JP5700044B2 - 有機光電変換素子およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機光電変換素子に関し、さらに詳しくは、バルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子に関し、更に詳しくは、有機太陽電池に用いることのできる有機光電変換素子およびその製造方法に関する。
有機太陽電池(有機光電変換素子)は、透明電極上にp型半導体とn型半導体を含む発電層と、発生した電荷を電極まで輸送する電荷輸送層とを有し、光吸収によって形成した励起子を失活する前に効率よく電荷分離し、発生した電荷を電極まで取り出せる構成であることが特徴である。
発電層および電荷輸送層は、光の吸収効率と層自体の電荷輸送抵抗を考慮し最適な膜厚を設計する必要がある。特に透明電極と対極の金属電極間の光干渉を活用することは重要で、光の電界強度分布が発電層に最適化されるように膜厚を設計する必要がある。有機太陽電池の透明電極はITO(スズドープ酸化インジウム)が一般的に用いられ、屈折率が高いことから、対極で反射した光が発電層側に反射し戻される。光の電界強度を最適に設計することで発電層の見かけの光路長を稼ぎ、薄膜であってもより高い光吸収効率を得ることができる。
しかしながら、光が電極間を往復する間、発電に寄与しない電荷輸送層などでの光吸収によって、光ロスが発生することが課題となる。光ロスを低減させるために、電荷輸送層を薄く設計すると、上述した電界強度分布が発電層から大きくずれたり、層が薄すぎるために電極と発電層との間にリーク発生したりすることがあり、安定した発電効率が得られないといった課題があった。
また、上述の金属電極は一般的に、蒸着法やスパッタ法、または印刷法などにより形成されるが、その際に蒸発した金属クラスターや、印刷機の版などとコンタクトする際に、電荷輸送層の一部を破壊し、電極と発電層、または電極間でリーク発生の要因となることも課題となっていた。この様な課題に対し、電荷輸送層の膜厚を厚くし過ぎると、上述したような光学ロスが増大するばかりか、厚膜化による抵抗増が性能を低下させる要因となり、技術的なトレードオフとなっていた。
この様な課題に対し、例えば、発電層と電極間に電荷輸送性のオプティカルスペーサー層を設けることで、発電層の光電界強度を増大し、積極的に光学的効果を高める方法(例えば、特許文献1参照)や、ヒドロキシル類を有する剤を若干量添加することで、電荷輸送層自体の抵抗を低減させ、厚膜化による抵抗増を低減させる方法(例えば、特許文献2参照)、対極の金属電極をグロー放電法で作製することで、電荷輸送層へのダメージを低減する方法(例えば、特許文献3参照)、予め同じ基板上に作製した陽極および陰極上に、後から有機電荷輸送層を積層する方法(例えば、特許文献4参照)などが紹介されている。
しかし、この上述した何れの解決策においても、膜抵抗を極端に低下させることなく、電荷輸送層の光ロス低減と、電極形成時のダメージ低減とを両立できておらず、十分な性能が得られていなかった。
特表2008−533745号公報 特表2010−508430号公報 特開平9−92863号公報 特開2004−152786号公報
本発明の目的は、電荷輸送層の光学ロスを低減し短絡電流密度(Jsc)を向上させると共に、対極形成時の電荷輸送層ダメージを低減し、リーク抑制効果によってフィルファクター(FF)に優れた有機光電変換素子およびその製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
1.第1の電極と第2の電極との間に、p型半導体材料とn型半導体材料とを含む発電層と、正孔または電子のどちらかを主に輸送する電荷輸送層とを少なくとも有する有機光電変換素子において、
該電荷輸送層が、ポリアニオンと、下記3つの単位構造から選ばれる少なくとも1種を有するポリマー(A)とを少なくとも含み、かつ、ナノインデンテーション法で測定した当該電荷輸送層の弾性率が、4GPa以上、10GPa以下であり、
前記電荷輸送層における、前記ポリマー(A)の固形分比率が、10〜90質量%である
ことを特徴とする有機光電変換素子。
(式中、Xは水素原子又はメチル基を表し、R〜Rはそれぞれ独立に炭素数1〜5の直鎖または分岐アルキレン基を表す。l、m、及びnは、当該ポリマー(A)を構成する全モノマーのモル数の合計を100としたときのそれぞれの構成率(モル%)を表し、50≦l+m+n≦100である。)
2.前記電荷輸送層が、前記ポリマー(A)と、π共役系高分子と前記ポリアニオンとを少なくとも含むことを特徴とする前記1記載の有機光電変換素子。
3.前記電荷輸送層における、前記ポリマー(A)の固形分比率が15〜70質量%であることを特徴とする前記1又は2記載の有機光電変換素子。
4.前記電荷輸送層が、ナノインデンテーション法で測定した弾性率が、5GPa以上、8GPa以下であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項記載の有機光電変換素子。
5.前記1〜4のいずれか1項記載の有機光電変換素子が、前記電荷輸送層を形成後、前記ポリマー(A)と前記ポリアニオンとの加熱処理を含んで製造され
当該加熱処理が、
100〜200℃の範囲内の温度で、5分以上加熱する処理、
80〜150℃の範囲内の温度で、2〜120分の範囲内加熱する処理又は、
40〜100℃の範囲内の温度で、10〜200時間の範囲内加熱する処理
のいずれかの加熱処理であることを特徴とする有機光電変換素子の製造方法。
本発明により、優れた短絡電流密度とフィルファクターを達成し、複次的には高温・高湿時の耐久性に優れた有機光電変換素子およびその製造方法を提供することができた。
本発明の光電変換素子を例示した図である。
本発明者らは、鋭意検討の結果、第1の電極と第2の電極との間に、p型半導体材料とn型半導体材料とを含む発電層と、正孔または電子のどちらかを主に輸送する電荷輸送層とを少なくとも有する有機光電変換素子において、前記電荷輸送層が前記ポリマー(A)を含むことを特徴とする有機光電変換素子を提供することで、上述した課題に対して優れた解決策となることを見出した。
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(有機光電変換素子および太陽電池の構成)
本発明の有機光電変換素子は、第1の電極と第2の電極と、両者に挟まれた発電層(p型半導体とn型半導体が混合された層であり、バルクヘテロジャンクション層、またはBHJ層、i層とも言う)が少なくとも1層以上あり、光を照射すると電流を発生する素子である。
本発明に係る有機光電変換素子の好ましい形態について図1を用いて説明するが、これに限定されるものではない。
図1は本発明の好ましい光電変換素子の断面構造を模式的に示した図である。
図1において、光電変換素子10は図示しない基板上に、第1の電極101、正孔阻止層(または電子輸送層)102、発電層103、(p型半導体材料103aとn型半導体材料103bとのバルクヘテロジャンクション構造)電子阻止層(または正孔輸送層)104、第2の電極105を積層した構造を示している。
有機光電変換素子は、前述した第1の電極101または第2の電極105の少なくともどちらかが透明電極であるが、本発明においては、どちらが透明でも、両方とも透明でも効果を得ることができる。また、後から形成する電極側と接触する電荷輸送層(電子輸送層、または正孔輸送層の少なくともどちらか)に前記ポリマー(A)を含むことを特徴としている。
更に本発明においては、前記電荷輸送層が、前記ポリマー(A)と、π共役系高分子とポリアニオンとを少なくとも含むことがより好ましい。
[ポリマー(A)]
本発明の光電変換素子は、第1の電極と第2の電極との間に、電荷輸送層を少なくとも有することを特徴とし、更には、該電荷輸送層に前記ポリマー(A)を含むことを特徴とする。
本発明においては、前記電荷輸送層にポリマー(A)を含むことで、膜の導電性を低下させずに透過率を向上させることが可能となり、膜をより厚膜化しても性能を低下させず電極形成に対するダメージを抑制可能となり、好ましい実施形態である。
本発明で好ましく用いられるポリマー(A)の具体例としては、ポリマー(A)において、Xは水素原子又はメチル基を表し、R〜Rはそれぞれ独立に炭素数1〜5の直鎖または分岐アルキレン基を表す。l、m、及びnは、当該ポリマー(A)を構成する全モノマーのモル数の合計を100としたときのそれぞれの構成率(モル%)を表し、50≦l+m+n≦100とすることが好ましい。構成比は70≦m≦100の範囲内であることが更に好ましい。
本発明において、ポリマー(A)と併用して、水系溶媒(後述)に溶解、あるいは、分散できるポリマーで、親水性のポリマーバインダーを用いることが好ましい。例えば、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂等を挙げることができる。具体的な化合物としては、例えば、ポリエステル系樹脂としてバイロナールMD1200、MD1400、MD1480(以上、東洋紡社製)を挙げることができる。
本発明に係る親水性のポリマーバインダーとしては、後述する架橋剤と反応する基を有する化合物であれば、より強固な膜を形成することから、より好ましい。こうした親水性のポリマーバインダーとしては、架橋剤と反応する基としては架橋剤によって異なるが、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基等を挙げることができる。中でも、側鎖にヒドロキシ基を有することが最も好ましい。
本発明に係る親水性のポリマーバインダーの具体的な化合物としては、ポリビニルアルコールPVA−203、PVA−224、PVA−420(以上、クレハ社製)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース60SH−06、60SH−50、60SH−4000、90SH−100(以上、信越化学工業社製)、メチルセルロースSM−100(信越化学工業社製)、酢酸セルロースL−20、L−40、L−70(以上、ダイセル化学工業社製)、カルボキシメチルセルロースCMC−1160(ダイセル化学工業社製)、ヒドロキシエチルセルロースSP−200、SP−600(以上、ダイセル化学工業社製)、アクリル酸アルキル共重合体ジュリマーAT−210、AT−510(以上、東亞合成社製)、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート等を挙げることができる。
上記ポリマー(A)を一定量含む場合、π共役系高分子とポリアニオンを含有する電荷輸送層の導電性を向上させることが可能で、さらに、π共役系高分子との相溶性も良好で高い透明性と平滑性が達成できる。さらに、ポリアニオンがスルホ基を有する場合は、上記ポリマー(A)であれば、スルホ基が効果的に脱水触媒として働き、架橋剤等の追加の剤を利用しなくても、緻密な架橋層を形成でき、膜強度の向上が期待できることからより好ましい実施形態である。
ポリマー(A)の主たる共重合成分は、前記ポリマー(A)が含有する、3つの単位構造であり、共重合成分の50mol%以上の成分が該3つの単位構造のいずれか、あるいは、該3つの単位構造の合計が50mol%以上ある共重合ポリマーである。ポリマー(A)は該3つの単位構造の合計が80mol%以上であることがより好ましく、さらに、該3つの単位構造いずれか単独のモノマーから形成されたホモポリマーであってもよく、また、好ましい実施形態である。
ポリマー(A)においては、水系溶媒に可溶である範囲において、他のモノマー成分が共重合されていてもかまわないが、親水性の高いモノマー成分であることがより好ましい。また、ポリマー(A)は数平均分子量において、1000以下の含有量が0〜5%以下であることが好ましい。
このポリマー(A)の数平均分子量において、1000以下の含有量が0〜5%以下とする方法としては、再沈殿法、分取GPC、リビング重合による単分散のポリマーを合成等により、低分子量成分を除去する、または低分子量成分の生成を抑制する方法を用いることができる。再沈殿法は、ポリマーが溶解可能な溶媒へ溶解し、ポリマーを溶解した溶媒より溶解性の低い溶媒中へ滴下することにより、ポリマーを析出させ、モノマー、触媒、オリゴマー等の低分子量成分を除去する方法である。また、分取GPCは、例えばリサイクル分取GPCLC−9100(日本分析工業社製)、ポリスチレンゲルカラムで、ポリマーを溶解した溶液をカラムに通すことにより分子量で分けることができ、所望の低分子量をカットすることができる方法である。リビング重合は、開始種の生成が経時で変化せず、また停止反応等の副反応が少なく、分子量の揃ったポリマーが得られる。分子量はモノマーの添加量により調整できるため、例えば分子量を2万のポリマーを合成すれば、低分子量体の生成を抑制することができる。生産適正から、再沈殿法、リビング重合が好ましい。
本発明のポリマー(A)または親水性のポリマーバインダーの数平均分子量、重量平均分子量の測定は、一般的に知られているゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により行うことができる。分子量分布は(重量平均分子量/数平均分子量)の比で表すことができる。使用する溶媒は、ポリマー(A)または親水性のポリマーバインダーが溶解すれば特に制限はなく、THF、DMF、CHClが好ましく、より好ましくはTHF、DMFであり、さらに好ましくはDMFである。また、測定温度も特に制限はないが40℃が好ましい。
本発明に係るポリマー(A)の分子量は数平均分子量で3,000〜2,000,000の範囲が好ましく、より好ましくは4,000〜500,000、さらに好ましくは5000〜100000の範囲内である。ポリマー(A)の分子量分布は1.01〜1.30が好ましく、より好ましくは1.01〜1.25である。
数平均分子量1000以下の含有量はGPCにより得られた分布において、数平均分子量1000以下の面積を積算し、分布全体の面積で割ることで割合を換算した。
リビングラジカル重合溶剤は、反応条件化で不活性であり、モノマー、生成するポリマーを溶解できれば特に制限はないが、アルコール系溶媒と水の混合溶媒が好ましい。リビングラジカル重合温度は、使用する開始剤によって異なるが、一般に−10〜250℃、好ましくは0〜200℃、より好ましくは10〜100℃で実施される。
本発明に係るポリマー(A)の存在比は、前記電荷輸送層中に固形分比率が10質量%〜90質量%であることが好ましい。更に好ましくは20質量%〜80質量%である。10質量%以上あれば、導電性を著しく低下させることなく透過率向上に効果が得られ、90質量%以下であれば十分な導電性を保つことができ本発明において好ましい存在比である。
[π共役系高分子]
本発明で好ましく用いられるπ共役系高分子としては、特に限定されないが、所謂導電性高分子であることが好ましい。更には、π共役系高分子とポリアニオンとを有してなることがより好ましい。こうした高分子は、後述するπ共役系高分子を形成する前駆体モノマーを、適切な酸化剤と酸化触媒と後述のポリアニオンの存在下で化学酸化重合することによって容易に製造できる。
本発明に用いることができるπ共役系高分子としては、ポリチオフェン(基本のポリチオフェンを含む、以下同様)類、ポリピロール類、ポリインドール類、ポリカルバゾール類、ポリアニリン類、ポリアセチレン類、ポリフラン類、ポリパラフェニレンビニレン類、ポリアズレン類、ポリパラフェニレン類、ポリパラフェニレンサルファイド類、ポリイソチアナフテン類、ポリチアジル類、等の鎖状導電性ポリマーを利用することができる。中でも、導電性、透明性、安定性等の観点からポリチオフェン類やポリアニリン類が好ましい。更にはポリエチレンジオキシチオフェン類であることが好ましい。
本発明のπ共役系高分子を形成する前駆体モノマーは、分子内にπ共役系を有し、適切な酸化剤の作用によって高分子化した際にも、その主鎖にπ共役系が形成されるものを好ましく用いることができる。例えば、ピロール類及びその誘導体、チオフェン類及びその誘導体、アニリン類及びその誘導体等が挙げられる。
前駆体モノマーの具体例としては、ピロール、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−n−プロピルピロール、3−ブチルピロール、3−オクチルピロール、3−デシルピロール、3−ドデシルピロール、3,4−ジメチルピロール、3,4−ジブチルピロール、3−カルボキシルピロール、3−メチル−4−カルボキシルピロール、3−メチル−4−カルボキシエチルピロール、3−メチル−4−カルボキシブチルピロール、3−ヒドロキシピロール、3−メトキシピロール、3−エトキシピロール、3−ブトキシピロール、3−ヘキシルオキシピロール、3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール、チオフェン、3−メチルチオフェン、3−エチルチオフェン、3−プロピルチオフェン、3−ブチルチオフェン、3−ヘキシルチオフェン、3−ヘプチルチオフェン、3−オクチルチオフェン、3−デシルチオフェン、3−ドデシルチオフェン、3−オクタデシルチオフェン、3−ブロモチオフェン、3−クロロチオフェン、3−ヨードチオフェン、3−シアノチオフェン、3−フェニルチオフェン、3,4−ジメチルチオフェン、3,4−ジブチルチオフェン、3−ヒドロキシチオフェン、3−メトキシチオフェン、3−エトキシチオフェン、3−ブトキシチオフェン、3−ヘキシルオキシチオフェン、3−ヘプチルオキシチオフェン、3−オクチルオキシチオフェン、3−デシルオキシチオフェン、3−ドデシルオキシチオフェン、3−オクタデシルオキシチオフェン、3,4−ジヒドロキシチオフェン、3,4−ジメトキシチオフェン、3,4−ジエトキシチオフェン、3,4−ジプロポキシチオフェン、3,4−ジブトキシチオフェン、3,4−ジヘキシルオキシチオフェン、3,4−ジヘプチルオキシチオフェン、3,4−ジオクチルオキシチオフェン、3,4−ジデシルオキシチオフェン、3,4−ジドデシルオキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3,4−プロピレンジオキシチオフェン、3,4−ブテンジオキシチオフェン、3−メチル−4−メトキシチオフェン、3−メチル−4−エトキシチオフェン、3−カルボキシチオフェン、3−メチル−4−カルボキシチオフェン、3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン、3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン、アニリン、2−メチルアニリン、3−イソブチルアニリン、2−アニリンスルホン酸、3−アニリンスルホン酸等が挙げられる。
[ポリアニオン]
本発明で好ましく用いられるポリアニオンは特に限定されないが、アニオン性基として、スルホ基を有することがより好ましい。
具体的なポリアニオンの例としては、置換若しくは未置換のポリアルキレン、置換若しくは未置換のポリアルケニレン、置換若しくは未置換のポリイミド、置換若しくは未置換のポリアミド、置換若しくは未置換のポリエステル及びこれらの共重合体であって、アニオン基を有する構成単位とアニオン基を有さない構成単位とからなるものが好ましい。
このポリアニオンは、π共役系導電性高分子を溶媒に可溶化させる可溶化高分子である。また、ポリアニオンのアニオン基は、π共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能して、π共役系導電性高分子の導電性と耐熱性を向上させる。
ポリアニオンのアニオン基としては、π共役系導電性高分子への化学酸化ドープが起こりうる官能基であればよいが、中でも、製造の容易さ及び安定性の観点からは、一置換硫酸エステル基、一置換リン酸エステル基、リン酸基、カルボキシ基、スルホ基等が好ましい。さらに、官能基のπ共役系導電性高分子へのドープ効果の観点より、スルホ基、一置換硫酸エステル基、カルボキシ基がより好ましい。
ポリアニオンの具体例としては、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等が挙げられる。これらの単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合体であってもよい。
また、化合物内にFを有するポリアニオンであってもよい。具体的には、パーフルオロスルホン酸基を含有するナフィオン(Dupont社製)、カルボン酸基を含有するパーフルオロ型ビニルエーテルからなるフレミオン(旭硝子社製)等を挙げることができる。
これらのうち、スルホン酸を有する化合物であると、導電性ポリマー含有層を塗布、乾燥することによって形成した後に、100℃以上200℃以下の温度で5分以上の加熱処理を施した場合、この塗布膜の溶媒耐性が著しく向上することから、より好ましい。
さらに、これらの中でも、ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸が好ましい。これらのポリアニオンは、バインダー樹脂との相溶性が高く、また、得られる導電性ポリマーの導電性をより高くできる。
ポリアニオンの重合度は、モノマー単位が10〜100000個の範囲であることが好ましく、溶媒溶解性及び導電性の点からは、50〜10000個の範囲がより好ましい。
ポリアニオンの製造方法としては、例えば、酸を用いてアニオン基を有さないポリマーにアニオン基を直接導入する方法、アニオン基を有さないポリマーに、スルホ化剤によりスルホン酸化して導入する方法、アニオン基含有重合性モノマーの重合により製造する方法が挙げられる。
アニオン基含有重合性モノマーの重合により製造する方法は、溶媒中、アニオン基含有重合性モノマーを、酸化剤及び/または重合触媒の存在下で、酸化重合またはラジカル重合によって製造する方法が挙げられる。具体的には、所定量のアニオン基含有重合性モノマーを溶媒に溶解させ、これを一定温度に保ち、それに予め溶媒に所定量の酸化剤及び/または重合触媒を溶解した溶液を添加し、所定時間で反応させる。その反応により得られたポリマーは溶媒によって一定の濃度に調整される。この製造方法において、アニオン基含有重合性モノマーにアニオン基を有しない重合性モノマーを共重合させてもよい。
アニオン基含有重合性モノマーの重合に際して使用する酸化剤及び酸化触媒、溶媒は、π共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーを重合する際に使用するものと同様である。
得られたポリマーがポリアニオン塩である場合には、ポリアニオン酸に変質させることが好ましい。アニオン酸に変質させる方法としては、イオン交換樹脂を用いたイオン交換法、透析法、限外ろ過法等が挙げられ、これらの中でも、作業が容易な点から限外ろ過法が好ましい。
こうした導電性ポリマーは市販の材料も好ましく利用できる。例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸からなる導電性ポリマー(PEDOT−PSSと略す)が、H.C.Starck社からCLEVIOSシリーズとして、Aldrich社からPEDOT/PSS 483095、560598として、Nagase Chemtex社からDenatronシリーズとして市販されている。また、ポリアニリンが、日産化学社からORMECONシリーズとして市販されている。本発明において、こうした剤も好ましく用いることができる。
第2のドーパントとして水溶性有機化合物を含有してもよい。本発明で用いることができる水溶性有機化合物には特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、酸素含有化合物が好適に挙げられる。
前記酸素含有化合物としては、酸素を含有する限り特に制限はなく、例えば、ヒドロキシ基含有化合物、カルボニル基含有化合物、エーテル基含有化合物、スルホキシド基含有化合物等が挙げられる。前記ヒドロキシ基含有化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン等が挙げられ、これらの中でも、エチレングリコール、ジエチレングリコールが好ましい。前記カルボニル基含有化合物としては、例えば、イソホロン、プロピレンカーボネート、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。前記エーテル基含有化合物としては、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、等が挙げられる。前記スルホキシド基含有化合物としては、例えば、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、ジエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
〔電荷輸送層の形成〕
本発明において前記電荷輸送層が、前記ポリマー(A)と、π共役系高分子とポリアニオンとを少なくとも含むことがより好ましい。例えば、ポリマー(A)を含む親水性のポリマーバインダー成分と、π共役系高分子成分と、ポリアニオン成分と、溶媒とを少なくとも含んでなる塗布液を塗布、乾燥することで形成することができる。
本発明に係るπ共役系高分子の存在比は、前記電荷輸送層中に固形分比率が10質量%以上であることが好ましい。更に好ましくは10質量%〜90質量%、より好ましくは20質量%〜80質量%である。本発明においては前記のポリマー(A)を含むポリマーバインダーとの相溶性にもよるが、20質量%〜50質量%でも、導電性を保ったまま透過率を向上できるため本発明においてより好ましい存在比である。
また、π共役系高分子であるポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリアニオンであるポリスチレンスルホン酸からなる導電性ポリマーの場合、π共役系高分子とポリアニオンの組成比も重要となる。特に、本発明の光電変換素子において電荷輸送層として用いる場合、π共役系高分子に対してポリアニオンの組成量が、3倍以上、50倍以下であることが好ましい。3倍以上であれば、正孔電荷を選択的に輸送し、且つ、電子電荷を効果的に阻止できるため好ましい。また、50倍以下であれば、正孔電荷の移動度が十分に高く、本発明において好ましい。更に好ましい組成比は5倍以上、10倍以下である。
また、電荷輸送層として用いる場合の導電率としては、1S/cm以下であれば電荷輸送層として機能するが、より好ましくは1×10−2S/cm以下、1×10−6S/cm以上であり、より好ましくは1×10−3S/cm以下、1×10−5S/cm以上である。この範囲の導電率であれば、上述と同様な理由であるが、電子電荷の阻止能が十分にあり、本発明の光電変換素子において好ましい形態である。
溶媒としては、水系溶媒を好ましく用いることができる。ここで、水系溶媒とは、50質量%以上が水である溶媒を表す。もちろん、他の溶媒を含有しない純水であってもよい。水系溶媒の水以外の成分は、水に相溶する溶剤であれば特に制限はないが、アルコール系の溶媒を好ましく用いることができ、中でも、沸点が比較的水に近いイソプロピルアルコールを用いることが形成する膜の平滑性等には有利である。
塗布法としては、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、凸版(活版)印刷法、孔版(スクリーン)印刷法、平版(オフセット)印刷法、凹版(グラビア)印刷法、スプレー印刷法、インクジェット印刷法等を用いることができる。
前記電荷輸送層の乾燥膜厚は、30〜2000nmであることが好ましい。本発明に係る電荷輸送層は、電極形成時のダメージ抑制の観点から100nm以上の膜厚がより好ましく、リーク防止効果をより高める視点からは200nm以上の膜厚であることがさらに好ましい。また、高い透過率と膜としての抵抗低減を維持する視点から1000nm以下の膜厚であることがより好ましい。
塗布した後、溶媒を揮発させるために、適宜乾燥処理を施す。乾燥処理の条件として特に制限はないが、基板や導電性ポリマー含有層が損傷しない範囲の温度で乾燥処理することが好ましい。例えば、80〜150℃で10秒から10分の乾燥処理をすることができる。
本発明の電荷輸送層において、乾燥膜に含まれるポリマー(A)の固形分比率が10質量%〜90質量%であることがより好ましい。15質量%以上であれば、添加量に応じて膜の透過率を向上させることができより好ましく、また70質量%以下であれば膜抵抗が低く保てるため本発明において好ましい。
[架橋構造の形成]
本発明の電荷輸送層において、ポリアニオンとしてスルホ基を有するポリマーと、上記ポリマー(A)を含む場合、水酸基の脱水反応による製膜後の架橋反応によって、膜強度が大幅に高くなることが分かっており、電極形成時の有機層へのダメージを低減する効果が期待できより好ましい構成である。
本発明では、架橋反応を促進する目的で、製膜乾燥後に追加の加熱処理をする架橋反応工程を有することが好ましい。加熱処理の条件に制約はないが、基板や他の層が損傷しない範囲の温度で処理することが好ましい。例えば、80〜150℃で2分から120分の乾燥処理をすることができる。また、40℃〜100℃程度の比較的低温で10〜200時間程度の長時間の処理を施しても良い。更に、加熱処理の方法としては、一般的な熱風によるドライヤー加熱の他に、IRヒーターやIHヒーター、マイクロウェーブによる加熱、またはこれらを併用することで、より短時間で架橋反応を起こすことができるが、脱水反応を伴うため、熱風による加熱を少なくとも用いることが好ましい。
[ナノインデンテーション弾性率]
本発明の架橋反応による膜強度の向上は、ナノインデンテーション法を用いた弾性率により評価することができる。本発明におけるナノインデンテーション弾性率とは、特殊なSPMのカンチレバーを一定荷重で対象膜に押し付け、カンチレバーのへこみ具合から、弾性率を算出する手法である。
本発明の電荷輸送層へのダメージを低減させるために、前記の弾性率は4GPa以上、10GPaであることが好ましい。弾性率が4GPa以上あれば電極形成時のダメージを抑制することができ、また10GPa以下であれば、適度なフレキシブル性により変形やクラックを抑制でき好ましい。より好ましい弾性率としては、上記の観点から5GPa以上、8GPa以下が最も好ましい。
以下、本発明の好ましい態様について詳細に説明する。
<電荷輸送層:正孔輸送層、電子輸送層>
電荷輸送層の本来の機能として、発電層で発生した正孔または電子のみを電極まで輸送し、反対のキャリアの輸送を阻止する阻止層としての役割がある。この場合、正孔輸送層を電子阻止層、電子輸送層を正孔阻止層と言い換えることができる。
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有し、より詳しくは電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の電極上での再結合確率を向上させることができる。また、後述する電子輸送層の構成を必要に応じて、本発明に係る正孔阻止層として用いることができる。正孔阻止層は、発電層に隣接して設けられていることが好ましい。
一方、電子阻止層とは広い意味では正孔輸送層の機能を有し、より詳しくは正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。
上述のように、本発明の電荷輸送層の乾燥膜厚は、30〜2000nmであることが好ましい。特に後から電極形成する側の電荷輸送層(例えば、図1中104)は、電極形成時のダメージ抑制の観点から100nm以上の膜厚がより好ましく、リーク防止効果をより高める視点からは200nm以上の膜厚であることがさらに好ましい。また、高い透過率と膜としての抵抗低減を維持する視点から1000nm以下の膜厚であることがより好ましい。
一方、基板側の電荷輸送層(例えば、図1中102)は5〜500nmであることが好ましく、膜抵抗および透過率の観点から、7〜200nmがより好ましく、更には10〜100nmが最も好ましい。
<正孔輸送層>
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また、前記π共役系高分子、導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC、酸化ニッケル、酸化モリブデン等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような所謂、p型正孔輸送材料を用いることもできる。
また、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層または複数層設けることができる。
材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができ、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。更に、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、GaまたはPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、またはそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。正孔注入層、正孔輸送層と同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
また、不純物をドープしたn性の高い電子輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
また、n型の伝導性を有する無機酸化物(酸化チタン、酸化亜鉛等)も用いることができる。
具体例としては、N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1′−ビフェニル)−4,4′−ジアミン(TPD)や4,4′−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)等の芳香族ジアミン化合物やその誘導体、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、イミダゾロン、スチルベン誘導体、ピラゾリン誘導体、テトラヒドロイミダゾール、ポリアリールアルカン、ブタジエン、4,4′,4″−トリス(N−(3−メチルフェニル)N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、ポルフィン、テトラフェニルポルフィン銅、フタロシアニン、銅フタロシアニン、チタニウムフタロシアニンオキサイド等のポルフィリン化合物、トリアゾール誘導体、オキサジザゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アニールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、シラザン誘導体などを用いることができ、高分子材料では、フェニレンビニレン、フルオレン、カルバゾール、インドール、ピレン、ピロール、ピコリン、チオフェン、アセチレン、ジアセチレン等の重合体や、その誘導体等を好ましく用いることができる。
また、例えば特表2010−525613号公報記載の窒素含有化合物も本発明において好ましく用いることができる。前記化合物はRN(R)であり、R、R、およびRが各々独立に、H、C1〜C20のアルキル、C1〜C20のアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C3〜C20のシクロアルキル、またはC3〜C20のヘテロシクロアルキルであるか、RおよびR、RおよびR、またはRおよびRが、それらの結合した窒素原子と共にヘテロアリールまたはC3〜C20のヘテロシクロアルキルをなす、Rは、Si(OR)またはNH(R)で置換されたC1〜C20アルキルであるか、COOHまたはSHで置換されたアリールであり、各Rは独立にC1〜C20アルキルであることが好ましい。本発明で好ましく用いることができるより具体的な窒素含有化合物例としては、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、(3−トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、または4−アミノチオフェノールが好ましい。更に好ましくはポリアミン、ポリエチレンイミンまたはその誘導体である。
前記ポリマーのうちの少なくとも一部の分子は架橋剤によって架橋されていることが本発明において更に好ましい。架橋剤は特に限定されないが、含エポキシ化合物を含むことが好ましく、架橋剤の具体例としてはグリセロールプロポキシラートトリグリシジルエーテルまたはグリセロールジグリシジルエーテルなどを好ましく用いることができる。
<p型半導体材料>
本発明の発電層(バルクヘテロジャンクション層)に用いられるp型半導体材料としては、種々の縮合多環芳香族低分子化合物や共役系ポリマーが挙げられる。
縮合多環芳香族低分子化合物としては、例えば、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、クリセン、ピセン、フルミネン、ピレン、ペロピレン、ペリレン、テリレン、クオテリレン、コロネン、オバレン、サーカムアントラセン、ビスアンテン、ゼスレン、ヘプタゼスレン、ピランスレン、ビオランテン、イソビオランテン、サーコビフェニル、アントラジチオフェン等の化合物、ポルフィリンや銅フタロシアニン、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、及びこれらの誘導体や前駆体が挙げられる。
また上記の縮合多環を有する誘導体の例としては、国際公開第03/16599号パンフレット、国際公開第03/28125号パンフレット、米国特許第6,690,029号明細書、特開2004−107216号公報等に記載の置換基をもったペンタセン誘導体、米国特許出願公開第2003/136964号明細書等に記載のペンタセンプレカーサ、J.Amer.Chem.Soc.,vol127.No14.4986、J.Amer.Chem.Soc.,vol.123、p9482、J.Amer.Chem.Soc.,vol.130(2008)、No.9、2706等に記載のトリアルキルシリルエチニル基で置換されたアセン系化合物等が挙げられる。
共役系ポリマーとしては、例えば、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)等のポリチオフェン及びそのオリゴマー、またはTechnical Digest of the International PVSEC−17, Fukuoka, Japan, 2007, P1225に記載の重合性基を有するようなポリチオフェン、Nature Material,(2006)vol.5,p328に記載のポリチオフェン−チエノチオフェン共重合体、WO2008/000664号に記載のポリチオフェン−ジケトピロロピロール共重合体、Adv Mater,2007p4160に記載のポリチオフェン−チアゾロチアゾール共重合体,Nature Mat.vol.6(2007),p497に記載のPCPDTBT等のようなポリチオフェン共重合体、ポリピロール及びそのオリゴマー、ポリアニリン、ポリフェニレン及びそのオリゴマー、ポリフェニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリチエニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリシラン、ポリゲルマン等のσ共役系ポリマー、等のポリマー材料が挙げられる。
また、ポリマー材料ではなくオリゴマー材料としては、チオフェン6量体であるα−セクシチオフェンα,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン、等のオリゴマーが好適に用いることができる。
これらの化合物の中でも、溶液プロセスが可能な程度に有機溶剤への溶解性が高く、かつ乾燥後は結晶性薄膜を形成し、高い移動度を達成することが可能な化合物が好ましい。
また、発電層上に電子輸送層を塗布で製膜する場合、電子輸送層溶液が発電層を溶かしてしまうという課題があるため、溶液プロセスで塗布した後に不溶化できるような材料を用いても良い。
このような材料としては、Technical Digest of the International PVSEC−17,Fukuoka,Japan,2007,P1225に記載の重合性基を有するようなポリチオフェンのような、塗布後に塗布膜を重合架橋して不溶化できる材料、または米国特許出願公開第2003/136964号、および特開2008−16834号等に記載されているような、熱等のエネルギーを加えることによって可溶性置換基が反応して不溶化する(顔料化する)材料などを挙げることができる。
<n型半導体材料>
本発明のバルクヘテロジャンクション層に用いられるn型半導体材料としては、特に限定されないが、例えば、フラーレン、オクタアザポルフィリン等、p型半導体のパーフルオロ体(パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン等)、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の芳香族カルボン酸無水物やそのイミド化物を骨格として含む高分子化合物等を挙げることができる。
しかし、例えばチオフェン系共役ポリマーをp型半導体材料として用いる場合、効率的な電荷分離を行えるフラーレン誘導体が好ましい。フラーレン誘導体としては、フラーレンC60、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC84、フラーレンC240、フラーレンC540、ミックスドフラーレン、フラーレンナノチューブ、多層ナノチューブ、単層ナノチューブ、ナノホーン(円錐型)等、およびこれらの一部が水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、シリル基、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基、シリル基等によって置換されたフラーレン誘導体を挙げることができる。
中でも[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッドメチルエステル(略称PCBM)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−nブチルエステル(PCBnB)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−イソブチルエステル(PCBiB)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−nヘキシルエステル(PCBH)、Adv.Mater.,vol.20(2008),p2116等に記載のbis−PCBM、特開2006−199674号公報等のアミノ化フラーレン、特開2008−130889号公報等のメタロセン化フラーレン、米国特許第7329709号明細書等の環状エーテル基を有するフラーレン等のような、置換基を有してより溶解性が向上したフラーレン誘導体を用いることが好ましい。
<電極>
本発明に関わる有機光電変換素子においては、少なくとも透明電極と対電極とを有する。本発明においては、このどちらかを前述の形成方法によって形成されているものである。また、タンデム構成をとる場合には中間電極を用いることでタンデム構成を達成することができる。以下に好ましい透明電極、及び対電極の構成について述べる。
なお透明電極及び対電極は、透光性があるかどうかといった機能から表現した電極の名称であるが、キャリアの流れる種類で電極を呼び分ける場合、本発明においては主に正孔が流れる電極を陽極と呼び、主に電子が流れる電極を陰極と呼ぶ。
第1の電極が正極である場合は、正孔と電子からなるキャリアの内、正孔を主に取り出す構成のため、上述した様に、第1の電極と光電変換層(発電層)の間に正孔輸送層を有することが好ましい。同様に、第2の電極が陰極である場合は電子を主に取り出す構成のため、第2の電極と光電変換層(発電層)との間に電子輸送層を有することが好ましい。
<透明電極>
有機光電変換素子における透明電極としては、金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。電荷輸送層との接合構成に応じて最適な仕事関数の材料組成を選択できる。仕事関数が浅い組成としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等の極薄膜が挙げられる。また、仕事関数の深い組成としては、金、銀、白金等の極薄膜、またはそれらのナノ粒子・ナノワイヤー層、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性金属酸化物材料、および導電性ポリマー等が挙げられる。また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で光透過性の導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。
更には、このような金属薄膜、ナノ粒子・ナノワイヤー、金属酸化物材料を併用して高透過率と高導電性を両立した透明電極とすることも本発明の好ましい態様である。
透明電極のシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、50Ω/□が更に好ましく、15Ω/□以下が更に好ましい。更に膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは100〜200nmの範囲で透過率/抵抗の観点から選ばれる。
透明電極側から電子を取り出す構成の場合、より好ましくは上述の透明導電性酸化膜などに仕事関数を変化させる処理をすることが好ましい。例えば、WO2008/134492号パンフレット記載の様に窒素、リン、硫黄などを分子内に有する組成物を酸化膜上に形成する方法や、APPLIED PHYSICS LETTERS 92, 173303 (2008)、または、Adv. Mater. 2008, 20, 415−419に記載の炭酸塩、フッ化セシウム、Cs(acac)などを酸化膜上に形成する方法などを好ましく用いることで、発電層で発生した電子を効率よく取り出すことができより好ましい。
<対電極>
一方、対電極も同様に、金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。但し、金属類などは薄膜である必要はなく、所望の電気伝導度が得られれば特に膜厚や組成に制限はない。また、接する電荷輸送層に応じて最適な仕事関数の材料を選択することが好ましい。具体的な材料としては、上述の透明電極で挙げた例と同様な材料を用いることができる。
対電極側から電子を取り出す構成の場合、より好ましくは上述の材料の中から、より仕事関数が浅い材料を選択することで、電子を効率よく取り出すことができより好ましい。
(その他の機能層)
太陽光利用率(光電変換効率)の向上を目的として、図1に示されるような第1の電極および第2の電極間でサンドイッチした構造に替わり、一対の櫛歯状電極上に素子を形成させたバックコンタクト型の有機光電変換素子が構成とすることもできる。
更には図1には記載していないが、エネルギー変換効率の向上や、素子寿命の向上を目的に、各種中間層を素子内に有する構成としてもよい。中間層の例としては、正孔注入層、電子注入層、励起子ブロック層、UV吸収層、光反射層、波長変換層、平滑化層等などを挙げることができる。
対電極の導電材として金属材料を用いれば対電極側に来た光は反射されて第1の電極側に反射され、この光が再利用可能となり、光電変換層で再度吸収され、より光電変換効率が向上し好ましい。
(基板)
基板側から光電変換される光が入射する場合、基板はこの光電変換される光を透過させることが可能な、即ちこの光電変換すべき光の波長に対して透明な部材であることが好ましい。基板は、例えば、ガラス基板や樹脂基板等が好適に挙げられるが、軽量性と柔軟性の観点から透明樹脂フィルムを用いることが望ましい。本発明で透明基板として好ましく用いることができる透明樹脂フィルムには特に制限がなく、その材料、形状、構造、厚み等については公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルム等を挙げることができるが、可視域の波長(380〜800nm)における透過率が80%以上である樹脂フィルムであれば、本発明に係る透明樹脂フィルムに好ましく適用することができる。中でも透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、強度及びコストの点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリカーボネートフィルムであることが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムであることがより好ましい。
本発明に用いられる透明基板には、塗布液の濡れ性や接着性を確保するために、表面処理を施すことや易接着層を設けることができる。表面処理や易接着層については従来公知の技術を使用できる。例えば、表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理を挙げることができる。また、易接着層としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ビニル系共重合体、ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体、ビニリデン系共重合体、エポキシ系共重合体等を挙げることができる。
また、酸素及び水蒸気の透過を抑制する目的で、透明基板にはバリアコート層が予め形成されていてもよいし、透明導電層を転写する反対側にはハードコート層が予め形成されていてもよい。
(光学機能層)
本発明の有機光電変換素子は、太陽光のより効率的な受光を目的として、各種の光学機能層を有していて良い。光学機能層としては、たとえば、反射防止膜、マイクロレンズアレイ等の集光層、陰極で反射した光を散乱させて再度発電層に入射させることができるような光拡散層などを設けても良い。
反射防止層としては、各種公知の反射防止層を設けることができるが、例えば、透明樹脂フィルムが二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである場合は、フィルムに隣接して易接着層を設け、その屈折率を1.57〜1.63とすることで、フィルム基板と易接着層との界面反射を低減して透過率を向上させることができるのでより好ましい。屈折率を調整する方法としては、酸化スズゾルや酸化セリウムゾル等の比較的屈折率の高い酸化物ゾルとバインダー樹脂との比率を適宜調整して塗設することで実施できる。易接着層は単層でもよいが、接着性を向上させるためには2層以上の構成にしてもよい。
集光層としては、例えば、支持基板の太陽光受光側にマイクロレンズアレイ上の構造を設けるように加工したり、あるいは所謂集光シートと組み合わせたりすることにより特定方向からの受光量を高めたり、逆に太陽光の入射角度依存性を低減することができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列する。一辺は10〜100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付き、大きすぎると厚みが厚くなり好ましくない。
また光散乱層としては、各種のアンチグレア層、金属または各種無機酸化物などのナノ粒子・ナノワイヤー等を無色透明なポリマーに分散した層などを挙げることができる。
(製膜方法・表面処理方法)
電子受容体と電子供与体とが混合された光電変換層、および輸送層・電極の形成方法としては、蒸着法、塗布法(キャスト法、スピンコート法を含む)等を例示することができる。このうち、光電変換層の形成方法としては、蒸着法、塗布法(キャスト法、スピンコート法を含む)等を例示することができる。このうち、前述の正孔と電子が電荷分離する界面の面積を増大させ、高い光電変換効率を有する素子を作製するためには、塗布法が好ましい。また塗布法は、製造速度にも優れている。
この際に使用する塗布方法に制限は無いが、例えば、スピンコート法、溶液からのキャスト法、ディップコート法、ブレードコート法、ワイヤバーコート法、グラビアコート法、スプレーコート法等が挙げられる。さらには、インクジェット法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、凹版印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法等の印刷法でパターニングすることもできる。
塗布後は残留溶媒及び水分、ガスの除去、及び半導体材料の結晶化による移動度向上・吸収長波化を引き起こすために加熱を行うことが好ましい。製造工程中において所定の温度でアニール処理されると、微視的に一部が凝集または結晶化が促進され、光電変換層を適切な相分離構造とすることができる。その結果、光電変換層のキャリア移動度が向上し、高い効率を得ることができるようになる。
発電層(バルクヘテロジャンクション層)は、p型半導体とn型半導体とが混在された層で構成してもよいが、それぞれ混合比が膜厚方向で異なる複数層または混合比のグラデーション構成でもよい。
(パターニング)
本発明に係る電極、発電層、正孔輸送層、電子輸送層、ブロック層等をパターニングする方法やプロセスには特に制限はなく、公知の手法を適宜適用することができる。
光電変換層、輸送層等の可溶性の材料であれば、ダイコート、ディップコート等の全面塗布後に不要部だけ拭き取っても良いし、製膜後に炭酸レーザーなどを用いてアブレーションする方法、スクライバで直接削り取る方法等でパターニングしてもよいし、インクジェット法やスクリーン印刷、グラビア印刷等の各種印刷方法を使用して直接パターニングしても良い。
電極材料などの不溶性の材料の場合は、真空蒸着法や真空スパッタ法、プラズマCVD法、電極材料の微粒子を分散させたインキを用いたスクリーン印刷法やグラビア印刷法、インクジェット法などの各種印刷方法、蒸着膜に対しエッチング又はリフトオフする等の公知の方法、また、別の基板上に形成したパターンを転写することによってパターンを形成しても良い。
(封止)
作製した有機光電変換素子が大気中の酸素、水分等で劣化しないために、公知の手法によって封止することが好ましい。例えば、アルミまたはガラスでできたキャップを接着剤によって接着することによって封止する手法、アルミニウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等のガスバリア層が形成されたプラスチックフィルムと有機光電変換素子上を接着剤で貼合する手法、ガスバリア性の高い有機高分子材料(ポリビニルアルコール等)をコートする方法、ガスバリア性の高い無機薄膜(酸化ケイ素、酸化アルミニウム等)または有機膜(パリレン等)を真空下で堆積する方法、及びこれらを複合的に積層する方法等を挙げることができる。
更に本発明においては、エネルギー変換効率と素子寿命向上の観点から、素子全体を2枚のバリア付き基板で封止した構成でもよく、好ましくは、水分ゲッター、酸素ゲッター等を同封した構成であることが本発明においてより好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[ポリマー(A)の準備]
ポリマー(A)として、ポリ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)の合成を行った。
まずは開始剤を合成すべく、50ml三口フラスコに2−ブロモイソブチリルブロミド(7.3g、35mmol)とトリエチルアミン(2.48g、35mmol)及びTHF(20ml)を加え、アイスバスにより内温を0℃に保持した。この溶液内にオリゴエチレングリコール(10g、23mmol、エチレングリコールユニット7〜8、Laporte Specialties社製)の33%THF溶液30mlを滴下した。30分攪拌後、溶液を室温にし、更に4時間攪拌した。THFをロータリーエバポレーターにより減圧除去後、残渣をジエチルエーテルに溶解し、分液ロートに移した。水を加えエーテル層を3回洗浄後、エーテル層をMgSOにより乾燥させた。エーテルをロータリーエバポレーターにより減圧留去し、開始剤を8.2g(収率73%)得た。
続いて、上記合成した開始剤(500mg、1.02mmol)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(4.64g、40mmol、東京化成社製)、50:50v/v%メタノール/水混合溶媒の5mlをシュレンク管に投入し、減圧下液体窒素に10分間シュレンク管を浸した。シュレンク管を液体窒素から出し、5分後に窒素置換を行った。この操作を3回行った後、窒素下で、ビピリジン(400mg、2.56mmol)、CuBr(147mg、1.02mmol)を加え、20℃で攪拌した。30分後、ろ紙とシリカを敷いた4cm桐山ロート上に反応溶液を滴下し、減圧で反応溶液を回収した。ロータリーエバポレーターにより溶媒を減圧留去後、50℃で3時間減圧乾燥した。その結果、数平均分子量13100、分子量分布1.17、数平均分子量<1000の含量0%、のポリ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)を2.60g(収率84%)得た。
構造、分子量は各々H−NMR(400MHz、日本電子社製)、GPC(Waters2695、Waters社製)で測定した。
<GPC測定条件>
装置:Wagers2695(Separations Module)
検出器:Waters 2414 (Refractive Index Detector)
カラム:Shodex Asahipak GF−7M HQ
溶離液:ジメチルホルムアミド(20mM LiBr)
流速:1.0ml/min
温度:40℃
また、上記合成法と同様にして、2−ヒドロキシブチルアクリレートを原料に、ポリ(2−ヒドロキシブチルアクリレート)(数平均分子量約15000)を合成し、上記方法と同様にして精製した。
また、ポリ(2−ヒドロキシエチルビニルエーテル)(数平均分子量約20000、固形分20%水溶液)、および、ポリ(2−ヒドロキシエチルアクリルアミド)(数平均分子量約20000、固形分20%水溶液)については、上記数平均分子量をもつ市販品を入手し、上記方法と同様にして数平均分子量<1000の含量0%になるよう精製した。
[ナノインデンテーション法による弾性率の測定]
ナノインデンテーション法による弾性率の測定を以下に従って行った。
Hysitron社製Triboscopeを用いて、エスアイアイナノテクノロジー社製SPI3800Nに装着し測定した。測定には、圧子としてベルコビッチ型圧子(先端稜角142.3°)と呼ばれる三角錘型ダイヤモンド製圧子で、先端曲率半径75〜100nmのものを用いた。表面に直角に当て、徐々に圧印加し、最大荷重到達後に荷重を0にまで徐々に戻す。この時の最大荷重Pを圧子接触部の投影面積Aで除した値P/Aを硬度として算出し、この値(硬度=P/A(GPa))を、ナノインデンテーション弾性率を表す指標として示す。
〔有機光電変換素子SC−101の作製〕
ガラス基板上に、インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を150nm堆積したもの(シート抵抗8Ω/□)を、通常のフォトリソグラフィ技術と湿式エッチングとを用いて10mm幅にパターニングし第1の電極を形成した。パターン形成した第1の電極を、界面活性剤と超純水による超音波洗浄、超純水による超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
この透明基板上に、イソプロパノールに溶解したポリエチレンイミンと、グリセロールプロポキシレートトリグリシジルエーテルの混合溶液を塗布し、ホットプレート上で120℃10分間乾燥させ、正孔阻止層を製膜した。
続けて、クロロベンゼンにP3HT(プレクトロニクス社製:レジオレギュラーポリ−3−ヘキシルチオフェン、HOMO:−5.5eV、LUMO:−3.4eV)とPCBM(フロンティアカーボン社製:6,6−フェニル−C61−ブチリックアシッドメチルエステル、HOMO:−6.1eV、LUMO:−4.3eV)を3.0質量%になるように1:0.8で混合した液を調製し、フィルタでろ過し乾燥膜厚が約200nmになるよう前記基板上に発電層を製膜した。続けて、導電性高分子およびポリアニオンからなるPEDOT−PSS(Baytron P4083・スタルクヴィテック社製、IP(HOMO):−5.0eV)、花王ケミカル株式会社製エマルゲン、イソプロパノールを含む液を調液し、乾燥膜厚が約100nmになるように塗布乾燥した。そのあと、150℃で10分間加熱処理し正孔輸送層を製膜した。
次に、上記一連の機能層を製膜した基板を真空蒸着装置チャンバー内に移動し、1×10−4Pa以下まで真空蒸着装置内を減圧した後、蒸着速度5.0nm/秒でAgメタルを200nm積層することで第2の電極を形成した。得られた有機光電変換素子SC−101を窒素チャンバーに移動し、封止用キャップとUV硬化樹脂を用いて封止を行って、受光部が10×10mmサイズの有機光電変換素子SC−101を作製した。
別途、上記正孔輸送層のみを製膜した基板を作製し、150℃で10分間加熱処理した後、上述したナノインデンテーション法を用いて弾性率を測定したところ、1.9GPaであった。
尚、以下の各有機光電変換素子の弾性率も、有機光電変換素子SC−101と同様に各素子の正孔または電子のどちらかを主に輸送する電荷輸送層のみを膜厚300nmに製膜した基板を作製し、150℃で10分間加熱処理した後、ナノインデンテーション法を用いて弾性率を測定した。
〔有機光電変換素子SC−102の作製〕
前記有機光電変換素子SC−101の作製において、発電層まで同様にして機能層を製膜した。続けて、導電性高分子およびポリアニオンからなるPEDOT−PSS(Baytron P4083・スタルクヴィテック社製、IP(HOMO):−5.0eV)、花王ケミカル株式会社製エマルゲン、イソプロパノールに加え、上記合成したポリ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)を乾燥膜の固形分で5質量%含むよう調液し、乾燥膜厚が約100nmになるように塗布乾燥した。そのあと、150℃で10分間の加熱処理により、架橋反応を促進して正孔輸送層を製膜した。
上述の正孔輸送層製膜以外は、前記SC−101と同様にして光電変換素子SC−102を作製した。
なお、SC−102の正孔輸送層について、弾性率を測定したところ、3.6GPaであった。
〔有機光電変換素子SC−103の作製〕
前記有機光電変換素子SC−102の作製において、正孔輸送層にポリ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)を乾燥膜の固形分で15質量%含むようにした以外は前記有機光電変換素子SC−102と同様にしてSC−103を作製した。
なお、SC−103の正孔輸送層について、弾性率を測定したところ、4.9GPaであった。
〔有機光電変換素子SC−104の作製〕
前記有機光電変換素子SC−102の作製において、正孔輸送層にポリ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)を乾燥膜の固形分で30質量%含むようにした以外は前記有機光電変換素子SC−102と同様にしてSC−104を作製した。
なお、SC−104の正孔輸送層について、弾性率を測定したところ、5.4GPaであった。
〔有機光電変換素子SC−105の作製〕
前記有機光電変換素子SC−102の作製において、正孔輸送層にポリ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)を乾燥膜の固形分で50質量%含むようにした以外は前記有機光電変換素子SC−102と同様にしてSC−105を作製した。
なお、SC−105の正孔輸送層について、弾性率を測定したところ、6.3GPaであった。
〔有機光電変換素子SC−106の作製〕
前記有機光電変換素子SC−102の作製において、正孔輸送層にポリ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)を乾燥膜の固形分で70質量%含むようにした以外は前記有機光電変換素子SC−102と同様にしてSC−106を作製した。
なお、SC−106の正孔輸送層について、弾性率を測定したところ、5.5GPaであった。
〔有機光電変換素子SC−107の作製〕
前記有機光電変換素子SC−102の作製において、正孔輸送層にポリ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)を乾燥膜の固形分で90質量%含むようにした以外は前記有機光電変換素子SC−102と同様にしてSC−107を作製した。
なお、SC−107の正孔輸送層について、弾性率を測定したところ、4.7GPaであった。
〔有機光電変換素子SC−108の作製〕
前記有機光電変換素子SC−106の作製において、ポリ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)に換えて、ポリ(2−ヒドロキシブチルアクリレート)を用いた以外は前記有機光電変換素子SC−106と同様にしてSC−108を作製した。
なお、SC−108の正孔輸送層について、弾性率を測定したところ、5.2GPaであった。
〔有機光電変換素子SC−109の作製〕
前記有機光電変換素子SC−106の作製において、ポリ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)に換えて、ポリ(2−ヒドロキシエチルビニルエーテル)を用いた以外は前記有機光電変換素子SC−106と同様にしてSC−109を作製した。
なお、SC−109の正孔輸送層について、弾性率を測定したところ、4.5GPaであった。
〔有機光電変換素子SC−110の作製〕
前記有機光電変換素子SC−106の作製において、ポリ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)に換えて、ポリ(2−ヒドロキシエチルアクリルアミド)を用いた以外は前記有機光電変換素子SC−106と同様にしてSC−110を作製した。
なお、SC−110の正孔輸送層について、弾性率を測定したところ、5.9GPaであった。
〔有機光電変換素子SC−111の作製〕
ガラス基板上に、インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を150nm堆積したもの(シート抵抗8Ω/□)を、通常のフォトリソグラフィ技術と湿式エッチングとを用いて10mm幅にパターニングし第1の電極を形成した。パターン形成した第1の電極を、界面活性剤と超純水による超音波洗浄、超純水による超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
導電性高分子およびポリアニオンからなるPEDOT−PSS(Baytron P4083・スタルクヴィテック社製、IP(HOMO):−5.0eV)、イソプロパノールを含む液を調液し、乾燥膜厚が約50nmになるように塗布乾燥した。そのあと、150℃で10分間加熱処理し正孔輸送層を製膜した。
続けて、クロロベンゼンにP3HT(プレクトロニクス社製:レジオレギュラーポリ−3−ヘキシルチオフェン、HOMO:−5.5eV、LUMO:−3.4eV)とPCBM(フロンティアカーボン社製:6,6−フェニル−C61−ブチリックアシッドメチルエステル、HOMO:−6.1eV、LUMO:−4.3eV)を3.0質量%になるように1:0.8で混合した液を調製し、フィルタでろ過し乾燥膜厚が約200nmになるよう前記正孔輸送層上に発電層を製膜した。
続けて、イソプロパノールに溶解したポリエチレンイミン(PEI)と、グリセロールプロポキシレートトリグリシジルエーテル(GPTGE)、ポリアニオンとしてナフィオン(Nafion:ポリフッ化スルホン、DuPontケミカル社製)に加え、乾燥膜の固形分濃度が50質量%になるようポリ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)を溶解し、乾燥膜厚が20nmになるように塗布乾燥した。そのあと、120℃で30分間加熱処理し、正孔阻止層を製膜した。
次に、上記一連の機能層を製膜した基板を真空蒸着装置チャンバー内に移動し、1×10−4Pa以下まで真空蒸着装置内を減圧した後、蒸着速度5.0nm/秒でAlメタルを200nm積層することで第2の電極を形成した。得られた有機光電変換素子SC−111を窒素チャンバーに移動し、封止用キャップとUV硬化樹脂を用いて封止を行って、受光部が10×10mmサイズの有機光電変換素子SC−111を作製した。
別途、Ag蒸着前の機能層を製膜した基板を作製し、上述したナノインデンテーション法を用いて弾性率を測定したところ、3.2GPaであった。
《素子性能の評価》
上記作製した光電変換素子について、ソーラーシミュレーター(AM1.5Gフィルタ)の100mW/cmの強度の光を照射し、有効面積を1cmにしたマスクを受光部に重ね、IV特性を評価することで、短絡電流密度Jsc(mA/cm)、開放電圧Voc(V)及びフィルファクターFFを、同素子上に形成した4箇所の受光部をそれぞれ測定した。ここで、SC−101のJsc、およびFFを100としたときの相対値を見積もり、結果を表1に示した。
また、SC−102で製膜した正孔輸送層の導電率を4端子4探針法により測定したところ、2×10−4S/cmであった。この導電率は、SC−103〜SC−106及びSC−108〜SC−110において差はあるものの、いずれも10−5S/cm〜1×10−3S/cmの範囲であった。
表1から明らかなように、従来構成であるSC−101に対して、本願のSC−102〜SC−111では高い透過率と弾性率に伴って、JscおよびFFの優れた結果を示し、本発明の効果が明らかとなった。
10 光電変換素子
101 第1の電極
102 正孔阻止層(または電子輸送層)
103 発電層
103a p型半導体材料
103b n型半導体材料
104 電子阻止層(正孔輸送層)
105 第2の電極

Claims (5)

  1. 第1の電極と第2の電極との間に、p型半導体材料とn型半導体材料とを含む発電層と、正孔または電子のどちらかを主に輸送する電荷輸送層とを少なくとも有する有機光電変換素子において、
    該電荷輸送層が、ポリアニオンと、下記3つの単位構造から選ばれる少なくとも1種を有するポリマー(A)とを少なくとも含み、かつ、ナノインデンテーション法で測定した当該電荷輸送層の弾性率が、4GPa以上、10GPa以下であり、
    前記電荷輸送層における、前記ポリマー(A)の固形分比率が、10〜90質量%である
    ことを特徴とする有機光電変換素子。
    (式中、Xは水素原子又はメチル基を表し、R〜Rはそれぞれ独立に炭素数1〜5の直鎖または分岐アルキレン基を表す。l、m、及びnは、当該ポリマー(A)を構成する全モノマーのモル数の合計を100としたときのそれぞれの構成率(モル%)を表し、50≦l+m+n≦100である。)
  2. 前記電荷輸送層が、前記ポリマー(A)と、π共役系高分子と前記ポリアニオンとを少なくとも含むことを特徴とする請求項1記載の有機光電変換素子。
  3. 前記電荷輸送層における、前記ポリマー(A)の固形分比率が15〜70質量%であることを特徴とする請求項1又は2記載の有機光電変換素子。
  4. 前記電荷輸送層が、ナノインデンテーション法で測定した弾性率が、5GPa以上、8GPa以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の有機光電変換素子。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の有機光電変換素子が、前記電荷輸送層を形成後、前記ポリマー(A)と前記ポリアニオンとの加熱処理を含んで製造され
    当該加熱処理が、
    100〜200℃の範囲内の温度で、5分以上加熱する処理、
    80〜150℃の範囲内の温度で、2〜120分の範囲内加熱する処理又は、
    40〜100℃の範囲内の温度で、10〜200時間の範囲内加熱する処理
    のいずれかの加熱処理であることを特徴とする有機光電変換素子の製造方法。
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