JP2006013356A - 電子部品収納用パッケージおよび電子装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 電子部品の発した熱をパッケージの外部や大気中に良好に放散させ、パッケージの固定が容易で内部の気密信頼性を低下させることがない電子部品収納用パッケージおよび電子装置を提供すること。
【解決手段】 電子部品収納用パッケージの放熱部材1は、中央部に上面から下面にかけて貫通孔10を有する枠状の基体1aと、基体1aよりも熱膨張係数および熱伝導率が大きくかつ縦弾性係数が小さい材料から成る、基体1aの貫通孔10の上端から下端にかけて埋設されている貫通金属体11、貫通金属体11の上面から基体1aの側面にかけて形成された上部金属層1cおよび基体1aの下面に接合された下部金属板1bとから成り、下部金属板1bは、基体1aの下面の端よりも外側に延出した延出部を有しているとともに延出部にネジ止め用の切欠き部1dが形成されており、上部金属層1cは、外周端が下部金属板1bに接している。
【選択図】 図1
【解決手段】 電子部品収納用パッケージの放熱部材1は、中央部に上面から下面にかけて貫通孔10を有する枠状の基体1aと、基体1aよりも熱膨張係数および熱伝導率が大きくかつ縦弾性係数が小さい材料から成る、基体1aの貫通孔10の上端から下端にかけて埋設されている貫通金属体11、貫通金属体11の上面から基体1aの側面にかけて形成された上部金属層1cおよび基体1aの下面に接合された下部金属板1bとから成り、下部金属板1bは、基体1aの下面の端よりも外側に延出した延出部を有しているとともに延出部にネジ止め用の切欠き部1dが形成されており、上部金属層1cは、外周端が下部金属板1bに接している。
【選択図】 図1
Description
本発明は良好な放熱特性の放熱構造を有する、半導体素子などの電子部品を収納するための電子部品収納用パッケージおよびそれを用いた電子装置に関するものである。
従来、半導体素子,圧電振動子,チップコンデンサ,トランジスタ,発光素子などの電子部品を収容するための電子部品収納用パッケージ(以下、単にパッケージともいう)は、一般に酸化アルミニウム(Al2O3)質焼結体,窒化アルミニウム(AlN)質焼結体,ムライト(3Al2O3・2SiO2)質焼結体,ガラスセラミックス等の電気絶縁材料から成る枠体と、電子部品が搭載されてその動作時に発生する熱を外部もしくは大気中に良好に放散させるための放熱部材と、蓋体とから構成されており、放熱部材の上面の電子部品の搭載部を取り囲むように枠体が配置されているとともに、これら枠体および放熱部材によって形成される凹部の内側から外側にかけて、タングステン(W),モリブデン(Mo),マンガン(Mn),銅(Cu),銀(Ag)等から成る複数の配線導体が枠体に被着され導出されている。
そして、放熱部材の上面の搭載部に電子部品をガラス,樹脂,ロウ材等の接着剤を介して接着固定するとともに、この電子部品の各電極をボンディングワイヤを介して配線導体に電気的に接続し、しかる後、枠体に蓋体をガラス,樹脂,ロウ材等から成る封止材を介して接合し、放熱部材と枠体と蓋体とから成るパッケージの内部に電子部品を収容することによって製品としての電子装置が構成される。
このようなパッケージにおいて、電界効果トランジスタ(FET)に代表されるような発熱量が大きな電子部品を内部に搭載する場合、半導体素子の作動時に発生する熱を大気中に良好に放散させるために、熱伝導性に優れた放熱部材が備えられている。さらに、半導体素子の温度上昇を抑制する対策として、放熱部材に放熱用フィン等の放熱用治具を取付けて自然空冷あるいはファンによる強制空冷で半導体素子の熱を奪う方法が広く採用されている。
従来の熱伝導性に優れた放熱部材を備えたパッケージの一例を示す断面図を図2に示す。同図において、21は放熱部材、21eは電子部品の搭載部、22は枠体、24は蓋体である。放熱部材21は、例えばMoの多孔質焼結体に溶融したCuを含浸させた金属材料から成る基体21aの上下両面にそれぞれCu等から成る下部金属層21bおよび上部金属層21cを設けることで成り、放熱部材21の上側主面の外周部には、載置部21eを取り囲むように接合されたアルミナ(Al2O3)質焼結体,窒化アルミニウム(AlN)質焼結体,ムライト(3Al2O3・2SiO2)質焼結体,ガラスセラミックス等の電気絶縁材料から成る枠体22が立設されている。この枠体22は、基体21aにAgロウなどのロウ材を介してロウ付けされることにより立設される。そして、この放熱部材21の外周部に放熱用フィン等の放熱用治具を取り付けるネジ止め固定用の切欠き部21dが設けられる。
枠体22は、上面にメタライズ層から成る配線導体22aが形成された平板部とこの上面に配線導体22aの一部を間に挟んで接合された立壁部とからなり、枠体22の外側の露出した配線導体22a上には外部リード端子23がAgロウなどのロウ材を介して接合されている。
そして、このようなパッケージの載置部21eに電子部品25を載置固定するとともに配線導体22aと電子部品25の電極とをボンディングワイヤ等の電気的接続手段26を介して電気的に接続し、枠体22の上面に鉄(Fe)−ニッケル(Ni)−コバルト(Co)合金などの金属から成る蓋体24を金(Au)−錫(Sn)などのロウ材を用いたロウ付け法やシームウエルド法などの溶接法で取着することにより、主にこれら放熱部材21、枠体22、蓋体24および電子部品25から成る製品としての電子装置が構成されている。
この電子装置は、外部電気回路から供給される電気信号によって電子部品25を駆動することで無線基地局などに用いられるパワーアンプモジュール用などの電子装置として機能する。
そして、この電子装置によれば、電子部品25を熱伝導性のよい放熱部材21上に搭載するため、電子部品25が発する熱を放熱部材21を介して外部に効率よく放熱することができ、電子部品25の温度上昇を抑制させることが可能になるというものである。
また、従来の構成において、下部金属層21bの下面に半田層(図示せず)が設けられている構成が提案されている。ここで半田層の厚みは、放熱部材21の反り量以上である。すなわち、放熱部材21の反り量が例えば20μmである場合、半田層の厚みは20μm以上である。そして、ネジを用いて放熱用フィン等の放熱治具を放熱部材21の切欠き部21dに固定する。このとき、放熱部材21に反りが発生した場合、ネジ止めの外力により半田層が変形してパッケージに生じる歪みが低減され、パッケージや電子部品にクラック等の破損が発生することを防止することができるというものである(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−177019号公報
しかしながら、上記従来のパッケージの放熱部材21では、電子部品25から発生した熱は、上部金属層21c,基体21a,下部金属層21bの順に伝達して外部へ放散されるが、熱伝達経路の途中となる基体21aがMoを含有しているため、発熱量の多い電子部品25を搭載した場合、熱放散性が不十分となって、電子部品25が温度上昇し、電子部品25を長期間にわたり正常かつ安定に作動させることができなくなるという問題点があった。
また、下部金属層21bの下面に半田層を設けた場合、放熱部材21と放熱治具との間に半田が存在することとなり、半田によって放熱部材21から放熱治具への熱放散性が低下してしまう。従って、発熱量の多い電子部品25を搭載した場合、電子部品25が温度上昇し、電子部品25を長期間にわたり正常かつ安定に作動させることができなくなってしまうという問題点があった。
また、放熱部材21の切欠き部21dを放熱治具にネジ止めする際の外力は、放熱部材21の上部金属層21cを経由して枠体22にわずかながら伝わり、近時の小型化されたパッケージの枠体22はこのわずかな外力によってもクラック等の破損が生じてしまい易くなっている。そのため、パッケージ内部の気密信頼性が低下して、電子部品25を正常かつ安定に作動させることができなくなってしまうという問題点があった。
従って、本発明は上記従来の問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は、電子部品の発した熱をパッケージの外部や大気中に良好に放散させ、パッケージの固定が容易で内部の気密信頼性を低下させることがなく、パッケージ内部の電子部品を長期間にわたり正常かつ安定に作動させることができる電子部品収納用パッケージおよびそれを用いた電子装置を提供することにある。
本発明の電子部品収納用パッケージは、上面の中央部に電子部品の搭載部を有する平板状の放熱部材と、この放熱部材の上面に前記搭載部を取り囲んで取着された、内面から外面に導出される配線導体を有する枠体とを具備しており、前記放熱部材は、中央部に上面から下面にかけて貫通孔を有する枠状の基体と、この基体の前記貫通孔の上端から下端にかけて埋設されているとともに前記基体よりも熱膨張係数および熱伝導率が大きくかつ縦弾性係数が小さい材料から成る貫通金属体と、前記基体よりも熱膨張係数および熱伝導率が大きくかつ縦弾性係数が小さい材料から成る、前記貫通金属体の上面から前記基体の側面にかけて形成された上部金属層および前記基体の下面に接合された下部金属板とから成り、この下部金属板は、前記基体の下面の端よりも外側に延出した延出部を有しているとともにこの延出部にネジ止め用の切欠き部が形成されており、前記上部金属層は、外周端が前記下部金属板に接していることを特徴とする。
好ましくは、本発明の電子部品収納用パッケージにおいて、前記貫通金属体は、セラミック粉末を含有していることを特徴とする。
本発明の電子装置は、上記本発明の電子部品収納用パッケージと、前記搭載部に搭載されるとともに電極が前記配線導体に電気的に接続された前記電子部品と、前記枠体の上面に前記電子部品を覆うように取着された蓋体または前記枠体の内側に前記電子部品を覆うように充填された封止樹脂とを具備していることを特徴とする。
本発明の電子部品収納用パッケージによれば、上面の中央部に電子部品の搭載部を有する平板状の放熱部材と、放熱部材の上面に前記搭載部を取り囲んで取着された、内面から外面に導出される複数の配線導体を有する枠体とを具備しており、放熱部材は、中央部に上面から下面にかけて貫通孔を有する枠状の基体と、基体の貫通孔の上端から下端にかけて埋設されているとともに基体よりも熱膨張係数および熱伝導率が大きくかつ縦弾性係数が小さい材料から成る貫通金属体と、基体よりも熱膨張係数および熱伝導率が大きくかつ縦弾性係数が小さい材料から成る、貫通金属体の上面から基体の側面にかけて形成された上部金属層および基体の下面に接合された下部金属板とから成り、下部金属板は、基体の下面の端よりも外側に延出した延出部を有しているとともに延出部にネジ止め用の切欠き部が形成されており、上部金属層は、外周端が下部金属板に接していることから、基体が熱伝導率の低い材料から成る場合においても、搭載部に搭載された電子部品から発生する熱は、上部金属層,基体,下部金属板の順に伝達するだけでなく、上部金属層から貫通金属体を介して下部金属板に伝達させることや、基体の上面から側面にかけて形成された上部金属層を介して直接下部金属板に伝達させることができるので、下部金属板に効率よく熱を伝達させて、電子部品から発生する熱を下部金属板から効率よく放散させることができる。
また、この構成によって、放熱部材を放熱治具にネジ止めする際に基体に加わる変位は、縦弾性係数の小さい下部金属板で吸収されるため、枠体の接合部にネジ止めする際の外力が作用しないようにすることができる。その結果、枠体および枠体の接合部にクラック等の破損が生じるのを防止し、パッケージ内部の気密信頼性が低下するのを有効に防止することができる。
同時に、下部金属板は縦弾性係数が小さい材料であることから、強固にネジ止めすることによって放熱治具に密着させることができ、下部金属板の下面に半田層を設けなくとも下部金属板から効率よく熱を放散させることができる。
以上の結果、電子部品の発した熱をパッケージの外部や大気中に良好に放散させ、パッケージの固定が容易で内部の気密信頼性を低下させることがなく、パッケージ内部の電子部品を長期間にわたり正常かつ安定に作動させることができる電子部品収納用パッケージを提供することができる。
好ましくは、本発明の電子部品収納用パッケージにおいて、貫通金属体は、セラミック粉末を含有していることにより、剛性が増すとともに、貫通金属体の熱膨張係数が基体や枠体の熱膨張係数に比べて大きくなりすぎるのを抑制でき、基体や枠体との熱膨張差により電子部品収納用パッケージが変形するのが抑制されるので、貫通金属体の上方の電子部品の搭載部を平坦に保つことができる。その結果、電子部品を放熱部材に強固に接合させ、電子部品の発した熱を外部や大気中に良好に放散させることができ、電子部品を長期間にわたり正常かつ安定に作動させることができる電子部品収納用パッケージとすることができる。
本発明の電子装置は、上記本発明の電子部品収納用パッケージと、搭載部に搭載されるとともに電極が配線導体に電気的に接続された電子部品と、枠体の上面に電子部品を覆うように取着された蓋体または枠体の内側に電子部品を覆うように充填された封止樹脂とを具備していることから、電子部品の放熱特性が極めて良好な本発明の電子部品収納用パッケージの特徴を備え、長期にわたって安定して電子部品が作動する電子装置を提供することができる。
次に、本発明を添付図面に基づき詳細に説明する。
図1は本発明の電子部品収納用パッケージおよびこれを用いた電子装置の実施の形態の一例を示す断面図であり、1は上面の中央部に電子部品5の搭載部1eを有する平板状の放熱部材、1aは放熱部材1の枠状の基体、1bは放熱部材1の基体1aの下面に接合された下部金属板、1cは放熱部材1の基体1aの上面から側面にかけて形成された上部金属層、2は放熱部材1の上面に搭載部1eを取り囲んで取着された枠体、2aは枠体2の内面から外面に導出されている配線導体、4は枠体2の上面に電子部品5を覆うように取着された蓋体、5は電子部品である。
図1は本発明の電子部品収納用パッケージおよびこれを用いた電子装置の実施の形態の一例を示す断面図であり、1は上面の中央部に電子部品5の搭載部1eを有する平板状の放熱部材、1aは放熱部材1の枠状の基体、1bは放熱部材1の基体1aの下面に接合された下部金属板、1cは放熱部材1の基体1aの上面から側面にかけて形成された上部金属層、2は放熱部材1の上面に搭載部1eを取り囲んで取着された枠体、2aは枠体2の内面から外面に導出されている配線導体、4は枠体2の上面に電子部品5を覆うように取着された蓋体、5は電子部品である。
これら放熱部材1と枠体2とで電子部品5を収納する電子部品収納用パッケージが構成される。また、この放熱部材1の搭載部1eに電子部品5を搭載した後に、枠体2の上面に蓋体4を放熱部材1と枠体2とから成る凹部を覆うように取着して電子部品5を封止することにより、または、放熱部材1と枠体2とから成る凹部に電子部品5を覆うように封止樹脂を充填して電子部品5を封止することにより、本発明の電子装置が構成される。
枠体2は、アルミナ(Al2O3)質焼結体,窒化アルミニウム(AlN)質焼結体,ムライト(3Al2O3・2SiO2)質焼結体,ガラスセラミックス等から成り、ロウ材を介して放熱部材1の上面に搭載部1eを取り囲んで取着される。なお、このロウ材による取着に際しては、ロウ付け用の金属層(図示せず)が枠体2の放熱部材1との接合部に形成されてもよい。また、枠体2は金属から構成されていてもよく、その場合、配線導体2aを枠体2を構成する金属と絶縁させるために配線導体2aの周囲をセラミックスや樹脂、ガラス等の絶縁体で覆えばよい。
また、放熱部材1には、その上面の中央部の搭載部1eに電子部品5が樹脂,ガラス,ロウ材等の接着材を介して固定される。なお、接着材としてロウ材を用いる場合には、ロウ付け用の金属層(図示せず)が放熱部材1の電子部品5との接合部に形成されてもよい。ただし、放熱部材1の上面の搭載部1eに接合された上部金属層1cにより十分なロウ付けができる場合には、ロウ付け用の金属層は特に必要ではない。
枠体2は、例えば、Al2O3質焼結体から成る場合であれば、Al2O3,酸化珪素(SiO2),酸化マグネシウム(MgO),酸化カルシウム(CaO)等の原料粉末に適当な有機バインダ,溶剤,可塑剤,分散剤等を混合添加して泥漿状となすとともに、これからドクターブレード法やカレンダーロール法を採用することによってセラミックグリーンシート(セラミック生シート)を形成し、しかる後に、このセラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施すとともに、W,Mo,Mn,Cu,Ag,Ni,Au,パラジウム(Pd)等の金属材料粉末に適当な有機バインダ,溶剤を混合して成る導電性ペーストをグリーンシートに予めスクリーン印刷法等により所定の配線導体2aのパターンに印刷塗布した後に、このグリーンシートを複数枚積層し、約1600℃の温度で焼成することによって作製される。
また、枠体2には、放熱部材1と枠体2とで構成される凹部の内面(搭載部1e周辺)から枠体2の外面にかけて導出される配線導体2aが形成されており、配線導体2aの凹部の内側の一端には電子部品5の各電極がボンディングワイヤ等の電気的接続手段6を介して電気的に接続される。また、枠体2の外側の配線導体2aの他端には外部電気回路基板との接続用のリード端子3が接続される。
配線導体2aはW,Mo等の高融点金属から成り、W,Mo等の金属粉末に適当な有機バインダ,溶剤等を添加混合して得た金属ペーストを枠体2となるセラミックグリーンシートに予めスクリーン印刷法等によって所定のパターンに印刷塗布しておくことによって、放熱部材1および枠体2による凹部の内面から枠体2の外面にかけて被着形成される。
また、配線導体2aはその露出する表面にNi,Au等の耐食性に優れ、かつ電気的接続手段6のボンディング性に優れる金属を1〜20μmの厚みにメッキ法によって被着させておくと、配線導体2aの酸化腐食を有効に防止できるとともに配線導体2aへの電気的接続手段6の接続を強固となすことができる。従って、配線導体2aは、その露出する表面にNi,Au等の耐食性に優れ、かつボンディング性に優れる金属を1〜20μmの厚みに被着させておくことが望ましい。
本発明の放熱部材1は、枠状の基体1aと、基体1aよりも熱膨張係数および熱伝導率が大きく縦弾性係数が小さい材料から成り、基体1aの上面から側面にかけて形成された上部金属層1cおよび上部金属層1cと同じ材料から成り、基体1aの下面に接合された下部金属板1bと、基体1aの中央部の上面から下面にかけて埋設されているとともに基体1aよりも熱膨張係数および熱伝導率が大きくかつ縦弾性係数が小さい材料から成る貫通金属体11とから成り、下部金属板1bは、基体1aの下面の端よりも外側に延出した延出部を有しているとともに延出部にネジ止め用の切欠き部1dが形成されており、上部金属層1cは、外周端が下部金属板1bに接している。
放熱部材1は、電子部品5の作動に伴い発生する熱を吸収するとともに大気中に放散させる、あるいは外部放熱板(図示せず)に伝導させる機能を有する。放熱部材1の一部となる基体1aは、例えば、Mo,W,鉄(Fe)等またはこれらの合金の金属板を圧延加工,打ち抜き加工等の従来周知の金属加工法を施すことによって形成したり、先ず平均粒径が5〜40μmのW粉末またはMo粉末を基体1aの形状に加圧成形し、これを1300〜1600℃の雰囲気中で焼結することにより、基体1aと成る多孔体を予め作製し、この多孔体に水素雰囲気下において約1200℃で10〜50質量%のCuを含浸させたりすることにより成る。
このWまたはMoから成る焼結体にCuを含浸させて成る基体1aは、W単体またはMo単体から成る場合に比べ熱伝導率が向上し、放熱部材1の放熱特性をより優れたものとさせることができるので好適である。
これら基体2の材料は、その熱膨張係数が枠体5の熱膨張係数(4×10-6〜9×10-6)に近似し、熱伝導率が良好なものから選択され、例えば上記材料は、タングステンが熱膨張係数:約4.5×10-6,熱伝導率:約177W/m・K,縦弾性係数:約500GPa、モリブデンが熱膨張係数:約5×10-6,熱伝導率:約139W/m・K,縦弾性係数:約323GPa、銅−タングステンが熱膨張係数:約7×10-6,熱伝導率:約200W/m・K,縦弾性係数:約294GPa、銅−モリブデンが熱膨張係数:約9.1×10-6,熱伝導率:約260W/m・K,縦弾性係数:約186GPa、鉄が熱膨張係数:約11.8×10-6,熱伝導率:約83.5W/m・K,縦弾性係数:約210GPaの特性を有している。
そして、この基体1aの上面および側面を上部金属層1cで覆い、基体1aの下面に下部金属板1bを接合することによって放熱部材1が形成される。上部金属層1cおよび下部金属板1bは、基体1aよりも熱膨張係数および熱伝導率が大きく縦弾性係数が小さい材料、例えばCu(熱膨張係数:約16.5×10-6,熱伝導率:約403W/m・K,縦弾性係数:約100GPa),Ag(熱膨張係数:約16.5×10-6,熱伝導率:約403W/m・K,縦弾性係数:約83GPa),アルミニウム(Al,熱膨張係数:約23.1×10-6,熱伝導率:約236W/m・K,縦弾性係数:約70GPa),Au(熱膨張係数:約14.2×10-6,熱伝導率:約320W/m・K,縦弾性係数:約78GPa)等の金属材料またはこれらの合金から成る。
また、基体1aは搭載部1eの直下に貫通孔10が形成された枠状であり、この貫通孔10に基体1aの上面から下面にかけてCu,Ag,Al等やこれらの合金から成る基体1aよりも熱膨張係数および熱伝導率が大きく縦弾性係数が小さい材料から成る貫通金属体11が埋設されている。この構成により、電子部品5の発した熱を貫通金属体11を経由して下部金属板1bに伝熱させ、パッケージの外部や大気中に非常に効率よく放散させることができる。
貫通金属体11は、Cu,Ag,アルミニウム(Al),Au等の金属材料またはこれらの合金から成り、例えば、これら金属の板状体に切断加工を施すことにより所定形状の貫通金属体11としたり、金属粉末を含む金属ペーストを基体1aの貫通孔10に充填した後、焼成する方法、あるいは、WまたはMoから成る基体1aとなる焼結体と所定量のCuとを同時に加熱してCuを溶融させ、毛細管現象によって多孔質の焼結体にCuを含浸させるとともに貫通孔10に貫通金属体11を形成する方法によって形成される。
好ましくは、貫通金属体11は、銅または銅を主成分とする合金にアルミナ質セラミックス,窒化アルミニウム質セラミックス,炭化珪素質セラミックス,窒化珪素質セラミックス等のセラミック粉末が含有されている。貫通金属体11がセラミック粉末を含有することにより剛性が増すとともに、貫通金属体11の熱膨張係数が基体1aや枠体2等の熱膨張係数より大きくなりすぎるのを抑制でき、基体1aとの熱膨張差による熱応力が加わっても放熱部材1等が変形するのが抑制されるので、貫通金属体11の上方の電子部品の搭載部を平坦に保つことができる。その結果、電子部品11を放熱部材1に強固に接合させ、電子部品11の発した熱を外部や大気中に良好に放散させることができ、電子部品11を長期間にわたり正常かつ安定に作動させることができる。
なお、セラミック粉末を含有している貫通金属体11の熱膨張係数は18×10-6〜20×10-6、熱伝導率は約400W/m・K、縦弾性係数は約140GPaであり、基体1aの熱膨張係数より大きいが、放熱部材1は、貫通金属体11の周囲が基体1aにより取り囲まれた構造となることから、貫通金属体11の熱膨張が拘束されて枠体2等との熱膨張差による歪みを生じたり、枠体2等にクラックを生じさせたりすることがない。
このような貫通金属体11は、例えば、アルミナ質セラミックスを含有して成る場合は、酸化アルミニウム,酸化珪素,酸化マグネシウム,酸化カルシウム等の原料粉末に適当な有機バインダ,溶剤,可塑剤,分散剤等を混合添加して顆粒状の混合物と成し、約1600℃で焼成して得られたセラミックス粉末の表面に金属層を被着させた後に、これを加圧成形して貫通金属体11の所定形状にしたセラミックス多孔体を得、しかる後に、このセラミックス多孔体に銅または銅を主成分とする合金を含浸させることによって得ることができる。貫通金属体11がその他のセラミック粉末を含有して成る場合も同様にして得ることができる。
基体1aの下面に接合された下部金属板1bは、Agロウ,Ag−Cuロウ等のロウ材を介して接合することにより形成する。
また、基体1aの上面から側面にかけて形成される上部金属層1cは、例えば、基体1aにめっき処理をする方法、金属粉末を含む金属ペーストを印刷塗布した後、焼成する方法、あるいは、WまたはMoから成る基体1aとなる焼結体と所定量のCuとを同時に加熱してCuを溶融させ、毛細管現象によって多孔質の焼結体にCuを含浸させるとともに貫通金属体11および上部金属層1cを形成する方法によって形成される。また、上部金属層1cとなる金属板や箔を基体1aにAgロウ,Ag−Cuロウ等のロウ材や金属粉が含有されている等の熱伝導性のよい接着材を介して接合してもよい。
また、好ましくは、貫通金属体11の外周は、電子部品5の外周より大きくなっているのがよく、これにより、電子部品5で発生した熱を放熱部材1の上面の電子部品5の搭載部1eから放熱部材1の下面へと垂直な方向に多く伝えることができるとともに、貫通金属体11内においても電子部品5の外周から外側へ放熱部材1の主面に平行な方向への熱の広がりを持たせることが可能となり、放熱性をより向上させることができる。
また、放熱部材1の下面側、即ち、電子部品5が搭載される搭載部1eとは反対側の下部金属板1bの下面の算術平均粗さRaは、Ra≦30(μm)であることが好ましい。通常、電子部品収納用パッケージは、AlやCu等の金属体あるいは、高熱伝導を有するセラミック体から成る支持基板へネジ止めにより接続される。このとき、基体1aの下面の下部金属板1bの下面の算術平均粗さRaがRa>30(μm)の場合には、電子部品収納用パッケージと支持基板とを十分に密着させることが困難となり電子部品5で発生した熱を電子部品収納用パッケージからこの支持基板へ効率よく伝達させることができなくなるおそれがある。従って、下面の下部金属板1bの外側表面と成る下面は、支持基板との良好な密着性が得られるように、Ra≦30(μm)の平滑面であることが望ましい。
なお、放熱部材1の基体1aの上下面に形成される下部金属板1bおよび上部金属層1cの材料がCuから成るときは、純Cuに限られるものではなく、熱伝導性が良好でWまたはMo等の金属またはこれらとCuとのマトリックスである基体1aと十分な接合強度が得られるものであれば、Cuを主成分とする各種のCu合金であっても構わない。これは、Cuから成る貫通金属体11についても同様である。
また、Ag,Al等の基体1aよりも熱膨張係数および熱伝導率が大きく縦弾性係数が小さい他の材料についても上記同様に純金属である必要はない。
また、上部金属層1cは、基体1aの側面の全周にわたって下部金属板1bに接している必要はなく、一部分でも上部金属層1cが下部金属板1bに接していればよい。例えば、基体1aが四角形である場合、対向する2辺の基体1aの側面で、上部金属層1cが下部金属板1bに接していればよい。この構成においても、電子部品5から発生する熱を下部金属板1bから十分効率よく放散させることができる。
かくして、上述のパッケージによれば、放熱部材1の搭載部1e上に電子部品5をガラス,樹脂,ロウ材等から成る接着材を介して接着固定するとともに、電子部品5の各電極をボンディングワイヤ等の電気的接続手段6を介して所定の配線導体2aに電気的に接続し、しかる後に、放熱部材1と枠体2とから成る凹部の内側に電子部品5を覆うようにエポキシ樹脂等の封止樹脂を充填して電子部品5を封止することによって、あるいは、樹脂や金属,セラミックス等から成る蓋体4を枠体2の上面に凹部を覆うように取着して電子部品5を封止することによって製品としての電子装置となる。
なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更が可能である。例えば、放熱部材1の上面の搭載部1eにディスクリートな電子部品5の代わりに枠体2の機能を兼ね備えたセラミックス製の回路基板が搭載され、この回路基板に電子部品5が搭載されていてもよい。この構成により、回路基板にクラック等の破損を発生させることなく、回路基板に搭載される電子部品5から発生する熱を効率よく放散できるものとなる。
1:放熱部材
1a:基体
1b:下部金属板
1c:上部金属層
1d:切欠き部
1e:搭載部
10:貫通孔
11:貫通金属体
2:枠体
2a:配線導体
4:蓋体
5:電子部品
1a:基体
1b:下部金属板
1c:上部金属層
1d:切欠き部
1e:搭載部
10:貫通孔
11:貫通金属体
2:枠体
2a:配線導体
4:蓋体
5:電子部品
Claims (3)
- 上面の中央部に電子部品の搭載部を有する平板状の放熱部材と、該放熱部材の上面に前記搭載部を取り囲んで取着された、内面から外面に導出される配線導体を有する枠体とを具備しており、前記放熱部材は、中央部に上面から下面にかけて貫通孔を有する枠状の基体と、該基体の前記貫通孔の上端から下端にかけて埋設されているとともに前記基体よりも熱膨張係数および熱伝導率が大きくかつ縦弾性係数が小さい材料から成る貫通金属体と、前記基体よりも熱膨張係数および熱伝導率が大きくかつ縦弾性係数が小さい材料から成る、前記貫通金属体の上面から前記基体の側面にかけて形成された上部金属層および前記基体の下面に接合された下部金属板とから成り、該下部金属板は、前記基体の下面の端よりも外側に延出した延出部を有しているとともに該延出部にネジ止め用の切欠き部が形成されており、前記上部金属層は、外周端が前記下部金属板に接していることを特徴とする電子部品収納用パッケージ。
- 前記貫通金属体は、セラミック粉末を含有していることを特徴とする請求項1記載の電子部品収納用パッケージ。
- 請求項1または請求項2記載の電子部品収納用パッケージと、前記搭載部に搭載されるとともに電極が前記配線導体に電気的に接続された前記電子部品と、前記枠体の上面に前記電子部品を覆うように取着された蓋体または前記枠体の内側に前記電子部品を覆うように充填された封止樹脂とを具備していることを特徴とする電子装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004191734A JP2006013356A (ja) | 2004-06-29 | 2004-06-29 | 電子部品収納用パッケージおよび電子装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004191734A JP2006013356A (ja) | 2004-06-29 | 2004-06-29 | 電子部品収納用パッケージおよび電子装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2006013356A true JP2006013356A (ja) | 2006-01-12 |
Family
ID=35780199
Family Applications (1)
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JP2004191734A Pending JP2006013356A (ja) | 2004-06-29 | 2004-06-29 | 電子部品収納用パッケージおよび電子装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2006013356A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102569216A (zh) * | 2010-12-30 | 2012-07-11 | 财团法人工业技术研究院 | 功率元件封装结构 |
JP2014207387A (ja) * | 2013-04-15 | 2014-10-30 | 株式会社東芝 | 半導体パッケージ |
-
2004
- 2004-06-29 JP JP2004191734A patent/JP2006013356A/ja active Pending
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