JP2005335265A - セラミック積層部品及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】段差のある仮積層体と段差のない仮積層体をいっぺんに本積層するとき、仮積層体のグリーンシートの層間にはエアーの巻き込みが存在し、本積層後、仮積層体と仮積層体の界面や、仮積層体内部にエアーを巻き込み、巣や空隙ができてしまい所定の強度が得られない。
【解決手段】段差のあるセラミック板を所定枚数積層した第一の積層体と、段差のないセラミック板を所定枚数積層した第二の積層体との間に、中間層をなす他のセラミック板を介在し積層した。
【選択図】図1
【解決手段】段差のあるセラミック板を所定枚数積層した第一の積層体と、段差のないセラミック板を所定枚数積層した第二の積層体との間に、中間層をなす他のセラミック板を介在し積層した。
【選択図】図1
Description
本発明は、電気、情報製品や車載部品に用いられるセラミック積層部品におけるセラミック積層体、製造方法およびこれに用いるグリーンシートに関するもので、特に機能部品を搭載するための段差や窪み等凹凸を有するセラミック積層体や、車載部品でのガスを通気させるための孔を有するセラミック積層体に関し、これらの製造方法及びこれに用いるグリーンシートに関するものである。
従来、セラミック積層部品はセラミックグリーンシートに内部回路をプリント印刷し、積層し、切断、焼成して製造したセラミック積層部品が一般的であった。最近の、電気、情報機器は小型化が著しく、これに用いる部品は低背化、小面積化が要求されている。
セラミック積層部品に他の機能部品を搭載する場合、単に上面に搭載したのではセラミック積層部品の高さがその分高くなる。背の高い機能部品をセラミック積層部品面に搭載する場合は、段差や窪みを有するセラミック積層部品を製造し、低面部に搭載することで全体の高さを低くするようにしている。
通常、凹凸を有するセラミック積層部品を作製する製造方法は、図6に示すように段差のあるセラミックグリーンシート1を所定枚数仮積層した段差のある仮積層体2にし、段差のないセラミックグリーンシート3を所定枚数仮積層した段差のない仮積層体4にし、2つの仮積層体を本積層してセラミック積層体5として焼成することで、セラミック積層部品としていた(特許文献1)。
特開2002−18825号公報
しかしながら、段差のある仮積層体と段差のない仮積層体を一度に本積層する場合、仮積層体は、密着液などで部分的に仮止めしているか、軽い圧力によりグリーンシートの層間をまだらに圧着するだけであるため、仮積層体のグリーンシートの層間にはエアーの巻き込みが発生し、本積層後に仮積層体と仮積層体の界面や仮積層体内部に巣や空隙ができてしまうため所定の強度が得られない。
また、内部回路が存在するような積層体の場合、通電した時、巣や空隙が起点となり破壊の原因となってしまうという問題がある。
また、グリーンシートは面積に対して厚みが薄いのが一般的で、ハンドリングが困難な部材であるが、段差のあるグリーンシートはより強度が低下するため取り扱い性が悪くなり、これは仮積層した後も同様であった。
そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、段差のあるセラミック板を所定枚数積層した第一の積層体と、段差のないセラミック板を所定枚数積層した第二の積層体との間に、中間層をなす他のセラミック板を介在し積層したことを特徴とするものである。
前記第一の積層体と第二の積層体の密度が、中間層のセラミック板の密度より大きいことを特徴とするものである。
前記第一の積層体と第二の積層体のヤング率が、中間層のセラミック板のヤング率より小さいことを特徴とするものである。
前記第一の積層体と第二の積層体に用いるセラミック板と中間層のセラミック板の組成が同種であることを特徴とするものである。
段差のあるセラミックグリーンシートを所定枚数を加熱加圧することにより本積層して第一の積層体を形成し、段差のないセラミックグリーンシートを所定枚数を加熱加圧することにより本積層して第二の積層体を形成し、第一の積層体と第二の積層体の間に他のセラミックグリーンシートを介在して両者を加熱加圧することにより本積層することを特徴とするものである。
以上詳述したとおり、本発明によれば、積層界面に巣や空隙をなくし強度をもった凹凸のあるセラミック積層部品を作製することができる。
以下、本発明を図1で示したセラミック積層部品の焼成前積層体10について説明する。
図2は、積層体10を作製するために用い、段差の一例として穴のあいたセラミックグリーンシート(セラミック板)20を所定枚数本積層した第一の積層体11であり、図3は、穴あけしていないセラミックグリーンシート(セラミック板)21を所定枚数本積層した第二の積層体12である。
第一の積層体11と第二の積層体12の間に一枚介在するグリーンシート(中間層)22を介して本積層したものがセラミック積層体10である。
このような本発明の構造では、穴のあいたセラミックグリーンシート(セラミック板)20を所定枚数重ねて本積層し、第一の積層体11を作製するが、仮積層だけではエアーを巻き込んだ状態のままであるが、グリーンシートが圧着する圧力で、必要であれば熱をかけた本積層をする事で巣や空隙のない穴のあいた第一の積層体11が作製できる。
さらに、穴のあいたセラミックグリーンシート(セラミック板)20を所定枚数重ねた仮積層体2,4は強度が無く取り扱いが困難であるが、本積層する事で一体化した第一の積層体11は強度が増しているためハンドリングが容易になる。
ここで、第一の積層体11は段差のないセラミックグリーンシート(セラミック板)3を本積層した後に、所定の穴を金型や切削により穴をあけることで、作製しても構わない。
同様に穴のあいていないセラミックグリーンシート(セラミック板)21を所定枚数重ねて同様な本積層をすることで、巣や空隙のない第二の積層体12が作製できる。
第一の積層体11と第二の積層体12を、第一の積層体11と第二の積層体12の間に介在するセラミックグリーンシート(中間層)22を介在して本積層する事で、巣や空隙のない、材料の目的となる強度を保つことのできる積層体10を得ることが可能となる。
さらに、本積層した第一の積層体11と本積層した第二の積層体12の密度が、第一の積層体11と第二の積層体の間に介在するセラミックグリーンシート(中間層)22の密度より大きいと、一体に本積層する際、セラミックグリーンシート(中間層)22の密度が第一の積層体11、第二の積層体12より小さいため本積層時の高圧力により、介在するセラミックグリーンシート(中間層)22が塑性変形より高密度化しようとするため、第一の積層体11、第二の積層体12よりも変形量が極端に大きくなり、第一の積層体11と第二の積層体12の間に介在するセラミックグリーンシート(中間層)22が塑性変形して進入することで、第一の積層体11と第二の積層体12とグリーンシート(中間層)22の密着性がさらに向上し、積層欠陥となる巣や空隙がさらに無くなる。
さらに、本積層した第一の積層体11と本積層した第二の積層体12のヤング率が、第一の積層体11と第二の積層体12の間に介在するセラミックグリーンシート(中間層)22のヤング率より小さいと、一体に本積層する際にセラミックグリーンシート(中間層)22のヤング率が第一の積層体11、第二の積層体12より大きいため、積層圧力により第一の積層体11、第二の積層体12よりも柔らかいことから、変形量が極端に大きくなり第一の積層体11と第二の積層体12の両界面との密着性がさらに向上し、積層欠陥となる巣や空隙がより無くなる。
さらには、第一の積層体11で使用する穴の空いたセラミックグリーンシート(セラミック板)20と、第二の積層体12で使用するグリーンシート(セラミック板)21と、第一の積層体11と第二の積層体12の間に介在するグリーンシート(中間層)22が、同種類のバインダー系を用いたグリーンシートであると、一体に本積層した際により積層体同士のなじみが良くなり密着性が向上する。
まず、穴の空いたセラミックグリーンシート(セラミック板)20を作製する。
この穴の空いたセラミックグリーンシート(セラミック板)20は、例えば、アルミナ、ムライト、スピネルの群から選ばれる少なくとも1種のセラミックスに対して、適宜、成形用有機バインダーを添加してドクターブレード法や、押出成形や、静水圧成形(ラバープレス)あるいはプレス成形などの周知の方法により作製する。
まず、平均粒径1.0μmのアルミナ粉末に対して、アクリル系バインダー、溶剤およびメディアを混合し、48時間撹拌してスラリーを得た。その後、ドクターブレード成形にて前記スラリーを成形、乾燥させて、100mm×100mmの大きさで、厚さ200μmのアルミナグリーンシートを作製した。
作製したグリーンシートに所定の穴をあけるため、金型にて打ち抜き、穴の空いたセラミックグリーンシート(セラミック板)20を作製した。
次に、図4の断面図に示すように、第一の積層体11を作製した。
穴の空いたセラミックグリーンシート(セラミック板)20を金型50に所定枚数セットし、プレス機にて50MPaにて加圧し本積層した。このとき、金型50を70℃にあたためて、よりセラミックグリーンシートの変形を促すいわゆる熱圧着法で本積層した。
また、金型50は上パンチ、下パンチのほかに、セラミック積層体が変形して形状が崩れないように外周を拘束する臼が設けられており、セラミック積層体の穴部分には、金型と同材質の柱51が設けられている。
次に、第二の積層体12を作製した。
セラミックグリーンシート(セラミック板)21は前記アルミナグリーンシートをそのまま使用し、第二の積層体12は第一の積層体11と同様の熱圧着法を用いて作製するが、金型50には柱51がないものを使用することになる。
次に、第一の積層体11と第二の積層体12とを介在するセラミックグリーンシート(中間層)22を介在して積層してできる積層体10を作製した。このとき、介在するセラミックグリーンシート(中間層)22は、前記アルミナグリーンシートをそのまま使用するか、もしくは穴をあけたセラミックグリーンシート(セラミック板)20を使用しても良い。積層体10は図5の断面図に示すように、金型と同材質の支柱61を設けた金型60に第二の積層体12、介在するセラミックグリーンシート(中間層)22、積層体21をセットし、プレス機にて50MPaにて加圧し本積層した。このとき、金型60を70℃にあたためて、よりセラミックグリーンシート(中間層)22の変形を促すいわゆる熱圧着法で本積層した。
以上の方法により、本発明のセラミック積層部品のセラミック積層体10を作製した。
次に、比較例として図6に示すようなセラミック積層体5を作製した。
穴の空いたセラミックグリーンシート(セラミック板)20を所定枚数金型50にセットし、5MPaで加圧し段差のある仮積層体2を作製した。このとき、段差のある仮積層体2は第一の積層体11と違い一体化しておらず、グリーンシート同士の界面がはっきりわかる状態である。
同様に段差のない仮積層体4を金型50の柱51がないものを使用して5MPaで加圧し作製した。
段差のある仮積層体2と同様に一体化はしていない状態である。
段差のある仮積層体2と段差のない仮積層体4を金型60を用いて50MPaにて加圧し本積層した。このとき、金型60を70℃にあたためて、段差のある仮積層体2と段差のない仮積層体4の変形をさらに促すいわゆる熱圧着法で本積層した。
以上の方法により、従来のセラミック積層部品のセラミック積層体5を作製した。
セラミック積層体5とセラミック積層体10の焼成体を10カ所カットし、レッドチェック液に浸し、主面に対して垂直な断面の内部に存在する空隙や積層欠陥の数を確認した。
また、セラミック積層体5とセラミック積層体10の焼成体から3mm×4mm×40mmの抗折試験片として10本ずつ切り出し抗折強度を調べた。
表1、表2から分かるように、セラック積層体5はセラミック積層体10に比べて内部に存在する空隙や巣が多く存在し、さらに、強度もセラミック積層体5はセラミック積層体10の約85%に低下していた。
次に、上記方法にて作製したアルミナグリーンシートにおいてバインダー量を変更することで密度の異なるアルミナグリーンシートを作製した。
セラミック積層体10の作製と同様な方法で、介在するセラミックグリーンシート(中間層)22のかわりにバインダー量を変更して、密度を変化させたセラミックグリーンシートを用いて3種類の積層体を作製した。
第一の積層体11、12の密度は48〜50g/cm3で、介在するセラミックグリーンシート(中間層)22は、密度が(1)45〜47g/cm3、(2)48〜50g/cm3、(3)51〜53g/cm3のものを使用した。
上記3種類のセラミック積層体を焼成し、焼成体から3mm×4mm×40mmの抗折試験片として10本ずつ切り出し抗折強度を測定しその平均強度を調べた。
その結果、平均強度が(1)275MPa、(2)242MPa、(3)211MPaとなり、第一の積層体11、12の密度が、介在するセラミックグリーンシート(中間層)22より大きいもの程、強度が大きいものとなった。
次に、同様な方法で作製したアルミナグリーンシートにおいて、バインダー量を変更して作製したグリーンシートのヤング率を測定し、3種類のヤング率の異なるグリーンシート(中間層)22を挿入してセラミック積層体10を作製した。このとき、第一の積層体11、12のヤング率は250〜300MPaのものを使用した。
介在するセラミックグリーンシート(中間層)22を、Aとして320〜500MPa、Bとして250〜300MPa、Cとして100〜200MPaで処理したものとし、3種類の積層体を作製焼成し、その焼成体から3mm×4mm×40mmの抗折試験片として10本ずつ切り出し、抗折強度を測定してその平均強度を調べた。
その結果、Aが280MPa、Bが190MPa、Cは焼成後に介在したセラミックグリーンシート(中間層)22近傍で剥がれるという結果になっていた。
第一の積層体11、12のヤング率は、介在するセラミックグリーンシート(中間層)22よりも小さい程、強度が大きいものとなった。
次に、第一の積層体11、12はアクリル系アルミナグリーンシートを用い、介在するグリーンシート(中間層)22にバインダーをブチラール系に変更し、同様な方法で作製したアルミナグリーンシートを使用した積層体(ア)と、第一の積層体11、12にブチラール系アルミナグリーンシートを用い、同様に介在するグリーンシートにもブチラール系アルミナグリーンシートを用いた積層体(イ)を焼成し、焼成体から、3mm×4mm×40mmの抗折試験片として10本ずつ切り出し、抗折強度を測定しその平均強度を調べた。
その結果、(ア)220MPa、(イ)285MPaであり、同種類のバインダーを用いた積層体の方が強度の大きいものとなった。
1:段差のあるセラミックグリーンシート(セラミック板)
2:段差のある仮積層体
3:段差のないセラミックグリーンシート(セラミック板)
4:段差のない仮積層体
5:セラミック積層体
10:本発明のセラミック積層部品のセラミック積層体
11:第一の積層体
12:第二の積層体
20:穴の空いたセラミックグリーンシート(セラミック板)
21:セラミックグリーンシート(セラミック板)
22:介在するセラミックグリーンシート(中間層)
50:金型
51:金型の支柱
60:金型
61:金型の支柱
2:段差のある仮積層体
3:段差のないセラミックグリーンシート(セラミック板)
4:段差のない仮積層体
5:セラミック積層体
10:本発明のセラミック積層部品のセラミック積層体
11:第一の積層体
12:第二の積層体
20:穴の空いたセラミックグリーンシート(セラミック板)
21:セラミックグリーンシート(セラミック板)
22:介在するセラミックグリーンシート(中間層)
50:金型
51:金型の支柱
60:金型
61:金型の支柱
Claims (5)
- 段差のあるセラミック板を所定枚数積層した第一の積層体と、段差のないセラミック板を所定枚数積層した第二の積層体との間に、中間層をなす他のセラミック板を介在し積層したことを特徴とするセラミック積層部品。
- 前記第一の積層体と第二の積層体の密度が、中間層のセラミック板の密度より大きいことを特徴とする請求項1記載のセラミック積層部品。
- 前記第一の積層体と第二の積層体のヤング率が、中間層のセラミック板のヤング率より小さいことを特徴とする請求項1記載のセラミック積層部品。
- 前記第一の積層体と第二の積層体に用いるセラミック板と中間層のセラミック板の組成が同種であることを特徴とする請求項1記載のセラミック積層部品。
- 段差のあるセラミックグリーンシートを所定枚数加熱加圧することにより本積層して第一の積層体を形成し、段差のないセラミックグリーンシートを所定枚数加熱加圧することにより本積層して第二の積層体を形成し、第一の積層体と第二の積層体の間に他のセラミックグリーンシートを介在して両者を加熱加圧することにより本積層することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のセラミック積層部品の製造方法。
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JP2004158731A JP2005335265A (ja) | 2004-05-28 | 2004-05-28 | セラミック積層部品及びその製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN105459255A (zh) * | 2015-11-20 | 2016-04-06 | 福州大学 | 一种陶瓷坯体钻孔的方法 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH06211560A (ja) * | 1993-01-18 | 1994-08-02 | Toshiba Corp | セラミックス成形体およびその製造方法 |
JP2002164654A (ja) * | 2000-11-27 | 2002-06-07 | Murata Mfg Co Ltd | 多層セラミック基板およびその製造方法 |
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- 2004-05-28 JP JP2004158731A patent/JP2005335265A/ja active Pending
Patent Citations (2)
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