JP2005350527A - 環状保護基で置換された単量体および重合体 - Google Patents

環状保護基で置換された単量体および重合体 Download PDF

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Katsuhiro Ito
克浩 伊東
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洋史 松岡
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Abstract

【課題】 本発明の目的は、熱安定性に優れた環状保護基を有する単量体および重合体を提供することにある。
【解決手段】 本発明は、炭素原子間の重合性2重結合とカルボキシル基とを有する単量体において該カルボキシル基の活性水素が、一般式(1)
【化22】
Figure 2005350527

(式中、Raは塩素原子、置換基を有してもよいアルキル、置換基を有してもよいアルケニル等を表し、Rbは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル、置換基を有してもよいアルケニル等を表し、RaとRbは隣接するC−Cと一緒になって、環構造を形成してもよく、Aは置換基を有してもよいエチレンまたは置換基を有してもよいプロピレンを表す)で表される環状保護基で置換された単量体等を提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、レジスト、医農薬原料、有機合成中間体、樹脂改質剤、樹脂原料、塗料原料、顔料原料、香粧品原料等の用途に有用である環状保護基で置換された単量体、重合体等に関する。
メタクリル酸テトラヒドロピラン−2−イルに代表される分子内に炭素原子間の重合性2重結合と環状アセタールエステル基を併せもつ化合物は、酸の作用による分解で溶解性を容易に変化することができるので、感放射線レジスト樹脂用の原料として広く知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、無置換のテトラヒドロピラニルエステルは熱分解し易く、熱安定性が悪いという欠点がある。このため、重合によるレジスト樹脂の合成工程、レジストとして使用する工程での乾燥、露光前後での加熱等において熱安定性が悪く、所定のパターンを高精度に形成できず、実用上、満足されるものではなかった。
特開平5−17711号公報
本発明の目的は、熱安定性に優れた環状保護基を有する単量体および重合体を提供することにある。
本発明は、以下の[1]〜[14]を提供する。
[1] 炭素原子間の重合性2重結合とカルボキシル基とを有する単量体において該カルボキシル基の活性水素が、一般式(1)
Figure 2005350527
(式中、Raは、塩素原子、置換基を有してもよいアルキル、置換基を有してもよいアルケニル、置換基を有してもよいアリール、置換基を有してもよいアラルキル、置換基を有してもよいアルコキシ、置換基を有してもよいアルコキシカルボニル、置換基を有してもよいアリールオキシ、置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル、置換基を有してもよいアルカノイル、置換基を有してもよいアロイル、置換基を有してもよいアルカノイルオキシ、置換基を有してもよいアロイルオキシ、置換基を有してもよいアルケニルオキシ、またはシアノを表し、Rbは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル、置換基を有してもよいアルケニル、置換基を有してもよいアリール、置換基を有してもよいアラルキル、置換基を有してもよいアルコキシ、置換基を有してもよいアルコキシカルボニル、置換基を有してもよいアリールオキシ、置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル、置換基を有してもよいアルカノイル、置換基を有してもよいアロイル、置換基を有してもよいアルカノイルオキシ、置換基を有してもよいアロイルオキシ、置換基を有してもよいアルケニルオキシ、またはシアノを表し、RaとRbは隣接するC−Cと一緒になって、環構造を形成してもよく、Aは置換基を有してもよいエチレンまたは置換基を有してもよいプロピレンを表す)で表される環状保護基で置換された単量体。
[2] 炭素原子間の重合性2重結合とカルボキシル基とを有する単量体が、一般式(2)
Figure 2005350527
(式中、Rc、RdおよびReは、同一または異なって、アルキル、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、保護基で保護されたヒドロキシアルキル、保護基で保護されたヒドロキシ、または保護基で保護されたカルボキシを表し、Lは単結合または2価の連結基を表す)で表される単量体である[1]記載の環状保護基で置換された単量体。
[3] RcおよびRdが水素原子であり、Reが水素原子またはアルキルであり、Lが単結合である[2]記載の環状保護基で置換された単量体。
[4] Raが置換基を有してもよいアルキルであり、Rbが水素原子または置換基を有してもよいアルキルである[1]〜[3]のいずれかに記載の環状保護基で置換された単量体。
[5] Raが置換基を有してもよいアルキルであり、Rbが水素原子または置換基を有してもよいアルキルであり、Aが無置換もしくはアルキル置換のエチレンまたは無置換もしくはアルキル置換のプロピレンである[1]〜[3]のいずれかに記載の環状保護基で置換された単量体。
[6] 一般式(3)
Figure 2005350527
(式中、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、AおよびLは、それぞれ前記と同義である)で表される構造単位を含むことを特徴とするビニル系重合体。
[7] 重量平均分子量が1,000〜100,000である[6]記載のビニル系重合体。
[8] Raが置換基を有してもよいアルキルであり、Rbが水素原子または置換基を有してもよいアルキルであり、RcおよびRdが水素原子であり、Reが水素原子またはアルキルであり、Lが単結合である[6]または[7]記載のビニル系重合体。
[9] Raが置換基を有してもよいアルキルであり、Rbが水素原子または置換基を有してもよいアルキルであり、Aが無置換もしくはアルキル置換のエチレンまたは無置換もしくはアルキル置換のプロピレンであり、RcおよびRdが水素原子であり、Reが水素原子またはアルキルであり、Lが単結合である[6]または[7]記載のビニル系重合体。
[10] [6]〜[9]のいずれかに記載のビニル系重合体と酸発生剤を含有する感放射線レジスト組成物。
[11] 一般式(4)
Figure 2005350527
(式中、Ra、RbおよびAは、それぞれ前記と同義である)で表される環状ビニルエーテルを含有するカルボキシル基の保護剤。
[12] 一般式(5)
Figure 2005350527
(式中、Ra1およびRfは、同一または異なって、置換基を有してもよいアルキルを表す)で表される環状ビニルエーテルを含有するカルボキシル基の保護剤。
[13] 一般式(5)
Figure 2005350527
(式中、Ra1およびRfは、それぞれ前記と同義である)で表される3,4−ジヒドロピラン誘導体。
[14] カルボキシル基を有する化合物において、該カルボキシル基の活性水素が、一般式(6)
Figure 2005350527
(式中、RaおよびRfは、それぞれ前記と同義である)で表される環状保護基で置換された化合物。
以下、[1]記載の単量体を単量体M、[6]記載のビニル系重合体をビニル系重合体P、[14]記載の化合物を化合物Qと表現することもある。
本発明により、熱安定性に優れた環状保護基を有する単量体および重合体を提供することができる。
一般式中の各基の定義において、アルキルならびにアルコキシおよびアルコキシカルボニルのアルキル部分としては、鎖状、分岐状または環状のアルキルがあげられる。鎖状または分岐状のアルキルとしては、例えば、炭素数1〜18のものがあげられ、その具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、オクタデシル等があげられ、中でも炭素数1〜6のアルキルが好ましく、さらには炭素数1〜3のアルキルがより好ましい。環状のアルキルとしては、例えば、炭素数3〜12のものがあげられ、その具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル等があげられる。
アルケニルおよびアルケニルオキシのアルケニル部分としては、例えば、炭素数2〜10の、ビニル、1−プロペニル、アリル、ブテニル、デセニル等があげられる。
アリールならびにアラルキル、アリールオキシおよびアリールオキシカルボニルのアリール部分としては、例えば、炭素数6〜14の、フェニル、ナフチル等があげられる。
アラルキルのアルキル部分は前記アルキルと同義である。
アルカノイルおよびアルカノイルオキシのアルカノイル部分としては、例えば、炭素数1〜10の、ホルミル、アセチル、ブチリル、バレリル、デカノイル等があげられる。
アロイルおよびアロイルオキシのアロイル部分としては、例えば、炭素数7〜15の、ベンゾイル等があげられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子があげられる。
アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルコキシカルボニル、アルカノイル、アルカノイルオキシおよびアルケニルオキシの置換基としては、例えば、同一または異なって1〜3個の置換基、具体的には、ヒドロキシ、カルボキシ、ハロゲン原子、アルコキシ、アルコキシアルコキシ等があげられる。ハロゲン原子およびアルコキシのアルキル部分は、それぞれ前記と同義である。アルコキシアルコキシの2つのアルキル部分は、それぞれ前記アルキルと同義である。
アラルキル、アリール、アリールオキシ、アリールオキシカルボニル、アロイルおよびアロイルオキシの置換基としては、例えば、同一または異なって1〜5個の置換基、具体的には、ヒドロキシ、カルボキシ、ハロゲン原子、アルキル、アルコキシ、ニトロ、置換基を有していてもよいアミノ等があげられる。ハロゲン原子、アルキルおよびアルコキシのアルキル部分は、それぞれ前記と同義である。アミノの置換基としては、例えば、同一または異なって1または2個の置換基、具体的には、アルキル、アラルキル、アリール等があげられる。アミノの置換基で例示したアルキル、アラルキルのアリール部分およびアリールは、それぞれ前記と同義である。
RaとRbが隣接するC−Cと一緒になって形成する環構造としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロペンテン、1,3−シクロペンタジエン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン等の炭素数3〜8の脂肪族炭化水素環、オキソラン、オキサン等の少なくとも1つの酸素原子を含む炭素数5〜8の含酸素脂肪族複素環等があげられる。
エチレンおよびプロピレンの置換基としては、例えば、同一または異なって1〜3個の置換基、具体的には、ハロゲン原子、アルキル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ブロモメチル等の炭素数1〜6のハロゲノアルキル等があげられる。ハロゲン原子ならびにアルキル、アルコキシおよびアルコキシカルボニルのアルキル部分は、それぞれ前記と同義である。
ヒドロキシアルキルのアルキル部分は、前記アルキルと同義である。
保護基で保護されたヒドロキシアルキル、保護基で保護されたヒドロキシおよび保護基で保護されたカルボキシにおける保護基としては、有機合成の分野で公知または慣用のヒドロキシもしくはカルボキシの保護基、一般式(1)で表される環状保護基等があげられる。
保護基で保護されたヒドロキシおよび保護基で保護されたヒドロキシアルキルの保護基で保護されたヒドロキシ部分としては、例えば、アセトキシ、プロピオニルオキシ、トリフルオロアセチルオキシ等の(ハロゲン原子等の)置換基を有していてもよいアルカノイルオキシ;ベンゾイルオキシ等のアロイルオキシ;メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、tert−ブトキシカルボニルオキシ等のアルコキシカルボニルオキシ;べンジルオキシカルボニルオキシ等のアラルキルオキシカルボニルオキシ;メトキシメトキシ、エトキシエトキシ等のアルコキシアルコキシ;テトラヒドロピラニルオキシ、テトラヒドロフラニルオキシ等があげられる。
保護基で保護されたカルボキシとしては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル等のアルコキシカルボニル;ベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキシカルボニル等の置換基を有していてもよいアラルキルオキシカルボニル;p−メチルフェノキシカルボニル、p−メトキシフェノキシカルボニル等の置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル;3−クロロテトラヒドロピラン−2−イルオキシカルボニル、3−クロロテトラヒドロフラン2−イルオキシカルボニル、3−アルキルテトラヒドロピラン−2−イルオキシカルボニル、3,5−ジアルキルテトラヒドロピラン−2−イルオキシカルボニル、3−アルキルテトラヒドロフラン2−イルオキシカルボニル等があげられる。
2価の連結基としては、アルキレン、シクロアルキレン、アルケニレン、アリーレン、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合等があげられる。
アルキレンとしては、例えば、炭素数1〜8の、好ましくは炭素数1〜3の、メチレン、エチレン、プロピレン等があげられ、シクロアルキレンとしては、例えば、炭素数3〜10の、好ましくは炭素数5〜8のシクロペンチレン、シクロヘキシレン等があげられ、アルケニレンとしては、例えば、炭素数2〜8の、好ましくは炭素数2〜6のエテニレン、プロペニレン、ブテニレン等があげられ、アリーレンとしては、例えば、炭素数6〜20の、好ましくは炭素数6〜15のフェニレン、ナフチレン等があげられる。
炭素原子間の重合性2重結合とカルボキシル基とを有する単量体としては、特に限定されないが、具体例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、3−ブテン酸、4−ペンテン酸、4−ヘキセン酸、オレイン酸、エライジン酸、ビニル酢酸、アリル酢酸、シクロヘキセンカルボン酸、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、オキサビシクロ[2,2,1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸、ケイ皮酸、アトロパ酸、ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、ビシクロ[2,2,2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸等の不飽和ジカルボン酸、一般式(2)
Figure 2005350527
(式中、Rc、Rd、ReおよびLは、それぞれ前記と同義である)で表される単量体等があげられる。中でも、一般式(2)で表される単量体が好ましく、さらには、一般式(2)で表される単量体において、RcおよびRdが水素原子であり、Reが水素原子またはアルキル(中でもメチル)であり、Lが単結合である単量体がより好ましい。
ここで、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸およびメタクリル酸を表し、他の誘導体についても同様に表現する。
また、一般式(1)
Figure 2005350527
(式中、Ra、RbおよびAはそれぞれ前記と同義である)で表される環状保護基において、Raが置換基を有してもよいアルキルであり、Rbが水素原子または置換基を有してもよいアルキルであるのが好ましく、さらには、Raが置換基を有してもよいアルキルであり、Rbが水素原子または置換基を有してもよいアルキルであり、Aが置換基を有してもよいエチレンまたは置換基を有してもよいプロピレンであるのがより好ましい。
本発明のビニル系重合体Pにおいては、Raが置換基を有してもよいアルキルであり、Rbが水素原子または置換基を有してもよいアルキルであり、RcおよびRdが水素原子であり、Reが水素原子またはアルキルであり、Lが単結合であるのが好ましく、中でも、Raが置換基を有してもよいアルキルであり、Rbが水素原子または置換基を有してもよいアルキルであり、Aが無置換もしくはアルキル置換のエチレンまたは無置換もしくはアルキル置換のプロピレンであり、RcおよびRdが水素原子であり、Reが水素原子またはアルキルであり、Lが単結合であるのがより好ましい。
(1)本発明の単量体Mの製造方法
以下に、本発明の単量体Mの製造方法について説明する。
単量体Mは、炭素原子間の重合性2重結合とカルボキシル基とを有する単量体と対応する環状ビニルエーテル、または炭素原子間の重合性2重結合とカルボキシル基とを有する単量体の誘導体と対応する環状ヘミアセタールとを反応させることにより製造することができる。炭素原子間の重合性2重結合とカルボキシル基とを有する単量体の誘導体としては、例えば、酸ハロゲン化物、酸無水物、エステル、塩等があげられ、酸ハロゲン化物または酸無水物が好ましい。
単量体Mの原料である炭素原子間の重合性2重結合とカルボキシル基とを有する単量体は、公知の方法(例えば、特開平10−239846号公報)に準じて、例えば、メタクリロイルエチルイソシアナートとヒドロキシカルボン酸との反応等により製造することができ、各種市販品を購入して入手することもできる。
対応する環状ビニルエーテルとしては、一般式(4)
Figure 2005350527
(式中、Ra、RbおよびAは、それぞれ前記と同義である)で表される環状ビニルエーテルが好ましく、その好ましい具体例としては、4−メチル−2,3−ジヒドロフラン、4−エチル−2,3−ジヒドロフラン、4−プロピル−2,3−ジヒドロフラン、4−イソプロピル−2,3−ジヒドロフラン、4,5−ジメチル−2,3−ジヒドロフラン、3,4−ジメチル−2,3−ジヒドロフラン、2,4−ジメチル−2,3−ジヒドロフラン、4−エチル−3−メチル−2,3−ジヒドロフラン、4−エチル−2−メチル−2,3−ジヒドロフラン、3,4−ジエチル−2,3−ジヒドロフラン、2,4−ジエチル−2,3−ジヒドロフラン、2−イソプロピル−4−メチル−2,3−ジヒドロフラン、3−エチル−4−プロピル−2,3−ジヒドロフラン、4−ブチル−2−メチル−2,3−ジヒドロフラン、3,4−ジブチル−2,3−ジヒドロフラン、4−ヘキシル−3−メチル−2,3−ジヒドロフラン、2,2,4−トリメチル−2,3−ジヒドロフラン、2,4,5−トリメチル−2,3−ジヒドロフラン、3,3,4−トリエチル−2,3−ジヒドロフラン、2−ブトキシ−4−メチル−2,3−ジヒドロフラン、2−エトキシ−4−メチル−2,3−ジヒドロフラン、2−ブトキシ−4−イソプロピル−2,3−ジヒドロフラン、5−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、5−エチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、5−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、5−イソプロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、4,5−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、5,6−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、2,5−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、3,5−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、5−エチル−2−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、3−エチル−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、3,5−ジエチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、5−プロピル−2−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、2,2,5−トリメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、2,5,6−トリメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、5−メチル−2−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、2−エトキシ−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、2−ブトキシ−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、3,5−ジメチル−2−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、3,5−ジエチル−2−エトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、2−エトキシ−5−エチル−4−プロピル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン等があげられる。
対応する環状ヘミアセタールは、公知の方法(例えば、Pher G.Andersson 他 「Journal of Organic Chemistry」, 1998年, 63巻, 第17号,6007−6015頁)であるラクトンの還元反応、後述の方法(例えば、WO98/41517号)等により製造することができる。対応する環状ビニルエーテルは、公知の方法(例えば、Stan S.Hall, 他1名 「Journal of Organic Chemistry」, 1979年, 44巻, 第3号,364−368頁)である環状アセタールの脱アルコール、環状ヘミアセタールの脱水等により製造することができる。
対応する環状ヘミアセタールと、炭素原子間の重合性2重結合とカルボキシル基とを有する単量体の誘導体との反応は、公知の方法(例えば、Morris. Zief 「Journal of American Chemical Society」,1950年,72巻,1137−1140頁)に準じて、行うことができる。
対応する環状ビニルエーテルと炭素原子間の重合性2重結合とカルボキシル基とを有する単量体との反応は、公知の方法(例えば、Stan S.Hall 他1名 「Journal of Organic Chemistry」, 1977年, 42巻, 第6号,1057−1062頁)に準じて行うことができ、対応する環状ビニルエーテルにおいてRaに相当する基が水素原子である化合物を用いて、Raが塩素原子である化合物を製造する場合、次亜塩素酸エステル、N−クロロコハク酸イミド等の塩素化剤を共存させれば、エステル化とRa部分への塩素原子の導入を一段で行うこともできる。
塩素化剤を使用しない場合は、反応を促進する目的で0.0001〜0.5当量の酸触媒(p−トルエンスルホン酸等)を使用するのが好ましい。カルボキシル基に対する対応する環状ビニルエーテルの当量比は特に制限されないが、当量比を調節することで、保護基の導入率を調節することもできる。反応温度は、−78℃〜150℃であるのが好ましく、−50℃〜100℃であるのがより好ましい。反応に際し、溶媒を用いてもよい。溶媒としては、アルコール以外の有機溶媒が好ましく、例えば、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒、トルエン等の炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、これらの混合溶媒等があげられる。
各反応後、生成物の単離精製は有機合成化学で常用される分離精製法、例えば、濾過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、蒸留、再結晶、再沈殿、各種クロマトグラフィー等に付して行うことができる。
なお、本発明の単量体Mにおいては立体異性体が複数存在する場合もあるが、本発明は、これら単独または混合物のいずれも包含する。
次に、本発明の単量体Mの好ましい構造を例示する。
Figure 2005350527
Figure 2005350527
また、前記の単量体M-14の製造方法を例にあげ、さらに該製造方法を詳細に説明する。
単量体M-14は、3,5−ジエチルテトラヒドロ−2−ピラノールと1.0〜5.0当量のメタクリル酸クロリドまたはメタクリル酸無水物とを公知の方法(例えば、Morris. Zief 「Journal of American Chemical Society」,1950年,72巻,1137−1140頁)に準じて、無溶媒もしくは適当な反応溶媒(トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム等)中で1.0〜10当量の塩基(酢酸ナトリウム、トリエチルアミン、ピリジン等)存在下、−50℃から反応溶媒の還流温度で反応させることにより製造することができる。また、単量体M-14は、3,5−ジエチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピランとメタクリル酸とを無溶媒もしくは適当な反応溶媒(トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム等)中、0.0001〜0.5当量の酸触媒(塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸等)存在下、−50〜100℃の範囲で反応させることにより製造することもできる。
対応する環状ヘミアセタールである3,5−ジエチルテトラヒドロ−2−ピラノール、および対応する環状ビニルエーテルである3,5−ジエチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピランは、下記(A−1)〜(A−3)の方法により製造することができる。
Figure 2005350527
(A−1)2−エチル−2−ヘキセナールとホルムアルデヒドを、塩基性触媒を用い、好ましくは水溶性の有機溶媒(メタノール、エタノール、プロピレングリコール等のアルコール類、テトラヒドロフラン(THF)、ジメトキシエタン、ジオキサン等のエーテル類等)の存在下で、15〜100℃で反応させ、2,4−ジエチル−5−ヒドロキシ−2−ペンテナールおよび3,5−ジエチル−5,6−ジヒドロ−2H−5−ピラノールの混合物を得る。
原料における、ホルムアルデヒド(水溶液が好ましい)および塩基性触媒の2−エチル−2−ヘキセナールに対する当量比は特に制限はされないが、前者が0.4〜2、後者が0.01〜0.5である。また水溶性の有機溶媒の量は特に制限されないが、2−エチル−2−ヘキセナールとホルムアルデヒドおよび水との仕込み合計に対して100重量%以下が好ましい。(特開平8−48642号公報またはEP807617A参照)。
(A−2)(A−1)で得られた2,4−ジエチル−5−ヒドロキシ−2−ペンテナール、もしくは3,5−ジエチル−5,6−ジヒドロ−2H−5−ピラノールまたはこれらの混合物の部分水素化反応を、0〜200℃、0.1〜20MPaの水素圧で、適当な反応溶媒(メタノール、エタノール、プロピレングリコール等のアルコール類、THF、ジメトキシエタン、ジオキサン等のエーテル類等)中もしくは無溶媒で水素化触媒(ニッケル、ルテニウム、白金、銅、ロジウム、パラジウム等の金属の1種または2種以上を触媒活性成分として含有するもの、これらの金属にクロム、亜鉛、バリウム、アルミニウム、マグネシウム、タングステン等の金属をさらなる成分として含有するもの等)を分散または懸濁させる方法、あるいは水素化触媒を充填した反応管に原料を供給する方法で行い、3,5−ジエチルテトラヒドロ−2−ピラノールを製造する。水素化触媒および反応溶媒の使用量は、特に限定はされないが、好ましくは、2,4−ジエチル−5−ヒドロキシ−2−ペンテナール、もしくは3,5−ジエチル−5,6−ジヒドロ−2H−5−ピラノールまたはこれらの混合物の総使用量に対して、前者が0.001〜20重量%、後者が100倍量(重量)以下であるのが好ましい。(例えば、WO98/41517号参照)。
(A−3)(A−2)で得られた3,5−ジエチルテトラヒドロ−2−ピラノールを公知の方法(例えば、Stan S.Hall 他 「Journal of Organic Chemistry」, 1979年, 44巻, 第3号,364−368頁参照)に準じて、適当な反応溶媒(ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ジイソプロピルエーテル等)中または無溶媒で、酸触媒(メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、スルファニル酸、酢酸等の有機酸、またはp−トルエンスルホン酸ピリジニウム等の有機酸の酸性塩;「Nafion」レジン、「Amberlyst 15」レジン等の酸型イオン交換樹脂等の酸性基が組込まれたポリマー触媒;塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ポリリン酸、ホウ酸等の鉱酸、または塩化アンモニウム、硫酸水素カリウム、リン酸ニ水素カリウム、リン酸カルシウム等の鉱酸の塩、アルミナ、チタニア、マグネシア、シリカ等の金属酸化物、リンタングステン酸等のヘテロポリ酸、BFのエーテル錯体等)を共存させる方法か、酸触媒を充填した反応管に原料を供給する方法で50〜300℃の温度で脱水することで3,5−ジエチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピランを製造する。酸触媒および反応溶媒の使用量は、特に限定はされないが、前者は、3,5−ジエチルテトラヒドロ−2−ピラノールに対して0.001〜20重量%、後者は、副生する理論水量の100倍量以下であるのが好ましい。
また、3,5−ジエチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピランは、下記(B−1)〜(B−3)の方法によっても製造することができる。
Figure 2005350527
(B−1)エトキシ−1−ブテンと2−エチルアクロレインを、30〜280℃の温度、圧力0.1〜10MPaで、30分間〜7日間、ヘテロDiels-Alder反応させることにより、2−エトキシ−3,5−ジエチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピランを得る(例えば、Y.I.Chumakov, 他 「Ukrainskii Khimicheskii Zhurnal」, 1965年,31巻, 第6号,597−600頁、「Chemical Abstracts」, 1965年, 63巻, 11492b参照)。
(B−2)(B−1)で得られた2−エトキシ−3,5−ジエチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピランを公知の方法(例えば、Stan S.Hall 他 「Journal of Organic Chemistry」, 1979年, 44巻, 第3号,364−368頁参照)に準じて、0〜200℃、0.1〜20MPaの水素圧で、適当な反応溶媒(メタノール、エタノール、プロピレングリコール等のアルコール類、THF、ジメトキシエタン、ジオキサン等のエーテル類等)中もしくは無溶媒で水素化触媒(ニッケル、ルテニウム、白金、銅、ロジウム、パラジウム等の金属の1種または2種以上を触媒活性成分として含有するもの、これらの金属にクロム、亜鉛、バリウム、アルミニウム、マグネシウム、タングステン等の金属をさらなる成分として含有するもの等)を分散または懸濁させる方法、あるいは水素化触媒を充填した反応管に原料を供給する方法で水素還元し、2−エトキシ−3,5−ジエチルテトラヒドロピランを製造する。水素化触媒ならびに反応溶媒の使用量は、特に限定はされないが、好ましくは、2−エトキシ−3,5−ジエチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピランに対して、前者が0.001〜20重量%、後者が100重量倍以下であるのが好ましい。
(B−3)(B−2)で得られた2−エトキシ−3,5−ジエチルテトラヒドロピランを公知の方法(例えば、Stan S.Hall 他 「Journal of Organic Chemistry」, 1979年, 44巻, 第3号,364−368頁参照)に準じて適当な反応溶媒(ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ジイソプロピルエーテル等)中または無溶媒で、酸触媒(メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、スルファニル酸、酢酸等の有機酸、またはp−トルエンスルホン酸ピリジニウム等の有機酸の酸性塩;「Nafion」レジン、「Amberlyst 15」レジン等の酸型イオン交換樹脂等の酸性基が組込まれたポリマー触媒;塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ポリリン酸、ホウ酸等の鉱酸、または塩化アンモニウム、硫酸水素カリウム、リン酸ニ水素カリウム、リン酸カルシウム等の鉱酸の塩、アルミナ、チタニア、マグネシア、シリカ等の金属酸化物、リンタングステン酸等のヘテロポリ酸、BFのエーテル錯体等)を共存させる方法か、酸触媒を充填した反応管に原料を供給する方法で50〜550℃の温度で脱アルコールすることで3,5−ジエチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピランを製造する。酸触媒および反応溶媒の使用量は、特に限定はされないが、前者は、2−エトキシ−3,5−ジエチルテトラヒドロピランに対して0.001〜20重量%、後者は、副生するアルコールの理論量の100倍量以下であるのが好ましい。
(2)ビニル系重合体Pの製造方法
次に、ビニル系重合体Pの製造方法について説明する。
ビニル系重合体Pとしては、例えば、単量体Mの重合体等があげられる。該重合体は、1種類の単量体Mを単独重合して得られるものであってもよいし、単量体Mを2種以上用いて共重合して得られるものでもあってもよいし、単量体Mを他の共重合可能な単量体と共重合して得られるものもよい。
他の共重合可能な単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、イソブチレン、ノルボルネン、ブタジエン等の不飽和脂肪族炭化水素、スチレン、α-メチルスチレン、ジビニルベンゼン等のエチレン性不飽和芳香族炭化水素、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン等の含ハロゲンエチレン性不飽和化合物、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、ビニル酢酸、アリル酢酸、ビニル安息香酸等のエチレン性不飽和カルボン酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、イタコン酸メチル、イタコン酸エチル、マレイン酸メチル、マレイン酸エチル、フマル酸メチル、フマル酸エチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、3-ブテン酸メチル等のエチレン性不飽和カルボン酸エステル、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸無水物、メチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル、(メタ)アクリロニトリル、シアン化アリル、(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−2−ピロリドン等の含窒素単量体、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有単量体等があげられる。単量体Mを他の共重合可能な単量体と共重合させる場合、これら他の共重合可能な単量体は単独使用でも2種以上の併用でもよい。また、単量体Mの共重合組成比としては特に制限はないが、全単量体中、単量体Mが30重量%以上含まれているのが好ましく、50重量%以上含まれているのがより好ましい。
単量体Mの重合方法は、一般的に使用される方法であれば特に制限されず、単量体や重合媒体の種類等に応じて、ラジカル重合、イオン重合(J.E.Kearnsら「J. Macromol. Sci. Chem.」、A8巻、(4号)、673〜685頁、(1974)等)等を実施することができる。例えば、ラジカ重合の場合、単量体の混合物を無溶媒でまたは適当な溶媒に溶解し、好ましくは窒素等の不活性ガス雰囲気下、ラジカル重合開始剤を添加して攪拌することによって行うことができる。
溶媒を使用する場合は、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、シクロヘキサン等の飽和炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;アセトン、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等のヘテロ原子を含む極性有機溶媒等、各種溶媒を使用することができ、単量体の溶解性により適宜選択すればよい。
また、ラジカル重合開始剤としては、例えば、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス−2−メチルブチロニトリル等のアゾビス系重合開始剤;ベンゾイルパーオキシド、クメンヒドロパーオキサイド、tert−ブチルヒドロパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤等を使用することができ、ラジカル重合の際の温度は、通常30〜150℃であるのが好ましく、50〜100℃であるのがより好ましく、反応時間は、通常1〜24時間である。
本発明のビニル系重合体Pの重量平均分子量は、1,000〜100,000であるのが好ましく、1,000〜50,000であるのがより好ましい。
(3)本発明の感放射線レジスト組成物
本発明のビニル系重合体Pは、酸発生剤と混合することにより、感放射線レジスト組成物として使用することができる。
本発明の感放射線レジスト組成物に用いられる酸発生剤としては、熱、近赤外線、可視光、紫外線、遠紫外線、X線、電子線等の放射線、好ましくは300nm以下の波長の放射線の作用によって、酸を発生するものが好ましく、かかる作用を有するものであれば、特に制限はなく、例えば、オニウム塩化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、ジアゾスルホン化合物、ジスルホニルメタン化合物、スルホンイミド化合物、ニトロベンジル化合物、ナフトキノンジアジド化合物等を用いることができる。
オニウム塩化合物としては、例えば、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩等があげられる。より具体的には、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフロオロメタンスルホナート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロブタンスルホナート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホナート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム−10−カンファースルホナート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム−p−トルエンスルホナート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロブタンスルホナート、ジフェニルヨードニウム−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホナート、ジフェニルヨードニウム−10−カンファースルホナート、ジフェニルヨードニウム−p−トルエンスルホナート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホナート、トリフェニルスルホニウム−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホナート、トリフェニルスルホニウム−10−カンファースルホナート、トリフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホナート、4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホナート、4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホナート、4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム−10−カンファースルホナート、4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホナート、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホナート、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホナート、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム−10−カンファースルホナート、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホナート等があげられる。
スルホン化合物としては、例えば、β−ケトスルホン、β−スルホニルスルホン、これらのα−ジアゾ化合物等があげられる。より具体的には、フェナシルフェニルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェニルスルホニル)メタン等があげられる。
スルホン酸エステル化合物としては、例えば、アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホナート等があげられる。より具体的には、ベンゾイントシレート、ピロガロールトリス(トリフルオロスルホナート)、ピロガロールメタンスルホン酸トリエステル、ニトロベンジル−9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホナート、α−メチロールベンゾイソシアナート、α−メチロールベンゾインオクタンスルホナート、α−メチロールベンゾイントリフルオロメタンスルホナート、α−メチロールベンゾインドデシルスルホナート等があげられる。
スルホンイミド化合物としては、例えば、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−ジオキシ−2,3−ジカルボキシミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)フタルイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシミド、N−(カンファースルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシミド、N−(カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−ジオキシ−2,3−ジカルボキシミド、N−(カンファースルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−ジオキシ−2,3−ジカルボキシミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−ジオキシ−2,3−ジカルボキシミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−ジオキシ−2,3−ジカルボキシミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ナフチルイミド等があげられる。
酸発生剤の配合量は、ビニル系重合体Pに対して100重量部あたり0.01〜50重量部であるのが好ましく、0.1〜30重量部であるのがより好ましく、さらには0.5〜25重量部であるのがより好ましい。
本発明のビニル系重合体Pを感放射線レジスト組成物の成分として使用する場合、該組成物は、有機溶媒(ヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒等)に溶解または分散させ、ウエハー上に塗布して使用するのが好ましい。この際に、有機溶媒は当該重合体に対して、0.5〜100倍量(重量)使用されるのが好ましい。
その後、通常、該ウエハー上の有機溶媒を蒸発させるために、加熱工程(プリベーク工程)が実施される。プリベーク工程における加熱温度は、80〜130℃であるのが好ましい。べース重合体である本発明のビニル系重合体Pは、熱安定性に優れ、前記の加熱温度では、ほとんど分解しない。放射線で露光された部分では、酸発生剤の分解により酸が発生し、一般式(1)で表される環状保護基が脱離して、カルボキシル基が再生される。さらに、現像の際にアルカリ性溶液により、カルボキシル基が再生された部分が洗い流され、ポジ型レジストが得られる。
また、単量体Mおよびビニル系重合体Pは、前記の用途以外にも、医農薬原料、有機合成中間体、樹脂改質剤、樹脂原料、塗料原料、顔料原料、香粧品原料等の用途に有用である。
(4)本発明のカルボキシル基の保護剤
一般式(4)で表される環状ビニルエーテルは、カルボキシル基の保護剤として有用である。中でも、式中、Raが置換基を有してもよいアルキルであり、Rbが水素原子または置換基を有してもよいアルキルであるものが好ましく、さらには、一般式(5)で表される3,4−ジヒドロピラン誘導体は、容易に大量製造が可能であり、カルボキシル基の保護剤としてより好ましく使用できる。
カルボキシル基を有する化合物において、一般式(4)で表される環状ビニルエーテルを用いることにより、一般式(1)で表される環状保護基の導入および脱離は容易に行うことができ、一般式(4)で表される環状ビニルエーテルは、有機合成上のカルボキシル基の保護剤として使用することが可能である。
上記において、カルボキシル基の活性水素が一般式(1)で表される環状保護基で置換された基は、加熱処理、酸による処理等により、カルボキシル基に変換させることができる。
カルボキシル基の活性水素が一般式(1)で表される環状保護基で置換された基を加熱処理によりカルボキシル基に変換させる場合は、160〜250℃で行うのが好ましい。
また、カルボキシル基の活性水素が一般式(1)で表される環状保護基で置換された基を酸処理によりカルボキシル基に変換させる場合、使用される酸としては、硫酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸等があげられ、中でも、p−トルエンスルホン酸、酢酸が好ましい。酸の使用量は、一般式(1)で表される環状保護基で置換された基1モルに対して、0.01〜50モルであるのが好ましい。酸処理の際の温度は、20〜160℃であるのが好ましい。酸処理の際には、該環状保護基を有する化合物の溶解性により適当な有機溶媒や水を加えてもよく、水−THF等の混合溶媒を使用してもよい。有機溶媒や水の使用量は、該環状保護基を有する化合物に対して、前者が10〜500重量%、後者が0.1〜100重量%であるのが好ましい。
さらに、酸の代わりに酸発生剤を使用し、放射線の照射等により発生した酸により、カルボキシル基の活性水素が一般式(1)で表される環状保護基で置換された基をカルボキシル基に変換させることもできる。
(5)カルボキシル基を有する化合物において、該カルボキシル基の活性水素が、一般式(6)で表される環状保護基で置換された化合物Q
最後に、化合物Qについて説明する。
化合物Qは、カルボキシル基を有する化合物と一般式(5)で表される3,4−ジヒドロピラン誘導体とを反応させることにより製造することができる。該製造方法は、単量体Mの製造方法に準じて実施することができる。
化合物Qの製造に使用されるカルボキシル基を有する化合物としては、特に制限はなく、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、プロピオール酸、酪酸、イソ酪酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクチル酸、ノナン酸、イソノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、安息香酸、桂皮酸、2−ナフトエ酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸等のモノカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、デカンジ酸、フタル酸、マレイン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸等の多価カルボン酸、乳酸、クエン酸、ヒドロキシピバリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、リンゴ酸等のヒドロキシカルボン酸、アセト酢酸等のケトカルボン酸、コール酸、デオキシコール酸、リトコール酸等のカルボキシ含有ステロイド系化合物、前記、炭素原子間の重合性2重結合とカルボキシル基とを有する単量体、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂等の重合体、カルボキシル基含有ビニル系共重合体、ポリアミド酸等の高分子化合物、前記、炭素原子間の重合性2重結合とカルボキシル基とを有する単量体(化合物)の重合体等があげられ、中でも、前記、炭素原子間の重合性2重結合とカルボキシル基とを有する単量体(化合物)が好ましい。なお、分子内に複数のカルボキシル基を有するものは、その活性水素のうち全てを一般式(6)で表される基で置換してもよいし、一部のみ置換してもよい。
化合物Qは、レジスト樹脂における溶解抑制剤またはその原料として有用である。例えば、化合物Qを含有させたレジスト樹脂においては、放射線がマスクされた部分では、該レジスト樹脂の現像液に対する溶解が抑制され、放射線照射された部分では、該レジスト樹脂が可溶性となる。
以下、実施例、比較例および試験例により、本発明をさらに具体的に説明する。
(3,5−ジエチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン)
エトキシ−1−ブテン127g、2−エチルアクロレイン53g、ジヒドロキノン13mgおよび塩化亜鉛 850mgの混合物を、オートクレーブ中で90℃で4時間攪拌し、水洗後、減圧蒸留(100℃/3.3kPa)することで、2−エトキシ−3,5−ジエチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピランを92g得た。これに、2%パラジウム炭素触媒9gおよびエタノール280gを加え、室温下、オートクレーブ中、水素圧0.7MPaで4時間攪拌した。触媒をろ別し、減圧濃縮することにより、2−エトキシ−3,5−ジエチルテトラヒドロピラン84gを得た。
これに0.4gのp−トルエンスルホン酸1水和物を加えて留去物がなくなるまで140〜150℃で加熱した。留去物と残渣に10%炭酸ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出後、溶媒を留去し、減圧蒸留(84℃/3.2kPa)することにより、3,5−ジエチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピランを45g得た。
13C−NMR(CDCl3,δ, ppm) 11.4, 13.0, 25.2, 26.2, 29.7, 34.2, 76.8, 113.7, 137.9.
IR (KBr, cm−1) 1157, 1461, 1668, 2963.
(3−エチル−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン)
エトキシ−1−ブテンの代わりにエトキシ−1−プロペンを用いて、実施例1と同様の方法により合成した2−エトキシ−5−エチル−3−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン152g、2%パラジウム炭素触媒15gおよびエタノール460gを室温下、オートクレーブ中、水素圧0.7MPaで5時間攪拌した。触媒をろ別し、減圧濃縮することにより、2−エトキシ−5−エチル−3−メチルテトラヒドロピラン142gを得た。さらに実施例1と同様の処理をすることで3−エチル−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピランを81g得た。
13C−NMR(CDCl3,δ, ppm) 11.3, 18.5, 25.1, 31.9, 34.2, 69.3, 108.0, 138.3.
IR (KBr, cm−1) 1156, 1462, 1675, 2962.
(3,5−ジエチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン)
2−エチル−2−ヘキセナール157g、37重量%ホルマリン69gおよびメタノール140mlの混合物に、25%水酸化カリウム水溶液18gを滴下し、50℃で4時間撹拌を行って、2,4−ジエチル−5−ヒドロキシ−2−ペンテナール77gと3,5−ジエチル−5,6−ジヒドロ−2H−ピラン−5−オール42gとを含む反応液353gを得た。反応液からメタノールを留去した後、水洗を3回行った有機層にスポンジニッケル触媒8gを加え、水素圧1Mpaで室温から70℃まで2時間かけて昇温した後、水素圧を2.5MPaまで昇圧し、70℃で1時間熟成させた。触媒をろ別後、減圧蒸留(120℃/0.7kPa)して3,5−ジエチルテトラヒドロ−2−ピラノールを97gを得た。これに0.5gのp−トルエンスルホン酸1水和物を加えて留去物がなくなるまで140〜150℃で加熱した。留去物と残渣に10%炭酸ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出後、溶媒を留去し、減圧蒸留(84℃/3.2kPa)することにより、3,5−ジエチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピランを72g得た。
(単量体M-14)
メタクリル酸43gと実施例1で得られる3,5−ジエチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン140gを、p−トルエンスルホン酸1水和物0.95g存在下、室温で4時間攪拌した。反応液を10%炭酸ナトリウム水溶液で洗浄後、減圧濃縮することにより、メタクリル酸3,5−ジエチルテトラヒドロピラン−2−イル66gを得た。
13C−NMR(CDCl3,δ, ppm) 10.8, 11.0, 11.1, 11.2, 11.4, 11.8, 18.2, 18.3, 23.35, 23.39, 23.6, 24.5, 24.8, 25.4, 30.6, 31.6, 34.0, 35.6, 36.9, 37.0, 38.3, 40.8, 41.0, 66.4, 67.2, 71.5, 93.1, 95.4, 98.3, 125.7, 126.5, 136.0, 136.6, 166.0, 166.2.
IR (KBr, cm−1) 1101, 1164, 1638, 1727, 2963.
(単量体M-14)
実施例3で得られた3,5−ジエチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン25gとピリジン40mlの混合物に無水メタクリル酸32gを加え、室温で1日攪拌した。反応液を水300mlに注ぎ、クロロホルム500mlで抽出した。 抽出液を0.5規定塩酸、水、10%炭酸ナトリウム水溶液、水の順で洗浄し、溶媒を留去後、減圧濃縮することにより、メタクリル酸3,5−ジエチルテトラヒドロピラン−2−イルを27g得た。
(単量体M-12)
メタクリル酸43gと実施例2で得られる3−エチル−5−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン126gを、p−トルエンスルホン酸1水和物0.95g存在下、室温で4時間攪拌した。反応液を10%炭酸ナトリウム水溶液で洗浄後、減圧濃縮することにより、メタクリル酸5−エチル−3−メチルテトラヒドロピラン−2−イル64gを得た。
13C−NMR(CDCl3,δ, ppm) 11.0, 11.3, 16.4, 16.6, 18.2, 18.3, 24.7, 25.3, 32.6, 34.0, 34.9, 37.0, 37.2, 37.4, 66.1, 71.8, 94.1, 99.3, 125.7, 126.4, 136.0, 136.6, 166.2, 166.3.
IR (KBr, cm−1) 1100, 1162, 1638, 1728, 2963.
(単量体M-2)
2,3−ジヒドロ−2H−ピラン22g、メタクリル酸24gとクロロホルム200mlにN−クロロコハク酸イミド35gを加えて、室温で1日攪拌した。反応液をヘキサンに注いだ後、ろ過し、ろ液を10%炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、さらに減圧濃縮することにより、メタクリル酸3−クロロテトラヒドロピラン−2−イルを26g 得た。
13C−NMR(CDCl3,δ, ppm) 18.17, 18.21, 21.8, 25.7, 28.7, 29.1, 55.1, 55.6, 61.1, 63.9, 91.3, 94.4, 126.7, 126.9, 135.7, 135.9, 165.3, 165.6.
IR (KBr, cm−1) 1156, 1637, 1731, 2958.
(単量体M-16)
3,4−ジヒドロ−2H−ピラン の代わりに、2,3−ジヒドロフランを使用して実施例7と同様に処理することにより、メタクリル酸3−クロロテトラヒドロフラン2−イルを得た。
13C−NMR(CDCl3,δ, ppm) 18.1, 32.1, 32.9, 55.5, 59.9, 67.2, 68.1, 95.7, 102.7, 126.6, 126.9, 135.9, 136.0, 165.7, 166.1.
IR (KBr, cm−1) 1158, 1637, 1725, 2984.
(単量体M-14の重合)
実施例4で得られたメタクリル酸3,5−ジエチルテトラヒドロピラン−2−イル30gを、メチルイソブチルケトン120g中、4モル%のα,α’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)存在下、80℃で4時間加熱した。反応液をメタノールへ滴下し、析出沈殿した固体をろ取し、減圧乾燥させることにより、ポリ−メタクリル酸3,5−ジエチルテトラヒドロピラン−2−イル21gを得た。得られた重合体について、セイコ−・インスツルメント株式会社製TG/TDA6200を用い、窒素雰囲気下で、40℃から400℃まで、10℃/分で昇温することにより示差熱天秤分析を行い、重量減少が5%となった温度を熱減量開始温度とした(以下の実施例および比較例においても同様)。その結果、熱減量開始温度は181℃であった。
(単量体M-12の重合)
メタクリル酸3,5−ジエチルテトラヒドロピラン−2−イルの代わりに実施例6で得られたメタクリル酸5−エチル−3−メチルテトラヒドロピラン−2−イルを使って、実施例8と同様の方法により、ポリ−メタクリル酸5−エチル−3−メチルテトラヒドロピラン−2−イルを得た。熱減量開始温度は189℃であった。
(単量体M-2の重合)
メタクリル酸3,5−ジエチルテトラヒドロピラン−2−イルの代わりに実施例7で得られたメタクリル酸3−クロロテトラヒドロピラン−2−イルを使って、実施例9と同様の方法により、ポリ−メタクリル酸3−クロロテトラヒドロピラン−2−イルを得た。熱減量開始温度は191℃であった。
(単量体M-16の重合)
メタクリル酸3,5−ジエチルテトラヒドロピラン−2−イルの代わりに実施例8で得られたメタクリル酸3−クロロテトラヒドロフラン2−イルを使って、実施例9と同様の方法により、ポリメタクリル酸3−クロロテトラヒドロフラン2−イルを得た。熱減量開始温度は189℃であった。
(単量体M-14の共重合)
滴下装置、攪拌装置、温度計、冷却管および窒素ガス導入管を備えたフラスコ内に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200gを仕込み、80℃まで加熱し、窒素雰囲気下にて攪拌しながら、メタクリル酸3,5−ジエチルテトラヒドロピラン−2−イル49g、メタクリル酸ブチル140g、メタクリル酸ヒドロキシエチル20gおよび2,2−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(AMBN)16gを均一に溶解したものを滴下装置より2時間かけて滴下した。滴下終了後、30分毎に3回、AMBN/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート=0.2g/1.8gの混合溶液を添加して、80℃で3.5時間熟成し、重合反応を終了した。反応液を室温まで冷却した後、メタノールに室温で滴下して重合物を析出させ、ろ過することにより、目的のビニル系共重合体127gを取得した。該共重合体の重量平均分子量を、下記の分析条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したところ 15,000であった。
(GPC分析条件)
機器:HLC−8120GPC(東ソー(株)製)
カラム:TSKgel SuperHM−M(東ソー(株)製)
移動相:テトラヒドロフラン(流速0.5ml/分)
カラムオーブン:40℃
検出器:RI[RI−8000(東ソー(株)製)]
(感放射線レジスト組成物)
実施例13で得られたビニル系共重合体20gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート80gに溶解し、これにジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート(アルドリッチ社製)1重量%を配合して、感放射線レジスト組成物を得た。
このレジスト組成物をヘキサメチルジシラザンで処理したSi基板に塗布して膜厚1μmのレジスト膜を作成し、下記の条件で露光現像したところ、2μmのライン・アンド・スペースパターンを規定の線幅通りに解像した。
(露光および現像条件)
プリベーク :100℃×10分
露光:ウシオ電機(株)製超高圧低圧水銀灯(254nm)
露光量: 8mJ/cm2
ポストエクスポジュアーベーク:120℃×2分
現像液:2.38重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液
[比較例1]
メタクリル酸3,5−ジエチルテトラヒドロピラン−2−イルの代わりにメタクリル酸テトラヒドロピラン−2−イルを用いる以外は、実施例9と同様の方法で得たポリ−メタクリル酸テトラヒドロピラン−2−イルの熱減量開始温度は141℃であった。
[比較例2]
メタクリル酸3,5−ジエチルテトラヒドロピラン−2−イルの代わりにメタクリル酸テトラヒドロフラン2−イルを用いる以外は、実施例9と同様の方法で得たポリ−メタクリル酸テトラヒドロフラン2−イルの熱減量開始温度は152℃であった。
本発明により、熱安定性に優れた環状保護基を有する単量体および重合体を提供することができる。

Claims (14)

  1. 炭素原子間の重合性2重結合とカルボキシル基とを有する単量体において該カルボキシル基の活性水素が、一般式(1)
    Figure 2005350527
    (式中、Raは、塩素原子、置換基を有してもよいアルキル、置換基を有してもよいアルケニル、置換基を有してもよいアリール、置換基を有してもよいアラルキル、置換基を有してもよいアルコキシ、置換基を有してもよいアルコキシカルボニル、置換基を有してもよいアリールオキシ、置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル、置換基を有してもよいアルカノイル、置換基を有してもよいアロイル、置換基を有してもよいアルカノイルオキシ、置換基を有してもよいアロイルオキシ、置換基を有してもよいアルケニルオキシ、またはシアノを表し、Rbは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル、置換基を有してもよいアルケニル、置換基を有してもよいアリール、置換基を有してもよいアラルキル、置換基を有してもよいアルコキシ、置換基を有してもよいアルコキシカルボニル、置換基を有してもよいアリールオキシ、置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル、置換基を有してもよいアルカノイル、置換基を有してもよいアロイル、置換基を有してもよいアルカノイルオキシ、置換基を有してもよいアロイルオキシ、置換基を有してもよいアルケニルオキシ、またはシアノを表し、RaとRbは隣接するC−Cと一緒になって、環構造を形成してもよく、Aは置換基を有してもよいエチレンまたは置換基を有してもよいプロピレンを表す)で表される環状保護基で置換された単量体。
  2. 炭素原子間の重合性2重結合とカルボキシル基とを有する単量体が、一般式(2)
    Figure 2005350527
    (式中、Rc、RdおよびReは、同一または異なって、アルキル、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、保護基で保護されたヒドロキシアルキル、保護基で保護されたヒドロキシ、または保護基で保護されたカルボキシを表し、Lは単結合または2価の連結基を表す)で表される単量体である請求項1記載の環状保護基で置換された単量体。
  3. RcおよびRdが水素原子であり、Reが水素原子またはアルキルであり、Lが単結合である請求項2記載の環状保護基で置換された単量体。
  4. Raが置換基を有してもよいアルキルであり、Rbが水素原子または置換基を有してもよいアルキルである請求項1〜3のいずれかに記載の環状保護基で置換された単量体。
  5. Raが置換基を有してもよいアルキルであり、Rbが水素原子または置換基を有してもよいアルキルであり、Aが無置換もしくはアルキル置換のエチレンまたは無置換もしくはアルキル置換のプロピレンである請求項1〜3のいずれかに記載の環状保護基で置換された単量体。
  6. 一般式(3)
    Figure 2005350527
    (式中、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、AおよびLは、それぞれ前記と同義である)で表される構造単位を含むことを特徴とするビニル系重合体。
  7. 重量平均分子量が1,000〜100,000である請求項6記載のビニル系重合体。
  8. Raが置換基を有してもよいアルキルであり、Rbが水素原子または置換基を有してもよいアルキルであり、RcおよびRdが水素原子であり、Reが水素原子またはアルキルであり、Lが単結合である請求項6または7記載のビニル系重合体。
  9. Raが置換基を有してもよいアルキルであり、Rbが水素原子または置換基を有してもよいアルキルであり、Aが無置換もしくはアルキル置換のエチレンまたは無置換もしくはアルキル置換のプロピレンであり、RcおよびRdが水素原子であり、Reが水素原子またはアルキルであり、Lが単結合である請求項6または7記載のビニル系重合体。
  10. 請求項6〜9のいずれかに記載のビニル系重合体と酸発生剤を含有する感放射線レジスト組成物。
  11. 一般式(4)
    Figure 2005350527
    (式中、Ra、RbおよびAは、それぞれ前記と同義である)で表される環状ビニルエーテルを含有するカルボキシル基の保護剤。
  12. 一般式(5)
    Figure 2005350527
    (式中、Ra1およびRfは、同一または異なって、置換基を有してもよいアルキルを表す)で表される環状ビニルエーテルを含有するカルボキシル基の保護剤。
  13. 一般式(5)
    Figure 2005350527
    (式中、Ra1およびRfは、それぞれ前記と同義である)で表される3,4−ジヒドロピラン誘導体。
  14. カルボキシル基を有する化合物において、該カルボキシル基の活性水素が、一般式(6)
    Figure 2005350527
    (式中、Ra1およびRfは、それぞれ前記と同義である)で表される環状保護基で置換された化合物。
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