JP2011020901A - 水素化物複合体及び水素貯蔵材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】200℃以下の温度においても水素を取り出すことが可能な新規な水素化物複合体、及び、このような水素化物複合体から水素を放出することにより得られる水素貯蔵材料を提供すること。
【解決手段】金属ボロハイドライドM(BH4)n(Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属から選ばれる1以上の第1の金属元素、nはMの酸化数)と、金属アミドM'(NH2)n'(M'は、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属から選ばれる1以上の第2の金属元素、n'はM'の酸化数)と、金属水素化物M"Hn"(M"は、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属から選ばれる1以上の第3の金属元素、n"はM"の酸化数)との混合物を混合粉砕することにより得られる水素化物複合体、及び、水素化物複合体に含まれる水素の全部又は一部を放出させることにより得られる水素貯蔵材料。
【選択図】図9
【解決手段】金属ボロハイドライドM(BH4)n(Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属から選ばれる1以上の第1の金属元素、nはMの酸化数)と、金属アミドM'(NH2)n'(M'は、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属から選ばれる1以上の第2の金属元素、n'はM'の酸化数)と、金属水素化物M"Hn"(M"は、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属から選ばれる1以上の第3の金属元素、n"はM"の酸化数)との混合物を混合粉砕することにより得られる水素化物複合体、及び、水素化物複合体に含まれる水素の全部又は一部を放出させることにより得られる水素貯蔵材料。
【選択図】図9
Description
本発明は、水素化物複合体及び水素貯蔵材料に関し、さらに詳しくは、200℃以下の温度において水素ガスを発生させることが可能な水素化物複合体、及び、このような水素化物複合体から水素を放出することにより得られる水素貯蔵材料に関する。
近年、二酸化炭素の排出による地球の温暖化等の環境問題や、石油資源の枯渇等のエネルギー問題から、クリーンな代替エネルギーとして水素エネルギーが注目されている。水素エネルギーの実用化に向けて、水素を安全、かつ、効率的に貯蔵、輸送する技術の開発が重要となる。水素の貯蔵方法にはいくつかの候補があるが、中でも可逆的に水素を貯蔵・放出することのできる水素貯蔵材料を用いる方法は、最も安全に水素を貯蔵・輸送する手段と考えられており、燃料電池車に搭載する水素貯蔵媒体として期待されている。
水素貯蔵材料としては、活性炭、フラーレン、ナノチューブ等の炭素材料や、LaNi5、TiFe等の水素吸蔵合金が知られている。これらの内、水素吸蔵合金は、炭素材料に比べて単位体積当たりの水素密度が高いので、水素を貯蔵・輸送するための水素貯蔵材料として有望視されている。
しかしながら、LaNi5、TiFe等の水素吸蔵合金は、La、Ni、Ti等の希少金属を含んでいるため、その資源確保が困難であり、コストも高いという問題がある。また、従来の水素吸蔵合金は、合金自体の重量が大きいために、単位重量当たりの水素密度が小さい、すなわち、大量の水素を貯蔵するためには極めて重い合金を必要とするという問題がある。
しかしながら、LaNi5、TiFe等の水素吸蔵合金は、La、Ni、Ti等の希少金属を含んでいるため、その資源確保が困難であり、コストも高いという問題がある。また、従来の水素吸蔵合金は、合金自体の重量が大きいために、単位重量当たりの水素密度が小さい、すなわち、大量の水素を貯蔵するためには極めて重い合金を必要とするという問題がある。
そこでこの問題を解決するために、軽元素を含む水素貯蔵材料の開発が試みられている。これまでに開発されている軽元素を含む水素貯蔵材料としては、
(1) LiNH2、LiBH4等のリチウム(Li)を含む錯体水素化物(例えば、特許文献1、非特許文献1等参照)、
(2) NaAlH4等のナトリウム(Na)を含む錯体水素化物、
(3) Mg(NH2)2等のマグネシウム(Mg)を含む錯体水素化物、
などが知られている。
(1) LiNH2、LiBH4等のリチウム(Li)を含む錯体水素化物(例えば、特許文献1、非特許文献1等参照)、
(2) NaAlH4等のナトリウム(Na)を含む錯体水素化物、
(3) Mg(NH2)2等のマグネシウム(Mg)を含む錯体水素化物、
などが知られている。
また、単相の金属間化合物ではなく、複数の相を複合化させることによって、水素吸蔵量を増大させたり、あるいは、水素の吸蔵・放出温度を低下させる試みがなされている。軽元素を含み、かつ、複数の相の複合体からなる水素貯蔵材料としては、LiNH2+LiH、LiBH4+MgH2などが知られている。
また、非特許文献2には、LiNH2+0.5LiAlH4からなる水素貯蔵材料が開示されている。同文献には、この材料の水素放出温度は100℃であり、水素量は4mass%である点が記載されている。
また、非特許文献3には、LiAl(NH2)4+4LiHからなる水素貯蔵材料が開示されている。同文献には、この材料の水素放出温度は130℃であり、水素量は6mass%である点が記載されている。
さらに、非特許文献4には、LiNH2−LiBH4−MgH2からなる水素貯蔵材料が開示されている。
また、非特許文献2には、LiNH2+0.5LiAlH4からなる水素貯蔵材料が開示されている。同文献には、この材料の水素放出温度は100℃であり、水素量は4mass%である点が記載されている。
また、非特許文献3には、LiAl(NH2)4+4LiHからなる水素貯蔵材料が開示されている。同文献には、この材料の水素放出温度は130℃であり、水素量は6mass%である点が記載されている。
さらに、非特許文献4には、LiNH2−LiBH4−MgH2からなる水素貯蔵材料が開示されている。
軽元素を含む錯体水素化物は、相対的に重量が軽く、資源確保も比較的容易であり、相対的に低コストである。しかしながら、従来の錯体水素化物は、水素を放出させるためには200℃を超える高温での加熱が必要であるものが多い。200℃以下の温度において相対的に多量の水素を放出することが可能な材料は、限られている。
P.Chen et al.、"Interaction of hydrogen with metal nitrides and imides"、「Nature」、2002年、vol.420/21、p.302-304
J.Phys.Chem.C111(2007)2335-2340
J.Power Source 155(2006)447-455
"Impact of Stoichiometry on the Hydrogen Storage Properties of LiNH2-LiBH4-MgH2 Ternary Composites," J.Phys.Chem. C 2009, 113 2004-2013
本発明が解決しようとする課題は、200℃以下の温度においても水素を取り出すことが可能な新規な水素化物複合体、及び、このような水素化物複合体から水素を放出することにより得られる水素貯蔵材料を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る水素化物複合体は、
金属ボロハイドライドM(BH4)n(Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属から選ばれる1以上の第1の金属元素、nはMの酸化数)と、
金属アミドM'(NH2)n'(M'は、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属から選ばれる1以上の第2の金属元素、n'はM'の酸化数)と、
金属水素化物M"Hn"(M"は、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属から選ばれる1以上の第3の金属元素、n"はM"の酸化数)と
の混合物を混合粉砕することにより得られるものからなる。
但し、金属ボロハイドライドがLiBH4であり、金属アミドがLiNH2であり、金属水素化物がMgH2であるものを除く。
本発明に係る水素貯蔵材料は、本発明に係る水素化物複合体に含まれる水素の全部又は一部を放出させることにより得られるものからなる。
金属ボロハイドライドM(BH4)n(Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属から選ばれる1以上の第1の金属元素、nはMの酸化数)と、
金属アミドM'(NH2)n'(M'は、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属から選ばれる1以上の第2の金属元素、n'はM'の酸化数)と、
金属水素化物M"Hn"(M"は、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属から選ばれる1以上の第3の金属元素、n"はM"の酸化数)と
の混合物を混合粉砕することにより得られるものからなる。
但し、金属ボロハイドライドがLiBH4であり、金属アミドがLiNH2であり、金属水素化物がMgH2であるものを除く。
本発明に係る水素貯蔵材料は、本発明に係る水素化物複合体に含まれる水素の全部又は一部を放出させることにより得られるものからなる。
金属ボロハイドライドM(BH4)n、金属アミドM'(NH2)n'、及び、金属水素化物M"Hn"の混合物を混合粉砕することにより得られる水素化物複合体は、約100℃という比較的低温から水素を取り出すことができる。
これは、
(1)金属アミドM'(NH2)nと金属水素化物M"Hn"の混合物からM'−M”−N−H系化合物が生成する反応において、金属ボロハイドライドM(BH4)nが混合物からNH3を引き抜く触媒として機能するため、又は、
(2)金属ボロハイドライドM(BH4)nと金属アミドM'(NH2)nの混合物からM−M'−B−N−H系化合物が生成する反応において、金属水素化物M"Hn"が混合物からNH3を引き抜く触媒として機能するため、
と考えられる。
これは、
(1)金属アミドM'(NH2)nと金属水素化物M"Hn"の混合物からM'−M”−N−H系化合物が生成する反応において、金属ボロハイドライドM(BH4)nが混合物からNH3を引き抜く触媒として機能するため、又は、
(2)金属ボロハイドライドM(BH4)nと金属アミドM'(NH2)nの混合物からM−M'−B−N−H系化合物が生成する反応において、金属水素化物M"Hn"が混合物からNH3を引き抜く触媒として機能するため、
と考えられる。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 水素化物複合体]
本発明に係る水素化物複合体は、金属ボロハイドライドと、金属アミドと、金属水素化物との混合物を混合粉砕することにより得られる。
[1. 水素化物複合体]
本発明に係る水素化物複合体は、金属ボロハイドライドと、金属アミドと、金属水素化物との混合物を混合粉砕することにより得られる。
[1.1. 金属ボロハイドライド]
「金属ボロハイドライド」とは、一般式:M(BH4)nで表される化合物をいう。Mは、金属ボロハイドライドを構成する第1の金属元素を表す。nは、第1の金属元素Mの酸化数を表す。
金属ボロハイドライドは、1種類の第1の金属元素Mを含む単一の化合物でも良く、あるいは、2種以上の第1の金属元素Mを含む混合物又は固溶体であっても良い。金属ボロハイドライドに複数の第1の金属元素Mが含まれる場合、nは、第1の金属元素Mの平均価数を表す。
「金属ボロハイドライド」とは、一般式:M(BH4)nで表される化合物をいう。Mは、金属ボロハイドライドを構成する第1の金属元素を表す。nは、第1の金属元素Mの酸化数を表す。
金属ボロハイドライドは、1種類の第1の金属元素Mを含む単一の化合物でも良く、あるいは、2種以上の第1の金属元素Mを含む混合物又は固溶体であっても良い。金属ボロハイドライドに複数の第1の金属元素Mが含まれる場合、nは、第1の金属元素Mの平均価数を表す。
本発明において、第1の金属元素Mは、
(1)アルカリ金属(Li、Na、K、Rb、Cs、Fr)、
(2)アルカリ土類金属(Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra)、及び、
(3)遷移金属(Sc〜Cu、Y〜Ag、La〜Au、Ac〜Rg)
から選ばれるいずれか1以上の元素からなる。
特に、Mgは、低温において多量の水素を放出することができるので、第1の金属元素Mとして好適である。
(1)アルカリ金属(Li、Na、K、Rb、Cs、Fr)、
(2)アルカリ土類金属(Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra)、及び、
(3)遷移金属(Sc〜Cu、Y〜Ag、La〜Au、Ac〜Rg)
から選ばれるいずれか1以上の元素からなる。
特に、Mgは、低温において多量の水素を放出することができるので、第1の金属元素Mとして好適である。
[1.2. 金属アミド]
「金属アミド」とは、一般式:M'(NH2)n'で表される化合物をいう。M'は、水素化アルミ金属化合物を構成する第2の金属元素を表す。n'は、第2の金属元素M'の酸化数を表す。
金属アミドは、1種類の第2の金属元素M'を含む単一の化合物でも良く、あるいは、2種以上の第2の金属元素M'を含む混合物又は固溶体であっても良い。金属アミドに複数の第2の金属元素M'が含まれる場合、n'は、第2の金属元素M'の平均価数を表す。
「金属アミド」とは、一般式:M'(NH2)n'で表される化合物をいう。M'は、水素化アルミ金属化合物を構成する第2の金属元素を表す。n'は、第2の金属元素M'の酸化数を表す。
金属アミドは、1種類の第2の金属元素M'を含む単一の化合物でも良く、あるいは、2種以上の第2の金属元素M'を含む混合物又は固溶体であっても良い。金属アミドに複数の第2の金属元素M'が含まれる場合、n'は、第2の金属元素M'の平均価数を表す。
本発明において、第2の金属元素M'は、
(1)アルカリ金属(Li、Na、K、Rb、Cs、Fr)、
(2)アルカリ土類金属(Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra)、及び、
(3)遷移金属(Sc〜Cu、Y〜Ag、La〜Au、Ac〜Rg)
から選ばれるいずれか1以上の元素からなる。
第2の金属元素M'は、第1の金属元素Mと同一であっても良く、あるいは、異なっていても良い。また、第2の金属元素M'の酸化数n'は、第1の金属元素Mの酸化数nと同一であっても良く、あるいは、異なっていても良い。
特に、Mgは、低温において多量の水素を放出することができるので、第2の金属元素M'として好適である。
(1)アルカリ金属(Li、Na、K、Rb、Cs、Fr)、
(2)アルカリ土類金属(Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra)、及び、
(3)遷移金属(Sc〜Cu、Y〜Ag、La〜Au、Ac〜Rg)
から選ばれるいずれか1以上の元素からなる。
第2の金属元素M'は、第1の金属元素Mと同一であっても良く、あるいは、異なっていても良い。また、第2の金属元素M'の酸化数n'は、第1の金属元素Mの酸化数nと同一であっても良く、あるいは、異なっていても良い。
特に、Mgは、低温において多量の水素を放出することができるので、第2の金属元素M'として好適である。
[1.3. 金属水素化物]
「金属水素化物」とは、一般式:M"Hn"で表される化合物をいう。M"は、金属水素化物を構成する第3の金属元素を表す。n"は、第3の金属元素M"の酸化数を表す。
金属水素化物は、1種類の第3の金属元素M"を含む単一の化合物でも良く、あるいは、2種以上の第3の金属元素M"を含む混合物又は固溶体であっても良い。金属水素化物に複数の第3の金属元素M"が含まれる場合、n"は、第3の金属元素M"の平均価数を表す。
「金属水素化物」とは、一般式:M"Hn"で表される化合物をいう。M"は、金属水素化物を構成する第3の金属元素を表す。n"は、第3の金属元素M"の酸化数を表す。
金属水素化物は、1種類の第3の金属元素M"を含む単一の化合物でも良く、あるいは、2種以上の第3の金属元素M"を含む混合物又は固溶体であっても良い。金属水素化物に複数の第3の金属元素M"が含まれる場合、n"は、第3の金属元素M"の平均価数を表す。
本発明において、第3の金属元素M"は、
(1)アルカリ金属(Li、Na、K、Rb、Cs、Fr)、
(2)アルカリ土類金属(Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra)、及び、
(3)遷移金属(Sc〜Cu、Y〜Ag、La〜Au、Ac〜Rg)
から選ばれるいずれか1以上の元素からなる。
第3の金属元素M"は、第1の金属元素M及び/又は第2の金属元素M'と同一であっても良く、あるいは、異なっていても良い。また、第3の金属元素M"の酸化数n"は、第1の金属元素Mの酸化数n及び/又は第2の金属元素M'の酸化数n'と同一であっても良く、あるいは、異なっていても良い。
特に、Liは、低温において多量の水素を放出することができるので、第3の金属元素M"として好適である。
(1)アルカリ金属(Li、Na、K、Rb、Cs、Fr)、
(2)アルカリ土類金属(Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra)、及び、
(3)遷移金属(Sc〜Cu、Y〜Ag、La〜Au、Ac〜Rg)
から選ばれるいずれか1以上の元素からなる。
第3の金属元素M"は、第1の金属元素M及び/又は第2の金属元素M'と同一であっても良く、あるいは、異なっていても良い。また、第3の金属元素M"の酸化数n"は、第1の金属元素Mの酸化数n及び/又は第2の金属元素M'の酸化数n'と同一であっても良く、あるいは、異なっていても良い。
特に、Liは、低温において多量の水素を放出することができるので、第3の金属元素M"として好適である。
[1.4. 混合物の組成]
金属ボロハイドライド、金属アミド、及び、金属水素化物の組み合わせは、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な組み合わせを選択することができる。
低温において多量の水素を放出することが可能な金属ボロハイドライド、金属アミド、及び、金属水素化物の組み合わせとしては、
(1)Mg(BH4)2+Mg(NH2)2+LiH又はNaH、
(2)Mg(BH4)2+Mg(NH2)2+LiAlH4又はNaAlH4、
(3)Mg(BH4)2+Mg(NH2)2+AlH3、
などがある。
金属ボロハイドライド、金属アミド、及び、金属水素化物の組み合わせは、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な組み合わせを選択することができる。
低温において多量の水素を放出することが可能な金属ボロハイドライド、金属アミド、及び、金属水素化物の組み合わせとしては、
(1)Mg(BH4)2+Mg(NH2)2+LiH又はNaH、
(2)Mg(BH4)2+Mg(NH2)2+LiAlH4又はNaAlH4、
(3)Mg(BH4)2+Mg(NH2)2+AlH3、
などがある。
第1の金属元素M、第2の金属元素M'、及び、第3の金属元素M"の割合は、これらの種類に応じて最適な割合を選択する。3つの化学種の内、2つの化学種の割合が過剰になると、水素放出温度が上昇し、あるいは、不純物ガス(NH3など)の発生が顕著となる。不純物ガスの発生を抑制しながら低温において多量の水素を放出させるためには、3つの化学種の内、2つの化学種の割合が90%を超えないことが望ましい。
例えば、第1の金属元素M及び第2の金属元素M'がMgであり、第3の金属元素M"がLiである場合、金属ボロハイドライドの割合xは、15〜35mol%が好ましい。
また、金属アミドの割合yは、25〜50mol%が好ましい。
さらに、金属水素化物の割合zは、25〜50mol%が好ましい。
但し、x+y+z=100mol%。
例えば、第1の金属元素M及び第2の金属元素M'がMgであり、第3の金属元素M"がLiである場合、金属ボロハイドライドの割合xは、15〜35mol%が好ましい。
また、金属アミドの割合yは、25〜50mol%が好ましい。
さらに、金属水素化物の割合zは、25〜50mol%が好ましい。
但し、x+y+z=100mol%。
[1.5. 混合粉砕]
「混合粉砕」とは、出発原料に機械的応力を与え、粉砕しながら均一に混合するプロセスをいう。水素化物複合体は、出発原料が十分に粉砕され、均一に混合されていれば良い。そのため、粉砕方法、粉砕時間、粉砕雰囲気などの調製条件に関し、細かい制約を受けない。
例えば、ボールミル粉砕を行う場合、粉砕時間は、2時間程度で良い。試料調製雰囲気は、不活性ガス雰囲気又は水素雰囲気(9気圧程度)が好ましい。
「混合粉砕」とは、出発原料に機械的応力を与え、粉砕しながら均一に混合するプロセスをいう。水素化物複合体は、出発原料が十分に粉砕され、均一に混合されていれば良い。そのため、粉砕方法、粉砕時間、粉砕雰囲気などの調製条件に関し、細かい制約を受けない。
例えば、ボールミル粉砕を行う場合、粉砕時間は、2時間程度で良い。試料調製雰囲気は、不活性ガス雰囲気又は水素雰囲気(9気圧程度)が好ましい。
混合粉砕方法は、
(1)3つの化学種を同時に混合粉砕する方法、あるいは、
(2)予め2つの化学種を混合粉砕し、混合物に3つ目の化学種を加えてさらに混合粉砕する方法、
のいずれであっても良い。
(1)3つの化学種を同時に混合粉砕する方法、あるいは、
(2)予め2つの化学種を混合粉砕し、混合物に3つ目の化学種を加えてさらに混合粉砕する方法、
のいずれであっても良い。
[2. 水素貯蔵材料]
本発明に係る水素貯蔵材料は、本発明に係る水素化物複合体に含まれる水素の全部又は一部を放出させることにより得られる。得られた水素貯蔵材料と水素とを接触させる場合において、条件を最適化すると、水素貯蔵材料材料と水素とが反応し、水素化物複合体となる。
本発明に係る水素貯蔵材料は、本発明に係る水素化物複合体に含まれる水素の全部又は一部を放出させることにより得られる。得られた水素貯蔵材料と水素とを接触させる場合において、条件を最適化すると、水素貯蔵材料材料と水素とが反応し、水素化物複合体となる。
[3. 水素化物複合体及び水素貯蔵材料の作用]
Mg(BH4)2+LiHの1:1混合物を加熱すると、水素を放出する。しかしながら、Mg(BH4)2とLiHとを混合しても複合化効果は現れず、水素を放出させるためには相対的に高い温度での加熱が必要となる。
Mg(NH2)2+LiHの1:1混合物を加熱すると、水素を放出する。しかしながら、Mg(NH2)2とLiHとを混合しても複合化効果は現れない。また、不純物ガス(NH3など)の発生も顕著となる。
さらに、Mg(BH4)2+Mg(NH2)2の1:1混合物を加熱すると、水素を放出する。この場合、複合化効果は若干現れるが、水素放出温度は200〜250℃であり、比較的高い。
Mg(BH4)2+LiHの1:1混合物を加熱すると、水素を放出する。しかしながら、Mg(BH4)2とLiHとを混合しても複合化効果は現れず、水素を放出させるためには相対的に高い温度での加熱が必要となる。
Mg(NH2)2+LiHの1:1混合物を加熱すると、水素を放出する。しかしながら、Mg(NH2)2とLiHとを混合しても複合化効果は現れない。また、不純物ガス(NH3など)の発生も顕著となる。
さらに、Mg(BH4)2+Mg(NH2)2の1:1混合物を加熱すると、水素を放出する。この場合、複合化効果は若干現れるが、水素放出温度は200〜250℃であり、比較的高い。
これに対し、金属ボロハイドライドM(BH4)n、金属アミドM'(NH2)n'、及び、金属水素化物M"Hn"の混合物を混合粉砕することにより得られる水素化物複合体は、約100℃という比較的低温から水素を取り出すことができる。
これは、
(1)金属アミドM'(NH2)nと金属水素化物M"Hn"の混合物からM'−M”−N−H系化合物が生成する反応において、金属ボロハイドライドM(BH4)nが混合物からNH3を引き抜く触媒として機能するため、又は、
(2)金属ボロハイドライドM(BH4)nと金属アミドM'(NH2)nの混合物からM−M'−B−N−H系化合物が生成する反応において、金属水素化物M"Hn"が混合物からNH3を引き抜く触媒として機能するため、
と考えられる。
これは、
(1)金属アミドM'(NH2)nと金属水素化物M"Hn"の混合物からM'−M”−N−H系化合物が生成する反応において、金属ボロハイドライドM(BH4)nが混合物からNH3を引き抜く触媒として機能するため、又は、
(2)金属ボロハイドライドM(BH4)nと金属アミドM'(NH2)nの混合物からM−M'−B−N−H系化合物が生成する反応において、金属水素化物M"Hn"が混合物からNH3を引き抜く触媒として機能するため、
と考えられる。
(実施例1〜13(試料#1〜6、11〜17)、比較例1〜4(試料#7〜10))
[1. 試料の作製]
内容積80mLのボールミルポットに、原料及び粉砕用ボールを充填した。原料には、Mg(BH4)2、Mg(NH2)2、LiH、NaH、及び、MgH2を用いた。粉砕用ボールには、φ=9.5mmのボール27個を用いた。原料の充填量は、粉砕用ボール100gに対して1g以下とした。ポット内の雰囲気をAr(1気圧)とし、2〜12時間粉砕した。なお、試料#11〜14については、3つの化学種の内、まず2種を2時間粉砕し、次いで残りの化学種を加えてさらに2時間粉砕した。
[2. 評価]
混合粉砕した試料の水素及びNH3の昇温脱離スペクトルを測定した。
[1. 試料の作製]
内容積80mLのボールミルポットに、原料及び粉砕用ボールを充填した。原料には、Mg(BH4)2、Mg(NH2)2、LiH、NaH、及び、MgH2を用いた。粉砕用ボールには、φ=9.5mmのボール27個を用いた。原料の充填量は、粉砕用ボール100gに対して1g以下とした。ポット内の雰囲気をAr(1気圧)とし、2〜12時間粉砕した。なお、試料#11〜14については、3つの化学種の内、まず2種を2時間粉砕し、次いで残りの化学種を加えてさらに2時間粉砕した。
[2. 評価]
混合粉砕した試料の水素及びNH3の昇温脱離スペクトルを測定した。
[3. 結果]
図1〜図8に、各試料の水素及びアンモニアの昇温脱離スペクトルを示す。
また、表1に、各温度領域での水素放出能力及び不純物ガスであるアンモニアの放出の有無を示す。なお、表1には、各試料の混合比、粉砕時間、及び、組成比も併せて示した。表1中、水素放出能力に関し、「○」は水素放出を確認できたことを表し、「△」は若干の水素放出が認められたことを表し、「×」は水素放出を確認できなかったことを表す。また、アンモニアの放出に関し、「○」はアンモニアの放出が無かったことを表し、「×」はアンモニアが検出されたことを表す。
図1〜図8に、各試料の水素及びアンモニアの昇温脱離スペクトルを示す。
また、表1に、各温度領域での水素放出能力及び不純物ガスであるアンモニアの放出の有無を示す。なお、表1には、各試料の混合比、粉砕時間、及び、組成比も併せて示した。表1中、水素放出能力に関し、「○」は水素放出を確認できたことを表し、「△」は若干の水素放出が認められたことを表し、「×」は水素放出を確認できなかったことを表す。また、アンモニアの放出に関し、「○」はアンモニアの放出が無かったことを表し、「×」はアンモニアが検出されたことを表す。
図1〜8及び表1より、
(1)試料#2と試料#4との比較から、短時間の粉砕でLiHの添加効果は現れる、
(2)試料#2と試料#11〜13との比較から、混合の順番によらず、LiHの添加効果は現れる、
(3)試料#6と試料#14の比較から、Mg(BH4)2の添加量が少なくなるほど、低温における水素放出量が減少する、
(4)試料#1と試料#15との比較から、NaHよりもLiHの方が低温域における水素放出能力が高い、
(5)試料#16、17より、MgH2はアンモニアの放出を抑制する作用はあるが、低温における水素放出能力は低い、
ことがわかる。
(1)試料#2と試料#4との比較から、短時間の粉砕でLiHの添加効果は現れる、
(2)試料#2と試料#11〜13との比較から、混合の順番によらず、LiHの添加効果は現れる、
(3)試料#6と試料#14の比較から、Mg(BH4)2の添加量が少なくなるほど、低温における水素放出量が減少する、
(4)試料#1と試料#15との比較から、NaHよりもLiHの方が低温域における水素放出能力が高い、
(5)試料#16、17より、MgH2はアンモニアの放出を抑制する作用はあるが、低温における水素放出能力は低い、
ことがわかる。
図9に、Mg(BH4)2−Mg(NH2)2−LiHの組成とH2放出温度及びNH3の発生の抑制との関係を示す図である。
図9より、H2の放出温度を低下させ、かつ、NH3の発生を抑制するためには、Mg(BH4)2が15〜35mol%、Mg(NH2)2が25〜50mol%、LiHが25〜50mol%の組成が好ましいことがわかる。
図9より、H2の放出温度を低下させ、かつ、NH3の発生を抑制するためには、Mg(BH4)2が15〜35mol%、Mg(NH2)2が25〜50mol%、LiHが25〜50mol%の組成が好ましいことがわかる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る水素化物複合体は、燃料電池システム用の水素貯蔵手段、超高純度水素製造装置、ケミカル式ヒートポンプ、アクチュエータ、金属−水素蓄電池用の水素貯蔵体等に用いられる水素貯蔵媒体として使用することができる。
Claims (4)
- 金属ボロハイドライドM(BH4)n(Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属から選ばれる1以上の第1の金属元素、nはMの酸化数)と、
金属アミドM'(NH2)n'(M'は、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属から選ばれる1以上の第2の金属元素、n'はM'の酸化数)と、
金属水素化物M"Hn"(M"は、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属から選ばれる1以上の第3の金属元素、n"はM"の酸化数)と
の混合物を混合粉砕することにより得られる水素化物複合体。
但し、金属ボロハイドライドがLiBH4であり、金属アミドがLiNH2であり、金属水素化物がMgH2であるものを除く。 - 前記第1の金属元素MはMgであり、
前記第2の金属元素M'はMgであり、
前記第3の金属元素M"はLi又はNaである
請求項1に記載の水素化物複合体。 - 前記金属ボロハイドライドの割合xは、15〜35mol%であり、
前記金属アミドの割合yは、25〜50mol%であり、
前記金属水素化物の割合zは、25〜50mol%である
請求項2に記載の水素化物複合体。
但し、x+y+z=100mol%。 - 請求項1から3までのいずれかに記載の水素化物複合体に含まれる水素の全部又は一部を放出させることにより得られる水素貯蔵材料。
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JP2009168302A JP2011020901A (ja) | 2009-07-16 | 2009-07-16 | 水素化物複合体及び水素貯蔵材料 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013239353A (ja) * | 2012-05-15 | 2013-11-28 | Toyota Central R&D Labs Inc | 無機マグネシウム固体電解質、マグネシウム電池及び無機マグネシウム固体電解質の製造方法 |
JP2015529624A (ja) * | 2013-08-02 | 2015-10-08 | 浙江大学Zhejiang University | 金属錯体水素化物ナノロッドを調製する方法 |
US9938142B2 (en) | 2015-09-16 | 2018-04-10 | Hyundai Motor Company | Hydrogen storage material and manufacturing method thereof |
-
2009
- 2009-07-16 JP JP2009168302A patent/JP2011020901A/ja active Pending
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