JP4619660B2 - 光電変換素子およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、色素増感型の光電変換素子およびその製造方法に関する。
光電変換素子を備えた太陽電池は、環境汚染の少ない発電システムとして注目されており、シリコン系の光電変換素子が実用化されているが、シリコン系の光電変換素子は製造コストが高いことから、近年では、製造コストが低い色素増感型の光電変換素子の検討が進められている。
図1に、色素増感型光電変換素子の一例を示す。この色素増感型光電変換素子10は、透明基板11と、透明基板11上に形成された透明電極12と、透明電極12上に形成され、色素が吸着されたn型半導体電極13と、n型半導体電極13上に形成された電解質膜14と、電解質膜14上に形成された電子伝導性電極15とを有している。ここで、n型半導体電極13は、光の照射によって色素の電子を奪い取り、色素上に正孔が発生する電極であり、電解質膜はn型半導体電極で発生した正孔が移動可能な膜である。
この色素増感型光電変換素子10では、透明基板11に照射された光がn型半導体電極13に達し、その光エネルギーによってn型半導体電極13にて正孔を発生させる(伝導帯に電子を励起させる)。n型半導体電極13にて発生した正孔は、電解質膜14を移動して電子伝導性電極15に達する。その結果、透明電極12と電子伝導性電極15との間に起電力が生じて発電することができる。
電解質膜14の電解質としては、ヨウ素/ヨウ素イオンなどの液状のものが用いられていた。ところが、光電変換素子は、太陽光が照射されるとその光エネルギーによって加熱されるので、電解質が液状の場合には、その加熱により膨張して漏洩したり、光電変換素子を破損させたりすることがあった。
そこで、太陽光による膨張を抑制する目的で、電解質として、固体状の共役系導電性高分子を用いることが検討されている(例えば、特許文献1,2参照)。共役系導電性高分子を含む電解質膜の形成方法としては、n型半導体電極上で単量体を電解重合して共役系導電性高分子の膜を直接形成する方法や、単量体を化学酸化重合法で重合した共役系導電性高分子を溶媒に混合し、その混合液をn型半導体電極上に塗布し、溶媒を除去して共役系導電性高分子の膜を形成する方法などが知られている。
特開2003−142168号公報 特開2003−243681号公報
電解質が固体であれば、加熱による膨張が小さく、電解質の漏洩や光電変換素子の破損を防ぐことができる。しかしながら、共役系導電性高分子の膜を電解重合法で形成する場合には、一個ずつ電解重合しなければならず、煩雑で大量生産に向かないという問題があった。また、化学酸化重合法で形成する場合には、電解重合法のような制約がなく、共役系導電性高分子の膜を大量生産できるが、高分子量の共役系導電性高分子は溶媒に不溶であった。そのため、共役系導電性高分子を溶媒に単に混合した混合液を塗布した場合には、膜を均一に形成することが困難であった。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、共役系導電性高分子を含む固体の電解質膜が大量生産に適しており、しかもその電解質膜が均一に形成された光電変換素子およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の光電変換素子は、表面に色素が吸着されたn型半導体電極と電子伝導性電極との間に、正孔輸送性高分子電解質膜が介在した積層構成を具備した光電変換素子において、
前記正孔輸送性高分子電解質膜は、共役系導電性高分子と、ポリアニオンおよび/または電子吸引性官能基含有高分子と、スルホン酸基を有する繊維状導電体とを含有することを特徴とする。
本発明の光電変換素子においては、前記正孔輸送性高分子電解質膜は無機系p型半導体を含有することが好ましい。
さらに、本発明の光電変換素子においては、前記正孔輸送性高分子電解質膜は、n型半導体電極上に塗布された塗膜であることが好ましい。
本発明の光電変換素子の製造方法は、共役系導電性高分子と、ポリアニオンおよび/または電子吸引性官能基含有高分子と、スルホン酸基を有する繊維状導電体とを溶媒中に分散または溶解した溶液をn型半導体上に塗布し、溶媒を除去して塗膜を成膜した後に、該塗膜上に、電子伝導性電極を形成する工程を有することを特徴とする。
本発明の光電変換素子においては、固体電解質である正孔輸送性高分子電解質膜が大量生産に適したものであるから、この光電変換素子は大量生産に適したものである。また、正孔輸送性高分子電解質膜が均一に形成されており、品質が高い。
本発明の光電変換素子の製造方法は、正孔輸送性高分子電解質膜の形成が簡便で大量生産に適しており、しかも、正孔輸送性高分子電解質膜を均一に形成することができる。
本発明の光電変換素子およびその製造方法の一実施形態例について説明する。
はじめに、光電変換素子の製造方法について説明する。ここで、本実施形態例の光電変換素子は、図1に示す光電変換素子10であって、電解質膜4が共役系導電性高分子を含むものである。
本実施形態例の製造方法では、まず、透明基板の上に、蒸着法、スパッタ法などによって透明導電膜を形成し、さらに透明導電膜の上に、n型半導体化合物と色素とを含有するn型半導体電極を形成する。次いで、共役系導電性高分子とポリアニオンおよび/または電子吸引性官能基含有高分子とを溶媒中に分散または溶解するとともに必要に応じて繊維状導電体、無機系p型半導体を含有した溶液を調製する。その溶液をn型半導体電極の上に塗布し、溶媒を除去して塗膜(正孔輸送性高分子電解質膜)を成膜する。あるいは、n型半導体電極上に無機系p型半導体を含有した溶液を塗布した後、その上に、共役系導電性高分子とポリアニオンおよび/または電子吸引性官能基含有高分子とを含む溶液を塗布して、n型半導体電極と正孔輸送性高分子電解質膜との間にp型半導体層を形成してもよい。
そして、正孔輸送性高分子電解質膜の上に、蒸着法、スパッタ法、塗布法などにより電子伝導性電極を形成する。このようにして、図1に示すような、透明基板11と透明電極12とn型半導体電極13と正孔輸送性高分子電解質膜(電解質膜14)と電子伝導性電極15とを有する光電変換素子10を得る。
上記製造方法において、透明基板11は、光透過性が高いとともに透明電極12を保護できる機械的物性を有しているものであり、例えば、ガラス板や、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルフォン、ポリエステルスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリシクロオレフィンなどの透明性に優れた樹脂製シートなどが挙げられる。
透明基板の厚みは、20〜2000μmであることが好ましく、50〜500μmがより好ましい。また、光透過率は50%以上であることが好ましい。
透明電極12としては、酸化錫、錫をドープした酸化インジウム(ITO)やフッ素をドープした酸化インジウム(FTO)など周知の透明導電膜を用いることができる。
透明電極12の厚みは、0.01〜0.5μmであることが好ましく、その表面抵抗値は500Ω以下であることが好ましい。ここで、表面抵抗値は、JIS K 6911に準拠して測定した値である。
n型半導体電極13を構成するn型半導体化合物としては、例えば、チタン、錫、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、タンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマスの硫化物などが挙げられる。
色素は光増感作用を有するものであり、例えば、有機金属錯体色素、メチン色素、ポルフィリン系色素、フタロシアニン系色素などが挙げられる。この色素はn型半導体化合物上に層状に形成される。
n型半導体電極の厚みは、2〜50μmであることが好ましい。
n型半導体電極13の形成方法としては、n型半導体化合物を溶媒中に分散した分散液を、透明導電膜上に塗布あるいは印刷して塗膜を形成した後、その塗膜を、色素を含有する溶液に浸漬する方法が挙げられる。さらに、n型半導体化合物を溶媒中に分散した分散液の塗布方法としては、ドクターブレード法、ロールコート法、スプレーコート法、スピンコート法などが挙げられ、印刷方法としては、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法などが挙げられる。
正孔輸送性高分子電解質膜を形成する共役系導電性高分子としては、5員環内に二つ以上の元素で構成されている共役系複素5員環高分子が挙げられ、具体的には、ポリピロール類、ポリチオフェン類、及びこれらの共重合体等が挙げられる。
共役系導電性高分子は無置換のままでも良好な正孔輸送性が得られるが、他の有機樹脂成分等への添加、溶媒へ分散又は溶解に有効であることから、アルキル基、カルボキシル基、スルホン酸基、アルコキシル基、エステル基、ヒドロキシ基、シアノ基等の官能基を導入することがより好ましい。
具体的な例としては、ポリピロール、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−エチルピロール)、ポリ(3−n−プロピルピロール)、ポリ(3−ブチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−デシルピロール)、ポリ(3−ドデシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−カルボキシルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3−エトキシピロール)、ポリ(3−ブトキシピロール)、ポリ(3−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(チオフェン)、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−エチルチオフェン)、ポリ(3−プロピルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルチオフェン)、ポリ(3−ブロモチオフェン)、ポリ(3−クロロチオフェン)、ポリ(3−ヨードチオフェン)、ポリ(3−シアノチオフェン)、ポリ(3−フェニルチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4−ジブチルチオフェン)、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−ブトキシチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3−デシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヒドロキシチオフェン)、ポリ(3,4−メトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジエトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジプロポキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジブトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジオクチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−プロピレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ブテンジオキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−メトキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−エトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン)、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)等が挙げられる。
上記共役系導電性高分子は、重合可能な共役モノマから酸化剤または酸化重合触媒の存在下で化学酸化重合法によって得ることができる。モノマとしては、ピロール及びその誘導体、チオフェン及びその誘導体等を使用することができる。酸化剤としては、ぺルオキソ二硫酸アンモニウム、ぺルオキソ二硫酸ナトリウム、ぺルオキソ二硫酸カリウム等のぺルオキソ二硫酸塩、塩化第二鉄、塩化第二銅等の遷移金属化合物、酸化銀、酸化セシウム等の金属酸化物、過酸化水素、オゾン等の過酸化物、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物、酸素等が使用できる。
前記ポリアニオンとしては、前記共役系導電性高分子へドープを生じさせることのできるアニオン基を導入したものを用いることができる。このアニオン基としては、−O−SOX、−O−PO(OX)、−COOX、−SOX等の基(各式において、Xは水素原子またはアルカリ金属原子を示す。)が挙げられる。共役系導電性高分子へのドープ効果の点から、−SOX及び−O−SOXが好ましい(Xは上述と同様の意味を示す。)。
このポリアニオンとしては、アニオン系重合性モノマのみから構成される重合体であってもよいが、アニオン系重合性モノマと他の重合性モノマとの共重合が好ましい。
前記アニオン系重合性モノマとしては、重合可能なモノマの適切な部位に−O−SOX、−O−PO(OX)、−COOX、−SOX等のアニオン基(Xは上述と同様の意味を示す。)が置換してなるものを使用することができる。例えば、置換若しくは未置換のエチレンスルホン酸化合物、置換若しくは未置換のスチレンスルホン酸化合物、置換複素環スルホン酸化合物、置換アクリルアミドスルホン酸化合物、置換若しくは未置換のシクロビニレンスルホン酸化合物、置換若しくは未置換のブタジエンスルホン酸化合物、ビニル芳香族スルホン酸化合物を例示できる。
置換若しくは未置換のエチレンスルホン酸化合物の具体例としては、ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸塩、アリルスルホン酸、アリルスルホン酸塩、メタリルスルホン酸、メタリルスルホン酸塩、4−スルホブチルメタクリレート、4−スルホブチルメタクリレート塩、メタリルオキシベンゼンスルホン酸、メタリルオキシベンゼンスルホン酸塩、アリルオキシベンゼンスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸塩等を挙げることができる。
置換若しくは未置換のスチレンスルホン酸化合物の具体例としては、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸塩、α−メチルスチレンスルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸塩等を挙げることができる。
置換アクリルアミドスルホン酸化合物の具体例としては、アクリルアミド−t−ブチルスルホン酸、アクリルアミド−t−ブチルスルホン酸塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩等を挙げることができる。
置換若しくは未置換のシクロビニレンスルホン酸化合物の具体例としては、シクロブテン−3−スルホン酸、シクロブテン−3−スルホン酸塩等を挙げることができる。
置換若しくは未置換のブタジエンスルホン酸化合物の具体例としては、イソプレンスルホン酸、イソプレンスルホン酸塩、1,3−ブタジエン−1−スルホン酸、1,3−ブタジエン−1−スルホン酸塩、1−メチル−1,3−ブタジエン−2−スルホン酸、1−メチル−1,3−ブタジエン−3−スルホン酸塩、1−メチル−1,3−ブタジエン−4−スルホン酸、1−メチル−1,3−ブタジエン−4−スルホン酸塩等が挙げられる。
これらの中では、ビニルスルホン酸塩、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸塩、イソプレンスルホン酸、イソプレンスルホン酸塩等を好ましい例として示すことができ、イソプレンスルホン酸、イソプレンスルホン酸塩をより好ましい例として挙げることができる。
アニオン系重合性モノマと共重合する他の重合性モノマとしては、置換若しくは未置換のエチレン化合物、置換アクリル酸化合物、置換若しくは未置換のスチレン、置換若しくは未置換のビニルアミン、不飽和基含有複素環化合物、置換若しくは未置換のアクリルアミド化合物、置換若しくは未置換のシクロビニレン化合物、置換若しくは未置換のブタジエン化合物、置換若しくは未置換のビニル芳香族化合物、置換若しくは未置換のジビニルベンゼン化合物、置換ビニルフェノール化合物、任意の置換シリルスチレン、任意の置換フェノール化合物等が挙げられる。
具体的には、エチレン、プロぺン、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、スチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−ブチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、p−メトキシスチレン、2−ビニルナフタレン、6−メチル−2−ビニルナフタレン、1−ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、ビニルアセテート、アクリルアルデヒド、アクリロニトリル、N−ビニル−2−ピロリドン、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニルブチル、アクリル酸アリル、メタクリ酸エチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸エステル、アクリロイルモルホリン、ビニルアミン、N,N−ジメチルビニルアミン、N,N−ジエチルビニルアミン、N,N−ジブチルビニルアミン、N,N−ジ−t−ブチルビニルアミン、N,N−ジフェニルビニルアミン、N−ビニルカルバゾール、ビニルアルコール、塩化ビニル、フッ化ビニル、ビニルエーテル、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、2−メチルシクロヘキセン、ビニルフェノール、1,3−ブタジエン、1−メチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,4−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,2−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1−オクチル−1,3−ブタジエン、2−オクチル−1,3−ブタジエン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1−ヒドロキシ−1,3−ブタジエン、2−ヒドロキシ−1,3−ブタジエン、アクリル酸アリル、アクリルアミドアリル、ジビニルエーテル、o−ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン、p−ジビニルベンゼン等を例示できる。これらの中で好適なものとして、1−ブテン、ビニルフェノール、アクリル酸ブチル、N−ビニル−2−ピロリドン、1,3−ブタジエン等を例示できる。
上記ポリアニオンは、上記アニオン系重合性モノマあるいは更に上記他の重合性モノマと、酸化剤及び/又は酸化重合触媒の存在下で化学酸化重合法によって得ることができる。
酸化剤としては、ぺルオキソ二硫酸アンモニウム、ぺルオキソ二硫酸ナトリウム、ぺルオキソ二硫酸カリウム等のぺルオキソ二硫酸塩、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、塩化第二銅等の遷移金属化合物、酸化銀、酸化セシウム等の金属酸化物、過酸化水素、オゾン等の過酸化物、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物、酸素等が使用できる。
上述のポリアニオンの中では、ポリイソプレンスルホン酸、イソプレンスルホン酸の共重合体、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸の共重合体が好ましい。
前記電子吸引性官能基含有高分子としては、シアノ基、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン、カルボニル基、ヒドロキシル基等の電子吸引性官能基が高分子中に導入されていれば、どのような高分子も使用できる。特に、電子吸引性及び溶媒溶解特性の点から、電子吸引性官能基としてはシアノ基、フッ素、カルボニル基が好ましい。好ましい電子吸引性官能基含有高分子の具体例としては、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリバラバン酸等が挙げられる。
共役系導電性高分子を分散または溶解する溶媒としては、共役系導電性高分子を溶解または分散しうる溶媒であればよく、例えば、水、N−メチル−2−ピロリドン、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチレンホスホルトリアミド等の極性溶媒、クレゾール、フェノール、キシレノール等のフェノール類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類、ギ酸、酢酸等のカルボン酸、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物、ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル化合物、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテルなどの鎖状エーテル類、3−メチル−2−オキサゾリジノンなどの複素環化合物、アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル化合物等が挙げられる。これらの溶媒は、必要に応じて、単独で、2種以上の混合物、又は他の有機溶媒との混合物を用いることができる。
正孔輸送性高分子電解質膜には繊維状導電体を含有させることができる。繊維状導電体を含有させれば、導電性が高くなって光電変換効率が向上する。繊維状導電体としては、繊維状電気伝導体であれば使用でき、例えば、炭素系繊維材料、金属系繊維状材料、金属酸化物系繊維状材料を使用することができる。
炭素系繊維材料としては、例えば、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、ガラス状カーボン、カーボンナノチューブ、及び表面処理を施したこれらの炭素繊維等を挙げることができる。
金属系繊維状材料としては、例えば、金、銀、ニッケル、白金等から製造された繊維状金属、繊維状金属合金、繊維状金属複合体、及び表面処理を施したこれらの金属繊維等を挙げることができる。
金属酸化物系繊維状材料としては、例えば、InO、InOSn、SnO、ZnO、SnO−Sb、SnO−V、TiO(Sn/Sb)O、SiO(Sn/Sb)O、KO−nTiO−(Sn/Sb)O、KO−nTiO−C等から製造された金属酸化物繊維、金属酸化物複合繊維、及び表面処理を施したこれらの金属酸化物繊維、表面処理を施したこれらの金属被覆繊維等を挙げることができる。
これらの中でも、腐食しにくい炭素系繊維材料、金属酸化物系繊維状材料、または表面処理材料等がより好ましい。
繊維状導電体の繊維径(短径)は1μm以下、繊維長(長径)は1μm〜100μm(ただし、繊維長/2≧繊維径)であることが好ましい。
また、繊維状導電体はスルホン酸基を有する材料であることが好ましい。スルホン酸基を有する材料としては、スルホン酸基が導入されている炭素繊維材料、表面処理層にスルホン酸が導入されている金属系繊維材料または金属酸化物系繊維状材料などが挙げられる。
繊維状導電体がスルホン酸基を有する材料であれば、繊維状導電体表面のスルホン酸基がバイポーラロン状態の共役系導電性高分子との相互作用が生じ、より低抵抗の導電性複合体が得られる。
前記共役系導電性高分子には、導電性をより高めることから、ドーパントがドープされていることが好ましい。ドーパントとしては、ハロゲン化合物、ルイス酸、プロトン酸、有機シアノ化合物、有機金属化合物等を使用することができる。
ハロゲン化合物としては、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、塩化ヨウ素(ICl)、臭化ヨウ素(IBr)、フッ化ヨウ素(IF)等が挙げられる。
ルイス酸としては、PF、AsF、SbF、BF、BCl、BBr、SO等が挙げられる。
プロトン酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウフッ化水素酸、フッ化水素酸、過塩素酸等の無機酸と、有機カルボン酸、スルホン酸等の有機酸が挙げられる。
有機カルボン酸としては、脂肪族、芳香族、環状脂肪族等にカルボニル基が一つまたは一つ以上を含むものが使用できる。例えば、ギ酸、酢酸、シュウ酸、安息香酸、フタル酸、マレイン酸、フマル酸、マロン酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ニトロ酢酸、トリフェニル酢酸等が挙げられる。
有機スルホン酸としては、脂肪族、芳香族、環状脂肪族等にスルホン酸基が一つまたは一つ以上を含むものおよびスルホン酸基を含む高分子を使用できる。スルホン酸基を一つ含むものとしては、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1−プロパンスルホン酸、1−ブタンスルホン酸、1−ヘキサンスルホン酸、1−へプタンスルホン酸、1−オクタンスルホン酸、1−ノナンスルホン酸、1−デカンスルホン酸、1−ドデカンスルホン酸、1−テトラデカンスルホン酸、1−ペンタデカンスルホン酸、2−ブロモエタンスルホン酸、3−クロロ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロエタンスルホン酸、コリスチンメタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アミノメタンスルホン酸、1−アミノ−2−ナフトール−4−スルホン酸、2−アミノ−5−ナフトール−7−スルホン酸、3−アミノプロパンスルホン酸、N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、プロピルベンゼンスルホン酸、ブチルベンゼンスルホン酸、ペンチルベンゼンスルホン酸、ヘキチルベンゼンスルホン酸、へプチルベンゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、ノニルベンゼンスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ウンデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ペンタデシルベンゼンスルホン酸、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸、2,4−ジメチルベンゼンスルホン酸、ジプロピルベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、o−アミノベンゼンスルホン酸、m−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノ−2−クロロトルエン−5−スルホン酸、4−アミノ−3−メチルベンゼン−1−スルホン酸、4−アミノ−5−メトキシ−2−メチルベンゼンスルホン酸、2−アミノ−5−メチルベンゼン−1−スルホン酸、4−アミノ−2−メチルベンゼン−1−スルホン酸、5−アミノ−2−メチルベンゼン−1−スルホン酸、4−アミノ−3−メチルベンゼン−1−スルホン酸、4−アセトアミド−3−クロロベンゼンスルホン酸、4−クロロ−3−ニトロベンゼンスルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、メチルナフタレンスルホン酸、プロピルナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸、ペンチルナフタレンスルホン酸、4−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸、8−クロロナフタレン−1−スルホン酸等が挙げられる。
スルホン酸基を一つ以上含むものとして、例えば、エタンジスルホン酸、ブタンジスルホン酸、ペンタンジスルホン酸、デカンジスルホン酸、o−ベンゼンジスルホン酸、m−ベンゼンジスルホン酸、p−ベンゼンジスルホン酸、トルエンジスルホン酸、キシレンジスルホン酸、クロロベンゼンジスルホン酸、フルオロベンゼンジスルホン酸、ジメチルベンゼンジスルホン酸、ジエチルベンゼンジスルホン酸、アニリン−2,4−ジスルホン酸、アニリン−2,5−ジスルホン酸、3,4−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、メチルナフタレンジスルホン酸、エチルナフタレンジスルホン酸、ペンタデシルナフタレンジスルホン酸、3−アミノ−5−ヒドロキシ−2,7−ナフタレンジスルホン酸、1−アセトアミド−8−ヒドロキシ−3,6−ナフタレンジスルホン酸、2−アミノ−1,4−ベンゼンジスルホン酸、1−アミノ−3,8−ナフタレンジスルホン酸、3−アミノ−1,5−ナフタレンジスルホン酸、4−アセトアミド−4’−イソチオ−シアノトスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、4−アセトアミド−4’−イソチオシアナトスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、4−アセトアミド−4’−マレイミジルスチルベン−2,2’−ジスルホン酸等が挙げられる。
スルホン酸基を有する高分子として、側鎖にアニオン基を有する高分子であれば使用できる。主鎖としては、例えば、メチレンの繰り返しで構成されているポリアルキレン、主鎖にビニル基が1個含まれる構成単位からなるポリアルケニレン等が挙げられる。具体的な例としては、ポリビニルスルホン酸、ポリメタリルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリアクリルアミド−t−ブチルスルホン酸、ポリメタリルオキシベンゼンスルホン酸等が挙げられる。
また、正孔輸送性高分子電解質膜には無機系p型半導体を含有させることができる。無機系p型半導体を含有させれば、光電変換効率がより高くなる。無機系p型半導体としては、色素の酸化電位よりも0.1〜0.9V小さい酸化還元電位を示し、安定した可逆的な酸化還元対で構成され、電荷を十分な速度で電極間を輸送できる物質が望ましい。
さらに、可逆的な酸化還元対としては、I/I 対などのハロゲン分子とハロゲン化合物で構成されたものが好ましい。このような可逆的な酸化還元対においては、Iのような還元種が、酸化された色素から正孔を受け取ってI のような酸化種になり、この酸化種が正孔輸送性高分子電解質膜内を移動して電子伝導性電極15へ正孔を輸送することができる。
上記ハロゲン分子としては、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
また、ハロゲン化合物としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属等の金属ハロゲン化物、ハロゲン化4級アンモニウム化合物、ハロゲン化溶融塩等が挙げられる。
具体的には、金属ハロゲン化物としては、LiI、NaI、KI、CsI、CaI2、MgI2、AlI3、PbI、SnI、SnI、GeI、GaI、TiI、NiI、CoI ZnI2、MgI2、CuI、RuI,PtI、MnI、OsCl、IrBr、RhI、PdI、GaI4、FeI、CaCl2、ZnCl2、MgCl2、BCl3、PCl3、LiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr、ScBr3、SiI4、TiBr4などが挙げられる。
ハロゲン化4級アンモニウム化合物としては、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラヘキシルアンモニウム塩、トリメチルエチルアンモニウム塩、トリメチルフェニルアンモニウム塩、トリエチルフェニルアンモニウム塩、トリメチルベンジルアンモニウム塩、トリメチルオクチルアンモニウム塩、アセチルコリン塩、ベンゾイルコリン塩等のハロゲン化合物が挙げられる。
ハロゲン化溶融塩としては、ピリジニウム、イミダゾリウム等のハロゲン化合物が挙げられる。例えば、ピリジニウムのハロゲン化合物としては、1−アセトニルピリジニウムクロライド、1−アミノピリジニウムアイオダイド、4−ブロモピリジンハイドロブロマイド、4−ブロモピリジンハイドロクロライド、1−n−ブチルピリジンブロマイド、エチルピリジニウムブロマイド、エチルピリジニウムクロライド、クロロメチルピリジンハイドロクロライド、2−クロロ−メチルピリジニウムアイオダイド、ヘキサデシルピリジニウムブロマイド、ヘキサデシルピリジニウムクロライド、1,1’−ジメチル−4,4’−ビピリジニウムジクロライドなどが挙げられる。
イミダゾリウムのハロゲン化合物としては、1,1−ジメチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−ペンチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−イソペンチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−ヘキシルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−イソヘキシル(分岐)イミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムアイオダイド、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾールアイオダイド、1−エチル−3−イソプロピルイミダゾリウムアイオダイド、1−プロピル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、ピロリジニウムアイオダイドが挙げられる。
正孔輸送性高分子電解質膜は、上述した共役系導電性高分子とポリアニオンおよび/または電子吸引性官能基含有高分子とを含む溶液の塗布によって形成されたものであるから、正孔輸送性高分子電解質膜には、共役系導電性高分子とポリアニオンおよび/または電子吸引性官能基含有高分子とが含まれる。
また、正孔輸送性高分子電解質膜の厚みは、0.1〜100μmであることが好ましい。
必要に応じて、正孔輸送性高分子電解質膜とn型半導体電極との間に前記無機p型半導体層を介在させてもよい。
電子伝導性電極15は、白金、金、銀、銅、合金、炭素材料などの電子伝導性の高い材料からなる電極である。
電子伝導性電極15の厚みは、0.05μm〜100μmであることが好ましい。
上記製造方法で得られた図1に示す光電変換素子10では、透明基板11に照射された光がn型半導体電極13に達し、その光エネルギーによってn型半導体電極13にて正孔を発生させる。n型半導体電極13にて発生した正孔は、電解質膜14である正孔輸送性高分子電解質膜で輸送されて電子伝導性電極15に達する。その結果、透明電極12と電子伝導性電極15との間に起電力が生じて発電することができる。
以上説明した実施形態例では、共役系導電性高分子にポリアニオンおよび/または電子吸引性官能基含有高分子とを添加し、共役系導電性高分子を溶媒に可溶化させ、その溶液をn型半導体電極上に塗布して正孔輸送性高分子電解質膜を形成する。塗布による膜の形成は簡便で大量生産に適しているから、光電変換素子を大量生産できる。また、共役系導電性高分子が溶媒に可溶化しているので、正孔輸送性高分子電解質膜を均一に形成することができる。
以下、本発明の実施例を具体的に示すが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(正孔輸送性高分子電解質溶液Iの調製)
1.02gのピロールと、2.37gのポリイソプレンスルホン酸とを300mlの蒸留水に溶かし、この溶液を0℃に保ち、かき混ぜながら40mlの蒸留水に溶かした3.4gの過硫酸アンモニウムと0.6gの硫酸第二鉄の溶液をゆっくり加え、3時間攪拌した。
得られた反応溶液に400mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて硫酸鉄と硫酸アンモニウムイオンを除去した後、加熱しながら減圧濃縮し、固形分が10質量%の導電性高分子溶液を調製し、等質量のアセトニトリルを添加して5質量%の正孔輸送性高分子電解質溶液Iを調製した。
(正孔輸送性高分子電解質溶液IIの調製)
上記の正孔輸送性高分子電解質溶液I20gに、9.5gのアセトニトリルに溶解した0.475gのテトラプロピルアンモニウムヨーダイドと0.025gのヨウ素を添加し、よくかき混ぜて、5質量%の正孔輸送性高分子電解質溶液IIを調製した。
(正孔輸送性高分子電解質溶液IIIの調製)
上記の正孔輸送性高分子電解質溶液I20gに、15gのアセトニトリルに溶解した0.475gのテトラプロピルアンモニウムアイオダイドと0.025gのヨウ素を添加し、よくかき混ぜた後、0.2gのスルホン酸置換カーボンナノチューブを添加し、さらにかき混ぜて、4.8質量%の正孔輸送性高分子電解質溶液IIIを調製した。
(実施例1)
二酸化チタン層の形成:市販の超微粒子酸化チタン水溶液(商品名:PASOL−HPA−15R、触媒化成工業株式会社)を、透明なフッ素ドープSnOガラス基板にドクターブレード法で塗布し、100℃の雰囲気下で60分間予備乾燥した後、450℃の雰囲気下で90分間焼成した。さらに、焼成膜上に上記の塗布、予備乾燥、焼成を行い、膜厚13〜15μmの二酸化チタン多孔質層を作製した。
色素層の形成:下記式(1)に示す構造の増感色素(ルテニウム有機錯体、小島化学薬品株式会社)のエタノール中の濃度が3×10−4mol/lである色素溶液に、上記二酸化チタン多孔質層を60℃で5時間浸漬して色素層を形成した。
正孔輸送性高分子電解質層の作製:上記色素層が形成された二酸化チタン基板上に上記正孔輸送性高分子電解質溶液Iをドクターブレード法で塗布し、真空乾燥して正孔輸送性高分子電解質層を形成して光電変換素子Iを得た。
Figure 0004619660
(実施例2)
正孔輸送性高分子電解質溶液Iの代わりに正孔輸送性高分子電解質溶液IIを用いたこと以外は実施例1と同様にして光電変換素子IIを得た。
(実施例3)
正孔輸送性高分子電解質溶液Iの代わりに正孔輸送性高分子電解質溶液IIIを用いたこと以外は実施例1と同様にして光電変換素子IIを得た。
実施例1〜3の光電変換素子に対して、照射強度が100mW/cmの光を照射して、開放電圧(Voc)、短絡電流(Isc)および光電変換効率を測定したところ、いずれの光電変換素子も高い光電変換効率を示した。その結果を表1に示す。
Figure 0004619660
色素増感型光電変換素子の一例の断面図である。
符号の説明
10 光電変換素子(色素増感型光電変換素子)
13 n型半導体電極
14 電解質膜(正孔輸送性高分子電解質膜)
15 電子伝導性電極

Claims (4)

  1. 表面に色素が吸着されたn型半導体電極と電子伝導性電極との間に、正孔輸送性高分子電解質膜が介在した積層構成を具備した光電変換素子において、
    前記正孔輸送性高分子電解質膜は、共役系導電性高分子と、ポリアニオンおよび/または電子吸引性官能基含有高分子と、スルホン酸基を有する繊維状導電体とを含有することを特徴とする光電変換素子。
  2. 前記正孔輸送性高分子電解質膜は無機系p型半導体を含有することを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記正孔輸送性高分子電解質膜は、n型半導体電極上に塗布された塗膜であることを特徴とする請求項1または2に記載の光電変換素子。
  4. 共役系導電性高分子と、ポリアニオンおよび/または電子吸引性官能基含有高分子と、スルホン酸基を有する繊維状導電体とを溶媒中に分散または溶解した溶液をn型半導体上に塗布し、溶媒を除去して塗膜を成膜した後に、該塗膜上に、電子伝導性電極を形成する工程を有することを特徴とする光電変換素子の製造方法。
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