JP2005336966A - 床暖房用ヒーターボード - Google Patents

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Abstract

【課題】 床仕上げ材の再工事が必要になった際にも、敷設されているヒーターボード、特にヒーターボードの上面に配されている均熱材を損傷することなく、床仕上げ材の剥離を可能とし、ヒーターボードがそのまま利用できるようにする。
【解決手段】 少なくとも上面に金属製の板又は箔からなる均熱材15を有する床暖房用ヒーターボード1において、該均熱材15の上面に、JIS Z0237に規定の90゜引きはがし法による接着強度が2 N/cm〜10 N/cmの接着剤により貼り付けられた犠牲層16が設けられており、前記均熱材15が犠牲層16の接着に用いる接着剤よりも大きな接着強度を有する接着剤にてヒーターボード本体1’に接着されていることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、床面から室内を暖房する床暖房用ヒーターボードに関し、特に再利用、再工事が容易な床暖房用ヒーターボードに関する。
床暖房、特に電気式床暖房システムにおいて、材料の再利用や再施工、再工事を容易とする提案が数多く為されている。
特許文献1(特開平6−300291号公報)では、均熱材を床材裏面に接着剤にて接着して、これを、ヒーターを支持するヒーター基板を収納する周部枠に重ねてパネル化した木質系暖房床材が開示されている。ここでは、ヒーターと均熱材とが接着されていないので、ヒーター不良が発生した場合に、ヒーターのみの交換が可能とされている。
特許文献2(特開2002−71150号公報)では、更に特許文献1におけるパネル化木質系暖房床材のリサイクル性を改良するため、均熱材を床材裏面に接着剤にて接着するのではなく、ヒーターの上面にホットメルト樹脂にて融着させることで、再使用する際に適当な加熱手段により溶融温度まで加熱することで、均熱材とヒーターとを容易に分離できるというものである。又、上層の木質系表層部の端部の一部と、木質系枠材からなる構造部とが接着されており、均熱材には接着されていない。
これらの特許文献に記載のものは床仕上げ材を一体型にしたパネル構造であり、床仕上げ材として広く任意の床材を選択することができず、施工主の要求を十分に満たすことができない。
これに対して、床材分離型の床暖房システムでは、施工を簡単にする目的で、ユニット化された床暖房用電熱ボードを用いる方法が提案されており、この電熱ボードの上に所望の床仕上げ材を接着等により貼り合わせる工法が採用されている。このような床暖房用電熱ボードは、所定の大きさの枠材中に、断熱材、面状ヒーター、均熱材を積層接着した構造を有しており、この電熱ボードを、所望の床面積に合わせて複数組み合わせ、設置した後、所望の床仕上げ材をこの上に貼り合わせて床暖房システムとして施工されている。このとき、電熱ボードと床仕上げ材との接着方法は、床材の接着面全面に接着剤を塗布し、釘と併用して仕上げるのが通常の施工方法である。
しかしながら、何らかの理由で床材を交換しようとしても、床材を剥がす際に強力に接着しているため、電熱ボードの均熱材(金属の箔、板等)等、もしくは床材自体が損傷し、きれいに剥がせない場合があり、又、電熱ボードが再使用できないと云う問題があった。
特開平6−300291号公報 特開2002−71150号公報
床分離型電熱ボード、中でも均熱材を全面に配した電熱ボードでは、上記の特許文献2のように、ホットメルト系接着剤を用いて電熱ボードと均熱材とを接着しておけば、電熱ボードは再利用可能となるが、均熱材は床材と強固に接着されることとなり、再利用できず、電熱ボードを再利用するために再度均熱材を貼り付ける必要があり、その分コストがかかる。又、使用されなくなった床材を廃棄する場合にも、金属は不燃ゴミとして廃棄、あるいは資源ゴミとして回収し、木材は可燃ゴミとして廃棄する必要があることから分別しなければならないが、その分別が容易ではないという問題もある。
このように、本発明では、均熱材を電熱ボード等のヒーターボードから引きはがすことなく、容易に床仕上げ材の再工事が可能で、ヒーターボードを再利用可能とすることを目的とする。
本発明では、上記課題を解決するために、金属材料からなる均熱材を上面に貼り付けたヒーターボード上に床仕上げ材を接着するに際して、均熱材と床仕上げ材との間に引き剥がし時に破損しても問題とならない紙等の犠牲層を介して貼り付け、又、その犠牲層を均熱材に接着する際の接着力を規定することで、敷設時には十分な接着力を有し、引き剥がし時には均熱材を損傷することなく、床仕上げ材との分離が可能となることを見いだした。
すなわち本発明は、少なくとも上面に金属製の板又は箔からなる均熱材を有する床暖房用ヒーターボードにおいて、該均熱材の上面に、JIS Z0237に規定の90゜引きはがし法による接着強度が2 N/cm〜10 N/cmの接着剤により貼り付けられた犠牲層が設けられており、前記均熱材が犠牲層の接着に用いる接着剤よりも大きな接着強度を有する接着剤にてヒーターボード本体に接着されていることを特徴とする電熱ボードに関する。
本発明では、均熱材上に犠牲層を介して床仕上げ材の貼り付けを行うことで、再工事が必要となる場合にも犠牲層のみが床仕上げ材側に残り、均熱材がヒーターボード側から剥がれることがなく、再利用可能となる。又、床材を廃棄する場合にも、焼却可能なの犠牲層を用いることで、分別する必要がなく、そのまま廃棄することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明における床暖房用ヒーターボードとは、電気式又は温水式ヒーターボードが挙げられ、その上面に均熱材が配置されるものであり、均熱材上に床仕上げ材等を接着剤で接着しているものであれば、いずれのヒーターボードにも適用することができる。又、ヒーターボード本体とは、均熱材を除く構成要素を意味する。
中でも電気式のヒーターボード、いわゆる電熱ボードは、(社)日本住宅設備システム協会(電気床暖房工業会発行)の「電気床暖房自主基準 第一編 施設型電気床暖房発熱体基準」(平成4年1月)おいて、基準化されている施設型電熱ボードのうち、床仕上げ材を必要とするもので、特に根太上に床下地材を介して設置するタイプIIのII−1に分類されるものが好ましい。すなわち、電熱ボードの上面に、金属製の箔又は板からなる均熱材が設けられ、その上に床仕上げ材を設けたものであれば、特に限定されず、従来公知のものが使用できる。中でも、本出願人が出願している特開2000−81221号公報等に開示されているような、繊維強化樹脂成形体からなる面状発熱体の上面に均熱材が接着剤等により貼り付けられている場合、特に有効である。
図1は、本発明の犠牲層を有する電熱ボードの一例を示す概略断面図である。ここでは、特開2000−81221号公報に開示の電熱ボードの均熱材上に犠牲層を設けた構成を示している。同図について説明すると、電熱ボード1は、周囲外郭には軽量で強度のある補強材が枠12として使用される。具体的には、木材、合板、軽量プラスチック等が補強材として用いられる。この上面には面状発熱体11が、また下面には補強シート14が、そして内部には断熱材13と不図示の配線および安全装置等が配置される。面状発熱体11下面と枠12上面および断熱材13上面が固定され、補強シート14上面と枠12下面および断熱材13下面が固定されることにより、電熱ボード全体として高い強度が得られる。また周囲のみに枠12を配することで、全体の重量が軽減され、自重による反り等の変形を抑制し、かつ搬送や、敷設等の作業性が向上する。以上の構成が電熱ボードの本体1’を構成するものである。さらに、面状発熱体11の上面には均熱材15が、さらに均熱材15の上面には本発明の特徴である犠牲層16が設けられている。面状発熱体11としては、電力を供給することで発熱する発熱抵抗体を繊維強化プリプレグでラミネートした面状発熱体が好ましい。
本発明で用いられる均熱材は、電熱ボード等のヒーターボードの発熱体から発生した熱を均一にして、その上部の床仕上げ材に伝えるものであり、通常、アルミニウムや銅などの熱伝導性の高い金属の箔、板などである。通常のヒーターボード本体の上面に接着剤により接着されており、又、ヒーターボード本体の上面全面に貼り付けられていることが好ましい。
均熱材と床仕上げ材との間に配される犠牲層としては、均熱材との接着を行う接着剤と床仕上げ材との接着を行うための接着剤とが混ざり合わない薄いシート状のものであれば、どのような材料でも使用可能であり、例えば、焼却してもダイオキシン等の有害物質を発生させないポリエチレンやポリエステル等の樹脂フィルムや、各種紙材料、前記樹脂フィルムと紙材料とのラミネート品などが使用でき、中でも、紙材料が安価であり、床仕上げ材の接着時に十分な強度を有する紙、例えば、前記本出願人が上市している床暖房ユニットの裏面に使用されている朝日印畳床用防虫紙フェンチオンなし(厚み0.3mm)が好ましく使用される。又、両面粘着テープを用いることもできる。その場合、均熱材側の接着強度を上記の範囲にしておけばよい。又、区別するために、均熱材側と床仕上げ材側との色を変えるなどしておけばよい。
この犠牲層は、釘打ち等により床仕上げ材を固定する場合には、釘打ちまでの間に所定の強度が保てるのであれば、均熱材上の一部に設けても良いが、均熱材と共に、上部の床仕上げ材に熱を均等に伝達することを考慮すると均熱材上面の全面に設けるのが好ましい。
又、犠牲層は一枚仕様のものに限定されるものではなく、複数枚のものを組み合わせて使用することができる。例えば、ヒーターボードの周囲外郭を釘打ちするような場合、釘打ち領域を示すために色の異なる犠牲層をその部分に張り、他の部分と区別することもできる。又、予め釘打ち可能領域を印刷して区別することもできる。
又、犠牲層の厚みは、材料によっても異なるために一概に限定することはできないが、あまりに薄いと均熱材上への接着が困難となる場合があり、厚すぎるとヒーターボードの厚み自体が厚くなり、又コストもかかるため現実的ではない。通常は、0.1mm〜1.0mm程度であればよい。
本発明の最も特徴とするところは、この犠牲層と均熱材との接着強度を規定したことによる。本発明者らの検討によれば、この接着強度を所定範囲とし、均熱材とヒーターボード本体をそれよりも強固な接着剤にて接着しておくことにより、床仕上げ材を引き剥がして再工事する際にも、犠牲層のみが床仕上げ材側に残り、均熱材がヒーターボード本体から剥がれることがなく、均熱材付きのヒーターボードとして再利用可能となる。
ここで、均熱材と犠牲層との接着強度として、JIS Z0237に規定の90゜引きはがし法による測定値として、2〜10N/cm、好ましくは3〜8N/cmの強度を有する接着剤を用いるのが望ましい。2N/cmよりも接着強度が低くなると、床仕上げ材の釘打ち等の固定までに十分な保持ができず、床仕上げ材がずれたり、釘打ちした部分以外が浮き上がったりする場合があり、10N/cmよりも高い接着強度では、均熱材を剥離したり、さらに均熱材とヒーターボード本体が強固に接着されているとヒーターボード本体を破損したりする場合がある。
使用する接着剤は、上記範囲の接着強度を達成できるものであれば特に制限されないが、例えば、アクリル酸エステル共重合体系の接着剤がこの用途に適したものである。
一方、ヒーターボード本体と均熱材との接着は、均熱材と犠牲層との接着強度よりも強く、かつ均熱材がヒーターボード本体から容易に剥がれない程度の接着強度を有する接着剤を用いることが好ましい。
ヒーターボード本体への均熱材の接着、均熱材への犠牲層の接着は、施工現場においても行うことができるが、通常、均熱材付きのヒーターボードを工場等で製造しているような場合には、犠牲層も予め接着しておくことが好ましい。又、施工現場にて接着を行う場合にも、均一な接着が実施できるように、予め、均熱材のヒーターボード本体側や、犠牲層の均熱材側に接着層を形成したものを用い、保護フィルム等で保護しておき、施工現場にて保護フィルムを剥がして接着するようにするのが好ましい。
このように犠牲層を設けたヒーターボードを敷設し、床暖房を施工するには、ヒーターボードを根太等の上に直接又は床下地を介して敷き詰め、位置を固定し、電気式では必要な電気配線工事を、温水式では、さらに温水パイプ等を接続した後、床仕上げ材を設置する。
個々のヒーターボードを1つずつ敷設することもできるが、簡便には、例えば、特開2000−81221号公報に開示の電熱ボードのように、複数のヒーターボードを予め連結しておいて、一気に敷設する方法がある。複数のヒーターボードの連結は、機械的連結手段、例えば、敷設後に引き剥がし可能な紙や、ボードの長手方向側面に孔をあけておき、そこにループ状のプラスチック、ひも、針金などからなる連結帯を通して、隣り合うボードをつないで折りたたみ可能としたヒーターパネルを用いて行うことができる。このとき、電力供給のための電源線や、安全装置からの信号線などの電気配線等も予め設置しておけば、電気工事の短縮も図れる。
このようなヒーターボード、あるいはヒーターパネルが敷設される床下地は特に限定されないが、例えば木質床下地、コンクリート床下地、乾式遮音二重床などに施工できる。このとき、ヒーターボードに釘打ち可能領域を表示しておくことにより、釘打ち等により床下地に固定する際に電気配線や、面状発熱体の電気部品等に悪影響を与えることがない。ここで、釘打ち可能領域は、例えば図1における電熱ボードであれば、枠材12上であって、面状発熱体11の発熱抵抗体やリード線、電極等の存在しない部分や、各ボード間に電力を供給する渡り配線等の取付位置を区別している。
本発明のヒーターボードの上に敷設される床仕上げ材は特に限定されないが、床暖房用の畳、床暖房用木質フロアー材、合板+カーペットなどが好適に使用できる。例えば、図2に示すように、電熱ボード1上にフローリング床などの床仕上げ材2、電熱ボード1の長手方向に直交する方向に接着剤などを用いて接着していき、必要であれば、前記の釘打ち可能領域19上に釘等を用いて強固に固定することで、図3(a)に示すように床暖房の施工が完了する。
再工事時には、床仕上げ材2を引き剥がすと、図3(b)に示すように床仕上げ材2側に犠牲層16が残るが、電熱ボード1側の均熱材15と犠牲層16とがきれいに引き剥がせ、均熱材15が電熱ボードから剥離することがないため、再利用が可能である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
図1の断面図に示される電熱ボードを作製した。この電熱ボード1は、その周囲外郭に桟木(枠)12が設けられており、桟木(枠)12は5.5mm厚の木材の補強材17と2.5mm厚の発泡倍率7倍の発泡ポリエチレンに添加物を混入したスペーサーからなる防振防音材18との2層構造とした。この桟木(枠)12の内部に発泡倍率30倍の発泡ポリエチレンを断熱材13として配置し、上面に炭素繊維を発熱抵抗体とし、これを繊維強化プリプレグシートでラミネートした面状発熱体11を接着し、下面に補強シート14を接着した。面状発熱体11の上面には均熱材15(アルミ板、厚さ0.1mm)があらかじめ取り付けられており、均熱材のJIS Z0237に規定の90゜引きはがし法による接着強度は10N/cm以上であった。さらにその上に、犠牲層として、洲本製紙製の紙シート(朝日印畳床用防虫紙フェンチオンなし、厚み0.3mm)を積水化学工業(株)製のアクリル酸エステル共重合体系接着剤(商品名:「エスダイン7871」)にて接着した。犠牲層のJIS Z0237に規定の90゜引きはがし法による接着強度は3.1N/cmであった。
比較例1
犠牲層を設けていない以外は実施例1と同様にして電熱ボードを製造した。
比較例2
均熱材(アルミ板、厚さ0.1mm)を犠牲層の接着と同じ接着剤にて面状発熱体に接着した以外は実施例1と同様にして電熱ボードを製造した。
以上の実施例1及び比較例1,2で製造した電熱ボードに、床仕上げ材として複合フローリングを接着剤(オート化学製、オートンアドハー8800、接着強度)にて接着し、接着剤が乾くまで養生した。次に、電熱ボードを治具に固定し、床仕上げ材の剥離を行った。結果を、下記表1に示す。
Figure 2005336966
以上の説明では、床仕上げ材の変更に際してヒーターボードを再利用可能とする実施形態について説明しているが、ヒーターボードの裏面にも同様に犠牲層を設けておくと、ヒーターボードの撤去の際に容易に撤去することも可能となる。
本発明における電熱ボードの一実施形態を示す概略断面図である。 本発明における電熱ボードの施工例を説明する部分平面図である。 (a)は床仕上げ材施工後の断面図、(b)は床仕上げ材剥離後の断面図を示す。
符号の説明
1 電熱ボード
1’ 電熱ボード本体
11 面状発熱体
12 桟木(枠)
13 断熱材
14 補強シート
15 均熱材
16 犠牲層
17 補強材
18 防振防音材
19 釘打ち可能領域
2 床仕上げ材

Claims (6)

  1. 少なくとも上面に金属製の板又は箔からなる均熱材を有する床暖房用ヒーターボードにおいて、該均熱材の上面に、JIS Z0237に規定の90゜引きはがし法による接着強度が2 N/cm〜10 N/cmの接着剤により貼り付けられた犠牲層が設けられており、前記均熱材が犠牲層の接着に用いる接着剤よりも大きな接着強度を有する接着剤にてヒーターボード本体に接着されていることを特徴とする床暖房用ヒーターボード。
  2. 前記犠牲層は、均熱材の上面全面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の床暖房用ヒーターボード。
  3. 前記均熱材は、ヒーターボード本体の上面全面に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の床暖房用ヒーターボード。
  4. 前記犠牲層は、紙材料からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の床暖房用ヒーターボード。
  5. 前記犠牲層と均熱材とを接着する接着剤が、アクリル酸エステル共重合体であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の床暖房用ヒーターボード。
  6. 前記ヒーターボード本体は、電力を供給することで発熱する発熱抵抗体を繊維強化プリプレグでラミネートした面状発熱体を上面に配した電熱ボードであり、該面状発熱体に前記均熱材が接着されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の床暖房用ヒーターボード。
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