JP5152822B2 - Mg−M−H系水素吸蔵合金及びその製造方法 - Google Patents
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特に、1GPa以上の超高圧水素雰囲気においては、水素原子や格子欠陥が周期的に配列し、その中で、金属元素の再配列や化合物中の水素固溶度が急激に増大するため、水素を高密度に充填できる結晶構造や化学結合が形成され易い(例えば、特許文献2)。
1. 下記一般組成式(1)
Mg1−xMxHy (1)
〔式中、MはSc、Ti、Zr、Hf、V、Nb及びTaからなる群から選択される少なくとも1種を示す。x=0.04〜0.8を示す。y=0.2〜2を示す。〕
で示される水素吸蔵合金であって、
Sb、Sn、Ga、In、Zn、Cu、Ag、Ni、Co、Fe及びCrからなる群から選択される少なくとも1種の添加剤Aを、前記Mg1−xMxHyに対して更に1〜20原子%含有する、水素吸蔵合金。
2. MgH2におけるMgの一部が前記Mに置換された固溶体と、MHα(但し、1<α≦3)における前記Mの一部がMgに置換された固溶体との混合物である、上記項1に記載の水素吸蔵合金。
3. 前記Mは、Ti、V及びZrからなる群から選択される少なくとも1種である、上記項1又は2に記載の水素吸蔵合金。
4. 前記Aが、In及びCuからなる群から選ばれた少なくとも1種である、上記項1〜3のいずれかに記載の水素吸蔵合金。
5. MgH 2 とMH α (式中、Mは前記に同じ。但し、1<α≦3)とを含有する水素化された出発材料、及び前記添加剤Aを所要の組成となるように混合し、それを、温度600〜1000℃の範囲で、超高圧高温水素雰囲気下で合成処理する、上記項1に記載の水素吸蔵合金の製造方法。
6. MgH 2 とMH α (式中、Mは前記に同じ。但し、1<α≦3)とを含有する水素化された出発材料、及び前記添加剤Aを所要の組成となるように混合し、それを、不活性ガス又は水素ガス雰囲気下でメカニカルアロイング処理により固相反応合成する、上記項1に記載の水素吸蔵合金の製造方法。
7. 上記項1〜4のいずれかに記載の水素吸蔵合金又は上記項5若しくは6に記載の製造方法により得られる水素吸蔵合金であって、水素雰囲気中で水素吸蔵及び放出サイクルを繰り返すことにより安定化させた水素吸蔵合金。
本発明の水素吸蔵合金は、下記一般組成式(1)
Mg1−xMxHy (1)
〔式中、MはLi、Na、K、Rb、Ca、Sr、Ba、Sc、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta及びPdからなる群から選択される少なくとも1種を示す。x=0.04〜0.8を示す。y=0.2〜2を示す。〕で示される。
βγHσ (2)
〔式中、βはLi、Na、K及びRbからなる群から選択される少なくとも1種を示す。γはN、Sb、Bi、Si、Ge、Sn、B、Al、Ga、In、Zn及びAgからなる群から選択される少なくとも1種を示す。σ=1〜4を示す。〕で示される三元系水素化合物の分解によって得られるものが好ましい。なお、σは、β及びγを選ぶことによって自動的に固定される値であり、σ=1〜4の範囲である。上記三元系水素化合物としては、例えば、LiAlH4、Li3InH、Li4InH、LiZn2H等が挙げられる。
化されていることが好ましい。水素吸蔵及び放出サイクルの条件は限定的ではないが、例えば、0.1〜0.5Mpaの水素雰囲気下において、常温(20℃付近)から400℃迄の範囲で、昇温と冷却サイクルを2〜10回繰り返す条件が挙げられる。
本発明の水素吸蔵合金の製造方法は限定的ではないが、例えば、超高圧高温水素雰囲気下での合成処理(高圧合成法)や、不活性ガス又は水素ガス雰囲気下でのメカニカルアロイング処理(MA法)等によって好適に製造できる。
高圧合成法では、水素化された出発材料(前記MgH2とMHα)を所要の組成となるように混合し、それを温度600〜1000℃の範囲で、超高圧高温水素雰囲気下で合成処理する。水素吸蔵合金に前記添加剤Aを更に含有させる場合には、出発材料に添加剤A又は添加剤Aの原料となる前記βγHσを配合しておく。
施例で説明するように、水素化物Mg−M−HはMg+M水素化物の分解を伴って、MgH2と比べて、水素放出温度が210〜220℃低下し、水素吸蔵量を7wt%保持することができ、水素吸蔵放出可逆性がある。
MA法では、水素化された出発材料(前記MgH2とMHα)を所要の組成となるように混合し、それを不活性ガス又は水素ガス雰囲気下でメカニカルアロイング処理により固相反応合成する。水素吸蔵合金に前記添加剤Aを更に含有させる場合には、出発材料に添加剤A又は添加剤Aの原料となる前記βγHσを配合しておく。MA法は機械的圧縮力で複数の成分を化合させる方法であり、出発原料に水素化物を利用することにより、常温・常圧で反応させることが可能である。
MgH2とMHαとを出発原料とし、固相反応合成することにより、本発明の水素吸蔵合金を作製した。
混合粉末を錠剤形に圧力形成した。
鋼製バルブ付ミルポットに混合粉末を入れ、このミル容器内を所定のガス圧下で、遊星ボールミル装置を用いて、常温、400rpmの条件で所定時間ミリング処理を施した。処理後の試料はアルゴン雰囲気中で取り出した。
MgH2とMHαとを単純混合することにより、比較試料を作製した。
図1に、合成処理前の出発原料(比較例1)と比較して、所定合成後のMg-Sc-H系試料
(実施例1〜3)の粉末X線回折パターンを示す。高圧合成法又はMA法により合成した実施例1〜3の試料は、MgH2相に由来する回折ピークが減少し、原料相では同定でき
ない回折ピーク群が明瞭に認められた。このことより、高圧合成法又はMA法により作製した試料における新規相の存在が示唆された。
の存在が明らかになった(RB=2.31,RF=1.66%,Mg0.79Sc0.21Hx/a=0.484nm),(RB=2.77,RF=1.63%,Mg0.93Sc0.07Hx/a=0.491nm)。これは超格子構造をとらないMg0.86Zr0.14H〜2と同様に、単純FCC構造である。この2種の新規相の含有量は合わせて40%と見積もれる。リートベルト解析結果を図2に示す。図2は、横軸にX線回折における2θ/deg.を、横軸に強度/任意単位(Intensity/arb.unit)をとり、γ−MgH2,α−MgH2,NaCl,MgO,SiおよびScNの各回折パターンは、同図中に短い縦線の印で示した。本回折データにはMgH2,NaCl,MgO及びScNの不純物相についての情報も含まれていることもわかった。
サイクル目以降の昇降温サイクルでは350℃および330℃でそれぞれ吸熱、発熱反応が確認された。
発熱反応の後、2サイクル目以降の昇降温サイクルでは320℃〜350℃及び290〜230℃でそれぞれ吸熱、発熱反応が確認された。
後、2サイクル目以降も昇降温サイクルでは吸熱、発熱反応共に、大きなピークは見られなかった。
図9に、合成処理前の出発試料(比較例2)と比較して、所定合成後のMgTiH系試料(実施例4〜6)の粉末X線回折パターンを示す。高圧合成法又はMA法を選択し合成した実施例4〜6の試料は、MgH2相に由来する回折ピークが減少し、原料相では同定できない回折ピーク群が明瞭に認められた。このことより、高圧合成法又はMA法により作製した試料における新規相の存在が示唆された。
図16に、合成処理前の出発試料(比較例3)と比較して、所定合成後のMgVH系試料(実施例7〜8)の粉末X線回折パターンを示す。高圧合成法又はMA法により合成した実施例7〜8の試料は、MgH2相に由来する回折ピークが減少し、原料相では同定できない回折ピーク群が明瞭に認められた。このことより、高圧合成法やMA法により作製した試料における新規相の存在が示唆された。
反応の後、2サイクル目以降の昇降温サイクルでは323℃〜354及び285〜260℃でそれぞれ吸熱、発熱反応が確認された。
反応の後、2サイクル目以降の昇降温サイクルでは321℃〜343及び283〜251℃でそれぞれ吸熱、発熱反応が確認された。
図21に、合成処理前の出発試料(比較例4)と比較して、所定合成後のMgZrH系試料(実施例9〜10)の粉末X線回折パターンを示す。高圧合成法又はMA法により合成した実施例9〜10の試料は、MgH2相に由来する回折ピークが減少し、原料相では同定できない回折ピーク群が明瞭に認められた。このことより、高圧合成法やMA法により作製した試料における新規相の存在が示唆された。
表2に、水素圧0.1MPa,昇温率10℃/min,温度範囲100〜400℃の測定条件でDSC測定結果より導き出された水素放出開始温度と水素吸蔵開始温度を示す。実施例8,12,13,28,30〜34に対して、実施例11,14〜27,29,35,36の水素放出開始温度又は水素吸蔵開始温度の低減がみられた。
Claims (7)
- 下記一般組成式(1)
Mg1−xMxHy (1)
〔式中、MはSc、Ti、Zr、Hf、V、Nb及びTaからなる群から選択される少なくとも1種を示す。x=0.04〜0.8を示す。y=0.2〜2を示す。〕
で示される水素吸蔵合金であって、
Sb、Sn、Ga、In、Zn、Cu、Ag、Ni、Co、Fe及びCrからなる群から選択される少なくとも1種の添加剤Aを、前記Mg1−xMxHyに対して更に1〜20原子%含有する、水素吸蔵合金。 - MgH2におけるMgの一部が前記Mに置換された固溶体と、MHα(但し、1<α≦3)における前記Mの一部がMgに置換された固溶体との混合物である、請求項1に記載の水素吸蔵合金。
- 前記Mは、Ti、V及びZrからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の水素吸蔵合金。
- 前記Aが、In及びCuからなる群から選ばれた少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれかに記載の水素吸蔵合金。
- MgH 2 とMH α (式中、Mは前記に同じ。但し、1<α≦3)とを含有する水素化された出発材料、及び前記添加剤Aを所要の組成となるように混合し、それを、温度600〜1000℃の範囲で、超高圧高温水素雰囲気下で合成処理する、請求項1に記載の水素吸蔵合金の製造方法。
- MgH 2 とMH α (式中、Mは前記に同じ。但し、1<α≦3)とを含有する水素化された出発材料、及び前記添加剤Aを所要の組成となるように混合し、それを、不活性ガス又は水素ガス雰囲気下でメカニカルアロイング処理により固相反応合成する、請求項1に記載の水素吸蔵合金の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の水素吸蔵合金又は請求項5若しくは6に記載の製造方法により得られる水素吸蔵合金であって、水素雰囲気中で水素吸蔵及び放出サイクルを繰り返すことにより安定化させた水素吸蔵合金。
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