JP2005336069A - 抗糖尿病用組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 天然物由来の物質を有効成分とする抗糖尿病用組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】 ベタニン、ベタニジン、イソベタニン及びイソベタニジンよりなる群から選択される少なくとも1種、またはこれらを含有する植物抽出物、特にアカザ科ビートの抽出物を有効成分とする抗糖尿病用組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】 ベタニン、ベタニジン、イソベタニン及びイソベタニジンよりなる群から選択される少なくとも1種、またはこれらを含有する植物抽出物、特にアカザ科ビートの抽出物を有効成分とする抗糖尿病用組成物。
【選択図】 なし
Description
本発明は、糖尿病に対して予防または改善効果を有する抗糖尿病用組成物に関する。より詳細には、本発明は、糖尿病を発症し得る被験者に対して糖尿病の発症を予防する作用、具体的には糖尿病の発症原因となる肥満を抑制する作用、インスリン抵抗性を改善する作用、または血糖値を降下させて高血糖状態を改善する作用を有する組成物に関する。また本発明は、上記作用に基づいて、糖尿病状態、すなわち高血糖に起因して生じる疾患、具体的には糖尿病合併症の予防または治療のために用いられる組成物(高血糖に起因する疾患の予防または治療用組成物)に関する。
ビートレッドは、食用や着色料としてすでに多くの食品に利用されているベタシアニン系の天然色素である。食品添加物である食品着色料は食品の第一印象を決定づける最も重要な要素であり、加工食品を着色する目的で頻繁に使用されている。現在、天然物より抽出、調製される着色料はカロテノイド系、アントラキノン系、アントシアニン系、フラボノイド系、ポルフィリン系、ジケトン系、ベタシアニン系、アザフィロン系等が知られている。これらの着色料は古くから生薬として用いられてきたものも多い。
近年、色素は着色(二次機能)の目的だけでなく、病気などを予防する生体調節機能(三次機能)にも注目されている。特に、三次機能の付与した機能性食品についての機能性の評価とその有効成分に関する研究が盛んに行われており(非特許文献1〜3等参照)、アントシアニン系色素のロドプシン再合成促進機能(非特許文献4)、フラボノイド、ポルフィリン、およびジケトン系色素の抗酸化作用(非特許文献5〜8等参照)などが多数報告されている。
ビートレッドは、地中海沿岸地方を原産地とし、北米、ロシア、東欧諸国、イスラエル、スーダン、ケニアなどに分布するサトウダイコンの一変種アカザ科ビート(Beta vulgaris LINNE)から抽出、調整されている。ビート自体はB.C.1000年頃から薬用として知られており、中薬大辞典(非特許文献9)には薬理効果として「通経作用」があると紹介されている。さらに近年の機能性に関する研究において、ビートは抗癌作用(非特許文献10)、抗アレルギー作用(非特許文献11)を有することが報告されている。ビートレッドもまた、機能性に関するin vitroでの研究において、DHAエチルエステルのγ線照射による酸化分解に対しBHTを遙かに上回る分解阻止能を示し、DPPHラジカル消去能評価系を用いた抗酸化性試験においても、ルチン、クエルセチンとほぼ同等で、BHTを遙かに上回る強い抗酸化能を有することが認められており(特許文献1)、種々の機能性が期待されている。
近年ヒトにおいて、生活習慣病として位置づけられる肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症、動脈硬化などは年々増加し、その予防と治療は緊急でかつ重要な課題とされている。
ところで、実験的糖尿病モデル動物として、アロキサン誘発糖尿病高発症(ALS)系マウスおよび低発症(ALR)系マウス (非特許文献12〜13)が知られている。これらのマウスにアロキサンを体重当たり雄は45mg/kg, 雌は47mg/kgの割合で尾静脈投与すると、ALS系マウスはほぼ100%の個体が糖尿病態(アロキサン誘発糖尿病[ALDM])を示すが、ALR系マウスは糖尿病態を示すことはない。アロキサンは、膵島のβ細胞を特異的に障害し糖尿病を誘発させる薬物として知られ(非特許文献14)、アロキサンによって生ずる活性酸素種(ROS)が膵β細胞を障害することでアロキサン誘発糖尿病(ALDM)が起こるとされている(非特許文献15〜16)。すなわち、上記アロキサン誘発糖尿病高発症(ALS)系マウスは、膵島のβ細胞の障害に起因して発症する糖尿病を模倣した病態モデル動物であり、被験物質の糖尿病(特にβ細胞の障害に起因する糖尿病)に対する予防または治療効果を検討する上で有効な評価系として用いることができる。
今泉勝己,FOOD Style 21,1(7),25-29(1997) A.Hagiwara, K.Miyashita, T.Nakanishi, M.Sano, S.Tamano, T.Koda, M. Nakamura, K.Kadota, K.Imaida, N.Ito, T. Shirai, Cancer Lett., 171, 17-25(2001) 津田孝範,堀尾文彦,内田浩司,青木宏光,大澤俊彦:日本農芸化学会2002年度大会要旨集 Bastide, P., Bull Soc Ophtalmol Fr., 68(9), 801-807(1968) G.D.Carlo, N.Mascolo, A.Izzp, F.Capasso, Life Sci., 65, 337-353(1999) 田村 力:植物資源の生理活性物質ハンドブック,pp119-121,サイエンスフォーラム,東京(1998) Selvam R., Subramanian L., Gayathrir, Ang Ayarkannin, Ethnopharmacol., 47(2), 59-67(1995) Salimath B.P., Sundaresh C.S., Srinivas L., Nutr. Res., 6(10), 1171-1178(1986) 中薬大辞典,p1857,小学館,東京(1985) Kapadia G. J., Tokuda H., Konoshima T., Nishino H., Cancer lett., 100, 211-214 (1996) Kuramoto Y., Yamada K., Tsyruta O, Sugano M., Biosci. Biotech. Biochem., 60(10), 1712-1713 (1996) Sekiguchi, F., Ishibashi, K., Katoh, H., Kawamoto, Y., and Ino, T., Genetic profile of alloxan-induced diabetes-susceptible mice (ALS) and -resistant mice (ALR). Jikken Doubutsu, 39(2), 269-272(1990) Ino T, Kawamoto Y, Sato K, Nishikawa K, Yamada A, Ishibashi K, and Sekiguchi F: Selection of mouse strains showing high and low incidences of alloxan-induced diabetes. Jikken Doubutsu, 40(1), 61-67(1991) Asayama, K., Nyfeler, F., English, D., Pilkis, S.J., and Burr, I.M., Alloxan-induced free radical production in isolated cells. Selective effect on islet cells. Diabetes, 33, 1008-1011(1984) Fischer, L.J., and Hamburger, S.A., Inhibition of alloxan action in isolated pancreatic islets by superoxide dismutase, catalase, and a metal chelator. Diabetes, 29, 213-216(1980) Cohen, G., and Heikkila, R.E., The Generation of Hydrogen Peroxide, Superoxide Radical, and Hydroxyl Radical by 6-Hydroxydopamine, Dialuric Acid, and Related Cytotoxic Agents. J. Biol. Chem., 249, 2447 − 2452(1974) 特開2004-18828号公報
今泉勝己,FOOD Style 21,1(7),25-29(1997) A.Hagiwara, K.Miyashita, T.Nakanishi, M.Sano, S.Tamano, T.Koda, M. Nakamura, K.Kadota, K.Imaida, N.Ito, T. Shirai, Cancer Lett., 171, 17-25(2001) 津田孝範,堀尾文彦,内田浩司,青木宏光,大澤俊彦:日本農芸化学会2002年度大会要旨集 Bastide, P., Bull Soc Ophtalmol Fr., 68(9), 801-807(1968) G.D.Carlo, N.Mascolo, A.Izzp, F.Capasso, Life Sci., 65, 337-353(1999) 田村 力:植物資源の生理活性物質ハンドブック,pp119-121,サイエンスフォーラム,東京(1998) Selvam R., Subramanian L., Gayathrir, Ang Ayarkannin, Ethnopharmacol., 47(2), 59-67(1995) Salimath B.P., Sundaresh C.S., Srinivas L., Nutr. Res., 6(10), 1171-1178(1986) 中薬大辞典,p1857,小学館,東京(1985) Kapadia G. J., Tokuda H., Konoshima T., Nishino H., Cancer lett., 100, 211-214 (1996) Kuramoto Y., Yamada K., Tsyruta O, Sugano M., Biosci. Biotech. Biochem., 60(10), 1712-1713 (1996) Sekiguchi, F., Ishibashi, K., Katoh, H., Kawamoto, Y., and Ino, T., Genetic profile of alloxan-induced diabetes-susceptible mice (ALS) and -resistant mice (ALR). Jikken Doubutsu, 39(2), 269-272(1990) Ino T, Kawamoto Y, Sato K, Nishikawa K, Yamada A, Ishibashi K, and Sekiguchi F: Selection of mouse strains showing high and low incidences of alloxan-induced diabetes. Jikken Doubutsu, 40(1), 61-67(1991) Asayama, K., Nyfeler, F., English, D., Pilkis, S.J., and Burr, I.M., Alloxan-induced free radical production in isolated cells. Selective effect on islet cells. Diabetes, 33, 1008-1011(1984) Fischer, L.J., and Hamburger, S.A., Inhibition of alloxan action in isolated pancreatic islets by superoxide dismutase, catalase, and a metal chelator. Diabetes, 29, 213-216(1980) Cohen, G., and Heikkila, R.E., The Generation of Hydrogen Peroxide, Superoxide Radical, and Hydroxyl Radical by 6-Hydroxydopamine, Dialuric Acid, and Related Cytotoxic Agents. J. Biol. Chem., 249, 2447 − 2452(1974)
本発明は、天然色素であるビートレッドの色素成分について抗糖尿病用組成物の有効成分としての新たな用途を提供することを目的とする。なお、ビートレッド色素は、天然物(アカザ科ビートの根)に由来する人体に安全な物質を有効成分とするものであり、しかも水溶性であるため、幅広い製品に応用することができるという利点を有する。ゆえに、本発明は、ビートレッドの色素成分を含むことによって抗糖尿病作用を有する各種の製品、例えば食品、医薬品または飼料などの経口的に摂取して用いられる製品を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、アロキサン誘発糖尿病高発症(ALS)系マウスに、ビートレッドの水抽出液を一定期間飲水として摂取させて、飲水摂取による効果およびアロキサン誘発糖尿病(ALDM)発症に及ぼす影響について生化学的および組織学的に比較検討したところ、体重、血糖値、末梢血血漿インスリン値およびトリグリセリド(TG)値が、ビートレッド色素の水溶液を投与しなかった対照群と比較して、いずれも低い値で推移する傾向が得られた。この結果から、本発明者らは、ビートレッドの色素成分に、糖尿病、特にβ細胞の障害に起因する糖尿病に対して予防または治療(改善)効果があることを確認し、本発明を完成するにいたった。
すなわち、本発明は、下記に掲げる抗糖尿病用組成物である:
(1)ベタニン、ベタニジン、イソベタニン及びイソベタニジンよりなる群から選択される少なくとも1種を有効成分とする抗糖尿病用組成物。
(2)ベタニン及び/又はイソベタニンを有効成分とする(1)記載の抗糖尿病用組成物。
(3)ベタニンを有効成分とする(1)又は(2)記載の抗糖尿病用組成物。
(4)アカザ科ビート抽出物を有効成分とする、(1)乃至(3)のいずれかに記載の抗糖尿病用組成物。
(5)経口摂取用の組成物である(1)乃至(4)のいずれかに記載する抗糖尿病用組成物。
(6)食品組成物、医薬品組成物、又は飼料組成物である、(1)乃至(5)のいずれかに記載する抗糖尿病用組成物。
(7)水性の組成物である(5)または(6)に記載する抗糖尿病用組成物。
(1)ベタニン、ベタニジン、イソベタニン及びイソベタニジンよりなる群から選択される少なくとも1種を有効成分とする抗糖尿病用組成物。
(2)ベタニン及び/又はイソベタニンを有効成分とする(1)記載の抗糖尿病用組成物。
(3)ベタニンを有効成分とする(1)又は(2)記載の抗糖尿病用組成物。
(4)アカザ科ビート抽出物を有効成分とする、(1)乃至(3)のいずれかに記載の抗糖尿病用組成物。
(5)経口摂取用の組成物である(1)乃至(4)のいずれかに記載する抗糖尿病用組成物。
(6)食品組成物、医薬品組成物、又は飼料組成物である、(1)乃至(5)のいずれかに記載する抗糖尿病用組成物。
(7)水性の組成物である(5)または(6)に記載する抗糖尿病用組成物。
以下、本発明を説明する。
本発明の抗糖尿病用組成物は、ベタニン、ベタニジン、イソベタニン又はイソベタニジンを有効成分とすることを特徴とするものである。
本発明の抗糖尿病用組成物の有効成分として使用されるベタニン、ベタニジン、イソベタニン及びイソベタニジン(以下、これらの物質を抗糖尿病成分という。)は、ベタシアニン系の赤色を呈する化合物であり、アカザ科ビート(Beta vulgaris)、ヒユ科ホウキギ(Kocihia scoparia)、オシロイバナ科オシロイバナ(Mirabilis jalapa)、ヤマゴボウ科ヨウシュヤマゴボウ(Phytolacca Americana)、スベリヒユ科マツバボタン(Portulaca grandiflora)等の植物中に存在する天然物由来成分であることが知られている。本発明の抗糖尿病用組成物は、有効成分として、上記抗糖尿病成分を1種単独で使用することもでき、又2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。上記抗糖尿病成分の中で、好ましくはベタニン又はイソベタニンであり、更に好ましくはベタニンである。
また、本発明の抗糖尿病用組成物の有効成分は、抗糖尿病作用が発揮される限りは、上記抗糖尿病成分を含有する植物の抽出物であってもよい。このような抽出物としては、例えばアカザ科ビート抽出物、ヒユ科ホウキギ抽出物、オシロイバナ科オシロイバナ抽出物、ヤマゴボウ科ヨウシュヤマゴボウ抽出物、スベリヒユ科マツバボタン抽出物等を挙げることができる。これらの中で、好ましいものはアカザ科ビート抽出物である。尚、当該抽出物の抽出対象となる上記植物は、野生種或いは改良品種の別を問わず使用することができる。又、抽出対象となる上記植物の抽出対象部位としては、上記抗糖尿病成分を含有している限りは特に制限されず、例えば当該植物の全草、或いは花、花弁、実、根及び根茎等の当該植物の一部をいずれも使用することができる。具体的には、当該抽出対象部位として、アカザ科ビートの塊根、ヒユ科ホウキギの花弁、ヤマゴボウ科ヨウシュヤマゴボウの実、スベリヒユ科マツバボタンの花弁等を例示することができる。好ましくはアカザ科ビートの塊根である。
本発明の抗糖尿病用組成物の有効成分として使用される上記抗糖尿病成分は、抗糖尿病成分を含有する上記植物の抽出対象部位をそのまま或いは必要に応じて、乾燥、細切、破砕或いは煮沸したものを搾汁或いは抽出することによって取得することができる。
以下、上記抗糖尿病成分を取得する方法について、アカザ科ビートを使用する場合を例にとって具体的に説明する。
まず、アカザ科ビートの赤色塊根を搾汁或いは抽出処理に供する。ここで、搾汁処理方法としては、例えば圧搾機等の装置を用いてアカザ科ビートの赤色塊根から液体成分を搾汁する方法を挙げることができる。又、抽出処理方法としては、例えばアカザ科ビートの赤色塊根1重量部を裁断し、これに0.5〜100重量部、好ましくは1〜30重量部の抽出溶媒を添加して、室温、攪拌条件下で抽出する方法を挙げることができる。尚、抽出処理に使用する抽出溶媒としては、例えば、水又は極性有機溶媒、或いは水と極性有機溶媒の混合液を挙げることができる。当該極性有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、ブタノール、プロピレングリコール、酢酸エチル等の単独或いは2種以上の組み合わせを挙げることができる。上記溶媒の中で、好ましくは水又はエタノール或いはこれらの混合液、更に好ましくは水とエタノールの混合液(含水エタノール)を挙げることができる。次いで、得られた搾汁液或いは抽出液を濾過やフィルタープレス等の手段により固液分離処理に供し、固形分を除去することによって抗糖尿病成分を含有するアカザ科ビート抽出物を得ることができる。
斯くして得られるアカザ科ビート抽出物は液体状であり、そのまま本発明の抗糖尿病用組成物として使用することができるが、必要に応じてこれを濃縮又は凍結乾燥、減圧乾燥、噴霧乾燥等により乾燥して、濃縮液又は乾燥粉末として使用することもできる。更に、必要に応じて、当該アカザ科ビート抽出物をオルガノ社製アンバーライトXAD−7吸着樹脂及びワイエムシィ社製ODS−Aオクダデシル基化学結合型シリカの2種の樹脂を用いて、上記抗糖尿病成分を分離・精製処理に供してもよい。
上記のようにして得られるアカザ科ビート抽出物等の各種植物抽出物、並びにこれらから単離精製される抗糖尿病成分は、本発明の抗糖尿病用組成物の有効成分として使用することができる。
本発明でいう抗糖尿病用組成物とは、糖尿病に対して予防または改善効果を有するものを広く意味するものである。具体的には、本発明でいう抗糖尿病用組成物には、糖尿病を発症しえる被験者(ヒトや動物を含む)に対して、その発症を抑制する作用を有するものが含まれる。ここで糖尿病の発症を抑制する作用の詳細は特に問うものではないが、糖尿病を発症する原因となる肥満を抑制する作用、被験者のインスリン抵抗性を改善する作用、被験者の血糖上昇を降下する作用(血糖上昇を抑制する作用)等を挙げることができる。
さらに、本発明でいう抗糖尿病用組成物には、被験者(ヒトや動物を含む)の高血糖状態を改善する作用、または尿への糖の排出を抑制する作用を有するものが含まれる。また、本発明でいう抗糖尿病用組成物には、高血糖状態を抑制・改善して(高血糖状態の血糖値を降下させて)、糖尿病の合併症など、高血糖に起因する疾病の予防し改善する作用を有するものが含まれる。
なお、本発明が対象とする糖尿病には、膵臓のβ細胞の障害に関連して発症する糖尿病(インスリン依存性のI型糖尿病)、並びにインスリン非依存性のII型糖尿病を挙げることができる。
また糖尿病合併症とは、糖尿病を直接または間接的な要因として併発する全身性もしくは局所性の疾患であり、具体的には、糖尿病アシドーシス、糖尿病性黄色腫、糖尿病性筋萎縮症、糖尿病性ケトーシス、糖尿病性昏睡、糖尿病性胃障害、糖尿性壊疽、糖尿病性潰瘍、糖尿病性合併症、糖尿病性下痢症、糖尿病性細小血管症、糖尿病性子宮体硬化症、糖尿病性心筋症、糖尿病性ニューロパシー、糖尿病性腎症、糖尿病性水疱、糖尿病性白内障、糖尿病性皮膚障害、糖尿病性浮腫性硬化症、糖尿病性網膜症、糖尿病性リポイド類壊死症、糖尿病性血流障害等を例示することができる。
前述する抗糖尿病成分は、それ単独で抗糖尿病用組成物として使用することができるが、好ましくは糖尿病またはその合併症の予防または治療(改善)に有効量の抗糖尿病成分と、薬学的、食品衛生上、または飼料成分として許容される担体若しくは添加物とを組み合わせて、抗糖尿病用組成物として使用されることが好ましい。
医薬組成物の形態で使用する場合、その医薬組成物の投与単位形態(医薬製剤形態)は、投与経路に応じて各種適宜選択することができる。医薬組成物は、一般に大きく経口剤、経鼻剤、経膣剤、坐剤、舌下剤、及び非経口剤(注射剤、点滴剤)などに分類される。本発明においては、好ましくは経口的に投与される経口剤として使用することができる。これらは常法に従って、錠剤、丸剤、散剤、粉末剤、顆粒剤、トローチ剤及びカプセル剤などの固体投与形態;溶液、懸濁剤、乳剤、シロップ、及びエリキシルなどの液剤投与形態に、調合、成形乃至調製することができる。
これらの医薬製剤の調製に利用される担体としては、製剤の投与形態に応じて通常使用される賦形剤、希釈剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、崩壊抑制剤、吸収促進剤、滑沢剤、溶解補助剤、緩衝剤、乳化剤、懸濁剤などが例示できる。また添加剤としては、製剤の投与形態に応じて通常使用される安定化剤、保存剤、緩衝剤、等張化剤、キレート剤、pH調整剤、界面活性剤、着色剤、香料、風味剤、甘味剤などが例示できる。
本発明の医薬組成物中に含まれる抗糖尿病成分の量は、医薬組成物の製剤形態または投与経路によって種々異なり、一概に規定することはできないが、最終製剤中に、ベタニン、ベタニジン、イソベタニンまたはイソベタニジンが、総量で約0.0006〜0.1重量%の範囲、好ましくは0.001〜0.036重量%の割合で含まれるように、適宜選択して決定することができる。
上記医薬組成物中に含有されるべき抗糖尿病成分の量およびその投与量は、特に限定されず、所望の治療効果、投与法、治療期間、被験者の年齢、性別その他の条件などに応じて広範囲より適宜選択される。投与量は、投与経路によっても異なるが、体重60kgのヒトに対して1回投与あたりの有効成分の量に換算して、約0.36〜60mg/(60kg体重)の範囲から適宜選択することができる。
また抗糖尿病組成物を食品組成物の形態で使用する場合、上記抗糖尿病成分は、その抗糖尿病に有効な量とともに、食品衛生上許容される担体またはその他の添加剤を含むことができる。当該食品組成物には、上記抗糖尿病成分を、必要に応じて食品衛生上許容される担体や添加剤とともに、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、粉末剤、トローチ剤、または溶液(ドリンク)等の形態に調製してなるサプリメント(機能性食品)の類が含まれる。また本発明の食品組成物には、上記抗糖尿病成分を配合することによって、抗糖尿病作用に基づく各種の効果を効能とする飲食物(例えば特定保健用食品、栄養補助食品、機能性食品等)も含まれる。
上記食品組成物中に含有されるべき抗糖尿病成分の量、または摂取量は、特に限定されず、食品組成物の種類、目的とする改善効果の度合い、並びにその他の諸条件などに応じて広範囲より適宜選択される。摂取量は、食品組成物の種類によっても異なるが、体重60kgのヒトに対して1回摂取あたりの抗糖尿病成分(ベタニン、ベタニジン、イソベタニンまたはイソベタニジンの総量)の量に換算して、約0.36〜60mg/(60kg体重)の範囲から適宜選択することができる。好ましくは約0.6〜22mg/(60kg体重)である。
また抗糖尿病組成物を飼料組成物の形態で使用する場合、上記抗糖尿病成分は、その抗糖尿病に有効な量とともに、飼料において許容される担体またはその他の添加剤を含むことができる。当該飼料組成物には、上記抗糖尿病成分を、必要に応じて飼料の調製上許容される担体や添加剤とともに、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、粉末剤等の形態に調製してなる家畜やペット用のサプリメント(機能性食品)の類が含まれる。また本発明の飼料組成物には、上記抗糖尿病成分を配合することによって、抗糖尿病作用を発揮してなる飼料も含まれる。
本発明によれば、糖尿病を発症する可能性のある被験者(ヒト及び動物を含む)に対して、その糖尿病の発症を抑制しまた改善する効果を発揮することができる。また、本発明によれば、糖尿病を発症する可能性のある被験者(ヒト及び動物を含む)に対して、インスリン抵抗性を改善する効果、血糖上昇を抑制する効果、または肥満を抑制する効果を発揮することができる。また、本発明によれば、その血糖上昇抑制作用に基づいて、高血糖状態に起因して生じる疾患、具体的には糖尿病合併症を予防し、または改善することができる。
本発明の抗糖尿病用組成物は、アカザ科ビート、ヒユ科ホウキギ、オシロイバナ科オシロイバナ、ヤマゴボウ科ヨウシュヤマゴボウ、またはスベリヒユ科マツバボタン等の植物に含まれる色素成分であるベタニン、ベタニジン、イソベタニン又はイソベタニジン、好ましくはベタニンまたはイソベタニンを有効成分とするものである。ゆえに、安全性が高く、また水溶性であるため、食品、医薬品または飼料に対して幅広く適用することができる。
以下、製造例、実験例及び実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例等に限定されるものではない。
製造例1
アカザ科ビート(Beta vulgaris LINNE)の赤い根1kgを裁断し、これに水100Lを加えて抽出して、アカザ科ビート抽出液を得た。このアカザ科ビート抽出液を濾紙にて濾過した後、濾液をオルガノ社製アンバーライトXAD−7吸着樹脂500mL(ベットボリューム)に通液した。次にイオン交換水500mLにて樹脂を水洗後、40容量%エタノール水溶液500mLを通液することにより樹脂に吸着した成分を回収し、真空濃縮器を用いて回収液からエタノールを留去した。更に、得られた回収液をワイエムシィ社製ODS−Aオクダデシル基化学結合型シリカ200mL(ベットボリューム)に通液した。次いで、イオン交換水400mLにて樹脂を水洗後、40容量%エタノール水溶液200mLを通液することにより樹脂に吸着した成分を回収した。斯くして得られた回収液から真空濃縮器でエタノールを留去した後、これを凍結乾燥し、アカザ科ビート抽出物粉末0.15gを得た。これを以下「ビートレッド」と称する。得られた粉末(ビートレッド)中に、ベタシアニン(ベタニン、イソベタニン、ベタニジン、及びイソベタニジンの総量として。以下同じ)は12重量%の割合で含まれていた。
アカザ科ビート(Beta vulgaris LINNE)の赤い根1kgを裁断し、これに水100Lを加えて抽出して、アカザ科ビート抽出液を得た。このアカザ科ビート抽出液を濾紙にて濾過した後、濾液をオルガノ社製アンバーライトXAD−7吸着樹脂500mL(ベットボリューム)に通液した。次にイオン交換水500mLにて樹脂を水洗後、40容量%エタノール水溶液500mLを通液することにより樹脂に吸着した成分を回収し、真空濃縮器を用いて回収液からエタノールを留去した。更に、得られた回収液をワイエムシィ社製ODS−Aオクダデシル基化学結合型シリカ200mL(ベットボリューム)に通液した。次いで、イオン交換水400mLにて樹脂を水洗後、40容量%エタノール水溶液200mLを通液することにより樹脂に吸着した成分を回収した。斯くして得られた回収液から真空濃縮器でエタノールを留去した後、これを凍結乾燥し、アカザ科ビート抽出物粉末0.15gを得た。これを以下「ビートレッド」と称する。得られた粉末(ビートレッド)中に、ベタシアニン(ベタニン、イソベタニン、ベタニジン、及びイソベタニジンの総量として。以下同じ)は12重量%の割合で含まれていた。
実験例1
(1)被験動物には、岡山大学農学部家畜育種学教室で兄妹交配により近交維持されているアロキサン誘発糖尿病高発症(ALS)系マウスの雌(4週齢)を用いた。全ての個体は3週齢で離乳させ、離乳後の飼料にはマウス・ラット用固形飼料CRF-1(チャールズリバー社製)を用い、水とともに自由摂取させた。飼育は、室温24±2℃、12時間照明(8:00amから8:00pm)の閉鎖環境下で行った。実験時には、床敷きを入れた個別飼育用TPX製ケージを用い、各個体を個別飼育とした。
(1)被験動物には、岡山大学農学部家畜育種学教室で兄妹交配により近交維持されているアロキサン誘発糖尿病高発症(ALS)系マウスの雌(4週齢)を用いた。全ての個体は3週齢で離乳させ、離乳後の飼料にはマウス・ラット用固形飼料CRF-1(チャールズリバー社製)を用い、水とともに自由摂取させた。飼育は、室温24±2℃、12時間照明(8:00amから8:00pm)の閉鎖環境下で行った。実験時には、床敷きを入れた個別飼育用TPX製ケージを用い、各個体を個別飼育とした。
実験群(7匹)には製造例1で調製したアカザ科ビート抽出物粉末(ビートレッド)の水溶液(ベタシアニンを36ppm(W/V)含有)を、対照群(7匹)には無添加水(所謂、単なる水)を30日間飲水として摂取させた。この30日間にわたり、体重、給餌量、給水量、ビートレッド摂取量、血糖値、および尿糖については3日毎、末梢血血漿インスリン値、血中トリグリセリド(TG)値、及び総コレステロール(T-C)値については6日毎、測定した。
30日間の継続摂取後に、各群(実験群、対照群)の各個体に対してアロキサン(alloxan ; 2,4,5,6-Tetraoxypyrimidine monohydrate) (ナカライテスク(株)) の0.5%生理食塩水溶液を47mg/kgの割合で尾静脈投与し、アロキサン誘発糖尿(ALDM)の誘導をおこなった。アロキサン投与後も実験群にはそれぞれ所定のビートレッド水溶液を、対照群には水を継続して飲水摂取させた。アロキサン投与後7日間にわたり、体重、摂餌量、摂水量、ビートレッド摂取量、尿糖、および血糖値については毎日、末梢血血漿インスリン値、血中トリグリセリド(TG)値、及び総コレステロール(T-C)値は投与後3日目と7日目に測定を行った。各測定は、9:00amから10:00amの間に行った。
さらにアロキサン投与後7日目に、各群(実験群、対照群)の各個体を失血死させ、各個体について性器周囲脂肪量、腎周囲脂肪量、後腹膜脂肪量、腸間膜脂肪量および膵重量を測定した。膵臓は、重量測定後、さらにブアン固定し、組織検索を行った。
(2)試験方法とその結果
各試験の具体的な操作とその結果は、以下の通りである。なお、各実験結果の有意差検定はStudent's-t検定の方法で行い、実験結果は平均値±標準誤差で表した。
各試験の具体的な操作とその結果は、以下の通りである。なお、各実験結果の有意差検定はStudent's-t検定の方法で行い、実験結果は平均値±標準誤差で表した。
(2-1) 体重
アロキサン投与前の30日間(3日毎)及び投与後の7日間(毎日)にわたり、実験群(−▲−)と対照群(−○−)の各個体の体重を定法により測定した。結果を図1に示す。図1(A)はアロキサン投与前の体重の推移を示す結果であり、(B)はアロキサン投与後の体重の推移を示す結果である。
アロキサン投与前の30日間(3日毎)及び投与後の7日間(毎日)にわたり、実験群(−▲−)と対照群(−○−)の各個体の体重を定法により測定した。結果を図1に示す。図1(A)はアロキサン投与前の体重の推移を示す結果であり、(B)はアロキサン投与後の体重の推移を示す結果である。
(a) アロキサン投与前:
実験群では、ビートレッド摂取開始から15日目以降、対照群に比べて、体重増加率が低い値で推移し、27日目で対照群との間に有意な差(p<0.05)が認められた(図1(A))。
(b) アロキサン投与後:
アロキサン投与後の7日間、実験群と対照群との間に有意な差は認められなかった(図1(B))。
実験群では、ビートレッド摂取開始から15日目以降、対照群に比べて、体重増加率が低い値で推移し、27日目で対照群との間に有意な差(p<0.05)が認められた(図1(A))。
(b) アロキサン投与後:
アロキサン投与後の7日間、実験群と対照群との間に有意な差は認められなかった(図1(B))。
(2-2) 摂餌量
アロキサン投与前の30日間(3日毎)及び投与後の7日間(毎日)にわたり、実験群(−▲−)と対照群(−○−)の各個体について1日あたりの摂餌量を測定した。摂餌量は3日ごとに給餌量を測定し、その値から1個体1日当たりの量(g/day)を算出した。結果を図2に示す。図2(A)はアロキサン投与前の摂餌量(g/day)の推移を示す結果であり、(B)はアロキサン投与後の摂餌量(g/day)の推移を示す結果である。
アロキサン投与前の30日間(3日毎)及び投与後の7日間(毎日)にわたり、実験群(−▲−)と対照群(−○−)の各個体について1日あたりの摂餌量を測定した。摂餌量は3日ごとに給餌量を測定し、その値から1個体1日当たりの量(g/day)を算出した。結果を図2に示す。図2(A)はアロキサン投与前の摂餌量(g/day)の推移を示す結果であり、(B)はアロキサン投与後の摂餌量(g/day)の推移を示す結果である。
(a) アロキサン投与前:
ビートレッド摂取期間30日間を通じて、実験群と対照群との間に有意な差は認められなかった(図2(A))。
(b) アロキサン投与後:
対照群はアロキサン投与後2日目(4.9±0.46g/day)から3日目(7.0±0.95g/day)にかけて急激な増加を示し、1.4倍に増加したのに対して、実験群は、5日目以降にやや増加傾向が認められたものの、摂餌量に大きな変化は認められなかった(図2(B))。
ビートレッド摂取期間30日間を通じて、実験群と対照群との間に有意な差は認められなかった(図2(A))。
(b) アロキサン投与後:
対照群はアロキサン投与後2日目(4.9±0.46g/day)から3日目(7.0±0.95g/day)にかけて急激な増加を示し、1.4倍に増加したのに対して、実験群は、5日目以降にやや増加傾向が認められたものの、摂餌量に大きな変化は認められなかった(図2(B))。
(2-3) 摂水量
アロキサン投与前の30日間(3日毎)及び投与後の7日間(毎日)にわたり、実験群(−▲−)と対照群(−○−)の各個体について1日あたりの摂水量(ml)を測定した。摂水量は3日ごとに給水量を測定し、その値から1個体1日当たりの量(ml/day)を算出した。結果を図3に示す。図3(A)はアロキサン投与前の摂水量(ml/day)の推移を示す結果であり、(B)はアロキサン投与後の摂水量(ml/day)の推移を示す結果である。
アロキサン投与前の30日間(3日毎)及び投与後の7日間(毎日)にわたり、実験群(−▲−)と対照群(−○−)の各個体について1日あたりの摂水量(ml)を測定した。摂水量は3日ごとに給水量を測定し、その値から1個体1日当たりの量(ml/day)を算出した。結果を図3に示す。図3(A)はアロキサン投与前の摂水量(ml/day)の推移を示す結果であり、(B)はアロキサン投与後の摂水量(ml/day)の推移を示す結果である。
(a) アロキサン投与前:
ビートレッド摂取期間30日間を通じて、実験群と対照群との間に有意な差は認められなかった(図3(A))。
(b) アロキサン投与後:
対照群はアロキサン投与後2日目 (10.5±1.64ml/day) から急激な増加を示し、7日目に最高値28.8±3.96ml/dayを示した。これに対して実験群は投与後7日間、6.5±0.23〜7.2±0.34ml/dayの範囲で推移し、投与後日数に伴って増加する傾向は認められなかった(図3(B))。
ビートレッド摂取期間30日間を通じて、実験群と対照群との間に有意な差は認められなかった(図3(A))。
(b) アロキサン投与後:
対照群はアロキサン投与後2日目 (10.5±1.64ml/day) から急激な増加を示し、7日目に最高値28.8±3.96ml/dayを示した。これに対して実験群は投与後7日間、6.5±0.23〜7.2±0.34ml/dayの範囲で推移し、投与後日数に伴って増加する傾向は認められなかった(図3(B))。
(2-4) ビートレッドの摂取量
実験群について、上記給水量からビートレッドの摂取量(ng/g-body weight/day)を、1日の体重1gあたりの量として算出した。結果を表1及び2に示す。なお、表1は、0−3日、3−6日・・・について1日の体重1gあたりのビートレッドの摂取量(ng)の平均値を示す。
実験群について、上記給水量からビートレッドの摂取量(ng/g-body weight/day)を、1日の体重1gあたりの量として算出した。結果を表1及び2に示す。なお、表1は、0−3日、3−6日・・・について1日の体重1gあたりのビートレッドの摂取量(ng)の平均値を示す。
(a) アロキサン投与前:
(b) アロキサン投与後:
(2-5) 血糖値
アロキサン投与前の30日間(3日毎)及び投与後の7日間(毎日)にわたり、実験群(−▲−)と対照群(−○−)の各個体について血糖値(mg/dl)を測定した。なお、血糖値(mg/dl)は、尾静脈から採取した末梢血について小型血糖測定器専用電極グルテストセンサー((株)三和化学研究所)を用いて測定した。Hi表示は600 mg/dlとして計算した。結果を図4に示す。図4(A)はアロキサン投与前の血糖値の推移を示す結果であり、(B)はアロキサン投与後の血糖値の推移を示す結果である。
アロキサン投与前の30日間(3日毎)及び投与後の7日間(毎日)にわたり、実験群(−▲−)と対照群(−○−)の各個体について血糖値(mg/dl)を測定した。なお、血糖値(mg/dl)は、尾静脈から採取した末梢血について小型血糖測定器専用電極グルテストセンサー((株)三和化学研究所)を用いて測定した。Hi表示は600 mg/dlとして計算した。結果を図4に示す。図4(A)はアロキサン投与前の血糖値の推移を示す結果であり、(B)はアロキサン投与後の血糖値の推移を示す結果である。
(a) アロキサン投与前:
実験群の血糖値は、ビートレッド摂取開始後18日目以降、対照群の血糖値に比べ低い値で推移する傾向を示し、24日目 (p<0.05)および27日目 (p<0.01)で対照群との間に有意な差が認められた(図4(A))。
実験群の血糖値は、ビートレッド摂取開始後18日目以降、対照群の血糖値に比べ低い値で推移する傾向を示し、24日目 (p<0.05)および27日目 (p<0.01)で対照群との間に有意な差が認められた(図4(A))。
(b) アロキサン投与後:
対照群の血糖値はアロキサン投与後急激に増加し、2日目に450.4±47.3 mg/dlを示した後、4日目に最高値533.9±20.8mg/dlを示した。その後はほぼ同様の値で推移した。これに対して実験群の血糖値は、投与後わずかながら増加し、5日目に最高値166.6±10.4 mg/dlを示したが、投与翌日から対照群との間に有意な差が認められた(図4(B))。
対照群の血糖値はアロキサン投与後急激に増加し、2日目に450.4±47.3 mg/dlを示した後、4日目に最高値533.9±20.8mg/dlを示した。その後はほぼ同様の値で推移した。これに対して実験群の血糖値は、投与後わずかながら増加し、5日目に最高値166.6±10.4 mg/dlを示したが、投与翌日から対照群との間に有意な差が認められた(図4(B))。
(2-6) 尿糖値
アロキサン投与前の30日間(3日毎)及び投与後の7日間(毎日)にわたり、実験群(−▲−)と対照群(−○−)の各個体について尿の糖値(g/dl)を測定した。なお、尿糖値(g/dl)は、ダイアスチックス(マイルス三共製)を用いて、尿に浸してから30秒後に比色検定した。判定は+(0.25g/dl)以上を陽性として、陽性反応を示す個体の出現率(尿糖陽性個体出現率(%))を算出した。
アロキサン投与前の30日間(3日毎)及び投与後の7日間(毎日)にわたり、実験群(−▲−)と対照群(−○−)の各個体について尿の糖値(g/dl)を測定した。なお、尿糖値(g/dl)は、ダイアスチックス(マイルス三共製)を用いて、尿に浸してから30秒後に比色検定した。判定は+(0.25g/dl)以上を陽性として、陽性反応を示す個体の出現率(尿糖陽性個体出現率(%))を算出した。
(a) アロキサン投与前:
実験群及び対照群とも、ビートレッド摂取期間30日間を通じて、尿糖陽性反応を示した個体(尿糖陽性個体)はなかった(出現率0%)。
実験群及び対照群とも、ビートレッド摂取期間30日間を通じて、尿糖陽性反応を示した個体(尿糖陽性個体)はなかった(出現率0%)。
(b) アロキサン投与後:
結果を図5に示す。図5は、実験群(−▲−)と対照群(−○−)について、アロキサン投与後7日間における尿糖陽性個体の出現率を示したものである。図5からわかるように、対照群では、投与後1日目で71.4%の割合で尿糖陽性個体が出現し、3日目には100%に達したが、実験群ではビートレッド摂取期間を通じて全く尿糖陽性個体は発生しなかった (出現率0%)。
結果を図5に示す。図5は、実験群(−▲−)と対照群(−○−)について、アロキサン投与後7日間における尿糖陽性個体の出現率を示したものである。図5からわかるように、対照群では、投与後1日目で71.4%の割合で尿糖陽性個体が出現し、3日目には100%に達したが、実験群ではビートレッド摂取期間を通じて全く尿糖陽性個体は発生しなかった (出現率0%)。
(2-7) 末梢血血漿インスリン値
アロキサン投与前の30日間(6日毎)、及び投与後3日目と7日目に、実験群(−▲−)と対照群(−○−)の各個体について末梢血血漿インスリン値(ng/dl)を測定した。なお、末梢血血漿インスリン値(ng/dl)は、尾静脈から採取した末梢血血漿についてインスリン測定キット((株)森永生科学研究所)を用い免疫反応性インスリン(IRI)として検出測定した。結果を図6に示す。図6(A)はアロキサン投与前の末梢血血漿インスリン値(ng/dl)の推移を示す結果であり、(B)はアロキサン投与後の末梢血血漿インスリン値(ng/dl)の推移を示す結果である。
アロキサン投与前の30日間(6日毎)、及び投与後3日目と7日目に、実験群(−▲−)と対照群(−○−)の各個体について末梢血血漿インスリン値(ng/dl)を測定した。なお、末梢血血漿インスリン値(ng/dl)は、尾静脈から採取した末梢血血漿についてインスリン測定キット((株)森永生科学研究所)を用い免疫反応性インスリン(IRI)として検出測定した。結果を図6に示す。図6(A)はアロキサン投与前の末梢血血漿インスリン値(ng/dl)の推移を示す結果であり、(B)はアロキサン投与後の末梢血血漿インスリン値(ng/dl)の推移を示す結果である。
(a) アロキサン投与前:
実験群の末梢血血漿インスリン値は、ビートレッド摂取期間を通じて対照群の値に比べて常に低い値で推移する傾向を示したが、対照群との間に有意な差は認められなかった(図6(A))。
実験群の末梢血血漿インスリン値は、ビートレッド摂取期間を通じて対照群の値に比べて常に低い値で推移する傾向を示したが、対照群との間に有意な差は認められなかった(図6(A))。
(b) アロキサン投与後:
対照群の末梢血血漿インスリン値は、アロキサン投与後3日目までに急激に減少して0.44±0.11ng/dlの値を示したのに対して、実験群の末梢血血漿インスリン値は、アロキサン投与前(1.22±0.27ng/dl)から7日目(1.68±0.44ng/dl)まで増加傾向を示し、対照群に対し有意に高い値を示した(3日目(p<0.01)、7日目(p<0.05))(図6(B))。
対照群の末梢血血漿インスリン値は、アロキサン投与後3日目までに急激に減少して0.44±0.11ng/dlの値を示したのに対して、実験群の末梢血血漿インスリン値は、アロキサン投与前(1.22±0.27ng/dl)から7日目(1.68±0.44ng/dl)まで増加傾向を示し、対照群に対し有意に高い値を示した(3日目(p<0.01)、7日目(p<0.05))(図6(B))。
(2-8) 血中トリグリセリド量(TG量)
アロキサン投与前の30日間(6日毎)、及び投与後3日目と7日目に、実験群(−▲−)と対照群(−○−)の各個体について血中のトリグリセリド(TG)量(mg/dl)を測定した。なお、TG量(mg/dl)は、心採血により得た血漿についてトリグリセライド E-テストワコ-(和光純薬工業(株))を用いて測定した。結果を図7に示す。図7(A)はアロキサン投与前の血中TG量の推移を示す結果であり、(B)はアロキサン投与後の血中TG量の推移を示す結果である。
アロキサン投与前の30日間(6日毎)、及び投与後3日目と7日目に、実験群(−▲−)と対照群(−○−)の各個体について血中のトリグリセリド(TG)量(mg/dl)を測定した。なお、TG量(mg/dl)は、心採血により得た血漿についてトリグリセライド E-テストワコ-(和光純薬工業(株))を用いて測定した。結果を図7に示す。図7(A)はアロキサン投与前の血中TG量の推移を示す結果であり、(B)はアロキサン投与後の血中TG量の推移を示す結果である。
(a) アロキサン投与前:
実験群の血中TG量は、ビートレッド摂取期間を通じて対照群との間に有意な差は認められなかった(図7(A))。
(b) アロキサン投与後:
実験群の血中TG量は、アロキサン投与後3日目(153.1±9.3mg/dl)には投与前とほぼ同様の値を示し、7日目(87.5±30.1mg/dl)に急激な減少を示したものの、対照群との間に有意な差は認められなかった(図7(B))。
実験群の血中TG量は、ビートレッド摂取期間を通じて対照群との間に有意な差は認められなかった(図7(A))。
(b) アロキサン投与後:
実験群の血中TG量は、アロキサン投与後3日目(153.1±9.3mg/dl)には投与前とほぼ同様の値を示し、7日目(87.5±30.1mg/dl)に急激な減少を示したものの、対照群との間に有意な差は認められなかった(図7(B))。
(2-9) 血中総コレステロール量(T-C量)
アロキサン投与前の30日間(6日毎)、及び投与後3日目と7日目に、実験群(−▲−)と対照群(−○−)の各個体について血中の血中総コレステロール(T-C)量(mg/dl)を測定した。なお、T-C量(mg/dl)は、心採血により得た血漿についてコレステロール E-テストワコ-(和光純薬工業(株))を用いて測定した。結果を図8に示す。図8(A)はアロキサン投与前の血中T-C量の推移を示す結果であり、(B)はアロキサン投与後の血中T-C量の推移を示す結果である。
アロキサン投与前の30日間(6日毎)、及び投与後3日目と7日目に、実験群(−▲−)と対照群(−○−)の各個体について血中の血中総コレステロール(T-C)量(mg/dl)を測定した。なお、T-C量(mg/dl)は、心採血により得た血漿についてコレステロール E-テストワコ-(和光純薬工業(株))を用いて測定した。結果を図8に示す。図8(A)はアロキサン投与前の血中T-C量の推移を示す結果であり、(B)はアロキサン投与後の血中T-C量の推移を示す結果である。
(a) アロキサン投与前:
実験群の血中T-C量は、ビートレッド摂取開始後18日目に対照群に比べ有意に高い値(p<0.05)を示したが、それ以外の摂取期間では対照群とほぼ同様の推移を示した(図8(A))。
(b) アロキサン投与後:
対照群のT-C量はアロキサン投与前(113.7±2.8mg/dl)に比べ投与後3日目(113.7±2.8mg/dl)、 及び7日目(135.4±8.6mg/dl)と増加傾向を示した。これに対して、実験群のT-C量は投与後3日目(126.7±2.9mg/dl)に僅かな増加傾向を示したが、7日目(111.7±4.7mg/dl)には減少し対照群に対し有意に低い値(p<0.01)を示した(図8(B))。
実験群の血中T-C量は、ビートレッド摂取開始後18日目に対照群に比べ有意に高い値(p<0.05)を示したが、それ以外の摂取期間では対照群とほぼ同様の推移を示した(図8(A))。
(b) アロキサン投与後:
対照群のT-C量はアロキサン投与前(113.7±2.8mg/dl)に比べ投与後3日目(113.7±2.8mg/dl)、 及び7日目(135.4±8.6mg/dl)と増加傾向を示した。これに対して、実験群のT-C量は投与後3日目(126.7±2.9mg/dl)に僅かな増加傾向を示したが、7日目(111.7±4.7mg/dl)には減少し対照群に対し有意に低い値(p<0.01)を示した(図8(B))。
(2-10) 膵臓の重量
アロキサン投与後7日目に、実験群(−▲−)と対照群(−○−)の各個体について膵臓の重量(g)を測定した。また各個体の体重から、膵臓重量の体重に占める割合(%)を算出した。結果をそれぞれ図9(B)及び(A)に示す。図からわかるように、実験群の膵臓の実重量(g)(図9(B))、及び膵臓重量の体重に占める割合(%)(図9(A))はいずれも対照群とほぼ同様の値であり、両者に有意な差は認められなかった。
アロキサン投与後7日目に、実験群(−▲−)と対照群(−○−)の各個体について膵臓の重量(g)を測定した。また各個体の体重から、膵臓重量の体重に占める割合(%)を算出した。結果をそれぞれ図9(B)及び(A)に示す。図からわかるように、実験群の膵臓の実重量(g)(図9(B))、及び膵臓重量の体重に占める割合(%)(図9(A))はいずれも対照群とほぼ同様の値であり、両者に有意な差は認められなかった。
(2-11) 腹腔内総脂肪量
アロキサン投与後7日目に、実験群(−▲−)と対照群(−○−)の各個体について、性器周囲脂肪量、腎周囲脂肪量、後腹膜脂肪量および腸間膜脂肪量の総和を腹腔内総脂肪量(g)とし、体重に占める割合(%)を算出した。尚、腸間膜脂肪量は、腸間膜を含む重量として測定した。腹腔内総脂肪量(g)を図10(B)に、腹腔内総脂肪量(g)の体重に占める割合(%)を図10(A)に示す。図からわかるように、実験群の腹腔内総脂肪量の体重に占める割合(%)は対照群に比して多い傾向を示した。しかし、両者に有意な差は認められなかった。
アロキサン投与後7日目に、実験群(−▲−)と対照群(−○−)の各個体について、性器周囲脂肪量、腎周囲脂肪量、後腹膜脂肪量および腸間膜脂肪量の総和を腹腔内総脂肪量(g)とし、体重に占める割合(%)を算出した。尚、腸間膜脂肪量は、腸間膜を含む重量として測定した。腹腔内総脂肪量(g)を図10(B)に、腹腔内総脂肪量(g)の体重に占める割合(%)を図10(A)に示す。図からわかるように、実験群の腹腔内総脂肪量の体重に占める割合(%)は対照群に比して多い傾向を示した。しかし、両者に有意な差は認められなかった。
(2-12) 膵臓の組織形態計測分析
アロキサン投与後7日目に実験群と対照群の各個体から採取した膵臓を、パラフィン包埋し、厚さ4μmの切片を作成して、これをアルデヒド・フクシン染色(AF染色)した。光学顕微鏡観察の結果を図11に示す。図11(a)が対照群の膵臓を示す結果であり、(b)が実験群の膵臓を示す結果である。これらの図からわかるように、対照群では、膵島の確認が困難で、僅かに確認される膵島も原形が崩れ、β細胞が消滅し繊維化が進行していた(図11(a))。これに対して実験群では、障害を受けた膵島の存在も確認されたが、インスリン分泌顆粒が濃染したβ細胞を多く含み、原形を保持した膵島が多く認められた(図11(b))。
アロキサン投与後7日目に実験群と対照群の各個体から採取した膵臓を、パラフィン包埋し、厚さ4μmの切片を作成して、これをアルデヒド・フクシン染色(AF染色)した。光学顕微鏡観察の結果を図11に示す。図11(a)が対照群の膵臓を示す結果であり、(b)が実験群の膵臓を示す結果である。これらの図からわかるように、対照群では、膵島の確認が困難で、僅かに確認される膵島も原形が崩れ、β細胞が消滅し繊維化が進行していた(図11(a))。これに対して実験群では、障害を受けた膵島の存在も確認されたが、インスリン分泌顆粒が濃染したβ細胞を多く含み、原形を保持した膵島が多く認められた(図11(b))。
(3)考察
(3-1)アロキサン投与前の試験結果の考察
体重の推移を測定した結果から、アカザ科ビート抽出物(「ビートレッド」という)を糖尿病発症モデル動物であるALS系雌マウス(アロキサン誘発糖尿病高発症モデル動物)に15日間以上継続的に摂取させることにより、当該ALS系雌マウスの体重増加を抑制することができることがわかった。摂餌量はビートレッド投与開始15日目以降、対照群との間に大きな差は認められず、むしろ投与開始直後には対照群より多い傾向を示している。このことは、ビートレッド投与による体重増加の抑制が、摂餌量の減少に起因するものではないことを示している。
(3-1)アロキサン投与前の試験結果の考察
体重の推移を測定した結果から、アカザ科ビート抽出物(「ビートレッド」という)を糖尿病発症モデル動物であるALS系雌マウス(アロキサン誘発糖尿病高発症モデル動物)に15日間以上継続的に摂取させることにより、当該ALS系雌マウスの体重増加を抑制することができることがわかった。摂餌量はビートレッド投与開始15日目以降、対照群との間に大きな差は認められず、むしろ投与開始直後には対照群より多い傾向を示している。このことは、ビートレッド投与による体重増加の抑制が、摂餌量の減少に起因するものではないことを示している。
また血糖値は、ビートレッド投与開始18日目以降、及びインスリン値は12日目以降、対照群に比べ低い値で推移する傾向を示した。特に血糖値については、24日目および27日目で対照群との間に有意な差が認められた。さらに、血中トリグリセリド値は、ビートレッド投与開始18日目以降、有意な差ではないが対照群より低い値で推移する傾向を示しており、グルコース由来のエネルギー減少を脂肪組織から遊離脂肪酸を動員することで補填している可能性は少ないと考えられる。すなわち、上記ビートレッド投与による体重抑制が、糖取り込み低下に伴う脂肪組織利用の結果ではないことが推測される。ALS系雌マウスは若齢期(4〜8週齢)に強いインスリン抵抗性を有し、その後徐々に改善することが知られている(第50回日本実験動物学会総会発表)ことなどから、ALS系雌マウスに対するビートレッドの持続的な投与は、末梢でのインスリン抵抗性を改善し、糖取り込み効率に影響を与えている可能性が推測される。
(3-2)アロキサン投与後の試験結果の考察
上記の結果で示すように、糖尿病発症モデル動物であるALS系雌マウス(アロキサン誘発糖尿病高発症モデル動物)に、ビートレッドを30日間継続的に摂取させることにより、アロキサンを投与した場合でも、尿糖の出現は全く認められず(図5)、また血糖値及び摂餌量の上昇もほとんど認められなかった(図4(B)、図2(B))。また、一般に糖尿病を発症すると多飲多尿を呈し、摂水量は糖尿病態の重篤化に伴い増加することが知られているが、摂水量の上昇もほとんど認められなかった(図3(B))。さらに、インスリン値は投与前よりむしろ上昇傾向を示し、高い値で維持された(図6(B))。また膵臓組織の光学的顕微鏡検索の結果、ビートレッドを投与しなかった対照群では、膵島の確認が困難なほど障害をうけ、β細胞が消滅し繊維化が進行していたのに対して、ビートレッドを投与した実験群では、インスリン分泌顆粒を保持した正常なβ細胞が多く認められた(図11(B))。これらのことから、ビートレッドが、ALS系マウスにおけるアロキサン誘発糖尿病発症に抑制的に働いていることを明示している。
上記の結果で示すように、糖尿病発症モデル動物であるALS系雌マウス(アロキサン誘発糖尿病高発症モデル動物)に、ビートレッドを30日間継続的に摂取させることにより、アロキサンを投与した場合でも、尿糖の出現は全く認められず(図5)、また血糖値及び摂餌量の上昇もほとんど認められなかった(図4(B)、図2(B))。また、一般に糖尿病を発症すると多飲多尿を呈し、摂水量は糖尿病態の重篤化に伴い増加することが知られているが、摂水量の上昇もほとんど認められなかった(図3(B))。さらに、インスリン値は投与前よりむしろ上昇傾向を示し、高い値で維持された(図6(B))。また膵臓組織の光学的顕微鏡検索の結果、ビートレッドを投与しなかった対照群では、膵島の確認が困難なほど障害をうけ、β細胞が消滅し繊維化が進行していたのに対して、ビートレッドを投与した実験群では、インスリン分泌顆粒を保持した正常なβ細胞が多く認められた(図11(B))。これらのことから、ビートレッドが、ALS系マウスにおけるアロキサン誘発糖尿病発症に抑制的に働いていることを明示している。
以上の結果から、ビートレッドは、膵β細胞の障害(例えば、膵β細胞の自己免疫による障害)を抑制する作用を有しており、このため膵β細胞の障害と関連して発症する疾患、例えばインスリン依存性のI型糖尿病やインスリン非依存性のII型糖尿病の発症抑制にも効果的に働くものと考えられる。
実施例1 食品組成物(1)
製造例1で調製したアカザ科ビート抽出物(ビートレッド)を抗糖尿病用組成物(糖尿病抑制剤)として用いて、果実・野菜ミックスジュースを調製した。具体的には下記の処方に従って材料を混合し、ろ過した後、93℃達温殺菌して250mlのビンに充填し、果実・野菜ミックスジュースを調製した。なお、下記飲料150ml中には、約1mgのベタシアニンが含まれている。
製造例1で調製したアカザ科ビート抽出物(ビートレッド)を抗糖尿病用組成物(糖尿病抑制剤)として用いて、果実・野菜ミックスジュースを調製した。具体的には下記の処方に従って材料を混合し、ろ過した後、93℃達温殺菌して250mlのビンに充填し、果実・野菜ミックスジュースを調製した。なお、下記飲料150ml中には、約1mgのベタシアニンが含まれている。
5倍濃縮リンゴ透明果汁 7.6 (g)
柑橘混合果汁50° 0.25
ドリンクベース 3.3
トマト濃縮物 2.0
アカザ科ビート抽出物 0.007
アップルフレーバー 0.03
フルーツフレーバー 0.02
グルコン酸(50%液) pH調整用
水 適量
合 計 100.00 g。
柑橘混合果汁50° 0.25
ドリンクベース 3.3
トマト濃縮物 2.0
アカザ科ビート抽出物 0.007
アップルフレーバー 0.03
フルーツフレーバー 0.02
グルコン酸(50%液) pH調整用
水 適量
合 計 100.00 g。
実施例2 食品組成物(2)
製造例1で調製したアカザ科ビート抽出物(ビートレッド)を糖尿病抑制剤として用いて、ノンシュガーキャンディを調製した。具体的には下記の処方に従って材料を混合し、加熱溶解した後、成型してノンシュガーキャンディを調製した。なお、下記キャンディ10g中には、約1mgのベタシアニンが含まれている。
製造例1で調製したアカザ科ビート抽出物(ビートレッド)を糖尿病抑制剤として用いて、ノンシュガーキャンディを調製した。具体的には下記の処方に従って材料を混合し、加熱溶解した後、成型してノンシュガーキャンディを調製した。なお、下記キャンディ10g中には、約1mgのベタシアニンが含まれている。
還元パラチノース 60.00 (g)
還元澱粉糖化物 59.33
スクラロース 0.03
クエン酸(無水) 1.50
クエン酸三ナトリウム 0.07
アカザ科ビート抽出物 0.08
グレープフレーバー 0.20
水 30.00
煮詰めて、収量約 100.00 g。
還元澱粉糖化物 59.33
スクラロース 0.03
クエン酸(無水) 1.50
クエン酸三ナトリウム 0.07
アカザ科ビート抽出物 0.08
グレープフレーバー 0.20
水 30.00
煮詰めて、収量約 100.00 g。
実施例3 食品組成物(3)
製造例1で調製したアカザ科ビート抽出物(ビートレッド)を糖尿病抑制剤として用いて、グレープアイスキャンデーを調製した。具体的には下記の処方に従って材料を混合し、加熱溶解した後、10℃以下に冷却して型に流し込み凍結させてアイスキャンデーを調製した。なお、下記アイスキャンデー100g中には、約0.7mgのベタシアニンが含まれている。
製造例1で調製したアカザ科ビート抽出物(ビートレッド)を糖尿病抑制剤として用いて、グレープアイスキャンデーを調製した。具体的には下記の処方に従って材料を混合し、加熱溶解した後、10℃以下に冷却して型に流し込み凍結させてアイスキャンデーを調製した。なお、下記アイスキャンデー100g中には、約0.7mgのベタシアニンが含まれている。
砂糖 10.00 (g)
果糖ぶどう糖液糖 8.00
水飴 6.25
5倍濃縮ホワイトグレープ果汁 4.00
アカザ科ビート抽出物 0.06
安定剤(増粘多糖類) 0.20
グレープフレーバー 0.20
水 適量
合 計 100.00 g。
果糖ぶどう糖液糖 8.00
水飴 6.25
5倍濃縮ホワイトグレープ果汁 4.00
アカザ科ビート抽出物 0.06
安定剤(増粘多糖類) 0.20
グレープフレーバー 0.20
水 適量
合 計 100.00 g。
実施例4 医薬組成物
製造例1で調製したアカザ科ビート抽出物(ビートレッド)を糖尿病抑制剤として用いて、下記の処方で材料を混合し、打錠機により錠剤を調製した。なお、下記錠剤1g中には、約6mgのベタシアニンが含まれている。
製造例1で調製したアカザ科ビート抽出物(ビートレッド)を糖尿病抑制剤として用いて、下記の処方で材料を混合し、打錠機により錠剤を調製した。なお、下記錠剤1g中には、約6mgのベタシアニンが含まれている。
ソルビトール 94.75 (g)
ショ糖脂肪酸エステル 0.15
香料 0.1
アカザ科ビート抽出物 5.0
合 計 100.0 g。
ショ糖脂肪酸エステル 0.15
香料 0.1
アカザ科ビート抽出物 5.0
合 計 100.0 g。
Claims (5)
- ベタニン、ベタニジン、イソベタニン及びイソベタニジンよりなる群から選択される少なくとも1種を有効成分とする抗糖尿病用組成物。
- ベタニンまたはイソベタニンを有効成分とする請求項1記載の抗糖尿病用組成物。
- アカザ科ビート抽出物を有効成分とする、請求項1又は2記載の抗糖尿病用組成物。
- 経口摂取用の組成物である請求項1乃至3のいずれかに記載する抗糖尿病用組成物。
- 食品組成物、医薬品組成物、又は飼料組成物である、請求項1乃至4のいずれかに記載する抗糖尿病用組成物。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004154271A JP2005336069A (ja) | 2004-05-25 | 2004-05-25 | 抗糖尿病用組成物 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006028029A (ja) * | 2004-07-12 | 2006-02-02 | Nippon Beet Sugar Mfg Co Ltd | 血清コレステロールの上昇抑制または低下のための組成物 |
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WO2013133217A1 (ja) * | 2012-03-05 | 2013-09-12 | 日本サプリメント株式会社 | 糖取り込み促進剤 |
JP2014217302A (ja) * | 2013-05-07 | 2014-11-20 | 日本甜菜製糖株式会社 | 家畜尿石症予防及び/又は治療剤 |
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CN104489811A (zh) * | 2014-12-15 | 2015-04-08 | 北京康比特体育科技股份有限公司 | 一种具有增肌功能的组合物及其运动饮料 |
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-
2004
- 2004-05-25 JP JP2004154271A patent/JP2005336069A/ja active Pending
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