JP2005526289A - 一つの次元において画像ビームを掃引し、第二の次元において画像ビームを双方向に掃引する装置及び方法 - Google Patents

一つの次元において画像ビームを掃引し、第二の次元において画像ビームを双方向に掃引する装置及び方法 Download PDF

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Abstract

画像生成器の走査アセンブリは、第一の次元において、第一の速度によって画像ビームを掃引し、第二の次元においては、低い速度により双方向に掃引する。垂直次元(一般には、より低い掃引速度の次元)において双方向にビームを掃引すると、フライバック期間を除去することで走査電力を低減可能であり、走査アセンブリが機械的リフレクタを含む場合、垂直掃引関数における調波数を低減することで、フィードバックループなしでビーム位置における誤差を低減できる。更に、フライバック期間の除去により、画像ビームはより長く「オン」になるため、走査画像は、一定のビーム強度に対して、より明るくなる場合が多い。走査アセンブリは、垂直次元において、画像ビームを非線形で掃引してもよく、この掃引は、双方向又は単方向にしてよい。ビームを非線形で掃引すると、垂直掃引関数における調波数を低減することで、ビーム位置における誤差を更に低減できる。

Description

優先権の主張
本願は、出典を明示することによりその開示内容全体を本願明細書の一部とする2002年5月17日提出の米国仮特許出願第60/381,569号に基づく優先権を主張する。
テレビ受像機等の電子画像生成器は、電磁画像ビームを画面全体で電子的に掃引することにより、目に見える画像、或いは目に見えるビデオ画像のシーケンスを、表示画面上で走査する。例えば、テレビ受像機において、画像ビームは、電子のビームであり、コイルは、ビームを掃引するために、直線的に増加する磁場又は電場を生成する。
光学画像生成器は、電磁画像ビームを画面全体で機械的に掃引して、目に見える画像を表示画面上で走査する点を除き、同様である。或いは、仮想網膜表示装置(VRD)の場合、光学画像生成器は、直接、視聴者の(複数の)網膜上で、目に見えるものを走査する。
図1は、光学画像生成器12及び表示画面14を含む従来の光学画像表示システム10の図である。画像生成器12は、光学ビーム18を生成する生成器16を含み、更に、ビームにより画面14上で画像を走査する走査アセンブリ20を含む。システム10がVRDである場合、走査アセンブリ20は、画像を直接、視聴者の(複数の)網膜(図示なし)上で走査する。走査アセンブリ20は、それぞれピボットアーム24a及び24bとピボットアーム26a及び26bとを中心に、水平(X)及び垂直(Y)次元において往復して同時に回転するリフレクタ22を含む。往復して回転させることで、リフレクタ22は、二次元(X−Y)ラスタパターンにおいてビーム18を掃引し、画面14(又は(複数の)網膜)上で画像を生成する。走査アセンブリ20は、リフレクタ22を回転させ、ビーム18が画面14に衝突する瞬間位置に比例する瞬間回転位置をモニタするために、その他のコンポーネント及び回路(図示なし)を含む。図示していない代替実施において、走査アセンブリ20は、二つのリフレクタを含んでよく、一方はビーム18を水平(X)次元で掃引し、他方はビームを垂直(Y)次元で掃引する。システム10に類似する光学画像表示システムは、Gerhardらの米国特許第6,140,979号「ピンチ、タイミング、及び歪み補正付き走査表示」と、Fumessらの米国特許第5,467,104号「仮想網膜表示装置」とにおいて開示されており、これらはそれぞれ参照により組み込むものとする。
図1乃至3を参照すると、光学画像表示システムのステップが説明されている。
図1を参照すると、画像生成器12は、初期ピクセル位置X=0,Y=0において画像の走査を開始し、最終ピクセル位置X=n、Y=mにおいて画像の走査を停止し、ここでnは画像の水平(X)次元のピクセル数であり、mは画像の垂直(Y)次元のピクセル数である。具体的には、ビーム生成器16は、リフレクタ22がビームを位置X=0,Y=0に向ける時、画像ビーム18の強度を変調して、走査画像の第一のピクセルZ0,0を形成する。リフレクタ22がビームを位置X=n,Y=mに向けて掃引する際、生成器16は、ビームの強度を周期的に変調し、最終ピクセルZn,mを含む残りの画像ピクセルを連続的に形成する。その後、画像生成器12は、位置X=0,Y=0において次の画像の走査を開始し、残りの全画像について、この手順を繰り返す。
図2を参照すると、画像の走査中、リフレクタ22は、水平(X)次元において、水平掃引周波数f=1/tでビーム18を双方向に正弦波掃引し、ここでtは水平正弦波の周期である。図2は、この水平正弦波のプロットであり、水平(X)次元におけるビーム18の位置を時間と対比して示しており、ここで+は画面14の右側に対応し、−は左側に対応する。このプロットが図示するように、リフレクタ22は、ピボットアーム24a及び24bを中心に正弦波のようにfで振動し、したがって、画面14の左右へ、同じ周波数でビーム18を正弦波掃引する。正弦波掃引が双方向となるのは、ビーム18が「オン」であり、したがって、左から右(+X)及び右から左(−X)の水平方向の両方でピクセルを生成するためである。必須ではないが、fはアーム24a及び24bを中心としたリフレクタ22の共振周波数と実質的に等しくしてもよい。fで共振するようにリフレクタ22を設計することの利点の一つは、走査アセンブリ20が相対的に小さな電力で、水平(X)次元においてリフレクタを駆動できることである。
図3を参照すると、リフレクタ22は、垂直(Y)次元において、垂直掃引周波数f=1/tでビーム18を単方向で直線掃引し、ここでtは垂直鋸波の周期である。図3は、この鋸波のプロットであり、垂直(Y)次元におけるビーム18の位置を時間と対比して示しており、ここで+は画面14の下側に対応し、−は上側に対応する。このプロットが図示するように、垂直走査期間Vにおいて、走査アセンブリ20は、ピボットアーム26a及び26bを中心にリフレクタ22を最上部位置から最下部位置へ直線的に回転させ、これにより、リフレクタは、ビーム18を画面14の最上部ピクセルZ0,0から画面の最下部(ピクセルZn,m)(−Y方向)へ掃引する。フライバック期間FBにおいて、走査アセンブリ20は、リフレクタ22を再び最上部位置(Z0,0)へ(走査期間Vと比較して)迅速に回転させ、新しい画像の走査を開始する。結果として、t=V+FBとなり、垂直掃引周波数f=1/(V+FB)となる。更に、ビーム18は、リフレクタ22がビームを最上部(Z0,0)から最下部(Zn,m)(−Y方向)へ掃引する走査期間Vにおいてのみ「オン」となり、リフレクタ22が最上部位置(Z0,0)へ戻るフライバック期間FBにおいてはオフとなるため、垂直掃引は単方向になる。直線的に単方向でビームを垂直掃引する利点の一つは、同じ垂直掃引手法を使用して表示用のビデオ画像を生成する従来のビデオ機器と互換性があることである。
残念なことに、ビームを垂直(Y)次元において単方向で掃引することは、システム10のコストと、複雑性と、サイズと、電力消費量とを増加させることがある。図3を参照すると、垂直掃引の鋸波は、基本垂直掃引周波数fvの多数の調波を含む。例えば、f=60Hzである場合、鋸波は、約3600Hz(60次調波、即ち、60×f)までの著しい調波を有する。こうした高調波によりリフレクタ22に持ち込まれる振動は、ビーム18の垂直(Y)位置において重大な誤差を発生させ得る。即ち、リフレクタ22は、垂直走査の間に平滑に回転せず、垂直の「ジッタ」又は「リップル」を生成する恐れがあり、これにより、ビーム18が画面14に衝突する位置と、ビームが現在形成しているピクセルZの位置との整合不良が発生し得る。この誤差を低減又は除去する一方法は、走査アセンブリ20にフィードバックループ(図1に図示なし)を含め、垂直走査期間V中のリフレクタ22の回転を平滑化することである。こうしたフィードバックループは、米国特許__において開示されており、これは参照により組み込むものとする。残念ことに、こうしたフィードバックループは、大きなレイアウト面積を専有する可能性がある複雑な回路を含む場合が多く、したがって、画像生成器12の複雑性、サイズ、及びコストは増加し得る。更に、フライバック期間FB中にリフレクタ22を最下部位置(Zn, )から最上部位置(Z0,0)へ迅速に回転させるには、多くの場合、走査アセンブリ20は、大きなピーク電流によりリフレクタ22を回転させる電磁石(図示なし)を駆動する必要がある。残念なことに、これは、画像生成器12が消費する電力と、走査アセンブリの電流駆動回路(図示なし)のサイズとを増加させる場合があり、したがって、画像生成器のコストを更に増加させ得る。
リップル誤差を低減又は除去する別の方法は、垂直走査の非線形性を相殺する駆動信号を生成することである。リップルを低減するために、様々なアプローチが適用できる。
こうしたアプローチの一つにおいて、走査アセンブリ20のフィードバックループは、垂直軸線を中心とする検出済みの角度位置を、理想的な波形と比較する。次に、ループは、従来のフィードバック制御アプローチに従って、誤差を最小化し、垂直走査期間V中のリフレクタの回転を平滑化する駆動信号を生成する。
別のアプローチでは、一組の走査アセンブリのパラメータを使用して、走査アセンブリ20の一般的特徴に対して、垂直走査アセンブリの一般的な分析又は経験的モデルが構築される。その後、使用中の特定の走査アセンブリ20について、個別の応答を製造中又はシステム起動時に特徴付け、モデルパラメータを更に正確に精緻化し、特定の走査アセンブリ20を表すデータをメモリに格納する。走査アセンブリは、その後、格納されたモデルに従って、駆動信号を生成し、リップルを最小化する。
幾つかのケースにおいて、こうしたフィードバックループ及び適応制御システムは、大きなレイアウト面積を専有するか、或いは特別なコンポーネントを必要とする複雑な回路を含むことがあり、したがって、画像生成器12の複雑性と、サイズと、コストとを増加させ得る。
本発明の実施形態によれば、走査アセンブリは、第一の次元において第一の周波数により画像ビームを掃引し、第二の次元においては、第一の周波数よりも低い第二の周波数により双方向に掃引する。
例えば、垂直次元において双方向にビームを掃引すると、フライバック期間を除去することで走査電力を低減可能であり、垂直掃引関数における調波数を低減することで、フィードバックループなしでビーム位置における誤差を低減できる。更に、フライバック期間の除去により、画像ビームはより長く「オン」になるため、走査画像は、一定のビーム強度に対して、より明るくなる場合が多く、そのため一定の画像の明るさに対して、画像ビームの強度、したがって更に電力を、比例して低減させることが可能となる。
本発明の別の実施形態によれば、走査アセンブリは、第一の次元において画像ビームを掃引し、第二の次元においては、非線形で掃引する。
例えば、垂直次元において非線形でビームを掃引すると、垂直掃引関数における調波数を低減することで、同じくビーム位置における誤差を低減できる。
二重正弦波走査パターン
図4乃至8を参照すると、本発明による一般的な一実施形態は、垂直(Y)次元において画像ビームを双方向に掃引する、走査アセンブリ20(図11)に類似する走査アセンブリである。即ち、画像ビームは、走査アセンブリが画面の最上部から最下部へビームを掃引する際に「オン」となり、更に、走査アセンブリが画面の最下部から再び最上部へ掃引する際にも「オン」となる。
更に図4乃至8を参照すると、一実施形態において、走査アセンブリは、水平(X)及び垂直(Y)次元の両方において、正弦波状に双方向に掃引し、但し図12に関連して下で説明するように、水平及び垂直次元のいずれかにおいて正弦波以外の掃引関数を使用することができる。明確化のため、「二重正弦波」は、水平(X)及び垂直(Y)次元の両方における画像ビームの正弦波状の双方向の掃引を表すために使用される。水平及び垂直掃引関数の両方が正弦波であるため、結果として生じる二次元走査パターンは、リサジュパターンのような反復パターンとなる。提示の簡略化のため、リサジュパターンという用語は、本明細書において、二つ以上の軸線を中心とした正弦波運動を利用するパターンを指すために使用される。
以下の変数は、本発明の実施形態による画像ビームの二重正弦波掃引を定義するのに使用されるパラメータを表す。
X(t)=時間の関数としての水平掃引正弦波
Y(t)=時間の関数としての垂直掃引正弦波
=水平掃引周波数
=垂直掃引周波数
Φ=水平掃引正弦波(X(t))の初期位相
Φ=垂直掃引正弦波(Y(t))の初期位相
A=水平及び垂直掃引正弦波によって形成されたリサジュ走査パターンが繰り返し現れる周波数。
R=画像が走査/表示される周波数
N=期間1/A中に走査/表示される画像数
=期間1/A当たりの水平掃引正弦波のサイクル数
=期間1/A当たりの垂直掃引正弦波のサイクル数
=ソース及び走査画像の水平解像度、即ち、水平ピクセル数
=ソース及び走査画像の垂直解像度、即ち、垂直ピクセル数
Δ=最低掃引周波数の次元における走査線間の最大幅
これらのパラメータは、以下の式により定義又は関連付けされる。下で説明するように、こうした式の一部は、絶対的なものではなく、単なる指針である。

(1)X(t)=(p/2)sin(2πft+Φ

(2)Y(t)=(p/2)sin(2πft+Φ

例えば、p=800及びp=600である場合、X(t)の範囲は、+400ピクセル(図1の画面14の中心から右側へ400ピクセル)乃至−400ピクセル(画面の中心から左側へ400ピクセル)となり、Y(t)の範囲は、+300ピクセル(画面の中心から上側へ300ピクセル)乃至−300ピクセル(画面の中心から下側へ300ピクセル)となる。

(3)N=R/A

例えば、リサジュパターンがA=1Hzの速度で繰り返し現れ、画像がR=5Hzの速度で走査される場合、完全なリサジュパターンが走査される各期間1/A当たりN=5/1=5枚の画像が表示される。

(4)f=An

(5)f=An

例えば、A=1Hzであり、リサジュパターンを完了するのにn=9周期の水平掃引周波数fを要する場合、f=1×9=9Hzとなる。同様に、リサジュパターンを完了するのにnv=2周期の垂直掃引周波数fを要する場合、f=1×2=2Hzとなる。必須ではないが、好ましくは、n及びnは、両者の間に1以外の共通因数が存在しない整数とする。図4に関連して下で説明するように、n及びnが1以外の共通因数を有する場合、f及びfは、一定の最大線幅Δで生じるべきものより高くなる。
式(4)及び(5)を組み合わせると、次の式が生じる。

(6)f/n=f/n=A
更に、(常にではないが)通常の場合のように、fがfより小さいと仮定すると、次のようになる。

(7)Δ=(πpA)/2f
図4乃至8に関連して下で説明するように、殆どのソース画像はグリッドパターンに配置されたピクセルを想定しているため、二重正弦波画像生成器の設計者は、走査画像の結果的なリサジュパターンがグリッドパターンに「一致」するように、上記のパラメータの値を選択することになる。例えば、コンピュータで生成されたソース画像、或いは従来のビデオカメラ又はデジタルカメラで取り込まれたソース画像では、ピクセルがグリッドパターンに配置される。リサジュパターンはグリッドパターンとは大幅に異なる場合があるが、上記のパラメータの値の適切な選択により、走査画像の品質は、ソース画像の品質に接近する、或いは同等になる可能性がある。当然ながら、ソース画像のピクセルがリサジュパターンに配置される場合、設計者は、単純に、走査画像のリサジュ走査パターンがソース画像のリサジュパターンと同じになるように、パラメータ値を選択できる。
図4は、本発明の一実施形態による、ソース画像グリッドパターン42に重ねた一つの二重正弦波走査パターン40の例のプロットである。この例では、p=8、p=6、n=9、及びn=2である。二重正弦波走査パターン40は、画像ビームが水平及び垂直に掃引して画像を走査する際の経路を表し、したがって、走査画像を構成するピクセルにとって可能な全ての位置を示す。反対に、グリッドパターン42の交点は、ソース画像を構成するピクセルPn,mの位置を特定し、ここでn=P及びm=Pである。慣例により、この例のようにP及びPが偶数である場合、走査及びオリジナル画像の中心Cは、一致し、それぞれ垂直(Y)次元においてPn,−1及びPn,1から±0.5ピクセルと水平(X)次元においてP−1,m及びP1,mから±0.5ピクセルとに位置する。結果として、この例において、ソース及び走査画像の中心Cから最上部44及び最下部46までのそれぞれの距離±Dは、P/2=M/2=±3ピクセルに等しく、ソース及び走査画像の左48及び右50までのそれぞれの距離±Dhは、P/2=n/2=±4ピクセルに等しい。これは、式(1)及び(2)に一致するm/2であり、垂直正弦波Y(t)のピーク振幅はP/2=m/2 6/2=3ピクセルに等しく、水平正弦波X(t)のピーク振幅はp/2=h/2 8/2=4ピクセルに等しい。更に、この例において、画像生成器(図17)は、リフレクタ又はその他のビームデフレクタを、下で説明するように垂直(Y)次元において二重正弦波で駆動する走査アセンブリを含むと仮定される。
更に図4を参照すると、パターン40を走査する画像生成器を設計するために、設計者は、最初に、望ましい最大線幅Δを決定する。上で説明し、図4に図示したように、Δは、走査パターン40の二本の隣接する水平線間の垂直(Y)次元における最大幅である。画像品質の経験的研究は、Δ≦−1が望ましい選択となる可能性があることを示す。そのため、この指針を満たすためにΔ≦−1に設定することで、上の式(7)からfに関する次の式が導かれる。

(8) fh≧(πPA)/2
次に、Aを決定することができる。例えば、ソース画像がR=30Hz(毎秒30画像)の表示速度を有するビデオ画像であり、画像生成器(図17)がリサジュパターン毎に一画像を走査する(N=1)と仮定する。したがって、式(3)によってA=30Hzとなる。
次に、設計者は、Nを選択する。例えば、設計者がN=2を希望すると仮定する(各リサジュパターンにつき二回の垂直掃引サイクル)。
次に、設計者は、式(5)からfを計算する。この例において、A=30Hzおよびn=2であり、f=60Hzとなる。fは走査アセンブリに適合する任意の周波数にすることが可能だが、画質の目的から、−50Hz≦f≦−75Hz又はf>1500Hzとなることが経験的に決定されている。
次に、設計者は、式(8)からfの最小値を計算する。この例ではP=6及びA=30Hzであり、f≧(π6×30)/2≧−282.60Hzとなる。
次に、設計者は、好ましくは、式(8)を実質的に満たし、1以外のhとの共通因数を有しないnのための整数を発生させるfの最低値を選択する。式(6)から、f=270Hzを選択するとn=9が生じ、この場合、nとの共通整数因子は存在しない。f=270Hz<282.60Hzだが、式(7)により、望ましい最大線幅である1ピクセルの5%以内である最大線幅Δ=1.05ピクセルが生じる。そのため、f=270Hzは、実質的に式(8)を満たす。当然ながら、設計者は、許容できる品質を有する走査画像を発生させる場合、更に低いfの値を選択できる。代替として、設計者は、n=11及びΔ<1を発生させる330Hz等、更に高いfの値を選択してもよい。しかしながら、走査アセンブリ(図17)は、通常、低い水平周波数fにおいて電力の消費が少なくなる。
上記の設計手法の他の実施形態が考えられる。例えば、設計者は、上で説明したものとは異なる順序で設計手順のステップを実行してよい。更に、n及びnは、1以外の共通因数を有してもよい。しかしながら、これは単に、最大線幅Δにおける減少のない高い周波数f及びfを発生させるに過ぎない。例えば、設計者は、n=18及びn=4となるようなf=540及びf=120を選択できる。しかしながら、こうした高い周波数は、単に、f=270及びf=60の二倍の速さでリサジュパターン40を再トレースするに過ぎない。そのため、上記のように、1以外の共通因数を有しないn及びnを選択することで、使用する周波数について最小のΔが提供される。更に、n及びnの一方又は両方が非整数であってもよい。しかしながら、これは、帰線期間(1/A)毎にリサジュパターンを表示画面上の異なるポイントで開始及び終了させ、したがって、追加的な処理を適用しない限り、パターンを「ロール」させる場合がある。こうしたロールは、走査画像の品質に悪影響を与え得る。加えて、上の例のf>>fにおいて、設計者は、
Figure 2005526289
、f>f、又はfv>>fを選択できる。f>>fである場合、設計者は、式(7)においてpをpの代わりとし、fをfの代わりとするべきであり、f=fである場合、設計者は、式(7)と垂直での同等の式とを使用して、水平(X)及び垂直(Y)次元の両方において、望ましい最大線幅Δを保証するべきである。更に、水平及び垂直掃引関数X(t)及びY(t)は、正弦波以外にしてもよい。非正弦波関数Y(t)の例は、図12に関連して下で説明する。
上記のロールは画質を劣化させるか、或いはデータ処理の複雑性を増加させ得るが、こうしたアプローチは、一部のケースにおいて望ましい場合がある。例えば、画像化用途又は低解像度用途において、非整数比は、スキャナ設計における更に大きな柔軟性を可能にし、或いはアドレス可能性を向上でき、一方では、通常、画像アーチファクトのリスクを高める。
図4、5A、及び5Bを参照すると、設計者は、次に、式(7)に従って計算された最大線幅Δの理論最小値を発生させる、式(1)及び(2)の水平正弦波X(t)と垂直正弦波Y(t)との間の好適な位相関係を決定する。図5Aは、図4のリサジュ走査パターン42を発生させる可能かつ好適な位相関係の一つにおける、時間に対するX(t)及びY(t)のプロットであり、図5Bは、パターン42を発生させる別の可能かつ好適な位相関係における、時間に対するX(t)及びY(t)のプロットである。
一般に、図6乃至8に関連して下で説明するように、好適な位相関係は、X(t)及びY(t)のピークの間に最小の相関が存在する時に生じる。具体的には、好適な位相関係は、次の両方の式が同時に満たされる時、X(t)とY(t)との間に存在する。

(9)2πft+Φv0(Y(t)の全位相)=±π/2

(10)k=0,1,...(2n−1)について2πft+Φh0(X(t)の全位相)=−π/2+(π/n)[k+1/2]

式(9)及び(10)の必然的帰結として、好適な位相関係は、以下の両方の式が同時に満たされる時にも、X(t)とY(t)との間に存在する。

(11)2πft+Φh0(X(t)の全位相)=±π/2

(12)k=0,1,...(2n−1)について2πft+Φv0(Y(t)の全位相)=−π/2+(π/n)[k+1/2]

fv≠fhであるため、X(t)及びY(t)の全位相間の瞬間的な差は、時間と共に変化する。そのため、式(10)は、Y(t)の位相が一定の値――この例では±π/2――を有する時のX(t)の許容位相を定義し、同様に、式(12)は、X(t)の位相が一定の値――この例では同じく±π/2――を有する時のX(t)の許容位相を定義する。更に、Y(t)が±π/2以外の一定の位相を有する時のX(t)の許容位相が生じる、或いはX(t)が±π/2以外の一定の位相を有する時のY(t)の許容位相生じる他の式を導くことも可能である。しかしながら、どの式が使用されたかに関係なく、これらは全て、図5A及び5Bに図示した同じ好適な位相関係(群)を定義する。
更に図4、5A、及び5Bを参照すると、こうした好適な位相関係の概念を例示するために、図5A及び5BのX(t)及びY(t)について式(12)を解いており、ここでn=9となる。具体的には、式(12)によれば、好適な位相関係は、X(t)の各ピーク(位相=±π/2)に対して、Y(t)の全位相が表1に記載されたものである時に存在する。
表1
k Y(t)の全位相
4 0π
5 π/9
6 2π/9
7 3π/9
8 4π/9
9 5π/9
10 6π/9
11 7π/9
12 8π/9
13 π
14 10π/9
15 11π/9
16 12π/9
17 13π/9
0 14π/9
1 15π/9
2 16π/9
3 17π/9
図5A及び5Bに図示したように、X(t)のピークに対して、Y(t)の全位相は、実際に表1の値の一つと等しくなる。更に具体的には、図5Aは、Y(t)の全位相がX(t)の各位相に対してπ/9のそれぞれの奇数倍数に等しい時に第一の好適な位相関係が存在することを図示しており、図5Aは、Y(t)の全位相がX(t)の各位相に対してπ/9のそれぞれの偶数倍数に等しい時に第二の好適な位相関係が存在することを図示している。第一及び第二の好適な位相関係の両方が走査パターン40(図4)を発生させるが、走査アセンブリ(図17)は、第一の好適な位相関係については第一の方向で、第二の好適な位相関係については反対方向で、画像ビームを掃引することにより、パターン40を走査する。しかしながら、通常、掃引方向は走査画像の品質に影響を与えないため、いずれかの好適な位相関係は、通常、許容可能な走査画像を発生させる。
図6乃至8を参照すると、X(t)とY(t)との間の位相関係を好適な位相関係から最悪のケースに向けて、或いは最悪のケースへ、シフトさせることの望ましくない作用について説明されている。具体的には、位相関係をシフトさせることで、最大線幅Δ(図6及び7)における理論最小値(図4)からの増加が生じる。
図6は、X(t)とY(t)との間の位相関係が好ましくなく、したがって最大線幅Δが理論最小値(図4)よりも大きい場合の図4の二重正弦波走査パターン40のプロットである。走査パターン40は、二つの構成要素を有する。垂直掃引関数Y(t)の第一のサイクル中、走査アセンブリ(図17)は、第一の構成要素を掃引し、垂直掃引関数Y(t)の第二のサイクル中、走査アセンブリ(図17)は、第一の構成要素から空間的にオフセットした第二の構成要素を掃引する。X(t)とY(t)との間の位相関係が好適なものからシフトし始めると、第一及び第二の構成要素は、事実上、互いに向かって移動し、したがって、最大線幅Δを増加させる。好適な位相関係は最適なものと考えてよいが、システムは、コスト等、他のシステム考慮事項により望ましい動作となる場合、この最適条件から離れて動作させることも可能である。増加した最大線幅Δは画像アーチファクトを持ち込み得るが、これは一部の用途において許容され得る。
図7は、X(t)とY(t)との間の位相関係が最悪のケースであり、したがって最大線幅Δが最大値を有する場合の図4の二重正弦波走査パターン40のプロットである。最悪のケースの位相関係によって、事実上、パターン40の第一及び第二の構成要素は、互いに重なり合うように併合する。垂直掃引関数Y(t)の第一のサイクル中、走査アセンブリ(図17)は、パターン40の左上から右上へ、第一の構成要素を掃引する。更に、Y(t)の第二のサイクル中、走査アセンブリは、パターン40の右上から左上へ第一の構成要素を再トレースすることで、第二の構成要素を掃引する。即ち、走査アセンブリは、事実上、Y(t)の第一のサイクル中に一方向でパターン40を掃引し、Y(t)の第二のサイクル中に別の方向でパターンを再トレースする。二つの構成要素は重複するため、結果として生じる最悪のケースのリサジュパターン40は、n=1と、n=4.5と、図4に図示した理論最小値である−1ピクセルの二倍となる最大線幅Δ=2とを有する単一構成要素のパターンに等しくなる。
図8は、図7のリサジュパターン40が生じる第一の最悪のケースの位相関係における時間に対するX(t)及びY(t)のプロットである。最悪のケースの位相関係は、X(t)及びY(t)のピークの間に最大の相関が存在する時に生じる。更に具体的には、最悪のケースの位相関係は、X(t)のピークが周期的にY(t)のピークと一致する時に生じる。例えば、t1及びt2において、Y(t)の正のピークは、X(t)の負及び正のピークとそれぞれ一致し、第一の最悪のケースの位相関係を発生させている。こうしたピークの一致は、パターン40の左上及び右上にそれぞれ対応し、ここで走査アセンブリは、事実上、パターン40の左上及び右上の「角」を行き来するように画像ビームを「跳ね返す」。
図7及び8を参照すると、第二の最悪のケースの位相関係は、Y(t)の負のピークがX(t)の負及び正のピークとそれぞれ一致し、したがって、パターン40に対して逆さまになったリサジュ走査パターンが生じる時に発生する。
そのため、図4乃至8を参照すると、X(t)及びY(t)の好適な各位相関係は、二つのそれぞれの最悪のケースの位相関係の間で正確に中間となり、式(9)乃至(12)では、こうした中間点が生じる。具体的には、n=9及びn=2である場合、第一及び第二の最悪のケースの位相関係において、Y(t)の全位相は、X(t)の各ピーク(±π/2)に対してπ/18の奇数倍数となり(図8参照)、第一及び第二の好適な位相関係において、Y(t)の全位相は、式(12)により、X(t)の各ピークに対してπ/18の偶数倍数となる。結果として、π/18の偶数倍数はπ/18の奇数倍数間で正確に中間となるため、二つの好適な位相関係は、二つの最悪のケースの位相関係の間で正確に中間となる。
双方向垂直掃引のためのソース画像切り替え速度fの垂直掃引周波数fからのオフセット
図9及び10に関連して下で説明するように、ビデオ画像が対応するソース画像の時間的シーケンスとは異なる時間的シーケンスで走査される時、視聴者(図示なし)は、偽のゴーストブジェクト等のアーチファクトを知覚し得る。更に具体的には、画像ビームが一枚のソース画像から他のソース画像へ切り替えられる速度fが垂直掃引周波数fと同期する場合、人間の眼は、垂直次元において双方向に走査されたビデオ画像において、こうしたアーチファクトを知覚し得る。視聴者は、自分の眼における画像の持続より速く移動するオブジェクトを見る時、真のゴーストオブジェクトを知覚する。具体的には、眼がオブジェクトを知覚する時、オブジェクトの画像は、眼が最初に知覚した位置からオブジェクトが移動した後も、一定期間に渡って持続し、この期間はおよそ数ミリ秒である。オブジェクトが十分に速く移動する場合、眼は、「ぼやけ」を知覚し、「ぼやけ」はオブジェクトを多数の位置で同時に知覚するのと等しい。この現象は、指を素早く往復させて動かしながら、指を見ようと試みることで観察できる。「ゴーストオブジェクト」は、このぼやけの単なる別名であり、オブジェクトが占めていない一つ以上の位置での眼によるオブジェクトの知覚を指す。偽のゴーストオブジェクトは、視聴者がビデオ画像のシーケンスでは知覚するが、オブジェクトを直接見た場合には知覚しないゴーストオブジェクトである。通常、偽のゴーストオブジェクトは、画像を取り込み又は走査する際に持ち込まれる誤差によって発生する。
図9は、垂直次元における画像の双方向走査により視聴者(図示なし)が偽のゴーストオブジェクト52及び54を知覚し得る場合の、三枚の連続する走査ビデオ画像50a乃至50cの図である。
二重正弦波走査画像50a乃至50cは、それぞれのソースビデオ画像S1乃至S3に対応し、ボール56及び玩具の自動車58の運動を表す。即ち、画像50aは、S1の二重正弦波走査による再生であり、画像50bは、S2の二重正弦波走査による再生であり、画像50cは、S3の二重正弦波走査による再生である。画像生成器(図17)は、画像バッファ(図17)から、或いはビデオデータのストリームを介してリアルタイムで、ソース画像Sのピクセルを受領し得る。
ソース画像S1乃至S3は、一枚のソース画像から次のソース画像までにおいて、移動オブジェクトの取り込みの間に公知の時間が経過するように取り込まれる。具体的には、ソース画像Sが従来のラスタ走査又は光統合手法によって取り込まれる場合、連続するソース画像Sの同じ相対位置にあるピクセルの取り込みの間の経過時間は、実質的に一定である。例えば、ソース画像S1乃至S3が30Hzの速度(一画像当たり1/30秒)で、このように取り込まれる場合、S1のピクセルP1とS2のピクセルP2との間の経過時間は、1/30秒に等しくなり、S2のピクセルP3とS4のピクセルP4との間の経過時間も同様となる。結果として、ソース画像S1及びS2におけるボール56の位置の間の相対距離は、こうした二つの位置でのボールの取り込みの間に経過した約1/30秒間のボールの運動を表す。同様に、ソース画像S2及びS3における自動車58の位置の間の相対距離は、二つの位置での自動車の取り込みの間に経過した約1/30秒間の自動車の運動を表す。
しかしながら、画像50の同じ相対位置において、あるソース画像Sから次のソース画像Sへ繰り返し切り替えることで、垂直次元において画像50を双方向に走査する画像生成器(図17)は、非常に素早いために、眼がこの相対位置において偽のゴーストオブジェクトを知覚するような、移動オブジェクトの連続的発生を引き起こす場合がある。図9の例において、画像生成器は走査画像50bの最上部においてソース画像S1からソース画像S2へ画像ビームを切り替え、画像50bの最下部においてビームをS2からS3へ切り替え、この切り替えパターンを後続の画像S及び50のために繰り返すため、f=2fとなる。結果として、f=15Hzであり、各画像50が1/30秒で走査され、ボール56が画像50の最上部から約1/8下方に位置すると仮定すると、画像50aにおけるボール56の生成と画像50bにおけるボールの生成との間で経過する時間tは、約1/4×1/30=1/120秒で、ソース画像S1及びS2におけるボールの位置の間における実際の1/30秒よりも大幅に短い。そのため、Tが人間の眼における持続より短い場合、走査画像50bを見ると、ボール56は、S1及びS2の位置に同時に存在するように知覚され、ここで画像50aからの持続的なボールの知覚が画像50bにおける偽のゴーストオブジェクト52を発生させる。これを別の形で観察し、上記の例を使用して例示すると、垂直双方向走査は、ボールが50a及び50bにおける位置の間を実際の1/30秒ではなく1/120秒で移動したと知覚するように視聴者を「だます」ことで、事実上、ボール56の知覚速度を四倍増加させる。ボール56が真のゴーストオブジェクトを生成するのに十分な速さで移動した場合でも、上記の現象は、真のゴーストオブジェクトを悪化させることで、依然として偽のゴーストオブジェクト52を生成する。同様に、画像50b及び50cにおける自動車58の生成の間で経過する時間が人間の眼の持続よりも短い場合、視聴者は、走査画像50cを見ると、50b及び50cの位置に同時に存在するように自動車58を知覚する。結果として、画像50bからの持続的な自動車の知覚は、画像50cにおける偽のゴーストオブジェクト54を発生させる。
更に図9を参照すると、偽のゴーストオブジェクトの知覚を低減又は除去する一方法は、画像50aを一つの垂直方向のみで走査することである。例えば、第一の垂直掃引サイクルの前半において画像50aを最下部から最上部へ走査し、第一のサイクルの後半において画像50bを最上部から最下部へ走査する代わりに、走査アセンブリ(図17)は、第一の垂直サイクルの前半において画像50aを最下部から最上部へ走査し、第一のサイクルの後半において画像ビームを非アクティブとし、その後、第二の垂直サイクルの前半において画像50bを最下部から最上部へ走査することが可能である。画像S1乃至S3が取り込まれる周波数と比べてfvが大幅に高くない限り、この単方向垂直走査は、偽のゴーストオブジェクトを実質的に除去する。
図10を参照すると、偽のゴーストオブジェクトを低減又は除去する別の手法は、fとの同期がずれるように、即ち、走査画像50の同じ相対位置において画像生成器(図17)が一枚のソース画像Sから別のソース画像への切り替えを頻繁に行わないように、fを選択することである。
例えば、f=8f/5である場合、画像生成器(図17)は、最初に、画像50aを最下部60aから最上部62aへ走査する際に、ソース画像S1のピクセルから画像ビームを生成する。
次に、画像生成器は、最上部62bから画像50bの走査を開始するが、画像50bの1/4下方に位置し、最下部60aから5/4画像50だけ離れた線64bまでは、ソース画像S2のピクセルからのビームの生成を開始しない。即ち、画像生成器は画像50bの線64bまではソース画像S1からの画像ビームの生成を継続するため、画像bの上1/4は、画像50aの上1/4と同じになる。
次に、画像生成器は、ソース画像S2のピクセルから画像ビームを生成する間に、線64bから下の画像50bの走査を完了する。
その後、画像生成器は、最下部60cから画像50cの走査を開始するが、画像50cの1/2上方に位置し、線64bから5/4画像50に位置する線66cまでは、ビームの生成をソース画像S3のピクセルに切り替えない。即ち、画像生成器は画像50cの線66cまではソース画像S2からの画像ビームの生成を継続するため、画像50cの下1/2は、画像50bの下1/2と同じになる。
次に、画像生成器は、ソース画像S3のピクセルから画像ビームを生成する間に、線66cから上の画像50cの走査を完了する。
その後、画像生成器は、最上部62dから画像50dの走査を開始するが、画像50dの3/4下方に位置し、線66cから5/4画像50に位置する線68dまでは、ビームの生成をソース画像S4のピクセルに切り替えない。即ち、画像生成器は画像50dの線68dまではソース画像S3からの画像ビームの生成を継続するため、画像50dの上1/2は、画像50cの上1/2と同じになる。
次に、画像生成器は、ソース画像S4のピクセルから画像ビームを生成する間に、線68dから下の画像50dの走査を完了する。
その後、画像生成器は、最下部62eから画像50eの走査を開始するが、画像50eの最上部62eまでは、ビームをソース画像S5のピクセルに切り替えない。
画像生成器は、こういう形で継続し、切り替え線60、62、64、66、及び68を周期的に反復する。しかしながら、任意の一本の線での切り替えの周波数は、偽のゴーストオブジェクトの知覚を低減又は除去する上で十分に低くなる。
この手法は、切り替え線において偽のゴーストオブジェクトを生成し得るが、切り替え線は特定の線を切り替える周波数が相対的に低くなるように走査画像50毎に事実上移動するため、偽のゴーストオブジェクトは、あまり目立たない、或いは知覚されないことが経験的に判定されている。偽のゴーストオブジェクトの発生は、特定の切り替え線が反復される期間が人間の眼における持続よりも長い場合、更に低減され得る。例えば、線66でのソース画像の切り替えと線66での次の切り替えとの間の時間が人間の眼における持続よりも長い場合、視聴者は、線66の近辺で偽のゴーストオブジェクトをあまり知覚しなくなる。
更に、f=8f/5となる例について説明したが、fとfとの間には偽のゴーストオブジェクトを低減/除去する他の関係が存在する。fs及びfvとその他のアーチファクトとの間の最適な関係は、f及びfの応用及び実際の値に応じて決まり、したがって、その場限りで決定されることが多い。
ビームの位置と相対的な画像ビームの強度の変調
図11を参照すると、補正されない限り、画像ビームの正弦波掃引では、走査画像の一部が他の部分より明るく見える場合がある。
図11は、結果として生じる走査画像が不均一な明るさを有し得るリサジュパターン70である。図4乃至8に関連して上で説明したように、画像生成器(図17)は、水平(X)及び垂直(Y)次元の両方において双方向に画像ビームを正弦波掃引することで、パターン70を走査する。正弦波掃引関数のため、パターン70の線は、最上部領域72と、最下部領域74と、側部領域76及び78とでは、中央領域80での線に比べ、互いに接近するため、より緻密になる。更に具体的には、最上部及び最下部領域72及び74は、垂直正弦波掃引関数Y(t)(式(2)と図5A及び5Bとを参照)のピークに対応するため、ビームは、中央領域80での移動に比べ、こうした領域では垂直(Y)次元において低速で移動する。そのため、中央領域80においてビームが同程度の各面積単位と衝突する場合に比べ、最上部及び最下部領域72及び74では、ビームが各面積単位と長く衝突することから、画像生成器は、最上部及び最下部領域において、単位面積当たりで、より多くの線を掃引し、したがって、より多くの走査画像のピクセルを形成する。結果として、最上部72及び74領域において、ピクセルがより緻密になることから、画像ビームがパターン70全体で均一な最大強度を有する場合、こうした領域は、中央領域80よりも明るく見える。同様に、左側76及び右側78領域は、水平正弦波掃引関数X(t)(式(1)と図5A及び5Bとを参照)のピークに対応するため、ビームは、こうした領域では、水平(X)次元において低速で移動する。そのため、左側76及び右側78領域において、ピクセルがより緻密になることから、ビームがパターン70全体で均一な強度を有する場合、こうした領域は、中央領域80よりも明るく見える。
ビームが水平(X)次元において正弦波掃引される場合に走査画像の明るさを均一にする従来の手法は、水平(X)次元における瞬間掃引速度に比例して、ビームの強度を変調することである。そのため、ビーム速度が遅い走査画像の側部領域において、ビーム強度は比例的に低くなり、ビーム速度が高い中央領域において、ビーム強度は比例的に高くなる。更に具体的には、水平掃引関数X(t)=sin(2πft+Φ)はビームの水平位置を意味するため、ビームの最大瞬間強度を示すのにImaxを使用すると、ビームの変調瞬間強度は、Imax(瞬間水平速度)/(最大水平速度)=I max×(d/dt sin(2πft+Φ))/max(d/dt sin(2πft+Φ))と等しくなり、したがって、次の式によって得られる。

(13)I(変調最大瞬間ビーム強度)=Imax×cos(2πft+Φ)/1

この水平変調手法は、Tegreeneに対する米国特許第6,445,362号「変化補正を有する走査ビーム表示」において更に説明されており、これは参照により組み込むものとする。しかしながら、垂直掃引周波数fが水平掃引周波数fよりも大幅に低い場合は、直観的に、垂直掃引速度によるビーム強度の変調は、望ましい結果を提供しないと思われる。
更に図11を参照すると、本発明の一実施形態において、画像生成器(図17)は、水平(X)及び垂直(Y)次元の両方における瞬間掃引速度に比例してビームの強度を変調することで、走査画像の明るさを更に均一にする。本発明者は、垂直掃引速度に従ってビーム強度を変調することで望ましい結果が生じると判断した。そのため、ビーム速度が低い走査画像の最上部、最下部、及び側部領域72、74、76、及び78において、ビーム強度は、比例的に低くなり、ビーム速度が高い中央領域80において、ビーム強度は、比例的に高くなる。具体的には、垂直掃引関数Y(t)=sin(2πft+Φ)はビームの垂直位置を意味するため、ビームの最大瞬間強度を示すのにImaxを使用すると、ビームの変調最大瞬間強度Iは、次の式によって得られる。

(14)I=Imax×cos(2πft+Φ)×cos(2πft+Φ

代替実施形態は、次のように垂直掃引速度のみに比例してビームの強度を変調することである。

(15)I=Imax×cos(2πft+Φ

式(1)及び(2)の正弦波掃引関数X(t)及びY(t)からcos(2πft+Φ)及び/又はcos(2πft+Φ)を導き、それに応じてビームの強度を変調できる従来の回路は、相対的に単純であり、したがって、この変調手法は、相対的に実施が容易になる。
図11及び12を参照すると、本発明の別の実施形態において、画像生成器(図17)は、垂直(Y)次元において画像ビームをより直線的に掃引し、走査画像の明るさの不均一性を改善する。
図12は、n=2、n=9、p=6、及びp=8である、時間と対比した水平及び垂直掃引関数X(t)及びY(t)のプロットであり、但し、本発明のこの実施形態は、他のn、n、p、及びpの値でも使用できる。水平掃引関数X(t)は式(1)及び図4乃至8に関連して上で説明したように正弦波であるが、垂直掃引関数Y(t)は、丸みを帯びたピークを有する疑似三角波である。垂直掃引関数Y(t)の傾斜をより直線的にすることで、画像生成器(図17)は、垂直(Y)次元において、より一定の速度でビームを掃引し、そのため、ライン密度、したがって更に明るさを、パターン70(図11)の最上部、最下部、及び中央領域72、74、及び80において更に均一にする。更に具体的には、この垂直掃引関数Y(t)の実施形態は、次の式によって得られる。

(16)Y(t)=(1−u)(P/2)sin(2πft+Φ)+u(P/2)sin(2π3ft+Φ

ここでuは、経験的に決定されたスケール係数である。式(16)からは、fの三次調波を式(2)の正弦波Y(t)に追加すると、垂直掃引関数Y(t)の更に直線的な傾斜が得られることが確認できる。更に、三次調波より上の付加的な奇数調波を追加すると、Y(t)を三角波に接近させることで、傾斜は、更に直線的になる。更に、下で説明するように、式(16)に従ってビームを垂直に掃引する画像生成器を設計し、図4乃至8に関連して上で説明した概念に従って、式(1)のX(t)と式(16)のY(t)との間の好適な位相関係を計算することができる。
図11及び12を参照すると、走査画像の明るさの不均一性を改善する他の実施形態が考えられる。例えば、式(15)に従ってビームを垂直に掃引し、水平掃引速度、垂直掃引速度、或いは水平及び垂直掃引速度の両方に比例して、ビームの強度を変調できる。更に、ビーム強度は、ビーム位置の一次関数に比例して、或いは、ビームの(位置及び走査角度の微分)である掃引速度に比例させる代わりに、ビームの走査角度の関数として、変調できる。
図12を参照すると、パターン70(図11)のような走査パターンの線密度を更に均一にすることの別の利点は、最大線幅Δが低減され、したがって、より低い水平掃引周波数fhによって望ましいΔの値が達成できることである。次の式は、式(7)の更に一般的な形態である。

(17)Δ=(最大垂直ビーム速度)/2f
ここで、f<nとなる。したがって、垂直掃引関数Y(t)の最大傾斜(即ち、時間微分の最大値)に比例する最大垂直ビーム速度を減少させることで、fを比例的に低減し、更にΔを望ましい値に維持できる。図12の疑似三角波の最大傾斜は正弦波(図5A及び5B)の最大傾斜より小さいため、Y(t)に疑似三角波を使用することで、Δを増加させることなく、fを低減できる。
更に再び図12と式(16)とを参照すると、図4乃至8に関連して上で説明した位相及び周波数の関係は、fの一つ以上の調波を含む垂直掃引関数Y(t)について、本発明の実施形態に従って決定される。具体的には、式(5)、(6)、(9)、及び(12)は、こうした任意の関数Y(t)の基本周波数fにおいて有効である。更に、式(12)は、結果として生じる可能性のある位相を調波f/fによって乗算するだけで、fの各調波のために修正できる。例えば、式(11)及び(12)に対応する三次調波位相の式は次の通りである(式(11)は変化しない)。

(11)2πft+Φh0(X(t)の全位相)=±π/2

(18)k=0,1,...(2n−1)について2π3ft+Φv0(Y(t)の三次調波の全位相)=3(π/2+(π/n)[k+1/2])
結果として、図4乃至8に関連して上で説明した手順に従って、多重調波垂直掃引関数Y(t)を使用する画像生成器が設計可能となる。更に、同じ原理を使用して、多重調波水平掃引関数X(t)を使用する画像生成器を設計できる。
ソースピクセルからの走査ピクセルの強度の補間
図13乃至15を参照すると、正弦波走査パターンは通常、ソース画像からのソースピクセルの位置と交差しないため、走査ピクセルの位置は、通常、ソースピクセルの位置と一致しない。結果として、画像生成器(図17)は、走査画像の品質を改善するために、ソースピクセルの強度から走査ピクセルの強度を補間してよい。
図13は、図4の二重正弦波走査パターン40及びグリッドパターンのプロットであり、本発明の実施形態による、垂直グリッド線上に走査ピクセルZを形成し、垂直に隣接するソースピクセルPから、強度を補間する手法を例示している。
グリッドパターン42の垂直線と一致する走査ピクセルZの位置を定めるために、画像生成器(図17)は、画像ビームが垂直グリッド線と交差する時期を示す非線形ピクセルクロックを生成する。水平掃引関数X(t)は非線形――ここでは式(5)による正弦波――であるため、ビームが垂直グリッド線に交差した時から、間近に隣接する垂直グリッド線に交差した時までの時間は、グリッドライン毎に異なる。例えば、ビームがグリッド線3及び4(ピクセルZ4,y及びZ3,y)の間を移動する際には、ビームがグリッド線−1及び1(ピクセルZ1,y及びZ−1,y)の間を移動するよりも長い時間を要する。これは、水平(X)次元において、パターン40の側部――側部は水平正弦波のピークに対応する――の近くでは、中央部――中央部は水平正弦波のゼロ交差に対応する――の近くよりもビームが低速で移動するためである。そのため、画像生成器は、ピクセルクロックを生成し、ピクセルクロックの瞬間的期間がビームの水平速度に比例するようにする。結果として、ピクセルクロックは、ビームの水平位置には関係なく、ビームが垂直グリッド線と交差する時(或いは、この交差前の所定のオフセット時間)には常に「刻みを入れる」。こうしたピクセルクロックを生成する手法は、以前に組み込んだ米国特許第6,140,979号において開示されている。
走査ピクセルZはグリッドパターン42の垂直線と一致するため、画像生成器は、同じ垂直グリッド線上でピクセルZの真上及び真下にあるソースピクセルPから、各ピクセルZの強度を補間する。例えば、画像生成器は、ソースピクセルP1,1及びP1,−1の強度から、ピクセルZ1,yの強度を補間する。一実施形態において、画像生成器は、次の従来の線形補間の式に従って、Z1,yの強度IZ1,yを計算する

(19)IZ1,y=αIP1,1+(1−α)IP1,−1

ここでαは、P1,−1とZ1,yとの間の垂直距離の絶対値で、(1−α)は、P1,1とZ1,yとの間の垂直距離の絶対値であり、IP1,−1及びIP1,1は、ソース期間P,−1及びP1,1のそれぞれの強度である。画像生成器は、通常、対応するソース画像を格納するバッファ(図17)から、ピクセルPの強度を取り出す。代替として、画像生成器は、他の従来の補間アルゴリズムを使用してもよい。
前の段落において説明したように、隣接するソースピクセルPから、走査ピクセルZの強度を補間するために、画像生成器は、どのピクセルPを補間に使用するかを決定できるように、グリッド42と相対的な画像ビームの位置を追跡する。画像ビームの位置を追跡する手法を、下で説明する。
更に図13を参照すると、画像ビームの水平位置を追跡する手法の一つは、非線形ピクセルクロックにより水平位置カウンタをクロックすることである。例えば、ビームがパターン40の左縁部において開始される時、クロックは、初期カウントとしてゼロを格納できる。その後、ビームが右へ向けて移動し、垂直グリッドラインp=−4に交差すると、ピクセルクロックが「刻みを入れて」、カウントを1だけ増分し、したがって、水平次元における第一のピクセルを示す。この増分は、ビームが垂直グリッド線p=4に交差する時にピクセルクロックがカウントを8に増分させるまで、各垂直グリッド線で継続される。次に、ビームがパターン40の右縁部から戻る途中で垂直グリッド線p=3と交差すると、ピクセルクロックが「刻みを入れて」、カウントを1だけ減分し、したがって、水平方向における第七のピクセルを示す。この減分は、ピクセルクロックがカウントを再び0に減分させるまで、各垂直グリッド線で継続される。その後、この増分/減分サイクルは、水平掃引関数X(t)の後続の各サイクルで反復される。
画像生成器は、非線形垂直ピクセルクロックを生成し、内部で垂直位置カウンタをクロックすることにより、同様の形で画像ビームの垂直位置を追跡できる。αの測度を提供するために、非線形垂直ピクセルクロックの周波数は、スケール係数によって増加させることができる。例えば、周波数を10倍に増加させることで、垂直次元において、ピクセルの各ペア間には10回のクロックの「刻み」が提供され、したがって、αには0.1ピクセルの解像度が提供される。
画像ビームの水平及び垂直位置を追跡する別の手法は、図15に関連して下で説明する。その他の手法も利用可能だが、簡潔にするため省略する。
図14を参照すると、非線形ピクセルクロックを生成することは相対的に大きく複雑な回路を必要とする場合が多いため、画像生成器(図17)は、線形ピクセルクロック(一定の周期を有するクロック)を使用して、下で説明するように、走査ピクセルZの強度を補完してもよい。
図14は、本発明の実施形態による、図13のグリッドパターン42の一区域と、このグリッド区域内で任意の位置を有する走査ピクセルZとのプロットである。線形ピクセルクロックは、走査ピクセルZにグリッドパターン42の垂直線との一致を強制しないため、ピクセルZは、グリッド区域内でいずれかの任意位置x+β(水平構成要素),y+α(垂直構成要素)を有することができる。そのため、画像生成器(図17)は、次の従来の双線形補間の式に従って、周囲の四つのソースピクセルの強度から、Zx+β,y+αの強度IZを補間する。

(20)IZ=(1−α)[(1−β)IPx,y+βIPx+1,y]+α[(1−β)IPx,y+1+βIPx+1,y+1

式(20)は、ピクセルZx+β,y+xを形成する際に走査アセンブリ(図17)が画像ビームを掃引している方向に関係なく有効である。代替として、画像生成器は、これら四つのソースピクセルP、これら四つのソースピクセルのサブセット、その他のソースピクセル、或いはこれらのソースピクセルとその他のソースピクセルとの組み合わせを使用する別の補間アルゴリズムに従って、強度IZを補完してよい。
図15は、本発明の実施形態による、二重正弦波掃引画像ビームの水平及び垂直位置x+β及びy+αを追跡すべく動作可能な位置追跡及び補間回路100のブロック図である。回路100は、ピクセルクロック回路102と、水平及び垂直位相累算器104及び106と、水平及び垂直位置累算器108及び110と、メモリ112と、水平及び垂直位置変換器114及び116と、補間器118とを含む。下で説明するように、ピクセルクロック回路102は、一定のクロック周期を有する線形ピクセルクロックを生成する。位相累算器104及び106は、水平及び垂直掃引関数X(t)及びY(t)(式(1)及び(2))の位相をそれぞれ追跡する。位置累算器108及び110は、水平及び垂直位相と、メモリ112からの掃引関数軌道近似とから、画像ビームの水平及び垂直位置をそれぞれ計算する。変換器114及び116は、水平及び垂直位置を図13のパターン42のようなソース画像グリッドパターンの座標にそれぞれ変換し、補間器118は、変換された水平及び垂直位置及びそれぞれのソースピクセルPから、走査ピクセルZx+β,y+αの強度を計算する。
クロック回路102は、次の式に従って、周波数fpを有する線形ピクセルクロックを生成する。

(21)f=Mf

ここでM=2pである。例えば、図13を参照して、水平掃引関数X(t)の位相が走査パターン40の左側において−π/2、右側において+π/2に等しく、P=8であると仮定する。画像生成器(図17)は、2πラジアンの完全水平サイクル(左側から右側に至り、左側に戻る)の全体で画像ビームを掃引する際、左から右への掃引中に八個のピクセルZを生成し、右から左への掃引中に別の八個のピクセルZを生成する。上記のように、ピクセルクロックの各「刻み」はそれぞれのピクセルZを生成する瞬間を特定するため、ピクセルクロックは水平サイクル毎に16の「刻み」を含み、したがって、この例においては16f(水平掃引周波数の16倍)に等しくなる。
水平及び垂直位相累算器104及び106は、次の式に従って、水平及び垂直掃引関数X(t)及びY(t)の全位相θ及びΨをそれぞれ追跡する。

(22)θ=θn−1+2π/M

(23)Ψ=Ψn−1+(n/n)2π/M

ここでπは、ピクセルクロックの現在の「刻み」を表し、n−1は、直前の「刻み」を表す。例えば、水平及び垂直掃引関数X(t)及びY(t)が式(1)及び(2)による正弦波である場合、次のようになる。

(24)θ=2πf+Φ
(25)Ψ=2πf+Φ

正弦波の位相は時間に対して直線的に増加するため、ピクセルクロックの各「刻み」につき、水平位相θは、同じ量2π/Mだけ増加する。例えば、M=16の場合、水平位相θは、各「刻み」につき、π/8ラジアン増分し、したがって、上記による水平掃引周波数fの一サイクルに相当する16の「刻み」毎に、2πの完全なローテーションを完了する。更に、f=f/n(式(6))であるため、垂直位相Ψは、θのn/n倍しか増加しない。例えば、n=2、n=9、及びM=16である場合、Ψは、各「刻み」につき、(2/9)×π/8=π/36ラジアン増分し、したがって、ピクセルクロックの72の「刻み」毎に、即ち、水平掃引周波数fの四と二分の一サイクル毎に、2πの完全なローテーションを繰り返す。これは、式(6)及び図5A及び5Bと一致する。更に、一実施形態において、θ及びΨは、2πに達した時、オーバフローしてゼロになる。
図15及び16を参照すると、水平及び垂直位置累算器108及び110は、次の式に従って、画像ビームの水平及び垂直位置X及びYをそれぞれ追跡する。

(26)X=Xn−1+a2π/M

(27)Y=Y−1+c(n/n)2π/M

ここでaは、2π/Mにおける水平掃引関数X(t)の線形近似を表し、cは、(n/n)2π/Mにおける垂直掃引関数Y(t)の線形近似を表す。例えば、X(t)及びY(t)は、上の式(1)及び(2)による正弦波である場合、事実上、正弦波を多数()の線分に分解する、それぞれのテイラ級数展開によって、従来のように表現できる。使用される線分が多いほど、線形近似は、より正確になる。A及びcは、ラジアン当たりの(ソースピクセルに関する)距離を単位とする、こうした線分の傾斜であり、ここでj=0からj番目の線分はX(t)の近似となり、i=0からi番目の線分はY(t)の近似となる。したがって、a2π/Mは、一つのクロック「刻み」でビームが移動させたピクセルphにおける水平距離であり、c(n/n)2π/Mは、一つのクロック「刻み」でビームが移動させたピクセルpにおける垂直距離である。水平及び垂直位置累算器108及び110は、水平及び垂直位相θ及びΨに基づいて、メモリ112からa及びcをそれぞれ取り出し、θ及びΨによって累算器108及び110が更新値を取り出してa及びcを更新するまで、取り出したa及びcを格納する。
更に図15及び16を参照すると、本発明の実施形態による、水平位置累算器108のステップを示す例が提示されている。図16は、図5Aの水平及び垂直掃引正弦波X(t)及びY(t)と、j=i=0,1である場合のそれぞれの線形近似とのプロットである。即ち、X(t)は、傾斜a=(8ピクセル)/(πラジアン)及びa=−(8ピクセル)/(πラジアン)をそれぞれ有する二本の線分j=0及びj=1によって近似が定められている。したがって、水平位置累算器108は、−π/2<θ≦+π/2では式(26)においてaを使用し、+π/2<θ≦−π/2では式(26)においてaを使用する。具体的には、θが−π/2以下から−π/2より上に遷移する時、水平位置累算器108は、メモリ112からaを取り出して、θが+π/2より大きくなるまで、繰り返し使用するためにaを格納する。θが+π/2より大きくなった時、累算器108は、メモリ112からaを取り出して、θが再び−π/2より大きくなるまで、繰り返し使用するためにaを格納する。結果として、累算器108は、水平掃引サイクル毎に二回、メモリ112にアクセスするだけでよい。
上の例を使用して、垂直位置累算器110は、同様の形で動作する。Y(t)は、傾斜c=(6ピクセル)/(πラジアン)及びc=−(6ピクセル)/(πラジアン)をそれぞれ有する二本の線分i=0及びi=1によって近似が定められている。累算器110は、−π/2<Ψ≦+π/2では式(27)においてcを使用し、+π/2<Ψ≦−π/2では式(27)においてcを使用する。具体的には、Ψが−π/2以下から−π/2より上に遷移する時、垂直位置累算器110は、メモリ112からcを取り出して、Ψが+π/2より大きくなるまで、繰り返し使用するためにcを格納する。Ψが+π/2より大きくなった時、累算器110は、メモリ112からc1を取り出して、Ψが再び−π/2より大きくなるまで、繰り返し使用するためにc1を格納する。結果として、累算器110は、水平掃引サイクル毎に二回、メモリ112にアクセスするだけでよい。
再び図15を参照すると、水平及び垂直位置変換器114及び116は、次の式に従って、水平及び垂直位置X及びYをシフトして、グリッドパターン42(図13)に適合させる。

(28)Xtranslated=X+ph/2−0.5+L

(29)Ytranslated=Y+P/2−0.5+L

ここでL及びLは、下で説明するように、随意的な整合補正係数である。
具体的には、X及びYは、ピクセルの単位での掃引関数X(t)及びY(t)の振幅に関するものであるため、グリッドパターン42(図13)には適合しない。例えば、図13のようにp=8及びP=6であり、X(t)及びY(t)が正弦波である場合、水平及び垂直掃引正弦波(図16)の振幅によって、Xは−4乃至+4ピクセルの範囲となり、Yは−3乃至3ピクセルの範囲となる。
グリッドパターン42(図13)に適合させるには、Xtranslatedが−0.5乃至+7.5の範囲となり、Ytranslatedが−0.5乃至+5.5の範囲となることが望ましい。そのため、式(28)及び(29)は、Xをp/2−0.5=3.5ピクセルだけ効果的にシフトし、YをP/2−0.5=2.5ピクセルだけ効果的にシフトすることで、こうしたXtranslated及びYtranslatedの好適な範囲をそれぞれ取得する。
式(28)及び(29)のL及びLは、それぞれ、画像ビームの不整合を数学的に明らかにする。本発明の一実施形態において、水平及び垂直位相累算器104及び106は、リフレクタ(図17)が水平0π位置を通って回転する時にθ=0となり、リフレクタが垂直0π位置を通って回転する時にΨ=0となるように、それぞれ較正される――リフレクタ位置は、Neukermansに対する米国特許第5,648,618号「一体型ねじれセンサを有するマイクロマシン式ヒンジ」において説明されるような従来の手法を使用して測定され、これは参照により組み込むものとする。しかしながら、リフレクタが水平及び垂直0π位置を通って回転する際に画像ビームが表示画面(図1)のそれぞれの水平又は垂直中心に衝突しない場合、ビームの実際の位置は、リフレクタ位置が示す位置からオフセットされている。このオフセットは通常、測定が可能であり、ビーム位置に関係なく実質的に一定である場合が多いため、オフセットのx及びy構成要素は、ピクセルの単位を有する定数Lh及びLvによってそれぞれ表される。即ち、L及びLを式(28)及び(29)に含めることで、Xtranslated及びYtranslatedは、単にリフレクタの位置ではなく、ビームの実際の位置を表す。この手法は、画像生成器(図17)が赤(R)、緑(G)、及び青(B)ビームといった三本の不整合ビームを掃引してカラー画像を走査する場合に特に有用である。各ビームのために別個のXtranslated及びYtranslatedの値を計算することで、画像生成器は、Lhred、Lvred、Lhgreen、Lvgreen、Lhblue、及びLvblueの適切な値を使用して、走査ピクセルZ(図13)の補間中に、この不整合を数学的に補正できる。
本発明の一実施形態において、水平及び垂直位置変換器114及び116は、Xtranslated及びYtranslatedの整数部分が最低の番号のピクセルPの座標となり、小数部分がそれぞれβ及びαとなるような浮動小数点カウンタである。例えば、図14を参照すると、走査ピクセルZx+β,y+αを形成するために画像ビームが配置される場合、Xtranslated及びYtranslatedの整数部分は、それぞれx及びyに等しくなり、小数部分は、それぞれβ及びαに等しくなる。
更に図15を参照すると、補間器118は、図14に関連して上で説明したような従来の形で、Xtranslated=x+β及びYtranslated=y+αの値から、走査ピクセルZの強度を補間する。
位置追跡及び補間回路100のその他の実施形態も考えられる。例えば、走査パターン40(図13)は繰り返し現れ、ピクセルクロックの周期、したがって更にピクセルZの位置は事前に公知となるため、Xtranslated及びYtranslatedの可能な全ての値は、事前に決定し、ルックアップテーブル(図示なし)に格納できる。そのため、補間器118は、このルックアップテーブルからXtranslated及びYtranslatedを取り出すだけでよい。しかしながら、こうした回路は、ピクセルクロック周期毎に二回のメモリアクセスを含む。これは、一本の線分j及びi、したがって更に一つの傾斜a及びcから、別のものへと変化する時のみ、水平及び垂直位置累算器108及び110がメモリ12にアクセスする、図15の回路100とは異なる。加えて、ピクセルZがグリッド42の垂直線と整合するように、即ち、βが常にゼロとなるように、非線形水平ピクセルクロックが図13において使用される場合、回路100は、垂直位置y+αのみを計算してもよい。こうした実施形態において、水平変換器114は、補間器118と共に、非線形水平ピクセルクロックによってクロックされるカウンタにより置き換えることが可能であり、一方、回路106、110、及び116は、回路102が生成する線形ピクセルクロックによってクロックされる。
画像生成器
図17は、本発明の実施形態による、上記の手法を実施可能な画像生成器130のブロック図である。画像生成器130は、走査アセンブリ132と、画像ビーム136を生成する画像ビーム生成器134と、ソース画像バッファ138とを含む。
走査アセンブリ132は、掃引駆動回路140と、図1のリフレクタ22のような従来型リフレクタ142とを含む。回路140は、図4、5A、5B、及び12に関連して上で説明したように、リフレクタが垂直次元においてビームを二重正弦波及び/又は双方向に掃引するように、リフレクタ142を駆動できる。
画像ビーム生成器134は、位置強度回路144と、走査ピクセル補間器146と、従来型ビーム源148と、バッファ切り替え回路150とを含む。回路144は、図11及び12に関連して上で説明したように、ビームの位置に従ってビーム136の強度を変調できる。補間器146は、図13及び16に関連して上で説明したように、走査ピクセルZの強度を補間するためにビーム136の強度を変調可能であり、図15の回路100を含んでもよい。ビーム源148は、ビーム136を生成し、例えば、発光ダイオード(LED)又はレーザダイオードにしてよい。切り替え回路150は、図9及び10に関連して上で説明したように、画像ビーム136の生成、したがって更に走査ピクセルZの形成を、バッファ138内の一枚のソース画像から、バッファ内の別のソース画像に遷移させ、偽のゴースト画像の近くを低減又は除去する。
ソース画像バッファ138は、従来のソースから従来の形でソースビデオ又は静止画を受領する従来型バッファである。例えば、バッファ138は、コンピュータ(図示なし)又はインターネット(図示なし)からのビデオデータのストリームを介して、ビデオ画像を受領してよい。
更に図17を参照すると、画像生成器130のその他の実施形態が考えられる。例えば、ビーム136は、陰極線管(CRT)の蛍光スクリーン上での表示のための電子ビームにしてよく、リフレクタは、ビームを掃引するためのコイル又はその他のデバイスにしてよい。ビーム136が光ビームである場合、リフレクタは、光ビームを表示スクリーン(図1)に、或いは直接的に視聴者の眼(図示なし)に向けてよい。更に、上記において「水平」及び「垂直」は、それぞれ直交する左右及び上下の次元を示すために使用されているが、直交しない可能性のある他のそれぞれの次元を示してもよい。例えば、「垂直」は、上下の次元ではない場合であっても、一般的に、低い掃引周波数を有する次元を示してよい。
以上の説明は、当業者が本発明を作成及び使用できるように提示されている。実施形態に対する様々な修正は、当業者に容易に明らかとなり、本明細書の全般的原理は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の実施形態及び応用に適用し得る。したがって、本発明は、図示した実施形態に限定されるものではなく、本発明には本明細書で開示した原理及び特徴に一致する最大の範囲が与えられる。
従来の光学画像表示システムを示す図 水平次元における図1の画像ビームの位置を時間と対比して示す正弦波のプロットを示す図 垂直次元における図1の画像ビームの位置を時間と対比して示す鋸波のプロットを示す図 本発明の実施形態による、ソース画像グリッドパターン上に重ねた二重正弦波画像走査パターンのプロットを示す図 本発明の実施形態による、正弦波が図4の走査パターンを発生させる好適な位相関係を有する場合の、時間と対比した水平及び垂直掃引正弦波のプロットを示す図 本発明の実施形態による、正弦波が同じく図4の走査パターンを発生させる別の好適な位相関係を有する場合の、時間と対比した水平及び垂直掃引正弦波のプロットを示す図 本発明の実施形態による、水平及び垂直掃引正弦波間の位相関係が最適でない場合の、図4の二重正弦波走査パターンのプロットを示す図 本発明の実施形態による、水平及び垂直掃引関数間の位相関係が最悪のケースである場合の、図4の二重正弦波走査パターンのプロットを示す図 本発明の実施形態による、正弦波が図7の走査パターンを発生させる最悪のケースの位相関係を有する場合の、時間と対比した水平及び垂直掃引関数のプロットを示す図 視聴者に偽のゴーストブジェクトを知覚させる形で二重正弦波走査されたビデオ画像のシーケンスを示す図 本発明の実施形態による、視聴者による偽のゴーストブジェクトの知覚を低減又は除去する形で二重正弦波走査されたビデオ画像のシーケンスを示す図 結果として生じる走査画像に不均一な明るさをもたらし得る二重正弦波走査パターンのプロットを示す図 結果として生じた走査画像の明るさの不均一性を改善するために、垂直掃引関数が本発明の実施形態に従って修正された場合の、時間と対比した水平及び垂直掃引関数のプロットを示す図 本発明の実施形態による、図4の走査及びグリッドパターンのプロットを示し、対応するソース画像のピクセルから走査画像のピクセルを補間する手法を例示する図 本発明の実施形態による、図13の走査及びグリッドパターンの一部を示し、対応するソース画像のピクセルから走査画像のピクセルを補間する手法を例示する図 本発明の実施形態による、図13及び14に例示した手法を使用して走査画像のピクセルを補間できる補間回路のブロック図 本発明の実施形態による、図5Aの水平及び垂直掃引正弦波のプロットと、図15の補間回路が掃引正弦波の線形近似を求めるために使用する線分とを示す図 本発明の実施形態による、図4乃至16に関連して上で説明したように機能できる画像生成器のブロック図

Claims (19)

  1. 第一の次元において第一の周波数により画像ビームを掃引し、
    第二の次元において、前記第一の周波数よりも低い第二の周波数により双方向に前記画像ビームを掃引すべく動作可能な、走査アセンブリ。
  2. 前記第一の次元は、前記第二の次元と実質的に直交する、請求項1記載の走査アセンブリ。
  3. 更に、前記第一の次元において双方向に前記画像ビームを掃引すべく動作可能な、請求項1記載の走査アセンブリ。
  4. 前記第一の次元は、水平次元を備え、
    前記第二の次元は、垂直次元を備える、請求項1記載の走査アセンブリ。
  5. 更に、
    前記第一の周波数で共振することにより、前記第一の次元において前記画像ビームを掃引し、
    前記第二の周波数で共振することにより、前記第二の次元において前記画像ビームを掃引すべく動作可能な、請求項1記載の走査アセンブリ。
  6. 水平次元において画像ビームを掃引し、
    垂直次元において双方向に前記画像ビームを掃引すべく動作可能な走査アセンブリ。
  7. 前記水平次元において前記画像ビームを掃引すべく動作可能な第一のリフレクタと、
    前記垂直次元において前記画像ビームを掃引すべく動作可能な第二のリフレクタと、を備える、請求項6記載の走査アセンブリ。
  8. 前記水平及び垂直次元において前記画像ビームを同時に掃引すべく動作可能な単一のリフレクタを備える、請求項6記載の走査アセンブリ。
  9. 更に
    水平周波数で共振することにより、前記水平次元において前記画像ビームを掃引し、
    垂直周波数で共振することにより、前記垂直次元において前記画像ビームを掃引するように動作可能な、請求項6記載の走査アセンブリ。
  10. 水平及び垂直共振周波数を有し、更に、
    前記水平周波数で共振することにより、前記水平次元において前記画像ビームを掃引し、
    前記垂直共振周波数以外の垂直周波数で振動することにより、前記垂直次元において前記画像ビームを掃引すべく動作可能な、請求項6記載の走査アセンブリ。
  11. 更に、前記画像ビームを網膜上で掃引すべく動作可能な、請求項6記載の走査アセンブリ。
  12. 第一の次元において第一の周波数によって画像ビームを掃引するステップと、
    第二の次元において、前記第一の周波数よりも低い第二の周波数によって、往復して前記画像ビームを掃引するステップと、を備える方法。
  13. 前記第一の次元において前記画像ビームを掃引するステップは、前記第一の次元において往復して前記画像ビームを掃引するステップを備える、請求項12記載の方法。
  14. 水平次元において画像ビームを掃引するステップと、
    垂直次元において往復して前記画像ビームを掃引するステップと、を備える方法。
  15. 前記水平次元において前記画像ビームを掃引するステップは、前記水平次元において往復して前記画像ビームを掃引するステップを備える、請求項14記載の方法。
  16. 前記水平次元において前記ビームを掃引するステップは、前記水平次元において、水平周波数で前記ビームを正弦波掃引するステップを備え、
    前記垂直次元において前記ビームを掃引するステップは、前記垂直次元において、前記水平周波数より低い垂直周波数で、往復して前記ビームを正弦波掃引するステップを備える、請求項14記載の方法。
  17. 前記垂直次元において往復して前記ビームを掃引するステップは、基本垂直周波数と前記基本垂直周波数の調波との関数である経路に沿って前記ビームを掃引することを備える、請求項14記載の方法。
  18. 前記水平次元において前記ビームを掃引するステップは、位相を有する水平正弦波に従って、前記水平次元において前記ビームを掃引するステップを備え、
    前記垂直次元において前記ビームを掃引するステップは、前記ビームが前記水平正弦波のnh周期毎に反復するパターンを横断するように、垂直正弦波に従って、前記垂直次元において往復して前記ビームを正弦波掃引するステップを備え、前記水平正弦波の位相が
    Figure 2005526289
    に等しく、k=0,1...,(2n−1)である時に、前記垂直正弦波は
    Figure 2005526289
    に等しい位相を有する、請求項14記載の方法。
  19. 前記垂直次元において前記ビームを掃引するステップは、位相を有する垂直正弦波に従って、前記垂直次元において前記ビームを掃引するステップを備え、
    前記水平次元において前記ビームを掃引するステップは、前記ビームが前記垂直正弦波のnv周期毎に反復するパターンを横断するように、水平正弦波に従って、前記水平次元において往復して前記ビームを正弦波掃引するステップを備え、前記水平正弦波の位相が
    Figure 2005526289
    に等しく、k=0,1...,(2n−1)である時に、前記水平正弦波は
    Figure 2005526289
    に等しい位相を有する、請求項14記載の方法。
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