JP2005336471A - 油脂組成物 - Google Patents

油脂組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2005336471A
JP2005336471A JP2005128845A JP2005128845A JP2005336471A JP 2005336471 A JP2005336471 A JP 2005336471A JP 2005128845 A JP2005128845 A JP 2005128845A JP 2005128845 A JP2005128845 A JP 2005128845A JP 2005336471 A JP2005336471 A JP 2005336471A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oil
fatty acid
fat
mass
fatty acids
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2005128845A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4823558B2 (ja
Inventor
Kenji Masui
賢治 舛井
Hidekazu Takahashi
秀和 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP2005128845A priority Critical patent/JP4823558B2/ja
Publication of JP2005336471A publication Critical patent/JP2005336471A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4823558B2 publication Critical patent/JP4823558B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Fats And Perfumes (AREA)
  • Edible Oils And Fats (AREA)

Abstract

【課題】 体脂肪蓄積抑制効果の認められているジアシルグリセロールを高濃度含有し、且つ循環器系疾患への影響が懸念されるトランス型不飽和脂肪酸の含量が低く、しかもベーカリー製品への加工特性に優れた油脂組成物を提供する。
【解決手段】 油脂中に、ジアシルグリセロールを60〜80質量%含有し、該ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸の90質量%以上が不飽和脂肪酸であり、残余のトリアシルグリセロールの内、構成脂肪酸が全て飽和脂肪酸であるトリ飽和型トリアシルグリセロールが45〜75質量%、構成脂肪酸が全て不飽和脂肪酸であるトリ不飽和型トリアシルグリセロールが10〜50質量%であり、且つ、油脂を構成する全脂肪酸の内、トランス型不飽和脂肪酸の含量が5質量%以下である油脂組成物とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ジアシルグリセロールを高濃度含有し、製菓、製パン分野でショートニング、マーガリンとして好適に用いられる油脂組成物に関する。
人々の健康への関心が高まる中、トランス酸の健康へ及ぼす影響が懸念されており(非特許文献1)、その摂取を控えようとする動きがある。
一方、ジアシルグリセロールには体脂肪蓄積を抑制する機能があることが解明されつつある(特許文献1)。日常食している様々な油脂加工品及びそれを含有する各種の食品でジアシルグリセロールを有効量摂取するためには、ジアシルグリセロールを高濃度で含有する油脂加工食品を食することが必要となる。油中にジアシルグリセロールを含有する油脂組成物は、例えば特許文献2に提案されている。この公報に記載の発明は、常温では液体である融点20℃未満のジアシルグリセロールに各種の部分硬化油を固体脂として添加し、高起泡性油脂組成物を得るというものである。しかし、ジアシルグリセロールが液状であるため、バタークリーム等の常温で保型性が必要な商品では、部分硬化油の配合量を多くすることが必要となり、健康機能を十分発揮させる量のジアシルグリセロールを多く配合させることができない。また、部分硬化油はトランス型不飽和脂肪酸を多く含有し、生活習慣病への影響が懸念されるが、トランス型不飽和脂肪酸を少なくすると、ショートニング、マーガリン等は、満足な起泡性、保型性が得られ難いという問題がある。
特許文献2以外にも、ジアシルグリセロール及びトリアシルグリセロールを含有する油脂組成物として、特許文献3〜6あるいは特許文献7〜11にて、各種組合せのものが提案されているが、何れもショートニング、マーガリン等に応用するための油脂としてみると、要求性能を全て満足するものとは言えない。
即ち、ショートニング、マーガリン等には、適度な稠度、口溶け、生地調製時の作業性、離型性、耐熱性、保型性、可塑性、その他特定の融解挙動が要求され、またショートニング性、起泡性、吸糖性、酸化安定性、様々な食品原料との混和性に優れていることが求められるが、これら要求性能をバランス良く兼ね備え、しかも体脂肪蓄積抑制効果の認められているジアシルグリセロールを高濃度含有し、且つ循環器系疾患への影響が懸念されるトランス型不飽和脂肪酸の含量が低く、生活習慣病予防に有益なものは提案されていない。
特開平4−300826号公報 特開昭63−301765号公報 特開昭61−63242号公報 国際公開第95/22256号パンフレット 国際公開第95/22257号パンフレット 国際公開第96/32022号パンフレット 国際公開第99/48378号パンフレット 特開2001−61411号公報 特開昭63−301743号公報 特開平10−176181号公報 特開2001−64671号公報 Alice,H.Lichtenstein,et al.,EFFECT OF DIFFERENT FORMS OF DIETARY HYDROGENATED FATS ON SERUM LIPOPROTEIN CHORESTEROL LEVELS、「The New England Journal of Medicine」、USA、the Massachusetts Medical Society、1999年、340巻、25号、p.1933−1940.
本発明は、体脂肪蓄積抑制効果の認められているジアシルグリセロールを高濃度含有し、且つ循環器系疾患への影響が懸念されるトランス型不飽和脂肪酸の含量が低く、しかも、優れた起泡性、吸糖性、ショートニング性、様々な食品原料との混和性、離型性、耐熱性、酸化安定性、保型性、適度な稠度、口溶け、可塑性、その他特定の融解挙動をバランスよく兼ね備え、製菓、製パン分野でショートニング、マーガリンとして好適に用いられる油脂組成物の提供を目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため検討した結果、構成脂肪酸の90質量%以上が不飽和脂肪酸であるジアシルグリセロールと、特定のトリアシルグリセロールの組合せが極めて有効であることを見出し、本発明を完成した。
即ち本発明は、油脂中に、ジアシルグリセロールを60〜80質量%含有し、該ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸の90質量%以上が不飽和脂肪酸であり、残余のトリアシルグリセロールの内、構成脂肪酸が全て飽和脂肪酸であるトリ飽和型トリアシルグリセロールが45〜75質量%、構成脂肪酸が全て不飽和脂肪酸であるトリ不飽和型トリアシルグリセロールが10〜50質量%であり、且つ、油脂を構成する全脂肪酸の内、トランス型不飽和脂肪酸の含量が5質量%以下である油脂組成物を提供するものである。
ジアシルグリセロールを高濃度含有することによる体脂肪蓄積抑制効果、トランス型不飽和脂肪酸の含量が低いことによる循環器系疾患の抑制効果を有し、しかも、優れた起泡性、吸糖性、ショートニング性、様々な食品原料との混和性、離型性、耐熱性、酸化安定性、保型性、適度な稠度、口溶け、可塑性、その他特定の融解挙動をバランスよく兼ね備え、製菓、製パン分野でショートニング、マーガリンとして好適に用いられる。
本発明の油脂組成物は、ジアシルグリセロールを60〜80質量%(以下、単に%と記載する)含有することが好ましいが、更に62〜78%、特に64〜76%、殊更66〜74%であることが体脂肪蓄積抑制効果と生地調製時の作業性、起泡性、吸糖性、様々な食品原料との混和性(以下、単に混和性と記載する)、耐熱性、離型性等のバランスの点から好ましい。油脂組成物中のジアシルグリセロール含量は、生理効果の点で60%以上であることが好ましく、可塑性、保型性の為に固体脂を配合する必要から80%以下であることが好ましい。
本発明の態様において、ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸のうち、不飽和脂肪酸の含有量は90%以上であることが好ましいが、更に93〜100%、特に93〜98%、殊更94〜98%であるのが、生理効果、混和性、保型性、融解性、油脂の工業的生産性の点で好ましい。該不飽和脂肪酸の炭素数は14〜24であるのが好ましく、更に16〜22であるのが、生理効果の点で好ましい。
本発明の態様において、ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸のうち、オレイン酸の含有量は20〜65%、好ましくは25〜60%、特に30〜50%、殊更30〜45%であるのが混和性、保型性、融解性、生理効果、酸化安定性の点で好ましい。更に同様の点から、オレイン−オレインジアシルグリセロール含有量は、45%未満、特に0〜40%が好ましい。
本発明の態様において、ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸のうちリノール酸の含有量は15〜65%、更に20〜60%、特に30〜55%、殊更35〜50%であるのが混和性、保型性、融解性、生理効果、酸化安定性の点で好ましい。更に、酸化安定性、混和性、保型性、生理効果の点から、リノール酸/オレイン酸の含有質量比が0.01〜2、好ましくは0.1〜1.8、特に0.3〜1.7であることが好ましい。特に、健康への影響を考慮すると、リノール酸/オレイン酸の含有質量比は2以下、必須脂肪酸摂取の点から、0.01以上であることが好ましい。
本発明の態様において、ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸のうちリノレン酸の含有量は15%未満、更に0〜13%、特に1〜10%、殊更2〜9%であるのが酸化安定性、保型性、融解性、生理効果、混和性の点で好ましい。リノレン酸には、異性体としてα−リノレン酸とγ−リノレン酸が知られているが、生理効果の点でα−リノレン酸が好ましい。
本発明の態様において、ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸のうち、飽和脂肪酸の含有量は0〜10%であるのが好ましいが、更に0〜7%、特に2〜7%、殊更2〜6%であるのが、混和性、保型性、可塑性、口溶け、融解性、生理効果、油脂の工業的生産性の点で好ましい。飽和脂肪酸としては、炭素数14〜24、特に16〜22のものが好ましく、パルミチン酸、ステアリン酸が最も好ましい。
本発明の態様において、ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中、炭素数12以下の脂肪酸の含有量は、風味の点で5%以下であるのが好ましく、更に0〜2%、特に0〜1%、実質的に含まないのが最も好ましい。残余の構成脂肪酸は炭素数14〜24、特に16〜22であるのが好ましい。
本発明の態様において、生理効果、可塑性、保型性、融解性、油脂の工業的生産性の点から、ジアシルグリセロール中の1,3−ジアシルグリセロールの割合が50%以上、更に52〜100%、特に54〜90%、殊更56〜80%であるジアシルグリセロールを用いるのが好ましい。
本発明の態様において、油脂組成物中の1,2(2,3)−ジアシルグリセロールの割合は、30%以下であるのが好ましく、更に0〜25%、特に5〜25%、殊更10〜20%であるのが、可塑性、保型性、融解性、生理効果、油脂の工業的生産性の点から好ましい。
本発明の態様において、ジアシルグリセロールは、構成脂肪酸中に不飽和脂肪酸残基を多く含む油脂、例えば、菜種油、大豆油、ひまわり油、サフラワー油、オリーブ油、綿実油、コーン油、パーム油等の植物性油脂、あるいはラード、牛脂、バター等の動物性油脂を原料として製造することが好ましい。具体的には、これら油脂を分別、混合、エステル交換等の方法により所望する脂肪酸組成となるよう調整する。次いで、油脂とグリセリンを混合して触媒存在下でエステル交換反応するか、より好ましくは上記油脂を予め常法により加水分解し、得られた脂肪酸を常法によりウィンタリング、分別、蒸留等の操作により飽和脂肪酸を低減した後、グリセリンを混合して触媒存在下でエステル化反応することによって得ることができる。エステル化反応は、1,3位選択リパーゼ等を用いて酵素的に穏和な条件で行うことが風味等の点で優れており、好ましい。
また、本発明の目的から、使用するジアシルグリセロール自体もトランス型不飽和脂肪酸の含量が極力少ないものが好ましいが、そのためには製造工程において熱履歴を極力低くするのが好ましい。具体的には、上記油脂とグリセリンのエステル交換反応、油脂の加水分解反応、又は油脂とグリセリンのエステル化反応において、それぞれ触媒としてリパーゼ等を用いて酵素反応により行うことが好ましい。
本発明の態様において、ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸のうち、トランス型不飽和脂肪酸の含有量は0〜5%であるのが好ましく、更に0.1〜4.5%、特に0.2〜4.1%、殊更0.5〜3.5%であるのが風味、生理効果、油脂の工業的生産性の点で好ましい。
本発明の油脂組成物は、トリアシルグリセロール(TAG)を20〜40%含有するが、好ましくは22〜38%、更に24〜36%、特に24.3〜33.85%含有するのが可塑性、保型性、混和性、融解性、口溶け、生理効果、油脂の工業的生産性の点で好ましい。
本発明の態様において、油脂中のトリアシルグリセロール部分は、常温での油脂組成物の起泡性、保型性を発現させるため、固体脂であることが好ましい。原料としては、パーム油、ラード、牛脂等の飽和脂肪酸を多く含む油脂を分別等によって飽和脂肪酸を高含量とした油脂を使用することもできるが、構成脂肪酸が全て飽和脂肪酸であるトリ飽和型トリアシルグリセロール(SSS−TG)を特定比率で含むことが好ましい。
本発明の態様において、トリアシルグリセロールの内、構成脂肪酸が全て飽和脂肪酸であるトリ飽和型トリアシルグリセロール(SSS−TG)の含有量は45〜75%であることが好ましく、更に48〜70%、特に50〜65%、殊更54〜60%であることが融解性、起泡性、吸糖性、口溶け、可塑性、保型性、耐熱性の点から好ましい。特にトリアシルグリセロール中のSSS−TGの含有量は、気泡の保持、気体/油脂の界面安定化の点から45%以上であることが好ましく、口溶け、可塑性の点から75%を超えないことが好ましい。
本発明の態様において、トリアシルグリセロールの内、構成脂肪酸が全て不飽和脂肪酸であるトリ不飽和型トリアシルグリセロール(UUU−TG)の含有量は10〜50%であることが好ましく、更に10〜45%、特に20〜42%、殊更30〜40%であることが混和性、起泡性、吸糖性、口溶け、可塑性、耐熱性、融解性の点から好ましい。
なお、残余はジ飽和モノ不飽和トリアシルグリセロール(SU−TG)およびモノ飽和ジ不飽和トリアシルグリセロール(SU−TG)である。本発明の態様において、トリアシルグリセロール中のSU−TG及びSU−TGの含有量は0〜45%、更に0〜22%、特に1〜10%、殊更2〜5%であるのが可塑性、保型性、口溶け、起泡性、融解性の点で好ましい。
本発明の態様において、上記要件を満たした上で、トリアシルグリセロールを構成する脂肪酸の内、不飽和脂肪酸の含有量は25〜55%であるのが好ましく、更に27〜50%、特に30〜45%、殊更34〜42%であるのが混和性、起泡性、吸糖性、口溶け、可塑性、融解性の点から好ましい。
本発明の態様において、トリアシルグリセロールを構成する不飽和脂肪酸は、炭素数14〜24、特に炭素数16〜22のものが好ましく、更にオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ガトレン酸、エルカ酸が好ましく、特にオレイン酸、リノール酸、リノレン酸が好ましい。
本発明の態様において、トリアシルグリセロールの構成脂肪酸中、オレイン酸の含有量は5〜30%であるのが好ましく、更に10〜20%、特に12〜18%であるのが、保型性、可塑性、融解性、口溶け、混和性、起泡性の点で好ましい。
本発明の態様において、トリアシルグリセロールの構成脂肪酸中、リノール酸の含有量は5〜30%であるのが好ましく、更に10〜25%、特に12〜22%であるのが、脂肪酸の摂取バランス、酸化安定性、保型性、可塑性、融解性、口溶け、混和性、起泡性の点で好ましい。
本発明の態様において、トリアシルグリセロールの構成脂肪酸中、リノレン酸の含有量は0.1〜10%であるのが好ましく、更に1〜8%、特に2〜5%であるのが、脂肪酸の摂取バランス、酸化安定性、保型性、可塑性、融解性、口溶け、混和性、起泡性の点で好ましい。尚、リノレン酸はα−リノレン酸であるのが好ましい。
本発明の態様において、トリアシルグリセロールを構成する飽和脂肪酸は、炭素数14〜24、特に16〜22のものが好ましく、更にパルミチン酸、ステアリン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、特にパルミチン酸、ステアリン酸が好ましい。
本発明の態様において、トリアシルグリセロールの構成脂肪酸中、パルミチン酸(C16:0)の含有量は1〜45%であるのが好ましく、更に3〜35%、特に7〜30%であるのが、保型性、可塑性、融解性、口溶け、混和性、起泡性の点で好ましい。
本発明の態様において、トリアシルグリセロールの構成脂肪酸中、ステアリン酸(C18:0)の含有量は10〜69%であるのが好ましく、更に20〜65%、特に30〜60%であるのが、保型性、可塑性、融解性、口溶け、混和性、起泡性の点で好ましい。
本発明の態様において、トリアシルグリセロールの構成脂肪酸中、アラキドン酸(C20:0)の含有量は5%以下であるのが好ましく、更に0〜3%、特に0.1〜1%であるのが、口溶け、保型性、可塑性の点で好ましい。
本発明の態様において、トリアシルグリセロールの構成脂肪酸中、ベヘン酸(C22:0)の含有量は3%以下であるのが好ましく、更に0〜2%、特に0〜1%であるのが、口溶け、保型性、可塑性の点で好ましい。
トリ飽和型トリアシルグリセロールを高濃度で含有する油脂は、各種の植物油、動物油を、ヨウ素価5以下、より好ましくは0〜2まで極度硬化することで得られ、例えば大豆極度硬化油脂、菜種極度硬化油脂、パーム極度硬化油脂を使用することができる。極度硬化することで、通常の部分硬化油に含有されるトランス型不飽和脂肪酸を極力低減させることができ、循環器系疾患予防の点から好ましい。
本発明の油脂組成物においては、トリ飽和型トリアシルグリセロール含量等の要件を満たす範囲内で、上記極度硬化油と通常の植物油、動物油を混合した混合油を用いることもできる。この場合も、併用する植物油、動物油として部分硬化油の使用は避けるのが循環器系疾患予防の点から好ましい。
本発明の態様において、最も好ましいのは、トリアシルグリセロールが植物油の極度硬化油と菜種油もしくは大豆油の混合物からなる場合である。
本発明の油脂組成物は、上記特定のジアシルグリセロールと上記特定のトリアシルグリセロールとを含むと共に、油脂を構成する全脂肪酸の内、トランス型不飽和脂肪酸の含量が5%以下であることが好ましいが、更に0〜4.5%、特に0.1〜4.1%、殊更0.2〜3.5%であるのが循環器系疾患予防、油脂の工業的生産性、風味の点で好ましい。
本発明の態様において、トランス型不飽和脂肪酸とは、不飽和脂肪酸の分子内の二重結合の1つ以上がトランス型であるものをいう。本発明のトランス型不飽和脂肪酸の定量法は、American Oil Chemists. Society Official Method Ce 1f-96(GLC法)により行った。
本発明の油脂組成物中のモノアシルグリセロール(MAG)含量は10%以下であるのが好ましく、更に0〜5%、特に0〜2%、殊更0.1〜1.5%であるのが、風味、外観、乳化性、発煙、油脂の工業的生産性等の点で好ましい。モノアシルグリセロールの構成脂肪酸はジアシルグリセロールと同じ構成脂肪酸であることが、油脂の工業的生産性の点で好ましい。
また、本発明の油脂組成物において、遊離脂肪酸またはその塩(FFA)は、3.5%以下に低減されるのがよく、好ましくは0〜1%、更に0〜0.5%、特に0.05〜0.2%とするのが風味、乳化性、発煙、油脂の工業的生産性の点で好ましい。
本発明の油脂組成物を構成する全脂肪酸中、炭素−炭素二重結合を4つ以上有する脂肪酸の含有量は、酸化安定性、生地調製時の作業性、生理効果、着色等の点で0〜40%、更に0〜20%、特に0〜10%、殊更0〜1%であるのが好ましく、実質的に含まないのが最も好ましい。
本発明の油脂組成物の好適な固体脂含量(SFC)は、35℃で0〜10、25℃で5〜30、15℃で10〜35、5℃で15〜40であるのが好ましく、更に35℃で1〜5、25℃で10〜25、15℃で15〜30、好ましくは12〜30、5℃で20〜35、好ましくは12〜35であるのが口溶け、保型性、可塑性、伸展性等の点で好ましい。
また、本発明の油脂組成物には、植物ステロール成分を添加するのが、血中コレステロール低下効果、飽和酸の低減化、バタークリームやベーカリー製品への加工特性の点で好ましい。更に本発明においては、植物ステロールは高含量のジアシルグリセロールに溶解しやすいことから、たとえ植物ステロールが結晶化した場合でも、トリアシルグリセロール中での結晶に比べて微細な結晶となるため、起泡性、吸糖性、口溶けへの影響が少ないという利点がある。
本発明の態様において、植物ステロールには植物スタノールが含まれ、例えばα−シトステロール、β−シトステロール、スチグマステロール、7−スチグマステノール、カンペステロール、ブラシカステロール、イソフコステロール、α−シトスタノール、β−シトスタノール、スチグマスタノール、7−スチグマスタノール、カンペスタノール、ブラシカスタノール、イソフコスタノール、シクロアルテノール、コレステロール、アベナステロール等のフリー体、及びこれらの脂肪酸エステル、フェルラ酸エステル、桂皮酸エステル等のエステル体が挙げられる。
植物ステロール脂肪酸エステルとしては、植物スタノール脂肪酸エステルも含まれ、例えばα−シトステロール脂肪酸エステル、β−シトステロール脂肪酸エステル、スチグマステロール脂肪酸エステル、7−スチグマステノール脂肪酸エステル、カンペステロール脂肪酸エステル、ブラシカステロール脂肪酸エステル、イソフコステロール脂肪酸エステル、α−シトスタノール脂肪酸エステル、β−シトスタノール脂肪酸エステル、スチグマスタノール脂肪酸エステル、7−スチグマスタノール脂肪酸エステル、カンペスタノール脂肪酸エステル、ブラシカスタノール脂肪酸エステル、イソフコスタノール脂肪酸エステル、シクロアルテノール脂肪酸エステル、コレステロール脂肪酸エステル、アベナステロール脂肪酸エステル等が挙げられる。
本発明の態様において、これら植物ステロールのうち、ブラシカステロール、カンペステロール、スチグマステロール、β−シトステロール、及びこれらの脂肪酸エステルが、油脂の工業的生産性、風味の点で好ましい。植物ステロール中、ブラシカステロール、カンペステロール、スチグマステロール、β−シトステロールの合計含有量は、植物ステロール遊離体換算で90%以上であるのが好ましく、更に92〜100%、特に94〜99%であるのが、風味、油脂の工業的生産性、結晶析出、生理効果の点で好ましい。
本発明の態様において、植物ステロール中のブラシカステロールの含有量は、植物ステロール遊離体換算で0.5〜15%であるのが好ましく、更に0.7〜11%、特に3〜10%であるのが、風味、油脂の工業的生産性、結晶析出、生理効果の点で好ましい。
本発明の態様において、植物ステロール中の、カンペステロールの含有量は、植物ステロール遊離体換算で10〜40%であるのが好ましく、更に20〜35%、特に23〜29%であるのが、風味、油脂の工業的生産性、結晶析出、生理効果の点で好ましい。
本発明の態様において、植物ステロール中の、スチグマステロールの含有量は、植物ステロール遊離体換算で3〜30%であるのが好ましく、更に11〜25%、特に17〜24%であるのが、風味、油脂の工業的生産性、結晶析出、生理効果の点で好ましい。
本発明の態様において、植物ステロール中の、β−シトステロールの含有量は、植物ステロール遊離体換算で20〜60%であるのが好ましく、更に30〜56%、特に42〜51%であるのが、風味、油脂の工業的生産性、結晶析出、生理効果の点で好ましい。
本発明の態様において、植物ステロール中の、コレステロールの含有量は1%以下であるのが好ましく、更に0.01〜0.8%、特に0.1〜0.7%、特に0.2〜0.6%であるのが、血中コレステロール低下、油脂の工業的生産性の点で好ましい。
本発明の態様において、植物ステロール脂肪酸エステルを構成する脂肪酸のうち、不飽和脂肪酸の含有量は、80%以上であるのが好ましく、更に85〜100%、特に86〜98%、特に88〜93%であるのが、風味、結晶析出、油脂の工業的生産性、酸化安定性、生理効果の点で好ましい。
本発明の態様において、植物ステロール類の含量は、油脂組成物100質量部に対して、0.05〜20質量部であるのが好ましく、より好ましくは0.3〜15質量部、更に0.5〜10質量部、特に1〜5質量部、殊更1〜4.7質量部、最も好ましくは2〜4.7質量部であるのが、血中コレステロール低下効果とバタークリームやベーカリー製品への加工特性の両立の点から好ましい。
また、本発明の油脂組成物には、通常の油脂組成物に含まれる成分、例えばビタミンE(トコフェロール)、ビタミンC又はその誘導体(アスコルビン酸パルミテート、アスコルビン酸ステアレート)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシルアニソール(BHA)、ターシャルブチルヒドロキノン(TBHQ)等の抗酸化剤を配合してもよい。
本発明の態様において、抗酸化剤の含有量は、風味、酸化安定性、着色等の点で油脂組成物100質量部に対して、0.005〜0.5質量部であるのが好ましく、更に0.04〜0.25質量部、特に0.08〜0.2質量部であるのが好ましい。
本発明の態様において、ビタミンEとしては、α、β、γ、δ−トコフェロール又はこれらの混合物を使用することができる。特に、酸化安定性の観点から、δ−トコフェロールが好ましい。ビタミンEの市販品としては、イーミックスD、イーミックス80(エーザイ(株)製)、MDE−6000((株)八代製)、Eオイル−400(理研ビタミン(株)製)等が挙げられる。本発明において、ビタミンEの含有量は、油脂組成物100質量部に対して、トコフェロールとして0.01〜0.5質量部が好ましく、更に0.02〜0.3質量部、特に0.05〜0.2質量部が好ましい。
本発明の油脂組成物において、ビタミンC又はその誘導体の含有量は、油脂組成物100質量部に対して、アスコルビン酸として0.004〜0.1質量部が好ましく、更に0.006〜0.08質量部、特に0.008〜0.06質量部が好ましい。
また、本発明の油脂組成物が水と混合され、又は水を含む食品に使用された場合であって、長期保存又は明所保存される場合には、抗酸化剤としてL−アスコルビン酸脂肪酸エステルを実質的に含ませず、ビタミンE、好ましくはδ−トコフェロールを使用することが、風味劣化、異味発生を防止する点から好ましい。
本発明の油脂組成物においては、更に炭素数2〜8の有機カルボン酸を添加することが好ましい。炭素数2〜8の有機カルボン酸の含有量は、油脂組成物100質量部に対して、0.001〜0.01質量部であるのが好ましく、更に0.0012〜0.007、特に0.0015〜0.0045質量部、殊更0.0025〜0.0034質量部であるのが風味、外観、酸化安定性の点で好ましい。
本発明の油脂組成物には、必要に応じて乳化剤を配合してもよい。使用できる乳化剤としては、レシチン、酵素分解レシチン、グリセリンモノ脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸ナトリウム、ステアロイル乳酸カルシウム等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記乳化剤のHLB値は0〜20であるのが好ましく、更に1〜16、特に7〜15であるのが好ましい。
本発明の油脂組成物は、混和性、吸糖性等の機能が優れている為、乳化剤の添加を必要としない場合が多く、添加するとしても少量で済むので、風味、コストの点においても好ましい。
乳化剤の含有量は、油脂組成物100質量部に対して0.01〜8質量部、更に0.02〜5質量部、特に0.05〜2質量部、殊更0.07〜1.5質量部であるのが、乳化性、解乳化性、混和性、吸糖性、風味、起泡性の点で好ましい。
特に、本発明の油脂組成物をクリーミング型ショートニングや油中水型乳化物として使用する場合には、油脂組成物100質量部に対して、レシチンを0.02〜0.2質量部、更に0.05〜0.15質量部配合するのが、吸糖性が顕著に向上する点で好ましい。
本発明の油脂組成物には、必要により、βカロチンやアナトー色素等の着色料、フレーバー、調味料等を用いることができる。
本発明の油脂組成物は、ショートニングや乳化物、分散物として使用することができる。本発明の油脂組成物を使用したショートニングや乳化物、分散物は、具体的にはケーキ、食パン、菓子パン、パイ、クラッカー、クッキー、ビスケット、ワッフル、スコーン、シュー、デニッシュ、ドーナツ、揚げ物菓子、揚げ物惣菜等の各種食品に利用することができる。
本発明の油脂組成物に、必要に応じて上記成分を添加混合し、常法に従って急冷捏和した後、テンパリング(20〜30℃、24〜72時間)することにより、ショートニングを製造することができる。ショートニングを製造する際、油脂組成物にガス(気体)を分散させるのが好ましい。ガスとしては、窒素、空気等が挙げられるが、窒素が好ましい。
ガスの含有量は、油脂組成物100gに対して、0.1〜20mLであるのが好ましく、更に1〜18mL、特に4〜15mL、殊更7〜13mLであるのが、可塑性の点で好ましい。
本発明の油脂組成物は、ショートニングとして好適に使用することができる。ショートニングとしては、ドーナツ等の揚げ物に用いられるフライショートニング、クラッカーやスナック菓子等に用いられるスプレーショートニング、チョコレートコーティングに用いられるカカオ代用型ショートニング、幅広い用途に用いられる汎用型ショートニング、アイシングやバタークリーム等に用いられるクリーミング型ショートニング等が挙げられる。
本発明の油脂組成物は、油中水型乳化物、油中水型分散物といった水中油型乳化物や、水中油型乳化物、油中水中油型二重乳化物にも使用することができ、油中水型乳化物に使用するのが好ましい。水相と油相の質量比は、90/10〜15/85であるのが好ましく、更に85/15〜30/70、特に80/20〜50/50であるのが好ましい。
本発明の態様において、油中水型組成物には、糖類を含有するのが好ましい。使用される糖類としては、グルコース、マルトース、フラクトース、シュークロース、ラクトース、トレハロース、マルトトリオース、マルトテトラオース、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール等の単糖類、二糖類、三糖類、四糖類、五糖類、六糖類、澱粉加水分解物及びこれらを還元した糖アルコール、それらの混合物、各種水飴が例示される。
本発明の態様において、油中水型組成物中の糖類の含有量は、10〜85%であるのが好ましく、更に15〜70%、特に20〜50%であるのが、甘味、保存性の点で好ましい。水相中の糖類の含有量は、35〜100%であるのが好ましく、更に45〜85%、特に50〜75%であるのが、甘味、保存性の点で好ましい。
本発明の態様において、油中水型組成物には、上述した乳化剤、フレーバー、抗酸化剤、着色料、糖類の他、卵蛋白質、大豆蛋白質、乳蛋白質、これらの蛋白質より分離される蛋白質、これら蛋白質の(部分)分解物等の各種蛋白質類を使用することができる。また、食塩、リン酸、クエン酸、果汁、果実、野菜等の風味材、スパイス、フレーバー等の香料、増粘多糖類や澱粉等の安定化剤、保存料、水等を使用することができる。
本発明の態様において、油中水型組成物は、油脂組成物を水相と混合し、乳化、又は分散させることにより製造することができる。乳化、又は分散後、殺菌するのが好ましい。殺菌方法は、バッチ式、連続式が例示されるが、掻き取り式熱交換機やプレート式熱交換機を用いた連続式殺菌が好ましい。殺菌に次いで、冷却可塑化するのが好ましい。急速冷却する為、ボテーター、コンビネーター等の連続式密閉型チューブ冷却機を使用するのが好ましい。
本発明の態様において、油中水型組成物は、デニッシュペストリー用のロールイン型マーガリン、テーブルマーガリンやタブマーガリン等のスプレッド、パン・洋菓子用練り込み型マーガリン、バタークリーム、フィリングクリーム、トッピングクリーム等に利用することができる。フィリングクリーム、トッピングクリームの場合は、比重(g/cm)は0.3〜0.9であるのが好ましく、更に0.5〜0.85、特に0.6〜0.8であるのが、食感、口溶け、滑らかさの点で好ましい。
以下に実施例を記載するが、本発明の範囲は下記実施例に限定されるものではない。
油脂1(ジアシルグリセロール高含有油脂)の調製
ウインタリングにより飽和脂肪酸を低減させた大豆油脂肪酸を455質量部と、菜種油脂肪酸195質量部と、グリセリン107質量部とを、リポザイムIM(ノボザイムス社製)を使用して0.07hPaで40℃、5時間エステル化を行った。次いで酵素を濾別し、235℃で分子蒸留し、更に脱色、水洗した。次いでこの油脂150質量部に10%クエン酸水溶液7.5質量部を加え、60℃で20分間攪拌した後、110℃で脱水した。これを235℃で2時間脱臭して、油脂1を調製した。
下記方法により分析を行った結果を表1に示す。
Figure 2005336471
分析方法
(i)グリセリド組成
ガラス製サンプル瓶に、サンプル10mgとトリメチルシリル化剤(「シリル化剤TH」、関東化学(株))0.5mLとを加え、密栓した後、70℃で15分間加熱した。これをガスクロマトグラフィー(GLC)に供して、グリセリド組成分析を行なった。
GLC条件
装置;Hewlett Packard製 6890型
カラム;DB−1HT(J&W Scientific製) 7m
カラム温度;initial=80℃、final=340℃
昇温速度=10℃/分、340℃にて20分間保持
検出器;FID、温度=350℃
注入部;スプリット比=50:1、温度=320℃
サンプル注入量;1μL
キャリアガス;ヘリウム、流量=1.0mL/分
(ii)構成脂肪酸組成
日本油化学協会編「基準油脂分析試験法」中の「脂肪酸メチルエステルの調製法(2.4.1.2−1996)」に従って、脂肪酸メチルエステルを調製した。得られたサンプルを、GLCに供して構成脂肪酸組成分析を行った(American Oil Chem. Soc. Official Method:Ce1f-96、 2002年)。
油脂2〜5
大豆極度硬化油脂(IV=1.1)を油脂2とした。菜種極度硬化油脂(IV=1.2)を油脂3とした。大豆サラダ油を油脂4とした。菜種部分硬化油脂(IV=69)を油脂5とした。
植物ステロール
植物ステロールとして、タマ生化学(株)製「フィトステロールF」を使用した。
実施例1 油脂組成物(本発明品の例(No.1〜6)、比較品(No.7〜13))の調製
油脂1〜5、植物ステロールを表2に示す割合で混合し、加熱溶解した。次いで、チラー(乳化混練機、多摩精器工業(株))を用いて急冷・混練りした。これをテンパリングした後、冷蔵庫(5℃)にて保存し、油脂組成物(本発明品の例(No.1〜6)、比較品(No.7〜13))を製造した。表2に分析値を示す。
次に、各油脂組成物を用いて、下記の起泡性試験、吸糖試験、クリームの耐熱性試験、ベーカリー製品への応用評価を行った。
実施例2 起泡性試験
実施例1で調製した油脂組成物(本発明品の例(No.1〜6)、比較品(No.7〜13))各300gをホバートミキサー(N−50型、Hobart社製)にて中速で20分間撹拌して起泡させた。起泡後の油脂組成物1gあたりの体積(比容積:ml/g)を測定し、起泡性の評価を行った。結果を表2に示す。
本発明品の例は、比較品と比べて、起泡性に優れていることが判明した。
実施例3 吸糖性試験
実施例2で調製した起泡後の油脂組成物100gを、ホバートミキサーで撹拌しながら、シロップ(商品名:MC−45、日本食品加工(株)社、Brix.70)を50gずつ添加した。油脂組成物とシロップが分離する直前の、シロップ添加量を測定した。この測定値から油脂組成物1gあたりのシロップ添加量(g)を求め、吸糖性の評価を行った。結果を表2に示す。
本発明品の例は、比較品よりも吸糖性に優れていることが示された。
実施例4 クリームの耐熱性試験
実施例2で調製した、起泡後の油脂組成物100gをホバートミキサーで撹拌しながら、これにシロップを分離する直前まで加え、バタークリームを調製した。得られたバタークリームをカップに詰め、25℃にて24hr静置し、外観を下記の基準にて目視で観察することにより、耐熱性の評価を行った。結果を表2に示す。
耐熱性
A:オイルオフなく、良好
B:表面に若干オイルオフ有り、やや不良
C:油が完全に分離し、不良
本発明品の例は、比較品と比べて耐熱性に優れていることが明らかとなった。
Figure 2005336471
実施例5 ベーカリー製品への応用評価
実施例1で製造した油脂組成物(本発明品の例(No.1、2、5、6)及び、比較品(No.7〜9、12、13))を用いて、表3の配合でショートブレッドの生地を調製し、金型に入れてオーブンで焼成した(160℃、45分)。焼成後、金型から外して、ショートブレッドを製造した。
生地調製時の作業性(他の原料成分との混和性、生地の練りやすさ)、焼成後の型離れ(離型性)、ショートブレッドの風味食感を下記の基準にて評価した。結果を表4に示す。
Figure 2005336471
生地調製時の作業性
A:他の原料成分と混和し易く、生地が柔らかく均一に練りやすくて、良好
B:他の原料成分とやや混和し難く、生地が若干硬く、やや不良
C:他の原料成分と混和し難く、生地が硬く均一に練るのに時間がかかり、不良
焼成後の型離れ
A:金型との付着が無く容易に離れ、良好
B:一部が金型と付着し、やや不良
C:全体が金型と付着し、はがす際に振動が必要となり不良
風味食感
A:シトリ感があり口溶け良く、良好
B:若干パサツキがあり、やや不良
C:パサツキが強く口溶け悪く、不良
Figure 2005336471
本発明品は、比較品よりも、優れた加工特性(生地調製時の作業性、焼成後の型離れ、風味食感)を有し、ベーカリー製品に好適であることがわかった。また、植物ステロールを配合することにより、トリ飽和型トリアシルグリセロールの含有量を低下させても、起泡性、吸糖性、耐熱性等のショートニングとしての物性が維持されることがわかり、コレステロール吸収抑制効果と共に、飽和脂肪酸を低減させることによる健康機能の効果が期待できる。
このように本発明の例である油脂組成物は、優れた加工特性、起泡性、吸糖性、耐熱性、保型性、可塑性、その他特定の融解性をバランスよく兼ね備えている。

Claims (6)

  1. 油脂中に、ジアシルグリセロールを60〜80質量%含有し、該ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸の90質量%以上が不飽和脂肪酸であり、残余のトリアシルグリセロールの内、構成脂肪酸が全て飽和脂肪酸であるトリ飽和型トリアシルグリセロールが45〜75質量%、構成脂肪酸が全て不飽和脂肪酸であるトリ不飽和型トリアシルグリセロールが10〜50質量%であり、且つ、油脂を構成する全脂肪酸の内、トランス型不飽和脂肪酸の含量が5質量%以下である油脂組成物。
  2. トリアシルグリセロールを構成する脂肪酸の25〜55質量%が不飽和脂肪酸である請求項1記載の油脂組成物。
  3. トリアシルグリセロールが、植物油の極度硬化油と菜種油もしくは大豆油の混合物からなる請求項1又は2記載の油脂組成物。
  4. 更に植物ステロールを含有する請求項1〜3の何れか1項記載の油脂組成物。
  5. 請求項1〜4の何れか1項記載の油脂組成物100g当たり0.1〜20mLのガスを含有してなるショートニング。
  6. 請求項1〜4の何れか1項記載の油脂組成物を油相として用いた油中水型組成物。
JP2005128845A 2004-04-28 2005-04-27 油脂組成物 Active JP4823558B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005128845A JP4823558B2 (ja) 2004-04-28 2005-04-27 油脂組成物

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004134347 2004-04-28
JP2004134347 2004-04-28
JP2005128845A JP4823558B2 (ja) 2004-04-28 2005-04-27 油脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005336471A true JP2005336471A (ja) 2005-12-08
JP4823558B2 JP4823558B2 (ja) 2011-11-24

Family

ID=35490377

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005128845A Active JP4823558B2 (ja) 2004-04-28 2005-04-27 油脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4823558B2 (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008061577A (ja) * 2006-09-07 2008-03-21 Kao Corp 油脂組成物
JP2010503408A (ja) * 2006-09-13 2010-02-04 ケリー グループ サーヴィシーズ インターナショナル、リミテッド 積層生地用途のためのトランス脂肪ゼロのショートニング
US7923050B2 (en) 2008-03-17 2011-04-12 The Nisshin Oillio Group, Ltd. Oil composition for coating
JP2012024079A (ja) * 2010-06-25 2012-02-09 Kao Corp ベーカリー用油脂組成物
WO2013039210A1 (ja) * 2011-09-15 2013-03-21 花王株式会社 Gip上昇抑制剤
JP2014018170A (ja) * 2012-07-20 2014-02-03 Nisshin Oillio Group Ltd 離型油
JP2014209885A (ja) * 2013-04-19 2014-11-13 株式会社Adeka 可塑性油脂組成物
JP2017123882A (ja) * 2017-04-27 2017-07-20 日清オイリオグループ株式会社 離型油
JP2021103989A (ja) * 2019-12-26 2021-07-26 日油株式会社 菓子パン用油脂組成物

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6163242A (ja) * 1984-07-17 1986-04-01 ユニリ−バ− ナ−ムロ−ゼ ベンノ−トシヤ−プ 食用脂肪組成物
JPS63301765A (ja) * 1987-01-23 1988-12-08 Kao Corp 高超泡性油脂組成物
JPH11243857A (ja) * 1998-03-03 1999-09-14 Kao Corp 揚げ物及びショートニング
JP2001064671A (ja) * 1999-08-24 2001-03-13 Kao Corp 油脂組成物
JP2001139983A (ja) * 1999-11-17 2001-05-22 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 油脂組成物
JP2006137923A (ja) * 2004-04-28 2006-06-01 Kao Corp 油脂組成物

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6163242A (ja) * 1984-07-17 1986-04-01 ユニリ−バ− ナ−ムロ−ゼ ベンノ−トシヤ−プ 食用脂肪組成物
JPS63301765A (ja) * 1987-01-23 1988-12-08 Kao Corp 高超泡性油脂組成物
JPH11243857A (ja) * 1998-03-03 1999-09-14 Kao Corp 揚げ物及びショートニング
JP2001064671A (ja) * 1999-08-24 2001-03-13 Kao Corp 油脂組成物
JP2001139983A (ja) * 1999-11-17 2001-05-22 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 油脂組成物
JP2006137923A (ja) * 2004-04-28 2006-06-01 Kao Corp 油脂組成物

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008061577A (ja) * 2006-09-07 2008-03-21 Kao Corp 油脂組成物
JP4589902B2 (ja) * 2006-09-07 2010-12-01 花王株式会社 油脂組成物
JP2010503408A (ja) * 2006-09-13 2010-02-04 ケリー グループ サーヴィシーズ インターナショナル、リミテッド 積層生地用途のためのトランス脂肪ゼロのショートニング
US7923050B2 (en) 2008-03-17 2011-04-12 The Nisshin Oillio Group, Ltd. Oil composition for coating
JPWO2009116396A1 (ja) * 2008-03-17 2011-07-21 日清オイリオグループ株式会社 被覆用油脂組成物
JP2012024079A (ja) * 2010-06-25 2012-02-09 Kao Corp ベーカリー用油脂組成物
WO2013039210A1 (ja) * 2011-09-15 2013-03-21 花王株式会社 Gip上昇抑制剤
JP2013075887A (ja) * 2011-09-15 2013-04-25 Kao Corp Gip上昇抑制剤
US10045957B2 (en) 2011-09-15 2018-08-14 Kao Corporation GIP elevation inhibitor
JP2014018170A (ja) * 2012-07-20 2014-02-03 Nisshin Oillio Group Ltd 離型油
JP2014209885A (ja) * 2013-04-19 2014-11-13 株式会社Adeka 可塑性油脂組成物
JP2017123882A (ja) * 2017-04-27 2017-07-20 日清オイリオグループ株式会社 離型油
JP2021103989A (ja) * 2019-12-26 2021-07-26 日油株式会社 菓子パン用油脂組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP4823558B2 (ja) 2011-11-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5747052B2 (ja) 油脂組成物の製造方法及びバタークリームの製造方法
JP5634264B2 (ja) 油脂組成物及び可塑性油脂組成物
JP4823558B2 (ja) 油脂組成物
TWI434656B (zh) Hard cream
EP1759589B1 (en) Fat composition
JP2015126716A (ja) 可塑性油脂組成物及び可塑性油脂組成物を用いた食品
JP5921944B2 (ja) 油中水型乳化組成物
JP2007020435A (ja) ベーカリー製品用油脂含有組成物
TWI395551B (zh) Compositions for oils and fats containing baking products
JP4628892B2 (ja) ベーカリー製品
JP5833729B1 (ja) バタークリーム又はベーカリー製品用可塑性油脂組成物とそれを用いた食品の製造方法
JP6002504B2 (ja) 油脂組成物
JP6948912B2 (ja) スプレッドとバタークリーム用油中水型乳化物およびバタークリームの製造方法
JP6022851B2 (ja) 油脂組成物
JP2017105890A (ja) エステル交換油脂組成物とそれを用いた可塑性油脂組成物
JP3447986B2 (ja) 油脂組成物
JP2008173091A (ja) ベーカリー製品
JP2022151254A (ja) クリーム用油脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071029

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110628

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110728

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110906

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110907

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4823558

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140916

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250