JP2006008446A - 水素貯蔵方法、水素貯蔵物質、およびそれを用いた燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 第一の水素貯蔵方法を、窒化物および錯体水素化物から選ばれる二種以上の化合物を混合して原料混合物を調製する原料混合物調製工程と、該原料混合物に水素を反応させ、該化合物の構成元素の一種以上と水素とからなる水素化物を生成させて水素を貯蔵する水素貯蔵工程と、を含よう構成する。また、第二の水素貯蔵方法を、アルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素から選ばれる元素と、アルミニウムまたはホウ素と、を含む原料化合物に水素を反応させ、該原料化合物の構成元素の一種以上と水素とからなる二種以上の水素化物を生成させて水素を貯蔵するよう構成する。
【選択図】 なし
Description
本発明の第一の水素貯蔵方法は、原料混合物調製工程と、水素貯蔵工程と、を含む。以下、各工程について順に説明する。
本工程は、窒化物および錯体水素化物から選ばれる二種以上の化合物を混合して原料混合物を調製する工程である。
本工程は、原料混合物調製工程で調製した原料混合物に水素を反応させ、原料混合物を構成する化合物の構成元素の一種以上と水素とからなる水素化物を生成させて水素を貯蔵する工程である。
4Li3N+Mg3N2+12H2→12LiH+3Mg(NH2)2・・・(a)
ここで、生成された水素化物は、Li、N、Mgのうちの一つ以上と水素とからなっている。また、Li3N、Mg3N2をそれぞれ水素化して得られる水素化物の集合体(LiHN、LiNH2、LiH、MgNH、Mg(NH2)2、MgH2)ではない。
(i)原料混合物をLi3NとCa3N2とから構成し、この原料混合物に水素を反応させて、LiHおよびカルシウムアミド(Ca(NH2)2)を生成させる。これら生成した水素化物は、本発明の第一の水素貯蔵物質となる。
(ii)原料混合物をLi3NとZn3N2とから構成し、この原料混合物に水素を反応させて、LiHおよび亜鉛アミド(Zn(NH2)2)を生成させる。これら生成した水素化物は、本発明の第一の水素貯蔵物質となる。
(iii)原料混合物をLi3Nとリチウム・マグネシウム複窒化物とから構成し、この原料混合物に水素を反応させて、LiHおよびMg(NH2)2を生成させる。これら生成した水素化物は、本発明の第一の水素貯蔵物質となる。
(iV)原料混合物をLiNH2とMg3N2とから構成し、この原料混合物に水素を反応させて、LiHおよびMg(NH2)2を生成させる。これら生成した水素化物は、本発明の第一の水素貯蔵物質となる。
(V)原料混合物をLiNH2とリチウム・マグネシウム複窒化物とから構成し、この原料混合物に水素を反応させて、LiHおよびMg(NH2)2を生成させる。これら生成した水素化物は、本発明の第一の水素貯蔵物質となる。
(Vi)原料混合物をLiNH2とCa3N2とから構成し、この原料混合物に水素を反応させて、LiHおよびCa(NH2)2を生成させる。これら生成した水素化物は、本発明の第一の水素貯蔵物質となる。
(Vii)原料混合物をLiNH2とZn3N2とから構成し、この原料混合物に水素を反応させて、LiHおよびZn(NH2)2を生成させる。これら生成した水素化物は、本発明の第一の水素貯蔵物質となる。
(1)本発明の第二の水素貯蔵方法は、アルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素から選ばれる元素と、アルミニウムまたはホウ素と、を含む原料化合物に水素を反応させ、該原料化合物の構成元素の一種以上と水素とからなる二種以上の水素化物を生成させて水素を貯蔵する。
Li3BN2+4H2→LiBH4+2LiNH2・・・(b)
生成された二種類の水素化物は、いずれも、Li、B、Nのうちの一つ以上と水素とからなっている。この場合、水素化物として、リチウムボロハイドライドとリチウムアミドとが、モル比で1:y(1≦y≦4)の割合で生成されることが望ましい。特に、両者が1:2の割合で生成されるとよい。
本発明の燃料電池システムは、上記本発明の第一の水素貯蔵物質あるいは第二の水素貯蔵物質を備える。本発明の燃料電池システムでは、本発明の第一の水素貯蔵物質あるいは第二の水素貯蔵物質を容器に収容し、容器内の温度、圧力を所定の条件に設定することで、容易に多量の水素を得る。得られた水素は燃料電池の燃料として使用される。また、本発明の第一の水素貯蔵物質および第二の水素貯蔵物質は、水素放出後に各々の原料混合物、原料化合物に戻る。よって、本発明の燃料電池システムでは、収容した本発明の第一あるいは第二の水素貯蔵物質から水素を取り出した後、その原料混合物あるいは原料化合物を再度水素化することにより、繰り返し水素の貯蔵、取り出しを行うことが可能となる。
原料として、窒化物であるLi3NとMg3N2とを用いた。まず、Li3NとMg3N2とをモル比で4:1となるよう秤量し、それらをメノウ乳鉢にて約10分間混合した。得られた原料混合物を、油圧プレスによりφ10mm、厚さ5mmの円板状に成形した。次に、この成形体を、ステンレス鋼製のセルに収容し、セル内を真空引きした。続いて、セル内に水素ガスを導入し、水素ガス圧を10MPaとした。さらに、セル内の温度を200℃まで昇温し、この状態で約2時間保持した。その後、成形体を取り出して、構造解析を行ったところ、LiHとMg(NH2)2とが、モル比で4:1の割合で生成していた。次に、この成形体をもとのセルに戻し、真空下、200℃の状態で保持した。すると、セル内の圧力が上昇した。セル内のガス分析により、成形体から水素ガスが放出されていることが確認された。放出された全水素量は、9.1wt%(=[反応した水素の原子量/(原料混合物の原子量+反応した水素の原子量)×100])となった。
原料として、窒化物であるLi3NとCa3N2とを用い、上記実施例1と同様に混合、成形した後、水素と反応させた。水素化後の成形体を取り出して、構造解析を行ったところ、LiHとCa(NH2)2とが、モル比で4:1の割合で生成していた。
原料として、窒化物であるLi3NとZn3N2とを用い、上記実施例1と同様に混合、成形した後、水素と反応させた。水素化後の成形体を取り出して、構造解析を行ったところ、LiHとZn(NH2)2とが、モル比で4:1の割合で生成していた。
原料として、窒化物であるLi3NとLiMgN(リチウム・マグネシウム複窒化物)とを用い、上記実施例1と同様に混合、成形した後、水素と反応させた。但し、本実施例では、水素との反応条件を、水素ガス圧35MPa、セル内温度250℃とした。水素化後の成形体を取り出して、構造解析を行ったところ、LiHとMg(NH2)2とが、モル比で4:1の割合で生成していた。
原料として、錯体水素化物であるLiNH2と窒化物であるMg3N2とを用い、上記実施例1と同様に混合、成形した後、水素と反応させた。但し、本実施例では、水素との反応条件を、水素ガス圧35MPa、セル内温度350℃とした。水素化後の成形体を取り出して、構造解析を行ったところ、LiHとMg(NH2)2とが、モル比で4:3の割合で生成していた。
原料として、錯体水素化物であるLiNH2と窒化物であるCa3N2とを用い、上記実施例1と同様に混合、成形した後、水素と反応させた。但し、本実施例では、水素との反応条件を、水素ガス圧25MPa、セル内温度300℃とした。水素化後の成形体を取り出して、構造解析を行ったところ、LiHとCa(NH2)2とが、モル比で4:3の割合で生成していた。
原料として、錯体水素化物であるLiNH2と窒化物であるZn3N2とを用い、上記実施例1と同様に混合、成形した後、水素と反応させた。但し、本実施例では、水素との反応条件を、水素ガス圧25MPa、セル内温度300℃とした。水素化後の成形体を取り出して、構造解析を行ったところ、LiHとZn(NH2)2とが、モル比で4:3の割合で生成していた。
原料としてLi3BN2を用いた。まず、粉末状のLi3BN2を油圧プレスによりφ10mm、厚さ5mmの円板状に成形し、この成形体をステンレス鋼製のセルに収容し、セル内を真空引きした。次に、セル内に水素ガスを導入し、水素ガス圧を50MPaとした。さらに、セル内の温度を350℃まで昇温し、この状態で約2時間保持した。その後、成形体を取り出して、構造解析を行ったところ、LiBH4とLiNH2とが、モル比で1:2の割合で生成していた。
Claims (12)
- 窒化物および錯体水素化物から選ばれる二種以上の化合物を混合して原料混合物を調製する原料混合物調製工程と、
該原料混合物に水素を反応させ、該化合物の構成元素の一種以上と水素とからなる水素化物を生成させて水素を貯蔵する水素貯蔵工程と、
を含む水素貯蔵方法。 - さらに、生成した前記水素化物から水素を放出させて、該水素化物を前記原料混合物を構成する前記化合物に戻す水素放出工程を含む請求項1に記載の水素貯蔵方法。
- 前記窒化物は、アルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素から選ばれる元素を含む請求項1に記載の水素貯蔵方法。
- 前記錯体水素化物は、アルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素から選ばれる元素を陽イオンとして含む請求項1に記載の水素貯蔵方法。
- 前記原料混合物は、窒化リチウムと窒化マグネシウムとからなり、
生成した前記水素化物は、リチウム水素化物およびマグネシウムアミドである請求項1に記載の水素貯蔵方法。 - 窒化物および錯体水素化物から選ばれる二種以上の化合物を混合した原料混合物に水素を反応させて生成され、該化合物の構成元素の一種以上と水素とからなる水素化物を含む水素貯蔵物質。
- アルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素から選ばれる元素と、アルミニウムまたはホウ素と、を含む原料化合物に水素を反応させ、該原料化合物の構成元素の一種以上と水素とからなる二種以上の水素化物を生成させて水素を貯蔵する水素貯蔵方法。
- 水素貯蔵後に、前記水素化物から水素を放出させて、該水素化物を前記原料化合物に戻す請求項7に記載の水素貯蔵方法。
- 前記原料化合物は、さらに窒素を含む請求項7に記載の水素貯蔵方法。
- 前記原料化合物は、リチウムボロナイトライドであり、
生成した前記水素化物は、リチウムボロハイドライドおよびリチウムアミドである請求項9に記載の水素貯蔵方法。 - アルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素から選ばれる元素と、アルミニウムまたはホウ素と、を含む原料化合物に水素を反応させて生成され、該原料化合物の構成元素の一種以上と水素とからなる二種以上の水素化物を含む水素貯蔵物質。
- 請求項6に記載の水素貯蔵物質、あるいは請求項11に記載の水素貯蔵物質を備える燃料電池システム。
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