JP2005343372A - ランフラットタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】生産性の低下およびタイヤ重量の増加を抑制しつつ、耐リム外れ性に優れたランフラットタイヤを提供すること。
【解決手段】ビード1aおよびビードフィラー15を有する一対のビード部1と、ビード部1から各々タイヤ径方向外側に延びるサイドウォール部2と、ビード部1間に架け渡され、ビード1aにて巻き上げられたカーカスプライからなるカーカス層4と、サイドウォール部2に断面略三日月状をなして配された補強ゴム層9と、ビード部1よりタイヤ幅方向外側に膨出し、リムフランジ8aの外周側湾曲面に沿った内周面を有する環状膨出部10とを備えるランフラットタイヤにおいて、カーカスプライの巻き上げ部12は、環状膨出部10の内周面に沿って配設されるとともに、ビード部1から環状膨出部10に向けて配設され、ビードフィラー15と一体化された環状ゴム体13を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、サイドウォール部に配された補強ゴム層と、ビード部のタイヤ幅方向外側に膨出した環状膨出部とを備えるランフラットタイヤに関する。
ランフラットタイヤとは、パンク等の障害によりタイヤ内部の空気圧の低下が生じた場合であっても、ある程度の距離を安全に走行することができるタイヤである。このようなランフラット走行を可能にするためのタイヤ構造の1つとして、サイドウォール部に補強ゴム層を備えた、サイド補強タイプのランフラットタイヤが知られている。係るランフラットタイヤによれば、タイヤ内部の空気圧が低下した際、補強ゴム層がタイヤを支持して完全に偏平化することを防止し、ランフラット走行が可能となる。
しかしながら、サイド補強タイプのランフラットタイヤには、ランフラット走行時にリム外れが生じ易いという問題があった。そのため、リム装着時にリムのビードシート部外周側に配されるビードとは別に、ビード部のタイヤ幅方向外側に膨出した環状膨出部に配されるビードを備えた、いわゆるダブルビードタイプのランフラットタイヤが提案されている。
図4は、ダブルビードタイプのランフラットタイヤの一例を示す断面図である。カーカス層4は一対のビード部1に架け渡されるように配され、ビード1aおよびビードフィラー15を挟み込むように巻き上げられている。サイドウォール部2のカーカス層4の内側には、断面略三日月状をなす補強ゴム層9が配されている。ビード部1のタイヤ幅方向外側には、リムフランジ8aに沿った内周面を有する環状膨出部10が形成されており、その環状膨出部10には環状のビード1bが設けられている。係る構造によれば、ビード1bにより高弾性を有する環状膨出部10がリムフランジ8aを抱持し、リム8への装着安定性が高められる。また、環状膨出部10の内周に沿って補強層14が配設されており、リムフランジ8aとの摩擦による摩滅を抑制して、耐リム外れ性の向上を図っている。なお、ダブルビードタイプのランフラットタイヤは下記特許文献1〜3に、ランフラットタイヤではないが、補強層を備えたダブルビードタイプのタイヤは下記特許文献4〜7に開示されている。
しかしながら、係るランフラットタイヤは、環状膨出部10が多数のゴム部材を貼り合わせて構成されており、製造工程が煩雑で生産性を悪化させるという問題があった。また、補強層14の配設による生産性の低下とタイヤ重量の増加とが不可避であった。更に、ダブルビードタイプのランフラットタイヤであっても、ランフラット走行時に比較的高速で旋回走行を行うと、リム外れが生じる場合があった。即ち、図5(a)に示すランフラット状態からR方向に旋回走行を行うと、図5(b)に示すように車両は遠心力による横力Fを受けるため、その車両の外側に位置するビード部1oが、リム8のハンプを越えて内側に外れ易くなるという問題があった。
特開昭51−116507号公報 特開昭53−138106号公報 特開2002−178725号公報 特開昭50−82701号公報 特開昭51−76707号公報 実開昭52−19803号公報 特表平5−508366号公報
そこで、本発明の目的は、サイドウォール部に配された補強ゴム層と、ビード部のタイヤ幅方向外側に膨出した環状膨出部とを備えるランフラットタイヤにおいて、生産性の低下およびタイヤ重量の増加を抑制しつつ、耐リム外れ性に優れたランフラットタイヤを提供することにある。
上記目的は、下記の如き本発明により達成できる。即ち、本発明の空気入りラジアルタイヤは、環状の第1ビードおよび前記第1ビードのタイヤ外周に配されるビードフィラーを有する一対のビード部と、前記ビード部から各々タイヤ径方向外側に延びるサイドウォール部と、前記ビード部間に架け渡され、前記第1ビードにて巻き上げられたカーカスプライからなるカーカス層と、前記サイドウォール部の前記カーカス層の内側に断面略三日月状をなして配された補強ゴム層と、少なくとも一方の前記ビード部よりタイヤ幅方向外側に膨出し、リムフランジの外周側湾曲面に沿った内周面を有する環状膨出部と、を備えるランフラットタイヤにおいて、前記カーカスプライの巻き上げ部は、前記環状膨出部の内周面に沿って配設されるとともに、前記ビード部から前記環状膨出部に向けて配設され、前記ビードフィラーと一体化された環状ゴム体を備えるものである。
本発明に係るランフラットタイヤによれば、カーカスプライの巻き上げ部が環状膨出部の内周面に沿って配設されることにより、環状膨出部の内周が補強され、耐摩滅性および耐リム外れ性が効果的に高められる。その際、別途補強層を設ける必要がないため、生産性の低下およびタイヤ重量の増加を回避することができる。更に、ビード部から環状膨出部に向けて配設され、ビードフィラーと一体化された環状ゴム体を備えることにより、環状膨出部の形成が簡略化でき、生産性がより良好となる。ビード部は、通常走行中にリムフランジから繰り返し衝撃を受けるが、環状ゴム体はビードフィラーに一体化されているため、セパレーションは発生し難く、耐久性が確保される。
上記において、前記環状膨出部に配された環状の第2ビードを備えるとともに、前記カーカスプライの巻き上げ部が、前記第2ビードよりタイヤ外周側の位置まで延びたものが好ましい。
上記構成によれば、ランフラット状態での高速旋回時において、ビード部が内側に外れる方向に力を受けた際に、カーカスプライの巻き上げ部に内側向きの張力が作用し、第2ビードがリムフランジに押し付けられる。その結果、環状膨出部がリムフランジを抱持するように圧接され、リム外れを効果的に防止することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係るランフラットタイヤの一例を示す半断面図である。図2は、図1におけるビード部を模式的に示した要部断面図である。
図1に示すランフラットタイヤは、一対のビード部1と、ビード部1から各々タイヤ径方向外側に延びるサイドウォール部2と、サイドウォール部2間に設けられたトレッド部3とを備える。一対のビード部1は、それぞれ、スチールワイヤの収束体がタイヤ周方向に環状をなすビード1a(前記第1ビードに相当する。)と、ビード1aのタイヤ外周に配されるビードフィラー15とを有し、リム8のビードシート部8bのタイヤ外周側に配されることで、タイヤがリム8に固定可能に構成されている。
カーカス層4は、ポリエステルコードをタイヤ赤道線Cに対して略90°の角度で平行配列したカーカスプライからなり、一対のビード部1の間に架け渡されるように配されている。カーカス層4の内周側には、空気圧保持のためのインナーライナー層5が配され、カーカス層4のタイヤ外周側には、たが効果による補強を行うためのベルト層6およびベルト補強層7が配されている。ベルト層6は、スチールコードをタイヤ赤道線Cに対して20°前後の角度で平行配列した2枚のベルトプライからなり、ベルトプライ間でスチールコードが互いに逆向きに交差するように積層されている。カーカスプライまたはベルトプライを構成するコードとしては、上記以外にレーヨン、ナイロン、アラミド等の有機系繊維等が使用される。通常、これらコードにはゴムとの接着性を高めるべく、表面処理や接着処理等がなされている。
サイドウォール部2のカーカス層4の内側には、断面略三日月状をなす補強ゴム層9が配されている。これにより、タイヤ内部の空気圧が低下した際、タイヤの撓み変形が抑制され、ランフラット走行が可能となる。補強ゴム層9は、例えば、JISK6253のデュロメータ硬さ試験(タイプA)による硬さが65〜90゜のゴム層により構成される。なお、本発明のランフラットタイヤが備える補強ゴム層9は、従来のサイド補強タイプのランフラットタイヤに用いられる補強ゴム層であれば、硬さや厚みなど特に制限されることなく何れも適用することができる。補強ゴム層9は、単一のゴム層からなるものに限られず、硬さ等の物性の異なる複数のゴム層から構成されるものでもよい。
ビード部1のタイヤ幅方向外側には、環状膨出部10が形成されている。環状膨出部10は、リムフランジ8aよりもタイヤ幅方向外側に膨出するとともに、リムフランジ8aの外周側湾曲面に沿った内周面を有している。その内周面の先端側に位置する尖頭部11は、リムフランジ8aの外径に比して小径に設定されており、これにより環状膨出部10がリムフランジ8aを抱持してリム外れを防止し得る。環状膨出部10は、両側のビード部1にそれぞれ形成されていることが好ましいが、少なくとも一方のビード部1に形成されていればよく、例えば装着時に車両外側となる側にのみ形成するものでも構わない。
カーカス層4を構成するカーカスプライは、ビード1aにて内側から外側に巻き上げられており、本発明のランフラットタイヤは、そのカーカスプライの巻き上げ部12が環状膨出部10の内周面に沿って配設されている。これにより、別途補強層を設けることなく環状膨出部10の内周を補強し、リムフランジ8aとの摩擦による摩滅を抑制して、耐リム外れ性を高めることができる。
本発明のランフラットタイヤは、ビード部1から環状膨出部10に向けて配設された環状ゴム体13を備える。図1、2に示す環状ゴム体13は、ビードフィラー15の外側からカーカスプライの巻き上げ部12に内接しつつ、ビードフィラー15よりタイヤ外周側に配設されている。環状ゴム体13は、例えば、JISK6253のデュロメータ硬さ試験(タイプA)による硬さが40〜75゜であり、リム8から反復して伝達される衝撃に耐え得る十分な剛性および耐クラック性を有するものが好ましい。環状ゴム体13は、ビードフィラー15と一体化されており、かかるゴム部材は、例えば多層押出機を用いて各ゴム材を接合しながら押出成形することにより形成することができる。
環状膨出部10には、ビードワイヤがタイヤ周方向に環状をなすビード1b(前記第2ビードに相当する。)が配されており、環状膨出部10の高弾性能を確保している。ビード1bを構成するビードワイヤは、ビード1aと同じスチールワイヤの収束体からなるものに限られず、例えば、繊維強化ゴムを素材としたゴムビード等であってもよい。ビード1bは、両側の環状膨出部10にそれぞれ配されていることが好ましいが、少なくとも一方の環状膨出部10に形成されていればよく、例えば装着時に車両外側となる側にのみ形成するものでも構わない。
本発明では、図1、2に示すように、カーカスプライの巻き上げ部12が、ビード1bよりタイヤ外周側の位置まで延びたものが好ましい。これにより、ランフラット状態での高速旋回時において、例えばビード部1が内側に外れる方向(矢印A方向)に力を受けた際に、カーカスプライの巻き上げ部12に内側向きの張力が作用し、ビード1bがリムフランジ8aに対して矢印B方向に押し付けられる。その結果、環状膨出部10がリムフランジ8aを抱持するように圧接され、リム外れが効果的に防止される。
上述のランフラットタイヤは、下記の点を除けば、従来のダブルビードタイプのランフラットタイヤと同様に製造することができる。即ち、本発明のランフラットタイヤの製造は、ビード1a、ビードフィラー15および環状ゴム体13を構成する一体のゴム部材、およびビード1bを配設したうえで、カーカスプライを巻き上げる点が従来とは異なる。このとき、本発明では、環状膨出部10の形成が簡略化できるとともに、別途補強層を設ける必要がないので、生産性およびタイヤ重量において有利となる。
[別実施形態]
(1)前述の実施形態では、カーカス層4が1枚のカーカスプライにより構成される例を示したが、本発明はこれに限られず、カーカス層が複数枚のカーカスプライにより構成されるものでもよい。かかる場合、カーカス層を構成する複数枚のカーカスプライの巻き上げ部を、上述のように環状膨出部10の内周面に沿って配設することにより、補強効果を高めて耐摩滅性を向上することができる。
(2)本発明のランフラットタイヤは、ビードフィラー15と環状ゴム体13とが一体化された単一のゴム層を備えるものでもよい。かかる単一のゴム層は、JISK6253のデュロメータ硬さ試験(タイプA)による硬さが40〜75゜であるものが好ましい。上記構成によれば、環状膨出部10の形成がより簡略化され、生産性を効果的に向上することができる。
(3)環状ゴム体13の断面形状は、前述の実施形態で示したものに限られないが、タイヤ外周側の形状が図1、2に示すように傾斜したものが好ましい。これにより、サイドウォール部2を構成するゴム層の配設が容易となる。また、環状ゴム体13は、例えば図3(a)に示すように、ビード1bおよびビードフィラー15と一体化されたものでもよく、これにより環状膨出部10の形成をより簡略化することができる。一方、ビードフィラー15の断面形状も、前述の実施形態で示したものに限られず、例えば、図3(b)に示すように、図1、2の例よりタイヤ幅方向外側およびタイヤ径方向外側に配設されたものでもよい。
(4)本発明のランフラットタイヤは、環状膨出部10に環状のビード1bが配されるものに限られない。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例について説明する。なお、下記項目の評価には、タイヤサイズ245/40R18 93Wのテストタイヤを用いた。
(1)生産性
テストタイヤの成形に要した時間を計測し、生産性を評価した。従来例を100として指数評価し、数値が大きいほど生産性に優れていることを示す。
(2)タイヤ重量
成形したテストタイヤの重量を計測した。従来例を100として指数評価し、数値が大きいほどタイヤ重量が小さいことを示す。
(3)耐リム外れ性
ホイールサイズ18×8JJのリムに装着したテストタイヤを、実車(国産2500ccクラスのセダン、2名乗車)の左側前方に装着し、半径20mの円形コースを右回りに旋回走行した。テストタイヤは、内圧0kPaのランフラット状態とし、リム外れが発生したときの走行速度(横Gに比例)により耐リム外れ性を評価した。走行速度は、25km/hからスタートし、リム外れの有無を確認しながら5km/hごとに増分した。リム外れの有無は、車体に取り付けた高速度カメラを用いて走行中に観察し、リム外れが発生するまで試験を行った。従来例を100として指数評価し、数値が大きいほどリム外れが発生したときの走行速度が大きい、即ち耐リム外れ性に優れていることを示す。
(4)耐久性
JISD4230に規定する方法に基づき、直径1700mmのドラム上を、空気圧0kPa、速度80km/hにて、JATMA100%荷重を負荷して走行させ、クラックやセパレーション等の不具合が確認されるまでの試験時間を測定した。従来例を100として指数評価し、当該数値が高いほど試験時間が長い、すなわち耐久性に優れていることを示す。
従来例
図4に示すように、ビード1aおよびビードフィラー15を挟むようにカーカスプライを巻き上げ、その巻き上げ部のタイヤ幅方向外側に多数のゴム部材を貼り合わせて環状膨出部10を形成し、更にリムフランジ8aの外周側湾曲面に沿って延びる補強層14を配設した。尚、環状膨出部10およびビード1bは、それぞれ一対のビード部1の両側に形成した。
実施例
図1、2に示すように、カーカスプライの巻き上げ部12を環状膨出部10の内周面に沿って配設しつつ、ビード部1から環状膨出部10に向けてビードフィラー15と一体化した環状ゴム体13を配設した点以外は、従来例と同じとした。
Figure 2005343372
表1に示すように、実施例では、環状ゴム体の配設によって環状膨出部の形成が簡略化でき、従来例よりも生産性に優れていることがわかる。また、カーカスプライの巻き上げ部を環状膨出部の内周面に沿って配設することにより、補強層の配設を省略できるため、生産性の向上に寄与しつつ、タイヤを軽量化することができている。更に、ビード部が内側に外れる方向に力を受けた際、巻き上げ部に作用する張力によって環状膨出部に配されたビードがリムフランジに押し付けられるため、耐リム外れ性が向上することがわかる。実施例は、従来例とカーカスプライの巻き上げ部の形態が異なるものであるが、耐久性試験の結果に差が無いことにより、ビード部の耐久性に問題が無いことが認められる。
本発明に係るランフラットタイヤの一例を示す断面図 ビード部を模式的に示した要部断面図 別形態に係るビード部を模式的に示した要部断面図 従来のダブルビードタイプのランフラットタイヤの一例を示す断面図 ランフラット走行時のタイヤとリムの断面図
符号の説明
1 ビード部
1a ビード
1b ビード
1i 旋回時車両内側に位置するビード部
1o 旋回時車両外側に位置するビード部
2 サイドウォール部
3 トレッド部
4 カーカス層
8 リム
8a リムフランジ
8b ビードシート部
9 補強ゴム層
10 環状膨出部
11 尖頭部
12 巻き上げ部
13 環状ゴム体
14 補強層
15 ビードフィラー
C タイヤ赤道線

Claims (2)

  1. 環状の第1ビードおよび前記第1ビードのタイヤ外周に配されるビードフィラーを有する一対のビード部と、前記ビード部から各々タイヤ径方向外側に延びるサイドウォール部と、前記ビード部間に架け渡され、前記第1ビードにて巻き上げられたカーカスプライからなるカーカス層と、前記サイドウォール部の前記カーカス層の内側に断面略三日月状をなして配された補強ゴム層と、少なくとも一方の前記ビード部よりタイヤ幅方向外側に膨出し、リムフランジの外周側湾曲面に沿った内周面を有する環状膨出部と、を備えるランフラットタイヤにおいて、
    前記カーカスプライの巻き上げ部は、前記環状膨出部の内周面に沿って配設されるとともに、前記ビード部から前記環状膨出部に向けて配設され、前記ビードフィラーと一体化された環状ゴム体を備えることを特徴とするランフラットタイヤ。
  2. 前記環状膨出部に配された環状の第2ビードを備えるとともに、前記カーカスプライの巻き上げ部が、前記第2ビードよりタイヤ外周側の位置まで延びた請求項1記載のランフラットタイヤ。
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