以下、本発明を実施するための形態について添付図面を参照しながら説明する。本発明を適用した構成例として、パチンコ機の遊技盤に各種遊技部品を装着して複合入賞装置を構成した状態の遊技盤の正面図を図1に示し、この遊技盤の背面図を図2に示しており、まずこれらの図面を参照して、遊技盤全体の構成について要約説明する。なお遊技盤が装着されるパチンコ機本体の構成は、公知のパチンコ機と同様であり当業者であればその構成および適用を容易に理解できるため説明を省略する。
遊技盤1は、所定板厚の積層合板の表面にセルを貼り付けてルーター加工した化粧板2を基板とし、前面側には上下のレール飾りに囲まれて略円形の遊技領域PAが区画形成される。遊技領域PAの中央部には中央飾り10が取り付けられ、この中央飾り10を囲む遊技領域PAの各部に、多数本の遊技釘、風車、下部一般入賞口3,3、ゲート5、LEDを用いた遊技効果ランプ6などの遊技構成部品が取り付けられるとともに、中央飾り10の下側に複合入賞装置20、中央飾り10の左枠部に開閉入賞機構60が設けられている。
下部一般入賞口3は、遊技球が入球可能な入賞口を有する落入形態の固定入賞具であり、入賞口に落入した遊技球が内部に設けられた入賞検出器により検出されたのち化粧板2の裏面側に排出されるようになっている。ゲート5は遊技球が通過可能な門型の固定入賞具であり、このゲート5を上下に通過した遊技球が内蔵されたゲート通過検出器5sにより検出されるようになっている。入賞検出器およびゲート通過検出器の信号は、パチンコ遊技の作動を制御する遊技制御装置(700、図16を参照)に入力されている。
本発明に係る遊技部品としての中央飾り10は、中央に前後開口する窓口11を有して枠状に形成され、化粧板2の後面側に取り付けられた図柄表示装置12の表示パネルが窓口11を通して遊技者に視認可能に配設されるようになっている。中央飾り10における上枠部の中央には上部一般入賞口13,13および球入り口としてのワープ入球口14が設けられている。上部一般入賞口13は、下部一般入賞口3と同様に落入形態の固定入賞具であり、入賞口に入賞検出器が設けられるとともに、右枠部には上部一般入賞口13に落入した遊技球を図柄表示装置12の右側方を通して化粧板2の裏面側に排出する入賞球排出通路が形成されている。なおワープ入球口14を含む中央飾り10の詳細構成については後に詳述する。
遊技領域PAの下端部には、上部一般入賞口13,13、下部一般入賞口3,3、複合入賞装置20、開閉入賞機構60の何れにも入賞することなく遊技領域PAの下端まで落下した遊技球を、遊技盤1の裏面側に排出するアウト口8が化粧板2を前後に貫通して開口形成され、化粧板2の裏面には、上記各入賞装置等に落入した遊技球を化粧板2の背面に沿って下方に導く球寄せカバー19が取り付けられている。遊技盤1の後方に配設される裏セット盤には、アウト口8から排出された遊技球および球寄せカバー19により導かれた遊技球(これらを合わせて「遊技済み球」という)を集合させてパチンコ機の下部に導く遊技済み球排出経路が形成されており、遊技盤1から排出された遊技済み球が遊技済み球排出経路を通って遊技島の回収装置に排出されるようになっている。
そして、遊技盤1がパチンコ機に組付けられ遊技に供された遊技状態において、遊技球発射装置から遊技領域PAに打ち出された遊技球が一般入賞口3,13やゲート5、複合入賞装置20、開閉入賞機構60などの入賞機器に入賞すると、各入賞機器に設けられた入賞検出器、ゲート通過検出器等により入賞が検出され、これらの検出信号を受けた遊技制御装置が当該入賞機器の種別等に基づく入賞条件に応じた指令信号を出力してパチンコ機の各部の作動を制御する。例えば入賞検出器からの入賞検出信号に基づいて球払出装置の作動を制御して褒賞としての遊技球(賞球)の払い出しを行わせ、ゲート通過検出器からのゲート通過検出信号に基づいて複合入賞装置20の入賞具の開閉作動を制御し、また各検出信号に基づいて効果ランプの点滅や効果音の発生等を行わせる。
さて、このように概要構成される遊技盤1にあって、中央飾り10にワープ入球口、ワープ案内通路、ステージ等が形成され、左枠部に開閉入賞機構60が設けられている。以下図3から図9の各図を参照しつつ中央飾りおよび開閉入賞機構の構成について説明する。ここで、図3は中央飾り10および複合入賞装置20の構成を説明するために分解状態で左斜め前方から見た斜視図、図4は中央飾り10および複合入賞装置20の構成を説明するために分解状態で左斜め後方から見た斜視図、図5および図6は中央飾り10から開閉入賞機構ユニットを取り外した状態で開閉入賞機構ユニット600を主として示す正面図および背面図、図7は開閉入賞機構の動作変位を示す正面図(部分断面図)、図8は図7中のVIII−VIII矢視の平断面図、図9は左枠部およびステージの球流れ状態を主として示す側断面図である。
中央飾り10は、前後を仕切る装飾面の前面側に種々の意匠が施され後面側に遊技球を案内する球通路が形成されたベース枠101、ベース枠の後方にネジ固定されて側方の球通路を形成する中間枠102、および中間枠の後方にネジ固定されてステージの後方壁を形成する後方枠103、の前後3層からなる装飾枠100を主体として構成される。
装飾枠100の中央部には、図柄表示装置12の表示パネルの大きさに合わせた開口サイズの窓口11が各層の枠体に位置整合して形成され、この窓口を囲む上側に上枠部111、左側に左枠部112、右側に右枠部113、下側に下枠部114が形成されて、前後に奥行きのある額縁状に構成される。上枠部111および右枠部113には、ベース枠の装飾面から前方に突出してリブ状の庇部115が形成され遊技領域に発射された打球が直接窓口11に飛び込むことなく庇部の傾斜に従って左右側方に流下するようになっている。上枠部111の上部中央には所定意匠を施した中央障壁部116が設けられ、この中央障壁部116の背後右側に上部一般入賞口13,13、左側にワープ入球口14が上向きに開口形成されている。
上部一般入賞口13,13は、上述したように下部一般入賞口3と同様の固定入賞具であり、ベース枠101の装飾面の後方には、入賞口に落入した遊技球を上枠部111〜右枠部113を通して装飾枠100の下方に導く入賞球排出通路130が形成されている。入賞球排出通路130は、上枠部111に形成された上部排出通路131と右枠部113に形成された側部排出通路132とからなり、側部排出通路132には遊技球を後方および右側方に折り返して遊技球の落下速度を緩和する屈曲部133が形成されている。入賞球排出通路130は下端の開口部で球寄せカバー19側の排出通路19bと繋がり、裏セット盤の遊技済み球排出経路を介して遊技島の回収装置に排出される。上部一般入賞口13には、入賞口に落入した遊技球を検出する入賞検出器13sがそれぞれ設けられ、各信号が遊技制御装置に入力されている。
ワープ入球口14は、遊技球を下枠部114に形成されたステージに導くための導入口であり、ベース枠101の後面側には、ワープ入球口14に落入した遊技球を上枠部111〜左枠部112を通してステージ140に導くワープ案内通路120が形成されている。ワープ案内通路120は、上枠部111に形成された上部案内通路121と左枠部112に形成された側部案内通路122とからなり、ベース枠101に形成された上部案内通路121の終端に後方に開口する連通開口が設けられて中間枠102に形成された側部案内通路122に繋がっている。側方案内通路122は窓口11に沿って下方に延び、この通路下端の窓口11内周面に開口形成されたワープ出口124で下枠部114のステージ140(上段ステージ142)に繋がっている。
ステージ140は、窓口の手前側に形成された下段ステージ141と、窓口11の奥側に形成された上段ステージ142とからなり、下段ステージ141はベース枠101に、上段ステージ142は中間枠102に形成されている。
下段ステージ141は、前後方向に遊技球1.2〜1.5球程度の通路幅を有し、正面視において中央が低く左右枠部に向けて高くなるV字状に形成されている。下段ステージ141の中央部には、遊技球2球程度の左右方向幅で前方に下傾し遊技球を前方に誘導する誘導部141gが形成される一方、誘導部141gを除く左右ステージ面の前方には、上段ステージ142から下段ステージ141に落下した遊技球がそのまま前方に転落しないように規制する転落防止壁141wが設けられている(図4を参照)。
上段ステージ142は、前後方向に遊技球2〜3球程度の通路幅を有し、正面視において中央左右に2箇所の緩やかな凹部を有し左右枠部に向けて高くなるW字状に形成されている。上述したワープ出口124は、上段ステージ142の左端の高さ位置に合わせて左枠部の窓口内周面に開口形成され(図7および図9を参照)、ワープ案内通路120を転動落下した遊技球がワープ出口124から上段ステージ142の左上端部に導かれ、まず上段ステージ142を左右に転動するようになっている。
上段ステージ142に形成された左右2箇所の凹部は、窓口奥部が浅く前端側に向けて深くかつ広くなる円錐溝状で前方に下傾して形成されており、この領域に収斂した遊技球が前方に誘導されて下段ステージ141に落下するようになっている。これらの左右の凹部に挟まれた上段ステージ142の中央部には、凹部と滑らかに繋がって円弧状に盛り上がる丘陵部が形成され、この丘陵部を中心として上段ステージ142と下段ステージ141の高さの差が遊技球の直径よりも大きい高段差領域143が形成される。
そして高段差領域143の中央部では、上段ステージ142における丘陵部の頂部に、前方に向けて緩やかにV字状に開く係合誘導溝および係合誘導溝と繋がって大きくU字状に開く付勢誘導溝からなる誘導溝142gが形成されるとともに、この誘導溝142gの前方の立設壁に下段ステージの誘導部141gの上方を跨いで前方に突出する舌片状のガイド突片145が取り付けられており、このガイド突片145の上面に遊技球の球径に合わせた凹状円筒面の特別流下通路145gが形成されている。
すなわち、高段差領域143の中央部では、特別流下通路145gと誘導部141gとが遊技球の直径よりも大きな高低差をもって上下に立体交差し、上方の特別流下通路145gを遊技球が前後方向に転動し、その下方の誘導部141gを遊技球が係合突片145に衝突することなく転動し得るようになっている。またこれらの左右方向の関係では、下段ステージの誘導部141gの左右方向幅が遊技球2球程度の幅を有して比較的広く形成される一方、その上方の特別流下通路145gは、誘導部141gの左右方向の中心に位置し遊技球の球径に合わせた凹状円筒面で狭く形成されている。
このため、ワープ出口124から上段ステージ142に導入された遊技球は、まず上段ステージ142を左右に転動し、多くの遊技球は前傾する左右何れかの凹部から下段ステージ141に落下して下段ステージ141を左右に転動し、中央の誘導部141gから装飾枠100の下方、すなわち中央飾り10の下部領域に落下する。また一部の遊技球は上段ステージを左右転動するうちに上段ステージの誘導溝142gに係合して前方に誘導され、付勢誘導溝に落ち込むことで前方に付勢されて特別流下通路145gを転動し、この通路の前端部から中央飾り10の下方に落下する。ガイド突片145の突出量は、下段ステージ141の前後方向の通路幅と略同一寸法に形成されており(図9を参照)、特別流下通路145gを転動した遊技球が下段ステージ141に当接することなく化粧板2に沿って落下する(より具体的には後述する複合入賞装置20の入賞口212に向けて落下する)。
このように、本構成の装飾枠100ではワープ入球口14が装飾枠の上枠部111に設けられ、ワープ入球口14に入球した遊技球がステージ140に導かれる構成のため、遊技者が発射ハンドルを調整してワープ入球口14に入球するように遊技球を打ち出すことで、遊技者が自らの意思に応じて中央飾りの下側領域に流下させる遊技球の比率を高め、入賞具210やゲート5の周辺に球流れを確保することが可能になっている。
なお、装飾枠100を構成するベース枠101、中間枠102、後方枠103のうち、少なくとも中間枠102は透視可能な樹脂材料(有色透明や半透明の樹脂材料など、光を透過する特性を有する材料)を用いて成形されており、上段ステージ142の下側に配設される複合入賞装置の回転入賞機構500が下段ステージ142を通してパチンコ機の前面側から視認できる構成になっている。また後方枠103には上段ステージ142を転動する遊技球が図柄表示装置12の表示パネルに当接しないように、上段ステージの転動面よりも高い当接規制壁が形成されている。
装飾枠100における左枠部の上部に、開閉入賞機構60が設けられている。開閉入賞機構60はユニット化されており、図5および図6に示すように装飾枠100と別体に形成された開閉入賞機構ユニット600が、左枠部に形成されたユニット装着部160に一体的に装着され、開閉入賞機構60を形成するように構成されている。
開閉入賞機構ユニット600は、遊技球が入球し得る大入賞口を有しユニットの基体となるユニットベース610、ユニットベースに大入賞口を開閉可能に取り付けられた開閉扉620、開閉扉を開閉駆動する開閉駆動構造630、大入賞口に落入した遊技球を検出する大入賞口入賞検出器650、およびユニットベースの前面を覆う化粧蓋660などから構成される。
ユニットベース610は、各構成部材の支持基盤となるベース面611と、ベース面の前面側にその周囲を取り囲むように立設された囲壁とを有し、全体として装飾枠100の左肩部の形状に合わせた前面開放の箱状に形成されている。
ベース面611の前面側は、遊技球の処理領域とされ、正面左側の囲壁の上部が切り欠かれて縦長方形の大入賞口612が形成されるとともに、囲壁の内側には大入賞口に入球した遊技球を流下させる導出通路613が形成され、その下端部にベース面611を前後に貫通して遊技球を後方に排出する導出口614が形成されている。大入賞口612および導出通路613の前後方向の幅は、遊技球の直径よりも幾分大きい程度の寸法に設定されており、ベース面611の前面側に薄型コンパクトな球処理領域が形成される。導出通路613の途中には大入賞口612に入球して導出通路613を流下する遊技球を検出する大入賞口入賞検出器650が装着され、この検出器の信号が遊技制御装置に入力されている。
一方、ベース面611の後面側は、開閉扉620を開閉する開閉駆動構造630の配設領域とされる。大入賞口612の下端近傍には開閉扉620の揺動軸625を回動可能に枢支する軸受部615が形成され、この軸受部615を軸心とする同心円上に、揺動軸625に連結されたリンクアーム635先端のリンクピン636をガイドする円弧状のガイド溝616が形成されている。またベース面611の上部には開閉扉620を開閉駆動する大入賞口開閉駆動ソレノイド631をネジ固定するソレノイド装着部が形成されている。
開閉扉620は、大入賞口612の開口寸法に合わせた縦長方形に形成され、基端側には揺動軸625が圧入固定される円筒状の軸装着部624が前後に延びて形成されている。開閉扉620の扉面は先端側で屈曲されて「く」の字状に形成されるとともに、この屈曲部から軸装着部624にかけて補強兼用のリブ627が形成される一方、ユニットベース611には開閉扉620の開放角度位置でリブ627の端面を係合支持する支持部617が形成されており(図7を参照)、上方から多数の遊技球が落下してきても、これらの遊技球を確実に受け止めて大入賞口612の内方に誘導し得るようになっている。
揺動軸625の外周面には、開閉扉620の軸装着部およびリンクアーム635の軸固定ボスと係合する位置に綾目ローレットが形成されており、開閉扉の軸装着部624に揺動軸625を圧入固定することで開閉扉620に一体に組付けられる。開閉扉620は、揺動軸625をユニットベースの軸受部615に嵌挿して挿通させ、ベース面611の後面側に突出した揺動軸625の後端部にリンクアーム635の軸固定ボスを圧入固定することで揺動軸625を介してリンクアーム635と連結され、ベース面611を挟む前後で揺動軸625の軸回りに一体的に揺動可能に支持される。
開閉駆動構造630は、駆動源となる大入賞口開閉駆動ソレノイド631、大入賞口開閉駆動ソレノイドのプランジャの先端に固定された駆動伝達具634、一端が揺動軸625に固定され他端が駆動伝達具634にリンクピン636を介して連結されるリンクアーム635などからなり、大入賞口開閉駆動ソレノイド631の駆動力を揺動軸625に伝達して開閉扉620を開閉するように構成される。
大入賞口開閉駆動ソレノイド631は、プランジャの外周部にリターンスプリング(コイルスプリング)が装着されたスプリングリターンタイプの直動型ソレノイドであり、駆動信号がONされた時にプランジャが引き込まれて縮長し、駆動信号をOFFしたときにリターンスプリングのバネ力でプランジャが押し出されて元の伸長状態に復帰する。プランジャの先端部には駆動伝達具634の板厚に合わせたスリ割りと、駆動伝達具634を固定するためのネジ孔とが形成されている。
駆動伝達具634は薄板プレート状をなし、大入賞口開閉駆動ソレノイド631のプランジャに固定される基端側にねじを挿通させる円孔が形成され、先端側にはリンクピン636と係合するピン係合孔が形成されている。ピン係合孔はリンクピン636のピン径に合わせた幅で、リンクピンの揺動軌跡に応じた長さを有する長孔状に形成されている。駆動伝達具634は、プランジャ先端部のスリ割りに嵌挿して位置合わせし後方からネジを挿通して締め込むことでプランジャの先端部にネジ固定される。
リンクアーム635は、一端に揺動軸625が圧入される軸固定ボス、他端にリンクピン636が圧入されるピン固定ボスが形成されて短いアーム状に形成されており、上述したように揺動軸625の後端部に圧入固定されてベース面611の後面側に揺動可能に支持される。
そこで、駆動伝達具634が組付けられた大入賞口開閉駆動ソレノイド631をユニットベース610のソレノイド装着部にネジ固定し、開閉扉620を揺動させてリンクアーム635のピン固定ボスと駆動伝達具634のピン係合孔とを位置合わせし、駆動伝達具634の後方からピン係合孔を通してリンクアーム635のピン固定ボスにリンクピン636を圧入する。このとき、リンクピン636の先端がベース面611に形成されたガイド溝616内に嵌入して揺動変位可能に支持される。
こうして駆動伝達具634とリンクアーム635とがリンクピン636により連結されると、大入賞口開閉駆動ソレノイド631のON/OFFによる駆動伝達具634の上下方向変位が、リンクピン636を介してリンクアーム635の揺動角度変位に変換されて伝達され、揺動軸625により連結された開閉扉620が反時計廻り/時計廻りに揺動可能な駆動機構が形成される。そしてこれによりユニットベース610の前面側に開閉扉620、後面側に開閉駆動構造630が配設され、大入賞口開閉駆動ソレノイド631をON/OFF制御することで開閉扉620を揺動させ大入賞口612を開閉可能な開閉入賞機構ユニット600が形成される。
一方、装飾枠100の左枠部112に、開閉入賞機構ユニット600を装着するユニット装着部160が設けられている。ユニット装着部160は、ユニットベース610の後面周縁を支持するベース支持部160aと、ユニットベース610の後面側に設けられた開閉駆動構造630を収容する駆動構造収容部160bとからなり、ベース支持部160aはベース枠101の装飾面を利用して形成され、駆動構造収容部160bは装飾面を貫通して装飾面の後方に形成されている。
ベース支持部160aには、ユニットベース610に形成されたネジ挿通孔618と位置整合してネジを受容する円筒状のネジボス168が装飾面の裏面側に複数形成され、開閉入賞機構ユニット600を装飾面の前面側から固定可能になっている。
駆動構造収容部160bは、ベース枠101の装飾面の後面側に開閉駆動構造630の周囲を取り囲むように立設された収容壁162と、この収容壁162に囲まれた開口の後方を覆ってネジ固定される後方壁163とによって形成され、後方壁163にはユニットベースのベース面611に開口形成された導出口614と位置整合して、導出口614から排出された遊技球を球寄せカバー19側の排出流路19aに導く連絡流路164が形成されている。また後方壁162には、開閉入賞機構ユニット600の大入賞口開閉駆動ソレノイド631および大入賞口入賞検出器650の信号線を前後に挿通させる切り欠き部が形成されている。
そこで、上記信号線を切り欠き部を通して挿通させるとともに、ユニットアッセンブリされた開閉入賞機構ユニット600を装飾枠100の左肩部に位置合わせして装着すると、開閉駆動構造630が駆動構造収容部160bに収容され、ユニットベース610の後面周縁がベース支持部160aに支持されて前後に位置決めされる。そしてユニットベース610の前面側からネジ挿通孔618を通してネジボス168に固定ネジを螺合締結し、ユニットベース610の前面に化粧蓋660を嵌着することで、開閉入賞機構ユニット600がユニット装着部160に一体的に装着される。化粧蓋660の後面側には揺動軸625の先端部を枢支する軸受部665が形成されており、開閉扉620が前後の軸受部665,615に支持されて安定的に開閉可能に配設される。そして大入賞口開閉駆動ソレノイド631および大入賞口入賞検出器650の信号線を遊技制御装置に接続することで開閉入賞機構60が形成され、その作動が遊技制御装置により制御される。
このように、開閉入賞機構60では、開閉入賞機構ユニット600の開閉駆動構造630が駆動構造収容部160bに収容されて装飾面の後方に配設され、装飾面の前方には遊技球の球径よりも幾分大きい程度の薄型に構成された遊技球の処理領域が配設される。このため、大型の入賞口を開閉する開閉入賞機構でありながら化粧板の前面側への突出量を最小限に抑制したコンパクトな構成になっている。また、ユニット装着部160と前述したワープ案内通路120とは、各図に明示するように、前後方向に重なるように形成されており、左枠部112の枠幅寸法を開閉入賞機構ユニット600のユニット幅と略同一寸法まで抑制して中央飾り側方の転動領域を確保可能な構成になっている。さらに、開閉入賞機構ユニット600が一体的に着脱可能に構成されているため、開閉駆動構造630の構成部品が損耗等した場合であっても容易に着脱交換することができる。
さて、以上説明してきた中央飾り10の下側に、複合入賞装置20が設けられている。以下、図10〜図16の各図を参照しながら、複合入賞装置20の構成について説明する。複合入賞装置20は、化粧板2の前方から取り付けられる前方機構部と、化粧板2の後方から取り付けられる後方機構部とからなり、図10は貯留通路が充満される以前の様子を主として示す前方機構部の正面図、図11は貯留通路が充満されて以降の様子を主として示す前方機構部の正面図、図12は前方機構部の背面図、図13は前方機構部の平面図、図14は後方機構部の平面図、図15は化粧板2の背面側の球流れを主として示す後方機構部の正面図(図14中のXV−XV矢視の正面図)、図16は複合入賞装置20の制御形態を概要的に示すブロック図である。
複合入賞装置(役物(遊技部品))20は、その複合機能を機構的に大別すると、A:遊技球を貯留する貯留通路および装置外部に排出させる排出通路を有し入賞口に落入した遊技球の流下経路を切り替えて流下させる球貯留機構200、B:遊技球を受容可能な球受け部を正逆両方向に回動可能な第1回転体を備え貯留通路を介して導かれた遊技球を第1回転体の回動により第1導出口または第2導出口に移動させて排出させる振り分け機構300、C:第1導出口に排出された遊技球を入賞口よりも上方に搬送する揚送機構400、D:遊技球が転入可能な入賞領域を複数有し通過した入賞領域に応じた遊技を実行する回転入賞機構500、およびこれら各機構の作動を制御する遊技制御装置700などからなり、このうちA〜Cの各機構がハウジング51に組み込まれて一体の前方機構部を形成し、D:回転入賞機構がリアフレーム55に組付けられて後方機構部を形成し、前後の機構部が遊技制御装置700の各制御手段により制御されて複合入賞装置20が形成される。
A:貯留機構200は、遊技盤面を転動落下する遊技球が落入可能な入賞口を有する入賞具210、入賞口に落入した遊技球を順次貯留し得る貯留通路220、入賞口に落入した遊技球を排出させる排出通路230、入賞口に落入した遊技球の流下経路を貯留通路または排出通路に切り替えて流下させる流路切り替え構造240、貯留通路が貯留された遊技球で充満されたことを検出する充満検出手段250、および遊技制御装置700に内蔵された役物(遊技部品)制御手段710などからなり、役物制御手段710が、充満検出手段250において貯留通路の充満状態が検出されていないときに遊技球の流下経路を貯留通路側に設定して入賞口に落入した遊技球を貯留通路220に導き、充満検出手段250において貯留通路の充満状態が検出されているときには遊技球の流下経路を排出通路側に切り替えて入賞口に落入した遊技球を排出通路230に導くように構成される。
入賞具210は、いわゆる電動チューリップ型の可動入賞具であり、左右に揺動可能なチューリップ羽根211,211を有し、その後方にチューリップ羽根211,211を開閉させて入賞口112を拡大・縮小変化させる入球部拡大装置駆動ソレノイド213が装着されるとともに、入賞口112の内部に遊技球の通過を検出する役物入球検出器214が設けられている。入賞具210は、上段ステージ412における特別流下通路145gと位置整合して直下に配設され、チューリップ羽根の上方には斜めに落下してくる遊技球の入球を規制する一方、特別流下通路145gから鉛直に落下してくる遊技球をガイドするガイド筒が設けられている。入球部拡大装置駆動ソレノイド213は役物制御手段710における入球部拡大装置駆動制御手段711によりON・OFFされて開閉作動が制御され、役物入球検出器214の信号は役物入球判定手段712に入力されて入賞判定が行われる。
入賞口112の下側では、入賞具210に落入した遊技球をハウジング51の内部に導くとともに正面右側の貯留通路方向に案内する導入通路215が形成されている。一方、導入通路215の後方には、貯留機構200のフレームとなるシャッターベース201が組付けられ、このシャッターベース201に貯留通路220、排出通路230が形成されている。
貯留通路220は、シャッターベース201の本体部から右斜め下方に突出して設けられている。貯留通路220の通路幅および高さは遊技球の球形よりも幾分大きめに設定され、通路長さはこの通路内に貯留すべき遊技球の数量(ゲーム構成に応じて設定された最大貯留球数)に合わせて形成される。貯留通路220の下流端部には後方に傾斜する通路面が形成されており、次述する振り分け機構300の導入口340に繋がっている。これにより貯留通路に流入した遊技球を振り分け機構300に向けて滑らかに流下させるとともに、所定数量の遊技球を流入した順に通路内に貯留し得るようになっている。
本実施形態では、基準位置にある第1回転体の球受け部322に受容された遊技球を含めて5個の遊技球を貯留可能に構成した例を示す。なお貯留通路220の前方の通路壁は、ハウジング51の前面を覆って取り付けられるカバー部材52によって形成される。カバー部材52は透視可能な樹脂材料(有色透明や半透明の樹脂材料等)を用いて成形されており、貯留通路220を流下する遊技球および通路内に貯留された遊技球がパチンコ機の前面側から視認できる構成になっている。
排出通路230は、貯留通路220と隣接してシャッターベース201の本体部に形成されており、上下に延びる球通路の上端部において貯留通路220の上流部と合流している。排出通路230の下流側は後方に屈曲されたうえ化粧板2の裏面側で下向きに開口されており、アウト口8を通って化粧板の裏面側に導かれた遊技済み球とともに遊技済み球排出通路を介して遊技島の回収装置に排出されるようになっている。
流路切り替え構造240は、シャッターベース201にスライド変位可能に支持されて排出通路230の上端開口部を開閉するシャッター242、シャッター242を開閉駆動するシャッター駆動ソレノイド243、シャッター駆動ソレノイドのプランジャに嵌着されたスライドアングル244、一端がシャッターベース201にピン係合され他端がシャッター242にピン結合されるとともにアーム中間部でスライドアングル244に係合されたスウィングアーム245、およびシャッター駆動ソレノイド243の作動を制御するシャッター駆動制御手段714などから構成される。
シャッターベース201には、シャッター242を左右方向にスライド変位可能に支持するガイドレール202、シャッター駆動ソレノイド243を支持するソレノイド装着部203、ソレノイド装着部を上下に貫通して形成されたスライドアングル挿通孔、およびソレノイド装着部203の下面側に突出成型された支ピン205などが形成されている。
シャッター242は、下向き凸の断面形状を有してシャッターベースのガイドレール部202にスライド変位可能に支持され、下面にはスウィングアーム245のピン受容孔と嵌合する連結ピン242pが形成されている。シャッター駆動ソレノイド243は、プランジャの外周部にリターンスプリングが装着されたスプリングリターンタイプの直動型ソレノイドであり、駆動信号がONされた時にプランジャが引き込まれて縮長し、駆動信号をOFFしたときにリターンスプリングのバネ力でプランジャが押し出されて元の伸長状態に復帰する。
スライドアングル244は、上下に延びる立設辺と左右に延びる底辺とを有して背面視L字状のアングル形態をなし、立設辺に形成された受容スリットでシャッター駆動ソレノイド243のプランジャ先端部に嵌着され、底辺がスライドアングル挿通孔を通してシャッター駆動ソレノイド243の下側で左右方向に変位可能に配設される。スライドアングル244の底辺にはスウィングアーム245のアーム中間部を左右から挟み込むように係合して駆動力を伝達する駆動伝達突起244a,244bが形成されている。
スウィングアーム245は、平板状のアーム部の両端に円筒状のボス部を有し、一端のボスにはシャッターベース201に形成された支ピン205に枢結される支ピン孔が形成され、他端のボス部にはシャッター242の下面に突出成型された連結ピン242pを受容して係合する連結ピン受容穴が形成されている。このうち連結ピン受容孔は、溝幅が連結ピン242pの外径よりもわずかに大きめで、溝の長さがアームの延びる方向に長い長孔状に形成されている。
このため支ピン孔を支ピン205に嵌挿してピン先端に固定カラーを圧入または接着等により固定することで、スウィングアーム245が支ピン205を中心として揺動可能に枢結され、連結ピン受容穴に連結ピン242pを係合させてガイドレール202にシャッター242を支持させることで、スウィングアーム245の揺動に応じてシャッター242が左右にスライド変位される。このときスウィングアームの中間部がスライドアングル下面の駆動伝達突起244a,244bの間を通り左右の突起と摺接するように取り付けることで、スライドアングル244の左右方向の変位がスウィングアーム245の揺動変位に変換され、スウィングアーム245を介してシャッター242が左右方向にスライド変位される。
シャッター242は、駆動信号がOFFの状態において、図10に示すように排出通路230の上端部を覆う閉鎖位置に配設され、入賞口212から導入通路215を通って入球した遊技球は、閉鎖位置にあるシャッター242の上面を転動して貯留通路220に導かれる。一方シャッター駆動制御手段714から駆動信号が出力されシャッター駆動ソレノイド243がONされると、ケース内に引き込み作動されるプランジャとともにスライドアングル244が左動され、右側の駆動伝達突起244bに押圧されて揺動されるスウィングアーム245を介してシャッター242が左方にスライド変位されて、排出通路230の上端部が開口される。このため入賞口212から導入通路215を通って入球した遊技球は、開放された開口部から排出通路230に転落し、遊技済み球排出通路を介して遊技島の回収装置に排出される。
ここで、本構成の流路切り替え機構では、駆動伝達突起をスウィングアーム245の中間部(支点となる支ピン孔と作用点となる連結ピン受容孔との中間部)に係合させてアームを揺動させる構成にしている。このため、排出通路230を開閉するのに必要なシャッター242のスライド変位量に対して、このシャッターを駆動するシャッター駆動ソレノイド243の伸縮ストロークを約1/2倍に抑制することができ、比較的小型のソレノイドを用いた小型低廉な装置構成で流路切り替え機構240を構成することができる。
なおスウィングアーム245を左右から挟み込んで摺接する駆動伝達突起244a,244bに代えて、ピンと長孔との係合形態を用いて同様に構成することができるほか、シャッター242を水平面内あるいは鉛直面内で揺動させて排出通路230の上端開口部を開閉するように構成しても良く、また導入通路215に左右揺動可能な弁部材を配設してこの弁部材を揺動させて流下経路を切り替えるように構成しても良い。
充満検出手段250は、貯留通路220の上端部に設けられた貯留部満杯検出器251と、役物制御手段710に設けられた貯留部満杯判定手段713とを主体として構成される。貯留部満杯検出器251は、入賞検出器や役物入球検出器などと同様の通過型の検出器(貫通型近接スイッチ)であり、この検出器を貫通して形成された検出孔内を遊技球が通過したときにパルス状の遊技球検出信号を出力し、図11に示すように検出孔内に遊技球が停留しているときに連続した遊技球検出信号を出力する。貯留部満杯判定手段713は貯留部満杯検出器251から入力される信号に基づいて貯留通路220が満杯状態であるか否かを判断する。具体的には入力された検出信号が所定時間以上連続した遊技球検出信号であるときに貯留通路220が満杯であると判定する。役物制御手段710は、貯留部満杯判定手段713により貯留通路が満杯状態であると判定されたときに、シャッター駆動制御手段714からシャッター駆動ソレノイド243に駆動信号を出力し、シャッター242を開放状態に切り替えさせる。
このため、貯留機構200では、貯留通路220が遊技球で充満される以前においては、入賞口212に落入した遊技球が導入通路215、シャッター242の上面を通って貯留通路220に導かれ、この貯留通路220に導入された順に整列状態で貯留される。一方貯留通路220が満杯状態になり貯留部満杯判定手段713により貯留通路が満杯状態であると判定されると、役物制御手段710はシャッター駆動制御手段714からシャッター駆動ソレノイド243に駆動信号を出力させてシャッター242を開放状態に切り替えさせる。このため、入賞口212に落入し導入通路215を通って導かれた遊技球が、開放された開口部から排出通路230に転落し、遊技済み球排出通路を介して遊技島の回収装置に排出される。このように構成される貯留機構200の下流側に、B:振り分け機構300が設けられている。
B:振り分け機構300は、貯留通路220の下流側に設けられた回転盤収容部310、外周側に遊技球を受容可能な球受け部322を有して回転盤収容部310に回動可能に設けられた第1回転体320、第1回転体320を時計廻りおよび反時計廻りに回動させる第1回転体駆動モータ330、貯留通路220の下流端部に位置整合して設けられ入賞口212から導かれた遊技球を基準位置にある第1回転体の球受け部に導く導入口340、導入口を挟んで回転盤収容部に設けられ第1回転体の回動により移動された遊技球を導出する第1導出口350ならびに第2導出口360、および第1回転体駆動モータの作動を制御する役物制御手段710などからなり、役物制御手段710が入賞条件(例えば後述する図柄制御手段720により決定された停止図柄の組み合わせ)に基づいて第1回転体320を時計廻りまたは反時計廻りに回動させ、基準位置で球受け部322に受容された遊技球を第1導出口350または第2導出口360に排出させるように構成される。
回転盤収容部310は、振り分け機構300のベースとなりハウジング51に固定された回転盤ベース311と、第1回転体320の前面および周縁を囲んで回転盤ベース311にねじ止めされた回転体ケース312により形成される。回転盤ベース311の仕切壁には、前後貫通して第1回転体320のボスを挿通させるボス挿通孔が形成され、その後方のモータ取付部に第1回転体駆動モータ330がネジ固定されている。なお第1回転体駆動モータ330の固定はネジ以外の固定手段、例えばモータフランジ部を回転盤ベース311に嵌着するなど他の固定手段を用いても良い。またボス挿通孔の右側方に仕切壁を貫通して第2導出口360が形成され、その後方に第2導出口360から導出された遊技球を遊技済み球排出通路に向けて排出する第2条件流路361が形成されるとともに、この第2条件流路を通て排出された遊技球を検出する第2条件流路通過検出器362が装着されている。第2条件流路通過検出器362は既述した貯留部満杯検出器251と同様の通過型の検出器であり、その信号が役物制御手段710における遊技球排出監視手段717に入力されて貯留球の処理状況が監視されている。
回転体ケース312は、第1回転体320の外径よりも幾分大きめの内径および厚さの収容凹部を有してキャップ状に形成され、その前面には第1回転体320の回転軸の鉛直下方に位置して導入口340、回転軸の左斜め上方(導入口340から時計廻りに約150度の角度位置)に第1導出口350が形成されている。第1導出口350の前方には第1導出口350から導出された遊技球を揚送機構400に導く第1条件流路351が設けられている。
第1回転体320は、遊技球の球形よりも大きめの厚さを有して正面視円形の回転円盤形態をなし、その中心部には後方に突出して第1回転体駆動モータ330のスピンドルに連結されるボスが形成され、外周部には外径方向に開くU字溝状の球受け部322が第1回転体320の回転軸を中心として全周を2等分した180度の角度ピッチで2箇所形成されている。
各球受け部322,322は、正面視における全体的な投影形状が遊技球の球形よりも幾分大きめの幅および深さを有するU字溝状に形成される一方、U字溝を形成する左右の溝壁面はU字状底面の中央を境にして前後逆方向に開く傾斜面で形成される。すなわち、U字溝が上方に開く角度姿勢において左壁面が前方に開く傾斜面、右壁面が後方に開く傾斜面で構成されている。このため球受け部322に受容された遊技球は、球受け部322が中心よりも右半分の領域にあるときには右壁面の傾斜に従って後方に誘導され、球受け部322が中心よりも左半分の領域にあるときには左壁面の傾斜に従って前方に誘導されるようになっている。
第1回転体駆動モータ330は、所定減速比の減速機構を内蔵したギヤモータであり、第1回転体駆動制御手段715からの駆動信号に応じてスピンドルを時計廻りまたは反時計廻りに所定角度回動させる。スピンドルの先端部は外周面の一部が平坦に面取りされて断面視D字状に形成されており、このスピンドル先端部に同一の穴形状を有する第1回転体320のボスを嵌入して連結することで、モータ側の基準角度位置と第1回転体側の球受け部の角度位置とを合致させるとともに、第1回転体駆動モータ330回転トルクを第1回転体320に確実に伝達可能になっている。
第1回転体駆動モータ330が組付けられた回転盤ベース311の背面側には、第1回転体320が基準位置(球受け部322,322が回転軸の鉛直上下に位置して導入口340と整合する回転角度位置)にあるか否かを検出する第1回転体モータセンサ(基準位置検出器)335が設けられ、その信号が役物制御手段710に入力されている。第1回転体モータセンサ335の検出信号は電源投入時における第1回転体320の角度位置の初期設定や、第1回転体による振り分け作動後に第1回転体320を基準位置に復帰させるときの基準とされ、この制御により第1回転体320は、球受け部322が導入口340と位置整合した基準位置に確実に停止されるようになっている。
振り分け機構300は、第1回転体駆動モータ330を回転盤ベース311のモータ取付部にネジ固定して、仕切壁の前方から第1回転体320のボスをスピンドルの前端部に嵌入し、その前方に回転体ケース312を装着して回転盤ベース311にネジ固定することで部分組立され、この部分組立体を後方からハウジング51に組付けることで、前述した流路切り替え機構200の貯留通路220、次述する揚送機構400に繋がる第1条件流路351と位置整合して配設される。
役物制御手段710は、この制御手段内部の条件達成判定手段718によって判定された入賞条件に基づいて第1回転体駆動制御手段715から第1回転駆動モータ330に駆動信号を出力させ、第1回転体320を時計廻りまたは反時計廻りに回動させて、導入口340から球受け部322に導かれた遊技球を第1導出口350または第2導出口360に排出させるように制御する。なお条件達成判定手段718は、第1条件達成判定手段718aと第2条件達成判定手段718bとを有し、後述する図柄制御手段720によって抽選され決定された停止図柄の組み合わせが、第1条件(例えば、図1の図柄表示装置12の上段に付記したような(777)、いわゆるぞろ目の当たり条件)を達成しているか、あるいは第2条件(同様に、図柄表示装置12の下段に付記したような(378)、はずれの条件)を達成しているかを判定する判定手段である。
そして例えば、条件達成判定手段718によって判定された入賞条件が第1条件(当たり)である場合には、第1回転体駆動制御手段715が第1回転駆動モータ330を時計廻りに約150度回動させる駆動信号を出力して第1回転体320を回動させ、遊技球を受容した球受け部322を第1導出口350に整合させた角度位置に一時停止させる。また条件達成判定手段718によって判定された入賞条件が第2条件(はずれ)である場合には、第1回転駆動モータ330を反時計廻りに約90度回動させる駆動信号を出力して第1回転体320を回動させ、遊技球が受容された球受け部322を第2導出口360に整合させた角度位置に一時停止させる。
前述したように、球受け部322は、U字溝を形成する左右の溝壁面が底面中央を境に前後逆方向に開く傾斜面で形成されており、U字溝が上方に開く角度姿勢において左壁面が前方に開く傾斜面、右壁面が後方に開く傾斜面で構成されている。このため球受け部322に受容されて第1導出口350と整合する角度位置に配設された遊技球は、左壁面の傾斜に従って前方に誘導され、第1導出口350から第1条件流路351に排出されて揚送機構400に導かれる。一方球受け部322に受容されて第2導出口360と整合する角度位置に配設された遊技球は、右壁面の傾斜に従って後方に誘導され、第2導出口360から第2条件流路361に排出され、第2条件流路通過検出器362により通過が検出されたうえ遊技済み排出通路を介して遊技島の回収装置に排出される。
役物制御手段710は、上記第1導出口350または第2導出口360への振り分け作動によって導出された遊技球の排出処理が確認されたのち、具体的には第2条件流路通過検出器362により遊技球が検出されこの検出器からの信号を監視する遊技球排出監視手段717により遊技球の排出が確認されたとき、あるいは後述する回転入賞機構500において遊技球が検出され遊技球排出監視手段717により遊技球の排出が確認されたときに、第1回転体駆動制御手段715から第1回転駆動モータ330に駆動信号を出力させ、第1回転体320を再び時計廻りまたは反時計廻りに回動させて、第1回転体320を基準位置に復帰させる。
例えば、球受け部322が第1導出口350と整合した角度位置で第1回転体320を一時停止させた状態のときは、第1回転駆動モータ330を再び時計廻りに約30度回動させる駆動信号を出力して第1回転体320を基準位置近傍まで回動させ、第1回転体モータセンサ335から入力される検出信号により第1回転体320が基準位置に到達したと判定されたときに第1回転駆動モータ330の回動を停止させる。同様に、球受け部322が第2導出口360と整合した角度位置で第1回転体320を一時停止させた状態のときは、第1回転駆動モータ330を再び反時計廻りに約90度回動させる駆動信号を出力して第1回転体320を基準位置近傍まで回動させ、第1回転体モータセンサ335から入力される検出信号により第1回転体320が基準位置に到達したと判定されたときに第1回転駆動モータ330の回動を停止させる。
このため、条件達成判定手段718によって判定された入賞条件が第1条件である場合には、基準位置で球受け部322に受容された遊技球が第1導出口350から第1条件流路351に排出されて次段の揚送機構400に導かれ、入賞条件が第2条件である場合には、基準位置で球受け部322に受容された遊技球が第2導出口360から第2条件流路361および遊技済み球排出通路を介して遊技島の回収装置に排出され、その後第1回転体320が基準位置まで回動して新たな遊技球を球受け部322に受容可能な状態で待機される。なお条件達成判定手段718による入賞条件の判定を含む複合入賞装置の総合的な作動制御については、回転入賞機構500の構成についての説明の後に詳述する。
C:揚送機構400は、振り分け機構300の第1導出口350に排出され第1条件流路351を通って導かれた遊技球を入賞口212よりも上方に搬送するように構成される。
揚送機構400は、回転軸の外周に螺旋状の球送りプレートを有する揚送スクリュー410、揚送スクリュー410を回転駆動する揚送装置駆動モータ420、揚送装置駆動モータ420の回転駆動力を揚送スクリュー410に伝達する駆動力伝達構造430、および揚送装置駆動モータの作動を制御する役物制御手段710などからなり、役物制御手段710が所定入賞条件のもとに揚送装置駆動モータ430を回転作動させて遊技球を入賞口212よりも上方に搬送する
揚送スクリュー410は、上下に延びる回転軸411と、この回転軸411から外周方向に突出し上下方向に螺旋状に延びる球送りプレート412とからなり、例えば所定線径の金属シャフトの外周に、薄板金属性の球送りプレートを遊技球の球形よりも幾分大きめのピッチて螺旋状に巻き付け、これを溶着等の固定手段により固定して一体に形成される。揚送スクリュー410の下部には、駆動力伝達構造430の従動ギヤが設けられており、例えば金属シャフトの下端部に樹脂製の従動ギヤを圧入固定することで一体的に結合される。
揚送スクリュー410が収容されるガイドカバー401は、平面視において後方に開く矩形樋状をなし、前後方向の樋の深さが遊技球の直径よりも幾分大きめに形成されている。樋内側の下部には、上下を仕切る仕切壁が形成されており、遊技球が揚送される揚送部と従動ギヤが収容されるギヤ収容部とが区画形成される。仕切壁には、回転軸411を上下に挿通させる後端開放の長孔状の支持溝が形成され、ガイドカバー401の上部には回転軸411の上端部を枢支する軸受穴が形成されている。
従動ギヤが結合された揚送スクリュー410は、ガイドカバー上部に形成された軸受孔に回転軸を挿入して軸上端部を枢支させるとともに、仕切壁に形成された支持溝に回転軸411を係合させて軸外周部を支持させることで、ガイドカバー401の内側に回転自在に取り付けられる。そして、これをハウジング51の前方から装着して固定することでハウジング51の前面側に取り付けられ、仕切壁直上の揚送部が第1条件流路251の下流側開口部と位置整合して配設される。
一方、揚送スクリュー410を回転駆動する揚送駆動モータ420は、所定減速比の減速機構を内蔵したギヤモータであり、スピンドルの先端部に駆動力伝達構造の駆動ギヤが圧入固定されている。また駆動伝達機構430は揚送駆動モータ420に固定された駆動ギヤと、揚送スクリュー410に固定された従動ギヤと、駆動ギヤおよび従動ギヤと相互に噛合して駆動ギヤの駆動力を従動ギヤに伝達する伝達ギヤとからなり、伝達ギヤが枢支されたモータベース402に揺動駆動モータ420をねじ止めすることで駆動ギヤと伝達ギヤとが噛合して回転駆動力を伝達可能な状態に配設される。そしてこのモータベース402をハウジング51の後方から装着することで、伝達ギヤと従動ギヤとが噛合して配設され、詳細図示省略する固定手段によりモータベースを固定することでハウジング51に取り付けられる。
これにより揚送駆動モータ420の回転駆動力が駆動ギヤ,伝達ギヤ,従動ギヤからなる駆動力伝達構造430を介して揚送スクリュー410に伝達され、揚送駆動モータ420を回転作動させることで、駆動力伝達機構430の減速比に応じた回転速度で揚送スクリュー410を同一方向に回転させることができる。駆動力伝達機構430の減速比は揚送駆動モータ420の定格回転速度と揚送スクリュー410により揚送しようとする遊技球の搬送速度とを基本に設定することができ、例えば、駆動ギヤと従動ギヤの歯数を同一にすることで、揚送駆動モータ420のスピンドル1回転に対して揚送スクリュー410が1回転する減速比に設定することができる。なお駆動力伝達機構として、ベルトとプーリ、チエーンとスプロケット等を利用することも可能である。
揚送駆動モータ420の作動は役物制御手段710における揚送装置駆動制御手段716によって制御され、揚送装置駆動制御手段716は所定入賞条件のもと揚送駆動モータ420に駆動信号を出力してスピンドルを平面視における反時計廻りに回転させ、揚送スクリュー410を同一方向に回転させる。これにより、第1条件流路351から揚送部に導入された遊技球が、回転する球送りプレート412の螺旋傾斜面に持ち上げられ入賞口212よりも上方に搬送される。なお、揚送駆動モータ420を常時回転させる形態としても良い。
ここで、ガイドカバー401の前後方向の樋深さは、遊技球の直径よりも幾分大きい程度に設定されている。このため、第1条件流路351から揚送部に導入された遊技球がガイドカバーの前方内面に当接支持されて球送りプレート412の螺旋傾斜面を転動流下するようなことがなく、揚送スクリュー410の回転とともに鉛直上方に揚送される。ガイドカバー401は、透明な樹脂材料や半透明の樹脂材料を用いて成型されており、揚送スクリュー410により揚送される遊技球をパチンコ機の前面側から視認可能になっている。
揚送部の上端近傍では、揚送部の後方に位置する化粧板2が切り欠かれて後方に開く上端開口450が形成され、その後方に上端開口から排出された遊技球を回転入賞機構500に導く案内流路505が設けられる。揚送部の上端近傍では、揚送部の上壁面を構成するガイドカバーの下向き面が、後方に向けて斜めに開いて形成されており、揚送部の上端まで揚送された遊技球が、この傾斜面に当接して後方に押し出され、後方に下傾して形成された上端開口450から案内流路505に排出されるようになっている。
従って、揚送機構400を設けることで入賞口212に落入した遊技球を入賞口212よりも上方に設けた回転入賞機構500に導くことができ、遊技盤1の限られた盤面サイズを有効に活用したレイアウト設定が可能になっている。なお、揚送スクリュー410は、回転軸の外周面に遊技球の球径に合わせた半円形の溝を螺旋状に一体的に形成して構成してもよい。また揚送スクリュー410に代えて、高分子材料製ないし金属製の無端ベルトの外周面に遊技球を持ち上げ支持可能なタブ状の支持片を所定間隔で複数形成した揚送ベルトを用いて、揚送部の上下に設けられたプーリ間に掛け渡して回転させ、あるいは同様の支持片を有するチェーンを上下のスプロケット間に掛け渡して回転させ、または遊技球を吸着して移送するマグネットを利用して遊技球を上方に搬送するような機構構成としても良い。
D:回転入賞機構500は、揚送機構400により上方に搬送され上端開口450から排出された遊技球を導入する案内流路505、入賞具210の後方に位置して設けられ皿面上を遊技球が転動可能なテーパーコーン状の転動皿510、この転動皿510の中心部に回転可能に設けられた第2回転体520、第2回転体520を回転駆動する第2回転体駆動モータ530、および回転入賞機構500における入賞状態に応じて遊技機の作動を制御する遊技制御装置700などから構成される。
案内流路505は、上端開口450と転動皿510との間を結んで化粧板2の裏面側に設けられている。案内流路505は、上端開口450から転動皿510に向けて下傾する傾斜樋状に形成されるとともに、平面視において円環状をなす転動皿510の円環に接するように形成されており、案内流路450を流下した遊技球が転動皿510の外周に沿って転動するようになっている。
一方、転動皿510の中心部に設けられ、第2回転体駆動モータ530により回転駆動される第2回転体520には、平面視においてU字状に開口する球受容孔525が4箇所形成されており、転動皿510の外周に沿って転動した遊技球が第2回転体520の回転角度位置との関係で、これら4箇所の球受容孔525の何れかに転入する。4箇所の球受容孔は、入賞領域を形成し、このうち1箇所が特別領域、他の3箇所が非特別領域とされる。第2回転体駆動モータ530の作動は遊技制御装置700における第2回転体駆動制御手段730によって制御される。
第2回転体520の下側には、特別領域および非特別領域に転入した遊技球を遊技済み球排出通路に導く遊技球排出通路が形成されるとともに、特別領域に転入した遊技球を検出する特別領域通過検出器521、および遊技領域排出通路を通って回転入賞機構500から排出される遊技球を検出する遊技球排出検出器522が設けられている。特別領域通過検出器521の信号は遊技制御装置700の特別遊技判定実行手段740に入力され、遊技球排出検出器522の信号は遊技球排出監視手段717に入力されている。
特別遊技判定実行手段740には、特別領域通過判定手段741aを有する特別遊技移行判定手段741と、大入賞口開閉駆動制御手段742aを有する特別遊技実行手段742とが設けられており、上記信号から特別領域通過判定手段741aにより特別領域の通過判定がなされ、特別遊技移行判定手段741において特別遊技への移行判定がなされたときに、特別遊技実行手段742で特別遊技の実行プログラムが起動され、前述した開閉入賞機構60による特別遊技が実行される。
開閉入賞機構60の大入賞口開閉駆動ソレノイド631は、特別遊技実行手段の大入賞口開閉駆動制御手段742aによって作動が制御され、特別遊技実行手段742で起動した特別遊技の実行プログラムにおいて開閉扉620を開放する開放処理ステップになったときに、大入賞口開閉駆動制御手段742aから大入賞口開閉駆動ソレノイド631に開放指令信号(具体的には、大入賞口開閉駆動ソレノイド631をONする駆動信号)が出力される。
すると、大入賞口開閉駆動ソレノイド631のプランジャが吸引されて駆動伝達具634が上動し、リンクピン636を介して連結されたリンクアーム635が正面視反時計廻りに回動され、リンクアーム635と揺動軸625で連結された開閉扉620が略60度反時計廻りに傾倒されて、大入賞口612が開放される(図7を参照)。ここで、開閉扉620は上部がくの字上に屈曲して形成されるとともに、開放姿勢において開閉扉のリブ627がユニットベースの支持部617に当接して支持される。このため、上方から多数の遊技球が落下してきても、これらの遊技球を確実に受け止めて大入賞口612の内方に誘導することができる。
大入賞口612に入球した遊技球は、開閉入賞機構ユニット600の導出通路613を通って導出口614に導かれ、導出口614から装飾枠側の連絡流路164、球寄せカバー19に形成された排出流路19a、および裏セット盤に形成された遊技済み球排出通路を転動流下して遊技施設側の回収装置に排出される。導出通路613に設けられた大入賞口入賞検出器650の信号は遊技制御装置700に入力されており、遊技制御装置700は入力される信号から大入賞口612に落入した遊技球の数量をカウントして、所定数量に達したときにいる。大入賞口開閉駆動ソレノイド631に出力していた開放指令信号(駆動信号)をOFFにする。
すると、大入賞口開閉駆動ソレノイド631のプランジャがリターンスプリングのバネ力により押し出されて駆動伝達具634が下動し、リンクピン636を介して連結されたリンクアーム635が正面視時計廻りに回動され、揺動軸625で連結された開閉扉620が時計廻りに傾倒されて、大入賞口612が閉止される。
従って、揚送機構400により搬送された遊技球を回転入賞機構500に導く構成により、振り分け機構300で振り分けられた遊技球をさらに振り分けて新たなゲームを展開する複雑な遊技構成にすることができ、遊技者を飽きさせない趣向に富んだ遊技機を提供することができる。なお遊技制御装置700には、図柄変動記憶手段721および停止図柄決定手段722を有する図柄制御手段720が設けられており、後述する所定条件のもと図柄表示装置12の作動が制御される。
さて、以上のように構成される複合入賞装置20の作用について、図柄表示装置12の作動制御を含めて、図17を併せて参照しながら説明する。なお図17は複合入賞装置20の各部の作動タイミングを例示するタイミングチャートである。
図1に示した遊技盤1がパチンコ機に装着され、ガラス扉が閉鎖された遊技状態で遊技球発射装置から遊技領域PAに遊技球が発射されると、遊技球は多数本の遊技釘や風車等に弾かれながら下方に落下する。特別遊技が実行されていない通常の遊技状態にあっては中央飾り10に設けられた開閉入賞機構の開閉扉620が閉止状態にあり、中央飾り上部の上部一般入賞口13またはワープ入球口14に落入しなかった遊技球は、前方に張り出された装飾枠100の枠部側方を通って遊技領域PAを落下する。
そして順次落下する多数の遊技球のうち、一部の遊技球は下部一般入賞口3に落入して化粧板2の背面側に導かれ、また一部の遊技球はゲート5を通って遊技領域の下端に落下するほか、殆どの遊技球は遊技領域PAの下端まで落下してアウト口8から化粧板2の背面に導かれ、一般入賞口3,13に落入した遊技球とともに遊技済み球排出通路を介して遊技島の回収装置に回収される。
遊技制御装置700は、遊技球が上部一般入賞口13や下部一般入賞口3に落入して各入賞具に設けられた入賞検出器から入賞検出信号が入力されたときに、球払出装置に払出指令信号を出力して払い出し作動させ、褒賞としての遊技球を機体前方の球皿に払い出させる。
また、ワープ入球口14に落入した遊技球は、装飾枠100に形成された上部案内通路121および側部案内通路122を通ってワープ出口124に導かれ、まず上段ステージ142を左右に転動する。そして、多くの遊技球は前傾する左右何れかの凹部から下段ステージ141に落下して下段ステージ141を左右に転動し、中央の誘導部141gから中央飾り10の下部領域に流下する。ここで下段ステージの誘導部141gは遊技球2球程度の幅を有して形成されているため、誘導部141gから落下する遊技球の落下経路は一定ではない。このため、入賞口212が拡大されていない状態では、多くの遊技球がチューリップ羽根上方のガイド筒に弾かれて入賞具の左右を落下し、誘導部141gの中心に収斂して鉛直落下する一部の遊技球のみがガイド筒を通って入賞口212に落入する。
一方、上段ステージ142を左右転動するうちに上段ステージの誘導溝142gに係合した遊技球は、前方開くV字状の係合誘導溝により溝に沿って前方に誘導され、付勢誘導溝に落ち込むことで付勢されて特別流下通路145gを転動し、特別流下通路145gの前端部から中央飾り10の下方に落下する。前述したように入賞具210は特別流下通路145gと位置整合して直下に配設されるとともに、チューリップ羽根の上方に設けられたガイド筒は特別流下通路145gから鉛直に落下してくる遊技球をガイドするように構成されている。このため、特別流下通路145gを通って前端部から落下する遊技球の多くは入賞口212に落入する。
他方、中央飾り側方の遊技領域を落下した遊技球や下段ステージの誘導部から入賞具210の側方に転落した遊技球がゲート5を通過し、ゲート5に内蔵されたゲート通過検出器5sから遊技制御装置700にゲート通過検出信号が入力されると、遊技制御装置700はゲート通過検出信号に基づく制御フローを呼び出し、複合入賞装置20における入賞具210の作動を制御する。例えば役物制御手段710の入球部拡大装置駆動制御手段711から入賞具210の入球部拡大装置駆動ソレノイド213に駆動信号を出力させ、左右のチューリップ羽根を0.5秒〜1秒程度の所定時間開放させて入賞口212を拡大させる。入賞口212が拡大されると遊技球が入賞しやすくなり、入賞具210の周囲を落下する遊技球が左右のチューリップ羽根211,211に受け止められて連続的に入賞口212に落入する。
そして、これらのようにして入賞口212に落入した遊技球は、役物入球検出器214により通過が検出されたのち導入通路215を流下し、図10に示すように常には閉止状態にあるシャッタ242の上面を転動して球貯留通路220に流入する。
役物入球検出器214の信号は入球判定手段712に入力されており、入球判定手段712は入力される信号から遊技球が入球したか否かを判定する。そして遊技制御装置700では、入球判定手段712における判定が入球判定である場合には、貯留通路に貯留された遊技球の数量を一時記憶する貯留球メモリのメモリ値を参照し、この値が所定の最大貯留球数(例えば5個)未満であるときに、メモリ値を加算(カウントアップ)して貯留球メモリに一時記憶する。
また遊技制御装置700は、貯留球メモリのメモリ値が1以上であるときに、所定条件のもと図柄制御手段720に図柄変動制御の開始指令信号を出力して図柄の変動を開始させる。図柄制御手段720では、停止図柄決定手段722により停止図柄の組み合わせが抽選されて決定され、図柄変動記憶手段721が決定された停止図柄に基づいて停止図柄に至る図柄の変動パターンを呼び出して、図柄表示装置12の表示作動を制御する。
例えば、入賞口212に5個の遊技球が落入すると、図17における(a)に示すように、役物入球検出器214から5つのパルス状の入球検出信号が出力され、これを受けた役物入球判定手段712でそれぞれの入球判定が行われるとともに、貯留球メモリのメモリ値が入球判定ごとに1ずつ加算されて1,2…5まで増加する。そして図柄制御手段720により図柄の変動制御が開始されたときに、貯留球メモリのメモリ値が1つ減算され、残る図柄変動回数4が記憶され、その回数が例えば遊技盤に設けられた記憶表示LED(各種遊技効果ランプ)6に表示される。これにより遊技者は透明なカバー部材52を通して貯留通路220に整列待機された遊技球をパチンコ機前面側から直接視認できるとともに、残る図柄変動回数を記憶表示LEDにより確認することができる。
また上記のように5個の遊技球が貯留通路220に流入すると、流入した遊技球は第1個目の遊技球が導入口340から最初に基準位置にある球受け部(以下、説明の便宜上「第1球受け部」という)322に受容され、第2〜第5個目の遊技球が貯留通路220に位置して停留され、入賞口212に落入した遊技球が流入した順に整列状態で貯留待機される。
このとき、第5個目の遊技球は貯留通路入り口の貯留部満杯検出器251の検出孔内に位置して停留される。このため貯留部満杯検出器251の検出信号は、図17(c)に示すように第5個目の遊技球の検出信号が連続した検出状態となり、これを受けた貯留部満杯判定手段713は、入力された検出信号が所定時間以上連続した遊技球検出信号であることから貯留通路220が満杯状態であると判定する。役物制御手段710は、貯留部満杯判定手段713により貯留通路220が満杯状態であると判定されたときに、シャッター駆動制御手段714からシャッター駆動ソレノイド243に駆動信号を出力し図11および図17(d)に示すようにシャッター242を開放状態に切り替えさせる。
このため、貯留通路220が満杯状態になると、満杯状態が解除されるまで貯留機構200のシャッター242が排出通路230の上部を開く開放状態になり、導入通路215を通って導かれた遊技球が排出通路230に転落して、遊技済み球排出通路を介して遊技島の回収装置に排出される。
このように、貯留機構200では、貯留通路220が遊技球で充満される以前の非充満状態において、入賞口212に落入した遊技球が確実に貯留通路220に導かれて入賞した順に整列状態で貯留されるとともに、貯留通路220が充満状態になって以降は、充満状態が解除されるまで排出通路230に導かれて排出される。このため、入賞口212最大貯留球数を超える数量の遊技球が落入しても、貯留通路220に既に整列貯留された遊技球に何ら影響を与えることがなく、また貯留通路220に貯留された第1〜第5の各遊技球に対応したゲームを次段の振り分け機構300で的確に実行することができる。
一方、図柄制御手段720において図柄変動が停止し、図柄表示装置12に停止図柄の組み合わせが表示されると、役物制御手段710は、条件達成判定手段718によって判定された入賞条件に基づいた駆動信号を第1回転体駆動制御手段715から第1回転駆動モータ330に出力させ、振り分け機構300の第1回転体320を時計廻りまたは反時計廻りに回動させる。例えば、条件達成判定手段718によって判定された入賞条件が第2条件(はずれ)である場合には、図17(e)に示すように第1回転駆動モータ330を反時計廻りに約90度回動させる駆動信号を出力して第1回転体320を左回転させ、図10および図12に示すように遊技球が受容された第1球受け部322を第2導出口360に整合させた角度位置、すなわち第2導出位置に一時停止させる。
前述したように、球受け部322,322は、U字溝を形成する左右の溝壁面が底面中央を境に前後逆方向に開く傾斜面で形成されており、U字溝が上方に開く角度姿勢において左壁面が前方に開く傾斜面、右壁面が後方に開く傾斜面で構成されている。このため第1球受け部322に受容されて第2導出位置に配設された遊技球は、U字溝の右壁面の傾斜に従って後方に誘導され、第2導出口360から第2条件流路361に排出され、第2条件流路通過検出器362により通過が検出されたうえ遊技済み排出通路を介して遊技島の回収装置に排出される。
そして第2条件流路通過検出器362により遊技球が検出され、この信号を監視する遊技球排出監視手段717において遊技球の排出が確認されたとき、すなわち第2導出口360への振り分け作動によって導出された遊技球の排出処理が確認されたのち、第1回転駆動モータ330を再び反時計廻りに約90度回動させる駆動信号を出力し、第2導出位置で一時停止していた第1回転体320を基準位置近傍まで回動させ、第1回転体モータセンサ335から入力される検出信号により第1回転体320が基準位置に到達したと判定されたときに第1回転駆動モータ330の回動を停止させる。
これにより貯留通路220に貯留された第1球目の遊技球の振り分け処理が完了するとともに、基準位置に配設された第1回転体320の下側の球受け部(以下、「第2球受け部」という)322が導入口340と位置整合して配設され、第2球目の遊技球が第2球受け部322に受容されて、次の振り分け作動に向けて待機保持される。
球貯留通路220では、第2球目の遊技球が第2球受け部322に導入されることで、通路内に貯留された遊技球がそれぞれ1個分づつ導入口側に移動し、貯留部満杯検出器251の信号が連続した検出状態から非検出状態に変位する。このため貯留部満杯判定手段713による判定が充満状態から非充満状態に変化し、シャッター駆動制御手段714からシャッター駆動ソレノイド243に出力されていた駆動信号がOFFになって、シャッター駆動ソレノイド243のリターンスプリングのバネ力によりシャッター242が閉止状態に復帰される。
また第1球目の振り分け処理の完了とともに、図柄制御手段720により第2球目の遊技球に対する図柄の抽選および変動制御が開始され、貯留球メモリのメモリ値が4→3に減算されて記憶される一方、図17(a)(b)に示すように図柄の変動中に入賞口212に新たに遊技球が落入すると、貯留球メモリのメモリ値が3→4に加算されて記憶される。またこれにより貯留通路220が再び満杯状態となり、貯留部満杯判定手段713による満杯判定に基づいてシャッター242が開放される(図17(c)および(d))。
図柄制御手段720において図柄変動が停止し、図柄表示装置12に図柄の組み合わせが表示されると、役物制御手段710は、条件達成判定手段718によって判定された入賞条件に基づいた駆動信号を第1回転体駆動制御手段715から第1回転駆動モータ330に出力させて、第1回転体320を時計廻りまたは反時計廻りに回動させる。図17ではこの第2球目の遊技球に対して条件達成判定手段718で判定された入賞条件が第1条件(当たり)である場合を示しており、第1回転体駆動制御手段715は第1回転駆動モータ330を時計廻りに約150度回動させる駆動信号を出力して図17(e)に示すように第1回転体320を右回転させ、図11に示すように遊技球が受容された第2球受け部322を第1導出口350に整合させた角度位置、すなわち第1導出位置に一時停止させる。
この角度位置では、第2球受け部322に受容された遊技球はU字溝を形成する左右の溝壁面における左側の壁面に支持されており、第1導出口350と整合して前方が開放された遊技球がU字溝の左壁面の傾斜に従って前方に誘導され、第1導出口350から第1条件流路351に排出され、第1条件流路351を転動流下して次段の揚送機構400に導かれる。
また条件達成判定手段718で判定された入賞条件が第1条件である場合には、遊技制御装置700は、役物制御手段710の揚送装置駆動制御手段716および第2回転体駆動制御手段730に指令信号を出力し、それぞれ揚送装置駆動モータ420および第2回転体駆動モータ530の駆動信号を出力させて、揚送機構400の揚送スクリュー410および回転入賞機構500の第2回転体520を回転駆動させる(図17(g)および(h))。
これにより、第1条件流路351を転動流下して揚送機構400に導かれ、第1条件流路351から揚送部に導入された遊技球は、揚送装置駆動モータ420により回転駆動される揚送スクリュー410の螺旋状の球送りプレート412に持ち上げられ、ガイドカバーに案内されながら鉛直上方に揚送される。揚送部の上端部まで揚送された遊技球は、ガイドカバーの下向き面に形成された傾斜面に当接して後方に押し出され、上端開口450から案内流路505に排出される。そして転動皿510に向けて下傾する案内流路505を転動流下し、回転入賞機構500に導かれる。
回転入賞機構500に導入された遊技球は、テーパーコーン状の転動皿510に受け止められて第2回転体520の周囲を転動し、第2回転体駆動モータ530により回転駆動されている第2回転体520の4箇所の球受容孔525の何れか、すなわち1箇所の特別領域または3箇所の非特別領域のうち何れかに転入する。そして特別領域に転入した遊技球は特別領域通過検出器521および遊技球排出検出器522に検出され、非特別領域に転入した遊技球は遊技球排出検出器522にのみ検出された後、遊技済み球排出通路を介して遊技島の回収装置に排出される。特別領域通過検出器521および遊技球排出検出器522の信号は遊技制御装置700に入力されている。
図17では回転入賞機構500に導入された遊技球が特別領域に転入した例を示しており、図17(i)(j)に示すように、特別領域に転入した遊技球が特別領域通過検出器521および遊技球排出検出器522に検出され、遊技済み球排出通路を介して遊技島の回収装置に排出される。遊技制御装置700における特別遊技判定実行手段740では、特別領域通過検出器521の検出信号から特別領域通過判定手段741aにおいて特別領域の通過判定がなされ、この通過判定および遊技機の作動状況に基づいて特別遊技移行判定手段741で特別遊技への移行判定がなされる。特別遊技実行手段742では特別遊技への移行判定を受けて特別遊技の実行プログラムが起動され、開閉入賞機構600による特別遊技が実行される(図17(k))。
具体的には、特別遊技実行手段742における大入賞口開閉駆動制御手段742aから大入賞口開閉駆動ソレノイド631に開放指令信号が出力され、開閉扉620のが所定期間(例えば30秒程度の所定時間、あるいは遊技球が10個入賞するまでの期間)左方に略60度傾倒されて大入賞口612が開放される。大入賞口612に落入した遊技球は大入賞口入賞検出器650に検出され、開閉入賞機構ユニット600の導出通路613を通って導出口614に導かれ、導出口614から装飾枠側の連絡流路164、球寄せカバー19に形成された排出流路19a、および裏セット盤に形成された遊技済み球排出通路を転動流下して遊技施設側の回収装置に排出される。大入賞口入賞検出器650から入賞検出信号を受けた遊技制御装置700は、入賞球数に応じた指令信号を球払出装置に出力して褒賞としての遊技球を球皿に払い出させる。
また遊技制御装置700は、遊技球排出検出器522からの信号を監視する遊技球排出監視手段717において遊技球の排出が確認されたとき、すなわち第1導出口350への振り分け作動によって導出された遊技球の排出処理が確認されたのち、第1回転駆動モータ330を再び時計廻りに約30度回動させる駆動信号を出力し、第1導出位置で一時停止していた第1回転体320を基準位置近傍まで回動させ、第1回転体モータセンサ335から入力される検出信号により第1回転体320が基準位置に到達したと判定されたときに第1回転駆動モータ330の回動を停止させる。
これにより貯留通路220に貯留された第2球目の遊技球の振り分け処理が完了するとともに、基準位置に配設された第1回転体320の第1球受け部322が導入口340と位置整合して配設され、第3球目の遊技球が第1球受け部322に受容されて、次の振り分け作動に向けて待機保持される。
ここで、振り分け機構300では、球受け部322が第1回転体320の回転軸を中心として全周を2等分した角度ピッチθ=180度で2箇所形成され、導入口340に対する第1導出口350の角度位置θ1=150度、および導入口340に対する第2導出口360の角度位置θ2=90度が、いずれも球受け部322,322の形成角度ピッチθよりも小さく形成されている。このため、基準位置にある第1球受け部に受容した遊技球を第1導出口350(または第2導出口360)に向けて移動させている間に軸対称位置にある第2球受け部が導入口340に接近し、第1球受け部の遊技球を第1導出口350(第2導出口360)に排出したのち第1回転体320をわずか30度程度(90度程度)回動させることで、第2球受け部が導入口340に配設される。すなわち、振り分け機構300では第1球受け部を元の角度位置まで戻す必要がなく、第1球受け部の回動による振り分け作動とともに第2球受け部が導入口340に移動して基準位置に配設される。このため、従来振り分け時間と同程度の時間、あるいは振り分け作動以上の時間を要していた復帰作動の時間を大幅に削減することができ、基準位置への復帰を待って行われる次の遊技を、わずかなインターバルで開始することができる。
また、球受け部が第1回転体320の全周を2等分した角度ピッチで形成されていることから、第1回転体320の回動方向が時計廻りまたは反時計廻りに連続する場合、あるいは時計廻り・反時計廻りに反転を繰り返す場合のいずれであっても、第1回転体320の回動開始〜第2球受け部が基準位置に配設されるまでの作動時間を、第1回転体320が1/2回転する一定時間にすることができる(図17(e)を参照)。
従って、以上説明した複合入賞装置20によれば、個々の入賞球に固有の意義を持たせて1:1対応のゲーム展開を実現できることに加えて、振り分け機構に導かれた遊技球を連続して振り分け案内する遊技形態であっても振り分け処理を迅速且つ均等に行うことができ、ゲーム展開の抑揚を明確化するとともに稼働の低下を防止した入賞装置を提供することができる。さらに、限られた遊技盤面を有効に活用した自由なレイアウト設計のもとで趣向に富んだ斬新なゲーム構成の遊技機を提供することができる。