始ると、走査範囲434の一端E1からY軸方向の正の方向(図面上方向)に、キャリッジ403が相対移動し始める。そして、第1の走査期間の間に、第1のノズル418Aが被吐出部350Rに対応する領域に侵入した場合には、第1のノズル418Aから対応する被吐出部350Rにカラーフィルタ材料305Rが吐出される。より具体的には、ノズル418Aが、被吐出部350Rにおける透過部328に対応する領域に侵入した場合に、ノズル418Aはカラーフィルタ材料305Rを吐出する。図21に示す例では、第1の走査期間の間に、それぞれの被吐出部350Rに対して、カラーフィルタ材料305Rが1回吐出される。図21には、ノズル418Aがカラーフィルタ材料305Rを吐出する位置、あるいは着弾位置BD、が黒丸で示されている。
図22に示すように、第1の走査期間に引き続く第2の走査期間が始ると、走査範囲434の一端E2からY軸方向の負の方向(図面下方向)に、キャリッジ403が相対移動し始める。第2の走査期間の間に、第1のノズル418Aが被吐出部350Rに対応する領域に侵入した場合には、第1のノズル418Aから対応する被吐出部350Rにカラーフィルタ材料305Rが吐出される。より具体的には、ノズル418Aが、反射部326に対応する領域に侵入した場合に、ノズル418Aはカラーフィルタ材料305Rを吐出する。
図22に示す例では、第2の走査期間の間に、それぞれの被吐出部350Rに対して、カラーフィルタ材料305Rが2回吐出される。図22には、ノズル418Aがカラーフィルタ材料305Rを吐出する位置、あるいは着弾位置BD、が黒丸で示されている。なお、図22には、第1の走査期間の間にカラーフィルタ材料305Rが吐出された位置も白丸で示されている。
その後、吐出装置400Rは、キャリッジ403のX座標を段階的に移動させて、基体310Aにおける全ての被吐出部350Rに対して、上述のようにカラーフィルタ材料305Rを吐出する。
図23を参照しながら、上記の吐出方法を1つの被吐出部350Rに着目して説明する。
図23は、被吐出部350RのY−Z断面図である。つまり、図23の紙面の左右方向が、被吐出部350Rの長手方向である。図23(a)に示すように、第1の走査期間の間には、透過部328に向けてカラーフィルタ材料305Rが吐出される。図23(b)に示すように、透過部328にカラーフィルタ材料305Rが着弾すると、透過部328だけでなく、透過部328と反射部326との境界に位置する段差を覆ってカラーフィルタ材料305Rが塗れ広がる。図23(c)に示すように、第2の走査期間の間には、ほぼ反射部326に対応する部分に、カラーフィルタ材料305Rが吐出される。この場合、カラーフィルタ材料305Rの液滴の一部が透過部328に重なるように着弾してもよい。その後、図23(d)に示すように、第1の走査期間と第2の走査期間とによって吐出されたカラーフィルタ材料305Rから溶媒が気化して、被吐出部350R内にカラーフィルタ材料305Rの層が形成される。図23(d)の層をさらに乾燥させれば、フィルタ層305FRとなる。
以上は、吐出装置400Rが、被吐出部350Rにカラーフィルタ材料305Rを吐出する方法である。以下では、製造装置400によってカラーフィルタ基板310が製造される一連の方法を説明する。
被吐出部350R、350G、350Bが形成された基体310Aは、搬送装置470によって、吐出装置400Rのステージ406に運ばれる。そして、図25(a)に示すように、吐出装置400Rは、被吐出部350Rのすべてにカラーフィルタ材料305Rの層が形成されるように、ヘッド414の吐出部427からカラーフィルタ材料305Rを吐出する。吐出装置400Gが行うカラーフィルタ材料305Rの吐出方法は、図21、図22、および図23を参照して説明した方法である。基体310Aの被吐出部350Rのすべてにカラーフィルタ材料305Rの層が形成された場合には、搬送装置470が基体310Aを乾燥装置450R内に位置させる。そして、被吐出部350R上のカラーフィルタ材料305Rを完全に乾燥させることで、被吐出部350R上にフィルタ層305FRを得る。
次に搬送装置470は、基体310Aを吐出装置400Gのステージ406に位置させる。そして、図25(b)に示すように、吐出装置400Gは、被吐出部350Gのすべてにカラーフィルタ材料305Gの層が形成されるように、ヘッド414の吐出部427からカラーフィルタ材料305Gを吐出する。吐出装置400Gが行うカラーフィルタ材料305Gの吐出方法は、図21、図22、および図23を参照して説明した方法である。基体310Aの被吐出部350Gのすべてにカラーフィルタ材料305Gの層が形成された場合には、搬送装置470が基体310Aを乾燥装置450G内に位置させる。そして、被吐出部350G上のカラーフィルタ材料305Gを完全に乾燥させることで、被吐出部350G上にフィルタ層305FGを得る。
次に搬送装置470は、基体310Aを吐出装置400Bのステージ406に位置させる。そして、図25(c)に示すように、吐出装置400Bは、被吐出部350Bのすべてにカラーフィルタ材料305Bの層が形成されるように、ヘッド414の吐出部427からカラーフィルタ材料305Bを吐出する。吐出装置400Bが行うカラーフィルタ材料305Bの吐出方法は、図21、図22、および図23を参照して説明した方法である。基体310Aの被吐出部350Bのすべてにカラーフィルタ材料305Bの層が形成された場合には、搬送装置470が基体310Aを乾燥装置450B内に位置させる。そして、被吐出部350B上のカラーフィルタ材料305Bを完全に乾燥させることで、被吐出部350B上にフィルタ層305FBを得る。
本実施例では、液状のカラーフィルタ材料305R、305G、305Bに対して、バンク330は撥液性を呈する。さらに、カラーフィルタ材料305R、305G、305Bに対するブラックマトリクス317の撥液性は、カラーフィルタ材料305R、305G、305Bに対するバンク330の撥液性よりも低い。むしろ、ブラックマトリクス317は、液状のカラーフィルタ材料305R、305G、305Bに対して親液性を呈する。これらの理由は、バンク330にはフッ素ポリマーがブレンドされており、一方、ブラックマトリクス317はフッ素系ポリマーを含有しないからである。一般に、フッ素を含む樹脂の表面は、フッ素を含まない樹脂の表面よりも、液状のカラーフィルタ材料に含まれる分散媒に対して高い撥液性を呈する。一方、フッ素を含まない樹脂の多くは、上記液状の材料に対して親液性を示す。
本実施例によれば、バンク330が相対的に高い撥液性を呈するため、被吐出部350R、350G、350Bに着弾した直後のカラーフィルタ材料の液滴は、バンク330を超えて被吐出部350R、350G、350Bの外へ流れず、ブラックマトリクス317の方に流れ落ちる。さらに、所望の撥液性を示す層と親液性を示す層とが形成されているため、ブラックマトリクス317およびバンク330を撥液化または親液化するための表面改質工程が不要になる。例えばテトラフルオロメタンを処理がガスとするプラズマ処理や酸素プラズマ処理が不要になる。
次に搬送装置470は、基体310Aを、オーブン460内に位置させる。その後、オーブン460はフィルタ層305FR、305FG、305FBを再加熱(ポストベーク)する。
次に搬送装置470は、基体310Aを吐出装置400Cのステージ406に位置させる。そして、吐出装置400Cは、フィルタ層305FR、305FG、305FB、およびバンク330を覆って平坦化層334が形成されるように、液状の材料を吐出する。
フィルタ層305FR、305FG、305FB、およびバンク330を覆う平坦化層334が形成された後に、搬送装置470は基体310Aをオーブン450C内に位置させる。そして、オーブン450Cが平坦化層334を完全に乾燥させた後に、硬化装置465が平坦化層334を加熱して完全に硬化する。
次に、平坦化層334上に複数の電極336を形成し、その後、複数の電極336と平坦化層334とを覆う配向膜338Aを設けることで、図25(d)に示すように、基体310Aはカラーフィルタ基板310となる。
次に、スペーサを間に挟んで配向膜338Aと配向膜338Bとが対向するように、カラーフィルタ基板310と、別途作製された対向基板312と、を貼り合わせる。そして、配向膜間の空間に液晶材料を充填する。そして、偏光板320A、320Bを設けて、光源部316を設けることで、液晶表示装置300が得られる。
実施例4の液晶表示装置500の構造は、実施例3の液晶表示装置300におけるカラーフィルタ基板310がカラーフィルタ基板380に置き換わっている点を除いて、実施例3の液晶表示装置300の構造と実質的に同じである。図26では、実施例3で説明した構成要素と同一の構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明を省略する。
図26に示す液晶表示装置500は、偏光板320Aと、偏光板320Bと、カラーフィルタ基板380と、対向基板312と、液晶層314と、光源部316と、を備えている。液晶層314は、カラーフィルタ基板380と対向基板312との間に位置している。また、カラーフィルタ基板380は、液晶層314と光源部316との間に位置している。また、偏光板320Aと偏光板320Bとの間に、カラーフィルタ基板380と、液晶層314と、対向基板312と、が位置している。
カラーフィルタ基板380は、光透過性を有する基板372と、樹脂散乱層371と、反射部366と、透過部368と、透明コート層365と、複数のフィルタ層505FR、505FG、505FBと、ブラックマトリクス357と、バンク370と、平坦化層374と、複数の電極336と、配向膜338Aと、を含む。本実施例では、基板372の位置は、偏光板320Aと反射部366および透過部368との間である。
樹脂散乱層371は、基板372を覆うように設けられている。さらに、樹脂散乱層371上には、反射部366および透過部368が位置している。反射部366および透過部368は、ともに複数のフィルタ層505FR、505FG、505FBのそれぞれに対応する領域に位置している。本実施例において、反射部366および透過部368は、それぞれアルミニウム膜およびその開口面部である。
樹脂散乱層371には、規則性のない凹凸が設けられている。このため樹脂散乱層371上に形成された反射部366の反射面にも規則性のない凹凸が形成されている。反射面が規則性のない凹凸を有するため、反射部366は光をランダムな方向に反射する機能を有する。
反射部366上には、透明コート層365が位置する。透明コート層365は、反射部366と同じ形状にパターニングされている。透明コート層365が設けられる目的の一つは、反射光の色純度を下げることである。
透明コート層365の一部分上には、ブラックマトリクス357が位置している。ブラックマトリクス357は、複数の開口面部357Aを有する。具体的には、ブラックマトリクス357は、複数の開口面部357Aを規定する形状を有する遮光部である。また、複数の開口面部357Aのそれぞれはマトリクス状に位置している。そして、それぞれの開口面部357Aは画素領域Gに対応する。なお、ブラックマトリクス357は、本発明の「第1の層」の一例である。
複数のフィルタ層505FR、505FG、505FBのそれぞれは、3つの色のいずれかに対応する。具体的には、フィルタ層505FRが赤色に対応するフィルタであり、フィルタ層505FGが緑色に対応するフィルタであり、フィルタ層505FBが青色に対応するフィルタである。複数のフィルタ層505FR、505FG、505FBのそれぞれは、複数の開口面部357Aのそれぞれに位置している。
バンク370はブラックマトリクス357上に形成されている。バンク370の平面形状はブラックマトリクス357の平面形状と同じである。後に詳細に説明するように、フィルタ層505FR、505FG、505FBを形成するための液状のカラーフィルタ材料に対するバンク370の撥液性は、カラーフィルタ材料に対するブラックマトリクス317の撥液性よりも大きい。なお、バンク370は、本発明の「第2の層」の一例である。
平坦化層374は、複数のフィルタ層505FR、505FG、505FBと、バンク370と、を覆うように位置している。具体的には、ほぼ平坦な面が得られるように、平坦化層374はフィルタ層505FR、505FG、505FBとバンク370とが形成する段差を覆っている。平坦化層374上には、複数の電極336が位置している。複数の電極336はそれぞれY軸方向(図26の紙面に垂直な方向)に延びるストライプ状の形状を有しており、互いに平行である。配向膜338Aは、複数の電極336および平坦化層374を覆うように位置しており、所定の方向にラビング処理が施されている。
上述したように、カラーフィルタ基板380において、フィルタ層505FR、505FG、505FBのそれぞれに対応して、反射部366と透過部368とが位置する。このようなカラーフィルタ基板380を有する液晶表示装置500は、以下のように機能する。
バックライト(光源部316)の利用時には、バックライトからの光線Pは、偏光板320Aと基板372とを伝播したのちに透過部368とを通過する。そして、透過部368を通過した光線は、フィルタ層505FR、505FG、505FBに入射し、対応する波長域の光線がフィルタ層505FR、505FG、505FBから射出する。フィルタ層505FR、505FG、505FBからの光線(色光)は、液晶層314および対向基板312を伝播して偏光板320Bから射出する。偏光板320Bの射出面では、バックライトからの光線の強度は、電極336および電極342の間で印加された電圧に応じて変調されている。
一方、外光利用時には、外光などの光線Sは、偏光板320Bと、対向基板312と、液晶層314とを伝播して、対応するフィルタ層505FR、505FG、505FBに入射する。そして、フィルタ層505FR、505FG、505FBと透明コート層365とを伝播した光線のうち、反射部366によって反射された光線は、再度フィルタ層505FR、505FG、505FBを伝播し、対応する色光として射出する。各色光は、液晶層314および対向基板312を再び伝播して、偏光板320Bから射出する。偏光板320Bの射出面では、外光などの光線の強度は、電極336および電極342の間で印加された電圧に応じて変調されている。
上記構成によって、ブラックマトリクス357に関して第1の側から入射する第1の光線であって、対応するフィルタ層505FR、505FG、505FBを通過する第1の光線は、反射部366によって第1の側へ反射する。一方、ブラックマトリクス357に関して第2の側から入射する第2の光線は、透過部368と対応するフィルタ層505FR、505FG、505FBとを介して第1の側に射出する。なお、ブラックマトリクス357に関して第1の側とは、平坦化層374や液晶層314が位置する側である。また、ブラックマトリクス357に関して第2の側とは、光源部316が位置する側である。
このように、液晶表示装置500は、外光を利用して画像を表示することも、バックライトからの光を利用して画像を表示することも可能である。このような機能を有する液晶表示装置500は、半透過反射型の表示装置と呼ばれる。
カラーフィルタ基板380におけるフィルタ層505FR、505FG、505FBは、インクジェット装置などの吐出装置からブラックマトリクス357の開口面部357A内にカラーフィルタ材料を吐出することで塗布されている。
本実施例では、フィルタ層505FR、505FG、505FBが設けられる前のカラーフィルタ基板380を「基体380A」と表記することもある。また、本実施例では、フィルタ層505FR、505FG、505FBを設けるべき領域のそれぞれを「被吐出部550R、550G、550B」と表記することもある。この表記によれば、本実施例の場合、基体380Aにおいて、バンク370と、ブラックマトリクス357と、透明コート層365と、透過部368と、によって囲まれる凹部のそれぞれが被吐出部550R、550G、550Bに対応する。
次に液晶表示装置500の製造方法を説明する。
まず、光透過性を有する部材上に反射部326と透過部328とを形成する。具体的には、図27(a)に示すように、ガラス基板など光透過性を有する基板372のほぼ全面を覆うように、スピンコート法などで光透過性を有するポリイミドなどの樹脂層を形成し、その後、ブラスト法により樹脂層の表面にランダムな凹凸を与える。この結果、樹脂散乱層371が得られる。樹脂散乱層371が上記「光透過性を有する部材」に対応する。
次に、樹脂散乱層371上にスパッタ法などでアルミニウム(Al)膜を製膜する。そして、図27(b)に示すように、それぞれの画素領域Gに対応して反射部366と透過部368とが形成されるように、上記Al膜をパターニングする。パターニング後に樹脂散乱層371上に残ったAl膜が反射部366であり、Al膜が取り除かれた部分が透過部368である。このようにして、光透過性を有する部材上に反射部366と透過部368とが形成される。
次に、図27(c)に示すように、反射部366および樹脂散乱層371を覆って、透明コート層365を塗布し、反射部366と同じ形状にパターニングする。この結果、反射部366上に透明コート層365が得られる。
次に、反射部366と透過部368とを覆って第1の材料の層を形成する。具体的には、図27(d)に示すように、透明コート層365、および透明コート層365の間(すなわち反射部366の間)で露出した基板372を覆って黒顔料が分散された熱硬化型アクリル樹脂(樹脂ブラック)を3μm程度の厚さに塗布する。この結果、樹脂ブラック層357’を形成する。ここで、樹脂ブラック層357’が本発明の「第1の材料の層」の一例である。
そして、第1の材料の層上にレジストを塗布することで第2の材料の層を形成する。具体的には、図27(d)に示すように、樹脂ブラック層357’のほぼ全面を覆うように、フッ素系ポリマーがブレンドされたネガ型のアクリル系化学増幅型感光性レジストを塗布する。この結果、樹脂ブラック層357’上にレジスト層370’を得る。ここで、レジスト層370’が本発明の「第2の材料の層」の一例である。
次に、レジスト層370’と樹脂ブラック層357’とをパターニングする。具体的には、画素領域Gが形成されるべき領域に対応した部位に遮光部を有するフォトマスクを介して、レジスト層370’に光hνを照射する。そして、所定のエッチング液を用いてエッチングすることで、光hνが照射されていない複数の部分、すなわち複数の画素領域Gに対応する複数の部分のレジスト層370’と、樹脂ブラック層357’と、を取り除く。そのことによって、図27(e)に示すように、後に形成されるべきフィルタ層を囲む形状を有するブラックマトリクス357とバンク370とが、基板372上に同時に得られる。つまり、反射部366と透過部368とに対応した開口面部357Aが得られる。
前述したように、ブラックマトリクス357と、バンク370と、透明コート層365と、透過部368とによって規定される領域が、被吐出部550R,550G、550Bである。なお、バンク370は光透過性を有する。また、前述したように、ブラックマトリクス317は本発明の「第1の層」の一例であり、バンク330は本発明の「第2の層」の一例である。
このように、基板372上に位置するブラックマトリクス357とブラックマトリクス357上に位置するバンク370とを形成することで、ブラックマトリクス357とバンク370とによって区画された領域(つまり被吐出部550R、550G、550B)を基体380Aに設ける。
被吐出部550R,550G、550Bが形成された基体380Aは、搬送装置470(図13)によって、吐出装置400Rのステージ406に運ばれる。そして、図28(a)に示すように、吐出装置400Rは、被吐出部550Rのすべてにカラーフィルタ材料505Rの層が形成されるように、ヘッド414からカラーフィルタ材料505Rを吐出する。吐出装置400Rが行うカラーフィルタ材料505Rの吐出方法は、図21、図22、および図23を参照して説明した方法である。基体380Aの被吐出部550Rのすべてにカラーフィルタ材料505Rの層が形成された場合には、搬送装置470が基体380Aを乾燥装置450R内に位置させる。そして、被吐出部550R上のカラーフィルタ材料505Rを完全に乾燥させることで、被吐出部550R上にフィルタ層505FRを得る。
次に搬送装置470は、基体380Aを吐出装置400Gのステージ406に位置させる。そして、図28(b)に示すように、吐出装置400Gは、被吐出部550Gのすべてにカラーフィルタ材料505Gの層が形成されるように、ヘッド414からカラーフィルタ材料505Gを吐出する。吐出装置400Gが行うカラーフィルタ材料505Gの吐出方法は、図21、図22、および図23を参照して説明した方法である。基体380Aの被吐出部550Gのすべてにカラーフィルタ材料505Gの層が形成された場合には、搬送装置470が基体380Aを乾燥装置450G内に位置させる。そして、被吐出部550G上のカラーフィルタ材料505Gを完全に乾燥させることで、被吐出部550G上にフィルタ層505FGを得る。
次に搬送装置470は、基体380Aを吐出装置400Bのステージ406に位置させる。そして、図28(c)に示すように、吐出装置400Bは、被吐出部550Bのすべてにカラーフィルタ材料505Bの層が形成されるように、ヘッド414からカラーフィルタ材料505Bを吐出する。吐出装置400Bが行うカラーフィルタ材料505Bの吐出方法は、図21、図22、および図23を参照して説明した方法である。基体380Aの被吐出部550Bのすべてにカラーフィルタ材料505Bの層が形成された場合には、搬送装置470が基体380Aを乾燥装置450B内に位置させる。そして、被吐出部550B上のカラーフィルタ材料505Bを完全に乾燥させることで、被吐出部550B上にフィルタ層505FBを得る。
本実施例では、液状のカラーフィルタ材料505R、505G、505Bに対して、バンク370は撥液性を呈する。さらに、カラーフィルタ材料505R、505G、505Bに対するブラックマトリクス357の撥液性は、カラーフィルタ材料505R、505G、505Bに対するバンク370の撥液性よりも低い。むしろ、ブラックマトリクス357は、液状のカラーフィルタ材料505R、505G、505Bに対して親液性を呈する。これらの理由は、バンク370にはフッ素ポリマーがブレンドされており、一方、ブラックマトリクス357はフッ素系ポリマーを含有しないからである。一般に、フッ素を含む樹脂の表面は、フッ素を含まない樹脂の表面よりも、上記液状の材料に対して高い撥液性を呈する。一方、フッ素を含まない樹脂の多くは、上記液状の材料に対して親液性を示す。
本実施例によれば、バンク370が相対的に高い撥液性を呈するため、被吐出部550R、550G、550Bに着弾した直後のカラーフィルタ材料の液滴は、バンク370を超えて被吐出部550R、550G、550Bの外へ流れず、ブラックマトリクス357の方に流れ落ちる。さらに、所望の撥液性を示す層と親液性を示す層とが形成されているため、ブラックマトリクス357およびバンク370を撥液化または親液化するための表面改質工程が不要になる。例えばテトラフルオロメタンを処理がガスとするプラズマ処理や酸素プラズマ処理が不要になる。
次に搬送装置470は、基体380Aを、オーブン460内に位置させる。その後、オーブン460はフィルタ層505FR、505FG、505FBを再加熱(ポストベーク)する。
次に搬送装置470は、基体380Aを吐出装置400Cのステージ406に位置させる。そして、吐出装置400Cは、フィルタ層505FR、505FG、505FB、およびバンク370を覆って平坦化層374が形成されるように、液状の保護膜材料を吐出する。フィルタ層505FR,505FG、505FB、およびバンク370を覆う平坦化層374が形成された後に、搬送装置470は基体380Aをオーブン450C内に位置させる。そして、オーブン450Cが平坦化層374を完全に乾燥させた後に、硬化装置465が平坦化層374を加熱して完全に硬化する。
次に、平坦化層374上に複数の電極336を形成し、その後、複数の電極336と平坦化層374とを覆う配向膜338Aを設けることで、図28(d)に示すように、基体380Aはカラーフィルタ基板380となる。
次に、スペーサを間に挟んで配向膜338Aと配向膜338Bとが対向するように、カラーフィルタ基板380と、別途作製された対向基板312と、を貼り合わせる。そして、配向膜338A、338B間の空間に液晶材料を充填する。そして、偏光板320A、320Bを設けて、光源部316を設けることで、液晶表示装置500が得られる。
次に、実施例1および2に関する無色の境界層5を備えたカラーフィルタ部を、白色発光する有機EL(エレクトロルミネッセンス)と組み合わせた表示装置である電気光学装置について説明する。図29に示すように、この電気光学装置600は、カラーフィルタ部51と有機EL部52とから成る。
カラーフィルタ部51は、前面基板11と、前面基板11と対向して配置された共通基板64と、共通基板64の前面基板11側に形成された無色境界層5と、有色境界層21と、赤、緑、青それぞれの着色層6R、6G、6Bと、無色境界層5、有色境界層21および着色層6R、6G、6Bを覆うオーバーコート層8とから成っている。
有機EL部52は、EL基板55と、EL基板55上に形成された複数のスイッチング素子56と、スイッチング素子56上に形成された絶縁膜57と、絶縁膜57上に形成された複数のEL画素電極59と、複数のEL画素電極59の間に形成された無機物バンク58aおよび有機物バンク58bからなるバンク58と、EL画素電極59とバンク58とで規定される凹部のEL画素電極59上に形成された正孔輸送層60と、正孔輸送層60上に形成された白色の発光層61と、発光層61およびバンク58を覆うように設けられたEL対向電極62とからなる。さらに、EL対向電極62上にEL基板55と互いの周辺部で接着されたカラーフィルタ部51の共通基板64を配置し、共通基板64とEL対向電極62との間に不活性ガス63を封入して電気光学装置600となる。
このような構成の電気光学装置600において、EL基板55、共通基板64、前面基板11は光透過性を有する例えばガラス基板であり、カラーフィルタ部51の着色層6R、6G、6Bは図2に示すような格子状に配置されていて、各着色層6に対応して有機EL部52の発光層61、EL画素電極59、正孔輸送層60、発光層61、EL対向電極62がそれぞれ配置されている。正孔輸送層60はEL画素電極59と、発光層61との間に位置し発光層61の発光効率を高くする。EL画素電極59およびEL対向電極62は、光透過性を有する例えばITO電極であり、それぞれスイッチング素子56と電気的に接続されて発光層61の発光を制御する。発光層61は白色の光を発光し、この白色光は対応する着色層6の赤、緑、青のいずれかの色の着色光となって前面基板11より出射する。すなわち有機EL部52は、着色層6R、6G、6Bの個々に対応した光源として作用する。
有機EL部52の要部である正孔輸送層60および発光層61は、液滴吐出装置100によって形成すれば効率的である。まず、スイッチング素子56、絶縁膜57、EL画素電極59、バンク58が形成されたEL基板55をワーク120として載置台121に載置し、載置する方向は図2に示す着色層6R、6G、6Bに対応するように、X軸方向およびY軸方向を決める。吐出ヘッド116はX軸方向へ相対移動しながら、ノズル117から正孔輸送層形成材料の液滴を吐出し、X軸方向に一列に並んでいるEL画素電極59とバンク58とで規定される凹部へ、順番に液滴を配置して行く。この凹部のY軸方向の列数とノズル117の配置に応じて、相対移動を何回か繰り返すことによって、正孔輸送層60が完成する。次に、正孔輸送層形成材料の液滴を乾燥させた後、EL発光材料の液滴を正孔輸送層60形成と同様にして、正孔輸送層60の上に吐出し発光層61を形成する。吐出装置100による工程終了後、発光層61を乾燥させて、EL対向電極62を形成し、有機EL部52の発光層61とカラーフィルタ部51の着色層6とが対応するように、両部を張り合わせる。そして、最後にEL対向電極62と共通基板64との間に不活性ガス63を封入する。
この電気光学装置600によれば、カラーフィルタ部51の着色層6R、6G、6Bのそれぞれに対応して有機EL部52の発光層61が配置され、必要な色の着色層6に対応した発光層61のみが発光するため、極めて省電力タイプの表示装置が得られる。また、カラーフィルタ部51の無色境界層5によって、着色されない明るい光が前面基板11から出射し、全体的な表示が明るく見やすいものとなる。なお、有機EL部52は、電子放出素子のFED(Field Emission display)およびSED(Surface-Conduction Electron-Emitter Display)であってもよい。
さらに、実施例1、実施例2、実施例3および実施例4に関する液晶表示装置を備えた電子機器の例について説明する。
図30は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図30に示すように、携帯電話1000は、液晶表示部1001を備えている。液晶表示部1001には、半透過反射型液晶表示装置1、30、液晶表示装置300および液晶表示装置500のどちらでも適用できる。
図31は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図31において、時計本体1100は、液晶表示部1101を備えている。液晶表示部1101には、半透過反射型液晶表示装置1、30、液晶表示装置300および液晶表示装置500のどちらでも適用できる。
図32は、パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図32において、情報処理装置1200は、キーボードなどの入力部1202、情報処理装置本体1204、液晶表示部1206を用いた液晶表示部を示している。液晶表示部1206には、半透過反射型液晶表示装置1、30、液晶表示装置300および液晶表示装置500のどちらでも適用できる。
図30〜図32に示す電子機器は、上記各実施例の液晶表示装置を用いた液晶表示部を備えているので、反射モード時にも透過モード時にも発色が良く、視認性に優れた液晶表示部を備えた電子機器を実現することができる。
本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、次のような変形例が挙げられる。
(1)実施例3〜4では、透過部328の形状および透過部368の形状は矩形であった(図33(a))。しかしながら、透過部328の形状および透過部368の形状は、矩形に限定されず、円形で有ってもよいし、楕円形であってもよいし、図33(b)に示すようなオーバル形状であってもよい。透過部328、368は反射部326、366に対して窪んでいるため、透過部328、368の形状に鋭角な角度が無い場合には、液状の材料が、透過部328、368内を完全に覆うように塗れ広がる。これは、実施例1〜2での開口部4形状についても同様である。
(2)上記実施例1〜4のカラーフィルタ40、45およびカラーフィルタ基板310、380は、液晶表示装置に適用される。しかしながら、実施例1〜4のカラーフィルタ40、45およびカラーフィルタ基板310、380は、液晶表示装置以外の電子機器に適用されてもよい。本明細書において「電子機器」とは、プラズマ表示装置、液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置、FEDやSED等の電子放出素子を備えた画像表示装置などを含む用語である。
(3)実施例5の電気光学装置600は、実施例1〜4のカラーフィルタ40、45およびカラーフィルタ基板310、380と同様に電子機器に搭載しても良い。
以上述べた本発明のカラーフィルタ、表示装置、液晶表示装置、電気光学装置は、表示部を有する多様な電子機器に搭載することができ、具体的には携帯電話、腕時計、電子辞書、携帯ゲーム機、電卓、小型テレビ、パーソナルコンピュータ、ナビゲーション装置、POS端末などが上げられる。
本発明の実施例1の半透過反射型液晶表示装置を示す断面図。
半透過反射型液晶表示装置における境界層の配置を示す平面図。
有色境界層周りの拡大断面図。
本発明の実施例2の半透過反射型液晶表示装置を示す断面図。
実施例2の着色部の拡大断面図。
液滴吐出装置の外観斜視図。
(a)吐出ヘッドとノズルの配置を示す平面図。(b)吐出ヘッドの構造を示す詳細図。
着色部への液滴吐出の状態を示す断面図。
液晶表示装置の製造装置を示す模式図。
液滴吐出装置の制御系のブロック図。
カラーフィルタの製造工程図。
(a)および(b)は実施例3の液晶表示装置を示す模式図。
実施例3の製造装置を示す模式図。
実施例3の吐出装置を示す模式図。
実施例3のキャリッジを示す模式図。
実施例3のヘッドを示す模式図。
(a)および(b)は図5のヘッドにおける吐出部を示す模式図。
吐出装置における制御部の機能ブロック図。
実施例3の基体の製造方法を示す模式図。
実施例3の被吐出部を示す模式図。
実施例3の吐出方法を示す模式図。
実施例3の吐出方法を示す模式図。
実施例3の吐出方法を示す模式図。
実施例3の走査範囲を示す模式図。
実施例3の製造方法を示す模式図。
(a)および(b)は実施例4の液晶表示装置を示す模式図。
実施例4の基体の製造方法を示す模式図。
実施例4の吐出方法を示す模式図。
実施例5の電気光学装置を示す断面図。
携帯電話を示す模式図。
腕時計型電子機器を示す模式図。
携帯型情報処理装置を示す模式図。
透過部の形状を示す模式図。
符号の説明
1…半透過反射型液晶表示装置、3…反射層、4…開口部、5…無色境界層、6…着色層、7…被吐出部、8…オーバーコート層、15…液晶、21…有色境界層、25…透明コート層、30…半透過反射型液晶表示装置、31…散乱反射層、32…樹脂散乱層、 40、45…カラーフィルタ、51…カラーフィルタ部、52…有機EL部、100…液滴吐出装置、116…吐出ヘッド、117…ノズル、200…液晶表示装置の製造装置、300…液晶表示装置、305R・305G・305B…カラーフィルタ材料、305FR・305FG・305FB…フィルタ層、320A、320B…偏光板、310…カラーフィルタ基板、312…対向基板、314…液晶層、316…光源部、326…反射部、328…透過部、332…支持基板、317…ブラックマトリクス、330…バンク、334…平坦化層、336…電極、338A・338B…配向膜、380…カラーフィルタ基板、366…反射部、368…透過部、372…支持基板、357…ブラックマトリクス、370…バンク、374…平坦化層、400R、400G、400B…吐出装置、402…吐出走査部、403…キャリッジ、404…第1位置制御装置、408…第2位置制御装置、406…ステージ、500…液晶表示装置、600…電気光学装置。