JP2005350527A - 環状保護基で置換された単量体および重合体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明は、炭素原子間の重合性2重結合とカルボキシル基とを有する単量体において該カルボキシル基の活性水素が、一般式(1)
【化22】
(式中、Raは塩素原子、置換基を有してもよいアルキル、置換基を有してもよいアルケニル等を表し、Rbは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル、置換基を有してもよいアルケニル等を表し、RaとRbは隣接するC−Cと一緒になって、環構造を形成してもよく、Aは置換基を有してもよいエチレンまたは置換基を有してもよいプロピレンを表す)で表される環状保護基で置換された単量体等を提供する。
【選択図】 なし
Description
[1] 炭素原子間の重合性2重結合とカルボキシル基とを有する単量体において該カルボキシル基の活性水素が、一般式(1)
[2] 炭素原子間の重合性2重結合とカルボキシル基とを有する単量体が、一般式(2)
[3] RcおよびRdが水素原子であり、Reが水素原子またはアルキルであり、Lが単結合である[2]記載の環状保護基で置換された単量体。
[4] Raが置換基を有してもよいアルキルであり、Rbが水素原子または置換基を有してもよいアルキルである[1]〜[3]のいずれかに記載の環状保護基で置換された単量体。
[5] Raが置換基を有してもよいアルキルであり、Rbが水素原子または置換基を有してもよいアルキルであり、Aが無置換もしくはアルキル置換のエチレンまたは無置換もしくはアルキル置換のプロピレンである[1]〜[3]のいずれかに記載の環状保護基で置換された単量体。
[6] 一般式(3)
[7] 重量平均分子量が1,000〜100,000である[6]記載のビニル系重合体。
[8] Raが置換基を有してもよいアルキルであり、Rbが水素原子または置換基を有してもよいアルキルであり、RcおよびRdが水素原子であり、Reが水素原子またはアルキルであり、Lが単結合である[6]または[7]記載のビニル系重合体。
[9] Raが置換基を有してもよいアルキルであり、Rbが水素原子または置換基を有してもよいアルキルであり、Aが無置換もしくはアルキル置換のエチレンまたは無置換もしくはアルキル置換のプロピレンであり、RcおよびRdが水素原子であり、Reが水素原子またはアルキルであり、Lが単結合である[6]または[7]記載のビニル系重合体。
[10] [6]〜[9]のいずれかに記載のビニル系重合体と酸発生剤を含有する感放射線レジスト組成物。
[11] 一般式(4)
[12] 一般式(5)
[13] 一般式(5)
[14] カルボキシル基を有する化合物において、該カルボキシル基の活性水素が、一般式(6)
以下、[1]記載の単量体を単量体M、[6]記載のビニル系重合体をビニル系重合体P、[14]記載の化合物を化合物Qと表現することもある。
アリールならびにアラルキル、アリールオキシおよびアリールオキシカルボニルのアリール部分としては、例えば、炭素数6〜14の、フェニル、ナフチル等があげられる。
アラルキルのアルキル部分は前記アルキルと同義である。
アロイルおよびアロイルオキシのアロイル部分としては、例えば、炭素数7〜15の、ベンゾイル等があげられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子があげられる。
保護基で保護されたヒドロキシアルキル、保護基で保護されたヒドロキシおよび保護基で保護されたカルボキシにおける保護基としては、有機合成の分野で公知または慣用のヒドロキシもしくはカルボキシの保護基、一般式(1)で表される環状保護基等があげられる。
2価の連結基としては、アルキレン、シクロアルキレン、アルケニレン、アリーレン、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合等があげられる。
アルキレンとしては、例えば、炭素数1〜8の、好ましくは炭素数1〜3の、メチレン、エチレン、プロピレン等があげられ、シクロアルキレンとしては、例えば、炭素数3〜10の、好ましくは炭素数5〜8のシクロペンチレン、シクロヘキシレン等があげられ、アルケニレンとしては、例えば、炭素数2〜8の、好ましくは炭素数2〜6のエテニレン、プロペニレン、ブテニレン等があげられ、アリーレンとしては、例えば、炭素数6〜20の、好ましくは炭素数6〜15のフェニレン、ナフチレン等があげられる。
ここで、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸およびメタクリル酸を表し、他の誘導体についても同様に表現する。
また、一般式(1)
(1)本発明の単量体Mの製造方法
以下に、本発明の単量体Mの製造方法について説明する。
単量体Mは、炭素原子間の重合性2重結合とカルボキシル基とを有する単量体と対応する環状ビニルエーテル、または炭素原子間の重合性2重結合とカルボキシル基とを有する単量体の誘導体と対応する環状ヘミアセタールとを反応させることにより製造することができる。炭素原子間の重合性2重結合とカルボキシル基とを有する単量体の誘導体としては、例えば、酸ハロゲン化物、酸無水物、エステル、塩等があげられ、酸ハロゲン化物または酸無水物が好ましい。
単量体Mの原料である炭素原子間の重合性2重結合とカルボキシル基とを有する単量体は、公知の方法(例えば、特開平10−239846号公報)に準じて、例えば、メタクリロイルエチルイソシアナートとヒドロキシカルボン酸との反応等により製造することができ、各種市販品を購入して入手することもできる。
対応する環状ビニルエーテルと炭素原子間の重合性2重結合とカルボキシル基とを有する単量体との反応は、公知の方法(例えば、Stan S.Hall 他1名 「Journal of Organic Chemistry」, 1977年, 42巻, 第6号,1057−1062頁)に準じて行うことができ、対応する環状ビニルエーテルにおいてRaに相当する基が水素原子である化合物を用いて、Raが塩素原子である化合物を製造する場合、次亜塩素酸エステル、N−クロロコハク酸イミド等の塩素化剤を共存させれば、エステル化とRa部分への塩素原子の導入を一段で行うこともできる。
各反応後、生成物の単離精製は有機合成化学で常用される分離精製法、例えば、濾過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、蒸留、再結晶、再沈殿、各種クロマトグラフィー等に付して行うことができる。
次に、本発明の単量体Mの好ましい構造を例示する。
単量体M-14は、3,5−ジエチルテトラヒドロ−2−ピラノールと1.0〜5.0当量のメタクリル酸クロリドまたはメタクリル酸無水物とを公知の方法(例えば、Morris. Zief 「Journal of American Chemical Society」,1950年,72巻,1137−1140頁)に準じて、無溶媒もしくは適当な反応溶媒(トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム等)中で1.0〜10当量の塩基(酢酸ナトリウム、トリエチルアミン、ピリジン等)存在下、−50℃から反応溶媒の還流温度で反応させることにより製造することができる。また、単量体M-14は、3,5−ジエチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピランとメタクリル酸とを無溶媒もしくは適当な反応溶媒(トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム等)中、0.0001〜0.5当量の酸触媒(塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸等)存在下、−50〜100℃の範囲で反応させることにより製造することもできる。
対応する環状ヘミアセタールである3,5−ジエチルテトラヒドロ−2−ピラノール、および対応する環状ビニルエーテルである3,5−ジエチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピランは、下記(A−1)〜(A−3)の方法により製造することができる。
原料における、ホルムアルデヒド(水溶液が好ましい)および塩基性触媒の2−エチル−2−ヘキセナールに対する当量比は特に制限はされないが、前者が0.4〜2、後者が0.01〜0.5である。また水溶性の有機溶媒の量は特に制限されないが、2−エチル−2−ヘキセナールとホルムアルデヒドおよび水との仕込み合計に対して100重量%以下が好ましい。(特開平8−48642号公報またはEP807617A参照)。
(A−2)(A−1)で得られた2,4−ジエチル−5−ヒドロキシ−2−ペンテナール、もしくは3,5−ジエチル−5,6−ジヒドロ−2H−5−ピラノールまたはこれらの混合物の部分水素化反応を、0〜200℃、0.1〜20MPaの水素圧で、適当な反応溶媒(メタノール、エタノール、プロピレングリコール等のアルコール類、THF、ジメトキシエタン、ジオキサン等のエーテル類等)中もしくは無溶媒で水素化触媒(ニッケル、ルテニウム、白金、銅、ロジウム、パラジウム等の金属の1種または2種以上を触媒活性成分として含有するもの、これらの金属にクロム、亜鉛、バリウム、アルミニウム、マグネシウム、タングステン等の金属をさらなる成分として含有するもの等)を分散または懸濁させる方法、あるいは水素化触媒を充填した反応管に原料を供給する方法で行い、3,5−ジエチルテトラヒドロ−2−ピラノールを製造する。水素化触媒および反応溶媒の使用量は、特に限定はされないが、好ましくは、2,4−ジエチル−5−ヒドロキシ−2−ペンテナール、もしくは3,5−ジエチル−5,6−ジヒドロ−2H−5−ピラノールまたはこれらの混合物の総使用量に対して、前者が0.001〜20重量%、後者が100倍量(重量)以下であるのが好ましい。(例えば、WO98/41517号参照)。
(A−3)(A−2)で得られた3,5−ジエチルテトラヒドロ−2−ピラノールを公知の方法(例えば、Stan S.Hall 他 「Journal of Organic Chemistry」, 1979年, 44巻, 第3号,364−368頁参照)に準じて、適当な反応溶媒(ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ジイソプロピルエーテル等)中または無溶媒で、酸触媒(メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、スルファニル酸、酢酸等の有機酸、またはp−トルエンスルホン酸ピリジニウム等の有機酸の酸性塩;「Nafion」レジン、「Amberlyst 15」レジン等の酸型イオン交換樹脂等の酸性基が組込まれたポリマー触媒;塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ポリリン酸、ホウ酸等の鉱酸、または塩化アンモニウム、硫酸水素カリウム、リン酸ニ水素カリウム、リン酸カルシウム等の鉱酸の塩、アルミナ、チタニア、マグネシア、シリカ等の金属酸化物、リンタングステン酸等のヘテロポリ酸、BF3のエーテル錯体等)を共存させる方法か、酸触媒を充填した反応管に原料を供給する方法で50〜300℃の温度で脱水することで3,5−ジエチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピランを製造する。酸触媒および反応溶媒の使用量は、特に限定はされないが、前者は、3,5−ジエチルテトラヒドロ−2−ピラノールに対して0.001〜20重量%、後者は、副生する理論水量の100倍量以下であるのが好ましい。
(B−2)(B−1)で得られた2−エトキシ−3,5−ジエチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピランを公知の方法(例えば、Stan S.Hall 他 「Journal of Organic Chemistry」, 1979年, 44巻, 第3号,364−368頁参照)に準じて、0〜200℃、0.1〜20MPaの水素圧で、適当な反応溶媒(メタノール、エタノール、プロピレングリコール等のアルコール類、THF、ジメトキシエタン、ジオキサン等のエーテル類等)中もしくは無溶媒で水素化触媒(ニッケル、ルテニウム、白金、銅、ロジウム、パラジウム等の金属の1種または2種以上を触媒活性成分として含有するもの、これらの金属にクロム、亜鉛、バリウム、アルミニウム、マグネシウム、タングステン等の金属をさらなる成分として含有するもの等)を分散または懸濁させる方法、あるいは水素化触媒を充填した反応管に原料を供給する方法で水素還元し、2−エトキシ−3,5−ジエチルテトラヒドロピランを製造する。水素化触媒ならびに反応溶媒の使用量は、特に限定はされないが、好ましくは、2−エトキシ−3,5−ジエチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピランに対して、前者が0.001〜20重量%、後者が100重量倍以下であるのが好ましい。
(B−3)(B−2)で得られた2−エトキシ−3,5−ジエチルテトラヒドロピランを公知の方法(例えば、Stan S.Hall 他 「Journal of Organic Chemistry」, 1979年, 44巻, 第3号,364−368頁参照)に準じて適当な反応溶媒(ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ジイソプロピルエーテル等)中または無溶媒で、酸触媒(メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、スルファニル酸、酢酸等の有機酸、またはp−トルエンスルホン酸ピリジニウム等の有機酸の酸性塩;「Nafion」レジン、「Amberlyst 15」レジン等の酸型イオン交換樹脂等の酸性基が組込まれたポリマー触媒;塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ポリリン酸、ホウ酸等の鉱酸、または塩化アンモニウム、硫酸水素カリウム、リン酸ニ水素カリウム、リン酸カルシウム等の鉱酸の塩、アルミナ、チタニア、マグネシア、シリカ等の金属酸化物、リンタングステン酸等のヘテロポリ酸、BF3のエーテル錯体等)を共存させる方法か、酸触媒を充填した反応管に原料を供給する方法で50〜550℃の温度で脱アルコールすることで3,5−ジエチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピランを製造する。酸触媒および反応溶媒の使用量は、特に限定はされないが、前者は、2−エトキシ−3,5−ジエチルテトラヒドロピランに対して0.001〜20重量%、後者は、副生するアルコールの理論量の100倍量以下であるのが好ましい。
(2)ビニル系重合体Pの製造方法
次に、ビニル系重合体Pの製造方法について説明する。
他の共重合可能な単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、イソブチレン、ノルボルネン、ブタジエン等の不飽和脂肪族炭化水素、スチレン、α-メチルスチレン、ジビニルベンゼン等のエチレン性不飽和芳香族炭化水素、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン等の含ハロゲンエチレン性不飽和化合物、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、ビニル酢酸、アリル酢酸、ビニル安息香酸等のエチレン性不飽和カルボン酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、イタコン酸メチル、イタコン酸エチル、マレイン酸メチル、マレイン酸エチル、フマル酸メチル、フマル酸エチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、3-ブテン酸メチル等のエチレン性不飽和カルボン酸エステル、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸無水物、メチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル、(メタ)アクリロニトリル、シアン化アリル、(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−2−ピロリドン等の含窒素単量体、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有単量体等があげられる。単量体Mを他の共重合可能な単量体と共重合させる場合、これら他の共重合可能な単量体は単独使用でも2種以上の併用でもよい。また、単量体Mの共重合組成比としては特に制限はないが、全単量体中、単量体Mが30重量%以上含まれているのが好ましく、50重量%以上含まれているのがより好ましい。
(3)本発明の感放射線レジスト組成物
本発明のビニル系重合体Pは、酸発生剤と混合することにより、感放射線レジスト組成物として使用することができる。
スルホン化合物としては、例えば、β−ケトスルホン、β−スルホニルスルホン、これらのα−ジアゾ化合物等があげられる。より具体的には、フェナシルフェニルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェニルスルホニル)メタン等があげられる。
スルホン酸エステル化合物としては、例えば、アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホナート等があげられる。より具体的には、ベンゾイントシレート、ピロガロールトリス(トリフルオロスルホナート)、ピロガロールメタンスルホン酸トリエステル、ニトロベンジル−9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホナート、α−メチロールベンゾイソシアナート、α−メチロールベンゾインオクタンスルホナート、α−メチロールベンゾイントリフルオロメタンスルホナート、α−メチロールベンゾインドデシルスルホナート等があげられる。
本発明のビニル系重合体Pを感放射線レジスト組成物の成分として使用する場合、該組成物は、有機溶媒(ヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒等)に溶解または分散させ、ウエハー上に塗布して使用するのが好ましい。この際に、有機溶媒は当該重合体に対して、0.5〜100倍量(重量)使用されるのが好ましい。
(4)本発明のカルボキシル基の保護剤
一般式(4)で表される環状ビニルエーテルは、カルボキシル基の保護剤として有用である。中でも、式中、Raが置換基を有してもよいアルキルであり、Rbが水素原子または置換基を有してもよいアルキルであるものが好ましく、さらには、一般式(5)で表される3,4−ジヒドロピラン誘導体は、容易に大量製造が可能であり、カルボキシル基の保護剤としてより好ましく使用できる。
上記において、カルボキシル基の活性水素が一般式(1)で表される環状保護基で置換された基は、加熱処理、酸による処理等により、カルボキシル基に変換させることができる。
また、カルボキシル基の活性水素が一般式(1)で表される環状保護基で置換された基を酸処理によりカルボキシル基に変換させる場合、使用される酸としては、硫酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸等があげられ、中でも、p−トルエンスルホン酸、酢酸が好ましい。酸の使用量は、一般式(1)で表される環状保護基で置換された基1モルに対して、0.01〜50モルであるのが好ましい。酸処理の際の温度は、20〜160℃であるのが好ましい。酸処理の際には、該環状保護基を有する化合物の溶解性により適当な有機溶媒や水を加えてもよく、水−THF等の混合溶媒を使用してもよい。有機溶媒や水の使用量は、該環状保護基を有する化合物に対して、前者が10〜500重量%、後者が0.1〜100重量%であるのが好ましい。
(5)カルボキシル基を有する化合物において、該カルボキシル基の活性水素が、一般式(6)で表される環状保護基で置換された化合物Q
最後に、化合物Qについて説明する。
化合物Qの製造に使用されるカルボキシル基を有する化合物としては、特に制限はなく、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、プロピオール酸、酪酸、イソ酪酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクチル酸、ノナン酸、イソノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、安息香酸、桂皮酸、2−ナフトエ酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸等のモノカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、デカンジ酸、フタル酸、マレイン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸等の多価カルボン酸、乳酸、クエン酸、ヒドロキシピバリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、リンゴ酸等のヒドロキシカルボン酸、アセト酢酸等のケトカルボン酸、コール酸、デオキシコール酸、リトコール酸等のカルボキシ含有ステロイド系化合物、前記、炭素原子間の重合性2重結合とカルボキシル基とを有する単量体、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂等の重合体、カルボキシル基含有ビニル系共重合体、ポリアミド酸等の高分子化合物、前記、炭素原子間の重合性2重結合とカルボキシル基とを有する単量体(化合物)の重合体等があげられ、中でも、前記、炭素原子間の重合性2重結合とカルボキシル基とを有する単量体(化合物)が好ましい。なお、分子内に複数のカルボキシル基を有するものは、その活性水素のうち全てを一般式(6)で表される基で置換してもよいし、一部のみ置換してもよい。
以下、実施例、比較例および試験例により、本発明をさらに具体的に説明する。
エトキシ−1−ブテン127g、2−エチルアクロレイン53g、ジヒドロキノン13mgおよび塩化亜鉛 850mgの混合物を、オートクレーブ中で90℃で4時間攪拌し、水洗後、減圧蒸留(100℃/3.3kPa)することで、2−エトキシ−3,5−ジエチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピランを92g得た。これに、2%パラジウム炭素触媒9gおよびエタノール280gを加え、室温下、オートクレーブ中、水素圧0.7MPaで4時間攪拌した。触媒をろ別し、減圧濃縮することにより、2−エトキシ−3,5−ジエチルテトラヒドロピラン84gを得た。
13C−NMR(CDCl3,δ, ppm) 11.4, 13.0, 25.2, 26.2, 29.7, 34.2, 76.8, 113.7, 137.9.
IR (KBr, cm−1) 1157, 1461, 1668, 2963.
エトキシ−1−ブテンの代わりにエトキシ−1−プロペンを用いて、実施例1と同様の方法により合成した2−エトキシ−5−エチル−3−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン152g、2%パラジウム炭素触媒15gおよびエタノール460gを室温下、オートクレーブ中、水素圧0.7MPaで5時間攪拌した。触媒をろ別し、減圧濃縮することにより、2−エトキシ−5−エチル−3−メチルテトラヒドロピラン142gを得た。さらに実施例1と同様の処理をすることで3−エチル−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピランを81g得た。
13C−NMR(CDCl3,δ, ppm) 11.3, 18.5, 25.1, 31.9, 34.2, 69.3, 108.0, 138.3.
IR (KBr, cm−1) 1156, 1462, 1675, 2962.
2−エチル−2−ヘキセナール157g、37重量%ホルマリン69gおよびメタノール140mlの混合物に、25%水酸化カリウム水溶液18gを滴下し、50℃で4時間撹拌を行って、2,4−ジエチル−5−ヒドロキシ−2−ペンテナール77gと3,5−ジエチル−5,6−ジヒドロ−2H−ピラン−5−オール42gとを含む反応液353gを得た。反応液からメタノールを留去した後、水洗を3回行った有機層にスポンジニッケル触媒8gを加え、水素圧1Mpaで室温から70℃まで2時間かけて昇温した後、水素圧を2.5MPaまで昇圧し、70℃で1時間熟成させた。触媒をろ別後、減圧蒸留(120℃/0.7kPa)して3,5−ジエチルテトラヒドロ−2−ピラノールを97gを得た。これに0.5gのp−トルエンスルホン酸1水和物を加えて留去物がなくなるまで140〜150℃で加熱した。留去物と残渣に10%炭酸ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出後、溶媒を留去し、減圧蒸留(84℃/3.2kPa)することにより、3,5−ジエチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピランを72g得た。
メタクリル酸43gと実施例1で得られる3,5−ジエチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン140gを、p−トルエンスルホン酸1水和物0.95g存在下、室温で4時間攪拌した。反応液を10%炭酸ナトリウム水溶液で洗浄後、減圧濃縮することにより、メタクリル酸3,5−ジエチルテトラヒドロピラン−2−イル66gを得た。
13C−NMR(CDCl3,δ, ppm) 10.8, 11.0, 11.1, 11.2, 11.4, 11.8, 18.2, 18.3, 23.35, 23.39, 23.6, 24.5, 24.8, 25.4, 30.6, 31.6, 34.0, 35.6, 36.9, 37.0, 38.3, 40.8, 41.0, 66.4, 67.2, 71.5, 93.1, 95.4, 98.3, 125.7, 126.5, 136.0, 136.6, 166.0, 166.2.
IR (KBr, cm−1) 1101, 1164, 1638, 1727, 2963.
実施例3で得られた3,5−ジエチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン25gとピリジン40mlの混合物に無水メタクリル酸32gを加え、室温で1日攪拌した。反応液を水300mlに注ぎ、クロロホルム500mlで抽出した。 抽出液を0.5規定塩酸、水、10%炭酸ナトリウム水溶液、水の順で洗浄し、溶媒を留去後、減圧濃縮することにより、メタクリル酸3,5−ジエチルテトラヒドロピラン−2−イルを27g得た。
メタクリル酸43gと実施例2で得られる3−エチル−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン126gを、p−トルエンスルホン酸1水和物0.95g存在下、室温で4時間攪拌した。反応液を10%炭酸ナトリウム水溶液で洗浄後、減圧濃縮することにより、メタクリル酸5−エチル−3−メチルテトラヒドロピラン−2−イル64gを得た。
13C−NMR(CDCl3,δ, ppm) 11.0, 11.3, 16.4, 16.6, 18.2, 18.3, 24.7, 25.3, 32.6, 34.0, 34.9, 37.0, 37.2, 37.4, 66.1, 71.8, 94.1, 99.3, 125.7, 126.4, 136.0, 136.6, 166.2, 166.3.
IR (KBr, cm−1) 1100, 1162, 1638, 1728, 2963.
2,3−ジヒドロ−2H−ピラン22g、メタクリル酸24gとクロロホルム200mlにN−クロロコハク酸イミド35gを加えて、室温で1日攪拌した。反応液をヘキサンに注いだ後、ろ過し、ろ液を10%炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、さらに減圧濃縮することにより、メタクリル酸3−クロロテトラヒドロピラン−2−イルを26g 得た。
13C−NMR(CDCl3,δ, ppm) 18.17, 18.21, 21.8, 25.7, 28.7, 29.1, 55.1, 55.6, 61.1, 63.9, 91.3, 94.4, 126.7, 126.9, 135.7, 135.9, 165.3, 165.6.
IR (KBr, cm−1) 1156, 1637, 1731, 2958.
3,4−ジヒドロ−2H−ピラン の代わりに、2,3−ジヒドロフランを使用して実施例7と同様に処理することにより、メタクリル酸3−クロロテトラヒドロフラン2−イルを得た。
13C−NMR(CDCl3,δ, ppm) 18.1, 32.1, 32.9, 55.5, 59.9, 67.2, 68.1, 95.7, 102.7, 126.6, 126.9, 135.9, 136.0, 165.7, 166.1.
IR (KBr, cm−1) 1158, 1637, 1725, 2984.
実施例4で得られたメタクリル酸3,5−ジエチルテトラヒドロピラン−2−イル30gを、メチルイソブチルケトン120g中、4モル%のα,α’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)存在下、80℃で4時間加熱した。反応液をメタノールへ滴下し、析出沈殿した固体をろ取し、減圧乾燥させることにより、ポリ−メタクリル酸3,5−ジエチルテトラヒドロピラン−2−イル21gを得た。得られた重合体について、セイコ−・インスツルメント株式会社製TG/TDA6200を用い、窒素雰囲気下で、40℃から400℃まで、10℃/分で昇温することにより示差熱天秤分析を行い、重量減少が5%となった温度を熱減量開始温度とした(以下の実施例および比較例においても同様)。その結果、熱減量開始温度は181℃であった。
メタクリル酸3,5−ジエチルテトラヒドロピラン−2−イルの代わりに実施例6で得られたメタクリル酸5−エチル−3−メチルテトラヒドロピラン−2−イルを使って、実施例8と同様の方法により、ポリ−メタクリル酸5−エチル−3−メチルテトラヒドロピラン−2−イルを得た。熱減量開始温度は189℃であった。
メタクリル酸3,5−ジエチルテトラヒドロピラン−2−イルの代わりに実施例7で得られたメタクリル酸3−クロロテトラヒドロピラン−2−イルを使って、実施例9と同様の方法により、ポリ−メタクリル酸3−クロロテトラヒドロピラン−2−イルを得た。熱減量開始温度は191℃であった。
メタクリル酸3,5−ジエチルテトラヒドロピラン−2−イルの代わりに実施例8で得られたメタクリル酸3−クロロテトラヒドロフラン2−イルを使って、実施例9と同様の方法により、ポリメタクリル酸3−クロロテトラヒドロフラン2−イルを得た。熱減量開始温度は189℃であった。
滴下装置、攪拌装置、温度計、冷却管および窒素ガス導入管を備えたフラスコ内に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200gを仕込み、80℃まで加熱し、窒素雰囲気下にて攪拌しながら、メタクリル酸3,5−ジエチルテトラヒドロピラン−2−イル49g、メタクリル酸ブチル140g、メタクリル酸ヒドロキシエチル20gおよび2,2−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(AMBN)16gを均一に溶解したものを滴下装置より2時間かけて滴下した。滴下終了後、30分毎に3回、AMBN/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート=0.2g/1.8gの混合溶液を添加して、80℃で3.5時間熟成し、重合反応を終了した。反応液を室温まで冷却した後、メタノールに室温で滴下して重合物を析出させ、ろ過することにより、目的のビニル系共重合体127gを取得した。該共重合体の重量平均分子量を、下記の分析条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したところ 15,000であった。
機器:HLC−8120GPC(東ソー(株)製)
カラム:TSKgel SuperHM−M(東ソー(株)製)
移動相:テトラヒドロフラン(流速0.5ml/分)
カラムオーブン:40℃
検出器:RI[RI−8000(東ソー(株)製)]
実施例13で得られたビニル系共重合体20gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート80gに溶解し、これにジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート(アルドリッチ社製)1重量%を配合して、感放射線レジスト組成物を得た。
このレジスト組成物をヘキサメチルジシラザンで処理したSi基板に塗布して膜厚1μmのレジスト膜を作成し、下記の条件で露光現像したところ、2μmのライン・アンド・スペースパターンを規定の線幅通りに解像した。
(露光および現像条件)
プリベーク :100℃×10分
露光:ウシオ電機(株)製超高圧低圧水銀灯(254nm)
露光量: 8mJ/cm2
ポストエクスポジュアーベーク:120℃×2分
現像液:2.38重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液
メタクリル酸3,5−ジエチルテトラヒドロピラン−2−イルの代わりにメタクリル酸テトラヒドロピラン−2−イルを用いる以外は、実施例9と同様の方法で得たポリ−メタクリル酸テトラヒドロピラン−2−イルの熱減量開始温度は141℃であった。
メタクリル酸3,5−ジエチルテトラヒドロピラン−2−イルの代わりにメタクリル酸テトラヒドロフラン2−イルを用いる以外は、実施例9と同様の方法で得たポリ−メタクリル酸テトラヒドロフラン2−イルの熱減量開始温度は152℃であった。
Claims (14)
- 炭素原子間の重合性2重結合とカルボキシル基とを有する単量体において該カルボキシル基の活性水素が、一般式(1)
- RcおよびRdが水素原子であり、Reが水素原子またはアルキルであり、Lが単結合である請求項2記載の環状保護基で置換された単量体。
- Raが置換基を有してもよいアルキルであり、Rbが水素原子または置換基を有してもよいアルキルである請求項1〜3のいずれかに記載の環状保護基で置換された単量体。
- Raが置換基を有してもよいアルキルであり、Rbが水素原子または置換基を有してもよいアルキルであり、Aが無置換もしくはアルキル置換のエチレンまたは無置換もしくはアルキル置換のプロピレンである請求項1〜3のいずれかに記載の環状保護基で置換された単量体。
- 重量平均分子量が1,000〜100,000である請求項6記載のビニル系重合体。
- Raが置換基を有してもよいアルキルであり、Rbが水素原子または置換基を有してもよいアルキルであり、RcおよびRdが水素原子であり、Reが水素原子またはアルキルであり、Lが単結合である請求項6または7記載のビニル系重合体。
- Raが置換基を有してもよいアルキルであり、Rbが水素原子または置換基を有してもよいアルキルであり、Aが無置換もしくはアルキル置換のエチレンまたは無置換もしくはアルキル置換のプロピレンであり、RcおよびRdが水素原子であり、Reが水素原子またはアルキルであり、Lが単結合である請求項6または7記載のビニル系重合体。
- 請求項6〜9のいずれかに記載のビニル系重合体と酸発生剤を含有する感放射線レジスト組成物。
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-
2004
- 2004-06-09 JP JP2004170710A patent/JP2005350527A/ja active Pending
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