JP2009143790A - 水素化物複合体及び水素貯蔵材料 - Google Patents

水素化物複合体及び水素貯蔵材料 Download PDF

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Abstract

【課題】希少元素の含有量が少なく、軽量であり、かつ、多量の水素を相対的に低温で放出/吸蔵することが可能な水素化物複合体及び水素貯蔵材料を提供すること。
【解決手段】Mg(BH4)2とMg(NH2)2とを含む水素化物複合体、及び、この水素化物複合体に含まれる水素の全部又は一部を放出させることにより得られる水素貯蔵材料。水素化物複合体は、Mg(BH4)2+xMg(NH2)2(1/3≦x≦3.0)で表されるものが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、可逆的な水素の貯蔵・放出が可能な水素化物複合体及び水素貯蔵材料に関する。
近年、二酸化炭素の排出による地球の温暖化等の環境問題や、石油資源の枯渇等のエネルギー問題から、クリーンな代替エネルギーとして水素エネルギーが注目されている。水素エネルギーの実用化に向けて、水素を安全に貯蔵、輸送する技術の開発が重要となる。水素の貯蔵方法にはいくつかの候補があるが、中でも可逆的に水素を貯蔵・放出することのできる水素化物/水素貯蔵材料を用いる方法は、最も安全に水素を貯蔵・輸送する手段と考えられており、燃料電池車に搭載する水素貯蔵媒体として期待されている。
水素貯蔵材料としては、活性炭、フラーレン、ナノチューブ等の炭素材料や、LaNi、TiFe等の水素吸蔵合金が知られている。これらの内、水素吸蔵合金は、炭素材料に比べて単位体積当たりの水素密度が高いので、水素を貯蔵・輸送するための水素貯蔵材料として有望視されている。
しかしながら、LaNi、TiFe等の水素吸蔵合金は、La、Ni、Ti等の希少金属を含んでいるため、その資源確保が困難であり、コストも高いという問題がある。
また、LaNi等の希土類系合金のように、初めから容易に水素を吸蔵するものもあるが、水素吸蔵合金は、一般に、合金表面に吸着しているガスや酸化被膜のため、水素吸蔵能力は低い。そのため、このような合金においては、清浄な合金表面を露出させるための前処理(初期活性化)が必要となる。特に、TiFeは、初期活性化が難しく、相対的に多量の水素を吸蔵・放出させるためには、高温・高圧下での水素の吸蔵と吸蔵された水素の放出とを複数回繰り返す処理(活性化処理)が必要となる。
さらに、従来の水素吸蔵合金は、合金自体の重量が大きいために、単位重量当たりの水素密度が小さい、すなわち、大量の水素を貯蔵するために極めて重い貯蔵材料を必要とするという問題がある。
そこでこの問題を解決するために、軽元素を含む錯体系水素化物及びこれから水素を放出することにより得られる水素貯蔵材料の開発が試みられている。これまでに開発されている軽元素を含む水素化物/水素貯蔵材料としては、
(1) LiNH、LiBH等のリチウム(Li)を含む錯体水素化物/水素貯蔵材料(例えば、特許文献1、非特許文献1等参照)、
(2) NaAlH等のナトリウム(Na)を含む錯体水素化物/水素貯蔵材料、
(3) Mg(NH)等のマグネシウム(Mg)を含む錯体水素化物/水素貯蔵材料、
などが知られている。
また、単相の金属間化合物ではなく、複数の相を複合化させることによって、水素吸蔵量を増大させたり、あるいは、水素の吸蔵・放出温度を低下させる試みがなされている。軽元素を含み、かつ、複数の相の複合体からなる水素化物/水素貯蔵材料としては、LiNH+LiH、LiBH+MgHなどが知られている。
また、非特許文献2には、LiNH+LiHの複合体が分解して水素を放出する際の反応メカニズムが提案されている。同文献には、LiNHの分解によってNHが放出され、放出されたNHがLiHと速やかに反応し、水素が生成すると考えられる点、及び、複合体が相対的に低温で水素を放出するのは、LiHとLiNHとの間の相互作用によると考えられる点、が記載されている。
さらに、特許文献2には、NaBH4−LiNH2、LiBH4−NaNH2、LiBH4−(LiNH2+NaNH2)、又は、LiBH4−Mg(NH2)2からなる水素化物複合体が開示されている。
同文献には、ボロハイドライドとアミドとを機械的混合プロセスで複合化することにより得られる水素化物複合体は、250℃以上において、相対的に多量の水素を容易に放出する点が記載されている。
特表2002−526658号公報 特開2007−008738号公報 P.Chen、他4名、"Interaction of hydrogen with metal nitrides and imides"、「Nature」、2002年、vol.420/21、p.302-304 T.Ichikawa et al., J.Phys.Chem.B, 2004, 108, 7887-7892
軽元素を含む水素化物/水素貯蔵材料は、合金重量が相対的に軽く、資源確保も比較的容易であり、相対的に低コストである。しかしながら、軽元素を含む水素化物/水素貯蔵材料であって、相対的に低温で大量の水素を容易に放出することが可能なものが開発された例は、従来にはない。例えば、NaAlHは、水素貯蔵量が十分ではない。また、LiNH及びLiBHは、水素放出温度が高いという欠点がある。さらに、LiNH+LiH、及び、LiBH+MgHは、大量の水素を実用温度域で放出できるものではない。
これに対し、ボロハイドライドとアミドとを含む水素化物複合体は、他の材料に比べて水素放出量が極めて大きいという特徴がある。しかしながら、従来知られている、NaBH4−LiNH2、LiBH4−NaNH2、LiBH4−(LiNH2+NaNH2)、及び、LiBH4−Mg(NH2)2は、いずれも、水素放出温度が相対的に高い。水素貯蔵材料の実用化を図るためには、水素放出温度をさらに低下させることが望まれる。
本発明が解決しようとする課題は、希少元素の含有量が少なく、軽量であり、かつ、多量の水素を相対的に低温で放出/吸蔵することが可能な水素化物複合体及び水素貯蔵材料を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る水素化物複合体は、Mg(BH4)2とMg(NH2)2とを含むことを要旨とする。
また、本発明に係る水素貯蔵材料は、本発明に係る水素化物複合体に含まれる水素の全部又は一部を放出させることにより得られるものからなる。
Mg(BH4)2とMg(NH2)2を複合化すると、水素の放出がさらに容易化する。また、本発明に係る水素化物複合体は、他のボロハイドライドとアミドの組み合わせからなる複合体に比べて、密度が高い。さらに、資源量が豊富で安価なMgを構成元素としているため、大量供給と低コスト化が期待できる。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 水素化物複合体及び水素貯蔵材料]
本発明に係る水素化物複合体は、Mg(BH4)2とMg(NH2)2とを含む。また、本発明に係る水素貯蔵材料は、本発明に係る水素化物複合体に含まれる水素の全部又は一部を放出させることにより得られるものからなる。
なお、本発明において、「水素化物複合体」とは、水素ガスを放出する能力を有するものをいう。
本発明において、「水素貯蔵材料」とは、水素ガスを貯蔵する能力を有するものをいう。「水素貯蔵材料」という時は、水素を完全に放出した材料だけでなく、最大貯蔵量に満たない水素を貯蔵している材料も含まれる。
Mg(BH4)2とMg(NH2)2の混合物の理想的な水素吸蔵放出反応は、次の(a)式で表すことができる。
Mg(BH4)2+2Mg(NH2)2 ⇔ 2Mg3/2BN2+8H2↑ ・・・(a)
従って、Mg(BH4)2とMg(NH2)2の配合比(モル比)が1:2であれば、理想的には、Mg(BH4)2とMg(NH2)2からボロナイトライド(Mg3/2BN2)が生成し、出発原料に含まれるすべての水素を放出させることができる。
しかしながら、Mg(BH4)2とMg(NH2)2の配合比が化学量論比(1:2)から多少ずれた場合であっても、過剰成分は、反応に寄与しないだけであり、水素吸蔵放出反応を阻害することはない。また、Mg(NH2)2の配合比を化学量論比よりやや少なくすると、水素放出温度を低下させることができる。但し、化学量論比からのずれが大きくなりすぎると、水素の吸蔵/放出量が低下するので好ましくない。
高い水素の吸蔵/放出量を得るためには、水素化物複合体は、次の(1)式で表される組成を有するものが好ましい。
Mg(BH4)2+xMg(NH2)2(1/3≦x≦3.0) ・・・(1)
xの値は、さらに好ましくは、1.0≦x≦3.0、さらに好ましくは、1.5≦x≦7/3である。
なお、本発明に係る水素化物複合体及び水素貯蔵材料は、必ずしも(a)式に従って水素の吸蔵放出を可逆的に繰り返すものではなく、(a)式の反応の途中で生成する中間生成物の間で水素の吸蔵放出が起こる場合もある。
本発明に係る水素化物複合体は、Mg(BH4)2及びMg(NH2)2が、均一かつ微細に分散しているのが好ましい。同様に、水素貯蔵材料は、水素化物複合体から水素を放出することにより得られる各構成物質が、均一かつ微細に分散しているのが好ましい。水素の吸蔵放出反応は、一般に元素の拡散を伴うので、各物質が均一かつ微細に分散しているほど可逆的な水素の吸蔵/放出を容易に行うことができる。
[2. 水素化物複合体の製造方法]
本発明に係る水素化物複合体の製造方法は、Mg(BH4)2とMg(NH2)2とを機械的混合プロセスにより複合化する複合工程を備えている。
本発明に係る水素化物複合体は、具体的には、以下のような手順により作製する。
すなわち、まず、出発原料であるMg(BH4)2及びMg(NH2)2を所定の比率で配合する。この場合、出発原料の形態は、特に限定されるものではないが、通常は、粉末を用いる。また、出発原料として粉末を用いる場合、その粒径は、特に限定されるものではない。一般に、出発原料として粒径の細かい粉末を用いるほど、複合化させる際の負荷を軽減することができる。一方、必要以上に細かい粉末を出発原料として用いると、粉末表面が酸化等により被毒されるおそれがある。従って、粉末の粒径は、作業性、コスト、被毒の有無等を考慮して、最適な粒径を選択するのが好ましい。
なお、Mg(BH4)2及びMg(NH2)2の組み合わせは、他の水素化物と比べて反応が容易であり、相対的に粒径が粗い(具体的には、平均粒径100μm程度)場合であっても、容易に水素を吸蔵/放出できるという利点がある。
次に、所定の比率で配合された出発原料を機械的混合プロセスで複合化する。
ここで、「機械的混合プロセス」とは、出発原料に機械的応力を与え、粉砕しながら均一に混合するプロセスをいう。このような機械的混合プロセスとしては、具体的には、遊星ボールミル、回転ミル、振動ミル等の粉砕機で原料粉末を混合粉砕する方法、乳鉢で原料粉末を混合粉砕する方法などがある。
機械的混合プロセスは、出発原料の酸化を防ぐために、非酸化雰囲気下(例えば、アルゴン雰囲気下、水素雰囲気下など)で行うのが好ましい。
また、機械的混合プロセスの処理時間は、出発原料の均一かつ微細な混合物が得られるように、処理方法、出発原料の種類、形態等に応じて、最適な処理時間を選択する。一般に、処理時間が長くなるほど、出発原料が微細に粉砕され、粉砕された粉末が均一に混合した複合体が得られる。但し、必要以上の処理は、効果に差がなく、実益がない。例えば、遊星ボールミルを用いて混合粉砕する場合において、出発原料として粉末を用いる時には、処理時間は、1〜十数時間が好ましい。
このようにして得られた水素化物複合体は、粉末状態のまま使用しても良く、あるいは、これを適当な大きさに成形した圧粉体の状態で使用しても良い。さらに、粉末の表面を他の材料(例えば、銅などの熱伝導性の良い材料)からなる被膜で被覆し、これを成形して使用しても良い。この場合、被覆方法には、PVD法、CVD法などの物理的方法を用いるのが好ましい。
[3. 水素貯蔵材料の製造方法]
本発明に係る水素貯蔵材料の製造方法は、複合工程と、脱水素化工程とを備えている。なお、複合工程は、上述した水素化物複合体の製造方法の複合工程と同一であるので説明を省略する。
脱水素化工程は、複合工程で得られた水素化物複合体に含まれる水素の全部又は一部を放出させる工程である。
複合工程で得られた水素化物複合体は、Mg(BH4)2及びMg(NH2)2を出発原料に用いており、既に水素を貯蔵している状態にある。また、本発明に係る水素化物複合体は、熱的に不安定であり、水素を放出しやすい状態になっている。この水素化物複合体に対して脱水素化処理をすると、水素化物複合体から水素が放出され、水素貯蔵材料となる。
脱水素化処理は、水素化物複合体を所定温度に加熱することにより行う。脱水素化処理の処理条件は、特に限定されるものではなく、水素化物複合体の組成や、水素貯蔵材料に要求される特性等に応じて、最適な条件を選択する。
一般に、加熱温度が高くなるほど、水素放出量は多くなる。但し、加熱高温が高くなりすぎると、水素放出量が飽和し、実益がないだけではなく、構成物質の結晶構造が壊れるなど変質する場合があるので好ましくない。
また、一般に、加熱時の雰囲気圧力が低くなるほど、加熱時間が長くなるほど、及び/又は、加熱時の昇温速度が小さくなるほど、相対的に低温で大量の水素を放出させることができる。
本発明に係る水素化物複合体の場合、昇温速度5K/min、0.1MPaアルゴンガス気流中の条件下で加熱すると、約200℃で水素の放出が始まり、300℃までに5〜9.5mass%相当の水素ガスを放出することができる。
また、水素化物複合体を脱水素化することにより得られる水素貯蔵材料と水素ガスとを所定の条件下で反応させると、再び水素が吸蔵される。
[4. 水素化物複合体及び水素貯蔵材料の作用]
本発明に係る水素化物複合体は、200℃程度の低温において、相対的に多量(9wt%程度)の水素を放出することができる。このような優れた水素放出特性を示す理由の詳細については、明らかではないが、以下のような理由によると考えられる。
すなわち、Mg(BH4)2とMg(NH2)2は、熱力学的に安定であり、これらの単独物質から大量の水素を放出させるためには、相対的に高温(>300℃)に加熱する必要がある。しかしながら、両者を複合化させると、メカノケミカル反応により両物質の界面に不安定物質(新規な化合物)が形成され、熱的に不安定となる。その結果、両物質単独の場合に比べて、より低温で分解が生ずると考えられる。
本発明に係る水素化物複合体は、他のボロハイドライドとアミドの組み合わせからなる複合体に比べて、密度が高い。また、軽元素を主成分とするので、軽量であり、単位重量当たりの水素密度が高い。さらに、資源量が豊富で安価なMgを構成元素としているため、大量供給と低コスト化が期待できる。
また、ボロハイドライドの中には、有毒なボラン化合物が不純物ガスとして大量に放出されるもの(例えば、Zn(BH4)2、Mn(BH4)2など)もある。しかしながら、本発明に係る水素化物複合体は、このようなボロハイドライドを含まないので、有毒ガスが生成するおそれもない。
そのため、これを例えば、燃料電池システム用の水素貯蔵物質に応用すれば、燃料電池システムのエネルギー効率を飛躍的に向上させることができる。
(実施例1、比較例1〜5)
[1. 試料の作製]
純化したArで満たされたグローブボックス中でMg(BH4)2とMg(NH2)2とをモル比で1:2となるように混合した。その後、水素雰囲気下で遊星ボールミル装置を用いて12時間ミリング処理した(実施例1)。
また、ボロハイドライド及びアミドとして、それぞれ、LiBH4:LiNH2(=1:2、比較例1)、LiBH4:NaNH2(=1:2、比較例2)、NaBH4:LiNH2(=1:2、比較例3)、LiBH4:LiNH2:NaNH2(=2:3:1、比較例4)、LiNH4:Mg(NH2)2(=1:1、比較例5)を用いたものについて、同様にミリング処理した。但し、ミリング時の雰囲気は、Ar雰囲気とした。
[2. 実験方法]
ミリング処理後、グローブボックス中で評価用セルに入れ、昇温脱離スペクトル測定を行った。また、容量法を用いて、200℃〜400℃における水素放出測定を行った。さらに、粉末X線回折測定により、水素放出前後の回折パターンを測定した。
[3. 結果]
実施例1で得られた水素化物複合体から水素放出が確認された。図1に、その昇温脱離スペクトルを示す。また、実施例1で得られた水素化物複合体から、ジボランの放出は観測されなかった。さらに、粉末X線回折測定により、水素放出前後の回折プロファイルの変化を確認した。
表1に、容量法にて評価した水素放出特性を示す。表1より、本発明に係る水素化物複合体は、他の複合体に比べて、低温で多量の水素を放出することがわかる。
Figure 2009143790
(実施例2)
純化したArで満たされたグローブボックス中でMg(BH4)2とMg(NH2)2とをモル比で1:2となるように混合した。その後、Ar雰囲気下で遊星ボールミル装置を用いて15分間ミリング処理した。
ミリング処理後、グローブボックス中で評価用セルに入れて、昇温脱離スペクトル測定を行った。その結果、作製した複合体から水素の放出が確認された。一方、ジボランの放出は、観測されなかった。
(実施例3)
純化したArで満たされたグローブボックス中でMg(BH4)2とMg(NH2)2をモル比で1:2となるように混合した。その後、Ar雰囲気下で遊星ボールミル装置を用いて2時間ミリング処理した。
ミリング処理後に昇温脱離スペクトル測定を行ったところ、水素の放出が確認された。図2に、ミリング処理されたMg(BH4)2+xMg(NH2)2(x=2)の水素放出スペクトル示す。
一方、ジボランの放出は確認されなかった。また、粉末X線回折測定から、水素放出前後の回折プロファイル変化を確認した。
(実施例4)
純化したArで満たされたグローブボックス中でMg(BH4)2とMg(NH2)2をモル比で1:1.5となるように混合した。その後、Ar雰囲気下で遊星ボールミル装置を用いて2時間ミリング処理した。
ミリング処理されたMg(BH4)2+xMg(NH2)2(x=1.5)の昇温脱離スペクトル測定を行ったところ、モル比1:2の混合体に比べて水素の放出温度が低下した(図2)。
一方、ジボランの放出は確認されなかった。また、粉末X線回折測定から、水素放出前後の回折プロファイル変化を確認した。
(実施例5)
純化したArで満たされたグローブボックス中でMg(BH4)2とMg(NH2)2をモル比で1:1となるように混合した。その後、Ar雰囲気下で遊星ボールミル装置を用いて2時間ミリング処理した。
ミリング処理されたMg(BH4)2+xMg(NH2)2(x=1)の昇温脱離スペクトル測定を行ったところ、モル比1:2、1:1.5の混合体に比べて水素の放出温度が低下した(図2)。しかしながら、水素放出反応が2段階あり、2段階目の放出温度は410℃付近と高かった。
一方、ジボランの放出は確認されなかった。また、粉末X線回折測定から、水素放出前後の回折プロファイル変化を確認した。
(比較例6)
Mg(BH4)2(x=0)の昇温脱離スペクトル測定を行ったところ、Mg(BH4)2とMg(NH2)2の混合体と比べて高い温度で水素放出が確認された(図2)。また、粉末X線回折測定から、水素放出前後の回折プロファイル変化を確認した。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る水素化物複合体及び水素貯蔵材料は、燃料電池システム用の水素貯蔵手段、ケミカル式ヒートポンプ、アクチュエータ、金属−水素蓄電池用の水素貯蔵体等に用いられる水素化物/水素貯蔵材料として使用することができる。
実施例1で得られた水素化物複合体の昇温脱離スペクトルである。 ミリング処理されたMg(BH4)2+xMg(NH2)2(x=0〜2)の水素の昇温脱離スペクトルである。

Claims (3)

  1. Mg(BH4)2とMg(NH2)2とを含む水素化物複合体。
  2. Mg(BH4)2+xMg(NH2)2(1/3≦x≦3.0)で表される請求項1に記載の水素化物複合体。
  3. 請求項1又は2に記載の水素化物複合体に含まれる水素の全部又は一部を放出させることにより得られる水素貯蔵材料。
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