JP2005513219A - 3,4−アルキレンジオキシチオフェンコポリマー - Google Patents

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Abstract

2.2g/L未満の25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物と少なくとも2.2g/Lの25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物とのコポリマー及びポリアニオンの水性分散液、その製造方法、コーティングのためのその使用、該水性分散液を含有する印刷インキ、2.2g/L未満の25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物と少なくとも2.2g/Lの25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物とのコポリマー及びポリアニオンの水性分散液から誘導された、2.2g/L未満の25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物と少なくとも2.2g/Lの25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物とのコポリマー及びポリアニオンを含有する電気伝導性層、及び2.2g/L未満の25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物と少なくとも2.2g/Lの25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物とのコポリマー及びポリアニオンの水性分散液から誘導された2.2g/L未満の25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物と少なくとも2.2g/Lの25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物とのコポリマー及びポリアニオンを含有する帯電防止性層。

Description

本発明は3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物のコポリマーとポリアニオンの水性分散液に関する。
多数のポリチオフェンがそれらの興味ある電気的及び/又は光学的性質により広く研究されてきた。ポリチオフェンは化学的又は電気化学的酸化又は還元されると電気的に伝導性となる。
特許文献1は、統計的に平均して、式(1)
Figure 2005513219
式中、RはC〜C−アルコキシ基又は−O(CHCHO)CHであり、n=1〜4であり、そしてRは水素原子、C1−12−アルキル基、C〜C12−アルコキシ基又は−O(CHCHO)CHであり、n=1〜4であり、又はRとRは一緒になって−O(CH−CH−又は−O(CH−O−であり、m=1〜12である、
の少なくとも1種のモノマーから誘導される構造単位60〜100重量%、
式(2)
Figure 2005513219
式中、R及びRは互いに独立に水素原子、ハロゲン原子、C1−12−アルキル基又はアリールであるか又はそれらに結合したC原子と一緒になって芳香族環を形成し、R及びRは互いに独立に水素原子を表すか、あるいはRはR及びそれらに結合したC原子と一緒になって又はRはR及びそれらに結合したC原子と一緒になって、各々芳香族環を形成し、Xは酸素原子、硫黄原子、=NH基、=N−アルキル基又は=N−アリール基を表す、の少なくとも1種のモノマーから誘導される構造単位0〜40重量%、
式(3)
Figure 2005513219
式中、R、R、R及びR10は互いに独立に水素原子、C1−12−アルキル基、C1−12−アルコキシ基又はアリール基を表し、Y及びZは互いに独立に酸素原子、硫黄原子、
=NH基、=N−アルキル基又は=N−アリール基を表し、R11はアリーレン基、ヘテロアリーレン基又は式(CH=CH)(ここでoは1、2又は3である)の共役系を表す、の少なくとも1種のモノマーから誘導される構造単位0〜40重量%、
式(4)
Figure 2005513219
式中、R12及びR13は互いに独立に水素原子、ハロゲン原子、C1−12−アルキル基、C1−12−アルコキシ基、C1−4−アルキルアミノ基又はC1−4−アシルアミノ基を表し、R14はハロゲン原子、C1−12−アルキル基、C1−12−アルコキシ基、C1−4−アルキルアミノ基又はC1−4−アシルアミノ基を表し、そしてXは前記した意味を有する、
の少なくとも1種のモノマーから誘導される構造単位0〜40重量%、
が2−位置及び/又は5−位置の結合を介して互いにカップリングされている固有に電気的伝導性ポリマー(intrinsically electrically conductive polymer)であって、酸化された形態の該ポリマーが25℃の二極性非プロトン性溶媒に完全に溶解性でありそして25℃の溶媒100mL中のポリマー少なくとも0.1gの含有率を有する溶液が得られる、ポリマーを開示している。
特許文献2は、式
Figure 2005513219
式中、Aは場合により置換されていてもよいC1−4−アルキレン基を示す、
の構造単位を含有するポリチオフェン及び対応するチオフェンの酸化重合によるその製造を開示している。
特許文献3は、ポリアニオンの存在下の、式(I)
Figure 2005513219
式中、R及びRは互いに独立に水素又はC1−4−アルキル基を表すか又は一緒になって場合により置換されていてもよいC1−4−アルキレン残基を形成する、
の構造単位から構成されるポリチオフェンの分散液を開示している。
非特許文献1は、3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)メタノールと3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキセピン−3−オールの混合物の合成及びこの混合物の化学的共重合を開示している。 非特許文献2は(2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イルメトキシ)−ブタン−1−スルホン酸ナトリウム塩の合成及びその3,4−エチレンジオキシチオフェンとの電気化学的共重合を開示している。
非特許文献3は、3,4−エチレンジオキシチオフェンと3−オクチルチオフェンのコポリマーの製造を開示している。
非特許文献4はメタノールは、3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)メタノールの合成及び電気的重合を開示している。
非特許文献5は、3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)メタノール及び2−{2−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エトキシメチル}−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシンの合成及びその電気化学的単独重合を開示している。
ポリ(3,4−アルキレンジオキシチオフェン)誘導体の化学及び性質の最近の概観については非特許文献6を参照されたい。
これまでに製造されそして研究された伝導性ポリマーの一般的欠点は、ある用途にはそれらの伝導性が依然としてあまりにも低すぎること、それらの可視光線透過率が不十分に高いこと及び/又はそれらは加工できないということである。
欧州特許出願公開第257573号明細書 欧州特許出願公開第339340号明細書 欧州特許出願公開第440957号明細書 S.C.Ng et al. 1997,Journal of Material s Science Letters,volume 16,pages 809− 811 O.Stephan et al.1998,Journal of Electr oanalytical Chemistry,volume 443,pages 217−226 P.Buvat et al.1998, J.Chim.Phys.,volum e 95,pages 1180−1193 A.Lima et al.1998,Synthetic Metals,vol ume 93,pages 33−41 S.Akoudad et al.2000,Electrochemistry Communications,volume 2, pages 72−76 Groenendaal et al.2000,Advanced Materials,volume 12, pages 481−494
それ故、本発明の観点は、高い電気伝導度及び高い可視光線透過率及び/又は良好な加工性を示す3,4−アルキレンジオキシチオフェンポリマーを提供することである。
本発明の特定の観点及び利点は以下の説明から明らかになるであろう。
驚くべきことに、ポリアニオンの存在下で共重合された2.2g/L未満の25℃における水中での溶解度を有する3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物と少なくとも2.2g/Lの25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェンとのコポリマーを含有する層は、対応するホモポリマーにより実現される表面抵抗に匹敵するか又はそれより良好な表面抵抗を示すことが見いだされた。
本発明の観点は、2.2g/L未満の25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物と少なくとも2.2g/Lの25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェンとのコポリマー及びポリアニオンの水性分散液により実現される。
本発明の観点は、(i)ポリアニオンの溶液を提供し、(ii)段階(i)で与えられた溶液に、2.2g/L未満の25℃における水中での溶解度を有する3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物及び少なくとも2.2g/Lの25℃における水中での溶解度を有する3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物を加え、そして(iii)段階(ii)で得られた混合物に酸化又は還元系を加える段階を含んでなる、上記した水性分散液を製造するための化学的重合方法によっても提供される。
本発明の観点は、ガラス板、プラスチックフォイル、紙等の如き物体をコーティングするための上記した水性分散液の使用によっても提供される。
本発明の観点は、上記した水性分散液を含有する印刷可能なペーストによっても提供される。
本発明の観点は、2.2g/L未満の25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物と少なくとも2.2g/Lの25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物とのコポリマー及びポリアニオンの水性分散液から誘導された、2.2g/L未満の25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物と少なくとも2.2g/Lの25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物とのコポリマー及びポリアニオンを含有する電気伝導性層によっても提供される。
本発明の観点は、2.2g/L未満の25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物と少なくとも2.2g/Lの25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物とのコポリマー及びポリアニオンの水性分散液から誘導された、2.2g/L未満の25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物と少なくとも2.2g/Lの25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物とのコポリマー及びポリアニオンを含有する帯電防止性層によっても提供される。
本発明の更なる観点は特許請求の範囲の従属項に開示されている。
本発明の詳細な記述
定義
1−5−アルキレン基又は橋という用語は、メチレン、1,2−エチレン、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン及び1,5−ペンチレン基又は橋を表す。
アルキルという用語は、アルキル基の各炭素原子数について可能なすべての変異体、即ち、3個の炭素原子の場合にはn−プロピル及びイソプロピル、4個の炭素原子の場合にはn−ブチル、イソブチル及びt−ブチル、5個の炭素原子の場合には、n−ペンチル、1,1−ジメチル−プロピル、2,2−ジメチルプロピル及び2−メチル−ブチル等を意味する。
本発明の目的の水性という用語は、少なくとも60容量%の水、好ましくは少なくとも80容量%の水を含有しそして場合によりアルコール、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、イソーアミルアルコール、オクタノール、セチルアルコール等、グリコール、例えば、エチレングリコール、グリセリン、N−メチルピロリドン、メトキシプロパノール及びケトン、例えば、2−プロパノン及び2−ブタノン等の如き水に混和性有機溶媒を含有することを意味する。
本発明を開示する際に使用される伝導性層という用語は電気伝導性コーティング及び帯電防止性層の両方を包含する。
電気伝導性という用語は10Ω/平方(Ω/square)より少ない表面抵抗を有することを意味する。
帯電防止性という用語は、電極として使用することができないことを意味する10〜1011Ω/平方の範囲の表面抵抗を有することを意味する。
「伝導度強化」(conductivity enhancement)という用語は例えば、ジヒドロキシもしくはポリヒドロキシ基及び/又はカルボキシ基又はアミド又はラクタム基含有機化合物の如き高沸点液体と接触させ、続いて場合により高められた温度、好ましくは100〜250℃で、好ましくは1〜90秒間加熱することにより伝導度を高めて、伝導度を増加させる方法を指す。あるいは誘電定数≧15を有する非プロトン性化合物、例えばN−メチルピロリジノンの場合に、100℃より低い温度を使用することができる。このような伝導度強化はポリチオフェンで観察されそして最外層の製造期間中又はその後に行うことができる。このような処理のための特に好ましい液体は、EP−A686662及びEP−A1003179に開示されている如きN−メチルピロリジノン及びジエチレングリコールである。
本発明の開示において使用されるPEDOTはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を表す。
本発明の開示において使用されるEDOTは3,4−エチレンジオキシチオフェンを表す。
本発明の開示において使用されるADOTは3,4−アルキレンジオキシチオフェンを表す。
本発明の開示でにおいて用されるPSSはポリ(スチレンスルホン酸)又はポリ(スチレンスルホネート)を表す。
本発明の開示で使用されるPETはポリ(エチレンテレフタレート)を表す。
水性分散液
本発明の観点は2.2g/L未満の25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物と少なくとも2.2g/Lの25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物とのコポリマー及びポリアニオンの水性分散液によって実現される。
本発明に従う水性分散液の第1の態様に従えば、少なくとも2.2g/Lの25℃における水中での溶解度を有する3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物は少なくとも2.5g/Lの25℃における水中での溶解度を有する。
本発明に従う水性分散液の第1の態様に従えば、少なくとも2.2g/Lの25℃における水中での溶解度を有する3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物は少なくとも2.7g/Lの25℃における水中での溶解度を有する。
本発明に従う水性分散液の第3の態様に従えば、少なくとも2.2g/Lの25℃における水中での溶解度を有する3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物は3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)メタノール、3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキセピン−3−オール、(2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イルメトキシ)−酢酸、2−{2−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシメチル}−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン及び4−(2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イルメトキシ)−ブタン−1−スルホン酸ナトリウム塩よりなる群から選ばれる。
2.2g/L未満の25℃における水中での溶解度を有する3,4−アルキレンジオキ シチオフェン化合物
本発明に従う水性分散液の第4の態様に従えば、2.2g/L未満の25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物は、式(I)
Figure 2005513219
式中、AはC1−5−アルキレン橋を表し、Rは場合により置換されていてもよい(場合により、アルコール、アミド、エーテル、エステル又はスルホネート基よりなる群から選ばれる少なくとも1個の置換基で置換されていてもよい)C1−24−アルキル、C3−18−シクロアルキル、C1−18−アルコキシ又はポリエチレンオキシド基、場合により置換されていてもよいアリール基又は場合により置換されていてもよいアシル基を表す、
により表される。
本発明に従う水性分散液の第5の態様に従えば、2.2g/L未満の25℃における水中での溶解度を有する3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物は、AがC1−5−アルキレン橋を表し、Rが場合により置換されていてもよいC6−20−アルキル基を表す式(I)により表される。
本発明に従う水性分散液の第6の態様に従えば、2.2g/L未満の25℃における水中での溶解度を有する3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物は、AがC1−5−アルキレン橋を表し、Rが場合により置換されていてもよいC8−18−アルキル基を表す式(I)により表される。
本発明に従う水性分散液の第7の態様に従えば、2.2g/L未満の25℃における水中での溶解度を有する3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物は、AがC1−5−アルキレン橋を表し、Rが、エーテル、エステル又はアミド置換基を含有する場合により置換されていてもよいC2−24−アルキル、C3−18−シクロアルキル、C1−18−アルコキシ又は場合により置換されていてもよいアリール基を表し、又は置換基の少なくとも1つがスルホネート、ホスホネート、ハロゲン及びヒドロキシ基よりなる群から選ばれる、式(I)により表される。
本発明に従う水性分散液の第8の態様に従えば、2.2g/L未満の25℃における水中での溶解度を有する3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物は3,4−エチレンジオキシチオフェン(2.1g/Lの25℃における水中での溶解度)である。
本発明に従う式(I)に従うチオフェン化合物は、3,4−ジメトキシチオフェンの如きチオフェン誘導体を使用してDE3804522及びHOUBEN−WEYL,volume VI/3,part 3,pages 171−173(1971)に開示されたエーテル交換反応(etherification)又は3,4−ジヒドロキシチオフェン−2,5−ジカルボン酸のジメチルエステルの如きチオフェン誘導体を使用して1994,Electrochimica Acta、volume39,pages1345−1347に開示されている如きダブルウイリアムソン反応(double Williamson reaction)の如き既知の方法により製造することができる。
少なくとも2.2g/Lの25℃における水中での溶解度を有する3,4−アルキレン ジオキシチオフェン化合物
少なくとも2.2g/Lの25℃における水中での溶解度を有する3,4−アルキレン ジオキシチオフェン化合物は、
Figure 2005513219
を包含する。
3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物の溶解度は、すべてのモノマーが目で見て溶解していると判断されるように十分な水に特定の量の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物を撹拌しながら加えることにより決定された。
ポリアニオン化合物
本発明に従う分散液に使用するためのポリアニオン化合物はEP−A440957に開示されておりそしてポリマーカルボン酸、例えば、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸又はポリマレイン酸及びポリスルホン酸、例えば、ポリ(スチレンスルホン酸)を包含する。これらのポリカルボン酸及びポリスルホン酸はビニルカルボン酸及びビニルスルホン酸と他の重合可能なモノマー、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル及びスチレンとのコポリマーであることもできる。
本発明に従う水性分散液の第9の態様に従えば、ポリアニオンはポリ(スチレンスルホネート)、ポリ(スチレンスルホン酸)のアニオンである。
化学的重合方法
本発明の観点は、(i)ポリアニオンの溶液を提供し、(ii)段階(i)で与えられた溶液に、2.2g/L未満の25℃における水中での溶解度を有する3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物及び少なくとも2.2g/Lの25℃における水中での溶解度を有する3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物を加え、そして(iii)段階(ii)で得られた混合物に酸化又は還元系を加える段階を含んでなる、本発明に従う水性分散液を製造するための化学的重合方法により実現される。
2.2g/L未満の25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物と少なくとも2.2g/Lの25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物とのコポリマーは化学的に(酸化的に及び還元的に)共重合することができる。例えば、Journal of the American Chemical Society,volume 85,pages 454−458(1963)及びJ.Polymer Science Part A Polymer Chemistry,volume 26,pages 1287−1294(1988)に記載の如きピロールの酸化重合に使用される酸化剤をチオフェンの酸化重合のために使用することができる。
本発明に従う化学的重合方法の第1の態様に従えば、安価で容易に入手可能な酸化剤、例えば、鉄(III)塩、例えば、FeCl、有機酸の鉄(III)塩、例えば、Fe(OTs)、H、KCr、過硫酸アルカリ及び過硫酸アンモニウム、過ホウ酸アルカリ及び過マンガン酸カリウムが酸化重合において使用される。
理論的には、チオフェンの酸化重合は式(I)のチオフェン1モル当たり2.25当量の酸化剤を必要とする[例えば、J.Polymer Science Part A Polymer Chemistry,volume 26,pages1287−1294(1988)参照]。実際には、重合可能な単位当たり0.1〜2当量過剰の酸化剤が使用される。過硫酸塩及び鉄(III)塩の使用は、それらが腐食作用しないという大きな技術的利点を有する。更に、特定の添加剤の存在下に、式(I)に従うチオフェン化合物の酸化重合はゆっくりと進行し、その結果チオフェンと酸化剤を溶液又はペーストとして一緒にすることができそして処理されるべき基材に適用することができる。このような溶液又はペーストの適用の後酸化重合は、米国特許第6,001,281号及びWO00/14139に開示されている如くコーティングされた基材を加熱することにより促進させることができる。これらの特許は参照により本明細書に組み込まれる。
還元重合は、それぞれ2001、Tetrahedron Letters,volume 42,pages 155−157及び1998,Macromolecules,volume 31,pages2047−2056に開示されているStille(有機錫)経路又は鈴木(有機ホウ素)経路を使用して又は1999,Bull.Chem.Soc.Japan,volume 72,page 621及び1998,Advanced Materials,volume 10,pages 93−116に開示されている如くニッケル錯体によって行うことができる。
工業的用途
2.2g/L未満の25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物と少なくとも2.2g/Lの25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェンとの化学的に重合されたコポリマーは、可視光線の低い吸収及び赤外線に対する高い吸収とともに高い電気伝導度を示す。このようなチオフェンコポリマーは多様な種類の硬質及び柔軟性基材、例えば、セラミックス、ガラス及びプラスチックに適用することができそして特に柔軟性基材、例えば、プラスチックシートに適当でありそして基材はチオフェンコポリマー層がその電気伝導度を失うことなく実質的に曲げたり変形させたりすることができる。
このようなチオフェンコポリマーは、例えば、光電池装置、バッテリー、キャパシタ及び有機及び無機エレクトロルミネッセンス装置、電磁遮蔽層、熱遮蔽層、写真フイルム、サーモグラフィック記録材料及びホトサーモグラフィック記録材料を包含する広範な種類の製品のための帯電防止コーティング、スマートウインドー(smart windows)、エレクトロクロミック装置、有機及びバイオ有機物質のためのセンサ、電界効果トランジスター、印刷版、伝導性樹脂接着剤、自立性(free−standing)電気伝導性フイルムにおいて使用することができる[Handbook of Oligo− and Polythiophenes,Edited by D.Fichou,Wiley−VCH,Weinheim(1999)の10章も参照]。
本発明を比較実施例及び発明実施例により以下に説明する。これらの実施例で示された百分率及び割合は特記しない限り重量である。
コモノマーの合成
2−アセトキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸ジメチルエステルの合成
Figure 2005513219
米国特許第5,111,327号に記載の如くして3,4−ジヒドロキシチオフェン−2,5−ジカルボン酸ジメチルエステルとエピブロモヒドリンとの反応を行うことにより、2−アセトキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸ジメチルエステルと3−アセトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキセピン−6,8−ジカルボン酸ジメチルエステルとの70/30モル混合物が得られた。次いでこの混合物をアセチル化/選択的結晶化方法により分離した:2−アセトキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸ジメチルエステルと3−アセトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキセピン−6,8−ジカルボン酸ジメチルエステルとの70/30モル混合物(143g、0.496モル)を塩化メチレン(1.5L)に溶解した。次いでトリエチルアミン(80mL)を加え、その後塩化アセチル(43mL)を、僅かな冷却により絶えず25℃付近に反応を保って、滴下により加えた。添加の後、混合物を25℃で更に1時間撹拌した。
次いで、反応混合物をそれぞれ1M塩酸、炭酸水素ナトリウムの1M水性溶液及び塩化ナトリウムの飽和水性溶液で数回洗浄した。溶媒を除去しそして得られる固体をエタノールから再結晶した。ろ過及び残留物の洗浄の後、NMR及び質量分光法により証明されるとおり純粋な2−アセトキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸ジメチルエステルが得られた。
3−アセトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキセ ピン−6,8−ジカルボン酸ジメチルエステルの合成
Figure 2005513219
その7員環異性体、3−アセトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキセピン−6,8−ジカルボン酸ジメチルエステルは上記した再結晶プロセスのろ液を濃縮することにより単離することができた。次いで2−アセトキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸ジメチルエステルと3−アセトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキセピン−6,8−ジカルボン酸ジメチルエステルとの混合物(モル比約1:2)である残りの残留物をSiO(溶離剤:塩化メチレン/酢酸エチル=90/10)を使用するカラムクロマトグラフィーにより個々の化合物に分離した。これにより最終的に純粋な3−アセトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキセピン−6,8−ジカルボン酸ジメチルエステル及びいくらかの追加の純粋な2−アセトキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸ジメチルエステルが得られた。
2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシ ン−5,7−ジカルボン酸の合成
Figure 2005513219
2−アセトキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸ジメチルエステル(60g、0.18モル)をエタノール(680mL)に溶解した。水酸化カリウム(36g)をこの溶液に加え、その後水(500mL)を連続的に冷却しながら加えた。水を添加した後、反応混合物を更に30分間撹拌し、その後溶媒を蒸留により除去した。反応混合物の残りの部分に、我々は氷(50g)及び濃塩酸(25mL)の混合物を滴下により加えそして撹拌した。次いで混合物をろ過しそして残留物を水で洗浄した。その後の乾燥によりNMR及び質量分光法により証明されるとおり純粋な2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸が定量的に生成された。
3−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキセ ピン−6,8−ジカルボン酸の合成
Figure 2005513219
上記したとおり2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸の合成と同様にしてそして同じモル量の試薬を適用して、純粋な3−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキセピン−6,8−ジカルボン酸を製造した。
(2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)−メタ ノール(M1)の合成
Figure 2005513219
2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5,7−ジカルボン酸(48g、0.184モル)をN,N−ジメチルアセトアミド(500mL)に溶解しそしてCuCr(8.6g)及びキノリン(15滴)を加えた。次いでこの混合物を150℃で2時間撹拌し、その後それを25℃に冷却した。次いでそれを酢酸エチルに注ぎ、触媒をろ過により除去しそしてろ液を酸性の水及び塩化ナトリウムの飽和水性溶液で洗浄した。次いで溶媒を除去し、その後真空蒸留(115〜120℃、0.05mmHg)により純粋な(2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)−メタノールが単離された。
3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキセピン−3−オール (M2)の合成
Figure 2005513219
上記したとおり(2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2ーイル)−メタノールの合成と同様にしそして同じモル量の試薬を適用して、純粋な3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキセピン−3−オールを製造した。精製はSiO(溶離剤:CHCl)によるカラムクロマトグラフィーにより達成された。
(2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イルメトキシ
)−酢酸(M3)の合成
Figure 2005513219
(2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イルメトキシ
))−酢酸エチルエステル(10.2g、40ミリモル)をエタノール(100mL)及び水(50mL)に溶解し、窒素でガスシールした。水酸化カリウム(2.9g)を加え、混合物を35℃で30分間加熱した。次いで溶媒を蒸留により除去し、酢酸エチル(50mL)、氷水(50mL)及び濃塩酸(5mL)を加えそして混合物を激しく撹拌した。次いで有機相を分離し、塩化ナトリウムの飽和水性溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥しそして濃縮した。最後にこの粗生成物を酢酸エチル/ヘキサン(1/1)から再結晶して、NMR及び質量分光法により証明されたとおり純粋な(2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル]メトキシ)−酢酸が得られた。
2−{2−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシメチル}−
2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン(M4)の合成
Figure 2005513219
トルエン(150mL)中の3,4−ジメトキシチオフェン(12.9g、89ミリモル)と{2−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシメチル}−1,2−エタンジオール(24.5g)のエーテル交換反応(transetherification)を、これらの化合物の混合物を連続的窒素流の下で24時間加熱する(100℃で)ことにより行った。次いで反応混合物を塩化メチレン(200mL)に注ぎ、有機相を1M水性炭酸水素ナトリウム溶液、水性濃厚塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥しそして濃縮した。これにより粘性油が得られた。最終的に真空蒸留により純粋な2−{2−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシメチル}−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシンが得られた。
ポリエチレンオキシドで置換された(2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)−メタノール(M5)の合成
Figure 2005513219
p−トルエンスルホニルクロリド(8.4g、44ミリモル)をピリジン(20mL)に溶解し、Nによりガスシールした。ピリジン(30mL)中のモノヒドロキシ官能化ポリエチレンオキシド(Mw=750g/モル、15g、20ミリモル)の溶液を、絶えず25〜30℃付近に反応温度を保ちながら、滴下により加えた。添加の後、反応混合物をさらに2時間撹拌し、次いで氷水/塩酸に注いだ。この水性相を塩化メチレンで抽出し、その後一緒にした有機画分を炭酸水素ナトリウムの1M水性溶液で洗浄した。最終精製をカラムクロマトグラフィー(SiO、溶離剤:それぞれ、塩化メチレン及びエタノール)により行って、純粋なトシレート官能化ポリエチレンオキシドが得られた。
(2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)−メタノール(1.0g、5.8ミリモル)をテトラヒドロフラン(25mL)に溶解しそして窒素によりガスシールした。水素化ナトリウム(0.25g)を加え、30分間撹拌を続けた。次いでテトラヒドロフラン(25mL)中のトシル化ポリエチレンオキシド(5.3g)の溶液を滴下により加えた。添加の後反応混合物を2時間還流させ、その後それを再び25℃に冷却した。次いで反応混合物を氷水(数滴の濃塩酸を含有する)に注ぎそして塩化メチレンを使用して抽出を行った。次いで一緒にした有機画分を炭酸水素ナトリウムの1M水性溶液及び水性飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥しそして濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO、溶離剤:塩化メチレン/メタノール(95/5))による最終的精製により、NMR及びGPCにより証明されるとおり純粋なPEO−置換EDOTが得られた。
4−(2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル−メトキシ)−ブタン−1−スルホン酸ナトリウム塩(M6)の合成
Figure 2005513219
(2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)−メタノール(6.9g、40ミリモル)をテトラヒドロフラン(100mL)に溶解してそして窒素でガスシールした。水素化ナトリウム(1.76g)を加え、撹拌を30分間続けた。次いでブタンスルトン(6.0g)を滴下により加え、その後反応混合物を3時間還流させた。次いでそれを再び25℃に冷却し、溶媒を除去し、メタノールを加え、混合物を撹拌し、ろ過しそしてろ液を濃縮した。残りの油をヘキサン及びエタノールの添加により凝固させ、次いで撹拌した。最終的にろ過及び乾燥して、NMR及び質量分光法により証明されたとおり純粋な4−(2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル−メトキシ)−ブタン−1−スルホン酸ナトリウム塩が得られた。
3,4−アルキレンジオキシチオフェンホモポリマーの製造
比較実施例1
25℃で、ポリ(スチレンスルホン酸)[PSS](Mw=290,000)の5.6重量%水性溶液562.5g、脱イオン水2437.5g及びEDOT12.78g(90ミリモル)を、撹拌器を備えた4Lの反応容器中で混合した。次いで0.225gのFe(SO.9HO及び25.7gのNaを加えて重合反応を開始させた。反応混合物を25℃で7時間撹拌し、その後更に4.3gのNaを加えた。16時間の追加の反応時間の後、反応混合物をイオン交換体(300mlLewatitTMS100MB+500mlLewatitTMM600MB)で2回処理した。得られる混合物を更に95℃で2時間熱処理しそして得られる粘性混合物を高剪断(600Barでのマイクロフルイダイザー)で処理した。この方法によりP1の1.09重量%青色分散液1800gが得られた。
比較実施例2
25℃で、ポリ(スチレンスルホン酸)[PSS](Mw=290,000)の5.99重量%水性溶液438.23g及び脱イオン水2061.77gを、撹拌器及び窒素入り口を備えた4Lの反応容器中で混合した。この混合物に窒素を通して30分間泡立たせてパージした後、EDOT12.78g(90ミリモル)をこの溶液に加えた。次いで0.225gのFe(SO9HO及び25.7gのNaを加えて重合反応を開始させた。反応混合物を25℃で7時間撹拌し、その後更に4.3gのNaを加えた。16時間の追加の反応時間の後、反応混合物をイオン交換体(Bayerからの300mlLewatitTMS100MB+500mlLewatitTMM600MB)で2回処理した。得られる混合物を更に95℃で2時間熱処理しそして得られる粘性混合物を高剪断(600Barでのマイクロフルイダイザー)で処理した。この方法によりP2の1.02重量%青色分散液1950gが得られた。
比較実施例3
25℃で、ポリ(スチレンスルホン酸)[PSS](Mw=290,000)の5.99重量%水性溶液438.23gを脱イオン水2061.77gと、撹拌器及び窒素入り口を備えた4Lの反応容器中で混合した。この混合物に30分間窒素を通して泡立たせた後、EDOT12.78g(90ミリモル)を加えた。次いで0.225gのFe(SO.9HO及び25.7gのNaを加えて重合反応を開始させた。反応混合物を25℃で7時間撹拌し、その後更に4.3gのNaを加えた。16時間の追加の反応時間の後、反応混合物をイオン交換体(300mlLewatitTMS100MB+500mlLewatitTMM600MB)で2回処理した。得られる混合物を更に95℃で2時間熱処理しそして得られる粘性混合物を高剪断(600Barでのマイクロフルイダイザー)で処理した。この方法によりP3の1.03重量%青色分散液1840gが得られた。
比較実施例1〜3の分散液に基づく分散液による電気伝導性層の製造
3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、ZONYLFSO100、塩化ビニリデン、メタクリレート及びイタコン酸(88/10/2)のコポリマーラテックス及びN−メチルピロリジノンを比較実施例1〜3の分散液に加えることによりコーティング分散液を製造し、下塗りされた(subbed)175μmポリ(エチレンテレフタレート)支持体上にドクターブレードコーティングしそして45℃で3.5分間乾燥して下記の組成を有する層を製造した。
PEDOT 28.9mg/m
[PEDOT)/PSS 100mg/m
ZONYL FSO100 8mg/m
3−グリシドオキシプロピル−トリメトキシシラン 100mg/m
塩化ビニリデン、メタクリレート及びイタコン酸
(88/10/2)のコポリマーラテックス 100mg/m
N−メチルピロリジノン 2mL/m

比較実施例1〜3の分散液に基づく分散液で製造された電気伝導性層の特徴付け
層の光学的濃度は、可視フィルターを使用してMacbethTD904濃度計により10個のストリップの積み重ねを測定し、次いでそれから単一ストリップの光学的濃度を得ることにより決定された。表1に示された値はPET支持体の光学的濃度を含む。
層の表面抵抗は、印刷された層を、25℃の温度及び30%相対湿度に状態調節された部屋において、平行な銅電極であって、各々が35mm長さでありそして35mm離れており、線接点を形成することができ、Telon絶縁体により分離されている平行な銅電極と接触させることにより測定された。これは実現されるべき表面抵抗の直接測定を可能とした。結果をやはり表1に要約する。
次いで層をDIN54004に従うAtlas Material Testing Technology BV,SUNTESTTM CPS装置においてガラスフィルターを通して人工太陽光(キセノンランプにより与えられる)に暴露した。表1に与えられたファクターはx時間のSuntestTM暴露の後の表面抵抗対Suntest暴露前の表面抵抗の比である。
Figure 2005513219
表1の結果は、PEDOT/PSS層の初期表面抵抗及び安定性は重合が開始される条件に強く依存しており、窒素を通して泡立たせることにより酸素を追い出すとより低い表面抵抗が得られ、そしてSuntestTM暴露後の表面抵抗対初期表面抵抗のより低い比により示された48時間のSuntestTM暴露に対するより高い安定性が得られることを示す。
比較実施例4〜9
EDOT、M1、M2、M3、M4及びM6の電気化学的重合
電気的重合は標準三電極セルを使用して25℃で行われた。作用電極は白金、金又はインジウム−錫−酸化物であった。カウンター電極は白金であり、参照電極はアセトニトリル中の銀/0.1M過塩素酸銀(0.34V対SCE)であった。
比較実施例3〜8のモノマー(それぞれEDOT、M1、M2、M3、M4及びM6)において10−3〜10−2M及びNaClOにおいて0.1Mアセトニトリル溶液を、窒素を通して泡立たせることにより酸素をパージした後、セルにおいて0.7〜0.8Vの電位を加えることにより重合した。5mA/cmの電流密度を電気的重合に使用した。
その場での電気伝導度測定
電気的重合を行った同じ三電極セルにおいてモノマーの不存在下に電気伝導度測定を行った。伝導度測定のための電極は20μmのバンド間距離を有するツーバンド白金電極(各バンドについて0.3cm×0.01cm)であった。白金電極は80mCの通過(passage)によりポリマーでコーティングされ、これは抵抗状態(resistance conditions)を限定することの達成を確実にした。電気伝導度はバンド間の小さな振幅(典型的には10mV)DC電圧を加えそしてそれにより得られた電流を記録することにより測定された。ポリ(3−メチルチオフェン)(60S/cm)を電気的伝導度標準として使用した。結果を表2に示す。
EDOT、M1及びM3の電気的重合されたホモポリマーは互いに匹敵する抵抗率を示した。M2、M4及びM6の電気的重合されたホモポリマーは電気的重合されたPEDOTより有意に高い抵抗率を示した。
Figure 2005513219
比較実施例10
4−(2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル−メトキシ)−ブタン−1−スルホン酸ナトリウム塩の重合
4−(2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル−メトキシ)−ブタン−1−スルホン酸ナトリウム塩(0.66g、2.0ミリモル)を酸素を含まない水(20mL)に溶解した。この溶液を80℃に加熱し、その後Fe(OTs).6HO(4.06g、6.0ミリモル)を加えた。溶液の色は直ちに暗褐色に変わった。反応混合物を80℃に3.5時間以上保ち、その後それを冷却しそしてろ過した。ろ液をカチオン樹脂及びアニオン樹脂によるイオン交換により最終的に鉄、ナトリウム及びトシレートイオンをなくし、暗青色水性PEDOT−S溶液を得た。溶液を最後に脱イオン水で希釈して1重量%PEDOT−S、P10とした。
酸素をパージされた反応媒体中での3,4−アルキレンジオキシチオフェンコポリマー の製造
発明実施例1〜12
撹拌器及び窒素入り口を備えた1Lの反応容器中で25℃で、ポリ(スチレンスルホン酸)[PSS](Mw=290,000)の5.99重量%水性溶液87gを脱イオン水413gと混合することにより、発明実施例1〜12の3,4−アルキレンジオキシチオフェンコポリマーの分散液を製造した。この混合物を30分間窒素を通して泡立たせた後、EDOT(量については表3A又は3B参照)及びコモノマー(数及び量については表3A又は3B参照)をこの溶液に加えた。次いで窒素を反応混合物を通して30分間再び泡立たせた。次いで0.0375gのFe(SO及び4.28gのNaを加えて共重合反応を開始させた。反応混合物を25℃で7時間撹拌し、その後更に0.7gのNaを加えた。16時間の追加の反応時間の後、反応混合物をイオン交換体(Bayerからの50mlLewatitTMS100MB+80mlLewatitTMM600MB)で2回処理した。得られる混合物を更に95℃で2時間熱処理しそして得られる粘性混合物を希釈しそして高剪断(600Barでのマイクロフルイダイザー)で処理した。この方法によりコポリマーの分散液(分散液中のコポリマーのタイプ、製造量及び濃度については表3A及び3B参照)が得られた。
Figure 2005513219
発明実施例1〜12のコポリマーの特徴付け
比較実施例1〜3のコポリマー及びPEDOTの分子量は785nmにおける紫外線〜可視吸収検出(UV−vis absorption detection)によりポリ(スチレンスルホン酸)ナトリウムに対する水性ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより決定された。
開始剤の添加前に窒素を通して泡立たせることにより酸素をパージされた反応媒体で製造されたコポリマー及びPEDOTの分子量は、製造された分散液中のそれらの濃度及びコモノマーのモル%での理論的濃度と共に表4に要約される。
Figure 2005513219
発明実施例1〜12のコポリマーを含有する分散液で製造された層の製造
比較実施例1〜3の分散液について上記した如くして発明実施例1〜12の分散液でコーティング分散液を製造して、下塗りされた175μmのポリ(エチレンテレフタレート)支持体上にドクターブレードコーティングしそして45℃で3.5分間乾燥して下記の組成を有する層を製造した。
ADOTとコモノマー(又はPEDOT)のコポリマー 28.9mg/m
[ADOT及びコモノマー(又はPEDOT)/PSS
のコポリマー 100mg/m
ZONYL FSO100 8mg/m
3−グリシドオキシプロピル−トリメトキシシラン 100mg/m
塩化ビニリデン、メタクリレート及びイタコン酸
(88/10/2)のコポリマーラテックス 100mg/m
N−メチルピロリジノン 2mL/m

発明実施例1〜12のコポリマーを含有する層の特徴付け
発明実施例1〜12のコポリマーを含有する層の表面抵抗、光学的濃度及び光安定性を比較実施例1〜3のホモポリマーを含有する層について述べた如くして決定した。結果を表5に要約する。
Figure 2005513219
EDOT−コポリマーの予測される性質は対応するホモポリマーの性質の中間にあった。しかしながら、コポリマーCP1、CP2、CP3、CP4及びCP8、EDOTとM1、M2及びM4とのコポリマーを含有する層はP2及びP3の性質に匹敵する性質を示した。
本発明はそれが現に特許請求の範囲に記載の発明に関するかどうかにかかわりなく、示唆的に又は明示的に本明細書に開示された特徴又は特徴の組み合わせ及びそのいかなる一般化も包含することができる。前記説明に照らして、本発明の範囲内で種々の修正がなされうることは当業者には明らかであろう。

Claims (11)

  1. 2.2g/L未満の25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物と少なくとも2.2g/Lの25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物とのコポリマー及びポリアニオンの水性分散液。
  2. 該2.2g/L未満の25℃における水中での溶解度を有する該3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物が、式(I)
    Figure 2005513219
    式中、AはC1−5−アルキレン橋を表し、Rは場合により置換されていてもよい(場合により、アルコール、アミド、エーテル、エステル又はスルホネート基よりなる群から選ばれる少なくとも1個の置換基で置換されていてもよい)C1−24−アルキル、C3−18−シクロアルキル、C1−18−アルコキシ又はポリエチレンオキシド基、あるいは場合により置換されていてもよいアリール基を表す、
    により示される請求項1に記載の水性分散液。
  3. 少なくとも2.2g/Lの25℃における水中での溶解度を有する該3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物が少なくとも2.5g/Lの25℃における水中での溶解度を有する請求項1に記載の水性分散液。
  4. 少なくとも2.2g/Lの25℃における水中での溶解度を有する該3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物が少なくとも2.7g/Lの25℃における水中での溶解度を有する請求項1に記載の水性分散液。
  5. 少なくとも2.2g/Lの25℃における水中での溶解度を有する該3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物が3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)メタノール、3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキセピン−3−オール、(2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル−メトキシ)−酢酸エチルエステル、(2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イルメトキシ)−酢酸、2−{2−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシメチル}−2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン及び4−(2,3−ジヒドロ−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イルメトキシ)−ブタン−1−スルホン酸ナトリウム塩よりなる群から選ばれる請求項1に記載の水性分散液。
  6. 該ポリアニオンがポリ(スチレンスルホネート)である請求項1に記載の水性分散液。
  7. (i)ポリアニオンの溶液を準備し、(ii)段階(i)で準備した溶液に、2.2g/L未満の25℃における水中での溶解度を有する3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物及び少なくとも2.2g/Lの25℃における水中での溶解度を有する3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物を加え、そして(iii)段階(ii)で得られた混合物に酸化又は還元系を加える段階を含んでなる、2.2g/L未満の25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物と少なくとも2.2g/Lの25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物とのコポリマー及びポリアニオンの水性分散液を製造するための化学的重合方法。
  8. 物体をコーティングするための、2.2g/L未満の25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物と少なくとも2.2g/Lの25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物とのコポリマー及びポリアニオンの水性分散液の使用。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載の水性分散液を含有する印刷可能なペースト。
  10. 2.2g/L未満の25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物と少なくとも2.2g/Lの25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物とのコポリマー及びポリアニオンの水性分散液から誘導された、2.2g/L未満の25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物と少なくとも2.2g/Lの25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物とのコポリマー及びポリアニオンを含有する電気伝導性層。
  11. 2.2g/L未満の25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物と少なくとも2.2g/Lの25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物とのコポリマー及びポリアニオンの水性分散液から誘導された、2.2g/L未満の25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物と少なくとも2.2g/Lの25℃における水中での溶解度を有する少なくとも1種の3,4−アルキレンジオキシチオフェン化合物とのコポリマー及びポリアニオンを含有する帯電防止性層。
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